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タイトル:609studio No.351◆現代時評:「世界警察は今いずこ」  2008/08/19


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【609 Studio 】メール・マガジン 2008/8/19  No.351
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
評」をはじめ、政治評論家、本澤二郎氏の政治評論、また、ロシア唯一
の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記
事など話題満載! 
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「世界警察は今いずこ」   ken

◆本澤二郎の政治評論「永世中立国・日本」:本澤二郎

◆EYE:グルジア問題     片山通夫

◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2008年8月15日号

◆先週の備忘録:8月10日―16日

◆編集長から

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◆現代時評:「世界警察は今いずこ」   ken
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◆◆ アサヒコム 2008.8.14 オランダ・ハーグの国際司法裁判所
は12日、グルジア・南オセチア自治州での同国とロシアの戦闘をめ
ぐり、グルジアがロシアを相手取って、国連人種差別撤廃条約違反で
提訴したことを明らかにした。訴状によると、対象にしているのは9
0年以降の南オセチア自治州、アブハジア自治共和国などでのロシア
の行為。

◆◆ 読売オンライン2008.8.14 ブッシュ大統領が13日、米軍に
よる対グルジア人道支援を発表したのは、グルジア情勢への関与姿勢
を明確にし、「民主化のモデル」と自賛してきた親米のサアカシビリ
政権を脅かすロシアを強くけん制する狙いがある。米露間の対立の激
化は避けられない。 (中略) が、人道支援の形とはいえ米軍を現
地に派遣したことは、ロシアに対し、軍事的選択肢を完全排除したわ
けではないとの「強い警告」を発しているのは明白だ。

◆◆ 産経ニュース 2008.8.14  ライス長官は、「ロシアは
24時間前に表明した(戦闘停止の)義務を履行すべきだ」と非難。
 米政府は、ライス長官の関係国歴訪のほか、米軍派遣によるグルジ
アへの人道支援を開始した。

■■ 久方ぶりに中央アジアで米ロの軍事鍔ぜり合いが始まった。
 グルジアの南オセチア問題で、平和監視部隊とか人道支援部隊とか
の名目で米ロ両国の軍隊が派遣され、いまにも戦端が開かれるかのよ
うに見えるが、じつはこのままの状態がとうぶん続くだけで、戦争に
至るまいというのが公知の事実で、外野は高みの見物を楽しんでいる
。 バカをみたのはグルジア政府で、米国の傘の元に入り、こうした
場合はさっそくブッシュさんか誰かが助けに来てくれると思っていた
のにあてが外れたようだ。

■■ プーチンという首相か大統領かわからぬロシアの偉い人は、オ
リンピック開会式見物に自らも出向き、おそらくブッシュさんも来て
いるであろうというその間隙を縫って、戦車数百台をグルジア制圧に
差し向けたのだからグルジアのサーカシビリ大統領もたまったもので
はない。 運よくフランスが留め男に出てくれたので、なりふり構わ
ずグルジアも停戦にまで漕ぎ付けたのだから、これは上出来であった
といえる。もしぐずぐずしていたら、どうせ米軍はやってこないし、
ほんとうにロシア軍によってグルジア本国までもが蹂躪されていたか
も知れない危機一髪のところだった。

■■ プーチンさんは、いまの米国の実態がイラクとアフガンの泥沼
に起因する金欠病で、とてもではないが軍を投入してまでグルジア援
助に乗り出すわけにはいかぬのを読み込んだ上でのグルジア出兵と考
えていい。もっとも、そのままみすみすグルジアをロシアの軍靴で汚
させておいて知らぬ顔の半兵衛を決め込んでおくわけにいかぬ米国は
、グルジアが停戦に応じたのをいいチャンスにして、人道支援部隊と
いう名の軍隊をグルジアに派遣したのはなかなか名案だった。 米国
も、ほんとうは平和維持部隊とかの名目で派遣したかったのだろうが
、その名義は先に出兵したロシア軍が名乗っているから、人道支援部
隊とかいう、かって日本がイラクに派遣したのと同じ「毒にもならず
薬にもならぬ」軍隊名にし、それはそれで対ロ牽制の意味は達し得る
のだから結構な話である。

■■ 要するに、世界警察を自ら志願していた米国も今の状態ではグ
ルジアの国内紛争にまで手が回るまいと予想したロシアが先回りして
グルジアに出兵し、いくらかの実力行使に及んだのはロシアの狡知で
あった、といえるかも知れない。一朝ことあるとき、約束通りに米軍
がすぐ介入して、ロシア軍を追い返してくれるであろうと思っていた
グルジア国軍が中立地帯である南オセチアに戦闘をしかけたのが先で
あるかも知れぬし、ロシア軍が一足先に攻め込んできたかどちらかは
定かで無いが、いずれにしろ「ロシア軍は来たが、頼りにする米軍は
やってきてくれなかった」というジレンマのグルジアだけが不幸であ
った。  不幸というより、米国を頼っていたグルジアが「先の読み
を誤った」というべきだろう。 いつの場合でも、弱小国はこうした
憂き目を見る。

■■ ボク思うのに、これは単なるグルジア・南オセチア自由州だけ
の失敗譚でなく、日本も含めた全世界の「米国による世界警察」とい
った60年前からの国際政治的枠組みが崩れつつある過渡期の国際間
の共通問題ではなかろうか。偉大なる米国が、戦時中に組み立てたプ
レトンウッズ協定なる国際通貨としての米ドル体制の崩壊とともに、
イラク・アフガン侵攻の失敗に起因する「世界警察」制度もまた機能
障害しつつある、いわばその期待外れが、今後世界のあちこちで遭遇
する異変の第一歩と解すべきだ。

■■ 米国に「世界警察」の役目を委嘱した国はグルジアだけでなく
、CISの国々とともに、アジア極東ではわが日本や台湾がその典型
として存在する。 どこか近隣に怪しからぬ国があれば、先ず米国と
いう世界警察にお願いして叱ってもらうことで自国の安全が確保され
るという段取りこそ、ボクらが第二次大戦後に得たもっとも便利で安
上がりな国家安全保持の方法だった。

■■ じじつ、たとえばいま近隣に北朝鮮というならず者国家が出現
したとしよう。 さっそく米国に頼み、その世界警察としての権威と
機能で北朝鮮を叱ってもらうことで、とりあえずわが国の安全が保て
るのである。 そのためには世界警察維持費用として、米国にいくら
か横暴なところがっても目を瞑り、なにがしかの米軍駐留費用も支払
っている。 このシステムはまんざら悪い方法でもなく、差し引き国
際警察費としてはペイしてきて、今日に至っている。

■■ ボクらの本心では、最近に至ってどうやらこの米国による「世
界警察制度」も危うくなりかかっているのを薄々気付いている。 だ
がまだいける、と思っているのが日本や台湾政府の現状ではなかろう
か。 同様にCSIの国々たち、とくに今回のグルジアの失敗は、そ
うした米国による世界警察制度への過度な依存が裏目に出たものであ
るのだ。 「他人のふり見て、わがふり直せ」で我々も用心しなけれ
ばならない。 

■■ つきつめて言えば、もうこの辺りでボクらも米国による「世界
警察」制度を機能し難いとして放擲すべきではないだろうか。 頼る
べからざるものを頼り、ドジを踏む憂き目に会いたくなければ、自分
で自分の警察、つまり自己防衛軍備を増強するとか、あるいは隣の大
国「中国」に世界警察の役目を委託に出すか、あるいはまた旧ソ連圏
のように、ロシアという国に世界警察の役目を務めてもらうよう交渉
すべきかもしれない。 おそらくグルジアも、今回の事件に懲りてバ
ラ革命を返上して再度ロシアの圏内に返る可能性を無しとしない。先
例というわけでもないがキルギスのチューリップ革命はすでに半ば崩
壊しているし、ウクライナのオレンジ革命もいまや危機に面している
。 いったんは西側陣営に降参したとみえたロシアも、ガス・石油価
格の暴騰で力を得、いまや東欧社会での警察国家を志向している。

■■ 助けてくれない世界警察米国に苦情をいうのもいい。 が、米
国としては、助けたくても助けられない内部事情が輻輳している
。 要するに、いまの米国の能力を超えたところに最近の国際問題が
山積していて、助ける意志があっても、助ける能力が不足しているの
である。いたずらに米国の腑甲斐なさをあげつらうだけが能ではない
。 国際警察、いまいずこにありや、だ。 われわれ弱小国は弱小国
なりに、みずからの叡智をもってみずからの生存権を守る方法を見つ
けなければならない。
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◆本澤二郎の政治評論「永世中立国・日本」:本澤二郎
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 23年前の8月12日を記憶している。中曽根総理と軽井沢でゴルフ
に興じていたからである。在京政治部長会と総理大臣の懇親会だった。
西武のホテルに泊まり、西武のゴルフ場で遊びほうけていたのだから、
思い起こすたびに慙愧に耐えなくなる。むろん、中曽根は日航機の墜落
現場には行かなかった。そして、多くの庶民を安堵させた衝撃の8・1
5は間もなく訪れる。この機会に、日本丸の針路について筆者なりの認
識を披瀝しておきたい。

 1、中曽根内閣によるバブル経済政策の失政が、今日の惨状をもたら
したものだが、当人は白を切ったままである。バブル崩壊であらゆる企
業・国地方の骨格が破綻してしまった。それでいて分厚い鋼鉄で蓋をか
けてしまい、為政者は難なく責任を回避した。その後裔が財閥銀行のみ
を国民負担で救済し、それ以外の企業を弱肉強食の市場原理主義世界に
叩き込んだ。
 かくして国・地方自治体の財政は完璧に破綻してしまい、空前の借金
で首が回らなくなっている。マスコミにも責任があるのだが、右肩上が
りの日本経済を生きてきた愚かな人たちは、この悲劇的現実をなかなか
認めようとしていない。
 だが、現実には倒産は増大、自殺やウツ病患者が減少することがない
。尊属殺人は先進国随一である。家庭も中小企業も崩壊しているのであ
る。一部の、たとえば三菱商事のような特別の企業を除いて、経営環境
は厳しい。若者に希望が消えていってしまっている。

 2、変化はオバマの専売特許ではない。日本再生に向けた大胆な発想
、それもアジア・人類に貢献する形での日本丸の船出が求められている
。それこそ平和憲法が志向するスイスのアジア版である。永世中立国・
日本に舵を切ることなのだ。好ましい世界に貢献する国家像である。岸
信介や中曽根が夢見た戦前回帰では断じてない。そんな金はない。

 3、幸か不幸か日本を軍事同盟で金縛りにしている超大国に陰りが見
える。軍事費の重みに耐えかねて喘息気味だ。住宅・金融が破綻してア
メリカ経済は厳しい。それがアジア・ヨーロッパにも波及している。ア
フガン・イラクに手を焼いているワシントンだ。これとても一国で対応
できていない。しかも敗色濃厚である。好ましいことだが、イランにも
手を出せない。グルジアを手なずけたものの、ロシアの軍事介入にもお
手上げの状態である。
 ロシアとの軍事対決など出来ない。それは中国とも、である。ワシン
トンは来年から、どのような大統領が誕生しようが、ブッシュ戦争の継
承は困難なのである。第一、米国民が許さない。戦争屋もエネルギー財
閥も、ブッシュのお陰で20年ほどの暴利を得て、満腹の状態にある。
メタボリック症候群といってもいいだろう。

 4、人間の住む地球は温暖化の波に洗われて久しい。気候変動は人々
を覚醒させている。水や大気の汚染もただ事ではない。北京だけの問題
ではない。東京も、である。
 誇れる日本国憲法は戦争を拒絶している。人類の悲願が9条である。
63年前に立ち返ればいいのである。9条は永世中立国になることで開
花するのである。

 5、そのために日米安保という軍事同盟を、経済・平和友好条約に変
身させればいい。これに民主的なアメリカ政府も反対できないだろう。
ロシアや中国は諸手を上げて賛成するだろう。その分、比例して経済交
流は活発化するはずである。一部のワシントン右翼をのぞいて、この日
本の針路は世界から歓迎されるだろう。

 6、福田総理は長崎原爆の日に「日本は非核3原則を堅持し、核廃絶
の先頭に立つ」と公約した。また長崎市は「非核3原則を法制化せよ」
と訴えている。これの実践もスイスのアジア版としての日本になれば、
当たり前のように行動できる。むろん、米国の核の傘は不要だ。

 7、永世中立国・日本の誕生は、隣国との関係を良好なものにしよう
。経済・文化の交流はますます拡大・深化しよう。東アジア経済共同体
も難なく実現しよう。これこそが真のアジアの平和と安定を約束するこ
とになる。「21世紀はアジアの世紀」とは、こういうことなのだ。

 8、これは夢ではない。日本丸の残された唯一の針路なのである。日
本再生の道なのである。日本人が覚醒すれば、実現可能である。そのた
めの環境は十分整っている。行動を起こせ、と叫び続けていこうと思う
。天・地・時の利ありだ。     2008年8月12日記
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◆EYE:グルジア問題            片山通夫
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 モスクワからの報道によるとロシアのメドベージェフ大統領は14日
、グルジアからの分離独立を主張する南オセチア自治州とアブハジア自
治共和国の両指導者とクレムリンで会談し、両地域が独立を目指すこと
を支持する考えを示した。(NIKKEI NETなど)

 ロシアの目的がはっきりしたようだ。実際に独立を支援するというよ
り、グルジアとの今後の交渉にカードとして使う可能性がクローズアッ
プされてきた。
 もし、ロシアが実際に両地域の独立を認めた場合、チェチェンや他の
独立を目指す共和国が黙っていまい。

 メドベージェフ大統領は危ない橋を渡っている。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]:2008年8月15日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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光復63周年を迎えて

 尊敬するサハリン州韓人同胞の皆様、ご一緒に我が民族最大の喜びの
日、8月15日光復節を迎えられたことを心から嬉しく思います。63
年前、我が祖国は日本の圧政から開放され自主独立国家としての道を歩
み始め、飛躍的発展を成し遂げました。このような意味深い日を心から
喜びお祝い致します。
                   サハリン州韓人会・老人会
                   二重徴用鉱夫遺族会
                   ソマン児童創作発展協力会

反戦群衆集会−南オセチア住民を助けよう

 ユジノサハリンスク市レーニン広場で12日、イエジナヤ・ロシア党
サハリン支部主催で2000人余りの市民が集まって南オセチアでの戦
争に反対する群衆集会を開かれた。共産党、自由民主党、社会団体、宗
教関係者なども参加した中で、グルジアの侵略行為に対するロシア政府
の強力な対処を支持すべきとの声を高めた。又、サハリン州オセチア人
会のヴェ・ベドジュソフ会長はオセチアを助けているロシアに謝意を示
すと共に「オセチア人はロシア政府の活動を全面的に支持する」と表明
した。群衆集会はグルジア軍によるオセチア人被害者を助けるための組
織的慈善活動の展開を決めることで集会を終えた。

諸民族祝典

 サハリン文化管理局によると、今年9月27日、ユジノサハリンスク
市で「相互協力」というテーマでサハリン州諸民族の祝典が行われる。
今年で3回目を迎える同祝典はサハリンに住む諸民族がそれぞれ自民族
の文化、伝統などを紹介する多様なプログラムを用意する。今年も例年
通り民族公演や伝統料理紹介などがあり、又、サハリンの他、コムソモ
ルスク・ナ・アモレ、ビロビジャンの芸術団も参加する。

消費者保護センター設立

 1カ月前ユジノサハリンスク市に法律家協議会が運営する消費者保護
センターが設立され、無料法律相談サービスなどを行っている。この1
週間で140件の違反事項を発見、法務当局に提出した。小規模の店が
最も違反が多く、商品の質に対する消費者らの不満は靴が最も多く(7
0%)、家電製品、家具、衣類などにもあった。今後、他地域にも消費
者センターを設立する予定。

障害者に対する追加支援

 サハリン州政府は障害者に対する追加支援を決めた。即ち、中央暖房
設備の障害者世帯への追加支援、燃料運送費50%削減、自動車購入資
金10万ルーブル支援、無料の電話設置など。

サハリン人口の30%は年金生活者 ―2008年上半期サハリン州社
会経済現況

 08、6、1現在、サハリン州人口51万7千人、その中の15万7
千人が年金生活者。平均住民所得は12.3%増加した2万546ルー
ブル。所得の68.3%を商品購入に、11.6%アパート管理費、1
0.2%貯金。最低生活費は7152ルーブル、住民の17%が最低生
活費より低い給料を貰っている。サービス料金を含め商品価格は17〜
47%増加。

サハリンに原住民3000人

 8日、ユジノサハリンスク郷土博物館で「北方少数民族国際デー」記
念行事があった。1994年UNが制定した同デー。UNの資料による
と70カ国に3億7千万人の原住民が住んでいる。サハリンにはエヴェ
ンク、ウイルタ、ニブフなど3000人。行事会場に民族代表らが参加
し北方少数民族デーを祝賀した。参加者らは民族伝統芸術公演観覧の他
、原住民料理体験、ニブフの冬の家の見学などもできた。

極東国際経済フォラム開催

 ロシア連邦評議会は、「第3回極東国際経済フォーラム」をハバロフ
スクで08年9月30日から2日間に渡って開催することを決めた。フ
ォラムのテーマは「2020年までの極東地域発展戦略」、如何にして
地域を発展させ、住民を残留させるかである。

青少年海外歴史探訪団サハリン訪問

 さる9−11日間、高校生からなる青少年海外歴史探訪団が強制移住
の歴史と現地生活を研究するためにサハリンを訪ねた。韓国移動通信(
KTF)が後援する同訪問団員36人はコルサコフ望郷の丘、同胞慰霊
碑など韓人の歴史現場を訪ね歩きながら研究。

日本からの手紙―丹波マンガン記念館閉館の危機

 1989年に開館した「丹波マンガン記念館」(京都市右京区京北)
は戦前・戦後の朝鮮人の鉱山労働の跡を直接見ることのできる数少ない
現場の一つである。同館はマンガン鉱山で働き、のちに経営にも携わっ
た故・李貞鎬(イ・ジョンホ)さんが「強制連行された朝鮮人の歴史
を語り継ぎたい」と1989年に開設した。約300メートルの坑道め
ぐりや戦時中の強制労働者の暮らしを再現した宿舎、労働者の証言など
を紹介した資料館があり、ピーク時には年間2万人を集めた。
 李貞鎬さんの死後、息子の李龍植さん(1960年生まれ)が遺志を
引き継いで館長となって運営にあたっていたが、近辺を高速道路の一部
開通など周辺の交通量が激減したことなどから、来館者数は年間300
0人程度まで落ち込んだ。2002年には運営母体をNPO法人化し、
寄付金を集めて立て直しを図ったが、経営難が深刻化。継続するには今
後も施設の更新などが必要になるため、先頃、理事会で閉館を決めた。

  龍植さんは「最近は北朝鮮による日本人拉致問題で強制連行の問題意
識が薄れてきたのではないかと感じる。加害の歴史を隠さず示すことが
、戦争を繰り返さないための道だということを知ってほしい」と訴え、
閉館後は個人的に著書などでマンガン鉱山の歴史について発信したい
と希望している。

 龍植さんのアボヂ、初代館長の李貞鎬さんは「じん肺による呼吸不全
」で、1995年に死亡。享年62歳。2歳のときに渡日した貞鎬さん
は、各地の鉱山を渡り歩き、ここ京北町に定住、戦後は企業から経営を
譲りうけたが、安いマンガンが海外から輸入されるようになると、日本
の鉱山は軒並み閉山に追い込まれた。遺骨は故人の希望によって日本海
(東海)に散骨された。

 重要な見学施設のはずが、国や地方公共団体からの公的な補助はなく
、施設も老朽化し、毎年600万円以上の赤字が続き、これ以上維持す
ることが困難と判断したということである。

 館長で設立した父の李貞鎬さんと共にこの記念館の運営に携わってき
た李龍植さんは、記者の質問に次のように答えた。
 「設立から20年ですね。この間の記念館の運営状況はいかがでした
か」
「毎年、大きな赤字を出してきました。特に北朝鮮の拉致問題が日本の
社会で大きな問題になってからは、小学校や中学校の課外学習としての
見学もすべてと言っていいほど止まってしまいました。見学者が減って
財政を維持してゆくのが非常に困難な状態が続いているのです」

 「この記念館を造られた動機は何でしょう」
「父の李貞鎬が言いだしたのです。父はこの地方に300ものマンガン
鉱山がある。このままほっておいたら、我々の歴史は忘れられる。戦前
から何千人もの朝鮮人がここで働いていたことが忘れられるというので
す。それで・・・」

「それで?」
「それで父は『俺の墓は要らない。記念館を作れたらそれが俺の墓だ』
といって、家族で相談して、作ることになったのです」

「ご家族の皆さんは反対されませんでしたか?」
「そりゃしましたよ。だって、墓を作るお金だけで出来るわけないでし
ょう」

「でも結局作ることになった?」
「ええ、ご覧の通りです。私も父も鉱山で働いていましたから、坑道の
内部に関しては詳しいのです。それで見学用の坑道を300メートルほ
ど整備して、安全対策に力を入れて見学者の皆さんに事故がないように
注意してきました」

「なにがお父さんやあなたを20年間も支えてきたのでしょうか」
「『恨』と『意地』です」

「20年間で事故は?」
「ありません。一人、虫に刺されて病院へ運んだということはありまし
たが」

「初代館長が記念館を作ろうと言われた時に公的な支援はなかったので
すか」
「全くないのです。この町(旧京都府京北町)の役所にもお願いに行っ
たのですが駄目でした」

「なぜ駄目なんでしょうね」
「わかりません。日本にとってはこの鉱山は『負の遺産』なのです。戦
前、多くの朝鮮人を植民地である朝鮮半島から『募集』であれ『強制』
であれ、連れてきて働かせ、まともに給与も支払わずに済ませてきたこ
とを隠したいのではないかと思ってしまいます」

 「一番苦しかったことは?」
「苦しいのはいつも経済的に苦しいので慣れてしまいましたね。でも悔
しい思いをしたことがあります。これはここで働いた朝鮮人たちを侮蔑
した話です」

 ここで館長は「ちょっと待って」と言って、ビデオテープを持ってき
た。そのテープには「マンガンに生きた朝鮮人と部落」とある。

「これは?」
「このテープは私が作ったものです。今言った悔しい思いがこのテープ
を作らせたのです。田中宇(たなか・さかえ)というジャーナリストが
います。彼は『マンガンパラダイス』という本を書きました。ここのマ
ンガン鉱で戦前働いていた朝鮮人を追って韓国で取材したという内容の
話ですが、とんでもないウソがこの本に書かれています」

「ウソ?」
「ええ、でたらめです。たとえば『マンガン鉱で働いてお金を貯めて国
に帰れた』とか『出稼ぎが出来て日本人を恨んでいない』とか。それで
私は韓国へ赴いて、彼が歩いて取材したという村へ行ったのです。そう
するととんでもない。彼にはそんなことを証言していないという話ばか
りが出てきました。通訳した人にも会ったのですが、そんなことは嘘だ
、その時彼らが話したことを通訳したと言っていました」

「田中というジャーナリストに会いましたか?」
「電話しているのですが、つながらないのです」
 ビデオを紙面で紹介できないのは残念だ。

「最後にもう一つ、お聞きしたいのですが、もし、財政的な支援があれ
ば記念館の運営は続けられますか」
「勿論です。それが父の遺志でもありますから。父は『俺の遺骨は海に
撒いてくれ』と言って亡くなりました。それで東海(日本海)に散骨し
ました。今望むことといえば、韓国政府も国内に記念館や資料館を作る
のもいいですが、日本国内に歴史博物館や資料館を作るべきです。韓国
人よりも日本人に知ってもらいたい歴史があるのですから」
                            片山通夫
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◆先週の備忘録               Michio Katayama
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*忘録#97「中国大変!」
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-entry-2.html

*備忘録#98「やかましい!」
http://coffeebraek.blog59.fc2.com/blog-entry-6.html

その他「コーヒーブレイク」はこちら!
http://609studio.sblo.jp/
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 日本のテレビは、NHKを含めて北京オリンピックのオンパレード。
華やかなオリンピックの陰で中国メディアは萎縮させられている。
「中国、国内メディア規制 「違反なら廃業」だと!

 国の威信はそんなところにあるとは思えないが・・。

 国の威信といえば、米露両国。グルジアという小国を挟んで、角を
突き合わせている。ひょんなことから、世界大戦は起きる可能性が。
一発の銃声が世界を狂わせる危険がある。

 8月15日が過ぎた。日本が戦争に負けた日である。
その敗戦を「終戦」と言いくるめる浅知恵が我が国がアジアで信頼し
てもらえない原因の一つ。

  往年の武士の潔さが見られない。
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発行     2008年8月19日   No.351
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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