メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.511◆現代時評「なぜ急ぐ原発再稼働」:  2012/03/27


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【609 Studio 】メール・マガジン 2011/3/27  No.511
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 フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。ロシア唯一の韓国語
新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題、投稿、
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◆現代時評「なぜ急ぐ原発再稼働」:片山通夫
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 政府は関西電力大飯原発の再稼働を認めるようだ。福島の大事故から
一年、安全神話がもろくも崩れ去った今、急ぐ理由が見当たらないのだ
が、野田政権は何かに憑かれたように「再稼働」への道を走ろうとして
いる。

再稼働へ
 再稼働へのハードルを出来るだけ低くするために、藤村修官房長官は
16日午前の記者会見で「定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4
号機の再稼働に関し、滋賀県は同意が必要な地元に含まれないとの認識
を示した(産経新聞)」という。何とも姑息な論理だ。

一方、滋賀県の嘉田知事は「全く理解できない。政府は福島の原発事故
をどう思っているのか、UPZをなぜ広げたのか。京都や関西広域連合
とも連携し、官房長官、最終的な責任が首相なら首相に説明を求めたい
」と怒りをあらわにした。
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/bousin/bousin003/siryo3.pdf

なぜこのような事態になったのかは不明だが、次のような理由が考えら
れる。
1 夏場の電力不足を訴える電力会社、雇用や原発マネーの恩恵に浴し
たい地元産業、電力不足を恐れる経済界などの突き上げが大きい。
2 原発の廃炉という悪夢は見たくない。廃炉ともなると莫大な費用と
時間がかかる。
ちなみに、原発一基の廃炉費用は、実際に今廃炉作業が行われている東
海原発出力16.6万kwの場合、解体に約350億円、廃棄物の処分に約580億
円、計約930億円だと見積もられている。また廃棄物の処理すべてには、
20兆円という費用がかぶさってくる。廃炉にしたくない理由は経済的
な問題だ。

耐用年数40年
 また政府は原発の耐用年数を40年と区切った。しかしこの40年と
いう期間は、原発が安全に運転できる期間だという保証はない。それよ
りも電力会社の40年もの長期間使い続けることによる経済的な理由の
ほうが大きい。ご存じだとは思うが、当初は減価償却の終わる「法定耐
用年数」16年だった。しかし初期費用が莫大な原発は16年で廃炉に
するには電力会社としては忍びない。そこで経産省は40年という期間
でコスト計算するよう改めたという経緯がある。つまり、他の発電方法
よりも安いというイメージ造りから40年という期間を割り出したとし
か思えない。経済性を有利にするための詭計だ。
以上の点から、筆者には「なぜ政府は国民の生命。財産と引き換えにな
る危険が伴う再稼働を急ぐのか」が理解できない。
 
電力不足は本当か?
さて政府や電力会社が再稼働を急ぐ大きな理由の一つに、夏の電力不足
というブラフがある。昨年東京電力のサービスエリア内で「計画停電」
なるものがなされた。しかしその結果、実際は必要なかったと検証済で
ある。それでは今年はどうなのか?
少し長いがテレビ朝日系ワイドショー「モーニングバード!」をウオッ
チしている「ワイドショー通信簿」から以下(イタリック体)に引用す
る。
=引用開始=
経産省のチームが出したものは、需要が1億7954万キロワット、供給力1
億6298万キロワットで、差し引き1656キロワットの不足(9.
2%)となっている。一方、民間チームの結果は需要が小さく、供給力
が大きいから、1006万キロワットのプラス(6%)だ。民間チーム
にはもうひとつの予測があって、それだと差し引き482万キロワット
(2.8%)のプラスだった。
   なぜこんな違いがあるのか。経産省チームの試算には再生可能エネル
ギーが含まれておらず、火力発電所が定期点検することになっていたり
、需要を猛暑の2010年の数字にしたりと、極端な設定で需給を恣意的に
逼迫させている疑いが強い。
=引用終了=

 最後に
  この稿を書いている2012年3月25日、朝日新聞が朝刊で次の
ような記事を掲載した。
=引用開始=
「福井県原子力委員に1490万円 電力側、5人に寄付」
 原発の安全性を審議する福井県原子力安全専門委員会の委員12人の
うち、4人が2006〜10年度に関西電力の関連団体から計790万
円、1人が電力会社と原発メーカーから計700万円の寄付を受けてい
た。=引用終了=

 こうした寄付に関して当事者は「寄付の影響が判断に及ぶことはない
」としている。しかし、まさか「多額の寄付をもらったから、寄付者の
意図を忖度して判断する」とは言わない。

 野田政権は再稼働を急いでいる。その裏に何があるのか今のところ不
明だ。しかしこの夏の電力不足をアピールすることにより、何がしかの
、それは決して金銭だけにとどまらない利益が得ることができるからだ
としか思えない。国民を人質にとって再稼働を急ぐにはそれなりの理由
がなければならない。今後それを調査できればと思う。

参考URL

全ての原発が停止する場合の影響について(気候ネットワーク)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sakutei9/siryo2-2-2.pdf

原子力教育を考える会
http://www.nuketext.org/index.html

ワイドショー通信簿
http://www.j-cast.com/tv/2012/02/02120905.html?p=all

朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0325/OSK201203240241.html

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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2012年3月23日号
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クリル島に国境通過地点設置提案

 さる19日、サハリン州知事はロシア連邦保安局サハリン沿岸国境守
備管理局の副局長とクリルスク市エトロフ島に国境通過地点を設ける必
要性について議論した。これから埠頭と空港が開港になって貨物量の増
加が見込まれるためである。

除雪作業予算大幅に増額

 今年、サハリンでは特に雪が多かった。そのため、地方自治体は除雪
作業予算の不足で悩んでいる。さる20日、サハリン州政府は除雪作業
のために1億7万2千ルーブルの追加予算を割当てることを決めた。そ
の半分は最も道路の多いユジノサハリンスク市に与えられる。

中国人事業家、南クリル区域へ注目

 さる20日、中国水産会社「ダピン」の代表らが南クリルを訪ねた。
彼らの訪問目的はロ中合作水産会社の設立とクナシリの農業部門への投
資可能性を調べること。現在、クナシリではロシア国籍を取得した中国
人が農作物の栽培を行っており、昨年4万トンの野菜を市場に提供した。

童話フェスティバル

 3月23日、ユジノサハリンスク市州立児童図書館で「童話の魔法世
界は限りなく広く大きい」というテーマで童話フェスティバルを開催す
る。13カ地域から読者が参加する。これは1943年から記念してい
るロシア青少年書籍週間を迎えての行事で、コムソモレツ映画館ではク
イズ大会、コンクール、公演のほか、作家との出会いなど多くのプログ
ラムが用意されている。

オホーツク海で60万トンのスケソウダラ採取

 年明けからオホーツクでは58万トンの明太と7万8700トンのニ
シンが取れた。サハリン漁船の漁獲量はスケソウダラ9万400トン、
ニシン5900トンで、先頭を走っているのは沿海州やカムチャッカ漁
船だ。

北方少数民族大会

 3月23〜25日間、ポロナイスクで第9回サハリン北方少数民族大
開が開かれる。州内原住民殆どが参加する大きい大会で、多様な競技と
芸術公演などが行われる。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本」>>>
         引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆放射能が学者の世界を分裂させる
20世紀と21世紀、放射能は日本に対して情け容赦するつもりはないよう
だ。2011年、日本では線量測定機がそれほど売れなかった。というのも
、まだ日本の原発は最も安全であるという意識があったのと、専門家以
外、線量測定機などというものを手に取ったことがなかったからだ。し
かしいまや、一人一人にとってすでに線量測定器は身近なものになって
いる。
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_23/69389879/

◆仏大統領 日本、ドイツ、インドの常任理事国入りに賛同
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_23/69342684/

◆ネベリスクと稚内 姉妹都市提携から40年
ロシアのネベリスクと北海道の稚内は今から40年前、友好と協力に関
する提携を結んだ。
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_22/69290449/

◆ロシア農村部の生活を研究する日本の学者たち
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_22/69254071/

◆日本語放送開始70周年によせて 第2部:不思議な運命のドラマの主
役を演じて―岡田嘉子
VOR日本課の70年は、それぞれの時代のアナウンサーそして翻訳員が
リレーをするように仕事を受け継いできた。その道のりの中でもひとき
わ鮮やかに明るく輝く星は・・・。
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_21/69157891/

◆桜島で噴火活動が活発化
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_19/68941311/
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◆[編集長から]              片山通夫
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 関西電力大飯原発の再稼働手続きが急だ。野田政権は何をそんなに急
いでいるのか、全く理解できない。フクシマの事故の報告書もやっと民
間事故調がこの2月の出したばかりで、夏には政府の報告書も出るであ
ろう時で、まだ事故の原因究明も緒に就いたばかりだというこの時期に
である。
 うがった見方をすれば、事故調の報告が出てからでは「再稼働はとて
も無理」という結果になりかねないからではないかとさえ思ってしまう。

 彼岸が過ぎてなお寒い。政権の行く末、いや現状を思うとなお寒い。
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発行     2012年3月27日   No.511
編集・発行  609studio Michio Katayama
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