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タイトル:609studio No.383◆本澤二郎の「日本の風景」  2009/05/05


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【609 Studio 】メール・マガジン 2009/5/5  No.383
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」日本語版、その他、寄稿記事など
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◆現代時評:今週は休載です。

◆本澤二郎の「日本の風景」

◆[セ・コリョ新聞日本語版] :2009年5月1日号

◆コラム・EYE

◆コーヒーブレイク

◆編集長から

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◆現代時評:今週は休載です。
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 来週をお楽しみに。
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◆本澤二郎の「日本の風景」 
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<晴耕雨読>

 昨夜、わが田舎の庭に忍び込んできたタケノコを採取して土産にして
帰宅した。なじみの鶯(ウグイス)のさえずりもたっぷりと聞くことが
できた。天にも届きそうな透き通った鳴き声は、表現のしようがないほ
ど美しく、筆者をしばしうっとりとした気分にさせてくれる。至福の瞬
間である。春は鶯にとっても恋の季節なのだろう。
 農家のジャガイモ畑をのぞくと根元に土を盛っている。わが菜園のジ
ャガイモにも同様の土盛りをした。雑草を抜いたりしていると、間もな
く汗がTシャツを濡らしてしまう。春とはいえ、夏日のような太陽だか
ら首に巻いたタオルも洗濯したようにびしょ濡れになってしまう。
 時折、腰を上げては一呼吸を入れるのだが、土いじりをしていると不
思議なくらい脳の回転がよくなるらしい。言論人としての政治分析にも
切れ味が出てくる。抜け落ちていた分析がふいと思い出してくれる。晴
耕雨読とはよく言ったものである。晴耕雨思考ではないだろうか。

<価値判断の基準>

 物事の判断・分析はどうあるべきか。その人の置かれている立場に左
右される。ただし、問題は思考・価値判断の土台をどこに置くのかであ
る。肝心要はこの点に尽きよう。むろん、国民が土台になる。国民のた
めのものでなければならない。正しくは人民(ピープル)といったほう
が適当かもしれない。人民の側からの価値判断が肝要である。実際には
、そうではない学者・文化人・言論人・政治家などばかりである。不思
議なのだが、政府や企業、団体のためであってはならない。言論・ジャ
ーナリズムは「人民・国民に奉仕する」ものである。ここにこそ存在価
値がある。
 現実には、この土台がはっきりしていない学者や言論人・文化人が少
なくないため、混乱・混迷を派生させる。有害・無益の言論が氾濫して
いる日本である。志の低い、自己保身の為政者がいかに多いことか。

<権力との距離>

 政治権力との関係はいうまでもないだろう。公器たるマスコミは、権
力の走狗であることが許されない。一定の距離を置く。これを破って権
力に屈し、権力のための報道や分析をして国民に垂れ流すようでは、そ
の政策内容次第では悪徳・罪悪である。国民が利する政策については評
価することは当然である。是々非々が言論人の立場だが、その判断・認
識の土台は、常に国民・人民に置かなくてはならない。
 実際問題、権力になびくマスコミは掃いて捨てるほど多い。「権力と
結びつくと、確かに金にもなるし、楽ではあるよ」とは生前の宇都宮さ
んの言動である。だが、善良な言論人は国民に害する政府や団体、企業
の政策や活動を知って、それに漫然と沈黙することは許されないだろう
。いわば悪徳の権力だから、断じてそれに屈してはならない。それが宇
都宮さんの遺言のようなものだった。健全な言論は厳しいのである。
 権力に屈しない立場というと、それは保守や左翼でもなく、リベラル
である。リベラルの特質の一つは寛容である。いかなる人士、それが共
産圏であろうと友好・交流は重視される。現に、日本では左翼という
よりも、リベラルが本領を発揮した場面だった。右翼は権力に容易に取
り込まれるが、リベラルはそれを拒絶する。土台が人民だからである。

<企業・団体との距離>

 リベラルは団体や企業との関係においても、権力に対すると同様、一
定の距離を保つ。公正・客観的に判断して、国民の利益になる行動であ
れば、むろん是認し、時に社会に伝えることも重要である。しかし、権
力に対すると同様に彼らに取り込まれてはならない。不偏不党は政治に
限らない。
 ミイラ取りがミイラになっては元も子もない。それは政府や政党に対
するような監視の役目を果たす必要がある。冷静沈着に是と非を分別す
る技能もまた求められよう。それこそが国民に奉仕するものなのである。

<憲法認識>

 リベラルは平和主義を大事にする。むろん、民主主義は当然のことで
ある。人権尊重はいうまでもない。隣人を大事にする。それでいて日本
マスコミ界には、これを尊重するどころか破壊しようというものも存在
する。
 日本の誇りは憲法である。おかげで今日の日本がある。戦争ができな
い日本にしている憲法は、過去の重い歴史の成果なのである。いかなる
事態が招来しようとも、このことを日本人はいうまでもなく、アジア人
も忘れてはならない。
 政治家や官僚におかしな人物がかなりいる。言論人にも。ここに日本
混乱の原因が潜んでいる。国民に奉仕するリベラルな言論人が、その根
源を分析して国民に知らせていく。本物はそうするだろう。平和憲法を
擁護する義務を負っている。日本の言論人の特別な使命なのである。
 悪しき為政者は領土や海外での事案を利用して、事情を知らない国民
に緊張をまきちらすものである。狙いはなにか、土いじりしていると、
真犯人はたとえ透明人間だとしても、くっきりと見えてくるものである。
 緊張を吹聴する為政者が現れたら、人々はまず疑ってかかる必要があ
ろう。
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◆[セ・コリョ新聞日本語版] :2009年5月1日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ →
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メーデー記念行事

 サハリン州職業同盟連合は5月1日に春と労働者の日を一緒に祝うと
サハリン州政府が伝えた。朝の10時にレーニン広場で祝賀集会とコン
サートが開かれる予定であり、行事組織委員会は5千人程の市民が参加
すると予測している。

石炭工業発展プロジェクト案検討

 4月27日、サハリン州政府部で「2010−2015年サハリン州
石炭工業発展プロジェクト案」の検討会議が開かれた。サハリン州経済
委員会が発議した同プロジェクト案の主な内容は、採炭量の増加、石炭
加工システムの整備、輸出増加、石炭工業専門家養成機関設立などであ
る。会議の参加者らは自然保護措置案と運輸分野発展問題を提議したと
伝えられている。

オランダ特命全権大使、サハリン訪問

 4月27日、サハリン州カ・ストロガノフ第1副知事がロシア連邦駐
在オランダ特命全権大使のヤン・パウル・デルクセさんを接見した。副
知事によると、二人は石油ガス及び文化分野における協力問題について
話し合い、又、サハリン州政府は「サハリンー3」プロジェクトに参加
しようとするオランダ政府の計画を肯定的にみているとのこと。世界経
済危機の中でも外国の大手企業はサハリンの石油ガス開発事業に投資す
る意思を持っているとのことを指摘したい。

サハリン州旗の日

 4月26日はサハリン州を象徴する州旗が制定されて12周年。サハ
リン州の旗には地図が描かれている。これは領土不可分と保存を意味す
る。旗には青を背景にサハリン及びクリル列島が白く塗られてあるが、
白は潔白、善、独立を、青は太陽を意味する。即ち、サハリン州の旗は
サハリン及びクリル列島はロシアの領土だということを表わしている。

サハリン人口の4分の1は貧困者

 サハリン統計局によると、今年4半期サハリン州住民の1カ月平均所
得は2万1千ルーブルで昨年同期に比べ6%増加した。しかし、最低生
活費にも満たない所得者も多く全体住民の24.5%(12万6200
人)に達しており、昨年に比べ1万人も増えている。

春の農業博覧会

 4月26日の日曜日、ユジノサハリンスク市内中心街で春の博覧会が
開かれた。農作物を生産している30余企業が参加したが、例年のよう
に数千人の住民が足を運んだ。会場で乳製品、野菜などを生産者から直
接安く手に入れることができるからである。

麻薬関連犯罪急増

 ロシア連邦麻薬密売統制サハリン管理局によると、今年に入ってサハ
リン州の麻薬密売関連犯罪が昨年同期に比べ15倍も増加した。この4
半期、関連犯罪件は387件。麻薬中毒者のための特別回復診療所が必
要だがそのためには莫大な予算が要る他、完全治療可能性も低いという
のが専門からの意見。中毒者の置かれている社会環境が変わらないと完
治は難しいとのことで当局は頭を痛めている。

サハリン州内道路問題でインタビュー

 さる4月16日、サハリンラジオ放送番組「政権との談話」にサハリ
ン州運輸管理局のシャ・エム・ダブドフ副局長が出演した。彼とのイン
タビュー内容の一部を紹介する。

−ユジノサハリンスクとオハ間道路は州経済及び住民生活に極めて重要
な影響を与えるものだ。道路はいつ完成するのか。
−この道路は極東及びザバイカル地域の発展のための連邦特別事業の一
環として進められており、建設に費やされる総予算額は500億ルーブ
ルだ。全体予算中110億ルーブルは連邦特別事業予算から割当てられ
るが、残りは連邦と州が負担する。今、金融危機なので予定通り予算が
おりるかどうかが問題だ。連邦政府が協力してくれるならば2016年
には完成できるであろう。計画によると今年中にマカロフまで舗装しな
ければいけない。

−ウゴレゴルスクまでの道路はいつ舗装できるのか。
−この道路は難しい。2013年までオハとネベリスクまでの道路を舗
装しなければいけない。一度にすべての道路を整備することは不可能だ
。ウゴレゴルスクまでの道路建設には200億ルーブルが必要だ。これ
は巨額だ。今、私たちにできるのは修理だけ。この道路は大型トラック
の通行が多く、直ぐ道路が悪くなる。州政府は現在2億ルーブルの予算
を割り当て修理作業を行っている状態だ。

−ロシア中心部までの航空運賃問題はどうなっているのか。
−政府が特別航空運賃に関する決定を承認し、既に実行されている。モ
スクワとサンクト・ペテルブルグまでの航空券は特別料金で購入できる。
サハリン−モスクワ区間はトランスアエロ社とアエロフロート社が、サ
ハリン−サンクト・ペテルブルグ区間はウラジアヴィア社が運行するこ
とになっている。アエロフロート社は往復のみ、特別料金を適用してお
り、トランスアエロ社はサハリンのみならず極東地域全体住民に特別料
金制を適用する。しかし、特別料金の適用期間は5月15日〜9月15
日まで、又23歳未満と60歳以上の年齢層に限る。購入の際、特別な
書類などは必要ない。パスポートを見せるだけで買える。

金・チョンス領事セコリョ新聞社訪問

 27日、ユジノサハリンスク駐在韓国総領事館出張所の金・チョンス
領事がセコリョ新聞社を訪ね、社員らを激励すると共に財政難解決に力
を貸すと約束した。
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◆コラム・EYE「世界報道自由デー」:片山通夫
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 5月3日は国連が定めた「世界報道自由デー」である。いささか古い
が2000年5月2日に国連事務総長、ユネスコ事務局長、人権高等弁
務官が出した「世界報道自由デー(5月3日)」共同メッセージ という
ものがある。 
http://www.unic.or.jp/recent/pr0042.htm

 そこには「私たちは、政府、地方自治体、軍隊を問わず、世界中の紛
争状況におけるすべての活動主体に対し、あらゆる一般市民が信頼でき
る情報を得る権利、および、ジャーナリストがその安全、自由あるいは
生命を危惧することなしに、信頼できる情報を提供する権利を保護する
よう促します。」とある。促された側の対応は残念ながら充分とは決し
て言えない。
 紛争当事国や地域での軍側の対応は言うの及ばない。わが国でもイラ
ク派兵を決行した自衛隊がそのいい例だといえる。また先月、北朝鮮の
「ミサイル発射」騒ぎでの我が国メディアの「はしゃぎ様」は尋常では
なかった。世界報道デーに出された「共同メッセージ」にある「一般市
民が信頼できる情報を得る権利」では決してなかった。
 少し話が違うが、酒を飲んで裸で誰もいない公園で叫んだタレントだ
かを「逮捕して自宅を家宅捜査」した警察の「行き過ぎ」を糾弾したメ
ディアもなかったように思える。たかが「酔っ払って裸で公園で叫んだ
程度」なのだ。自宅の家宅捜査まで必要とは思えない。せいぜい「トラ
箱に保護」程度の問題だ。捜査令状を出した裁判所も何の証拠でと疑う。
 我々は紛争や戦争などの地域は「海の向こうの問題」だと考え勝ち
だ。まして国連の定めた「世界報道デー」はそれら、紛争地域の問題だ
とやり過ごす危険がある。しかし、決してそうではないということをこ
の機会に認識したい。記者クラブ制度は排他的だという理由で、諸外国
のマスコミからも糾弾されているが一向に改善されない。記者クラブが
「なあなあの取材」をしていた戦後の半世紀以上の長期間、国民は「お
上の流す情報」を鵜呑みにしてきた。これは危険な状況だという認識を
明日、5月3日に持つ機会としたい。ちょうど5月3日は「憲法記念日
」でもある。わが国の憲法には「報道の自由」がある。

参考・日本国憲法
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これ
を保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはな
らない。

日本国憲法全文  
http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM
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◆コーヒーブレイク ⇒ほぼ毎日更新!       
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*コーヒーブレイク
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/

*小説「ムンバイに消ゆ」
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*備忘録
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*セコリョ新聞日本語版
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-1.html
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◆[編集長から]              片山通夫
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  ややこしい。豚インフルエンザ、いや、新インフルエンザのことであ
  る。世界的な蔓延が危惧されている。早期に終息することを願うのみ
  だ。門外漢としては・・・。

  こんな時、いつも問題になるのが風評被害。とてもじゃないけど、通
  常の意識では考えられないことが起こる。メキシコ料理店が、エジプ
  トの豚が、そしてメキシコと言う国そのものが。

  何とか「常識の範囲」で考えたい。東京のメキシコ料理店がどうして
  「怖い」のか?エジプトの豚が何万頭もどうして扼殺されなければな
  らないのか?

  もっとも平静を保っているのがメキシコの国民だとしたら?

  風評のほうが、新インフルエンザよりも怖い?かも知れない。
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発行     2009年5月5日   No.383
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム        ID:MM3E1B97842E020
e-mail        office@609studio.com
website    http://www.609studio.com
投稿      http://www3.ezbbs.net/06/609studio/
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