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タイトル:609studio No.347◆本澤二郎の社会評論「日本の現状・教育」  2008/07/22


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【609 Studio 】メール・マガジン 2008/7/22  No.347
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「現代社会を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時
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◆現代時評:今週は休載です。

◆本澤二郎の社会評論「日本の現状・教育」:本澤二郎

◆ 徒然のサハリン:オリホヴィク美香

◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2008年7月18日号

◆先週の備忘録:

◆編集長から

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◆現代時評:
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今週は休載です。来週をお楽しみに・・・。
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◆ 本澤二郎の社会評論「日本の現状・教育」:本澤二郎
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 教師の採用試験に獣道ならぬ裏道が用意されていた。大分県で発覚し
た教育界の腐敗・汚職事件のことである。両親が教育者だと、その子供
にも教師のポストが用意される例は至る所で見受けられる。日本的現象
と思ったりしていたが、現実はまことにどろどろしていたのだ。由々し
い一大事である。
 
 10数年前、自民党の北海道のある支部で講演をしたときを思い出し
てしまった。案内役の自民党役員に「このあたりの金持ちは」と尋ねた
ら、意外や「学校の先生」という返事が返ってきた。さらに「夫婦で先
生という家庭も多いが、それこそが大金持ち。立派な家に住んでいます
よ」と言い張った。

 「そうかなあ」がそのときの感じだったが、それは事実だった。田中
内閣は公務員の中でも教師の待遇をよくした。70年代のことだ。親がジ
ャーナリストで、子供も、という例をほとんど聞かない。3K職場の一
つからなのか。政治家の世襲は多い。教員も政治家も金になるいい仕事
なのである。

 6年間、大学で生徒を教えてみたが、悪くない。生まれ変わったら教
師になってみたいものだ。むろん、金目当てではない。教育が社会の根
幹だからである。有為な若者を育ててみたいからである。残念にも中曽
根・国家主義の本を書いたら、筆者の人気講座がなくなってしまい、夢
は実現しなかった。わが国の言論・教育の自由は、まだまだ未熟なのだ。
 ともあれ、大分県の教師は金持ちだから、教員を目指す娘のために教
師である親は巨額の商品券を賄賂として使って、見事「先生」にしてし
まった。教師人脈は腐敗の温床となっていたのである。

 教師人脈のない家庭には、政治家の口利きが用意される。「まさか教
員採用に裏口などあるはずがない。公正な試験で決まるもの」と考えて
いる庶民の子弟は、懸命に挑戦するが合格するわけもない。悲劇だ。1
7,8世紀の採用試験に気付かない有能な若者が、教育界からはじき出
されている。泣けてくるような日本の教育現場であろうか。

 深刻なことは、これは九州の一部の特殊事情ではない、ということで
ある。日本の津々浦々で腐敗がはびこっていると理解すべきだろう。
 筆者も大学時代に教員の資格をとった。簡単に取れる。いざという時
のため、がその理由だった。当時は「でもしか先生」という言葉が定着
していた。先生にデモなろうか、先生にシカなれない、という意味がこ
められていた。教員採用試験用の技能を少し学んでいれば、筆者でも採
用されていたかもしれない。教員なら金に苦労することもなかったろう
。子供たちと楽しく過ごせたかもしれない。年金がべら棒にいい。気付
くのが遅かった。

 しかし、そんなことはどうでもいい。日本の教育のことである。大学
も裏口、教員試験も裏口という「先生」に教えられる日本教育を想定す
ると、まことに愕然・暗澹たる気分にさせられよう。単なる杞憂ですま
ない。

 先日、おしゃべりした自民党の村上誠一郎元特命担当大臣は「小泉内
閣以降、まったく教育改革をしてきていない」とひどく嘆いていた。彼
によると「教育は、読み書きそろばん、しつけと思考能力をつけること
」でしかない。マルバツで子供の才能を決める現状に危機感を抱いてい
た。まともな歴史教育もできない現状も、教員の資質とも関係している。

 その点、フィンランドの教育はすごい。子供たちに考える力をつける
ことに集中している。友人弁護士も同じことを訴えていた。かの国では
、教員が一番尊敬の対象である。待遇面も日本並みなのであろう。しか
し、試験が厳しい。むろん、裏口はない。もしも、あったらそれこそ社
会から断罪されてしまうだろう。

 政治家が就職・大学・医師の裏口をしていることは、よく承知しては
いたが、教員の採用試験にも裏口があるとは、今回の事件まで想像さえ
できなかった。日本の将来が見えてきてしまいそうだ。不安である。
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◆ 徒然のサハリン:オリホヴィク美香
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「ロシアの休暇制度」
 7月に入って、今ごろは本当は日本の実家に帰省中のはずなのですが
、今年は私のビザの手続きに手間取り、まだサハリンにいます。
さて、サハリンでは、普通の職場では年間48日の有給休暇があります。
<続きは>
  http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-47.html
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2008年7月18日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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記者会見−エル・シュビナ連邦下院議員

 さる11日、下院国会社会政策委員会副委員長を兼任しているサハリン
州エル・シュビナ連邦下院議員が記者会見を行った。議院はこの半年間1
64件の連邦法と3件の政治関連法が制定される他、2回の年金引上、公
務員給料引上、年金法改正など福祉分野において幾らかの進展があったと
指摘した。議員によると、サハリン州の場合、最低賃金7、265ルーブ
ル(全国最2、300ルーブル)、平均賃金3万5、500ルーブル(全
国平均賃金2万1、341ルーブル)で他地域に比べ著しく高く、来年さ
らに平均賃金が3万6、400ルーブルに、又公務員の給料がさらに10
%引上げられるとのこと。又、州内労働年金が8月1日から5、730ル
ーブルから6,291ルーブルに引きあがると伝えた。最後に、議員は住
民から500件余りの苦情(主に賃金未払)が寄せられるなど問題はまだ
多いが、下院に入ってまだ間もないので今からだと思ってほしいとく理解
を求めた。

州知事の記者会見

 11日、ア・ホロシャヴィンサハリン州知事が2月に続き2回目の記者
会見を開いた。記者会見は非公式的に行われ、地域経済発展戦略から予算
まで様々な問題についての率直な意見が交わされた。ソビエツキーサハリ
ンのヴェ・ソロチャン社長がサハリン州発展戦略に地方の意見はあまり反
映されていないと指摘する他、技術専門家養成の必要性を強調しながらも
国の対応は消極的であるとの批判の声も上がった。州知事は、「サハリン
・ウエストト銀行の破産の噂で預金者が貯金を引き下ろすなど混乱が起き
ている。当銀行の株を50%持っている州政府としては非常に危機を感じ
るが、(皆が協力して)銀行の破産を防ぐために努力すべきである」と述
べた。

州議員選挙10月12日

 さる10日、州議会は今年の州議員選挙日を10月12日に決めた。州
選挙委員会はドリンスク、マカロフ、シェブニノ区域の自治長選挙も当日
行うことにした。

ワシントンで第13回露・米太平洋パートナー大会

 13年前からロシア連邦特別プログラムとして両国間貿易経済交流活性
化を図るために行われている露・米太平洋パートナー大会が、さる14か
ら両日間、米国ワシントンで開かれ、サハリン州代表20人が参加した。
今年の主な議題は2013年までの極東及びバイカル社会経済発展、特に
サハリン運輸インフラ、環境保護問題。サハリン代表らは17−18日、
アラスカ政府が主催する航空運輸問題を検討するセミナーにも参加した。

 

北方少数民族子供たちの寮完成

 15日、ポロナイスク市の第3リチェイ(北方少数民族伝統技術学校)
の寮がついに完成、都市から離れた町に住んでいる子供たち48人がここ
で生活しながら教育を受けることができる。

極東地域で最も高いサハリン住宅

 ユジノサハリンスク市の住宅価格の上昇が続いている。6つの不動産会
社の調査によると、この1年間だけで10−15%も上がり、1ルームの
中古アパート価格が200−260万、2ルーム300−380万ルーブ
ル。現在、1戸当り平均価格は6−7万ルーブル。中古アパート価格とし
ては極東で最も高いと仲介人はいう。市民らの収入増加、銀行融資などが
値上の要因で、昨年のネベリスク地震による影響もあるという。しかし、
近々価格の上昇で取引が減少すると価格は下がるであろうと予測されてい
る。

真相究明委員会サハリン調査

 14−21日間、韓国日本強占下強制動員被害真相究明委員会の委員3
人がサハリンで現場調査を行うために來島した。委員たちはシネゴルスク
、コルサコフ、ブイコフ等で強制動員事実の確認と被害者らの墓を調査す
ると共に、遺骨返還のために関係者らと話しあう予定。

奨学生選抜インタビュー

 6年前からサハリン同胞人材養成プログラムを実施、毎年5人のサハリ
ン同胞を奨学生として受け入れている韓国釜山の東西大学が来年の奨学生
選抜のために担当教授2人がサハリンを訪ねた。16日、7人の申し込み
者がインタビューを受けた。現在、当大学で留学中のサハリン同胞奨学生
は20人。

サハリン州韓人会運営委員会会議で−2世の永住帰国費用は本人負担

 12日行われたサハリン韓人会運営委員会で朴・ヘリョン会長は、19
46−47年に生まれた2世の永久帰国の可能性はあるけど日本政府の支
援拒否により永住帰国費用は本人負担になる可能性が高いと伝えた。また
、永住帰国後の生活支援についてもまだ韓国政府の決定がないと述べなが
ら、来る8月2日に韓国政府と韓国赤十時社代表らがユジノサハリンスク
で説明会で話が聞けると伝えた。

強制動員被害者の韓国遺族らの共同慰霊祭

 15日午前10時30分、強制動員被害者らの韓国側遺族らなど強制動
員犠牲者遺族海外追悼巡礼団24人がユジノサハリンスク市サハリン韓人
文化センター前の被害者慰霊碑の前で慰霊祭を行った。帰国できずサハリ
ンで亡くなったお父さんに送る追悼文を読みながら悲鳴をあげる息子と娘
。彼らももう既に初老の60−70年代の人たち。参加者ら全員が涙無し
で見ていられないほど悲しい慰霊祭だった。海外追悼巡礼団の慰霊祭は2
006年から日本植民地下強制動因されたまま海外でなくなった方々の霊
を慰めるために行っているもので、韓国と日本の協議でその費用を日本側
が3分の1、韓国側3分の2を負担している。巡礼団は5日間の滞在期間
中にコルサコフの望郷の丘とポジャルスコエの27人の韓人犠牲者追悼碑
の他、強制連行の縁の地方を訪ねる予定である。
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◆先週の備忘録               Michio Katayama
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*備忘録#56「一斉休漁」
http://609studio.sblo.jp/article/17003528.html

*備忘録#57「強要」
http://609studio.sblo.jp/article/17016910.html

*備忘録#59「浅利幾美被告の長男・長女」
http://609studio.sblo.jp/article/17034103.html

*備忘録#60「関空大変」
http://609studio.sblo.jp/article/17034581.html

*備忘録をもっと読む
http://609studio.sblo.jp/category/567174-1.html
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 北京五輪が近づく中、様々な人権問題が浮上してきた。
例えば、香港英字新聞「サウスチャイナ・モーニングポスト」は次のよう
な事件を7月20日付で伝えた。
 「地下教会代表を北京市外に強制移動」とあって、中国公安当局が、北
京にある政府非公認のキリスト教地下教会の団体「中国家庭教会連合会」
代表を「五輪期間中、外国のメディアや要人との情報交換などを行う恐れ
があるとして、隔離した模様。

 中国は、国の威信をかけて五輪成功に向けた様々な施策を取っている。
車の北京乗り入れ制限などは愛嬌もあると笑っていられるが、各地で起こ
っている暴動や、今回の教会代表の隔離など、人権問題に関しては笑って
おれない。

 五輪開催のために、人権が抑圧される事態にIOCなどは「政治不介入
」の立場を取り続けているように見受けられるが、これは間接的な「人権
抑圧政策への支持」と思う。

 華やかな五輪の陰でこのような人権抑圧が行われている事に国際社会は
もっと眼を向けるべきだ。
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発行     2008年7月22日   No.347
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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