メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.426 ◆サハリン余話「呑べぇ再会」他  2010/04/13


─────────────────────────────────
【609 Studio 】メール・マガジン 2010/4/13  No.426
─────────────────────────────────
「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
話題満載! 
─────────────────────────────────
          609studio ウェブサイト   
         http://www.609studio.com/

       オリジナルプリント販売開始 詳細 
   http://www.609studio.com/html/originalprint/index.html


       DVD アリランの流れる島 詳細 
     http://www.609studio.com/html/news-3.html 

       ジャーナリスト・ネット ウェブサイト
        http://www.journalist-net.com/

           ブログ 取材手帖
        http://j-net.obei.jp/katayama/

───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:休載です。

◆[セ・コリョ新聞日本語翻訳版]:2010年4月9日号

◆コラムEYEコラム「なぜ沖縄なのか」13:片山通夫

◆サハリン余話:片山通夫

◆こちらJO3TXK:休載中

◆編集長から

─────────────────────────────────
◆現代時評:休載です。
─────────────────────────────────
 次週をお楽しみに。
─────────────────────────────────
            【PR】

    ◎片山通夫写真集「サハリン」好評発売中!!◎

 写真集「サハリン」が未知谷から発行されています。是非書店
    もしくは609studioでお求めください。
 
         四六判160頁 1600円(税別)
          ISBN4-89642-138-8 C0072

    未知谷 HP http://www.michitani.com/index.html
    または    office@609studio.com
─────────────────────────────────
◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2010年4月9日号
───────────────────────────────── 
<サハリン州投資博覧会特集号―サハリン・クリルは宝の島>

サハリン州投資博覧会のため120人訪韓

 今月14〜15日の両日間韓国ソウルのグランドハヤットホテルでサ
ハリン州政府主催のサハリン州投資博覧会が開かれる。このため、州知
事をはじめ政治家、企業家、マスコミ関係者など120人が公式訪問す
る。公式訪問団の中には10人以上のサハリン韓人が入っている。

中小企業支援予算10億ルーブル

 先日のサハリン州経済発展局の発表によると、州と連邦政府の201
0年度中小企業支援予算は10億ルーブルで、これで3千人が職を失わ
ず、又、2千人が仕事を得ることができるとのこと。

サハリン州知事とのインタビュー
3月30日、ア・ホロシャヴィン州知事は韓国記者団、セコリョ(新高
麗)新聞社、ウリマル放送(韓国語TV放送)と会談を行った。会談の目
的は韓国で開催予定のサハリン州投資博覧会の紹介。そのインタビュー
内容を紹介する。

質:韓国で投資博覧会を開く理由は。
答:サハリン州と韓国間の投資協力交流の拡大を狙っている。昨年、極
東地方知事らやロシア大企業代表らが韓国を訪問したことがある。その
際、李大統領に投資博覧会の開催したいと提案し、大統領は歓迎した。
勿論ロシア側も支持している。博覧会を通じてサハリン州の潜在力につ
いて広く紹介した上抱えている問題解決の出口を探りたい。

質:どうして韓国で。
答:韓国はサハリンと既に経済交流の経験がある。建築や鉱物採取、貿
易、ホテルビジネス関連の100余りのサハリン企業に韓国の資本1億
3300万ドルが既に投資されている。サハリン1.2プロジェクトで
韓国側は幾つかの下請け工事を行った。2009年、韓国との交易量は
30億ドルでサハリン州総交易量の35%を占めた。今回の博覧会に大
企業ガスブロム、ロスネプチが参加し、石油ガスプロジェクトについて
説明会を開く。又、ウゴレゴルスク石炭産業、水産、建設、林業産業の
紹介もします。また、韓国製自動車の輸入についても話しあいたい。
質:現在交流状況に満足しているか。
答:勿論違う。これからだと思う。ゴルフー場建設、観光ビジネス分野
での投資も受ける準備も出来ている。サハリンには3万人の韓国系住民
が住んでいる。私たちは永住帰国事業に積極的に協力しており、二重国
籍問題を解決するために中央政府に協力も要請している。
質:韓国は世界第2のガス消費国で昨年からサハリンからガスを輸入し
ている。今後、油田開発プロジェクトへの参加機会も欲しいと願ってい
るが。
答:多くの国が関心を持っている。しかし、現在進行中のものはもう遅
い。新しい3,4,5プロジェクトは協力社を探しているため機会があ
ると思う。

投資博覧会に参加する韓人企業家

*水産会社「ポロナイ」の徐・チンギル社長:養魚場建設を提案したい
。特に鮭・マスの人工孵化に注力する必要がある。又、海産物の栽培と
加工部門で経験豊かな韓国との協力を進めたい。
*建築会社「サコレンマ」の宋・チャンジン社長:都市建築が専門の宋
社長。20年間サハリン州建築管理局で勤務。2000年に独立し会社
設立。連邦政府の庶民住宅建設事業に参加しており、道路修理や設計な
どを通じて都市美化事業をも担当してきた。海外労働者を雇用し働きや
すい環境作りに努力している。韓国会社と協力事業もやっている。しか
し、韓国建築会社との協力を一層拡大させたい。韓国の発展したデザイ
ンや設計技術を導入したい。サハリンは資源は豊富であるが技術が遅れ
ている。又、現代的な建築材料工場も必要だ。
*有限会社「ガテキツ」のジュ・ファンスン代表:イルクーツクの電子
専門学校を卒業し、電子設備専門家として働いていたが、偶然の機会で
1994年にできたホテル「ナタリャ」の代表に選ばれた。ホテルビジ
ネスは全く知らない分野だったので国内外で研修を受けるほか、独学で
猛勉強した。現在、サハリンに48のホテルがあり、新しい建築が続い
ている。ナタリャホテル建設の際、韓国と協力した。韓国の技術や材料
、家具などを入れた。それから16年立った今も韓国のものは健在だ。
高品質だ。同胞として韓国を誇らしく思う。今後、サハリンと韓国との
交流が一層発展することを期待して博覧会に挑む。

反テロ集会

さる2日、ユジノサハリンスク市チェーホフセンター前の広場でテロ反
対の集会が開かれた。政府関係者、政治家、市民団体、一般市民など7
00人余りが集まった。集会参加者たちはロシア大統領のテロ対策を支
持する決議文に署名した。
─────────────────────────────────
◆コラムEYEコラム「なぜ沖縄なのか」:片山通夫
─────────────────────────────────

 沖縄の普天間基地移設問題が鳩山政権のアキレス腱になっている。沖
縄の声は無視されている。だれも、どこも沖縄に代ってやろうという声
は聞こえてこない。袋小路に入ってしまった。鳩山首相の「腹案がある
」というのはどこだ?

 先月27日、沖縄県うるま市で「うるま市決起大会」が開催された。
うるま市の勝連沖を埋め立て人工島を造る案に対して批判し、猛反対し
た。同大会である婦人団体の代表は「名護市民は海を守りました。今度
は私たちの番です、がんばりましょうね」とやさしく訴えた。(この稿
沖縄タイムス)

 沖縄県民の歴史を正確に認識しなければ、今の沖縄の基地反対運動は
理解できない。戦争で20万もの人々がなくなった。その後、沖縄は長
い間アメリカの統治下にあった。そして今もなお沖縄に基地が集中する
。この間の様々な労苦が沖縄県民を「政治的に目覚めさせた」と言える
のではないか。

 筆者は沖縄を見る時、いつも脳裏をよぎるのは、原発が人口の少ない
日本海沿岸に集中している実態だ。東京や大阪など人口集中市域には(
安全だと言われているはずの)原発はない。海を埋め立てて空港は作れ
てもそこに原発を作るという発想はない。太陽光発電のシステムはあっ
てもである。

 沖縄の基地問題はこの原発の存在と同じように思える。長い送電線を
使って人口集中地域に送電する間に失われる電力は相当量にのぼる。無
駄に電力を消費するよりも、東京湾や大阪湾に原発を作ってはどうか。
おそらく大多数の都民や府民は大反対するだろう。
「なぜ(危険な)原発を人口密集地域に持ってくるのだ」と。
 同じように沖縄の米軍基地は必要悪、つまり日本の安全保障上必要だ
と言われている。核の傘、海兵隊、敵を強襲できる距離は安全保障上必
要だというわけだ。それでも自分たちの住む町にはいらないという。な
ぜいらないのか?危険だからである。沖縄の歴史や現状を見ていてそう
思うわけだ。

 しかしそれは「安全で文化的な生活を享受する国民のエゴ」ではない
だろうか。今更青臭く日本の憲法を持ち出したくはないが、国民は「健
康で文化的な生活を営む権利を有する」はずだ。国は国民のその生命や
財産を侵される危険がある場合絶対にそれを避けなければならないはず
だ。無論日本国民である沖縄県民も含めてである。

しかし「なぜ沖縄なのか」。
─────────────────────────────────
◆ サハリン余話「呑べぇ再会」他:片山通夫
───────────────────────────────── 
 話は前後するが、今日は3月1日。昨日はチリの巨大地震で持ちきりの
一日だった。NHKの衛星放送は一日中津波警報の状況を流していた。

閑話休題、ボクには親友と呼べる男たちがユジノサハリンスクに住んで
いる。一人は韓国語新聞の写真記者で、今一人は画家だ。いずれも韓国
系ロシア人。あまり微妙な言い回しの言葉は通じないが、いわゆる日常
会話というのには不自由でないところが面白い。

slideshow>>>http://609studio.com/lee/nombe.pdf

昨日彼らと午後3時から飲みだした。酒は無論ウオッカである。肴は鰊を
酢でつけたもの、サラミソーセージ、チーズなど簡単なものである。

話の内容はたわいの無いことばかりだ。そんな話のなかで画家がこうい
った。
「夏にイルクーツクへ行く」
彼の出た大学で絵画展があり、彼も4点の作品を出品することになって
いるそうだ。
イルクーツク。シベリアの町の一つでバイカル湖のほとりにある町。
その昔、大黒屋光太夫はこの町に長く逗留し、当時の首都サンクトペテ
ルブルグへ向かったというその町である。

画家がつぶやく。
「イルクーツクも古い町並みがだんだんなくなってきた。取り壊されて
いるのだ。写真を撮るなら今のうちだ」
ロシア帝政時代の町が残っているという。
その言葉に写真記者が敏感に反応する。
「イルクーツクばかりではない。どこもそうだ」

「夏?皆で行こうか」
酔った勢いでボクがこういう。
酔眼の向こうで写真記者がうなる。
「イルクーツク?夏?」

実はボクは写真記者に以前から「真冬のヤクーツク」へ連れてゆけと話
していた。何でもマイナス60度にもなるというシベリアの町だ。彼は
何度も「いやだ。寒すぎる」と取り合ってくれなかった。
それが「夏、イルクーツク」だと話が違うようだ。
「行こう」
「そうだ。皆で行こう」

画家と写真記者が盛り上がる。
「泊まる所は任しておけ。大学の寮がある」と画家。
「俺は新聞社に言って出張扱いにする」と写真記者。
「俺は・・・。安く泊まれるのなら良い」とボク。

夜は更けてゆく。もう10時。

3月のサハリンはまだ真冬だ。
マイナス20度近い氷の町をトボトボと歩いて帰った。
今夜話した内容は明日まで覚えているか心もとない。
呑べぇの再会の話。

註:「呑べぇ」は日本語をそのまま使っているいわば国際語?
「津波」と同様。 

「ロシアレンズがむせび泣く」

写真記者はボクと同じでカメラが好きだ。今回(2010年3月)この
町にボクが来る前に「カメラが欲しい」と書いたインターネットのボク
の記事を読んでいた。

「あのカメラ買ったの?」
久々に会うなりこう聞く。
一瞬ボクは何の話かわからなかったが、すぐに理解した。
「これだ」
カメラバッグから取り出したのは、件のオリンパス。
おもむろにボクから受け取り、シャッターを切る。
何度かシャッターを切ってから
「ライカレンズは?」
このカメラの優れたところは、アダプターが豊富で様々なレンズを装着
できるところだ。
ボクは静かに、しかし得意げに一本のレンズを取り出した。
ライカ・ズミタール、沈胴式でコンパクトなF2という明るいレンズ。
無論ライカLマウント39mmのアダプターを取り付けてある。

すると彼は自分のバッグから一本のレンズを取り出した。
ジュピターというロシアのレンズだ。これも50ミリF2。
このレンズをアダプターを介してカメラに取り付ける。
そしてシャッターを切る。

おっと、オートフォーカスではなかった。
ピントを合わせて・・・。
慌てるなよ。
すぐにオリンパス・ズイコーレンズで同じ被写体を撮影してプリント。
ズイコーはそれなりのシャープさを保っている。
一方のジュピターはふんわりとした感じに出来上がった。
ロシアのレンズがここに蘇った!
ボクは写真記者と固くて熱い握手を交わした。
「これだ。このイメージが良い。ロシアレンズは良い味だ」
写真記者はうなった


彼はこのカメラがとても良いとしきりに話す。
ストリート・フォトを撮るのに使えると言うわけだ。

このカメラ、無事に日本にもって帰れるかしらとちょっと心配になって
きた。 
─────────────────────────────────
◆こちらJO3TXK:片山通夫
─────────────────────────────────
 都合で休載します。
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              片山通夫
─────────────────────────────────
  春ですね。もう四月も半ば近くになりました。

しかし今週のキーワードは「絶望」

 「たちあがれ日本」という政党が出来た。なんとなく新政党にしては
新味に欠けるメンバー。これじゃ立ち上がれん・・・・。

 キルギスで政変。死者も出ていると外電が伝える。
チューリップ革命は何だったのか?

 カチンの森近くでポーランド大統領一行を乗せた航空機墜落。
まさか「ロシアの陰謀」ではあるまい。カチンの森事件70周年に。

 バンコクは燃えている。死者も。ここも内乱の様相か?

 普天間移設問題で政権立ち往生。5月決着は絶望的…。
─────────────────────────────────
発行     2010年4月13日   No.426
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020
mailform http://www.609studio.com/html/mailform.html         
website    http://www.609studio.com
投稿     http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
購読 購読解除は websiteへ

           ◇禁・無断転載◇
─────────────────────────────────

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。