メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.415 ◆現代時評:「戦争と、平和友愛」  2009/12/29


─────────────────────────────────
【609 Studio 】メール・マガジン 2009/12/29  No.415
─────────────────────────────────
「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
話題満載! 
─────────────────────────────────
              【PR】

           CD「トンダ・モンタ音頭」発売開始
  ジャーナリスト・ネットが、この夏から企画していたCD「トンダ・
モンタ音頭」がいよいよ発売開始になった。戦争出前噺で著名な本多
立太郎さんの詞に、関西を中心に活躍中のバンジョー奏者でまた演歌
師の宮村群時さんの作曲・歌で「制作したもの。
 本CDには本多立太郎さん作詞の「トンダ・モンタ音頭」のほかに
、本多さんの著書「トンダ・モンタ総理っ!」を題材に宮村さんが作
詞作曲した「あらずもがなの物語」を収録。
 
                価格 1000円(送料別)
           詳しくはメールでお問い合わせください。


          2010年カレンダー紹介
 
 詳しくは http://www.609studio.com/html/2010calendar.pdf


      企画展「サハリンを読むー遥か[樺太]の記憶」
    
   北海道立文学館(札幌市)で、「サハリンを読むー遥か[樺太]の
   記憶」という企画展が開催されます。私の写真も一部展示される
   ことになりました。お近くの方は是非・・・。

チラシ http://www.h-bungaku.or.jp/event/2009/pdf/karafuto.pdf
  
 北海道立文学館    http://www.h-bungaku.or.jp/
─────────────────────────────────
          609studio ウェブサイト   
         http://www.609studio.com/

       オリジナルプリント販売開始 詳細 
   http://www.609studio.com/html/originalprint/index.html


       DVD アリランの流れる島 詳細 
     http://www.609studio.com/html/news-3.html 

       ジャーナリスト・ネット ウェブサイト
        http://www.journalist-net.com/

           ブログ 取材手帖
        http://j-net.obei.jp/katayama/

───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「戦争と、平和友愛」 Ken

◆[セ・コリョ新聞日本語版]:2009年12月25日号

◆コラムEYE :「閉そく感が覆う」:片山通夫

◆こちらJO3TXK:片山通夫

◆編集長から

─────────────────────────────────
◆現代時評:「戦争と、平和友愛」 Ken
─────────────────────────────────
◆◆ 読売新聞 2009.12.18  岡田外相は18日の記者会見で、社民党が
沖縄の米軍普天間飛行場の米領グアムへの移設を主張していることにつ
いて、「海兵隊の抑止力を期待したいと言うのであれば、日本の外に出
てくれというのは通用しない議論だ」と述べ、否定的見解を示した。

■■ いまを去る3万6千年前まで、この地球にはネアンデルタール人
とクロマニヨン人が並存していたという。しかもその両種の並存はそれ
以前30万年くらい続いたらしい。それでいて両種の間には混血がいっ
さい無かったと学説は伝えている。周知の通り、クロマニヨン人はボク
ら現代人の先祖であり、ネアンデルタール人はそれより僅かばかり体型
がずんぐり型であったという以外には何らの違いも無かったという。
 外見が殆ど違わぬ両種が、それだけの長期間を共存しながら、それで
いて混血がぜんぜん無かったというのは、いまから考えるとまことに不
思議な現象であったというべきだ。ネアンデルタール人は、3万6千年
前に理由不明のまま忽然として、この地球から消え去った、というのが
学説としての定説である。

■■ おそらく当時の地球はジャングルばかりで、そのジャングルの中
を両人種(?)が気侭に、狩猟採集していたと考えられる。そこでだ、
その両方の人たちがある日、ぐうぜんジャングルの中で隣り合わせたと
しよう。 数万年もの間血の繋がりがいっさい無かったくらいだから、
両者の間の共通の言葉などぜんぜん無かったと考えていい。 だが体型
や風貌は酷似しているから、お互いが相手を自分たちとほぼ同じ人間、
もしくは生物であると、会ったとたんに認識したであろう。

■■ さてそういった時、護身の本能として、「面識はないが、相手は
敵か味方か」、あるいは「危害を加えられる恐れがあるかどうか」をす
ぐさま判断する必要があったに違いない。 もしそれがライオンに出会
った場合などでは、即座に身を隠すか、樹上へ逃げるといった行動に出
たであろう。 が、相手が自分とそっくり同じ人間の風体だから、せい
ぜいとっさに「敵か味方か」の判定を必要とするだけで、差し迫った身
の危険をひしひしと感じるには及ばなかったかも知れない。 それでい
て数万年のあいだに親しみの感情もなく、結果として血の繋がりも皆無
というのは、まことに不思議な間柄と言わねばならぬ。 食うか食われ
るかでもなく、それでいて長年そしらぬ顔をしている間柄というのは、
肉食動物の間では有り得ず、おそらく人間がもともと争いを好まぬ草食
動物であったからであろう。 換言すれば、ネアンデルタール人もクロ
マニヨン人も戦争を好まぬ平和な人々ではなかったろうか。

■■ 独文学者小塩先生の古い本にこういった文がある、「世の中、こ
このところますます物騒になり、世界各地の局地戦争のほかにもテロ、
殺人、ハイジャックなどのニュースのない日はない。およそ動物の世界
で同類同士殺し合いをする動物は人間しかないという。狼でさえ同類の
殺し合いはしない。これだけの文化を創ってきた人間が、どうしてきょ
うも殺し合いをしなくてはならないのか。人間という生物の負っている
業(ごう)なのだろうか。 食うに困って隣の奴の食物を失敬するとい
うのなら、他の動物もやる。しかし食うに困ってではなく、ひたすら他
人のものを盗るのがこれまた人間の、モーセの「十戒」時代から変わら
ぬ悪業のひとつだ。」

■■ なるほど、世の中には「人を見たら泥棒と思え」といった猜疑心
の強い戦争好きの人も、「渡る世間に鬼は無し」と思っている超お人よ
しの人も居る。 さしずめ鳩山お坊ちゃまなどは、数少ないその後者の
部類に入り、いわばクロマニヨン人の後裔であることを証明する代表的
人物ではないかと思う。 そうでなければ、「日本は日本人だけのもの
ではない」などと、このセチ辛い時節に不用意に仰せになったりはしな
い。彼の言う友愛とは、つまりは「日本は日本人だけのものではない」
というコスモポリタンに相近く、理想としては立派だが、現実に日本の
現状や国益と相反することが多い。  

■■ 反対に、「モーセの十戒」を持ち出すまでもなく、ナにかことあ
ればわが懐に取り込もうとする輩(やから)や、争い好き、戦争好きな
人も多い。 残念ながら、そして概して言えば、そのような喧嘩好きは
政治家と称する人に多いような感じがする。 なぜなら、いったん政治
家になれば、少なくとも4年に一度は勝ち負けが決まる選挙というもの
の洗礼を受けなければならないし、敵方の反対党と争って勝たなければ
、失業する宿命にあるのである。 勝ち抜くためには、強靭な勝負師根
性、つまりいまアフガニスタンで米軍の戦争下請けをしている軍事会社
の社員的な精神が必要なのだ。 

■■ そのようなことを考えてきて、どうも最近の米基地無用論を唱え
る人たちは「渡る世間に鬼は無し」の「極楽トンボ」派が多いようで、
反対に、沖縄に米軍が末永く居て欲しいと主張する派には「人を見たら
泥棒」主義で、北朝鮮がいまにも攻めてくると妄想を逞しくしている人
が多いように見える。 

■■ そうした二派の人々の間に、ほんとうに論理的で決定的な見識の
差があるとは、ボクには思い難い。 「北朝鮮が攻めてくる」と思うの
も、「戦争などもう無い」と思うのも、どちらの側の主張もいまのとこ
ろ高島易断的な八卦の域をでないのが、現実ではないだろうか。

■■ だから「極楽トンボ」派の中には、北朝鮮による日本人拉致とい
う事実を最後まで信じず、拉致の事実が判明したとき政党代表職を辞し
た元女性党首も居れば、北朝鮮から金の延べ棒をもらって自宅に蔵して
いた元政界実力者も居たのである。 

■■ 人を見たら泥棒と思いたがる政治家などは、心配のあまり泥棒除
けのために基地費用を特別負担するとして「思いやり予算」を計上して
反対派に非難されたり、あるいはよその大統領の愛玩的ポチを志願して
尻尾を振り、却って自国民から蔑まれたりする失態を冒したりするので
ある。   

■■ さてここのところ、鳩山首相の真意はどうやら、「米軍基地は日
本から出て行ってくれ」と言いたいらしい。瑞穂さんがちょうど都合の
いいときに援軍を出してくれたし、「友愛」と称して「もう戦争は無い
」と言う方へ賭けた楽観的行為に安住しようとするのである。 そして
それには、「もし北朝鮮が攻めてくれば、そのときはグアム駐在米海兵
隊に助けてもらうつもり」という気楽さがあるかも知れない。 この「
友愛」でうまくことが運べば、それなりに日本国の経費節約的メリット
は大きい。

■■ それに対して心配派は「少々高くついても米海兵隊は抑止力だか
ら日本国内に温存しておきたい」という意向のようである。 米海兵隊
による抑止力とは、わが国に関する限り「北朝鮮が攻めてきたら困る」
という惧(おそれ)に集約される。 「たぶん北朝鮮は攻めて来ないだ
ろう」と、「北朝鮮が攻めてくる心配がじゅうぶんある」と、この二つ
の、いわば「八卦」の違いは大きく、その「惧れ」を利用した米国防省
の悪強請りテクニックに、いまの日本はうまく利用されている、とボク
は見ている。

■■ もっとも、右翼ばりの評論家たちはさらに加えて「北朝鮮と中国
の、二つの仮想敵国への予防処置」として、対米依存が望ましいと言っ
ているようである。

■■ ところがその危険な二カ国のうちで、小沢一郎氏はどうやら「敵
の懐に入るつもり」か、百数十人の民主党議員を引率して中国詣でを実
行した。 「敵中に活」を求めるつもりか、あるいは「中国との戦争は
ありえない」との彼の先見性の行動か、その心のほどは本人以外には判
らない。 がしかし、もし中国がわが国を攻めて来るとすれば、そのと
きはもうお手上げと考えるべきだ。 相手があまりにも大きすぎて、ま
さに「蟷螂の斧」でしかない。 いくら米国に普段おべっかを使ってい
ても、対中国では米国は助けてくれない、と諦めるべきだ。 助けたく
てもいまの米国にはその力が無いから致し方ないのだ。
 
■■ だから日本の仮想敵はいまのところ北朝鮮だけである。 その対
北朝鮮では、世界警察を自認する米国がわが国を助けてくれるだろう。
 そのとき米海兵隊が、沖縄に居ようとグアムに居ようと同じである。
 米国は自分から志願した世界警察なのだから、同盟国からの頼みだけ
でなく、対中国以外の場合には、どこの国からの依頼でも、その国が米
国の敵方でないかぎり必ず助ける義務がある。 そしてそのためにわが
国は常に、米国寄りであることをPRするために応分の義捐金を米国に
醵金しておく必要があり、必ずしも米国と軍事同盟を結んでおくほどの
ことはない。 なるべく安上がりに、応分の喜捨をしておくのだ。
 といって、深入りして米国のような好戦国の仲間入りをしておくのも
得策ではない。 その辺のコツが難しい。

◆◆ 戦争か平和か、はたまた友愛か敵対的か。 いま全世界はその微
妙なところで揺れている。 わが日本は、自衛隊と称する手ごろなサイ
ズの軍隊を持ち、米国と中国という世界の二大大国の狭間で泳いでいて
、客観的に見た場合、その遊泳技術は超優秀である、とボクは見ている
。 これでいいのだ。

◆◆ そしてそれに対抗するかに見える貧乏で可哀想な北朝鮮という隣
国。 気の毒だがわが国としてはとりあえず黙殺しておくに限る。「窮
鼠かえって猫を噛む」の諺(ことわざ)もあり、アタマを下げてもいけ
ないし、挑発してもいけない。 まして急いで決着をつけようとするの
はなおさら禁物である。 米国と中国の二国がそのうち然るべく料理し
てくれるときが来るであろう。 下手に関与しようとすると、北朝鮮の
みならず中国、米国から高価な代償を要求されるだろう。 悲憤慷慨は
、政争好きの政治家や、お脳の弱い評論家たちに任せておこう。 そし
てともあれ、2010年の新年を祝おうではないか。 幸いにしてここ
のところ、お酒もワインも酒の肴も安く、物価は安定している。 天下
泰平の春である。
  
─────────────────────────────────
            【PR】

    ◎片山通夫写真集「サハリン」好評発売中!!◎

 写真集「サハリン」が未知谷から発行されています。是非書店
    もしくは609studioでお求めください。
 
         四六判160頁 1600円(税別)
          ISBN4-89642-138-8 C0072

    未知谷 HP http://www.michitani.com/index.html
    または    office@609studio.com
─────────────────────────────────
◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2009年12月25日号
───────────────────────────────── 


州知事からの新年の挨拶

 2010年まで後数日しか残っていません。今年は祖国の未来である
青年の年で若者たちの才能と夢が叶えるような環境づくりが我々の大き
な課題でした。そして多くのことをしました。同時に既成世代のために
も努力しました。大失業事態を防ぎ、住民たちの生活水準の急落を許し
ませんでした。外にも歴史的な産業発展や社会インフラ構築に励まして
多くの成果を挙げました。我々はサハリン及びクリル住民らの努力の結
果にプライドを持つことができます。もうすぐ家族や友人たちが集まっ
てクレムリンの鐘の音に合わせシャンペンで乾杯をする新年を迎えるこ
とでしょう。新しい年も私たちが作っていくものです。同郷の皆様!心
から皆様方のご健康とお幸せと更なる発展をお祈り申し上げます。そし
て、新年あめでとうございます!!
                           ア・ホロシャヴィン サハリン州知事

駐ユジノサハリンスク韓国領事館出張所長の新年の挨拶

 新年にも同胞の皆様方の各家庭に幸福と平和が訪れる共に、事業にお
いても更なる発展と繁栄がありますようにお祈り申し上げます。新年に
も同胞社会が協力し合いより発展していけるように頑張りましょう。
金・チョンス領事

アンケート調査―どのように新年を迎えますか。

 モスクワの全ロシア社会世論調査センターの調査によると(さる16
日)、応答者の91%が新年を、59%が(ロシアの)クリスマスを、
45%が(ロシアの)旧正月を記念していると答えた反面、どの日も記
念していないと答えた人も5%。新年をどこで迎えるかについては75
%が家庭で、12%は友人たちと、2%はレストランやクラプで迎える
と答えた。また、回答者の75%がロシア連邦大統領のTV新年挨拶と
共に新年を迎えると答えた。ロシア人たちは正月休みの間に5千828
ルーブルを消費することが予測されてるが、そのうちの半分は食品購入
、残りはプレゼントの購入に使っているとのこと。何をプレゼントする
予定かについて、記念品30%、お菓子やアルコール24%、化粧品2
0%、5%は携帯と答えた。又、回答者の7%が新年プレゼントとして
車が欲しいと答えたが、車をプレゼントすると答えた人は一人もいなか
った。

エヴェンク伝統の出生届

 さる17日、ノグリキ地域のワルという農村の役場でエヴェンクの伝
統に従っての出生届儀式が行われた。エヴェンク族の両親を持って生ま
れたラーダ嬢(愛と結婚の女神)は民族衣装を着た民族代表の立会いの
中で出生申告を行い、ロシアの国旗の下でロシアの国歌が流れる中で彼
女の両親は出生申告証明書を手渡された。

第5回ギター音楽コンクール

 さる17日から両日間、サハリン州芸術専門学校創立50周年を記念
して第5回ギター音楽コンクールが同校で開催された。全サハリンから
7〜30歳までの市民41人が参加し、コンクールの他公開授業と座談
会も行われたが、ギターコンクールではドンリスクの障害を持った学生
オガイ・シャシャ君が優勝した。

韓国と日本政府宛の要望書

 サハリン州韓人社会団体と日本の「サハリン韓国・朝鮮人を支援する
会」が共同作成した韓国大統領と日本は鳩山幸雄総理宛の要望書を掲載
します。(資料提供:サハリン州韓人老人会)

 我々はサハリン残留韓人たちと永住帰国者3千人を代表して韓国と日
本政府に以下のようなことを要望します。
 周知のように日本政府は我々を戦時中サハリンに動員、強制労働させ
たうえ、賃金の強制貯金までさせました。戦後は日本人だけを帰国させ
、我々は捨てられた国民となってありとあらゆる苦痛の中で生きてきま
した。遅すぎたとは言え、一部の日本国民と国会議員たちの努力の末、
1980年末から一時帰国が始まり、その後永住帰国も実現できたこと
は評価し有難くも思います。しかし、戦後生まれの人たちの帰国の道は
閉ざされ、自由に往来できるほどの経済的余裕もなく新たな離散家族が
生まれつつあります。そして、永住帰国者たちにとっても韓国政府から
の生活支援は十分ではなく故郷や親類との交流さえも思うほどできない
状態です。
 現在、サハリン残留韓国人の郵便貯金と簡易保険に対する補償請求裁
判が東京で進行中です。祖国から連行され炭鉱での重労働をした対価の
賃金を強制的に貯金させたものです。戦後、郵便貯金の原本をなくした
のは日本側の責任です。日本国が正当な補償を行わないのは到底許せな
いものです。戦後64年が過ぎた今、1世の殆どは亡くなり、生き残っ
た人たちは老いと貧困に直面しています。日本政府は我々サハリン残留
者問題を解決するための基金を設立すべきです。1世たちの医療、2−
3世たちの交流と教育、そして永住帰国者との往来のために有効に使え
る基金調整、これができれば歴史的問題は解決されるでしょう。韓国政
府も日本政府と協力し、基金の設立と運営のために力を入れることを願
います。
2009.11.17

サハリン州韓人協会・老人会、サハリン永住帰国者一同、中ソ離散家族
会、サハリン残留韓国・朝鮮人を支援する会長高木健一
─────────────────────────────────
◆コラムEYE 「閉そく感が覆う」:片山通夫
─────────────────────────────────
 閉そく感。閉塞感と書く。意味は「出口がふさがれて先へ進みようが
ない状態を指す」ことだ。現在の日本はこの閉そく感に覆われているよ
うに見える。政府も様々なメディアもこの状態を打破するべきだと訴え
ているが、掛け声だけであまり効果はない。経済の落ち込みと停滞がそ
うさせるのだろう。

▲一般的に市民がこの閉そく感を打ち破ろうとしても、個人の力では到
底かなわない。政界や経済界が一致してことに当たらなくては無理だ。
今年、政界では大きな変化が起こった。夏の衆議院選挙で劇的な政権交
代が行われた。民主党を中心とした国民新党、社民党の連立政権の登場
である。

▲この政権交代もいわば、閉そく感の打破という国民の間にあったうね
りがそうさせたのではなかったか。必ずしも民主党が掲げたマニフェス
トが功を奏しただけではなかったと思うのである。経済の停滞は昨年の
アメリカのリーマンショックから始まり、年末には日本各地で「年越し
派遣村」が出来たことで国民は身にしみて事態の深刻さに気がついた。
そして半年、自民党内部のゴタゴタや人気知事の候補者擁立など不手際
が重なったことにも嫌気がさして雪崩現象が起きた。

▲閉そく感は政権交代を起こしただけでなく、最近、京都で起こった「
朝鮮第一初級学校への攻撃」に代表されるような社会的弱者への攻撃も
顕著になる。しかしこの良く準備された「攻撃」は単に閉そく感から来
た社会現象だと単純には捉えられないのではないか。そこにはもっと計
算された狡猾な意図が隠されているように思える。

▲おりしも来年2010年は「韓国併合100年」目の年である。韓国
併合、すなわち当時の大韓帝国を植民地にした我が国の行動に対しての
言論活動の前哨戦だとも思える。そしてこの前「編集局からの手紙」の
拙稿で紹介した、同校の父兄からのメールに書かれていたように「我が
国の社会の良識」を問われているのだ。

▲今一度、来年の韓国併合100年を機会に両国の、両民族の相互理解
につなげたいものだ。それがひいては我が国の国際的理解も深まり、鳩
山首相の唱える「友愛」に繋がる。そして言論界は積極的に関与するこ
とで、閉そく感から起こるこれらの「行き場のない社会現象」を解消し
て行かねばならない。野次馬の論評に終わってはならない。
─────────────────────────────────
◆こちらJO3TXK:片山通夫
─────────────────────────────────
 鳴らないのには原因があった。その時間、つまり日曜日の昼だったが
海外の放送はやっていなかっただけ。今のようにインターネットで調べ
て・・・というようにはゆかない時代の話。

 まさか友人の家に深夜までがんばることもできないので、ここは一番
親の眼を掠めて自宅にアンテナを張ることにした。

 そして、夜21時頃からじっと耳を澄ませてダイアルをゆっくり回す
という作業に没頭したことは言うまでもない。

 かすかにノイズの向こうから放送らしい音楽が聞こえてきた。ともか
くラジオは立派に完成していたのだ。もっとダイアルを回してみると、
何やら怪しげな「数字らしいものを読み上げる放送」が見つかった。

 その時は何のことやらわからなかったが、22時になると毎晩その放
送が始まる。もしかして…。胸が高鳴り、スパイもどきの気分になった
ことは言うまでもない。後でわかったことだが、この数字の読み上げは
某国からの暗号電文だったとか。無論、乱数表がなければ平文に直すこ
とはできない。はからずしも、スパイ活動の一端に触れたわけだ。
 興奮する経験だった。全く意味はわからなかったが・・・。

 ⇒次週に続く
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              片山通夫
─────────────────────────────────
 早いもので、今年最後のメールマガジンになりました。様々な思いを
それぞれの胸の中に秘めて今年も暮れようとしています。
 この一年、ありがとうございました。新しい年も同様のご購読をお願
いいたします。

 本年最後の月になって、いやなことが筆者の近くで起こりました。排
外主義が真近に迫ってきたという話が聞こえてきたのです。絶対少数の
外国籍の人々に対する嫌がらせが横行しているように見受けられます。

 一般的に世界中どこでも経済的な困難に直面すると「排外主義」が顔
を出してきます。経済の行き詰まりから、貧困率や失業率が上がってき
て、人々の生活にゆとりがなくなった時、やりきれない思いを弱者に向
けてしまうという、悲しい事態に陥ります。

 これは遠い外国での話ではなく、実際に私たちの身の回りで起こって
いる現象です。豊かな生活を脅かされて心に余裕がなくなってしまった
現在の社会の風潮を表しているともいえます。

 しかし、昨年世界中に吹き荒れた「100年に一度の不況」の年末、
東京で、そして日本各地で「派遣村」が設営されたことは記憶に新しい
ことです。我々はまだ人間の心を失ってはいない証左だと思います。

 新しい年にはこのような卑劣な行動(行為)から決別する年にしたい
と思います。それが人間社会を豊かにするということだと思うからです。
 勿論筆者も自分でできる範囲でどのような行動をとることが出来るか
とこの正月休みには考えて見ようと思っています。

 どうぞ、読者の皆さま、良いお年をお迎えください。
─────────────────────────────────
発行     2009年12月29日   No.415
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236
MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020
e-mail       office@609studio.com
website    http://www.609studio.com
投稿     http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
購読 購読解除は websiteへ

           ◇禁・無断転載◇
─────────────────────────────────

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。