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タイトル:609studio No.395◆現代時評:「北朝鮮との外交交渉」  2009/08/11


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【609 Studio 】メール・マガジン 2009/8/11  No.395
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
話題満載! 
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「北朝鮮との外交交渉」  ken 

◆本澤二郎の「日本の風景」

◆[セ・コリョ新聞日本語版] :2009年8月7日号

◆09年の肖像「ミッチャンのこと」:片山通夫

◆編集長から

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◆現代時評:「北朝鮮との外交交渉」  ken 
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◆◆ アサヒコム 2009.8.06 河村官房長官は6日の記者
会見で、米国のクリントン元大統領の訪朝について米政府高官から同
日、電話で説明があったことを明らかにした。  河村氏によると、
この政府高官は「クリントン元大統領が個人の資格で、金正日総書記
に対して『拉致問題の進展をはかるべきだ。すでに日朝間で合意して
いる再調査を再開すべきだ』と強く働きかけた。金正日総書記からは
特段の反応はなかった」と説明した。 河村氏が「今後、米朝協議が
あるならば、事前事後に緊密な連絡をお願いしたい」と要請したとこ
ろ、米政府高官は「当然のことだ」と応じたという。

■■ またしても米国得意の外交手法だ。 クリントン元大統領がと
つぜん北朝鮮を訪問し、不法入国で逮捕監禁されていた二人の米国籍
女性を特赦させ、米国へ連れ帰った。 こういった元大統領を外交的
に活用するというのは、米国政府の得意とするところで、現に15年
前にカーター元大統領が北朝鮮へ行き、当時の金日成国家主席と会い
、南北首脳会談実施を同意させている。

■■ 元大統領がこうした芸当が出来るのも、少なくとも4年以上の
任期いっぱい大統領職を勤め上げ、一応の成果を挙げているからであ
る。 これが日本の首相のように短期間で中途半端に辞職したりすれ
ば、相手方の国のみならず、日本国内においても国民の信頼を得ず、
大物として認められず、目覚しい成果など期待できるか疑わしい。
 はやい話が、福田康夫、安部晋三氏など半ば既に忘れられている元
首相では、外交面でのスター的用途があるとは考えられず、近年の元
首相ではせいぜい小泉潤一郎氏ていどだろう。

■■ クリントン氏が北朝鮮へ行くとなれば、先ず相手の金正日氏が
、この男を相手にすればオバマ大統領にも話が通じていると想像でき
、そこからいくらかの裏口外交の譲歩も引き出せる見込みがあるから
である。 かたや米国側にしてみれば、こうした裏口交渉に失敗した
ばあいは、「政府は関知してなかった」と逃げられるし、うまくいっ
たときは、「非公式だが政府が送った使節である」といったマスコミ
ないしは世間の噂を追加承認すればよく、万事都合がいい。

■■ こうした方法はべつに米国独特の技法ではない。ときとして日
本もこの方法を採用している。 対北朝鮮では、かって金丸さんや山
崎拓代議士がわが政府の公式の隙間を縫って北朝鮮との非公式交渉に
臨んだことがあった。 がしかし、それらは失敗に終わった。 日本
国民を騙るマスコミの両氏への不信任が災いしたのである。 金丸氏
の場合は、最後に彼の自宅を検察が捜索したとき刻印の無い金塊が発
見され、それは北朝鮮の金正日氏から貰ったものであると噂され、金
丸氏不信任に輪を掛けた。 

■■ 山崎拓氏は、彼の親密な女性友達が統一教会会員であり、彼の
対北朝鮮ルートは統一教会経由であるとされ、純真なわが国民大衆か
ら一気に、「彼は北朝鮮の回し者であり、資金源は北朝鮮である」と
の烙印を押されてしまった。 山崎拓氏の年来主張する「北朝鮮の核
開発を阻止するためには対話しかない」との至極まっとうな論も、彼
の対女性癖と、付き纏う統一教会の影により国民の支持を失したまま
今日に至っている。

■■ しかしボク思うに、北朝鮮のような国相手に、いままで日本が
採り続けてきた国際社会正義を前面に押し出す正攻法外交では成功は
覚束ない。 ボクら西側社会がとうぜんと考える社会正義は必ずしも
北朝鮮社会の正義の観念とは相容れない。 と言って、北朝鮮が特別
変わった外交手段を弄しているわけでなく、むしろ金正日氏の外交は
ひじょうに常識的で分かりやすく、彼らなりの正攻法で押している、
とボクは思う。 それは端的であり、絶対自国有利に徹している。
 それは世界平和を後回しにしても、自分たち朝鮮人民共和国が生き
延びることに目的を絞っていて気の毒なほどである。 

■■ むしろ彼らからすれば、「日本という国の外交はひじょうに複
雑で、手練手管が込み過ぎ、扱い難い」と思っているのではないか。
 先ず、日本がいくら世界唯一の被爆国であるにしてもそれは60年
前の話。世界中多くの国々が核武装しているいまの時代に、米国の核
の傘に隠れるだけで自国の核武装をなおざりにし、それのみか近隣国
の核兵器開発までやめておけと容喙してくる日本という一風変わった
国。 つまり、社会正義と国連を外交の武器にしようというナイーブ
な政治家たちによる今どき珍しい国なのだ。

■■ つぎに、交渉相手である北朝鮮の主権者の面子(めんつ)をい
っさい立てようとしないで、ただ奇麗事の国際正義だけで押し通そう
とする日本。 そして、カネで解決できる話のそのカネも「出す、出
す」といいながら出し渋ってばかりいるように見える不器用な国。 

■■ さらに問題なのは、いったい誰がほんとうの日本国の主権者か
が分り難い。 政党互選の首相はいつ交代するか分からないし、その
首相を粗製濫造するキングメーカーを名乗る政治家もおおぜい居る。
 あるいは国際的に噂されている通り影の主権者は米国であるかも知
れない。 あるいはまた、大人の分別を持たぬ検察が首相以上に生殺
与奪の権を握っている可能性もある。 かって金丸さんが訪朝したと
き大接待し、個人的なお土産まで渡したのに、帰ったらさっそく政変
とやらで失脚してしまい、北朝鮮としては無駄骨を折った苦い経験が
ある。 いまはいちおうルートとして山崎拓氏を確保しているが、こ
の人もいつ失脚し、どこで闇に葬られるか分からない。 要するに日
本と言う国は主権者無しの暖簾に腕押し、政局政争に揺れ動く国とし
て、さしもの金正日総書記も扱いかねている、と見えぬこともない。

■■ 本題に戻って北朝鮮との外交交渉のことである。 いまは、拉
致問題の進展がなければ北朝鮮への経済・エネルギー支援に参加しな
いし、すべての通商も閉じたまま、という日本政府の方針が優先して
いる。 が、はたして中国・韓国だけでなく頼りにする米国などが本
気でその方針を支持してくれているかどうかの検証もなおざりにした
ままの日本外交である。 これでは朝鮮半島の非核化実現はほど遠い
、というのがボクの見解である。

■■ 身内を拉致された人たちの嘆きは理解できるが、自分たちの感
情にかまけるのみで周囲の情勢を省みない拉致被害者たちの圧力に押
しまくられっぱなしのわが政府は、ついにその拉致被害者団体にすら
見放された感じである。「政府には頼って居れぬ、民間でもいいから
誰か助けてくれ」と、拉致家族たちは悲鳴を上げ始めている。 それ
に対してわが内閣官房長官は、米国のクリントン元大統領の今回の訪
朝について米政府高官から同日、電話があり、「クリントン元大統領
が個人の資格で、金正日総書記に対して「拉致問題の進展をはかるべ
きだ」と強く働きかけたが、金正日総書記からは特段の反応はなかっ
た」との説明があったと記者会見で報告している。そのような野暮な
報告をする内閣官房長官にどれだけの期待が掛けられよう。 

■■ アメリカさんに、わが国の拉致被害について北朝鮮へのお口添
えを願っても、所詮はこの程度、まことにイノセンスな外交結果しか
与えられないことがこれで明白になっただけの話である。 いつまで
も米国におんぶにだっこの、わが政府の拉致被害問題にたいする戦術
もこの辺りで考え直し、戦術変更せずばなるまい。 でなければ、政
府の窮地は益々進み、拉致被害者家族たちももっと困るようになるだ
ろう。 いまやわが外交の手詰まりも極限に近い。

■■ ではいったいなぜ、こんな状態になってしまったのか。 そし
てその手違いの根源はどこにあったのか。 ボクはそれを次のように
考えている。

■■ 拉致被害問題のみならず、およそ最近の政治家が関与する諸般
の事故や不都合のもとはマスコミの反省なき性悪にある。 むかしマ
スコミは「社会の木鐸」であった。 それが近年は無責任な「お騒が
せ集団」と化してしまった。 つまり彼らは「社会の木鐸」変じて、
世論製造屋という「言論暴力業者」に変身してしまったのである。

■■ そして、かって名誉と信用があった政治家たちは、選挙制度を
利用した中級サラリーマン類似の政治屋になってしまった。 彼らが
選挙に落選すると哀れな失業者と化す。そのような失業者になりたく
ない彼らがもっとも恐れるのは彼らへの社会からの悪評である。 世
論の悪評はマスコミが作る、つまり政治家はマスコミが天敵であり、
その天敵から逃げるために政治家はマスコミに迎合する。 

■■ 拉致被害者家族会はそのマスコミをうまく利用した。 マスコ
ミは政治家を嘲弄しようとして、拉致被害者たちの無知な要求を是と
し、政府案を貶した。 政治屋および官僚たちはマスコミに迎合する
あまり、拉致被害者家族発案の拙劣な対北朝鮮外交をそのまま実行に
移した。 そしてその帰結がいまの対北朝鮮外交の失敗になってしま
った。  つまり、おぼこい拉致被害者家族会は自らの臍を噛んだの
である。気の毒だが彼らの身から出た錆である。

■■ 腑甲斐ないサラリーマン集団であるわが政治家たちにいまさら
対北朝鮮政策の方針転換を要求しても難しい。 相手は筋金入りの独
裁国家であり、小国ながら国家の命運が掛かっていて、意気込みが違
う。 わがサラリーマン類似政治家や官僚では歯が立たない。わが国
に胆力と奇策ある新しい外交の担い手が必要な難しい局面である。

■■ もっともこうした難しい対外局面というのは、わが国でもいま
に始ることではない。明治維新以後にしばしば外交の難局は存在した
。 そのとき、わが日本の先哲たちはどのように対処したか。 古き
を尋ね新しきに処する必要がある、それが温故知新というものだ。 
一つの方法として昔、こうしたときわが政府は、自身知らぬ振りをし
て「右翼」ないしは「国士」を起用した。 そうした国士の代表的人
物が頭山満である。 かれら国士・右翼たちは、ふだんは飲酒、馬賊
芸者を侍らせるのを趣味としたが、ここ一番の対外折衝ではサラリー
マン役人や小物政治家の及びもつかぬ才能を発揮し、対外折衝の局面
を変らせた。 現代政治でもそうした人たちの出番があり、いまの北
朝鮮折衝はまさにそうした場合である、とボクは思う。 

■■ 癖馬は名馬であるという。対ロ交渉の佐藤優氏や鈴木宗男氏な
どが、現代版としてのそれに似た人材かもしれない。 対北朝鮮では
山崎拓氏などがそれに近くはなかろうか。 どうせ正式帳簿に載せら
れぬ闇のカネが動くことだろうし、そのためにはかって田中真紀子元
外相が「トラの尻尾を踏んだ」と形容したまま再度闇に隠れてしまっ
た莫大な外務省や内閣官房の資金もある。 いまこそ、外務省の頑な
な役人外交でなく、金正日総書記相手に相応しい人材を起用して捲土
重来、新規蒔き直しの対北朝鮮積極外交を進めるときである。 

■■ そのとき、再び刻印のない金の延べ棒が動くこともあろうし、
表向にできない、たとえばその昔の「米軍との核持ち込み密約」のよ
うな場合に遭遇するかも知れないことはじゅうぶん覚悟の上である。
検察が出る幕ではないことは勿論であり、ことは国家百年の安定に関
る重大問題である。 ときの首相も腹をくくる必要がある、かっての
岸首相や佐藤首相のごとく・・。

■■ 国家というものはつねにそうした超法規的行為を重ねつつ次の
新しい時代を切り開いてゆくものであると、ボクは思っている。 そ
して今、我々の対北朝鮮外交はそうした局面に遭遇している。 ルビ
コンを渉るか渉らぬか、シーザーも悩んだであろう。それがほんとう
の政治家の力量が試されるときである。 蛇足ながら付け加えたい、
決して社会正義を云々する場ではない。 そして金王朝の名誉と利益
は日本国の利益と同等であると斟酌されねばならない。
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◆本澤二郎の「日本の風景」 
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<ヘレン・トーマス89歳は現役ジャーナリスト>

 昨日は昼のテレビニュースで懐かしい名前が飛び出してきた。本物
の米人ジャーナリストのヘレン・トーマス女史である。場所はホワイ
トハウスの記者会見場である。未だにホワイトハウス詰めの最古参の
現役記者であることに驚かされた。息子のようなオバマが、彼女の8
9歳誕生祝いにケーキを持参したのである。二人とも同じ日に誕生日
を迎えたというのだが、大統領は彼女に敬意を表してケーキを渡し、
ほほにキスをすると、すばやく退場した。ほほえましくも、うらやま
しい情景だった。

 彼女の名前を聞いたのは、60年代から70年代にかけて悲願の日
中国交回復を実現するため、必死で対米工作に力を入れていた宇都宮
徳馬さんからである。彼女のことを聞かされたのは70年代のころだ
。アメリカ政府や議会を動かさない限り、日本と中国の関係は正常化
しない時代だった。日本の外交は、当時もワシントンが抑えていたか
らである。ワシントンの右翼的な政治家は「中国と正常化すると、日
本も共産圏に入ってしまう。それはアメリカの国益に反する」という
、今から考えると途方もない意見の持ち主がいた。
 「その考えは正しくない」という説得工作が宇都宮さんの大きな仕
事だった。工作するにはワシントンの内情を知らねばならない。彼が
選んだ人物がヘレン・トーマスだった。彼女は不偏不党のリベラルな
ジャーナリストであったからである。右顧左眄しないリベラルが、本
物の言論人の姿でなければならない。宇都宮さんは、そのことを筆者
に何度も訴えた。

<言論人とリベラル>

 筆者も政治評論家として独立した時に、卒業論文のようにまとめた
「自民党派閥」(ぴいぷる社)を出版した。当時のアメリカ大使館の
政治担当が「教えて欲しい」と連絡を求めてきた。臆することなく派
閥事情を公平にレクチャーした。彼はフィリピン大使館に異動する場
面で「アメリカ1カ月取材旅行」をプレゼントしてくれた。それまで
は大使館内の食堂でまずいコーヒーをすするだけで、それ以外、何も
なかった。国内政治に集中してきた政治記者は、がぜん、国際関係に
目を開かされることになる。
 訪米取材目的は、日本右傾化にワシントンは関与しているのか否か
。ブッシュ政権とは違っていてクリントン政権にそうした野望は存在
しなかった。「アメリカの大警告」(データハウス)にまとめると、
日本きってのアメリカ通の宮澤喜一さんが絶賛する手紙をくれた。が
ぜん、アメリカ通になった気分に浸ることが出来た。
 ヘレン・トーマス女史は宇都宮さんに対して、筆者は米外交官にそ
れぞれの内政事情を伝授したことになる。「ジャーナリストはリベラ
ルでなければ国民に奉仕できない」という宇都宮さんの薫陶を受けた
のは、恐らく筆者だけであったろう。

 彼が信頼した米人ジャーナリストが、現在89歳にして現役という
のである。筆者に勇気と意欲をプレゼントしてくれている。人生は短
いようで、実はまだまだ長く続くのである。女史のさらなる健闘に乾
杯したい気分である。

<64年目に覚醒した司法と政府>

広島原爆投下の8月6日、政府を代表して総理大臣と原爆症認定訴訟
団の間で全員救済の確認書が、広島で交わされた。64年にして政府
がようやく被害者の言い分を認めたことになる。背景には裁判所が原
告の主張を認める判決を次々と出していたからである。
 頑迷固陋の司法界が64年にして覚醒したのである。法と正義で裁
きを下す裁判所が、これほどの長期間、被爆者の無念を蹴散らしてき
たこと自体、異常なことである。一方で、強制労働の被害者や遺族へ
の裁判は、門前払いをしてきている。
 こうした事実は、司法界の体質が十分改善されているとはいいがた
い。司法改革はまだこれからなのである。政治的に分析すると、司法
界の変化は政権交代の流れと深く関係している。右翼的政権からやや
リベラルな政権移行が確実視されているからである。司法の保守化は
、政治の保守化と連動してきている。法と正義は二の次なのだった。
政権交代は司法のみならず、行政にも強い変化をもたらしていくだろ
う。既に民主党にすり寄る官僚が目立って増えてきている。ミイラ取
りがミイラになるのかどうか、民主党の正念場は9月に入ると、厳し
い採点が待ち構えている。これは国民にとって好ましいことである。
しかし、それでも課題は残るからである。リベラルな言論人は、常に
是々非々を貫く義務と責任を有している。あたかもヘレン・トーマス
女史のように、である。
健全な言論が、国民と政府にとって幸いをもたらすものなのだ。

<失業する自民党秘書>

 政権の交代は大量の秘書の失業を生みだすことになる。この大不況
の中での再就職はそんなに甘いものではない。当選出来ないものは、
只の人間でしかなくなる。自民党の再生はほぼ絶望的である。自己批
判さえ出来ない政党である。失政を総括できないのだから、仮にまた
政権を担当すると、同じ失敗をする。
 医療過誤をした医師が、それを隠しおおせると、再び過誤を起こす
。繰り返し医療ミスを起こしてしまう。自民党は医療過誤を繰り返す
失格医師そのものである。二度と政権に返り咲くことはない。
 この有様では「秘書の再就職はかなりきつい」と関係者は語ってい
る。頷ける話ではある。経済界も大慌てしているだろう。民主党との
パイプは少ないか細い。企業献金廃止を宣言している同党と企業の関
係はどうなるのか。ここはリベラル言論人の能力が試されることにな
ろう。
 ホームレスを抱え込んで生活保護を受けさせて、保護費を大半ピン
ハネする悪魔のような貧困ビジネスが流行しているが、失業時代のこ
れからは予想外の事件が起きてくる。社会混乱に目を向けねばならな
い時代に追い込んだ自民党の罪には、あきれるばかりである。

容易ならざる時代の到来である。
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:2009年8月7日号
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ネベリスク地震復興事業肯定的評価

 ハバロフスクで7月31日、ヴェ・プーチン首相が召集した「極東
地域社会経済発展会議」が開かれ、ア・ホロシャヴィンサハリン州知
事も出席した。そこでロシア連邦地域発展省のヴェ・バサルギン長官
がネベリスク地震復興事業報告後、ネベリスク地震記録に基づきサハ
リン州とカムチャッカ地域建物の耐震性が再検討されていると発表、
サハリン州政府の復興事業に対して肯定的に評価した。会議では極東
ガス化問題も議論されたが、「サハリン−ハバロフスク−ウラジオス
トク」を接続するガスパイプラインが完成し、これとヤクチヤ地域の
パイプラインと接続すると、極東地域へ安定的なガス供給が可能であ
り、パイプライン埋設事業はサハリン州から始まる。

災害清算に8500万ルーブル

 7月30日、サハリン州エス・シェレデキン副知事が大雨清算事業
会議を招集し、中央と自治体など関係部署職員一同が参加した。副知
事によると、先日サハリン州知事は大雨により被害を受けたユジノサ
ハリンスク市民と機関に補償を行うことを決め、関係諸所に協力を要
請した。また、各地方には既に被害復帰事業予算8500万ルーブル
が割当てられたとのこと。

インフルエンザA防止対策

 7月31日サハリン州政府会議でインフルエンザA防止策について
話し合われたが、現在サハリン州では港や空港などで医師らが乗客の
健康状態を検査しているなど、注意を払っており、今のところ危険性
はないと関係部署は報告した。州政府は体温を素早くなお正確に測定
する設備の購入予算を割り当てており、さる5月にサハリン州政府が
インフルエンザが流行した時に備え必要な予算を策定したとのこと。

人口調査10月14日

 先月28日のサハリン州人口調査委員会会議によると、2010年
全ロシア人口調査は10月14日に始まり、サハリン州では80人の
調査員が各自544棟の建物を担当し、20日間行う。調査委員会は
住宅の番地整備と地方自治体の協力の必要性を訴えた。

自治長選挙

 来る10月11日、サハリン州で自治長と州議員選挙が行われる。
7月31日、州議会はマスコミ関係者を呼びセミナー形式で本選挙方
式の説明を行った後、選挙日28日前から候補らに対するアピールが
できると伝えた。

マス・鮭漁獲量2年前より1.5万トン増加

 7月31日の州政府会議によると、今年のマス・鮭漁業は大豊作で
2年前に比べ1.5万トンも増える。今まで4.27万ドンのマス、
1800トンの鮭が釣れており、東部沿岸では7月予測以上のマス鮭
が上がってきたため予想以上の漁獲高を達成した。

創業補助金支給

 先月24日サハリン州就業管理局がウゴレゴルスクの失業者450
人(3%)を対象に創業資金を補助する方針を発表した。金融危機に
よる失業者を救済する方法は個人事業を支援するしかないとの工夫策
として出された本対応策で創業支援援助の他、技術研修なども行う方
針だ。

交通事故による死亡者1万人以上

 ロシア内務省によるとロシアはヨーロッパ諸国の中で交通事故によ
る死亡率が最も高い国。今年に入って既に1万人以上が死亡した。長
官は飲酒運転の場合例外なく免許停止処分をするなど処罰を厳しくす
る他、交通警察官の過失を減らすため、交通警察全員に1カ月中に再
試験を受けるよう指示した。

事業家殺害

 ドリンスク市で45歳の事業家が自宅で殺害される事件発生。急に
誰かが家に入り、被害者をナイフで数カ所刺し殺した本事件を警察が
今調査中。

熊に注意

 7月、エトロフ島部落の住民(58歳の男性)が子熊2匹に襲われ
、胸と肩などに大きい負傷を被った。怪我をさせた後、熊たちは山に
戻り男性は自力で2km離れた病院まで歩き、幸い内臓には異常がな
いとのこと。

母親が息子を殺害

 今月24日、ノグリキ地域のある住宅で5歳の男児が死体で発見。
殺害の疑いで逮捕された29歳の母親は貧しさのために扶養できなく
て息子を絞殺したと言っているが、警察は殺害の動機を捜査中。

韓国海洋警備艇歓迎

 さる4日、韓・露警備艦艇共同訓練のためにコルサコフに入港した
韓国海洋警察隊員90人をロシア国境守備隊のみならずサハリン同胞
、ロシア人学生など多くの住民が暖かく迎えた。3泊4日の日程で訓
練と地域住民との交流会などを経て7日夕方出航した。
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セコリョ新聞日本語版バックナンバー
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-1.html
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◆09年の肖像「ミッチャンのこと」:片山通夫
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  沖縄出身だという。昨年秋に店を開いた。沖縄料理と酒。酒は泡盛
  と焼酎が中心だ。料理は彼女手作りの沖縄料理。こちらでは手に入
  らない食材は「沖縄から取り寄せる」と胸を張る。店の名前が変わ
  っている。「たこふじ」。なぜこんな名前になったのか少し興味が
  あったので聞いてみた。(写真:たこふじで09年8月4日夜撮影)

 続きと写真>>
http://www.609studio.com/web/2009/08/09.html#more
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◆[編集長から]              片山通夫
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 大変な雨である。被害も甚大だ。亡くなられた方や水害にあわれた
方が多数・・・。自然の前に人間の非力が悲しい。

 ヒロシマ・ナガサキの原爆記念日。慰霊の週だった。毎年思うのだ
が、首相の挨拶の虚しいことよ。
両市の市長が「核廃絶」を訴えて、これに比して首相の言葉の虚しさ。
たとえば、今年、田上富久長崎市長は平和宣言で「核兵器のない世界
を目指す」としたオバマ米大統領のプラハ演説を高く評価し、日本政
府に対し「非核三原則の法制化、北東アジア非核兵器地帯の実現に努
力すべき」だと訴えた。
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/peace/japanese/appeal/index.html

 麻生総理は「本日、私は、改めて日本が、今後も非核三原則を堅持
し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向け、国際社会の先頭に立って
いくことを、改めてお誓い申し上げます」とのべた。
http://www.asahi.com/special/plus/SEB200908090008.html

 ところがヒロシマでの記者会見で、首相は「「核で攻撃しようとい
う国が隣にある。抑止力を持つ米国と同盟を結んでいる現実を踏まえ
ないと。一方的に誰かがやめたら相手もやめてくれるという世界では
ないと思う」と話したとか。

 虚しい・・・。首相は虚しさを感じないのだろうか。市民の非力を
思う。
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発行     2009年8月11日   No.395
編集・発行  609studio   Michio Catalan
発行     毎週火曜日  購読料無料
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