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タイトル:609studio No.455◆現代時評:「北朝鮮はどこへ行く」:  2010/12/07


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【609 Studio 】メール・マガジン 2010/12/7  No.455
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フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。ロシア唯一の韓国語
新聞「セ・コリョ」の日本語翻訳版、ロシアやサハリンの話題、投稿、
編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評:「北朝鮮はどこへ行く」:片山通夫

◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2010年12月3日号

◆ロシアの話題・事件

◆編集長から
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◆現代時評:「北朝鮮はどこへ行く」:片山通夫
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 Ken氏のピンチヒッターで時折書いてゆきます。Ken氏ほどの鋭さはな
いのですが。どうぞよろしくお願いいたします。
さてピンチヒッター第一弾は「北朝鮮はどこへ行く」です。

「北朝鮮はどこへ行く」

 韓国人の知り合いから連絡が入った。北朝鮮が次の攻撃に入るのでは
という危惧がそのメールには書かれていた。またこのメールマガジンに
も掲載しているが、サハリンのロシア系韓国人も北朝鮮の今回の砲撃に
強い危惧を抱いていることが伝えられている。(セコリョ新聞)

 一方ウィキリークスが中国政府高官の北朝鮮観ともいうべき情報を公
開した。そこには「駄々っ子」という表現が使われていたそうだ。しか
し「駄々っ子」という表現には筆者は賛同しかねる。ひとつ間違えば、
人類を破滅させかねない「核」を玩具にするというのは決して「駄々っ
子」どころではない。それは「狂気」というべきものだ。

 そんな「狂気」と共存しなければならない国際社会がとるべき次の行
動は何なのか、全く見えてこないのが現状だ。軍事演習をアメリカを中
心に韓国や日本が参加して行われている。これが北朝鮮への「抑止力」
になり得るのか、北朝鮮が言うように「挑発」となるのかは見えてこな
い。ただ、フセインのイラクが潰滅状態になったような轍は北朝鮮は決
して踏もうとしないだろう。

 そうすると「現状のままのこう着状態」が継続する可能性が高い。つ
まり「核のボタン」を握り、韓国はおろか日本までもその射程に入って
いる「ミサイルの脅威を与え続ける」北朝鮮という図式だ。

 この緊張感は耐え難い。彼の国には食糧難や貧富の差、いやそれ以前
に人権問題など、我々から見ると問題が山積だ。そこには思想が見られ
ない。思想があるとすれば「三世代金王朝とその取り巻き」の延命思想
が存在するだけとしか、見受けられない。

 日米(韓)の展開する軍事演習を見ていると、圧倒的な軍事力に驚か
される。北朝鮮の軍部も政府首脳もあの軍事力の前には、手も足も出な
いかもしれない。いやおそらくそうだろう。そうすれば「ゲリラ戦」と
いうことになる。ゲリラ戦は正規軍が展開するのにはいささか無理があ
るのではないか。つまり、市民がレジスタンスとして、過去に戦ったよ
うなゲリラ戦しかないのではと思うわけだが、あの国の市民が立ち上が
る気配はなさそうだ。彼らに銃を持たせると、その銃口はどちらを向く
のかという懸念があるのだから。

 それはそうと、アメリカは朝鮮半島有事は望んではいまい。なぜなら
イラクでの戦争から離脱はしたが、まだ泥沼のアフガンに参加している。
この上、財政的にも朝鮮半島で本格的な戦争には参加できないだろう。
せいぜい「軍事演習でお茶を濁す、いや、圧力をかける」という行動し
かあるまい。

 このあたりを読み、北朝鮮は盛んに「挑発」を繰り返す危険がある。
まさに「瀬戸際」なのかもしれない。北朝鮮は無論のこと、アメリカも。
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2010年12月3日号
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新空港建設来年スタート

 さる30日、サハリン州議会が「ユジノサハリンスク空港株式会社設
立」を支持する決定をくだした。会社設立の主な課題はユジノサハリン
スク市に新空港建設。サハリン州政府は年間利用客100万人の新しい
国際空港を現空港の北側に建設する予定。空港会社の株は100%サハ
リン州政府が所有し、建設は韓国の企業に任せる。敷地確定など準備作
業が終れば来年上半期に設計案ができ、後半期には建設に着工し、完成
は着工1年後と予想している。同事業の総予算は21億9740万ルー
ブル。

来年中小企業実態調査

 30日サハリン州統計局は記者会見を開き、今年の人口調査実施に続
き、来年は中小企業を対象とした実態調査を行うと発表した。現在サハ
リン州には1万の法人会社と2万の個人企業が登録されており、その半
分はユジノサハリンスク市に所在している。しかし、実際営業を行って
いるのは登録した企業の4〜5割程度と予測されている。統計局はアン
ケートを企業に送るか、調査員が直接訪問する形式で調査を行う。中小
企業法は5年ごとに実態調査実施を定めている。

サハリン税関極東1位

 極東地域税関管理局は先日、圏内今年3・4分期税関収入1位はサハ
リン州税関(12億7618万ルーブル)だと明らかにした。同期間中
対外貿易額は29万375万ドル(輸出90.5%、収入9.5%)。
主要輸出品は石油、天然ガス、海産物、石炭。商品輸入量は昨年より2
万9千トン多い11万7327トン。

サハリン熊冬眠に入る

 サハリン北部地域では11月初め、南部地方では11月中旬頃に熊が
冬眠に入った。クリル列島でも間もなくだ。今年は餌が豊富だったため
に十分食べて冬眠に入った模様。サハリン州当局によると、主にクナシ
リ、エトロフ、サハリン、パラムシリ及びシュムシュなどに約3500
匹の熊が住んでいる。公式的に熊の狩猟は12月31日までだったが実
際は既に終っている。冬眠に入る前険しい熊14匹を探し殺した。狩猟
許可を取って殺した熊の量を今確認中だ。今年の夏にも熊たちは人や家
畜を頻繁に襲撃した。そのため、7月にはオハ地域の71歳の住民が怪
我をし、8月には男性が死亡した。

サハリン同胞、韓半島平和願う

 さる23日、北韓(朝鮮民主主義人民共和国)が韓国のヨンピョン島
を攻撃し韓半島が緊張状態に陥っている。この事態に対して在外同胞界
の主な意見は「北韓は必ず責任を負うべきだ」ということだが、他の意
見もある。即ち韓国は強く対応すべきだという意見と、平和的な解決を
求める意見である。
では、サハリン同胞界の反応はどうなのか。簡単なインタビューを行っ
てみた。
金・セルゲイ(38歳、会社員):本当に遺憾なことだと思う。哀れな
我が民族。政治家らにより一般国民だけが被害を受ける。北も南も理解
できない。北が攻撃して民間人を殺したことは許せないことだ。責任を
負うべきだ。両者が話し合って解決策を探すべきだと思う。

李・キョンザ(50歳、看護師):ニュースを聞いてびっくりした。ま
ず頭に浮かんだことが永住帰国した姉のことだった。北が非人間的なこ
とをやったと思う。私は韓半島の安全と平和を願うのみだ。

金・ホンジ(62歳、サハリン韓人連合会長):二つの国に分断されて
いる民族は世界で我々一つだけだ。北側の度の過ぎた指導者崇拝は既に
知っていることだ。私達は平和的統一を願う。北の資源、南の潜在力が
一つになれば極めて強い国になれるので、攻撃のニュースを聞いて心が
痛んだ。この緊張状態を平和的に解決しなければいけないと思う。

鄭・サンボク(48歳、教育者):民間に死者を出したことは絶対許せ
ないことだ。民族を家族と同様だと思って一日も早く和解すべきだ。「
鯨の喧嘩で海老の背中が破れる」という諺があるが今度の事件は正にこ
んなことだ。政治家達が国民のことを考えて統一へ向かうべきだ。サハ
リンに住む私達には韓国にも、北にも親戚がいる。だから一層心が重く
、痛ましい。

サハリン韓人会長が李・ミョンバク大統領宛に送る手紙

 サハリン韓人同胞らの南北統一と韓半島の平和を願う心はサハリン韓
人協会が李・ミョンバク大統領宛に送った手紙に現れている。それを掲
載する。

「李・ミョンバク大韓民国大統領へ」  
                                 サハリン韓人会長 朴・ヘリョン 

 11月23日の北韓軍の爆撃をロシア(サハリン)同胞らはとても遺
憾に思い、このような事態に対し言葉で表現できないほど痛ましく思い
ます。それ故、犠牲者家族と島の住民たちの被害を痛ましく重い、遺族
の皆様方に心から弔意を表します。サハリン州韓人会代表として、又民
主平和統一ロシア諮問議員として、今度の事態を平和統一念願と和解と
民族の精神に基づき平和的に解決できることを心から願うのみです。民
族間戦争という最悪の状況になることを私達はさけるべきであると思っ
ております。
                                         2010年11月24日
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◆ロシアの話題・事件
            The Voice of Russia http://japanese.ruvr.ru/
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▲西シベリア:オイミヤコンで零下54℃を記録
ロシア連邦構成共和国のひとつ、西シベリアのヤクート・サハ共和国の
ほぼ全域が、零下50℃の寒波に襲われている。
 地球の寒極として知られるオイミヤコンでは、零下54℃が観測され
た。日中でも零下53℃にまでしか上がらず、気象予報官によれば、オ
イミヤコンでは12月4日まで零下50℃の日が続く見込み。
http://japanese.ruvr.ru/2010/11/29/35844305.html

▲NATO ウィキリークス情報漏えい「不法で危険」
北大西洋条約機構(NATO)は民間内部告発サイト「ウィキリークス
」による、ヨーロッパでの米国の核配備に関する外交情報漏えいを、「
不法で危険なもの」であると述べた。イスラエルの「エルサレム・ポス
ト」紙が30日付けで伝えた。
http://japanese.ruvr.ru/2010/12/01/36028120.html

▲プーチン首相:国内選挙に干渉するな 米政治家に対し
ロシアのプーチン首相は、同国の民主主義を批判する米国の政治家らに
対し、ロシアの選挙に干渉しないよう助言した。プーチン首相は米国の
テレビCNNの司会者ラリー・キング氏からのインタビューの中で声明
を表した。
http://japanese.ruvr.ru/2010/12/01/36017414.html

▲露首相 大統領選、メドヴェージェフ氏とともに決定下す
ロシアのウラジーミル・プーチン首相は国際サッカー連盟(FIFA)
理事会に出席した中で、記者会見を開き、12年に実施されるロシア大
統領選挙に関しては、ドミトリー・メドヴェージェフ大統領とともにロ
シアの利益を考慮しつつ決定するとの見方を示した。
http://japanese.ruvr.ru/2010/12/03/36169961.html

▲18年W杯に向け、スタジアム建設進む
http://japanese.ruvr.ru/2010/12/03/36164918.html

▲互いを必要とする西と東
11月23日、朝鮮民主主義人民共和国が韓国に向かって砲撃を行った
その日、日本の自衛隊統合幕僚監部の磯部晃一防衛計画部長率いる代表
団がサンクト・ペテルブルグにある露西部軍管区を訪れた。西部軍管区
のアレクサンドル・フェドテンコフ副司令官との協議では、この日発生
した北朝鮮による砲撃事件も議題に上ったという。
http://japanese.ruvr.ru/2010/11/26/35694855.html

▲東京のロシア大使館に不審な液体が送付
http://japanese.ruvr.ru/2010/12/03/36174026.html

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◆[編集長から]              片山通夫
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 内部告発サイト「ウィキリークス」がめざましい。その注目度がであ
る。例えばロイターが次のように特集を組んでいる。その他、日本のマ
スコミも含めて、このところ連日ニュースにならない日がないくらいだ。
http://jp.reuters.com/news/globalcoverage/wikileaks

 また興味深いのが、ロイターが行っている調査だ。筆者が見た日曜日
の午後には実に62%の人々が「支持する」と答えている。これは単な
る愉快犯ではなく、市民に政治を取り戻すひとつの方法だという考えか
ら来ているのではないか。

 ウナギや米の産地偽装など、企業の犯罪と同じような印象を、市民は
受けているのではと思うわけである。市民の知らない間に、無謀な暴力
が、策略が「国益」という大義名分のもとに行われる時代は、もう通用
しないのかもしれない。それは「戦争のもとでは殺人も合法」という、
まやかしの論理が通用しないのと同じポジションにある。
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発行     2010年12月7日   No.455
編集・発行  609studio Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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投稿     http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
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