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タイトル:609studio No.320◆右往左往「1日平均124分」  2007/12/18


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【609 Studio 】メール・マガジン 2007/12/18  No.320
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 現代時評を書かれていた論説委員、Ken 氏は現在病気療養中です。
当分の間、現代時評は休載いたします。
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◆右往左往「1日平均124分」:MK

◆◆本澤二郎の政治評論「浮上した改憲・台湾派の中川勉強会」

◆はちみつ色のニングル「ハニィ」の冒険日記       wabi

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2007年12月14日号

◆編集長から

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◆右往左往「1日平均124分」:MK
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 何の時間だと思われますか?このほど実施された内閣府の「情報化社
会と青少年に関する意識調査」で判明したという。
 女子中高生の携帯電話でのネットに費やす時間である。さらに一日に
送るメール本数が20本を超える統計が30−40%だとか。

 この調査に驚くのは筆者だけなのかはわからないが、一方で本を読ま
ない若者が多いという統計もある。神戸では老舗の書店が閉鎖した。知
り合いの出版社に聞いて見ても「出版不況」は深刻なようだ。

 明治維新の頃、丁髷を切る「斬髪令」なるものが出た。また牛肉など
を食さない習慣が牛鍋文化を取り入れるようになった。時代がそうさせ
たのだ。携帯電話が世に蔓延る様になって、1日平均124分もの時間
を携帯電話とにらめっこする時代が到来した。斬髪令や牛鍋と同じよう
に比べることは乱暴だとわかっているが、この内閣府の意識調査の結果
に、明治維新の斬髪令に当時の人々の驚きや抵抗?を連想し、出版不況
の在りように「文化の衰退」を思うのは筆者の頭が古いのかとも感じる
次第である。

 かくいう筆者もインターネットを利用して、情報を集め、またe-mail
のシステムで国内は無論海外からの情報収集、連絡等に利用している。
 またこのメール・マガジンも発行しているのであまり強いことはいえ
ない。

 それでも(言い訳がましいが)本も読むし、図書館にも通う。
せめて、その程度には読書に時間を割く。
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◆本澤二郎の政治評論「浮上した改憲・台湾派の中川勉強会」
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 数日前、自民党内で中川昭一を中心とする右翼議員の集まりである勉
強会が始動した。30人ほどの議員が結集したと伝えられている。これ
は、安倍晋三の盟友として知られる中川の派閥結成の思惑と同時に、極
右・安倍路線の継承と発展が目的であることは間違いない。戦後日本の
平和主義路線を破壊するところに安倍路線の特徴があったのだが、7月
の参院選挙で真っ向から否定されたものの、彼らの天皇制国家主義復権
へのあくなき野望が消えることはないらしい。

 それは岸信介や中曽根康弘らが悲願としている「戦争のできない日本
」から「戦争のできる日本」への国家改造論の後継者だからなのだろう
。改憲に最大の政治目標を置いているところに特徴がある。人はタカ派
と呼んでいるが、右翼ないしは極右勢力と捉えるべきだろう。偏狭な民
族主義(ナショナリズム)と軍国主義を伴いがちで、いつの日かアジア
諸国に不安と緊張をかきたてることになろう。その特徴を羅列してみる
ことにする。

1、台湾派と岸信介
 中川の実父・一郎は、72年の日中国交正常化とその後の航空協定に
おいて、時の田中首相と大平外相を激しく非難した。反共右翼グループ
・青嵐会を結成して田中内閣と中国批判に血道をあげた。黒幕は蒋介石
と岸であった。このメンバーの中には、現在都知事の石原慎太郎やヤク
ザ代議士の浜田幸一、それに森喜朗らがいた。中国共産党との対決が彼
らの行動規範のようになっている。台湾派は反共主義集団だからである。
 中川は自らの野心を自民党の総裁選挙にかけたが、果たせず自殺(他
殺説も)した。息子は父の無念を晴らそうとしているかのように、実父
の路線をひた走っている。
 岸と蒋介石の関係は、森や安倍の時代になると李登輝である。台湾独
立派との仲は深い。
 岸の孫が安倍である。岸こそが安倍や中川父子の政治的源流なのであ
る。森が心酔する政治家も岸なのだ。「日本は天皇を中心とする神の国
」と公言する森には、安倍同様、戦後の平和主義が欠落している。
 中川は靖国参拝派の小泉内閣で経済産業大臣に就任している。小泉参
拝を背後で支援していたのが、安倍や中川ら自民党右翼議員であった。
中川は安倍内閣のもとで、大臣よりも格上の党政調会長になって政府与
党の政策面の最高責任者をしている。
 ご存知、岸派の流れが、今日の森−小泉―安倍ラインなのだ。自民党
最右翼集団として政権党の中枢を占拠したままなのだ。小泉は靖国参拝
を強行し、ミサイル防衛で中国と対峙する路線へと踏み出した。戦争法
制も制定した。安倍はさらに、防衛庁を省に格上げて自衛隊の海外派兵
を常態化する一方で、戦争のできる国家改造に向けて、憲法改正のため
の国民投票法を制定した。
 残るは、戦争放棄条項である9条改憲のみである。そこに中川は的を
絞ってグループを立ち上げたもの、と分析できるのである。

2、「麻生内閣」実現目指す
 中川は先の自民党総裁選挙で麻生を応援した。入院で身動きできなか
った安倍に代わり、麻生のてこ入れに熱中したことは、よく知られてい
る。麻生もまた台湾派である。吉田茂の孫だが、こちらは祖父のリベラ
ル・アジア重視の外交は微塵も感じられない。安倍や小泉と波長が合っ
ている。福田後継に麻生をかつぐ戦略が、ここにきてグループを立ち上
げた事情であろう。来年の総選挙で福田退陣もありうるとの計算とみた
い。かつて核武装発言をしていたはずだ。安倍や中川、石原にも。
 他方、自民党右翼の結集に刺激されてか、古賀派と谷垣派が復縁する
ことになった。かつての大平・鈴木・宮澤のようなリベラル色は薄くな
っているものの、多少とも平和外交の重要性を理解している派閥だ。ア
ジア重視に変わりはない。

3、神社指向
 インターネットで中川の趣味を当たってみると、なんと彼がよく行く
場所に神社があった。神社といえば、侵略戦争の片棒を担いでいたこと
を学んで以来、筆者などはなじめなくなってしまうのだが、中川は違う
のである。いまも神社信仰の持ち主とみられる。
 今時、家族や自分・国の将来を神社に祈るというのであろうか。解せ
ない。

4、産経ファン
 やはりというべきか、彼は反共新聞で知られる産経新聞の愛読者のよ
うである。産経事情に明るいし、産経記者の書く本をよく読んでいる。
最近の政治家はほとんど本を読んでいないが、中川は時間を見つけて読
書しているらしい。右翼議員が首を突っ込む北朝鮮の拉致問題には、安
倍に似て異状な取り組みを見せてきている。
 本人が紹介する読書本というと、ナポレオンなど過去の英雄や宮廷に
関するものに熱中しているようである。韓国ものは父親譲りのようだ。

5、農水・商工族
 北海道で議員になるためには農林水産族にならないと、有権者の支持
が集まらない。彼も実父に見習って農水族になっている。小渕内閣で農
水大臣を歴任、さらに小泉内閣で経済産業大臣になり、利権の幅を広げ
ている。軍需産業など新たなスポンサーを期待できる大臣ポストだ。商
工族になることが、派閥結成への布石の一つと見るべきだろう。

6、スポンサー? 
 右翼・改憲派の強みは、リベラル派の議員にない強い支援者がつく。
財閥だ。とりわけ武器・弾薬に関係している財閥である。現在、前の防
衛事務次官の腐敗事件が露見しているが、兵器財閥の利権は、他に比べ
て圧倒している。
 スポンサーの絶大な支援が期待できる。右翼の活動が突出するのは、
資金の豊富さにあるのである。中川にとって、時が来ればグループを立
ち上げるのに、そんなに時間を必要としないであろう。資金が全てだか
らだ。

7、弱点
 難点は彼の性格だろう。地味な性格だけでなく、なんとなく陰湿な雰
囲気が彼の人気の妨げになろうか。この点は豪放磊落な父親との差異だ
。父親の不幸を一身に背負っているような印象を与えている。テレビ時
代にそぐわない風貌かもしれない。しかし、裏方に徹するほうが、国民
にとって迷惑になるかもしれない。(2007年12月6日記)
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◆はちみつ色のニングル「ハニィ」の冒険日記      wabi
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  携帯小説「はちみつ色のニングル「ハニィ」の冒険日記」は
  wabi氏のご好意で、紹介します。

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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2007年12月14日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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大統領候補推薦始まる

 来年3月2日に実施される大統領選挙の候補推薦が始まった。候補資
格は、国内に10年以上継続して住んでいる者で、他国の国籍や永住権
を持っていない35歳以上の犯罪経歴のないロシア国民。候補登録は1
月27日まで。各政党は一人の党代表候補を、そして200万人の支持
者署名と一緒に提出しなければいけない。又、無所属候補は選挙権者5
00人からなる発起グループを組織し、そのグループから推薦を受けな
ければならない。2月2日から選挙運動をはじめることが出来、すべて
の候補がTV討論会に参加しなければいけない。又、2次選挙が必要な場
合、それは3月23日に行う。
          (ロシア連邦中央選挙委員会資料による)

ロシア内閣首相サハリン訪問

 さる11日、ヴィクトル・ジュブコフロシア連邦内閣首相がサハリン
を訪問した。首相はまず震災地のネベリスクを視察した後、政府会議を
招集した。首相はネベリスク復帰のために総70億ルーブルの予算支援
があったことを指摘しながら住宅建設が計画通り進んでいないことに不
満を示した後、震災被害者に2〜5万ルーブルの補償金が支給されると
伝えた。そのほか、北クリルスクの電力供給状況を州知事に訪ね確認し
た後、チュコトカに設置したように北クリルスクにも風力発電所を設置
すべきであると述べてから、サハリンには石炭、石油、ガスなど自然資
源が豊富であるにもかかわらず発展が遅いと指摘しながら、より積極的
に投資者を探すようにと指示した。

副知事日本訪問

 エス・ヴィリヤモフ サハリン州副知事が3日間、東京訪問の日程を
終え帰国した。訪問の際、副知事は耐震建築物、原油・ガス・石炭加工
、廃棄物リサイクル新技術などに関心を示し、その関係者や関連施設を
訪ねた。

住宅公共料金引上げ

 来年元日からユジノサハリンスク市では市内住宅の暖房料金を7−1
0%引上げることにした。引上げの原因は国内インフレ、今年のインフ
レが年初予想していた9%を超え11%まで達したために公共料金の引
上を避けられないとのこと。

月平均食料品価格2.8%引上げ

 今年11月、ロシア全国の食料品平均価格が2.8%も引上げた。年
初から今までは19%も引上げた。最も食品価格が高い地域はチュコト
カ、サハリン州は全国5位。

188Kgの麻薬押収

 極東連邦保安局国境守備管理局は先月、188kg以上の麻薬を押収
したが、その中の180kgがアムール州で押収された。また、250
万ルーブル相当の密輸品も押収されたが、その大多数が沿海州とサハリ
ンで発見されたもの。違法船舶の逮捕も23隻(外国船舶13隻を含)。

違法広告

 サハリン州政府はユジノサハリンスク市内に屋外広告の検閲を実施し
、広告法を違反した6カ所の事業所に28万ルーブルの罰金を課した。

韓国外通部職員訪問

 韓国外交通商部日本課職員と国会統一外交通商委員会職員2人など計
3人がサハリン韓人支援特別法案に対する現地世論を調べるためにサハ
リンを訪ねる。訪問日程は12月14〜17日まで。

サハリン州韓人老人会長に全・サンジュ会長再選

 さる8日、サハリン韓人文化センターでサハリン州韓人老人会決算選
挙会議が開催されたが、その会議で第5代老人会長として全・サンジュ
さんが再び選ばれた。

金・素月の詩朗読会

 先週8日、サハリン韓人文化センターで、韓国の詩人金・素月を紹介
する詩朗読会があった。サハリン韓国教育院の講師朴・へシン(詩人)
さんは金・素月詩人の一生と彼の代表作数編を紹介した。学生たちは授
業を通じて覚えた素月の詩を皆で朗読する他、金・素月の詩を歌にした
有名な曲をビアノ演奏で金・チュンケン(韓国語教授)が詠うなどして
学生たちがより韓国文学に親しむ夜となった。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 アメリカで銃の乱射が頻発し「なんと銃社会の恐ろしさよ」と感じて
いたら、わが国でも結構頻発しているようだ。先日も佐世保のプールで
散弾銃をぶっ放した男が居た。それ以前にも、暴力団抗争で街中での銃
撃戦とまでは行かなくとも、射殺事件が頻発している。およそ銃社会と
無関係の日本の社会だったのに、ここに来て頻発するのには、それなり
の理由が考えられるのではないか。

 まず、当たり前のことだが銃が出回っているということである。次に
われわれの社会に余裕がなくなってきたことが挙げられる。それが経済
的であれ、精神的であれ、余裕のない社会に陥っているということだ。
 だから短絡的な行動に走る輩が増える。この原因に小泉首相時代の政
策が挙げられる。グローバル社会の弊害である。格差が助長している。
 経済的に余裕がないということで精神的に追い詰められて犯行に及ぶ
ケースが多いのではないか。

 そういえば小泉チルドレンたちを「刺客」ともてはやしたマスコミに
も大いに責任はある。「刺客」というおどろおどろしい言葉が、子連れ
狼などに代表される架空の世界でなく、現実のそれも国会議員を選ぶ崇
高な選挙に使う異常さを感じるべきだ。

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発行     2007年12月18日   No.320
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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