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タイトル:609studio No.423◆現代時評:「南ア・アパルトヘイトの今昔」  2010/02/23


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【609 Studio 】メール・マガジン 2010/2/23  No.423
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
話題満載! 
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 3月2日、9日、16日発行予定のメールマガジンは休刊といたしま
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◆現代時評:「南ア・アパルトヘイトの今昔」 Ken

◆[セ・コリョ新聞日本語翻訳版]:2010年2月19日号

◆コラムEYE 

◆こちらJO3TXK:

◆編集長から

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◆現代時評:「南ア・アパルトヘイトの今昔」 Ken
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◆◆ 毎日新聞 2010.2.12 アパルトヘイト(人種隔離)政
策下、政治犯として約27年半にわたって獄中生活を送った南アフリカ
のマンデラ元大統領の釈放から20年を記念し11日、ケープタウンで
国会が開幕した。マンデラ氏が妻グラサ・マシェルさんと共に出席した
。  演説でズマ大統領は「マディバ(マンデラ氏の愛称)の釈放記念
日にあたり、人種間の融和や差別を我々自身の問題として改めて受け止
め、南ア人としてよりよい未来を築いていかねばならない」と国民に呼
び掛けた。 

■■ いま「インヴィクタスINVICTOUS」 という映画が好評上映中であ
る。南アフリカのマンデラ氏が大統領在任中に、弱かった同国のラグビ
ー・チーム「スプリングボックス」を督励し、ついにニュージランドの
強豪「オールブラックス」を下し、1995年度W杯を手にした感動の
物語である。 

■■ インヴィクタスとは、1900年代の英国人ウイリアム・ヘンリ
ーの詩のタイトルで、「不敗・不屈」という意味のラテン語だそうだ。
 マンデラ氏は獄中でつねにこの詩を口にしていたという。「その門が
どれだけ狭くても、そのまま何故罰を受ける必要があるのだ。私こそが
私の運命を決める主であり、私こそが私の魂を導く者なのだ」が詩のハ
イライト部分らしい。主役のマンデラ氏に扮するのは名俳優のモーガン
・フリーマン、現物のマンデラ氏とよく似ていて、映画中に二度だけ本
物のマンデラ氏が俳優の替え玉(?)として出演するが、よほど気をつ
けないと真贋の区別がつかない。

■■ マンデル氏は、出獄後ほどなく大統領に就任し、民族和解・協調
を呼びかけアパルトヘイト体制下での白人・黒人との対立や格差の是正
、黒人相互間の対立の解消を唱え、主導力を発揮した。ノーベル平和賞
も受賞したが、困難であったアパルトヘイトを完全に解消し、それまで
の黒人・白人間、および有色民族相互間の、憎しみと差別を無くするこ
とに努めたことがその受賞理由とされている。 

■■ 映画ではマンデラが大統領に就任し先ず採り上げたのが、先代の
白人大統領の護衛係であった白人ガードマンたちを、黒人ガードマン連
中の反対を押し切って再採用することであった。 黒人たちが白人前任
者たちのかっての横暴を非難するのに対し、何よりも先ず「赦す」こと
からはじめなければ、お互いのいがみ合いは永久に直らない、と黒人た
ちを諭すシーンがひじょうに感動的であった。 

■■ アパルトヘイト(apartheid)とは南ア語で、分離、隔離の意。
 特に南ア共和国における白人と非白人間の人種隔離政策規定のことで
ある。 南ア語、またはアフリカーンズ語(彼らの国語)は、英語とオ
ランダ語、ドイツ語の混ざった簡易英語のようなもので、特徴としてオ
ランダ語風にAAが二つ続いたスペルの文字が多い。 

■■ アパルトヘイトは第二次大戦後の1948年に南ア政府により法
制化され、以後強力に推進されたが、1980年代に至って国際社会か
ら激しい非難を浴び、国連による貿易禁止などの制裁措置を受け経済的
に窮した結果、1991年に最後の白人大統領デクラークが撤廃を打ち
出した。 アフリカ民族会議など開放勢力との交渉の末、1994年に
南ア在住の全人種による総選挙があり、国連による「人類への犯罪」と
して国際オリンピックなどからも追放されていたこの制度は完全に撤廃
された。

■■ アパルトヘイトの実情は風景写真などにより国際報道され、スラ
ムに押し込められたカラード(有色人種)の悲惨な生活として全世界に
長らく伝えられていた。 そしてそれとまったく同じ貧困黒人の住宅地
区の風景は、今回の映画インヴィクタスの中にも何度か現状として映し
出され、果たしてアパルトヘイトが終わったかどうかは、いまなお疑わ
しい風景が我々の眼前に繰り広げられる。

■■ さてそこで問題を提起したい。 南アのアパルトヘイトが国際社
会で俎上にのぼったのは1948年、つまり第二次大戦終結以降のこと
である。 もうそうした人種差別が全世界で表面上撤廃されてから後に
、南アだけがこうしたアナクロニックな問題を起していたのである。
 それは何故か。

■■ つまり、全世界が奴隷制を撤廃した後に、南ア共和国だけがそれ
と似たような強制的身分差別制度を立法化したのだ。 よほどの理由が
なければ、そのような規則を創ったハズがない。 それを考証してみた
い。

■■ じつはボク、マンデラ氏が初代黒人大統領に就任するほんの数ヶ
月前に問題の国南アフリカ共和国のケープタウンを訪問している。目的
は商用であった。 ケープタウンは、背後にテーブル・マウンテンとい
う1000メートルの切り立った断崖の麓にある西欧でも珍しいほどの
美しい近代都市で、南アフリカ共和国の立法府はここに置かれている。
 むろん南は遥か遠く南氷洋に面している。

■■ まず最初、日本でボクが普段親しくしていた大きな旅行社にケー
プタウン行きの航空券を買いたいと申し出た。 ところが、そのころ日
本は国際協調で南アとの通商を自粛していて、ケープタウン行きの空路
は無く、航空運賃も解らず調べようが無いとのことだった。しかし台湾
からは飛行機が出ているはずだから、台北で調べて見よ、という。台北
空港で聞くと、ケープタウン行きは毎週1便あるが、もし安いディスカ
ウント切符が欲しければ週3便を出している香港で買え、という 香港
へ行き、そこで安切符を買い、シンガポール、ダーバン、ヨハネスブル
グ経由でケープタウンへ直行で飛んだ。

■■ さて行く前に調べると、南アは有色人種への差別が激しく、中国
人は有色人種扱いだが、日本人と台湾人は名誉白人扱いだからまあ大丈
夫だろうとのこと。といって、まさか日の丸を掲げてケープタウンのイ
ミグレーションを通るわけでもなし、ちょっと心配だった。が、入国審
査は簡単で問題なく終わり、念のため空港へ到着してすぐケープタウン
最高のイヤリングラフト・ホテルを宿泊予約した。このホテル、帝国ホ
テルなどと同じ予約系列の立派なヨーロッパ式ホテルだった。

■■ ホテルではシルクハットを冠った黒人ドアマンが慇懃に迎えてく
れた。 が、先ずロビーの正面フロントデスクで驚いた。 アメリカ人
らしい若い黒人夫婦客が、白人のひ弱そうな受付に大声の喧嘩調で何か
怒鳴っていて、白人受付がおろおろしている。この分ならば、白人優位
の国とはいうがたいしたことは無いと、ひとまず胸をなでおろした。
 後で調べると、米国黒人もまた名誉白人扱いだそうだった。諸外国か
らの経済制裁の最中で、せっかくの綺羅を飾った大ホテルも閑古鳥が鳴
いていた。

■■ 夕食に客足が少ない地下大食堂へ行くと、ひと目で日本人漁船員
とわかる無作法な若者たちがビーチサンダル姿のまま、傍若無人に喋り
、飲み食いしていた。あまりにも騒がしいので、食堂の係員に、「なぜ
彼らを咎めないのか」と咎めると、不景気の折から上客は日本人船員だ
けなので、相客は騒々しいのをご辛抱願いたいとのこと。同じ日本人と
して恥ずかしい。 が、異国で日本人同士で争うのも気が進まぬし、黙
って食事を済ませた。このときの現地通貨1クルーガーランドが日本円
65円 かっての1ランド300円と比べて、南アの通貨が如何に下落
しているかを知り、道理で日本の下級船員が超高級ホテルで豪遊してい
る理由も分かった。(ちなみに2010年2月、1ランドは13円くら
い。)

■■ 数日宿泊している間に台湾生まれのうら若い女性と親しくなった
。 彼女は2年ほど前からこのホテルに宿泊し、香港製家電の販売網を
全南アに持ち、南ア産のオレンジを台湾へ輸出しているという。土地の
白人セールスマン数人を雇い、毎朝ホテルの自室で販売会議を開き、ボ
クもそれに陪席する機会があった。しっかり者の彼女は白人セールスマ
ンにてきぱき指図をしていて、ここがアパルトヘイトの国であるのをひ
と時忘れさせてくれた。このころ、国連が主導して南ア禁輸を実行して
いたのだが、国連加盟してない台湾は唯一の南アとの貿易相手国だった。

■■ ケープタウンの街へ出ると、欧州の街と変わらぬくらい、という
よりむしろヨーロッパよりも堂々とした美しい街並みが続いていた。
 街路樹でもっとも多いのは松の木で、意外なところで日本に出会った
ような感じがした。 ただし、美しい街にしては物乞いの黒人や、うら
ぶれた白人の浮浪者が目立つ。

■■ ケープタウンの北100キロメートルにあるウエリントンという
町へ運転手つきのレンタカーでドライブしたが、美しい高速道路の両側
にはブドウ畑が延々と続き、途中の高台にはフランドール風のハザード
飾りがついたワイナリー・ハウスがところどころに見られ、そばには白
ペンキと紺屋根の絵のような高級従業員住宅群が並ぶ。 そこで遊んで
いるのは黒人の子供たちで白人の子供は見当たらない。 日本の田舎よ
りもずっと美しく快適そうな住環境である。 遊んでいるのが殆ど黒人
の子供であるということは、あのきれいな住宅の住民もまた黒人たちば
かりか。 では、虐げられているというアパルトヘイトの有色人たちは
どこに居るのか。

■■ それはすぐ判った。絵のようなワイナリー丘陵地帯のところどこ
ろに窪地か谷あいみたいなところがり、そこに破れトタンに廃材利用の
貧民住宅群が有刺鉄線に囲まれて存在する。 むらがり遊ぶ黒人の子供
たちの人相がよくない。

■■ 「あのスラムはいったい誰が住んでいるの」というボクの問いに
答えて混血の運転手が答える、「仕事が無い、というより仕事に就きた
くないおおぜいの浮浪者たちがケープタウンの街中を徘徊し、汚いやら
事件を惹起するやらで市民が迷惑している。その処置に困った政府は、
街を遠く離れたところに定住してくれさえすれば、最低限の生活を保障
する」と、そうした黒人たちに声をかけた。 そして連れて行かれた浮
浪者たち、その殆どは黒人だが、なかには政府の手におえぬ他のカラー
ドや混血たちも混じる。 これ幸いとそうした政府の仮施設に住み込ん
だはいいが、門や厳しい塀もないので、もちろん出入りは自由。気が向
けば彼らは都会に出没し、いろいろな軽・重犯罪を犯し、いまなお政府
を苦しめている」。

■■ 南ア共和国の全人口5000万人のうち、黒人は75%、白人1
0%、混血カラード10%、インド系3%で、白人は英国系とアフリカ
ーナ(オランダ系)が半々、というのが統計である。 端的にいえば国
民の殆どが有色人種で、無学で教養はないし、非衛生な生活をしている
ので、その人たちと白人との共棲はひじょうに難しい。おまけにそうし
た貧困成年層のうち約四分の一がエイズ感染者、という事実がある。

■■ いきおい、白人たちは彼ら有色人たちと別の生活をしたい、少な
くとも白人だけは快適で近代生活をエンジョイしようというのは、あな
がち高望みとは言えない。 そのためアパルトヘイトと称する規則をつ
くり、1.白人と有色人種間のむやみな通婚を抑制する、2.公共交通
機関内の白人と有色人種の同席を断る、3.定職につかぬ有色人の最低
生活を政府が保証するかわりに、政府指定の特別地区に移り、都市で徘
徊しないで呉れ、という法令がマンデル大統領より前の「アパルトヘイ
ト」であった。

■■ そうでもしないと、せっかく創った美しい国が怠惰と暴力沙汰で
壊滅してしまう懸念があり、必ずしも有色人種だからという理由だけで
彼らを排除しているのではない。  一国の人口の90%を占める有色
人を、たかだか10%の白人が隔離監督することなど、はなから出来る
ことではない。 じじつその証拠として、有色人種でも、無害な日本人
や台湾人、それに米国籍黒人などは名誉白人として認めているではない
か、というのが白人為政者たちの「アパルトヘイト」の論理であった。

■■ 旧宗主国、英国系の白人は内心絶対的な白人優先の潜在意識もあ
るが、同じ白人でもユダヤ人やアフリカーナ、つまり旧オランダ系ボー
ア人の後裔などは二流白人の地位に甘んじてい、白人優先の南ア共和国
という意識は希薄であった。 マンデル氏の前任者デクラーク元大統領
もアフリカーナである。

■■ ここまで考えてくると、南アのアパルトヘイトは有色人と白人の
争いというよりむしろ、貧乏で怠惰な有色人とまじめな有色人の間の争
いという方が、正鵠を得ているかも知れない。 それをボクら日本人は
、「虐げられて可哀想な南アのアパルトヘイト」と、誤解していたので
はなかったろうか。

■■ それよりもいま問題にすべきは、南ア共和国のエイズ禍、つまり
成人人口の四分の一がエイズ感染者、そして世界でずば抜けて高い重大
な性犯罪犯の数字をどうするかである。これについては、あの人格高潔
なマンデル前大統領も、在任中に如何ともし難かったのである。

■■ 南アフリカ共和国は、金とダイアモンド、そして鉄鉱石と石炭の
大産出国であり、国家経済については先行きが明るい。 敵は白人でも
なく、経済でもない。 それより、国内に充満する怠惰で道徳感情の薄
い多くの有色人たちをどうするか、南ア政府のアタマの痛いところであ
る。
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2010年2月19日号
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州知事、道路建設現場視察

 先週末、州知事がサハリン中北地方の視察に出かけた際、ユジノサハ
リンスクーオハ間道路建設現場を視察して回ったことがわかった。この
他にも現在、マカロフーポロナイスク区間道路も建設中であり、201
0年内に地方の道路建設や修理に40億ルーブルの予算を投入される。

製品需要の25%、アルコール

 サハリン州農業水産食品部によると、州民製品需要の25%をアルコ
ール製品が占めている。アルコール販売量の低いスミルヌイフ区域の場
合は密造酒生産量が高い。州政府関係者は健全な生活環境作りのために
青少年の社会事業参加を高める他、住民たちの余暇を有益に過ごせる文
化施設の整備などを行う必要があると強調した。従って、関連機関や団
体はスポーツや文化施設の入場料の引下げと団体内青少年クラブ組織な
ど対策案を行政と立法機関に提出することを決めた。

ロシア守護者の日

 2月23日はロシア守護者の日。この日を記念するために19日午前
中に州政府大講堂で第2次世界大戦勝利記念メダル授与式が、午後4時
からはチェーホフセンターで祝賀行事が行われる。

キリル総大主教サハリン州訪問

 ユジノサハリンスク及びクリル正教会のタニエル主教は15日に記者
会見を開き、今年9月23日〜27日間、モスクワ及びロシア正教会代
表キリル総大主教がサハリンを訪問すると伝えた。総大主教は青年や軍
人、信者たちと会い予定であり、聖物も持ってくるとのこと。

サハリン写真展

 来る3月12日からサハリン州立美術館で「サハリン人が見るサハリ
ン」というテーマで写真展を開く。展覧会の目的は変わりつつあるサハ
リンの様子や発展模様の紹介。展覧会組織委員会は2年前から企画し、
インターネットサイトを通じて住民たちの応募を受け付けてきた。現在
56人の975点の写真がサイトに掲載されているが、この中から15
0点を選別して展示する予定である。州知事は大型写真用の専門プリン
ターの購入に協力した。

祝典

 ユジノサハリンスク市は来る3月中旬頃、偉大な勝利65周年を記念
して「繁栄しろ、ロシア!」というテーマで第5回州合唱団とアンサン
ブル祝典を行う。今回は地方からの参加も受け入れるなど大規模で行う
予定。

マスレニチャ祝典

 さる14日、全ロシア同様サハリン州でもロシアの伝統名節マスレニ
チャ(冬を送る日)を記念する行事が盛大に行われた。ユジノサハリン
スク市ガガーリン公園に数千人の住民が集った中でコンサートをはじめ
、多様なゲームなど楽しいプログラムで楽しい時間を過ごした。市民た
ちは音楽に合わせ踊ったり、茶とブリン(ロシア式パンケーキ)を食べ
たり。行事は稲で作った大きな人形を燃やす儀礼で幕を閉じた。

民族の名節、旧正月を祝う

 さる13〜14日、サハリン州各地の韓人会が民族の大名節旧正月を
祝う様々な行事を開いた。13日、ユジノサハリンスク市ではサハリン
文化センターで年寄りを招待し、コンサートと民族伝統ゲームを楽しん
だ。また、コルサコフ市とマカロフ、ヴォストク、スミルヌイフ区域で
も30〜100人余の同胞とロシア人が参加した中で民族の正月を祝い
ながら楽しい親睦の時間を過ごした。

離散家族会事務所移転

 サハリン州離散家族会が事務所を移転した。移転先はサハリンスカヤ
通り68番地の205号室。12日、多くの人たちが集って移転を祝っ
た。会長の李・スジンさんは移転に協力してくれた李・キュユル社長を
はじめ多くの人々に感謝すると述べた。
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◆コラムEYE :「水温む」:片山通夫
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 温むより何やら萌ゆる水の底   子規
 こんな季節がやって来る。早いもので、もう3月になる。
▲昨年3月のことだが、筆者はサハリンにいた。ものすごい吹雪の日が
続いたことを懐かしく思いだす。写真は水銀灯に凍りついたツララ。お
そらく水銀灯の表面は相当な熱を持っているだろうと思う。その表面に
ツララが垂れ下がっているのだから寒さも押して知るべしだ。

▲そんなサハリンにも春は来る。日本の感覚でいうと5月中頃か。雪が
溶けて山には緑が息を吹き返し、月末近くにはわずかにある桜も咲く。
山の北側の斜面の雪は6月になっても残っているという話だがこれは確
認したことはない。

▲「水温む」は春を表す季語の一つだ。氷が解けて水がなんとなく温か
く感じる季節を表しているのか、そこから受ける印象は「ほっとする」
気持ちだ。筆者にとって「水温む」で思い出すのは、昨年のサハリンで
のこと。3月に続いて5月の末にも、写真展のために</a>出かけた。先
に述べたように、5月といえどもようやく春があちこちに見え出したと
言う程度の季節である。

▲まだ寒い日が続いていた。道路にこそ雪はなかったが。滞在期間中に
ユジノサハリンスクから郊外に出かけることがある。野山にはところど
ころに雪が残っている。そんな野山に雪解け水がとうとうと流れている
ところに出くわした。川は自然のままである。川には小魚が泳ぐ。残念
ながら筆者にはその名前はわからない。

▲小魚たちは、川上に向かって並んで泳ぐ。川の流れが強いのか、懸命
に泳ぐのだが前には進めない。見ているうちに手伝ってやりたくなって
手を差し伸べた。彼らは一斉に隊列を乱してどこかへ消えた。せっかく
手伝ってやろうとしたのに・・・・。その時、手を水の流れに少し入れ
てみた。当たり前のことだが凍るように冷たい。一緒に行ったロシア人
はこう言った。「それでも温かくなって融けたのですよ」

 筆者に詩心がないのか、子規の俳句のように「なにやら萌ゆる」とは
感じられなかった。

  それにつけても春ですなァ。
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◆こちらJO3TXK:片山通夫
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 都合で休載します。
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◆[編集長から]              片山通夫
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 国会が混迷の度を深めている。長崎知事選で自民党が推す候補が勝利
した。鳩山首相は「政治と金」の問題が影響していると。
 民主党の小沢幹事長は確か同党の選挙を仕切っていたはずだが、声は
聞こえてこなかったようだ。報道を見る限り、島根で「青木さん(参議
院議委員)の役割は終わった」とだけ・・・。

 敗軍の将「敗因を語らず」ですか?

 考えてみれば、政治と金問題のみならず、普天間基地移設問題、マニ
フェストの不実行等々、問題山積の正念場の予算編成。

 さてどうしますか?小沢さん。青木さんにトドメさしたはずが、自ら
の頭の上に「ダモクレスの剣」が・・・。
 糸が切れないうちに、説明を国会ですべきでは?

 今週27日からサハリンへ取材に出かけます。
 3月2日、9日、16日発行予定のメールマガジンは休刊とさせてい
ただきます。この間発行されたセコリョ新聞は追ってまとめてご紹介い
たします。
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発行     2010年2月23日   No.423
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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