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タイトル:609studio No.398◆本澤二郎の「日本の風景」  2009/09/01


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【609 Studio 】メール・マガジン 2009/9/1  No.398
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
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◆現代時評:休載です。

◆本澤二郎の「日本の風景」

◆[セ・コリョ新聞日本語版] :翻訳が届いておりません。

◆コラム・EYE :

◆編集長から

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◆現代時評:今週は休載です。
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 次週をお楽しみに。
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◆本澤二郎の「日本の風景」 
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<友愛外交への期待>

 鳩山家はクリスチャンと聞いている。同じクリスチャンでも、武力で
自分の信じる価値観を押し付けるブッシュのような悪逆非道な人物は危
険で怖いが、友愛を説いている新しい政権担当者は、戦争屋ではないは
ずである。ブッシュのいいなりになった小泉・安倍・麻生とも違うだろ
う。

 筆者の知るクリスチャン首相というと、平和外交を実践した大平正芳
である。田中角栄を巻き込んで日中の厚い扉を開いた。鳩山の祖父・一
郎には、戦前派の岸信介など天皇制国家主義者がまとわりついていた関
係で、改憲を志向したが、それでもソ連との関係を正常化した。孫の由
紀夫は、岸や中曽根のように力づく日本の宝である平和憲法をぶち壊そ
うとはしない、と信じたい。彼の周囲には岸に相当する極右の政治家が
いないからである。小沢一郎の今後は不明だが、現在の日本の風土を「
戦前そのもの」と認識しているようなので、安倍や小泉とも違う。

<韓国―中国との連携>

 友愛は隣人に愛情を注ぐことを基本にしている。自らの信条を押し付
けようとすると、それは友愛に反し、友愛の破綻でしかないからだ。
 友愛外交は朝鮮半島との関係をよりよく発展させるであろう。鳩山は
既に韓国を訪問、大統領と信頼構築の第一歩を実現した。総選挙後、真
っ先に祝いの電話をもらっている。戦前の侵略戦争は朝鮮・韓国から大
陸へと拡大した。その反省から、鳩山はまず半島との信頼を構築しよう
としている。北朝鮮との関係正常化へのスタート台なのであろう。

<北朝鮮との正常化と東アジア共同体>

 ついで中国へと駒を進めて、中国の強力な支援のもとで北との関係正
常化を実現すると思われる。他方で東アジア共同体、すなわちEUのアジ
ア版である。東アジア共同体は既に中国・韓国がASEANと連携して
始動している。遅ればせながら、この夢のある構想は日本が関与するこ
とで実現することになる。夢ではない。
 21世紀を生き延びるための、日本が唯一残された針路なのである。
民主党はこれを政権公約に掲げている。社民党も賛成するであろう。

<ブッシュのいないワシントン>

 アフガン問題を除けば、オバマ外交は対話路線を踏襲することになる
。オバマは中国を一段と重視している。そうせざるを得ないという政治
・経済環境でもある。ブッシュのいないワシントンは、鳩山にも幸運を
もたらすだろう。
 そもそもアメリカ人は民主主義の旗を高く掲げている。対話を重視す
る。民主党リベラルは特にそうである。これは友愛外交に好都合である
。オバマは聞く耳を持っている。既に国務長官のヒラリーは、小沢や鳩
山と会見している。
 服従から対等を求めようとする当たり前の対話路線に、むしろ真の民
主主義者は尊敬の念を抱いている。ブッシュにまとわりついてきた政治
家や評論家は懸念を隠そうとしないが、本丸は全然違うのである。リベ
ラルは対話重視で相手の言い分に耳を傾ける。それが正しいと納得すれ
ば、即座に妥協する。友愛外交がそれを可能にするだろう。
 ワシントンと東京に極右はいなくなったからである。
 インド洋での給油作戦にしても、アメリカがプレゼントしてくれた平
和憲法を懇切丁寧に説明すれば、必ずや理解するであろう。軍事協力以
外の民生面の支援が日本の国際貢献であって、自公政権による軍事優先
の支援は正しくない。これにオバマも納得する、させるのである。それ
が外交というものである。

 これまではワシントンに服従する悪しき外交官任せに問題があった。
武器弾薬がないと外交はできないとする外交官は、新政権にとって無用
なのだ。官僚依存からの脱却が新政権の友愛外交である。ワシントンの
ネオコンと歩調を合わせてきた霞が関のネオコン外交官は、人事面で排
除されることになろう。その結果、透明性のある霞が関が約束される。

 米軍再編や日米地位協定の不当なネオコンの押し付けも、オバマに直
接話したらいい。恐らく事実を知ると、オバマは驚愕するであろう。2
1世紀のアジアの大国が、表向きはともかく、実質的には独立していな
いことに。

<外交面で成果>

 筆者は森内閣以降の自公政権が、岸信介の極右路線を踏襲してきたこ
とに深刻な懸念を抱き、批判を強めてきた。ひとり福田康夫政権は例外
だった。国家主義は戦前の日本をほうふつとさせる対決外交である。ヒ
トラーにぶら下がっての3国同盟に似ている。ヒトラーに代わってブッ
シュの馬に乗り移っただけのものだった。それを、平和憲法を保持しな
がら強行してきた。

 これに議会・言論も対抗できなかった。不甲斐ない日本民主主義だっ
た。隣国の学者でさえ不信に思わなかった。「右傾化」という一言で納
得してきたのも驚きである。

 今日のドイツの健全さは、隣国の健全な対応が貢献してきたことを忘
れてはなるまい。

 日本はようやく霞が関の桎梏から抜け出すことが出来る政治環境を手
にした。其の分、政治家・議会・言論界の役割が、ことさらに重くなっ
てきたことでもある。友愛外交が花開くかどうか、その成否は彼らの力
量にかかっている。これに成功しない限り、日本経済の再生もないので
ある。
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:翻訳が届いておりません。
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 届き次第お届けいたします。
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◆コラム・EYE 09年の肖像「行き交う人」:片山通夫
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 京都に「流れ橋」という橋が木津川という川に架かっている。その
名の通り川の水が多くなると流れると言う仕掛けの橋だ。詳しい説明は
置くとして、ここに架かっている橋は(どこでもそうだろうが)生活の
ための橋である。 
  先週土曜日にこの写真を撮るために出かけた。川面を渡る風は涼し
いかの知れないと思ってきてもたが暑い。川は干上がっていた。

 この橋は時代劇映画にもよく登場する。また過去に何度も洪水や台風
などで増水した水で流された記録がある。(1953年以来16回もあ
った)この橋の特徴は「最初から流れることを想定して作られた」とい
うこと。もちろん木造である。

 そして今、生活道路として流れ橋をわたる人はちょっと会釈しながら
行き交う。都会では見られない光景だった。

写真:
http://www.609studio.com/web/2009/08/post_247.html#more
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◆[編集長から]              片山通夫
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  自公政権が完敗した。所謂「大物政治家」と自認していた人たちが落
選した。マスコミは「郵政選挙の裏返し」と評する。小泉チルドレンも
完敗。変わって「小沢チルドレン」なるものが現れた。

 世相は不安定だ。自民党に300議席を与えた世論は、今回民主党に
移った。「政権交代」が現実となったわけである。

 今考えると、自公政権はかなり以前から末期的症状を呈していた。た
とえば、極端な右翼的思想を持った安部元首相は右傾化した世論におも
ねすぎた。戦争経験者が少なくなってきている現在でも、平和を願う国
民が大多数だ。そこのところを自民党は読み違えた。

 無論、他にも今回の惨敗の原因は、大方のマスコミが伝えるように数
多ある。

 さて、政権を担うことになった民主党だが、勝負はこれからだ。国民
の負託にどれだけ応えられるかだが、政権を担った経験がないのだから
筆者は「そんなに慌てることはない」と思う。

 ただ、マニフェストに書いた「国民との約束」を履行する上で、何が
問題なのか、なぜできないのかを明確に国民に説明してもらいたい。

 たとえば「官僚支配の打破」を考えてみよう。明治以来、この国は官
僚が支配してきたといっても過言ではない。あの戦争の時もそうだ。官
僚は戦争に加担し、そして敗戦後も生き残った。自公政権から民主中心
の政権に移ったからと言って、簡単に変えられるものではないだろう。
 国民はその点に関しては理解できると思う。ただ、「なぜできないの
か」、また「誰が邪魔しているのか」を白日のもとにさらけ出してもら
いたい。

 この点を「迅速かつ正確に」国民に説明してもらえれば、国民は、我
慢強く待つことができよう。もしそこにごまかしや隠ぺいがあれば、次
期参議院選で手痛いしっぺ返しを食うことになる。

 国民のための政治とはこのようなものだという土壌を作ってもらいた
いものだ。
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発行     2009年9月1日   No.398
編集・発行  609studio   Michio Catalan
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