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タイトル:609studio No.323◆本澤二郎の政治評論「松下政経塾」  2008/01/15


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【609 Studio 】メール・マガジン 2008/1/15  No.323
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◆右往左往:「ねじれ国会を生かせ」:MK

◆本澤二郎の政治評論「松下政経塾」:本澤二郎

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2008年1月11日号

◆編集長から

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◆右往左往「ねじれ国会を生かせ」:MK
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 マスコミは「ねじれ国会」という表現で、衆参両院の与野党逆転をい
う。そのねじれで、与党は伝家の宝刀ともいうべき「衆議院での再可決
」を抜いた。そして「補給支援特措法」は成立した。

 改めて衆参両院の逆転について考えてみたい。本来二院制のメリット
はどこにあるのか。言うまでもなく衆議院の独走を防ぐためのものであ
ろう。憲法学者などはそうは考えないと思われるが、われわれ国民にと
って参議院の良識というものを信じたいのである。参議院議員の任期は
6年。これは何を意味するのか。じっくり「解散風に脅かされずに」衆
議院から回ってきた法案などを検討・研究して、必要とあれば修正・加
筆などをほどこして成立させるべき任務を与えられていると考えるので
ある。つまり「参議院の良識」という言葉で代表される目的である。

 しかし、最近は党利・党略に走り、衆議院に与えられている任務を下
請けもしくは単に確認するだけに陥っているのではないか。これは長い
目で見れば政党にとっても、無論国民にとっても悲劇である。政党が自
己の利益にのみ眼を向けて国民の生活や安全をおろそかにする危険があ
る。現に今回の補給支援特措法に関しても、十分な論議が国民に示され
ていない。たとえば先の参議院選で自民党は安倍前総裁のもとで「安倍
をとるか小沢をとるか」という論調で選挙に惨敗した。この辺の論理を
補給支援特措法で十分議論をなされたのか疑問を持つ。自民党は小沢を
次善の選択とした国民の意思を無視しているとしか思えない。一方野党
第一党の民主党にも「数にものを言わせた」参議院の運営としか見えな
いのである。いずれの政党も、いずれの議院も、数と党利・党略に走っ
ているとしか見えないのは国民としてはむなしい限りである。

 ひとつ提案したい。政党色を廃した、もしくはせめて薄めた参議院の
運営ができないものか。「良識」という旗を掲げた運営である。選挙と
いう洗礼がある以上政党の影響を排することの難しさはわかる。国民と
しては「そこをなんとか・・」と言う気分なのだ。
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◆本澤二郎の政治評論「松下政経塾」:本澤二郎
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 松下電器産業は1月10日、社名を変更するという記者発表を行った。
これまでのブランド名の「ナショナル」も、創業者の松下幸之助がつけ
た「松下電器」も止めて、もう一つのブランド名の「パナソニック」に
統一するのだという。

 確かにナショナルは、国際化の時代には合わない。NATIONの形容詞で
「国家の」「民族の」といった、やや重々しい威圧的な感じを与える。
ナショナリズムになると、国家主義・国粋主義・民族主義という戦前の
怖いイメージが付きまとってしまう。
 現に、幸之助が70億円かけて設立した松下財閥の政治グループ「松下
政経塾」には、このナショナリズムが濃厚にこびりついている。ここか
ら輩出した塾生は、どうしてか超保守的で自民党と民主党にのみに加わ
っている。革新・進歩的な政党には一人として参加していない。つまり
入門条件が厳しく狭いのだ。右翼どころか極右的な思想の持ち主が目立
つ。
 大半の議員は自民・民主の極右政治集団のメンバーでもある。特異な
民族・国家主義教育の成果なのだろうが、リベラルな政治家はいない。
改憲・軍拡に関心を抱く議員ばかりである。
 皇国史観を教え込んでもいるらしい。神社参拝も強要している、とも
聞いた。日本国憲法に敵対しているのだ。平和愛好家にとって、いわば
怖い存在である。ワシントンの右翼との関係もあるが、台湾の独立派と
の結びつきも強いようだ。
 武器財閥との関係も深いらしい。最近話題になった日米産軍複合体の
利権集団として議会・国民の前に姿を現した「日米平和・文化交流協会
」の理事に、民主党の前原元代表が就任していたことが発覚している。
マスコミから疑惑の社団法人と指摘されるや、今月理事を降りている。
民主党防衛(軍事)族の第一人者として、自民党防衛族のみならず兵器
財閥との関係が深い。
 一度、雑誌社の要請で自民党の女性政経塾議員とインタビューしたこ
とがあるが、過去の歴史を直視できない人物であることに驚愕した覚え
がある。皇国史観にのめりこんでおり、その後に朝日新聞が社説で批判
したほどである。テレビに出演したさいには司会者がたしなめると、あ
とで右翼が司会者に圧力をかけた、として話題になった。
 一般人にはとてもついていけない、国際社会で通用しない歴史認識な
のだ。アジアで莫大な利益を上げている松下だが、その配下の政治グル
ープの活動は、とてもアジア重視ではない。そういえば、彼女は「日本
は天皇を中心とする神の国」と公言した森喜朗の側近でもあった。
 歴史教科書にひどく関心を寄せて、平和憲法の破壊に熱心な面々が目
立つ。森・小泉・安倍内閣で大きく浮上したグループでもあった。幸之
助の70億円について元自民党閣僚の一人は「70億円は脱税資金ではな
いのか。他人の金で政治をしようとするものに、まともな政治家はいな
い」と非難しているが、同感だ。
 松下という名称は今年10月から消えるというが、政経塾のほうをどう
するのか。ぜひとも聞きたいものである。インターナショナルに衣替え
できるのだろうか。2008年1月11日記
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2008年1月11日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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州知事、経営多角化必要性言及

 ア・ホロシャヴィンサハリン州知事の年末報告によると、2007年
度サハリン州の生産高は3千億ルーブル。その大部分を原油とガス採取
が占める。州知事は年々州予算収入が増加していると指摘しながら、原
油やガス採取への依存度が高い現状を改善するために収入源の多角化の
ために努力すべきであると述べた。

2008〜2010年までのサハリン及びクリルの社会経済発展戦略

 昨年末、サハリン州政府会議で議論された2008〜2010年まで
のサハリン州とクリル地域の社会経済発展方案の内容を紹介する。
1.事業予算:総700億ルーブル。28.4%州予算、42%連邦予
算、27%その外。
2.事業別予算:住宅建設30%、17%道路建設と運輸手段発展。2
009年にマカロフまで道路舗装。
3.期待効果:特別計画案が実行されれば、商品生産量30%、工場生
産指標1.7倍、農業生産量8.2%、商品流通40%、平均賃金1.
4倍、住民実所得30%増加。

同事業案は州知事の署名を経て州議会で承認される。その後、2月に2
008年度の当面事業を決める政府会議が行われる。
            (サハリン州政府情報管理局)

新しくなった映画館

 ユジノサハリンスク市を代表する映画館「オクチャブリ」のロビー修
理が大晦日に完了した。2カ月間600万ルーブルの予算を費やして行
われた修理作業。チケット売り場や売店が新しくなり、観覧室のデザイ
ンも変わった。修理は今年も継続される。観覧室や正面出入口、階段な
どを新しくする予定である。

震災被害者222世帯新築住宅へ入居

 昨年8月、大地震で家を無くしたネベリスク地域住民222世帯が新
年を新しく建てられた自分の家で迎えることができた。入居者らは年末
にも休まず働いてくれた建築工たちの深く謝意を表している。

新年の贈り物

 南クリル地域住民らは嬉しい新年の贈り物をもらった。サハリン州動
力委員会が南クリル地域の電力料金を43コペイカ引下したこと。住民
はこの贈り物を大変喜んでいるとのこと。

歴史:「僅か4カ月で永住帰国促進百万名の署名得る」

 サハリンに捨てられた韓国朝鮮人らの永住帰国運動関連資料を集める
中で州韓人老人会が入手したあるものを皆さんに紹介したい。
 サハリン韓人社会では、永住帰国運動協力者として在日サハリン帰還
韓国人会の朴・ノハク会長や、サハリン裁判を率いた高木健一弁護士を
はじめ日本人が多いと知られている。しかし、今日私が紹介しようとす
る二人は韓国人夫婦。余裕もない生活の中でサハリン韓人の永住帰国の
ために4カ月で百万人の署名を得て国会や政府を動かした人物である。
この二人を我々はよく知らない。しかし、愛国心と同胞愛に満ちたこの
二人を我々は必ず知るべきであると考え、私はペンを握った。
 ユン・ソクゾンとイム・オンゾン。この二人は今韓国で技術学校を福
祉施設を運営している。二人は1974年頃、サハリン同胞らの悲しい
運命と彼らの永住帰国の念願についての新聞記事を読んだ。それから「
どうか役に立てないかな。どうしたら永住帰国が実現できるだろうか」
と悩んだ。そのある日、イム婦人がサハリン同胞の永住帰国を促進する
100万人の署名運動の展開を決心した。学校の先生、学生、親戚、親
友、政治家、外国に住む親戚までも協力を求めた。努力の甲斐があり、
4カ月で目標達成。国会議員李・キテクさんを中心に18人の国会議員
が積極的に国会活動を受け持ってくれた。それだけではない。ゴルバチ
ョフ大統領夫妻にまで協力を要請する書簡を出した。活動の結果、韓・
露・日3国会談が実現し、その後。韓国とロシアの国交樹立を機に永住
帰国が実現できた。新たな問題を生んだ永住帰国ではあるが、彼らの努
力を正しく評価すべきである。100万人分の署名用紙は重さが160
kgにも達したという。これを国会やUNに送ったのである。我々の補償
請求運動もこのような100万人署名運動の形ですすめることを提案す
る。韓国やロシア、日本の国民の協力の下で。もし、補償が不可能なも
のであれば、「サハリン韓人支援基金」創設のための募金運動を展開す
るべきではないか。
     サハリン州老人会顧問鄭・テシク、2007.12.10
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 内閣支持率の低迷。薬害C型肝炎問題も支持率アップには繋がらない
ようだ。原因は年金問題かそれとも補給支援特措法の衆院再可決なのか
判然とはしないが、ともかく低迷中。

▲当の福田首相は「支持率は私が決めるわけでない」とそっけない。
そのそっけなさが低迷に繋がっているのではと言う発想は首相にはない
ようだ。

▲自民党は「暫定税率」再可決の方針を決めたようだ。伝家の宝刀を一
度抜いてしまえば、あとは血刀・・・に。そう何度も振り回すべきもの
か疑問が残る。
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発行     2008年1月15日   No.323
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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