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タイトル:609studio No.311◆現代時評:[政治家の品格]  2007/10/02


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【609 Studio 】メール・マガジン 2007/10/2 No.311
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【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト
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◆現代時評:[政治家の品格]                ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2007年9月28日号

◆編集長から

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◆現代時評:[政治家の品格]                 ken

   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 office@609studio.com  へ!
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◆◆サンケイWEB 2007.9.26 中国紙、中国青年報などが
最近実施した中国の富豪のイメージに関する世論調査で「品性が悪い
」と回答した若者が67%に上った。不正をした富豪の逮捕や国外逃
亡が後を絶たず、金持ちへの不信感が強い中国社会の現実を浮き彫り
にしている。  同紙によると、調査で富豪の「品性がよい」と答え
たのはわずか4%。また尊敬に値する「富豪」が備える要件について
聞いたところ「社会的な責任感」(88%)、「思いやり」(77%
)、「合法的な手段」(74%)が多く、いまの中国の富豪に欠けて
いる要件もほぼ同様だった。

◆◆アサヒコム 2007.9.26 日本政府の基本姿勢は「対話
と圧力」だが、福田政権では安倍政権の「圧力」重視から「対話」に
より比重を置く路線転換を模索することになりそうだ。当面の課題は
10月13日で期限切れを迎える対北朝鮮経済制裁への対応だ。安倍
前首相は「自由と民主主義という共通の価値」を持つとして、インド
、豪州などとの連携を強化。こうした姿勢は中国への牽制(けんせい
)とも受け止められていた。これに対し、福田氏は「どの国ともでき
るだけ滑らかな平和な関係を築くこと」を外交の基本に据える。「相
手が嫌がることをする必要はない」として、靖国神社参拝はしないと
明言。日中韓の連携強化を訴える。 

◆◆読売オンライン 2007.9.26 民主党の小沢代表は25
日、党本部で記者会見し、福田首相との党首会談について、「国会会
期中であり、論戦は国会でいくらでもやれると思っているが、それと
は別に会談を行うということであれば、いつでも応じるつもりだ。話
し合いそのものは拒絶するつもりはない」と述べた。 安倍前首相が
申し入れた、インド洋における海上自衛隊の給油活動の継続問題につ
いても、福田首相から党首会談の呼びかけがあれば、応じる考えを示
したものだ・・。

■■「国家の品格」という本がベストセラーになったと思うと、最近
では「女性の品格」という同類の本までが出版されている。「品格」
を云々するということは、国民の間にそれだけの道徳意識が芽生えて
いることで結構なことである。 早く言えば「衣食足りて礼節を知る
」時代に戦後の日本が入ったのかもしれない。

■■ところが、こと政治家の品格となると今一つ進歩しない。もちろ
ん「政治家の倫理」といった話は年中マスコミ社会を賑わす格好のテ
ーマであるが、その内容たるや、「政治資金規正法」に違背している
かどうかを云々する程度で、端的に言えば「法を犯したかどうか」と
いった最低限の国民の義務の話に過ぎず、「政治家の品格」といった
高尚な話ではない。 

■■出典は知らぬが膾炙した中国の諺に「良い鉄は釘にならず」があ
る。軍人にならぬだけでなく、じつのところ清潔な人は政治家になる
のも好まぬらしい。 じじつ、中国ではひとたび政治家・官僚になる
と、その在任期間中に稼げるだけ稼いでおくのが通例になっていて、
稼がなければ甲斐性がないと親戚や郷党から蔑まれるのが通例という
。 いま中国政府はこの伝統的な官吏の悪習に手を焼いているが、ボ
クの親交ある中国人の話では、向こう少なくとも数十年間はこうした
役人の汚職はぜったい無くならぬという。 なぜなら、それが悪いこ
とであるという道徳観が、本質的に無いからだそうだ。

■■幸いわが国では汚職・涜職が悪いという社会通念が歴史的に浸透
していて、中国ほど酷くはない。 国際的に見ても、わが官公吏に金
銭的不祥事が少ないのには定評がある。 がしかだ。政治家・役人の
品性が良いかというと、さにあらず。 先ず、「正直」や「親切」と
いった戦前なら誰もが教えられた基礎道徳が、戦後の日本では忽然と
して消え去ってしまい、社会のリーダーである役人政治家もそれに従
っている。

■■その代わり、役人・政治家は自らの出世のため、政官界という修
羅場を遊泳する技術を好んで習得し、ひとたびそれなりの地位を獲得
すれば、今度は威張るという風習を学んでいる。 そうした政官界に
遊泳するためには、「正直」や「親切」などは無用の長物か、むしろ
「お荷物」として敬遠されているようだ。 ちょうど戦国時代の荒れ
くれ野武士たちが品性よりは武力を誇ったのと似たようなものだ。戦
国侍の社会も、いまの政界という職場でも、ただひたすらに戦いに勝
つだけを考えればいいようだ。

■■いまの日本は豊かさ、社会の安全さにおいて世界一になっている
のだから、この辺りで政治家や官僚たちも、こうした戦国時代類似の
悪習を矯めるべきときが来たと悟って欲しいと思うのは、ボクのみで
は無かろう。つまり、なるべく闘争心を減らし、穏やかなよい品格を
涵養して欲しい。 

■■ところが実際の政界では相変わらず政争と、自己の名利栄達のた
めの手練手管に明け暮れていて、国民生活不在の状態が続いている。
 先だっての安倍前首相辞任のあとも、誰が次期首班になるか、誰の
尻に付けば有利かなどの政治家の損得にかまけて10日ほどは政争に
明け暮れるばかりで、とうとう首相不在のままだった。 がしかし、
その間日本という国はナンというほどのことも無く、これならいっそ
のこと首相や大臣制をすべて廃止してもいいのではなかろうかとボク
などは思った。

■■その他、端的に最近の政争の例を挙げてみよう。 つい先般、気
弱な前首相が、インド洋給油作戦続行に関して、野党党首に話し合い
したいと申し込んだとき、野党の御大はにべも無く会談を拒否し、「
話があれば議会で・・」と撥ねつけ、それで首相は前途を悲観して辞
職したということがあった。 後になって前首相辞職の直接の原因は
「機能性胃腸障害」であったとか、野党党首は「必ずしも面会拒否す
るつもりで無かった」とか、それぞれ弁明しているが、これなど、気
弱な前首相と、喧嘩と策略が大好きな野党首領の、政争という喧嘩の
一齣であり、そこには「正直」とか「親切」といった基本道徳のかけ
らすら無かった。 これなど、世界の大国の与野党党首として恥ずか
しことと思わないのだろうか。 ボクがわが国政治家の品性が劣ると
思う適例である。

■■そしてそのとき、国民の殆どは、気弱な首相に非ありとし、その
ような気弱さでは一国の首相としての資格がないと論難し、面会を拒
否した野党党首の不親切と無礼を咎める者は少なかった。 普段から
喧嘩をこととし、争いを常とする政治家社会の風潮に我々国民が慣れ
過ぎているため、とうぜんの政治上の争いとして何とも感じなかった
。 つまり政治社会は「常に争う集団社会」であり、政治家とは喧嘩
好きのグループ集団と見ているからである。 換言すれば、喧嘩と縄
張り争いに明け暮れるやくざ社会が政界だと我々は思っている。 

■■振り返って考えてみるとこれはずいぶん不幸なことである。立派
な政治的識見などは見向きもされず、度胸や格闘技に勝れた人たちが
政治屋になるという社会がすでに出来上がっていて、「政治家の品格
」などが話題にも上らぬ日本なのだ。 ボクは、「国家の品格」のた
めには先ず「政治家の品格」が大事と声を大きくして言いたい。政治
家に立派な品格さえあれば、政治資金規正法などをとやかく言う必要
もないのだ。 中国人役人政治家の日常的な汚職を嘲笑う前に、先ず
わが国政治家の品格を矯めるべきではないか。 政治家は先ず身を修
め、好もしい品格を養うべきだ。 間違っても政争屋に堕してはなら
ない。

■■ところで今、福田内閣が発足した。 多少慇懃無礼に近いとも見
えるが、その点、福田康夫首相の態度は立派と言ってもいい。「政治
家の品格」に及第点をつけてもいいだろう。 彼は、野党や国民に対
して何事であれ、真摯、そして丁寧に説明することをモットーとする
という。結構なことだ。 争いだけで政治をしてはならない。2大政
党制などと称して与野党が相争うシステムは英国辺りの陋習で、必ず
しも我が国情に合っているかどうかはもともと疑問なのだ。

■■そして野党の小沢一郎党首も今回は、先般のように「問答無用、
言いたければ議会で言え」といった短絡的傲慢な態度は引込めたらし
い。 政治論争といえども喧嘩腰にならずに礼儀を尽くして論議する
時代が到来したのかも知れない。 そうあってこそ「政治家の品格」
を云々する価値もある。

■■政策論争は所詮、論理の争いであり、政治主張を喧嘩の迫力で勝
とうとする陋習は、この際改めて欲しい。 そのためには共産党を反
面教師として眺めるべきだ。 政策主張に於いて立派な共産党が、段
々先細りになるのも、彼らがあまりにも戦闘的な言辞を弄し、国民に
不快な感情を与えているからではなかろうか。心すべきことである。

■■これは必ずしも、国内政治だけの話ではなく、外国との交渉でも
言える。 我々が北朝鮮に好感を持たぬのも、事実は兎も角として、
彼らの吐く悪口雑言が耳障りであることが殆どの原因であった。同様
にわが前安倍内閣の「対話と圧力」という対北朝鮮スローガンも聊か
穏当を欠いた。

■■それが福田新内閣では「圧力よりも対話を重点に」するという。
 いいことである。 最近の様子を見るに、いわゆる「拉致家族」に
おもねる余り、わが政府の態度はややもすれば北朝鮮に対して挑戦的
過ぎる感じがしないでも無かった。 仮令、先方が無礼であろうと、
こちらとしてはあくまで礼節を尽くして対応すべきが外交の要諦でな
ければならない。 「売り言葉に買い言葉」とか、「目には目を、歯
には歯を」といった感情的な態度は外交交渉で採るべきではない。
 
■■だからといって、拒否すべきところはきっぱりと拒否すればいい。
 どうもわが国は、拒否すべき場合にすぐ喧嘩口調を採りたがる習性
があるようだ。 拒否と喧嘩の間にはおのずからなる差があるはずだ
。 「断固として」ではなく、「慇懃に、そして明確に」断ればいい
。 福田新首相は「圧力」の度合いを緩め、「対話」に近づけるとい
う。 おそらく彼は居丈高にならずに、外交交渉を進める技術を模索
しているようだ。相手に舐められずに、言いたいことは慇懃に、だが
明確に主張することである。
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               お知らせ

     Ken氏の「現代時評」は隔週掲載となりました。
       次回の掲載は、10月16日の予定です。
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    未知谷 HP http://www.michitani.com/index.html
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2007年9月28日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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アスファルトの質が悪く

 ユジノサハリンスク市政府は民間団体と共同で道路のアスファルト
の質の調査に取り組むことにした。今年の夏、市内道路の改修作業を
行ったにもかかわらず穴が開くなど道面状態が極めて悪いため、市政
府はアスファルト作業会社の契約違反がないかを調査チームを使って
本格的に調べることにした。もし、違反が見つかる際は契約に従って
会社側が修理をやり直すことになる。

サハリン経済指標

 ロシア銀行サハリン支店の調査によると、今年上半期、サハリン州
は極東地域の中で工業生産量と外国投資分野で1位、自動車貨物運送
と輸入部門では2位。物価は8位、農産物値段では1位。

震災復興事業

 先週土曜日、ユジノサハリンスク郊外のトロイツコエ村で、地震で
家を無くしたネベリスク住民のために、震度9度にも耐えられる3階
建てのアパート15棟(270世帯)の建築起工式が行われた。建築
はカプストロイー2003社が行う。同社のオ・カプリン総支配人は
昼夜で働いて通常1年の工期を半分に短縮すると言う。副知事による
と、当地にこれと同じ規模の被災者用アパートが建てられるとのこと。

連邦政府、地震復帰に多額の補助金

 ロシア連邦政府はネベリスク震災地域の復帰に14億ルーブルの予
算を支援することを決め、送金手続きを始めている。補助金の使い方
次第で3回目の補助金6億ルーブルの送金が決まる。

震災地域の子供たちを勇気づけるコンサート

 さる22日、サハリン州立美術館で、芸術的才能のある子供たちを
発掘する場、「2008年子供のコンクール」が開かれた。クラシッ
ク楽器の演奏コンクールや東京で開かれる世界児童絵コンクールの受
賞作を紹介する同行事だが、今年は特別に震災地域ネベリスクの子供
たちを勇気付けるために、ネベリスク芸術学校の生徒らの特別コンサ
ートを開いた。又、地方巡回コンサートを企画するなどで支援は続く
予定。行事に参加したサハリン州文化管理局のヴェ・ベドジュホフ局
長は半壊したネベリスクの芸術学校の代わりに新築の学校を2年のう
ちに建てることを約束した。

震災地に韓国医療奉仕団

 韓国のテグ市のサンドク教会医療奉仕団がネベリスク震災被害者ら
のために今月21−26日まで医療奉仕活動を行った。22人からな
る奉仕団は震災者らの臨時避難所を訪ね、一日平均300人ほどの治
療に当たった。団長のカン・チンソンさん(ケミョン大学教授)はス
トレスなどで皮膚病になるなど様々な異常が起こっている。しかし、
環境が違って持ってきた医療装備などを十分に活用できなかったのが
とても残念だと悔しんだ。

あちこちで永住帰国送別会

 9月28日から1カ月にわたって500人余りの1世が永住帰国す
る。永住帰国を前に韓人社会の諸団体が開く送別会が続いている。2
0日は離散家族会と女性会、青春芸術団が共同で開く送別会が市内の
ホテルで行われる他、22日土曜日には韓人会主催の送別会が文化セ
ンターであった。他にユジノサハリンスク市老人会も仲間だけの送別
を開いた。送る側は「祖国の地でも元気で暮らすように」と挨拶し、
帰る側は「子供たちと生き別れになるのが・・・」と悲しい表情。ロ
シア経済現状では今後の生活が心配だから帰ると心境を述べる人が多
かったように、永住帰国を決めた主な理由は経済的なものと思われる
。子供同伴の永住帰国ではないと帰らないと思っていたウ・ジョング
さんは本誌記者の質問に対し、「息子はサンクト・ペテルブルグ、娘
は韓国にいる。娘がいるから永住帰国する気になった。そして、加齢
と共に祖国への重いが強くなるのも理由の一つ」と気持ちを変えた理
由を説明した。又、「我々の運命は日本が蒔いた種。日本がUN安保
理に加入しようとしているが韓国を始め諸国が反対している。これは
日本は戦争責任をきちんと負わないからである。清算は我々だけでは
なく、自分らのためにも必要なんだ」と責任を逃れようとする日本政
府を強く批判した。

日本ウルタ協会長田中了さん來島

 25年間サハリン州北方少数民族研究や支援を行っている日本ウル
タ協会の田中了会長(人種学博士)が先日サハリンを訪問した。田中
会長はポロナイスクの原住民たちを訪ね、今の生活実態を調べる他、
スターリンの弾圧政策によりシベリアの流刑地で亡くなった原住民と
遺族の名簿を再確認する作業を行った。又、州政府の北方少数民族担
当者や少数民族代表らと会って、北方少数民族問題の解決のために協
力してくれるよう要請した。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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◇ミャンマーで市民の抑圧が続く。死者の数も不明だ。人権無視の軍
事政権の暴挙に怒りを覚える。日本人ジャーナリストも殺害された。
国際社会の徹底した関与を望む。

◇教科書検定に島ぐるみ異議、沖縄県民大会に11万6千人。他府県
民にとってオキナワは遠い島なのか。それとも単なるリゾート地なの
か。沖縄県民の歯がゆさを思う。

 「体験したおじぃ、おばぁたちが嘘をついていると言いたいのか。
60年以上を過ぎた今になって、記述を変える必要があるのか」と訴
える二人の高校生の重い問いかけ。
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発行     2007年10月2日   No.311
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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