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タイトル:609studio No.371現代時評:「オバマ新大統領の英語」  2009/01/20


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【609 Studio 】メール・マガジン 2009/1/20  No.371
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記
事など話題満載! 
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「オバマ新大統領の英語」      ken

◆本澤二郎の「日本の風景」

◆コラムEYE「罪悪感・・・」:片山通夫

◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]:サハリンから届いておりません。

◆コーヒーブレイクから

◆編集長から
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          小説「ムンバイに消ゆ」

  この小説は初めてインドへ行った時に受けた強烈な印象をそのまま
  書いたものです。お読みいただき、皆様の感想をお寄せください。

     小説「ムンバイに消ゆ」は以下に掲載してあります。

  http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-8.html

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◆現代時評:「オバマ新大統領の英語」      ken
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■■ 「オバマ大統領の英語はうまい」と、麻生首相が言ったとか、
何処かで聞いた。 だいぶ昔、故吉田首相が、スタンフォード大学へ
留学していた麻生さんを、これでは将来英語に困るからといって英国
の大学に転学させたという話も聞いたことがある。 ならば、麻生さ
んはいい英語ができるはずだ。 その麻生首相が、オバマ大統領の英
語は上手だというのなら、オバマ氏の英語は立派であるに違いない、
とボクは思った。 そして、取り敢えずネットのYouTubeで、オバマ
氏の伝記を聞いてみた。 

■■伝記には、ほんの断片的ではあるが、オバマ氏自身のスピーチが
出てくる。 それを聞いて感心した、なるほど立派な英語だ。 もっ
ともボクの英語力では、誰の英語が立派で、誰の英語が悪いかなどの
判定は難しい。 ところが、英女王のスピーチはボクでも80%くら
いは理解できる。 女王様の英語は立派であると解すべきだから、つ
まりはボクが聞き取れる英語なら立派な英語であると解していいと、
一人で解釈している。

■■ 数年前に英国の中流家庭ばかりをホームステイして1ヶ月ほど
回ったことがある。 そのとき、医者の家で数日泊まらせていただい
た。 そこの堂々たる大奥様が、米国に住むお嬢さんに、毎日必ず長
電話を掛ける。 そのときの口調はゆっくりと一語一語、隣部屋のボ
クにもじゅうぶん聞き取れるくらいの速さだった。 彼女の話では、
格調高い英語とは、一語一語の発音を正しくし、省略語は用いず、文
字間のリエーゾンなどは遠慮すべき、とのことであった。 米国流の
いわゆる巻き舌のR発音はぜったいしないのが英国人および英語の誇
りである、と彼女は言った。 なるほどだからこそ、女王様やオバマ
氏の英語がボクに聞き取れたのだ。 

■■ ボクは若いころ、ハワイにいっとき住んだことがある。 その
名残で、数十年後のいまもなおハワイ式のローカル英語が抜けない。
 それに比べると、少年のころホノルルに住んでいたはずのオバマ氏
にはハワイアン英語の片鱗も無い。 まさしく彼の英語はキングズ英
語である。 察するに、彼の母親や祖母が、完璧な英語を教え込んだ
のであろう。 最近になって急に彼のスピーチの上手さが喧伝され、
オバマ演説の本も、たくさん出てきた。 クーリエ・ジャポンの1月
号には、彼の勝利演説のCDまでが付録として付いているという。 た
しかに彼の英語は格調が高い。

■■ 元来、米国の政治家にはスピーチの上手な人が多く、その嚆矢
は、例の独立のときのリンカーンの 
governments of the people by the people for the people 
shall not perish from the earth であり、近年ではケネディの
Ask not what your country can do for you  speech である。
 さらに言えば、米国の政治家には、多民族国家である有権者たち
を納得させられる政治家英語が必須の条件である。 もっとも例外
もある。退任したブッシュ氏の英語は、ボクは殆ど聞き取れなかっ
た。 人相相応の英語だ、とボクなどは悪口を言ったものだ。

■■ さてそこで、政治家にはどのような英語が必要か。 それに
ついては英国の作家ジョージ・オーウェルに「政治と英語」という
有名なエッセーがある。 参考までにウイキペデイアから引用して
みよう。 
1.削れる言葉があれば、常に削るべきである。 
2.能動態を使える時に、受動態を使ってはならない。 
3.それに該当する日常的な英語が思い付く時に、外国語や学術用
語、専門用語を使ってはならない。 
4.あからさまに野蛮な文章を書くぐらいなら、これらの規則のど
れでも破った方がいい。              
以上、すべてがなるほどと納得できる。 その程度はとうぜん守る
べき最低ラインで、敢えて小説家のオーウェルに教えられるまでも
ない。
■■ では、わが日本の最近の政治家の日本語力、つまり国語力は
どうか。 これは義理にも立派とは言い難い。 国語についての教
養が不足していることは戦後派日本人に共通の弱みである。 とい
ってボクは、なにも麻生首相は日本語が出来ないと言っているので
はない。 「未曾有」を「みぞゆう」と発音しても間違いではなく
、単なる「読みくせ」の違いに過ぎず、彼の教養の無さとは言えな
い。 それより問題は、日本の政治家たちが何故か、意味不明の美
辞麗句を乱用し過ぎることを指摘したい。 「言語明瞭、意味不明
」という言葉に代表される日本の政治家たち共通の弱点こそ問題な
のだ。 それでいて語彙不足のためか、ときおりぶっきらぼうな返
事や説明をする。 また、誰か同僚の政治家・役人がある特定の語
彙を用いれば、誰も彼も同じ語彙を使用する。 「軽々に・・(け
いけいに)」という言葉がその適例で、最近の政治家はこれを頗用
するが、もともとあまり使用されぬ発音の美しくない言葉である。
 
■■ 第2次大戦中、日本浪漫派の総帥、保田与重郎は日本の美し
さを優雅な言葉で表現するのに長けていた。 香川景樹ら桂園派に
よる「ますらおぶり」の延長で、これが言語明瞭、意味不明の元祖
であると解してもいい。 香川景樹や保田らは文士の系統だから、
美しくさえあれば、言葉はそれだけでよかった。 が、政治家はそ
うであってはならない。 政治・政策の主張は端的で、判り易く説
明する必要がある。 そのためには、いわゆる2重否定、3重否定
語の乱用は困る。 政治家が頻用する「・・と言わざるを得ないの
では無いでしょうか」などは、3重以上の否定文で、おそらく若い
世代の日本人は理解に苦しむのではないか。

■■ さらに、日本の議会中継などを視聴していると、あたかも喧
嘩か、継子苛めのような辛辣さを通り越した非難口調のスピーチが
多い。 先日も、麻生首相を非難する民主党の菅副代表の話を聞い
たが、論旨はともかく、その語彙・口調の汚さに呆れた。ウイット
やヒューモアが無いだけでなく、質問演説に格調がない。これでは
やくざの借金取立てと同じで、とうてい彼に同調するわけにはいか
ない。

■■ もともと日本語は、諸外国の言葉に比して優雅で穏やかなの
が特徴である。  そして、いまや「巧言令色鮮仁(こうげんれい
しょく、じんすくなし)」の時代ではない。 政治家諸君もオバマ
氏の格調ある言葉に習い、言葉を稽古し直して欲しい。 
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◆本澤二郎の「日本の風景」
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 <ワシントンと東京>
 以前、とても見識の高い元外交官に「新聞の社説を書いている論
説委員は、ワシントンの反応を気にしながら文章をまとめている」
と教えられたことがある。そんな場面を1月14日、日本記者クラ
ブでの駐日アメリカ大使のサヨナラ会見で、改めて目撃してしまっ
た。

 大手新聞記者OBも「当然のことだ。彼らはアメリカで世話にな
ってもきている」と会見後のコーヒータイムのさい、裏付けてくれ
た。まともなブッシュ批判をしなかった、筆を折った論説委員の正
体である。生前、後藤田正晴は「日本は外交と国防をアメリカに奪
われている。せめて中立国にならないとどうしようもない」と中国
の外交官に語っていたという。筆者が「永世中立国・日本にするこ
とが21世紀の進むべき道」と叫ぶ立場とほぼ同じだ。米国の衰退
と多極化時代がそれを可能にしていると認識するからである。現実
主義に基づいたもので、机上の空論ではない。それにしても後藤田
のようなまともな政治家が、現役時代に国民運動を起こしてくれな
かったか、悔やまれてならない。

 ワシントンと東京の距離は、かくして近いのである。その橋渡し
役が、人民に奉仕しなければならない言論人の負の成果なのである
。政府与党と外交を担当している官僚と言論人が一体となっている
鎖の構造が見えてくるだろう。
 国民は正確な情報と評論を手に出来ない。独裁国並みと酷評され
かねない。特に小泉内閣では経済政策など内政でもワシントンに従
属したわけだから、属国というよりもアメリカの日本州でしかなか
った。それに言論・ジャーナリズムまでが貢献していたことになる。

全文は
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51366456.html
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◆コラムEYE「罪悪感・・・」:片山通夫
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 先日韓国へ行った。サハリンで知り合ったある夫婦が永住帰国し
たので、以前聞き洩らした話を聞きに行くのが目的だった。この機
会にサハリンから韓国に永住帰国してこの2月で丸9年になる夫婦
を訪ねた。 

写真:
http://blog-imgs-18.fc2.com/c/o/f/coffeebraek/090113mk.jpg


 二人の韓国での生活はある意味では幸せなようだ。サハリンに比
べて「安全な生活が送れる」というのがその理由である。もっとも
な理由だと思った。彼らが生活していた2000年までのサハリン
は、とても安全とは言い難い社会だった。泥棒や強盗が横行し、カ
ッパライは日常茶飯事だった。停電も毎日といっていいほど街のあ
ちこちで起こっていた。冬に暖房が切れ、アパート全体が「氷の館
」になっていたこともある。
 
 しかし、「あまり幸せでないのでは」と本人たちは考え込んでい
る。理由は簡単だが複雑な面もある。それは孫や子供たちと離れて
老夫婦二人で暮らすことに対しての「罪悪感」だ。韓国での生活が
「安全で快適」であればある程「自分たちだけが・・・」というの
である。

 半年ほど前に彼らはサハリンへ里帰りした。三カ月の予定であっ
た。息子や娘、それにその友人たちが毎晩といっていいほど、コル
サコフ(旧大泊)の自宅を訪ねてきて来てくれた。

 老いた妻(写真左)がボクに言った。
「この人ったら、毎晩、息子の友達と飲んでばかりいて…」
隣で、夫(写真右)は苦笑い。
「酔っ払って、何もわからなくなるほど飲まなくてもいいのに」
妻は彼の体が心配なのだ。
夫はそうではないという。
「自分たちだけが韓国で安穏と暮らしていることを思うと辛くて
・・」「結局3カ月の予定が、ひと月で帰ってきた。子供たちの
生活を見ているのが辛い」

「息子はこちらへ帰ってきてもいいよと言ってくれた」とうれし
そうに話す。でも、老夫婦にはその気はないようだった。息子た
ちに迷惑をかけるというのだ。
それでも、息子や娘の世話になってサハリンで暮らした方がいい
のかもしれないと時折考える。しかし、韓国で二人ひっそりと暮
らす方が息子たちに迷惑をかけないのだと思いなおす毎日だ。ま
たある時は「自分たちが子供や孫を『捨てて』来た」という罪悪
感に悩まされる。  そんな時が「自分たちはあまり幸せではな
い」と思う時である。
「子供を捨ててきた親が幸せだなんて・・・」
妻が言うと、夫は鼻をすすった。
 「離散家族の悲劇」はこの老夫婦に今も影を落としている。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2009年1月16日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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 サハリンから届いておりません。届き次第、お届けいたします。
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◆コーヒーブレイクから         
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*「酒と女と写真機と」#30:片山通夫

【辿り着いたらミノックス】 ―馬鹿を書いていられない状況だ!
 イスラエルによるガザへの攻撃で死者が1000人を超えたという
報道がある。エルサレム発の共同通信によるとパレスチナ人死者は1
018人(15日)。おぞましい数字だ。
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-entry-299.html

*小説「ムンバイに消ゆ」
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-8.html

*備忘録
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-3.html

*セコリョ新聞日本語版
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-1.html

コーヒーブレイクへ
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/
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◆[編集長から]              片山通夫
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 17日は阪神大震災から14年目だった。黙とうをささげたい。

そして今日・20日は太平洋の向こう側の国で、オバマ大統領が誕
生する。未曾有の世界不況の根源の国だ。はたしてどのような政策
が「果敢にそして迅速に」行われるか注目される。

 今週末は旧正月。中国、韓国、ベトナム、モンゴルではこの正月
を祝う。・・・沖縄も。ただモンゴルでは、他の国で使われていた
中国暦でなく、モンゴル暦での正月なので、すこし日が違うとか。

 面白いことに気がついた。「正月」と言う言葉だが、元来旧暦で
の言葉なので、日本以外では「旧正月」とは言わないそうだ。
 国内では「横浜中華街」、「神戸南京町」の「春節」が有名だ。
海外では、「サンフランシスコチャイナタウン」は無論のこと、パ
リ、ロンドンをはじめ、世界中に散らばっている中国系の人々はこ
の「春節」を祝う。

 お隣の韓国でも「ソルラル」といって、韓国人にとってはこの日
こそが、本当?の正月であり故郷で過ごす人々が高速道路に殺到し
殺人的な込み具合となるとか・・。国外内各地のコリアタウンでも
盛大にお祝いされるとか。

 旧正月。我々も二度目の正月を祝って「世界的不況」を吹き飛ば
そう。
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発行     2009年1月20日   No.371
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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website    http://www.609studio.com
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