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タイトル:609studio No.425◆コラム「閉ざされた海に思う」  2010/03/30


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【609 Studio 】メール・マガジン 2010/3/30  No.425
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
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◆現代時評:休載です。

◆[セ・コリョ新聞日本語翻訳版]:2010年3月26日号

◆コラム「閉ざされた海に思う」:片山通夫

◆コラムEYE :サハリン余話 片山通夫

◆こちらJO3TXK:休載中

◆編集長から

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◆現代時評:休載です。
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 次週をお楽しみに。
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2010年3月26日号
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州知事、韓国大使と面談

 さる22日、モスクワ出張中のサハリン州のア・ホロシャヴィン知事
がモスクワ駐在韓国大使館を訪ね、李・ユンホ大使と面談したことがわ
かった。州知事は今年4月中旬ソウルで開催予定のサハリン州投資説明
会の内容を伝えた後、韓国政府の協力を要請するほか、大使を説明会へ
招待すると伝えた。ロシアと韓国の国交樹立20周年を記念して企画さ
れた同行事を通じて、両国又サハリン州と韓国との経済交流の一層の発
展を図りたいと州知事は期待している。

民族及び教会協議会―社会団体の違反事実指摘

 さる18日サハリン州政府傘下組織「民族及び教会協議会」の会議が
開かれ、学校の精神道徳教育政策についての審議が行われた。教会問題
協議会として発足した同協議会だが、近頃は社会団体問題まで事業対象
を拡大させ、民族社会団体を始め諸団体がロシア国内の関連法を守って
いるかどうかも監督している。18日の会議ではサハリン韓人社会団体
の中に活動内容の報告義務を違反するなど法律を守っていない団体があ
るとの指摘があった。

2018年までの極東発展策

 今月22日、モスクワで開催された連邦地域発展省会議で、極東地域
代表らは2013年までの極東及びザバイカル社会経済発展連邦政策の
成功を確信しながら、新たな第2段階の発展政策として2014年から
2018年まで新事業案の必要性を訴えた。連邦省はこれを受け入れ、
2段階発展策の計画を立てることを決めた。

戦争勝利記念メダル2千人に

 ロシア政府は第2次世界大戦勝利65年を記念して、今年3月初めか
ら4月末まで2千個のメダルを関係者に授与することを決めた。メダル
授与対象は戦争老兵、労働前線参加者、戦時中受容所に入れられた子供
たちなど。サハリン州では既に108人がメダルを貰った。

祝典「童話の本」

 19日、ユジノサハリンスク市コムソレツ青年文化センターで、サハ
リン州児童図書館と芸術学校が主催する「童話の本」の展示会が行われ
た。展示会では詩の朗読や優秀な児童読者へ受賞式などもあった。

ヴェ・サンギさん誕生75周年

 18日、サハリン州立図書館でニブフ出身の有名作家ヴェ・サンギさ
んの誕生75周年を祝う集いがあった。文学芸術教育民族など多分野の
関係者が参加した。

最も整備された集落

 「2009年最も整備された集落コンクール」で最優秀賞をとったの
はノグリキ部落。同集落には賞金15万ルーブルが与えられた。集落は
賞金を花壇を調整するのに必要な花の種の購入に使うことにしたとのこ
と。

タンク部品搬出摘発

 先日、コルサコフ港でタンクの部品を韓国へ搬出しようとした会社が
摘発された。調べた所、ユジノサハリンスク駐在のある会社が許可を受
けずタンク部品を韓国へ輸出しようとしたことが明らかになった。

中央アジア民族の春分記念行事

 さる19日、サハリン韓人文化センターでサハリンに住む中央アジア
民族が春分を祝う民族伝統行事を紹介する催しを開いた。キルギズ人団
体はこの3月で設立1周年を迎えた。タタールセンターは開館から4周
年、アゼルバイジャン人団体も設立1周年。現在、キルギズ人1万人、
タタール人7千人、アゼルバイジャン人2200人余がサハリンに住ん
でいる。

学校の給食問題で

 先日、サハリン州教育局は学校の給食問題で会議を開き、昨年の予算
実行報告会を行う他、今年の政府予算額を明らかにした。今年州政府は
1億4300万ルーブルを策定し、低学年と低所得家庭の子供など2万
8千人に無料で給食 を提供することにした。
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◆コラム「閉ざされた海に思う」:片山通夫
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海面は朝の炭酸のためにすつかり銹びた       
緑青のとこもあれば藍銅鉱のとこもある       
むかふの波のちゞれたあたりはずゐぶんひどい瑠璃液だ
チモシイの穂がこんなにみぢかくなつて       
かはるがはるかぜにふかれてゐる
(宮沢賢治「オホーツク晩歌」より)
         
 4444km。アムール川の全長である。源はモンゴル、中国そして
ロシアの国境近くに端を発する。途中、中国・黒竜江省を経て、ロシア
・シベリア管区へ、そして東に向かってオホーツクに注ぐ。河口の塩分
は薄くなり、厳寒のなか、それは凍りつく。

 ▲過日、3月の初めに筆者はユジノサハリンスクから南へ車で一時間
ほど南東へ走ったオホーツクコェという海辺の村にいた。海は凍って真
白である。

 ふと思った。この氷、もとはモンゴルからハルビン、そしてハバロフ
スクを通って、あの尼港事件のあった町にたどり着いたのだと。

▲悠久という言葉が浮かぶ。悠久は時には歴史である。川は歴史を見つ
めて流れる。清朝はシベリアまで進出していた。そのあたりの北方少数
民族は清朝に朝貢していた。その大陸側の民族と樺太アイヌは交易し、
北海道アイヌとも。北海道アイヌは松前藩と交易し、清朝から受けた品
々はこのルートで江戸まで運ばれたという。

▲また凍った海のイメージが浮ぶ。冷戦時代、氷に閉ざされた島は非情
の島だった。いやそれ以前に、ロシアの文豪、アントン・チェーホフの
サハリン島に見られる流刑の島。開拓に湧いた樺太。そして、植民地朝
鮮から来た人々を置き去りにした歴史の島・サハリンのイメージが氷の
海を通して筆者に迫って来る。

▲ふと考えた。この流氷、オホーツクの海を南下して北海道まで行くと
。我が国では「流氷祭り」や「流氷観光船」など観光資源として、もて
はやされている。ここサハリンでは筆者はとてもそんな気分になれなか
った。びっしりと海を埋めた白い氷は人々の生活を脅かす存在でしかな
かった。それはソ連邦がまだ存在していた時代、東西冷戦時代と言い換
えても良いかもしれないが、その時代には、この島は「軍事閉鎖都市」
として、外界から閉ざされたまさに「鉄のカーテンの向こう側」にあっ
た。

▲大韓航空機撃墜事件、漁船の拿捕など忌まわしい事件も時々起ったの
もこの島の周辺海域だった。筆者はこの島に興味を抱いていたのはかな
り昔からだ。「行きたいが行けない島」という状況がそうさせたのかも
しれない。今、筆者の眼の前にある氷の海はそんな昔のことを思い出さ
せる。

▲宮沢賢治が「オホーツク晩歌」を書いたのは、1923年8月のこと
のようだ。賢治は今筆者が立っているところから北へ100キロ余りの
「スタロドゥプスコエ(栄浜)」で、やはりオホーツク海を見つめてい
た。賢治はその浜で「銀河鉄道の夜」の構想を練ったと言われている。
そういえば今年(2010年)はチェーホフの生誕150年。彼も賢治
と同じ浜に立ったと「サハリン島(アントン・チェーホフ著)」に書か
れていた。

賢治が、チェーホフが眺めた海は今筆者の目前で凍ったままだ。
その凝縮された海は何年もたった後にも悠久を教えてくれる。
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◆コラムEYE :サハリン余話「サドン二話」 片山通夫
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 サドンとは韓国語で「親戚」という意味だそうだ。そのサドンにまつ
わる小噺。 

サドンその1
 先日ある男性の70歳のお祝いのパーティがあった。誕生日のパーテ
ィだから親戚が多数出席していた。出席者を紹介する段になって「親戚
の誰々」という紹介の仕方になった。中の一人が「私はサドンではない
」という人がいた。
 すかさず、誰かが「そのうちサドンになるからいいんだ」
 サハリンの韓国人社会の狭さと結婚相手は同族でという考え。

サドンその2
 韓国語ラジオ放送があった。現在休波中だが。その放送の最初に次の
ようなアナウンスが流れる。モチロン韓国語だ。

「皆さん、こんにちは。こちらはサハリンウリマルラジオ放送です」

この「皆さん」だがボクはアナウンサーにこういったことがある。
「みんな親戚みたいな狭い社会だから、「皆さん」はおかしいよ。「サ
ドン」が良いのでは?」 
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◆こちらJO3TXK:片山通夫
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 都合で休載します。
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◆[編集長から]              片山通夫
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 暦の上では春になったようですが、この記事を書いている3月29日
は寒い一日です。ご自愛ください。

 先日、友人数人との飲み会で、こんな話題が。
「中国はあの圧倒的な人口で世界を凌駕しそうだ」
「あの圧倒的な人口で『魅力ある市場』になっている」
「なにしろ我が国の10倍からいるのだから」
「とても少子化に拍車がかかっている我が国の状況から『経済大国』な
どを今後目指さず、小さな国になる必要がある。我が国は」
「グローバルな国際状況では、我が国だけが『小さな国』を今更目指せ
ないぞ」
「・・・・」

「こんな日本に誰がした?と言いたいね。今更30年前の状態で国民は
我慢できないだろうし」

 酒の上の話ですが、考えなくちゃ…。
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発行     2010年3月30日   No.425
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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