メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.508 ◆現代時評「プーチン氏の涙」  2012/03/06


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【609 Studio 】メール・マガジン 2011/3/6  No.508
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 フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。ロシア唯一の韓国語
新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題、投稿、
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◆現代時評「プーチン氏の涙」:片山通夫
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 ロシア中央選管がプーチン氏の勝利を確認した。
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_05/67557545/
 また「ウラジーミル・プーチン首相は、建設的な協力関係を目指す
全ての反対派勢力と対話する用意がある。」とドミトリー・ペスコフ
首相報道官が記者らに対して明らかにした。一方、勝利宣言で、一筋
の涙を見せたプーチン氏は「我々は開かれた公正な戦いに勝利した」
と述べたと伝えられている。

 大方の予想通り、また決選投票に持ち込まれることもなく、64.
72%という得票率で堂々の勝利だと言える。ただ前述したように、
反プーチン派との対話を余儀なくされる状況に追い込まれていたよう
にも思える。

 プーチン氏が「その勝利宣言で涙を見せた」ことの意味は大きい。
本人は「風が目にしみただけさ」と強がっていたようだが、強面の
彼が見せた涙の意味するところは大きいかもしれない。
 昨年行われた下院選挙でのプーチン氏率いる政党・統一ロシアが
大敗した。この選挙では不正が暴かれて、選挙の透明化を望む勢力
がモスクワなどで、何万にもの人々を集めた反政府集会を開催した。
 これらの理由でプーチン氏は「統一ロシアと少し距離を置いた」
と伝えられる。自らの大統領選挙に不安を覚えたようだ。

 プーチン氏は、選挙の不正を防ぐために、次のように矢継ぎ早の
対策を打ち出した。

*数千カ所の投票所に電子集計システムおよび約6万個の透明の投
票箱が設置。
*全国約9万カ所の投票所にウェブカメラが設置。これにより投票
の様子は、webvybory2012.ruでいつでも誰でもチェックできるよう
になった。
*選挙不正を通報するために、中央選挙管理委員会では無料の多回
線ホットライン設置。

 他にもあるかもしれないが、筆者が確認したプーチン氏の対策は
以上のようだった。また海外から選挙監視団を招き、監視団の会見
では「おおむね国際基準に沿った選挙だ」と言明した。

 なぜプーチン氏はここまでしたのか疑問に思えるほどである。逆
を言えば、それほど危機感を持っていたのだろう。下院選挙での不
正と敗北は、直近に迫った大統領選挙に与える影響は大きい。彼が
覚えた危機感は正しかったようだ。

 ロシアの声放送によると、モスクワの選挙本部で、4日深夜に、
プーチン氏は「自分が選挙戦の際に約束した公約のすべては遂行さ
れ、実現されるだろう」と述べた。プーチン氏は、その際次のよう
に明言した。「問題は、選挙戦ばかりでなく、我が国のため我々は
、多くの事をするよう迫られているという点にある。私が述べた事
、私の同僚達が述べてきた事はすべて遂行され、なされるだろう」

 氏の涙の意味は決して「風が眼にしみた」だけではないだろう。
ここに述べたような逆風の中での勝利に対する涙だったのかもしれ
ない。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2012年3月2日号
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 政府優先課題―人口増加

 さる27日の州政府会議で2011年度サハリン州予算の42%(2
80億ルーブル)が社会保障分野へ割当てられたと報告された。昨年、
州及び国家公務員の給料が6%〜11%まで引上げられたが、ロシア政
府は2018年まで教師の給料を地域平均賃金の200%まで引上げる
方針である。サハリン及びクリル行政に対する住民らの満足度を調べた
結果、医療サービスに対しては33%、教育政策には70%が満足して
いることがわかった。しかし、住宅政策に対しては15%のみが満足し
ていると答えた。州政府の優先課題の一つが人口問題である。児童死亡
率は徐々に減少しているが出生率は今も低いため、これに対しての対策
が急がれている。

サハリン州投資誘致努力続ける

 28日の州経済発展局記者会見によると、昨年投資額が36%増加し
1810億ルーブルに達した。その中の1367億ルーブルが石油ガス
部門に集中している。サハリン州政府は「投資への国家支援法」を採択
するなどでより良い投資環境づくりに励んでいる。現在、サハリン州政
府は3つの投資プロジェクトを進めている。一つは70億ルーブル相当
の木材加工団地の調整、二つ目は温室、野菜の倉庫、野菜包装生産ライ
ンなどの建設、三つ目は体育健康回復団地建設である。

大統領選挙の日

 3月4日はロシア大統領選挙日。大統領候補はウラジミル・プーチン
(イエジナヤロシア党)、ゲンナジ・ジュガノフ(ロシア共産党)、ウ
ラジミル・ジュリノブスキ(自由民主党)、セルゲイ・ミロノフ(スプ
ラヴェドリワヤロシア党)の4人。安全な選挙のために27日から22
00人の警察と40人の兵士が巡察、警備に当たっている。

新任出張所長赴任

 2月23日、駐ユジノサハリンスク市韓国領事館出張所の新任所長と
して李・ホヨン領事(58才)が赴任した。韓国外国語大学卒業後イラ
ク、日本福岡などで勤務した経歴がある。

ロシアテコンドー選手権大会でサハリン代表チーム7つのメダル獲得

 モスクワ州ズベニゴロド市で開催された全ロシア・テコンドー選手権
大会でサハリン代表チームが合計7つのメダルを取った。金メダル5つ
、銀メダル1つ、銅メダル1つを獲得した。

冬の釣り大会

 さる23日、ドリンスク区域ナイバ川で冬の釣り大会があった。氷に
穴を開けての釣りにウラジオストクやカムチャッカなどからの参加者も
あって総1200人が参加した。

5千人が転出

 2011年度、サハリンへの転入者は8913人。その中の2313
人は永住居住申請者、6600人が9カ月以上の滞在者。反面、転出者
は9093人、その中の5093人が永住居住者、3316人は臨時滞
在者であった。

サハリン作家たちの展示会

 さる22日、ロシア美術家同盟サハリン支部展示館でサハリン出身美
術家らの作品展示会が開かれた。画家、彫刻家らの作品50点が紹介さ
れた。

朝鮮美術品展示会

 2月24日〜3月11日までサハリン州立美術館で朝鮮民主主義人民
共和国の美術作品の展示会が行われている。ナホトカ駐在朝鮮民主主義
人民共和国総領事館主催の本展示会には刺繍や貝殻で作った作品など8
0点が展示・販売されている。

ロシアの立春

 さる26日、ユジノサハリンスク市ガガーリン公園で4500人の市
民が集って「マスレニチャ(立春)」を盛大に祝った。昔の伝統に従っ
て稲で作った大きいな人形を燃やして冬に別れを告げた後、マスレニチ
ャの料理「ブルイヌイ」を食べながら春を迎えた。

<今週のTOP写真>
26日、春を告げる「マスレニチャ」を楽しく迎える市民たち。
(撮影:李・イエシク)
http://blog-imgs-32-origin.fc2.com/c/o/f/coffeebraek/120302sekoryo.jpg
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本」>>>
         引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆ロシア大統領選関連ニュース



◆日本関連ニュース
◇ハバロフスク日本総領事;地震の際のロシアの援助にあらためて感謝
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_02/67298308/

◇日本の建築家 地震対策のために宙に浮く家を開発
ロシアのマスコミでは、日本AIR断震システム株式会社が開発したエ
アー断震システムについて幅広く報道されている。同システムは、地震
の際に空気を送り込んで家を浮かせるというもの。
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_01/67271403/

◇3月31日(土)東京でVOR日本語放送開始70周年記念パーティー開催!!
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_01/67200208/

◇日本 シリア人道支援 300万ドルの資金協力
http://japanese.ruvr.ru/2012_02_25/66866319/
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◆[編集長から]              片山通夫
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  来週の日曜日が3月11日。あのおぞましい3・11東日本大震災か
ら一年。改めて、犠牲となられた方々のご冥福を祈り、一日も早い復興
を願うものである。   合掌。

 昨年12月、野田総理は福島原発の「収束宣言」を出した。まさに「
政治的判断」でしかない。単に「冷温状態を保っている」だけだという。
それも温度計の故障などで、国民をあわてさせた。また、ここに来て(
つまり一年も経ってから)班目春樹・原子力安全委員長は1日、衆院予算
委員会で、参考人として、震災翌日の3月12日から「メルトダウン(炉
心溶融)が進んでいる認識をはっきり持っていた」と明かした。(朝日新
聞)
 なにをかいわんやである。斑目委員長は「政府の対応を批判した」と同
紙は伝える。情報を隠匿されていた国民こそ良い迷惑だ。よく言われるよ
うに我々は「その程度の政府や政治家しか持てない三流国民」なのかと嘆
くしかないのか・・・。

 野田総理は「立地自治体の承諾の上で再稼動したい」と話す。無論スト
レステストを実施した上での話だ。野田総理の「収束宣言」はこの流れを
作るための布石だった。そういえば敦賀市長は公費でカニを政治家に送っ
たという。市長は再稼動を目指す一人である。
 関西電力は「春も節電を利用者に要請する」という。電力が不足するの
は眼に見えているそうだ。

 ところで東京電力の株主の東京都、関西電力の大阪市などは、原発を直
ちにではないが止めるという株主提案を総会で行うといわれている。
 果たして本当に提案するのか、これは各自治体首長の考えを知る良いバ
ロメーターだ。

 何はともあれあれから一年。地震や津波、それに原発事故で人生設計が
まったく狂ってしまった人々がいる。「三流国民の意地」を見せるときだ。
 政治に任せておけるほど、事態は甘くない。政治に頼ることを考えずに
「政治を動かす」ことを考える必要がある。
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発行     2012年3月6日   No.508
編集・発行  609studio Michio Katayama
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