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タイトル:609studio No.467◆現代時評「日本の福島原電事故によるサハリン州住民の反応」  2011/03/22


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【609 Studio 】メール・マガジン 2011/3/22  No.467
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 フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。ロシア唯一の韓国語
新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題、投稿、
編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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 東北大震災で被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
また不幸にしてお亡くなりになられた方々のご冥福を衷心よりお祈り申
し上げます。
                            編集部
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◆現代時評「日本の福島原電事故によるサハリン州住民の反応」:片山通夫

◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2011年3月18日号

◆ロシアの話題・事件

◆編集長から
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◆現代時評「日本の福島原電事故によるサハリン州住民の反応」:片山通夫
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 サハリンは、日本に最も近いロシアの島である。彼らはチェルノブイ
リの記憶があるのか、原電の事故に関してはとても敏感である。筆者の
元にもさまざまな問い合わせなどが来ていることは前にも書いた。
そこで、現在のユジノサハリンスク市民の反応などを調べてみた。
大きく分けてー冷静に受け止めている人たちとパニック状態になってい
る人たちがいる。

パニック状態になっている人たちの言っていること。

−ロシア政府は最後の最後まで正確な情報を知らせない。チェルノブイ
リ事件の時も安全だ安全だと言っていたし、何日も事件発生のことを隠
していた。
―被害を受けるのはいつも一般国民のみだ。インタネットではユジノサ
ハリンスク市長をはじめ州議員らも逃げてサハリンにいない。州知事は
逃げてはいないが奥さんと子供達は既に大陸へ避難させてサハリンにい
ない。
―金持ちや偉いやつらは皆逃げている。
―モスクワの知り合いから電話が掛かってくる。「どうしてまだそこに
残っているの?早く逃げなさい!」
―モスクワやシベリヤに行って暫くマンションを借りて様子を見る家族
が増えている。
―大陸への飛行機の切符はもう手に入らない。ビジネス席も既に満席だ。
―大人はどうでもいいが、子供達のことが心配だ。いつ放射能の影響が
現れるか知らないし。色んな病気を患いかもしれない。だから子供達は
逃がすべきだ。急にプーチンがサハリンへ来るのも島から逃げる偉い奴
らの足を留めさせるためだ。プーチンはサハリンで山でスキーにしたり
、釣りをしたいと言っているそうだ。サハリンは大丈夫だということを
アピールするためだろう。しかし、信頼できない、ロシア政府は。
―日本人もアメリカ人も経験がないから分からない。ロシアは経験があ
る。日本人達が冷静でいられるのは放射能の影響についてよく分からな
いからだ。癌などいろんな病気に繋がる。眼に見えないし、いつ発病す
るかもしれないのが怖い。誰も正確な情報を流さない。自力で自分の身
を守るしかない。
―風邪の向きが心配だ。もしも風邪がサハリンの方へ吹いて来るともう
我々はおしまいだ。皆放射能を浴びる。その後は怖くて想像もしなくな
い。
―医者に聞いてみるとヨードとドライ赤ワインが予防にいいという。核
潜水艦に乗っていた兵士達は朝晩食事の際、赤ワインを飲ませた。

ー原電報道があったその日の夜、薬局では既にヨードは売れ切れ、ヨー
ドの飲みすぎで異常を起こし病院へ来る人もいる。
ー知り合いが飛行機の切符を予約しに旅行社へ行くと、順番を待ってい
る人たちが既に63人もいた。

冷静な人たち

―チェルノブイリから150KMしか離れていないキエフの人たちはどう
なっているのか。皆無事だ。大騒ぎすることはない。
―今は大丈夫だが、第5,6の原電になんかあればその時はやっぱり怖
いだろう。
―今年の2月ニュージーランド、3月日本、いつか分からないが次はカ
ムチャッカという学者たちの話がある。サハリンはやっぱり危ない。し
かし、どこに行けばいいのだろう。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2011年3月18日号
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日本政府へ送るサハリン州知事からのメッセージ

次のメッセージはユジノサハリンスク市駐在日本総領事館タカユキ・コ
イケ総領事に伝達した。
「大地震と津波が日本を襲って人命を奪い莫大な被害を与えたという悲
報を聞き、我々は胸が痛くなりました。サハリン州全住民に代わって、
私は遺家族の皆様方に心から哀悼の念を表し、被害者皆様方に慰めの言
葉を伝えたいです。サハリン州は災難復興に出来るだけの援助をする準
備ができていることを日本政府に伝えてほしいです。
        
サハリン州韓人会朴・ヘリョン会長も哀悼のメッセジーを送る

 サハリン州韓人会も全サハリン州韓人たちに代わって、震災と津波の
被害を受けた日本国民に送るメッゼージをタカユキ・コイケ総領事に伝
達した。
メッセージには「自然災難の惨劇を受けたが、日本国民は勇敢にこれを
克服していくことを信じております」と勇気付ける言葉が含まれていた。

サハリン州放射能状態正常

 サハリン州知事は「サハリン州非常事態部が福島原電事故後、定期的
に州内放射能数値を調査している」とTVを通じて知らせるほか、当局
は噂を信じず非常事態部からの情報を信じて欲しいと呼びかけている。

学生のアルコール中毒と麻薬中毒者増加

 さる10日、サハリン州内務局で開かれた座談会「アルコールと麻薬
中毒予防のための政府機関と社会団体との協力」の資料によると、最近
10〜14歳までの少年らのアルコール中毒が増えており、アルコール
と麻薬の摂取したための犯罪件数も多いことがわかった。現在小中高校
生の7割が6年生から喫煙し、上級生らの3割以上が持続的にビールを
飲んでいる。

サハリン公務員平均賃金7.5万ルーブル以上

 サハリン州政府機関と地方政府機関の職員数は昨年末に1万7千人―
連邦政府所属公務員6千人、州政府所属1、700人、地方政府所属3
千人など―である。2009年に比べ連邦政府公務員数は1.8%、州
政府公務員18.1%減少した。2010年度月平均給料水準を見ると
連邦政府公務員46.600ルーブル、州政府公務員76.900ルー
ブル、地方政府公務員43.510ルーブルだった。

ロシア大陸住民らにクリル観光商品販売

 サハリン州観光局によると、今年夏にサハリンの旅行社アミストとオ
メガ・プラス社が旅客船イゴル・パルフトジノフでサハリンークリル間
を往復する観光商品をロシア大陸に住む住民らに販売する。ロシア各地
でクリル島に関する関心が高いのが背景にあるとのこと。

漁獲量

今年2月にサハリン州オホーツク海で取れた魚の量は以下のようだ。
3.3万トンの明太、3.400トンのニシン、30トンのカレイ、1
50トンのコマイ、350トンの海老。

安山市サハリン都市との交流再開検討

 2000年ユジノサハリンスク市とホルムスク市と姉妹都市提携を結
んだ安山市は、市長が変わった後、交流が途切れていた。3月21日、
現安山市庁職員3人が交流再開を検討するために現地調査に訪れた。2
4日まで滞在予定。

サハリン韓人同胞団体代表者会議

 さる15日、韓国赤十字社担当職員4人が出席した中で、第8次サハ
リン韓人同胞団体代表者会議がサハリン韓人文化センターで開かれた。
ロシア・カザフスタンから地域代表8人が参加し、永住帰国や一時母国
訪問、里帰りなど韓国赤十字社が実施している事業の地域別調整や意見
聴取などの協議を行った。会議が始まる前、参加者全員が日本東北大震
災の犠牲者の冥福を祈るため1分間黙祷を奉げた。
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◆ロシアの話題・事件>>>引用元:ロシアの声 http://japanese.ruvr.ru
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 ロシアでもこの度の東北大震災に「深い連帯と救援の意思、募金など
のニュースが満載されています。また刻々と情報は更新されています。

すべてを網羅できませんので、以下のページからご覧ください。

http://japanese.ruvr.ru/

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◆[編集長から]              片山通夫
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  ここ何日か、同原発の事態は緊迫している。水素爆発が起こって建屋
が吹っ飛んでしまったり、冷却水の量が極端に減って燃料棒が露出した
り…。それでも「爆発は起こらない」のだそうだ。撒き散らされる放射
能は「微量」で、「直ちに健康に被害が出る値ではない」という評価が
連発されている。この「直ちに」という言葉に筆者は引っかかる。「直
ちに」でなかったら「じんわりと」将来効いてくるのかなどど要らぬ詮
索をしてしまう。

 また、「福島市では17日に採取した水道水からも放射性のヨウ素が
検出されたが、16日朝よりは低下、原子力災害時の飲食物摂取制限に
関する国の基準も大きく下回っている。東京でもごく微量の放射性物質
ヨウ素131とヨウ素132が検出された。しかし、16日に検出され
ていたセシウム137は、17日午後6時現在、検出されていない」と
朝日新聞の記事に見た。

 この記事でも「原子力災害時の飲食物摂取制限に関する国の基準も大
きく下回っている」との評価だ。実際我々はこのような状況に陥ったこ
とは過去にはない。だから(それだけではないだろうが)十分な知識も
ないので、「おや、そうか」となんとなく読みすごしてしまう。

 筆者が気になるのは「直ちに」と言う言葉だ。いたずらに不安を撒き
散らす気は毛頭ないのだが、官房長官も東京電力もこの「直ちに」を連
発しているとく気がしてならない。筆者の日本語の能力の不足と杞憂に
終わることを願うばかりである。
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発行     2011年3月22日   No.467
編集・発行  609studio Michio Katayama
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