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タイトル:609studio No.393◆現代時評:「さあ選挙、つまり政治屋の地位保全合戦か」  2009/07/28


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【609 Studio 】メール・マガジン 2009/07/28  No.393
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
話題満載! 
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◆現代時評:「さあ選挙、つまり政治屋の地位保全合戦か」 ken

◆本澤二郎の「日本の風景」

◆[セ・コリョ新聞日本語版] :届いておりません。

◆コラム・EYE :

◆編集長から

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◆現代時評:「さあ選挙、つまり政治屋の地位保全合戦か」 ken
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◆◆ 麻生内閣メールマガジン第40号 2009.7.23 「衆
議院解散−景気回復と安心社会の実現に向けて」 21日、衆議院を
解散して、国民の皆さんに信を問う決意をいたしました。「日本を守
り、国民のくらしを守る。」その実現に向け、「政治の責任」を明ら
かにするためです。 私は、就任以来、景気を回復させ、国民生活を
守ることを、最優先に取り組んできました。 その間、私の不用意な
発言のために、国民の皆さんに不信を与え、政治に対する信頼を損な
わせました。深く反省いたしております。謙虚に反省し、この反省の
上に立ち、皆さんの思いを大切にして、責任を全うしてまいります。

■■ 一つ目の約束は、景気回復。日本経済は、全治3年。景気最優
先。 二つ目の約束は、安心社会の実現。この約束が実現できなけれ
ば、責任を取る。これが、三つ目の約束、つまり政治責任を果たす。
これが今回の麻生首相による解散選挙のための約束だという。 結構
なことでお手並みを拝見しよう。 

■■ 議会解散で面白いのは「紫の袱紗(ふくさ)」と「万歳三唱」
であろうか。 この二つの習慣は戦前戦後を通じて変わらぬ純日本的
風景だ。 紫の袱紗が開かれ詔書を読み上げられたとたんに全議員は
議員の身分を喪失し、議長といえども詔書の読み上げ以外には一言の
発言権もないらしい。 ボクは議院の「紫の袱紗」を思い出すたびに
国技大相撲の行司の装束を連想し、「やはり日本というのは奥床しい
歴史・・」と、あの大仰な伝統的ファッションに感心する。 

■■ それに比べると、詔書が読み上げられた後の議員全員による万
歳三唱はいささか頷けない、コミック漫画以外の何ものでもない。
 なぜあの場合に万歳を三唱するか。 おそらく「万歳」とでも言わ
なければ他に表現しようが無い議員諸君の失職へのぎこちない恨み心
の表現でもあろうか。 失業した議員たちのやるせない「から元気」
が期せずして万歳を唱えさせるのであろう。

■■ そうした万歳三唱の姿には、前議員諸君の国政に対するそれま
での責任意識も感じられないし、まして「日本国家はかくあるべき」
の政治家たちの気負いもぜんぜん伝わってこない。 そこにあるのは
失業サラリーマンたちの投げやりな虚無感だけである、不幸な政治屋
たちのその日の姿!

■■ その日、ボクがTVを眺めていて腑に落ちぬことが一つあった。
 いったい麻生首相はなぜ議会解散を択んだのか。 この秋にはどう
せ期限が満ちて解散するはずの議会に、ソレを待たずに首相権限で議
会を解散させる必要が果たしてあったのか。それがボクには分からぬ。 

■■ 野党が解散を慫慂したし、与党の中にもそれに同調した議員も
居た。 もちろんマスコミの大部分は面白半分に解散を勧めた。
 だからと言って首相が議会解散を決意する理由とするには薄弱であ
った。

■■ とくにマスコミは、瑣末な首相の漢字の読み違えや、取り敢え
ずの経済運営がうまくいかぬことを針小棒大に論じて、首相辞職か、
さもなければ議会解散を慫慂した。 マスコミが無責任に現政府を批
判する論陣を張るのは、彼らの商売のタネだからいいかも知れない。
しかし与党自身の中にも獅子身中の虫のような議員が居て、いわゆる
「麻生降ろし」に懸命になっていた。 彼らおよびマスコミは当面の
政治責任よりも、いわゆる政局を造ることの方がより大事だったのだ
ろう。 そのためには麻生首相の落ち度を求め、そしてそれを非難揶
揄のタネにした。

■■ 念のため言っておきたいが、麻生首相が「未曾有」を「みぞゆ
う」と読んだとして、彼を無学と笑う人も居る。 がしかし、未曾有
を「みぞゆう」と読んでも間違いではない。 「みぞう」と読むか「
みぞゆう」と読むかは、いわゆる読みクセの問題であってど知らでも
いいのだ。 ソレを「未曾有」と嫁と強要したりするのは一知半可通
のやからだけである。

■■ 今の国際経済では、全世界何処の国もみな先例に無い赤字財政
で、財源を云々するよりも先に緊急財政支出を実行しなければならな
い状態であるのは周知の事実であり、あえて日本の自・公政府の失政
として、論(あげつら)うべきところではなくまして麻生首相の失敗
ではさらさらない。なのになぜ麻生首相が、自身しでかしもしない失
政のお詫びをしたり、これといって能の無い寄せ集め政党の民主党ま
でが与党議員の一部と一緒になって「麻生降ろし」を合唱したのか。
 麻生を非難する彼らに一国の国政を預かる責任感が著しく欠落して
いた、とボクは断じたい。 

■■ 善意に解釈すれば、珍しく自動的に切れそうになっている衆議
院議員の4年任期切れを前にして、議員諸君が自らの議員資格を選挙
により一日も早く再確定したく、その焦燥感に駆られた挙句が今回の
麻生内閣降ろし、つまり早期選挙日の確定への運動となったのではな
いか。 つまり、定年前の安サラリーマンがその失職への憂いを糊塗
するために、「誰それが怪しからぬ」と人身御供を探し求めるのと同
じ状況ではなかったかと、ボクは思っている。

■■ 他国はイザ知らず、ボクの知っているかっての日本と言う国で
は、政治家は誇り高き名誉職であった。 身はたとい井戸塀となろう
とも国家社会のために最後まで尽瘁するのが、彼ら政治家のプライド
であり社稷から与えられた職責であった。 だからこそ政治家は社会
から先生と敬称される偉い人であった。 医は仁術であり教育者は聖
職であったと同様に政治家もただのサラリーマン政治屋ではなかった
のである。 それがいつの間にか、医者は医療保険で荒稼ぎし、聖職
教育者は教育労働者と化し、政治家が体(てい)のいい職業政治屋に
変化してしまったところに問題の発端がある、とボクはみる。 彼ら
に政治家としてのプライドが無くなり、代りに職業的政治屋というサ
ラリーマン類似に堕してしまったところに「政局」というチャンス狙
いが流行するという時代が訪れたのである。

■■ さてこれをどう改革するか。 ボクの主張はこうだ、衆議院解
散といういまや悪弊となっている習慣を無くするため、憲法上の議員
任期を4年間にし、任期途中の衆議院解散システムを廃止するのだ。
 そうすると、任期途中で失職という不測の虞(おそれ)も無くなり
、平議員も首相も任期中の身分保障を得て、4年間は安心して思う存
分その政治的職務を遂行できる。 そうなると、倒閣運動とか首相権
限による欲しい侭の途中解散も無くなり、よかれ悪しかれ政治のコン
スタンシーは保てる。 米国の議会や大統領職などがそのよきモデル
である。 もし米国の大統領が日本の首相のように、ときとして年に
二回も交代したらどうなるか、考えて見れば解る。

■■ わが首相のようにいつ交代するか判らぬ状態で、はたして諸外
国からの信頼を得られるかどうかまことに疑わしく、そうした状態が
戦後50年も継続してこられたことじたい異状と言うべきであった。
 その異常の原因は一にかかって与党の一党独裁が数十年も続いたこ
とにあり、それによるデメリットもたくさんあったのを我々国民は忘
れるとも無く忘れていたのである。 

■■ いま、「旧労組系が混じっていて危険な民主党でもいい。いち
ど政権を取らせよう」といった気風が今回の八月選挙において顕著な
のはそうした過去の与党偏在によるデメリットへの反動である。 国
民の過半は、寄せ集めのいまの民主党が国政への負託に堪えられるか
どうか危惧している。 鳩山代表の「友愛政治」で国家の経済難局に
果たして耐えられるかどうか。 あるいは金権政治の亡霊をいまなお
引き摺っている小沢前代表に今後の日本を任せられるかどうか、思え
ば民主党による政治も危険である。 がしかし、短期間でもいい取り
敢えず民主党にやらせてみよう、というのが国民の偽らざる心境であ
ろう。
 
■■ ボクとて同じだ。わが選挙区の先日までの自民党選出議員は、
つい先般も国有地売却買収疑惑に名前が出た男で、その顔写真のポス
ターが街中、そして年中どこにも貼りつけてある鉄面皮の先生である
。 彼だけは絶対に再度当選させたくない。 がしかし、その対抗馬
としてここ半年、顔写真ポスターをところ構わず貼りまわり事前運動
を続けているのは、民主党副代表と称する前議員の、その息子である
。 この前議員兼民主党副代表もまた、先日の障害者郵便制度悪用事
件で官僚に圧力を掛け、あわや検察に事情聴取かと思わせたが、途中
でうまく揉み消したらしい典型的な利権政治屋である。 というわけ
でわが選挙区には、ボクが投票したい候補者が今のところ見当たらな
い。 

■■ とはいえ彼ら政治屋諸君は、猿と違って落ちれば議員でなくな
るのだから、サラリーマンの就職運動と同じで、先ず自分自身の商売
のため精一杯努力し、票を集めるつもりだろう。 それはそれで一国
民としての権利の行使で、咎めることもない。 それがボクという一
有権者の選挙権行使とどういう関係があるかを考えた場合、必ずしも
投票に行かねばならぬという義務感がどうしても湧いてこない。 彼
らは彼らなりの選挙アピールをすればいい。 そしてボクら市民は、
善良なる市民としての「不投票権」というのを行使しようと思う。

■■ これを要するに、わが日本という国、とくにボクの投票選挙区
においては、公職選挙システムが未成熟な地域であると断定せざるを
得ない。 残念なことである。
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◆本澤二郎の「日本の風景」 
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<品性欠く民放番組に出演>

 テレビ朝日から出演の依頼があり、六本木ヒルズの敷地内にあるス
タジオに出向いた。テーマがウイグル騒乱という中国・アジアにとっ
て深刻な問題だったので、それこそ久しぶりに顔を出した。テレ朝は
朝日新聞系列である。右翼的なものではないだろうとの判断もあった
。それに以前に出演していたヤクザ代議士OBは、もう出ていないとい
う解説にも納得した。

 初めて化粧をした。担当者が「やりますか」と催促するものだから
、何事も経験だと思いOKした。化粧をする前に自動カミソリ機を使わ
された。なるほど黒い髭がかなり消えてくれた。ものの5分程度で終
わった。
 スタジオには20人ほどの観客も陣取っていた。無意味に笑い、拍
手するための要員のようだ。それにカメラなどのスタッフがかなりい
るではないか。土曜日の休みの仕事である。相当なコストをかけて番
組が作られるのであろう。

 中央に麻生太郎のような多少口が斜めのおじさんが、隣に司会者の
中年女性、二人の左右にお年寄りの政治評論家と右翼人士、対して中
国・韓国の若い学者、それに筆者も刺身のツマのように隅に陣取った。
 始まってみて気付いた。格調の高い真面目な番組とは無縁のものだ。

やんちゃ坊主のような右翼人士が北朝鮮や中国をとことんいびると、
無視すればいいのに中国と韓国の若い学者がまともに反発する。無意
味な討論会が延々と続くである。筆者を除いて口から生まれてきたよ
うな面々ばかりだ。日本側の右翼的発言は無責任きわまりない。それ
に笑いと拍手をするおばさん達が、背後ではやし立てる。
 うんざりする1時間番組である。途中、VTRがはいるが、これが
また悪質きわまりない内容である。いかがわしい中国人で知られる人
物までがコメントしているではないか。フジテレビよりひどい番組で
ある。

<右傾化番組>

 口の曲がった感じのおじさんがたまにチャチを入れる。最後の場面
では9条を誹謗するものだから、こちらもかっとなって「9条のおか
げで64年間日本は戦争をしないで来れたではないか」と大声を挙げ
ると、右翼人士は4人そろってかみついてきて時間切れとなった。

 中国・北朝鮮たたきのシナリオのもとで製作された悪質番組であ
る。隣国脅威論をまき散らし、改憲世論づくりが狙いなのであろう
。筆者も体よく利用されたのであろうか。
 しかし、事情を知らない茶の間のテレビ人間は、この番組(8月
3日放映)によって大いなる誤解をしてしまう。彼らは7月27日
放映番組で総選挙を扱うのだという。連中にとって政権交代はいや
なのであろうから、いったい自民勝利のための番組をどう製作する
のであろうか。
 テレ朝のトップは確か朝日新聞の政治部、それも平和主義者・三
木武夫の派閥を担当したものである。右翼ではない。それでいて、
こんな右翼番組を編成するテレ朝である。どうしてこんなに落ち込
んでしまったものか。在京政治部長会の時のテレ朝政治部長におか
しなものはいなかったのだが。

<視聴率主義>

 スタッフの一人がこの番組の視聴率は10%台だという。よく見
られる番組のようだ。品性のない討論番組に視聴率が高いとはどう
いうことか。日本国民の右傾化を物語っている。他方、右翼的政権
からリベラル的な政権に移行する日本である。ワシントンほどでは
ないが、日本もまた変革している。
 新政権のもとでは、靖国や教科書での衝突は激減するであろう。
政権の交代はアジアにとっても好ましいものである。番組はしかし
、そのことを無視している。いつまで続くのであろうか。視聴率主
義をこのまま続けるのであろうか。

<スポンサー主導>

 担当者がくれた資料を見ると、スポンサーが載っている。その中
に経団連の改憲世論担当者の企業が存在した。してみると、この右
翼人士はスポンサーから番組スタッフに指示された面々なのであろ
う。
 右翼的言動が激しいほど彼らの成績はよくなるものか。日本のこ
とはすっかり棚上げして「中国には人権がない」「選挙をやってみ
ろ」と高飛車になって中国・韓国の学者に絡んで楽しんでいる。昔
なら、こんな番組に出演をする中国・韓国の学者はいなかったろう
。しかし、今は違うのか。

 作・演出=右翼スポンサーのこの番組には、さすがに意気消沈し
てしまった。ここまで下品な番組製作をするテレ朝に対してで、あ
る。その現場をこの目で見せてくれたことには感謝したい。また、
かの人物が改憲論者であることも知った。宮崎県知事の先輩のよう
である。芸能人にも本物はいない。
2009年7月25日21時00分記
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◆セコリョ新聞日本語翻訳版:届いておりません。
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 届き次第お届けいたします。
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セコリョ新聞日本語版バックナンバー
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-1.html
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◆コラム・EYE 09年の肖像「高 政美」:片山通夫
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  高さんは数奇な運命をたどった一人である。3歳の時、両親とと
もに、北朝鮮への帰国船に乗った。その時一緒だった兄は10代半ば
だった。帰国船が北朝鮮の港に着くなり兄は激しく下船を拒んだ。

記事全文 
http://j-net.obei.jp/katayama/2009/07/post-45.html
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◆[編集長から]              片山通夫
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 選挙の前哨戦がたけなわである。「刺客」を出す民主党に対して、
防戦一方の自民・公明の与党群という構図だ。公明党の大物に対して
知名度で勝るとも劣らない候補を選んで「通る候補」だと豪語する民
主党だが、しっかりとした政策論争をやってもらいたい。

 山口県を中心にした豪雨はなお降り続いている。その爪あとの癒え
ぬ間に次の被害が・・・。

 26日日曜日に、滋賀県の東にある醒ヶ井という町へ行った。町の
中を流れる地蔵川には「梅花藻(バイカモ)」と呼ぶ花がちょうどこ
の季節に可憐に咲いている。

 醒ヶ井は中山道の宿場町だった。古代からの交通の要衝であり、日
本書紀の日本武尊の伝説に登場する「居醒泉」が醒井の地名の由来で
あるらしい。

 今に残る宿場町を歩く風情は、たとえそれが雨の中であっても、い
いものだ。

 日曜日も雷を伴う大雨だった。
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発行     2009年7月28日   No.393
編集・発行  609studio   Michio Catalan
発行     毎週火曜日  購読料無料
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