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タイトル:609studio No.425◆現代時評:「両者両様の侍(さむらい)亀井と、鳩山」  2010/04/06


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【609 Studio 】メール・マガジン 2010/4/6  No.425
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
話題満載! 
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「両者両様の侍(さむらい)亀井と、鳩山」  Ken

◆[セ・コリョ新聞日本語翻訳版]:2010年4月2日号

◆寄稿「徒然のサハリン「パスハの日」:オリホヴィク 美香

◆コラムEYE「日本経済新聞電子版に思う」:片山通夫

◆サハリン余話:片山通夫

◆こちらJO3TXK:休載中

◆編集長から

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◆現代時評:「両者両様の侍(さむらい)亀井と、鳩山」  Ken
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 ◆◆ アサヒコム 2010.3.31 鳩山由紀夫首相は30日、郵政改革
案についての閣僚懇談会で、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額(1人あた
り1千万円)を2千万円に、かんぽ生命の保障限度額(同1300万円
)を2500万円に引き上げることを決めた。限度額引き上げには、仙
谷由人国家戦略相ら閣内に異論があったが、首相は亀井静香郵政改革相
と原口一博総務相がまとめた郵政改革案を了承した。

■■ 第一次小泉内閣が成立したのはちょうど10年前、2001年4月
のことだった。 小泉内閣第一の目玉商品は郵政民営化で、それは紆余
曲折の後、ともかくも実行にまで漕ぎつけた。 もっとも単細胞アタマ
の小泉氏としては、当初必ずしも郵政を資本的に解体するつもりはなく
、彼がニュージランド旅行中に見た郵便局で切手やはがきを売る傍ら、
文房具や簡単な食品雑貨類も売るという、いわばコンビニ併営郵便局を
イメージしていたに過ぎなかったらしい。

■■ それが、竹中という米国かぶれの経済学者を軍師に頼んだため、
ことがあらぬ方向に進み、それがついには簡保の民営生保や郵貯の民営
銀行化に移行し、ならば郵貯300兆円の国民資産が米国資本にタダ取
りされるとの風評まで飛ぶ始末となってしまった。 そして新自由主義
の名の下、不採算の地方郵便局などはとうぜん閉鎖され、田舎に住む老
人連中の生活便益はどうなるか、という国民的心配にまで発展したので
あった。 ことの成り行きの恐ろしい典型である。

■■ その盲点を衝いたのが亀井という警察官僚上がりの超こわもて議
員であった。 彼は能力も信用もあるものの、その硬派的風貌と物言い
で、選挙区でも中央政界でもやくざ同様に恐れられてきた。 その亀井
静香が連立与党から鳩山内閣に入閣し、小泉・竹中大臣が努力のすえ成
功した郵政民営化を、こんどは完全に覆してしまったかに見える。 じ
じつ、鳩山連立政権になって以来、めぼしい行政上の改革といえば亀井
氏が担当する郵政の国営復帰だけで、その後はおカネのばら撒き行政に
過ぎない。 

■■ いまになって考えると、郵政の国営復帰は亀井氏が入閣すればと
うぜんそうなる話であったのに、つい国民も鳩山内閣もうっかりしてい
て、そこまでことが急に進捗するとは予想していなかったのではないか
。 しかもそれは単に小泉以前の状態に戻るというだけでなく、郵貯2
000万円、簡保2500万円の限度引き上げというおまけがついてき
たのだから、商売仇きの民間銀行や生保が慌てるのも無理はない。 

■■ ことここに至って、亀井氏の持つ行動力と政治的実力を、我々は
再度如実に見せ付けられることになる。 もともと亀井氏は総理に擬せ
られたこともあり、それだけの実力と見識もあったのに、それに比例す
る多数決社会における集票力が無かっただけで臍を咬んでいたのであっ
た。 あるいは、彼のこわもて風貌が災いしていたのかも知れない。
 ところがそれが、今回の亀井大臣による鳩山連立内閣の郵政再国営へ
の政策転換として、思いがけず軌道に乗ることとなった。 

■■ このたびの彼の郵政転換への道程は、先ず彼が連立内閣参加と同
時に郵政問題担当大臣の椅子を所望し、それが少々迂闊な民主党により
叶えられたことが出発点になりあとは一瀉千里、あれよあれよという間
に郵政は元通りの国営に戻ってしまった。 その上、郵政事業健全経営
のためと称して郵貯と簡保の限度枠拡大を鳩山首相に同意させてしまっ
た亀井の政治力は鮮やかであった。 まこと亀井大臣としては、これで
わがこと半ば成れり、である。 この辺りの亀井の豪腕ぶりを見ると、
とてもでないが姑息な策略家小沢一郎などの比ではない。 もはや首相
の座など望むべくも無い小沢幹事長を差し替えて、亀井大臣を次の首相
候補として再登場させるチャンスが来たのではないか。

■■ 彼、亀井のいわゆる「こわもて」だけは頂けぬにしても、彼の力
量を見直すため、過去の彼の政治上の主張をレビユーしてみて今更なが
ら驚いた、まったく非の打ち所がないのだ。ためしにWikipediaを見よ。
 いままで彼が何に賛成し、何に反対していたかがよく解る。 臓器移
植法採決棄権、公共事業見直し削減2兆7000億円、死刑廃止議員連
盟会長就任、郵政民営化反対、外国人参政権反対、夫婦別姓反対等々、
彼が常々言うところの「保守本流」そのもので、いちおう常識的ですべ
てに筋が通り、見かけの悪人面(あくにんずら)で損をしているだけの
ようだ。 しいて言えば進歩的でなく、夢が無いというのが欠点かもし
れぬが、友愛と理想主義に急ぎ過ぎる鳩山首相の対抗馬として、日本の
将来を担う知性をじゅうぶうに備えた立派な首相候補ではなかろうか。 

■■ 亀井大臣は、永住外国人に地方選挙権を付与する法案と選択的夫
婦別姓制度の導入を柱とする民主党の民法改正案について、「国民新党
が反対している限り、絶対に日の目を見させない」と豪語しているそう
だが (wikipediaによる)、おそらく先行き彼はそのつもりで行動するだ
ろう。 それをすでに見抜いた国民の多くは、鳩山民主党のそうした民
法改正案をいまのところ無視しているのではないか。 烏合の衆の民主
党は頼りないし、出来ぬ無理ばかり求める社民党も頂けない。 そして
いつの間にか国民は、連立政権のなかの亀井静香という侍(さむらい)
に、肝心かなめのときの取り仕切りを期待しているのではないか。 

■■ さてその亀井に郵貯2000万円、簡保2500万円の限度増枠
をあっさり認めた鳩山首相のことである。 はじめ菅副総理と仙石行政
刷新大臣が郵貯・簡保限度の増枠に反対したとき、ボクは、首相は「昔
の大野伴睦流でいく」と思った。 大野伴睦という池田内閣時代の大物
領袖は優れた常識家で、何ごとも「足して2で割る」主義であった。じ
っさい当時の政策はそれでほとんどうまく進み、世間これを「大野伴睦
(伴睦)流」と称した。大野伴睦の銅像は新幹線岐阜羽島駅前にある。 

■■ 今回の、郵政の国営へ回復の話もだいぶ煮詰まり、あと限度枠を
いくらにするかを誰かに一任するとなれば、普通なら当然のこと足して
2で割り、亀井大臣の言う金額と現行枠との中間ですんなり納めるのが
常識というものである。 だから首相もおそらくそう言うと、ボクは思
った。

■■ ところがそうしたボクの常識は簡単に崩れた。なんと、鳩山首相
は亀井大臣の主張通りの満額、2000万円と2500万円に裁定した
、これは驚きであった。普通の人なら中ほどの1500万円と2000
万円くらいに裁定すべきところである。 それをしれっとして満額回答
する鳩山首相の神経、見識は常人並みではない、非凡というべきか世間
知らずと言うべきか。 とにかく、右顧左眄なしの冷徹な人物の裁定で
ある。 鳩山は世間普通の人物ではない、とボクはこの一事で再び思い
知らされた。 ならば彼は、やはり首相の器ではなかろうか。 

■■ もっとも、別の考え方もある。 昔、社会党党首に河上丈太郎と
いう有名な政治家が居た。 その人が言うのに、「敵に河野一郎という
恐ろしい人がいて、その人に目の前で睨まれると、私は恐ろしくて声も
出せない。 男として腑甲斐ない話だが、これは生理的現象だから如何
ともし難い」と。 河野一郎は河野洋平の父、河野太郎の祖父で、自民
党きっての「こわもて議員」であった。 いわばいまの亀井静香議員み
たいな人である。 

■■ 今度の郵政問題について、鳩山首相が事前に「郵貯2000万円
、簡保2500万円に限度額を上げるが依存はないね」と亀井大臣から
差しで一声掛けられ、ブルドッグのような顔で睨まれたら、「ハイ、結
構です」と、つい心にもない返答をしてしまうような場合も無いとは限
らない。 たとい鳩山家御曹子の首相でも、面と向かって亀井大臣に楯
突くのが生理的に難しい場合もあるだろう。 大臣・大将と謂えども、
それが人間の性(さが)である。

■■ がしかし、今回のように「郵貯・簡保の上限限度額は首相一任」
との閣議決定ならば、たとい前もってどのような現質を与えておいたに
しろ、「じゃ、仲を採って1500万円と2000万円にします」言え
ない筈はない。 それを敢えて、亀井大臣発案通りに2000万円、2
500万円と言い切るからには、鳩山首相なりの考え方、腹の括りよう
があった、と考えるのが妥当なところである。 ならば、鳩山もなかな
かの曲者(くせもの)と見て間違いない。 穏やかな坊ちゃん面をしな
がら、鳩山由紀夫氏もまた侍(さむらい)とボクは見る。

■■ いまの連立鳩山内閣には、これからどうしても通り抜けなければ
ならない難所がある。 それは今までに思いも及ばなかった超大型財政
投入による超大型景気振興策であり、それは書生議論ばかりの民主党議
員内閣の常識では遂行し難しい。亀井、鳩山の二人が本気で肩を組み、
初めてダイナミックな財政投融資、景気振興策が実現すると、ボクは思
っている。 でなく現状のままでは、わが国のデフレはとうぶん収束し
ないだろう。 願わくは亀井大臣と鳩山総理、この異能の侍二人が以心
伝心呉越同舟、心をあわせて日本経済の難局を乗り切って欲しい。
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◆寄稿「徒然のサハリン「パスハの日」:オリホヴィク 美香
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Христос Воскрес! 
(フリストス・ヴァスクレス=キリストが復活した!)
Воистину воскрес! 
(ヴォイスティヌ ヴァスクレス=本当に復活した!)

4月4日(日曜日)は、ロシア正教会最大のお祭り、パスハ。日本語で
は復活祭、英語ではイースターと呼ばれています。キリストが十字架に
磔にされ死んでから3日後に生き返ったことを祝うものです。クリスマ
スと違い、復活祭の日は毎年違います。春分の日の後の一番近い満月の
後の一番近い日曜日となります。

マースレニッツァのお祝いの後、敬虔な信者は断食に入り復活祭に備え
ます。復活祭には新しい命が生まれるシンボルとして卵を飾ります。ゆ
で卵に彩色したり、絵をつけたりし、復活祭の朝には「卵ぶつけ(二人
で卵をぶつけて、割れた方が負け)」をしてから食べます。ロマノフ王
家の陶器や貴金属で作られた卵のコレクションは有名です。また、この
日にはクリーチという筒型のケーキを食べます。クリーチは、一年にこ
の復活祭と、その約2週間後にやってくるお墓参りの日(日本でいうお彼
岸みたいなもの)の時だけに売られます。

今年も3日(土曜日)に、日本人教師仲間と日本人の知り合いを我が家
に招き、復活祭の卵づくりをしました。みんな始めての経験で、楽しそ
うでした。夕食後、夜中近くになって、みんなで教会へ。
キリスト教徒である私も、復活祭の礼拝に行くのは初めてのこと。以前
に一度行ったことがありますが、あまりの人の多さに教会に入るのを諦
めたことがあります。真夜中12時に教会の鐘がなり、司祭たちが大きな
十字架や吹流しのようなものを持ち、人々を引き連れて教会の周りを歩
いた後、教会内で礼拝が始まりました。ロシア正教の礼拝は、合唱隊の
賛美歌と司祭のお祈りが交互に入ります。それがやむことなく3−4時
間続くということだったので、私たちは1時間で教会を出ました。ロシ
ア正教会は、椅子がありませんから、立ちっぱなしの長丁場はつらいで
しょうね。(そんなことを言うようでは信心が足りない?)教会内は多
くの人々と皆が掲げるろうそくの火で暑かったです。しかし、教会の鐘
の美しい響きと礼拝の賛美歌とお祈りの調べに、心が洗われたような気
がしました。

午前1時半ころ帰宅して、テレビをつけると、ちょうどエルサレムの聖
墳教会の「聖火の奇跡」の様子が生中継で放映されていました。これは
、キリストが埋葬されたというところに、復活祭の日になると火が送ら
れるという不思議なものです。この火が現れないと世の中に悪いことが
起こると信じられ、この日、この場所には多くのキリスト正教徒が集ま
ります。もう一つ不思議なことは、この火は触っても火傷をしないとい
うことで、テレビでもだれもが手に持ったろうそくの火を触ったり、顔
に近づけたりして確かめている様子が流れていました。採火後、この火
は世界各国の主な正教会に空輸されるそうです。一度、自分の目で見て
みたいものです。
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2010年4月2日号
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サハリン州投資博覧会の紹介

 さる30日、サハリン州ア・ホロシャヴィン知事が、サハリンを訪れ
た韓国の記者団に4月13〜16日間韓国で開催予定の「サハリン州投
資博覧会」について説明を行う会見を開いた。州知事は「外国でのこの
ような大規模行事を行うのは初めてで、これを契機に両側の投資協力交
流が一層拡大することを期待している」と述べた。又、サハリン韓人の
存在が交流拡大に非常に大きな役割を果たしていると指摘した後、ロシ
アや韓国政府に今回の行事が順調に進むように協力してほしいと発言し
た。

地方に地域発展事業案を求める

 3月30日、地方自治体代表らも参加した州政府会議で、州政府は地
方政府に対して、公共料金滞納や暖房対策の不十分、そして具体的かつ
長期に渡る地域発展事業案が欠けているなど問題点を指摘した。又、地
方の文化関連施設の再建と整備、職員待遇改善などを約束しながら、文
化事業により関心と力を注ぐように指示した。

爆発事件

 3月29日、午前7時52分、8時39分と2回に渡ってモスクワの
ルビアンカ駅とパルク・クルトルイ駅で爆発事件が発生し39人が死亡
、70人が重軽傷を被った。地下の駅は破壊されなかった。両駅には追
悼客の列が続いている。政府は被害者や遺族に補償を行う。さる31日
、ダゲスタンのキズルリャル市内務所の近くでも2回の爆発事件が起き
て12人が死んでおり、死亡者の殆どが内務署職員であった。

年金引上

 4月1日からサハリン州住民の労働年金が6.3%(614ルーブル
、社会年金が8.8%(497ルーブル)引上げられる。従って平均労
働年金額は9740ルーブルから1万353ルーブルへ、社会年金は5
646ルーブルから6142ルーブルへと引上げられる。

アエロフロート航空の慈善事業で

 ユジノサハリンスク空港によると、ロシアのアエロフロート航空が戦
争勝利65周年記念慈善事業として戦争老兵と戦時中収容所生活を経験
した人々が戦地や収容所を尋ねる場合、無料の航空券を発行するとのこ
と。アエロフロート航空が9年前から行っているこの事業により今まで
3千人が戦地を訪れた。

建設やインフラ調整予算134億ルーブル

 3月29日のサハリン州政府会議で、2010年サハリン州における
建設や社会インフラ調整のために134億ルーブルの予算が策定されて
いることが明らかになった。州政府と連邦政府はサハリン及びクリル列
島の社会発展特別プログラムの予算として州政府が85億、連邦政府が
49億ルーブルの予算を投資することにし、住宅建設や運輸、エネルギ
ー関連インフラ、教育、医療関連部門施設や設備の現代化に力を入れる
ことを決めた。

市政策に対する抗議集会

 3月28日、ユジノサハリンスク市内で200人余りの市民が集まっ
て、「氷の宮殿建設」に反対する集会を開いた。ユジノサハリンスク市
政府は市の東南地域に氷の宮殿を建設する計画を発表したが、建設予定
地の木の伐採に反対する環境保護団体と市民たちの生活を優先してほし
いと願う市民らが集って、20億ルーブルの予算が費やされる娯楽施設
の建設の不当性を訴えた。集会参加者らはこの建設事業に反対する1千
から署名を集めており、これを大統領宛に送ると発表した。

韓国の医療観光説明会

 3月31日、ユジノサハリンスク市内でウラジオストク韓国観光公社
と韓国の病院関係者ら20人が共同で韓国の医療観光事業説明会を開い
た。主催側は韓国の病院や治療法など医療実態についての説明を行った
。観光公社によると、今年3月29日、ウラジオストクに韓国医療観光
情報センターが開設され、今後定期的に医療セミナーを開催する他、医
療関連情報の提供及び相談などで両国の交流を活性化・拡大化している
方針である。

ミニインタビュー:「露・韓国交樹立で貴方はどんな影響を受けました
か」=露・韓国交樹立20年となる今年。この歴史的事件がサハリン韓
人らの生活をどう変えたのか聞いてみた。

・イム・ミョンオク(52歳、市教育管理局職員):歴史的祖国を知る
ことができた。自由往来、文化交流ができるようになったから。母国語
研修に参加したこともあり、息子はサハリンで伝統音楽を学べることが
できた。経済交流もあり、良質の韓国製品をサハリンで買えるようにな

った。海外同胞として韓国の発展が誇らしい。
・李・セルゲイ(19歳、大学生):考えたことはない。しかし、今両
国は非常に良い関係だ。韓国の商品が沢山入っており、又ロシアから韓
国へ資源が輸出されている。IT分野で韓国が進んでいる、そして、豊
かな国だと聞いている。韓国語を学びたいが時間がない。韓国語を習っ
て永住帰国した祖母に会いに行きたい。

・金・チョンフン(61歳、年金生活者):如何に意味深いことか。長
い間祖国と不通関係にあったサハリン同胞たちには限りなく嬉しいこと
だった。こんなに自由に往来できるとは夢にも思っていなかった。昨年
4歳の孫が韓国へ行ってきては又行きたいと言っている。1世は祖国へ
帰れたし、若者は歴史的祖国を見に行くし。又、韓国から伝統文化を教
えに講師らが来てくれているし。嬉しいばかりだ。

・朴・ヴィクトリア(44歳、会社員):国交のない両国を想像するこ
とが難しくなった。両国の交流が深まって今サハリンではロシア人の家
でも韓国産の商品が溢れている。発展した祖国にフライドを感じる。

・ソ・インス(49歳、会社長):肯定的影響のみ。何回も韓国へ行っ
てきた。息子を留学もさせた。歴史的祖国だからか韓国をとても近く感
じる。

・イム・エルビラ(36歳、サハリン国立大学韓国語科長):私の人生
に大きい影響を与えた。両国の関係がよくなると予測して91年韓国語
科に入学した。この選択は正しかった。

白雪祝典

 3月28日、ユジノサハリンスク市のスキー場で第16回白雪祝典が
開かれた。今年の祝典のスローガンは「何でも買えるけど喜びはお金で
買えない」であった。冬のスポーツを楽しむ200人余りに市民が参加
して雪合戦など多様なゲームで親睦を深めた。
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◆コラムEYE「日本経済新聞電子版に思う」:片山通夫
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 日本経済新聞が電子版の有料を決めた。月額4000円だという。日
本では新聞のWeb版はほとんど無料だ。果たしてうまく行くのかどう
か? 
 先にオーマイニュースやJanJanが経営がたちゆかなくて閉鎖・
休刊になった。

 原因は様々あろうと思われるが、結局「Web新聞は無料」という足
かせや、広告収入の減少があげられる。Webサイトで、我が国の新聞
社が安易に「無料サイトを立ち上げた」結果、「新聞は無料」という悪
弊を作ってしまったことが大きい。この状況の中で、日本経済新聞が月
額4000円もの莫大な?費用を負担する読者を確保できるか否か、他
の新聞社はもちろんテレビ局も固唾をのんで見守っていることだろう。

 そこで提案だが、一度一斉にとは言わないが「すべてのWeb新聞に
類するサイト」を休刊しては如何かと思う。おそらく無理な注文だろう
とは思うが、リセットする必要がある。その上で「有料で」サイトを再
開するのだ。無論Yahoo等のサイトに無料でニュースを流すことも含めて
である。

 決して無料ではできない取材の結果を無料で垂れ流す方がおかしいの
だ。それは例えば携帯電話のサイトで新聞社の記事を読む場合、わずか
だが購読料が発生するバイいと比べればよくわかる。読者はそれが当り
前だと理解しているからだ。
情報は有料であるべきだ。無論価値ある情報という意味いにおいてだが
…。そうでないと、このまま日本のマスコミが委縮すれば、誰が訂正の
批判をするのか?国民にとっても大きなマイナスになることは自明の理
である。 
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◆ サハリン余話「プーチンカとメドヴェージェフ」:片山通夫
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「プーチンカとメドヴェージェフ」

 ロシアの大統領と首相の名前だと言うことは周知の通り。最初大統領
だったプーチンの名前を関したプーチンカというウオッカが発売になっ
た。かなり美味しいウオッカだった。ボクが日本に持って帰る時、税関
の係員は「こいつはうまいウオッカだ。良い選択をした」とほめてくれ
た。 
 何年か経って、メドヴェージェフが大統領になった。早速彼の名前を
とったウオッカが生まれたことは言うまでもない。

 しかし誰もこのウオッカを褒めない。このときも一本持って帰ったが、
税関では何も話題にもならなかった。ウオッカの名前に大統領の名前を
つけるのが流行っていて、仕方がないからメドヴェージェフも作ったの
か、それはわからない。

 ただ、メドヴェージェフというウオッカは決して旨いウオッカではな
かった。こんなところにも「プーチンとの差」が?!

「ロシア人の空間意識」

「ロシア人の空間意識」 こう書くと大層な話に感じられる向きもおら
れるかと思うが、そんな大層な話ではない。

ことの始まりは、昨日(2010年3月10日)午後にトウナイチャ湖
(日本名:富内湖)を通ってオホーツク海へ出かけた時のことだ。トウ
ナイチャ湖の畔で車を降りた。
湖は真っ白に凍っている。まるで雪原。余り写真にならない風景だ。 
「おーい、ウオッカを飲んでゆかないか?」
声のするほうを見るとロシア人が車の陰に座り込んでピクニック気分で
飲んでいる。風をよけるためか、車のドアを開いてその陰で3人が縮こ
まって小さなキャンプ用の椅子に腰掛けている様は、「肩を寄せ合って
暮らしているロシア人」そのままだ。

サハリンのみならず、ロシアでは慢性的に住宅が不足している。これは
ソ連時代から続いていると言う話だ。
一つのアパートの部屋に小さな半畳にも満たないテーブルが置かれてい
るキッチン。流しは40センチ程度の四角又は丸い小さなもの。ガス台
はない。電気だ。キッチンの広さは、5畳か6畳ていど。そこにテーブ
ルと冷蔵庫、流しなどが置かれている。
寝室は大抵一つ。居間にはソファがあり、そのソファが夜にはベッドに
早代わりする。これは決して客用ではない。家族が何人もいればこのソ
ファを夜になると広げて眠る寝室になる。最も我が国でも昼は客でもあ
れば客室で、夜になると押入れから布団を出して寝室に早変わりは珍し
くないか。

客が来て遅くまで居間で騒いでいたりすると、もうそれは落語の「義太
夫」の世界。

ホテルのベッドも小さくて幅が狭い。あの大きな体のロシア人がこんな
小さいベッドで体を折り曲げて(恐らく)眠っているさまを想像すると
なんだかほほえましくなる。
ロシアの住宅事情がそうさせるのか、そんな住宅事情でも平気なのかは
わからない。いや、ソ連時代の名残なのかもしれない…。

そういえば、ロシア人は散歩が好きだ。ソ連時代には、政治的な話は盗
聴の危険もあるので、散歩しながら話すことが多いと聞いた。しかし今
はまったく違う世の中だが、やはり散歩を良くする。サハリンの寒い冬
でも。

あの散歩は広い空間を求めているのだろうかと思うしかない。

ロシア人の空間意識は理解できないというのがボクの印象。
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◆こちらJO3TXK:片山通夫
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 都合で休載します。
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◆[編集長から]              片山通夫
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 すっかり春になったようですが、この記事を書いている4月2日は「
花冷え」と言うのか寒い一日です。ご自愛ください。

 先日、友人数人との飲み会で、こんな話題が。
「中国はあの圧倒的な人口で世界を凌駕しそうだ」
「あの圧倒的な人口で『魅力ある市場』になっている」
「なにしろ我が国の10倍からいるのだから」
「とても少子化に拍車がかかっている我が国の状況から『経済大国』な
どを今後目指さず、小さな国になる必要がある。我が国は」
「グローバルな国際状況では、我が国だけが『小さな国』を今更目指せ
ないぞ」
「・・・・」

「こんな日本に誰がした?と言いたいね。今更30年前の生活で国民は
我慢できないだろうし」

 酒の上の話ですが、考えなくちゃ…。
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発行     2010年4月6日   No.425
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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