メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.481◆現代時評「原発崩壊・自衛する市民」  2011/07/12


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【609 Studio 】メール・マガジン 2011/7/12  No.481
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 フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。ロシア唯一の韓国語
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◆現代時評「原発崩壊・自衛する市民」:片山通夫

◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:休載

◆ロシアの話題・事件

◆編集長から

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◆現代時評「原発崩壊・自衛する市民」:片山通夫
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 放射能の量を測るための線量計が今、もてはやされている。東京電力
福島原発が水素爆発を起こしてから、筆者も取材に行くために線量計を
探した。それまで手に入れることすら考えてみたことがなかった計器で
ある。

 まず、インターネットで調べてみた。4月初旬のことである。結果を
先に書くと全くなかった。インターネット上では「政府が販売を止めて
いる」とか、「東電が買い占めた」といううわさが流れていたが、これ
は単なる噂だったのかもしれない。
 思い余って知り合いの医師に聞いてみたら「ある」という。なんでも
「レントゲン室からの放射線漏れをチェックするために」常備していた
という。さっそくそれを借りることにした。形状はいま使われている体
温計を太くした様なものだ。

 「こんなモノで測れるのか」と思った。プルトニュウムは無理だが、
セシウムなどは計測できるという。デジタルの表示で単位は「マイクロ
シーベルト」である。実を言うとこの「マイクロシーベルト」なんて言
葉もこの時覚えた。ついでに書くと、「ベクレル」という単位もある。
土壌などに含まれている放射線量を表す単位だそうだ。筆者などは「レ
ントゲン」という単位や「キューリー」という単位を学生時代に聞いた
覚えがあるだけで全くわからない。

 一寸学習してみた。「ベクレル」と「シーベルト」を簡単に説明する
と、放射能の強さを表す単位がベクレルで、放射線を受けた影響度をシ
ーベルトで表示するというもの。つまり、放射能の強さ(ベクレル=Bq)
は、放射性物質の量を表すために用いられ、その放射性物質から受ける
放射線の量をシーベルトで表す(らしい)。

 いま、福島県内のみならず、栃木県や東京都、茨木、千葉など関東圏
の人々は「不安の中で生活している」ようだ。筆者の知り合いだが、千
葉から子供と母親を関西に避難させると話していた。東京新聞によると
、栃木県では「計測器(線量計)の無料貸し出し」に要望が殺到してい
るという。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20110708/560248

 市民が自衛しだした。10日の同紙には「『ホットスポット』子育て
不安解消へ 放射線量低減 自治体が本腰」とあって、千葉県北西部の
東葛地域では自治体と住民が自衛に乗り出したようだ。

 また、ツイッターなどを見てみると、福島県は無論関東圏でも野菜、
牛乳、肉類など食料品一般の安全性に対する信頼が薄れてきているよう
に感じる。それが単なる噂なのか、事実なのかは分からないが。なかで
も特筆すべき内容は「ガイガーカウンターをスーパーマーケットに備え
つけてほしい」という書き込みだ。なんでも「物を測るカウンターは、
25万から30万円以上もするので個人では買えないし、商品を買って
から自宅で測っても」という理由だそうだ。

 以前にも書いたが、筆者はチェルノブイリを取材したことがある。も
う20年にもなる。あの時代は、インターネットなどという便利なもの
が世に行きわたっていなかったが、今は違う。即座に日本中の、いや世
界中から情報を集めることができる。市民は政府や東京電力の発表する
データを信頼に値しないと判断すれば、インターネットで、世界中から
「信頼できる情報」を集め、その情報が拡散する時代である。

 信頼できない「官制情報」は市民が集めた情報の前に、時として「後
追い確認」を余儀なくされる時代だということを、政府はもとより、政
治家、東京電力、それにマスコミも肝に銘じておくべきだ。

市民は自衛しているのだ。
しかし「線量計のいる生活」なんて情けない時代になったもんだ。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:休載
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 訳者が夏季休暇のため、届いておりません。
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◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本」>>>
         引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆ロシア 今も南クリルでの日本との共同開発に期待
ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェヴィチ報道官は7日「ロシア
政府は、南クリル周辺の資源を日本と共同開発する可能性は保たれてい
る」との期待感を表明し、前原前外相が、モスクワでラヴロフ外相と会
談した際、このテーマに触れた事に注意を促した。
http://japanese.ruvr.ru/2011/07/08/52964602.html

◆ナリシキン長官:露日対話は堅調に発展
http://japanese.ruvr.ru/2011/07/04/52746710.html

◆9月にオバマ大統領を訪れるのは誰か?
 日本の菅 直人首相は、首相の座を維持する戦いにおいて、現在のとこ
ろ敵に勝っている。
http://japanese.ruvr.ru/2011/07/04/52765401.html

◆ロシア 日本へのエネルギー資源輸出を増加へ
http://japanese.ruvr.ru/2011/07/05/52790958.html
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◆[編集長から]              片山通夫
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 ストレステストという耳慣れない言葉が出てきた。原発のチェックだ
そうだ。菅首相が言い出した。海江田経済産業相は「聞いていない」と。
しかし、一応そのテストを全原発で行う事になったと聞く。

 およそ、人間の作ったもので「絶対」なものなんてありはしない。そ
れがあたかも存在するような「神話」をまき散らせてきた結果が、今の
福島である。それでもまだ経済産業省は「安全」だと言い張っていた。
 聞くところによると、業を煮やした菅首相がストレステストを持ち出
したようだ。

 野党や民主党内でも「唐突だ」とか「思い付きだ」と批判が多い。マ
スコミなどもまるで「思考停止したかのように」他党などの口車に乗せ
られて、同じように「菅首相の思い付き」だと責めている。

 落ち着いて考えてみたい。
 確かに「節電の夏」は辛いものがある。経済の落ち込みもあるかもし
れない。しかし、この稿を書いている7月9日現在(もう4カ月になろ
うとしている)でも、福島県南相馬市では「全頭の牛から放射性セシウ
ム 南相馬市の同一農場出荷」(東京新聞)とあり、「南相馬、来週に
も避難勧奨 局地的に放射線量高く」(同紙)という。

 一体、こんな状態がいつまで続くのか誰にもわからない。原発立地に
住む住民はもとより、いつ襲ってくるかわからない大地震におびえなが
ら「第二の福島」を恐れる我々にとって、「絶対安全な原発」なんてな
いことを学んだし、ストレステストであれ何であれ「今ある原発の安全
性チェック」のほうが、はるかに重要ではないのか。

 そんな中、政府のお膳だてで行われた茶番、つまり佐賀県で実施され
た玄海原発の説明会は決して「十分かつ必要な要件を満たした説明会」
ではなかったことは、たった7人の市民からの意見聴取だけで済ました
ことにも表れている。この説明会に「原子力村の姑息な企み」も、おま
けでついてきたことは周知のとおりである。九州電力による「やらせメ
ール事件」だ。

 本当に懲りない(原子力)村人たちだ。
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発行     2011年7月12日   No.481
編集・発行  609studio Michio Katayama
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