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タイトル:609studio No.367◆現代時評:「最後の共産国キューバはいま・・・」  2008/12/23


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【609 Studio 】メール・マガジン 2008/12/23  No.367
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記
事など話題満載! 
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「最後の共産国キューバはいま・・・」 Ken

◆本澤二郎の政治評論「小泉・自民党の罪と罰」 

◆コラムEYE:「限界集落」:片山通夫

◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]:2008年12月19日号

◆コーヒーブレイクから

◆編集長から
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          小説「ムンバイに消ゆ」

      小説「ムンバイに消ゆ」を毎日掲載しています。
    
  この小説は初めてインドへ行った時に受けた強烈な印象をそのまま
  書いたものです。お読みいただき、皆様の感想をお寄せください。

     小説「ムンバイに消ゆ」は以下に掲載してあります。

  http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-8.html

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◆現代時評:「最後の共産国キューバはいま・・・」 Ken
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◆◆ CNN 2008.12.14  キューバのラウル・カストロ
国家評議会議長は13日、最も近い同盟国である南米ベネズエラを訪
問した。同議長の外遊は、引退した兄フィデル・カストロ前議長に代
わり、今年2月に就任して以来初めて。キューバとベネズエラは経済
面でも密接な関係にある。ベネズエラ政府によると、両国の合同プロ
ジェクトは今年78件、事業総額は3億5500万ドルにのぼった。
 同議長は14日もベネズエラに滞在。その後は、南米とカリブ海諸
国の統合開発に関する首脳会議が17日に開かれるブラジルに移動す
る。

◆◆ 読売新聞 2008.12.16 ロシア海軍は15日、中南米訪問中
の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」など3隻が、19日から
23日にかけてキューバ・ハバナに寄港すると発表した。 ソ連崩壊
後、ロシアの軍艦がキューバを訪問するのは初めて。グルジア紛争で
黒海に艦船を派遣した米国をけん制する狙いと見られる。

■■ 最初から私事で恐縮だが、ボクは1950年代の初期、黒金色
に塗装した新作仏像のだいぶ大きいのを36体、キューバ向けに代引き
で送り出したことがある。 ところが相手バイヤーがカネを払ってこ
ない。 困って、積んだ日本郵船に「返送」を頼んだが、時すでに遅
く、郵船の現地代理店ユナイテッド・フルーツ社は品物をバイヤーに
引渡し済みであった。 已む無く、先方バイヤーに代金支払い要求を
打電したが、返事が無い。 督促すること数回、ようやく相手方バイ
ヤーのエルネスト・ゲラ氏から手紙が来た、「返事が遅れて済まぬが
、じつは我らの同志エルネスト・ゲバラ氏の革命が成功して米国を追
い出し、いまキューバ国中大騒ぎである。 騒ぎさえ終われば新政府
に申請し、外貨割当をうけてすぐ送金するから、今しばらく猶予して
くれ」。

■■ じつは日本の新聞にもその時いくらかそれらしい記事が出てい
て、首謀者はフィデル・カストロと、エルネスト・ゲバラとなってい
た。 名が同じエレネストで姓のゲラがゲバラと、一字違いだから、
ひょっとするとボクのバイヤーのゲラ氏が革命をおこしたのではない
かと想像しないわけでもなかった。 もしそうなら、代金督促は後回
しにして、将来のため「革命おめでとう」とでも電報しようかと思っ
ていたところだった。 このお詫びの手紙を見て拍子抜けがし、傍ら
代金回収の可能性が出来て一安心したものであった。 いま考えてみ
ると、これがキューバ革命の始まりで、それ以後、キューバの共産革
命は波乱を帯びながら続いて、半世紀後の今日に至っている。

■■ その間、ソ連は解体し、プーチンさんが実質的にロシア最大の
資本家だと噂され、中国がいわゆる社会主義市場経済を導入したいま
、この地球上で最後に残る共産主義国といえばキューバを措いて他に
ないことは誰しも認めるところだろう。

■■ フィデル・カストロとチェ・ゲバラによるキューバ革命は19
51年のことであった。 おそらくこの二人も最初のうちは共産主義
によるキューバという国の運営などは考えていなかったに違いない。
 それがひょんなことから理想主義的な共産主義による運営に傾いた
のは、米国の無理やりな自由主義とかグローバリズムが反面教師とし
て手を貸したからであったと考えられる。 もし米国があのような横
暴なキューバへの経済封鎖を強行しておらなければ、カストロも今の
ように激しい共産主義キューバ国家志向にのめり込まなかっただろう
、とボクなどは思う。

■■ それが、米国によるキューバへの徹底した経済封鎖に困り果て
たカストロ大統領は、便宜上やむを得ずソ連に近づき、その経済援助
によって資源皆無に近いキューバという国を維持してゆく破目に落ち
込んでしまったのであった。 冷戦下のソ連は、外貨と資源不足に悩
むキューバに国際相場の3倍の高値でキューバ唯一の輸出品である砂
糖を買い、その反対給付としてのソ連産石油および機械・化学肥料を
安価でキューバに安定供給したのである。 もしキューバの共産化を
非難すべきなら、その最大の責任者はカストロでなく、米国によるキ
ューバの経済封鎖に帰すべきであろう。

■■ 米国に封じ込められたカストロのキューバは、海外からの援助
のほぼ総てをソ連に依存し、毎年20億ドルを越す国家赤字をソ連に
転嫁しつつ、かたわら共産主義の理想である全国民平等化を目指して
ほぼ50年の間を過ごしてきた。 カストロによる国内政治の絶対条
件は、先ず全市民の特権者なき平等化であり、次に医療、教育、弱者
福祉の完全無料化であった。 カストロの共産主義は、ロシアや中国
の便宜見せかけ的とは違い、また努力目標でもなかった。正真正銘、
キューバでは上下の所得格差を25%にまで縮めてしまった。また、
医療と教育と弱者への福祉もすべて完全無料にしてしまった。 これ
は地球国家として有史以来、初めての快挙であったと言える。

■■ いま世界で、もっとも人口割による医者の多い国はキューバで
ある。市民145人につき1名の医者と言う。 医大コースも含めて大学
教育までの学校教育をすべて無料にした結果が世界でも不思議な、キ
ューバを医者余り国家にしてしまった。 しかもその医療水準は先進
国家に劣らないばかりか、つねに中南米およびアフリカから2千人ほ
どの医者志望留学生を無料でキューバへ集め勉強させているそうだ。
  そして世界のどこかに大災害があると聞くと、先ず医療チームを
無償で送るのがキューバだというが、これはかってのコミンテルン的
国際共産主義の名残りであろう。 先般のニューオルリンズの大災害
のとき、米国へも医療チーム派遣を申し出たが、さすがに米国は拒否
したという、恥ずかしかったのだろう。

■■ そのソ連が1991年に、とつぜん崩壊してもっとも困ったのがキ
ューバだった。 ロシアからの経済援助は無くなるし、それを好機と
捉えた米国はキューバの経済封鎖をより厳しくしてくる。 ソ連から
の輸入に依存していた肥料、食糧、石油は途絶え、1990年代のキュー
バの困窮は頂点に達した。 が、カストロのキューバはそれこそ臥薪
嘗胆、耐え抜き、医療、教育、福祉の無料化原則を守り抜いた。 肥
料は自家製の有機堆肥に換え、農産食品の不足については「都市農業
」という新手法の開発により、人口2百数十万人の首都ハバナですら
食糧自給に持ち込んだ。 

■■ 「都市農業」は、いま日本でもだいぶ研究され始めている。
 わが国の政府は農業の近代化を標榜し、専業農家による大規模農業
に期待を掛け、零細農業の切捨て政策を進めた結果、全国に休耕地と
称する荒蕪地を全耕作面積の30%にも増やした。

■■ 最近これが全日本的に問題になり、「農業は農家がやるもの」
という常識を覆し、「非農家市民」による零細農業が増えつつある。
 東京都練馬区役所が先導する「体験農園」とか、横浜市環境創造局
による「都市農業推進運動」がその先走りらしいが、これなどキュー
バ・ハバナ市200万人の都市農業成功譚の模倣である。都市近郊の
荒蕪地、耕作放棄地を探し出し、無農薬・有機肥料による素人営農で
市民の食糧を賄うという、生産コストを超越した夢のような農業が、
この地球上ではすでにキューバで実験の域を脱し、成功している事実
を我々は真剣に勉強しなければならない。 食糧自給は、どこの国で
もとうぜんの目的とすべきで、ただコストが安いだけの理由で国民の
命綱である食糧を他国からの供給に依存するというのは国家として軽
率無謀に過ぎる。

■■ 次にソ連崩壊後のキューバでもっとも困ったエネルギー入手の
ことだが、石油は幸い旧ソ連に代わる隣国ベネズエラから最低限の供
給を受けられることになった。 しかし、特定物資の特定国依存度1
00%が如何に危険かを悟ったキューバは、太陽自家発電設備を田舎
の末端から都市建築の屋根に至るまでとりつけ、少なくとも電燈用と
通信電器需要をほぼこれで賄うことに成功したらしい。 

■■ 困ったのは医薬品の輸入途絶だが、これには今もいささか往生
している。 とりあえずの代替医薬として、いわゆる漢方薬に類する
薬草類の研究を大きく進歩させ、今では植物性の開発医薬品を外国へ
輸出するまでに漕ぎ着けたし、予防医学を発展させ、乳幼児死亡率は
中南米・アフリカ諸国中でダントツ最低にまで漕ぎ着けたと言う。

■■ かくしてソ連崩壊後のキューバは、米国から見て瀕死の常態だ
ったのが、最近ではだいぶ経済状態が立ち直り、このまま共産社会主
義を貫き通せるところまで市民の生活レベルは改善されたという。
 ならば、20世紀を通じて人類でもっとも壮大な社会学的実験といわ
れ、そして壊滅に瀕している共産主義がキューバという国において、
その可能性を実績で証明したことになり、われわれ地球市民にとって
喜ぶべき金字塔ではなかろうか。

■■ こうしたキューバの成功は、全世界の国々からの尊敬と信用を
得て、最近では世界各国からのキューバ詣でが相次いでいる。先ず、
ひと時は自らの金欠病でキューバを袖にしたロシアが、キューバとの
友好関係修復を急いでいる。 去る11月27日にはメドベージェフ露大
統領がキューバのラウル・カストロ国家評議会議長と会談し、再びキ
ューバの重要な経済パートナーとして復活しつつある。 同じ11月
17日には胡錦濤中国国家主席もキューバを訪問し、ラウル議長の兄
フィデル・カストロ(前国家評議会議長)を見舞うとともに、ラウル
議長と会談した。 つまりここではしなくも、元の二大共産圏の大ボ
ス同士が、キューバでいわば恋の鞘当を演じているわけだ。 さらに
キューバは、ここへ来て欧州や中南米諸国との関係を急速に改善して
いる。 10月にEU(欧州連合)との協力協定に調印し、5年間に
わたる緊張関係関係に終止符を打った。 協定には、政治対話の再開
が盛り込まれ、人権問題も話し合われる予定になっている。

■■ 更に引き続いて11月14日には、中南米カリブ海沿岸22カ
国で構成するリオ・グループへの加盟が実現し、米国のキューバ孤立
政策が完全に破綻したことを実証した。それについては、10月29
日の国連総会で、米国によるキューバへの禁輸を非難する決議が18
5対3票で採択されている。 反対3票の内訳は米国、イスラエル、
パラオであった。

■■ キューバをめぐっては、ブラジルのルラ大統領が2008年初
めにキューバを訪問し、キューバと中南米最大の経済パートナーにな
りたいと申し出て、いまキューバにとって最大の貿易相手国であるベ
ネズエラのチャべス大統領と、ここでもまた恋の鞘当を演じている。 

■■ 米国の半世紀に渉る経済封鎖に耐えて勝ち抜いたカストロ兄弟
のキューバは、ここに至って急速に、引く手あまたの世界の艶福家に
なってきた。 翻って、わが日本は、かってフィデル・カストロ第一
書記が日本に来たとき、米国に遠慮して、その公式訪問を「航空機の
給油のために立ち寄った」として黙認の形式を採ったという不名誉、
かつ失礼ないきさつがある。 

■■ いまや時代は急速に変化し、世界中がキューバ詣でをする時代
になった。 わが国も、いつまでも米国の髭の塵を払ってばかりいな
いで、早急に相互貿易協定を結ぶべきである。 いやそれより先に、
キューバが成功したという「都市農業」の手法を学び、そして彼らの
コスト安医療システムをわが国にも導入すべきである。 なぜなら、
わが国の農業と医療保険システムはいま崩壊に瀕しているのだ。たか
が人口1000万人の小国といえども、キューバには見習うべきとこ
ろが多い。

■■ もっともそのキューバにもいま問題がないわけではない。過去
50年の困苦欠乏時代にキューバから海外脱出したおよそ100万人
、その殆どがキューバ対岸のフロリダに住んでいるが、そこからの故
郷送金と、最近の観光ブームの恩恵を受けた一部キューバ人による贅
沢放縦が国内の生活バランスを壊し始めていているという。 どうや
ら中国と同じような状態が芽生えているのであろう。 これは時代の
流れで、我々はただラウル・カストロの処置を見守るしかない。

■■ さてここでボクの私事に戻る。 ボクが代金回収に手こずった
仏像36体の代金は、フィデル・カストロとエルネスト・ゲバラによ
る革命が成功した約3カ月後に、先方バイヤーのエルネスト・ゲラ氏
から小切手が送られてきて、これも目出度くハッピーエンドとなった
。ボクがまだ20才代のときのことである。 黒金色に塗られた木彫
仏像36体というのは、現物を目の前に並べると相当な迫力がある。
 その平均サイズは1メートルくらいであった。 あの木彫仏像はい
まキューバの、いったいどこにあるのだろう。彼らは仏教徒でないか
ら、まさかにも寺院に安置してあるはずは無い。用途としては室内装
飾置物としか考えられない。 しかしそのような金色に輝く大きな仏
像を飾るに相応しいブルジョア邸宅がいまの共産国キューバに存在す
るとも思えない。 なにしろ、カストロ兄弟もまた普通の庶民住宅に
住んでいると、ニュースは報じている。 誰かが革命の途中で廃棄処
分にしたか。 それも考えがたい、なにしろいっけん立派な美術彫刻
なのだ。 生きている間にキューバに出かけ、そのありかを探したい
と思いつつ、いまやその願いもついに叶わぬ年齢になってしまった、
ボクという一老人の回顧である。
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◆本澤二郎の政治評論「小泉・自民党の罪と罰」 
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<「派閥の終焉と日本の針路」(小泉政治の遺産)が遂に出版>

 小渕首相が病に倒れるや、それを奇貨として一部執行部の談合によ
って発足した大義のない森内閣、そしてそれ以降の自民党政権は、き
わめつきの右翼片肺内閣である。
 唯一成功を収めたとされるのが小泉内閣である。理由は、読売・産
経の右翼マスコミを先頭に全マスコミを徹底的に操作し、世論をたぶ
らかしたからであろう。この疑惑の政権は、ブッシュに服従すること
で、ワシントンの強権をテコにして党内外の反対派を制圧することに
成功した。結果は、格差社会の現出であった。また、派兵と靖国参拝
を強行することで右翼の代理人であることをアジア諸国に発信、アジ
ア外交を破綻させた。
 その驚くべき暴走政治にメスを入れてみたのが本書である。ジャー
ナリストの義務としての政治総括本でもある。二度と同じような政権
を誕生させないためだ。是非とも手にとって読んでもらいたい。
 当初は9月の出版を予定していたが、なぜか大幅に遅れた。小泉・
自民党とその亜流政権にとって、恥部を明かされることは避けたかっ
たからだろう。それでも編集者の執念が功を奏して、遂に出版にこぎ
つけることが出来た。各位に敬意を表したい。まだ多少とも希望の持
てる日本だと思いたい。

<誰も書けない小泉政治を徹底総括>

 85年からの中曽根バブル経済大失政についても、まだ誰も総括して
いない。いわんやバブル崩壊後の失政についても、である。小泉政治
についても。なぜかマスコミは腰が引けている。
 思い起こせば、小泉内閣が発足すると、こぞって支援のマスコミが
乱舞した。筆者ひとりNOという本(純ちゃん間違ってませんか=デ
ータハウス)を書いたのだが、礼賛本に追いまくられてしまい、彼の
右翼路線を軌道修正できなかった。

 今回、小泉チルドレンに焦点を当てる本を出したい、という編集者
の要望に応えながら、誰も書こうとしない、書けない小泉政治を真っ
向から切りまくってみたのが本書である。

続きは 
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51349393.html
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◆コラムEYE:「限界集落」:片山通夫
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 全国に「限界集落」という集落が存在している。なんでもその集落
の65歳以上の住民の占める割合が50%を超えた集落を言うようだ。
 このように高齢者が多数を占めると、冠婚葬祭など社会的共同生活
の維持が困難になってくる。そしてやがてはその集落が消滅する運命
にあるという。

 限界集落という言葉に違和感を持ち、さまざまな言葉に置き換えて
いる地域があるが、しょせん言葉遊びの粋を出ないのではないか。
 医療をはじめとする社会的サービスを受け持つ地方自治体の疲労も
並大抵ではない。企業も近寄らない。企業がないから若者に仕事がな
いという悪循環の中で、地方自治体の打つ手は限られているように思
える。

 「限界集落」と呼ばれている地域を取材する予定だ。そこでは何が
起こっているのか、何が必要なのか、そして限られた方策を報告出来
ればいいのだが。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2008年12月19日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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極東非常事態管理局事業評価会議

 今月15〜16日、ア・チュプリヤンロシア副首相が、初めてサハ
リンで開かれる極東地域非常事態管理局代表者会議に参加するために
來島した。会議ではこの1年間の事業評価と来年の事業計画案と予算
案の検討を行った。ア・チュプリヤン副首相によると来年、極東地域
非常事態管理局予算は今年よりも5倍増やし50億策定されていると
のこと。又、サハリンでは非常事態管理局職員用の官舎としてアパー
ト110世帯を2010年まで建築する予定であることがわかった。

州知事−「サハリン州はまだ大丈夫」

 先日、サハリン州知事が金融と労働市場の情勢を把握し、金融危機
克服事業案の検討するために地域経済状況研究会議を開いた。サハリ
ン州政府は労働市場の安定を最も重要視しており、国家統計局による
とサハリン州は全国でも最も失業者が少なく(登録者数3700人)
、今も労働市場では1万2600人の空席があるとのこと。サハリン
州政府は金融危機克服特別計画案を立てており、中小企業支援と住民
の福祉に一層力を入れる方針だ。会議で州知事は「サハリンの経済状
況はまだ安定的である」と評価した。

61%が賄賂退治運動が不十分だと評価

 さる15日、サハリン国立大学で賄賂退治運動に関するセミナーが
開催された。極東大学ウラジオストク組織犯罪研究センターのベ・ナ
マコノフ所長(法律学博士)の呼掛けで開かれた本セミナーに検事局
、警察局、研究者、マスコミ関係者が招待されて参加した。ベ・ナマ
コノフ所長は「世論調査によると企業人の61%が政府の賄賂退治策
が不十分であると答えており、より体系的で積極的な政府の対応策が
求められる」と分析した。セミナーで参加者らたちは賄賂退治運動を
成功させるために如何なる方策を講じるべきかについて意見を交わし
た。

金マリナ、国家賞受賞

 17日、サハリン州政府庁舎で「才能ある青年−2008」の授賞
式があった。同賞は国が科学や芸術、教育、スポーツ分野で最も活躍
した若者たちに贈られるもので、今年はカ・ストロガノフ第1副知事
が受賞式を主催し、受賞者とその教師らを励ました。

サハリン州知事のツリー

 今週の金曜日(19日)夕方6時、ユジノサハリンスク・勝利の広
場で、「サハリン州知事のツリー」と名付けられた新年祝賀ツリーに
電気を付ける催しが開かれる。又、盛大な花火が打ち明けられる予定
であると共に州知事が直接参加し祝賀メッセージを贈る予定。催しで
はツリーとゴルヌイ・ヴォズドフ(スキー場)の夜景照明に同時に灯
りを付け、本格的年末・年始の雰囲気を作り出す。

ソウル・テグ・クリ市長からの感謝状伝達

 今年の12月初から韓国の数都市で招待コンサートを開き、帰国し
たユジノサハリンスク市立オーケストラの団長(指揮者)アレクサン
ドル・ズラザエフさんが、16日ロブキン・ユジノサハリンスク市長
を訪ね、感謝状を伝達したことがわかった。コンサートが開かれたソ
ウル市とテグ市、クリ市の市長たちが素晴らしい演奏ツアーを含め韓
国との文化交流への協力に対する感謝の気持ちを伝えるために感謝状
を贈ったという。

教授、受賄で拘束

 サハリン国立大学原油ガス学科の教授2人が学生から賄賂を受け取
って進級させようとして拘束された。二人の教授は学生にレポートを
提出したことにするのに5千ルーブル、単位を取得したことにするの
に1万ルーブルを要求し、受け取ったとのこと。

原油送出始める

 先週の金曜日(12日)、プリゴロドノエ港に建設された原油送出
ターミナルの始業式があった。同ターミナルはサハリン2プロジェク
トで生産した原油を送出するために建設されたもので昼夜原油を送り
出すことができる。始業式に参加したア・ホロシャヴィンサハリン州
知事は「世界経済の苦しい時期であるがために、サハリン州にとって
ターミナルの意味がより深い。開発事業に反対する意見も多かったが
、故パルフトジノフ前知事が確信をもって推進したから今日に至った
」と述べた。

元日から輸入肉類値段引上

 ロシア政府は来年1月1日から豚肉と鶏肉の輸入関税を引上げると
発表。12月12日の政府決定によると、豚肉は60−75%、鶏肉
60−95%まで関税が引上げられる。反面、牛肉の関税は30%引
下げるとのこと。来年、ロシア政府は国内業者保護のために、鶏肉の
輸入を30万トン減らす方針だ。

セコリョ新聞の元老記者べ・ヨンスクさんの死を偲ぶ

 12月11日、病気をこの世を去ったセコリョ新聞の元老記者ベ・
ヨンスクさん(74歳)を偲ぶ追悼文が多く新聞社に届けられた。
サハリン韓人社会団体や記者同盟、同僚、朝鮮師範大学同窓生ら、日
本の知人など大勢の人が新聞紙上を通じて哀悼の念を示した。
 故ベ・ヨンスク記者は、1957年サハリン師範専門大学朝鮮科を
卒業してから1964年まで朝鮮学校の教師を勤めた。朝鮮学校の廃
校により65年からセコリョ新聞社へと移り、校正から文化部長にな
るまで40年以上を記者として立派な業績を積み上げてきた。チェー
ホフ記者賞を数次受賞し、記者同盟会員、ソ連文化勲章受賞者でもあ
る。記者としてでもなく民族教育やサハリン少数民族の保護などにも
大きいな功績を残した。
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◆コーヒーブレイクから         
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*「酒と女と写真機と」#25:片山通夫
【辿り着いたらミノックス】
―12月は忘年会のシーズン その3
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-entry-239.html

*小説「ムンバイに消ゆ」
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-8.html

*備忘録
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-3.html

*セコリョ新聞日本語版
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-category-1.html

コーヒーブレイクへ
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/
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◆[編集長から]              片山通夫
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  暗いニュースが続く師走。なにか楽しい、明るいニュースはないも
のかと考え込んでしまう。
 記者の仲間の一人が「ブッシュがやめることくらいか」とため息交
じりに話していた。

 今年も後一週間。次週のメールマガジンは31日にお届けします。
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発行     2008年12月23日   No.367
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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