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───────────────────────────────── 【609 Studio 】メール・マガジン 2007/5/29 No.301 ───────────────────────────────── 【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、 ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その 他、寄稿記事など話題満載! ───────────────────────────────── サハリン韓国語ラジオ放送を聞くには http://www.609studio.com/html/broadcasting/urimal.html サハリン韓国語新聞 セコリョを読むには http://www.609studio.com/fromsakhalin.html ───────────────────────────────── 休刊のお知らせ 取材のためサハリンへ行きます。次の各号は休刊致します。 6月5日号、12日号、19日号 ───────────◆◆◆INDEX◆◆◆─────────── ◆現代時評:[円安、ドル高の間を泳いでいる日本政府] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2007年5月日号 ◆ウェブサイトTOPIX ◆編集長から ───────────────────────────────── ◆現代時評:[円安、ドル高の間を泳いでいる日本政府] ken Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは office@609studio.com へ! ───────────────────────────────── ◆◆ 読売オンライン 2007.5.23 みずほフィナンシャルグ ループの前田晃伸社長は22日の記者会見で、凍結していた旧3行の元 頭取に対する退職慰労金を支払う方針を明らかにした。6月の株主総会 に議案を提案する。 退職慰労金を支払うのは、2002年春に退任 したみずほグループの前身の旧第一勧業銀行の杉田力之氏、旧富士銀行 の山本恵朗氏、旧日本興業銀行の西村正雄氏(故人)の3人の元頭取。 西村氏については遺族に支払う。 02年春に発生したシステム障害に 対する責任を踏まえて支給を見送っていたが、昨年7月に公的資金を完 済したため支給することにした。三井住友フィナンシャルグループは、 すでに退職慰労金を支払っている。 ◆◆ アサヒコム 2007.5.24 23日のニューヨーク外国 為替市場の円相場は、方向感に乏しく、1ドル=121円台後半で小動 きに推移した。午後5時現在は121円61〜71銭と前日同時刻比0 9銭の円安・ドル高。一方、対ユーロでは一時、1ユーロ=164円0 2銭まで軟化し、当市場での史上最安値を更新した。 ■■ みずほFGも三井住友FGも続々として旧経営陣に対する退職慰労金 を支払っている。 彼らは未曾有の好決算で、おカネが余りかえってい るらしい。 つい先だっての、政府公的資金の無利子特別借り入れが3 メガバンクで6兆6000億円あったのが、まるで嘘のようである。銀 行はなぜこのように儲かっているのか。 ■■ それは言わずとも決まっている。 預金者への支払金利レートが いまなお無利子に近く、資金コストがゼロのカネを銀行は貸し出してい るのだから、儲かって笑いが止まらないのも当然である。 ■■ そうした銀行の余剰「円」を外国の投資ファンドが借り入れ、そ れを高金利の他国のカネに換え、金利差でも大もうけしていると、世間 では囁いている。 これが俗に言う「円キャリー・トレード」だが、円 キャリー用の日本円がそうたくさん外国に貸し出されているとも思えな い。 がしかし、そうした噂が飛んでいるのも事実だし、火の無いとこ ろに煙は立たぬから、いくらかは「円キャリー・トレード」の気配もあ るのだろう。 ■■ 景気絶頂気味の日本経済の「円」相場が、いま何故そんなに安い のか。不思議なようだが、考えてみると原因は簡単だ。 「円」資金需 要が極端に少ないのだから必然的に円安にならざるを得ないし、わが政 府は円安を国策として強力に押し進めていて、いわば政治目的に依る円 安ともいえるだろう。 ■■ しからば何故わが政府は人工的に「円金利安」ないしは「円安」 を推進しているのか。 こうした金融関係の操作は政府でなくて中央銀 行、つまり日銀の担当であるはずであるのに・・・。 ■■ 何処の国でも「中央銀行の独立」は強調されているが、事実とし て一国の中央銀行はその国の政府に従属していて、「中央銀行の独立性 」などは「絵に描いた餅」に過ぎなく、わが国においても例外ではない 。日銀総裁は、政府高級官僚の1員以外の何ものでもないから、もし政 府が円安を推し進めようとすれば至極簡単である。 ■■ 少なくとも向こう20年間くらい、わが政府は円金利をタダ同様 にしておく必要があり、それを内密に日銀に命じているからの「円安」 と断定しても、ほぼ間違い無い。 ■■ なぜわが政府はこうした「歴史的円安」を強行しているのか。 それは日本一の「円の借り主」が日本政府であるという冷厳な事実を 考えれば、至極とうぜんの話である。 わが政府の2005年末の統計 では、国と地方の長期債務残が774兆円、政府短期証券142兆円、 財投債143兆円、合わせて1059兆円になっていて、いまも増え続 けている。 その天文学的数字の借金にはすべて支払金利が要る、誰も タダでは貸してくれない。 ■■ こうした政府の借金は、ほぼタダに近い金利だからこそ借りこん だのであり、もし平常並みの金利体系に戻れば、もうそれは借り得ない 。 政府としてはなりふり構わず、金利をほぼタダ同様に留めて置く必 要が絶対にあるのだ。 ■■ 国際常識から言えば、そうした激しい「金利安」のときは、それ を預けた国民は、円から他国の通貨にシフトして、預金金利収入を得よ うとするのが通常である。 じじつそれを狙って、一時は外銀が大挙し て日本に押し寄せ、預金を掻き集めようとしたこともあった。 が、わ が忠良なる国民は、ゼロ預金金利にも拘らず、自分たちの預金を外国に 預けようとしなかった。 つまり、国民こぞってわが政府危急の経済を 救ったのだ。 わが政府は国民に感謝しなければならない。 ■■ 政府はそれで今も健在で居られるし、市中銀行はその余慶に預り 、コスト安のカネを貸出して大儲けしている。 が、そうした円金利安 (わが政府は「歴史的低金利」と公言している)で、いちばんワリを食 ったのは誰か。 なけなしの零細預金を余生の生活資金として銀行に退 蔵している老人たちである。 ほんとうは3%程度の預金金利を貰うの が普通のところを、0%で押さえられて損をしたままである。政府は、 せめて老人の「虎の子」的預金には、いくばくかの上乗せ金利を付ける のが人情というものだろう。 ■■ もっとも、わが政府は円の使い込みで老人を苛めているだけでは ない。 かたわら、じつは保有外貨の運用で稼いでいる。 統計によれ ばわが政府の外貨運用益は、1951年から2004年度までに累計28兆円に達 し、うち17兆円をすでに一般会計に繰り入れている。 主たる運用益は 米国財務証券の保有(2007年5月現在で9,156億ドル)だが、 その年金利は4.5%という高利回りである。 ■■ 周知の通り、米国財務証券の外国による保有額は、最近は中国が トップで、日本はそれに次ぐ。 ずっと金額は少ないが、3位4位は中 東のオイルマネーと英国ということになっている。 何処の国も4.5 %という高利回りが魅力で米国債を買い、そのため、いまや瀕死と噂さ れる米経済にも拘らず、対日本円でもドル相場はじり高傾向にある。 現状の米経済では、米ドルの対日本円相場は、85円くらいが妥当な ところと言われているのに、事実は120円前後という異常さである。 ■■ わが国は米国と非公式の協定を結んでいて、米国の承諾無しに米 証券を売らないことにしているが、「もし巨額の米国債を持つ日本が売 りに回ったとなればドルの資産価値が急落して、むしろ大損害を蒙りか ねない」と、わが財務省筋も公言している。 米国と一蓮托生のわが政 府として米財務証券の大量保有は、残念ながら政治的に適切な措置とい うべきかも知れない。 ■■ 結論から言えば、わが政府は「円の金利安」と「米ドルの高金利 」で財政の辻褄を合わせていることになる。 悪く言えば「わが国の老 人を犠牲にして、米財政を援助している」ともいえるが、政権がたとい 自民党から民主党に換わろうとも、そうした政治的配慮を避けるわけに はいかないだろう。 ■■ それにしても、そのような多額の金利を、米国は諸外国に払い続 けられるのだろうか。 おそらく無理ではないか。 だからサラ金の金 利と同じで、金利上乗せ分の米政府証券を、わが日本は加算して受け取 っているのではないだろうか。 ただし、わが財政法では、「国の歳入 出は日本円の現金による」となっているから、その辺の整合性が問題で ある。 ■■ 明治の文士斉藤緑雨は言う、「縦横謀りごと成らず慷慨志なお存 す、曰く高利を借れるなり。 人生意気に感ず功名また誰か論ぜん、曰 く情婦を養えるなり」と。 今の世、高利を借りたのはブッシュ氏、情 婦を養ったのは世銀のウォルフォウィッツ総裁ではないだろうか。 縦 横の謀りごとも結構であるし、人生意気に感じてもいいが、願わくは他 人に迷惑を掛けないでおいて欲しい。 ───────────────────────────────── ◆ウェブサイトTOPIX 609studio ───────────────────────────────── ◇「セコリョ新聞とウリマル放送」 上・下 コーヒーブレイクに。 http://www.actiblog.com/coffeebreak/ ◇6月の写真 http://www.609studio.com/html/essay/0706.html ◇コラム「風」時代の渦に流される! http://journalist-net.com/home/07/05/26/103751.php ───────────────────────────────── ◎片山通夫写真集「サハリン」好評発売中!!◎ 写真集「サハリン」が未知谷から発行されています。是非書店 もしくは609studioでお求めください。 四六判160頁 1,600円(税別) ISBN4-89642-138-8 C0072 未知谷 HP http://www.michitani.com/index.html または office@609studio.com ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2007年5月25日号 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 州知事国際経済フォーラムに参加 来る6月8−10日、サンクトペテルブルグで第11回国際経済フォ ーラムが開催される。本会の主なテーマは新技術発明と投資プロジェク ト展覧会。サハリン州知事が率いるサハリン代表団は大陸間橋梁や大型 ショッピングセンター建設、地域社会経済発展案など現代化を進めてい るサハリンの諸々の事業を紹介する予定。 若者住宅支援策を全地域に拡大 今月17日に行われた州政府の若者住宅支援策会議によると、現在ユ ジノサハリンスクや都市で進めている若い夫婦の住宅購入支援を年末ま で全地域に拡大することがわかった。2006年から2015年までの 長期国家プロジェクトとして進められている当住宅政策は若い夫婦の住 宅購入を支援するもので、資金の一部支援と長期低利融資を同時に行う ものである。各地域で申請者を受け付けている。 農業発展により力を 先週末に行われた州政府会議で農業発展案を巡っての議論がなされた ことがわかった。本会議を指導したビクトル・ナゴルヌイ副知事は、4 月25日の大統領教書でも農工業部門の近代化や発展問題が指摘された と伝えながら地域で真剣に関連事業に取り組むように促した。又、近々 、サハリン州に進展を開設する予定のロスセリホズ銀行(農業振興銀行 )が関連事業の発展に大いに役立つであろうと関係者を勇気付けた。 社会保険を支払わない企業名簿公開 先週行われた国家保健プロジェクト関連州政府会議は社会保険財団は 社員の社会保険料を支払わない企業などの名簿を新聞に掲載することに した。 特集:「韓国語は我々の希望と誇り」 先週の19日(土)、サハリン国立大学経済東洋学部小講堂で本大学 韓国語科とサハリン韓国教育院の共同主催でサハリン州韓国語スピーチ コンテストが開かれた。サハリン全地域から初・中・高校在学中の学生 9人と6人の大学生が参加し、母国語学習の必要性や守るべき民族遺産 などをテーマに日頃の学習成果を披露した。民族伝統衣装であるチマ・ チョゴリを着て参加した学生もおり、ロシア人の大学生が独島問題をテ ーマにして話すなど同胞学生は勿論ロシア人学生も流暢な韓国語で発表 し来客を驚かせた。また、韓国の伝統楽器を習っている学生らの祝賀共 演などもあって見所の多い行事であるとの評価だった。特に大学生参加 者らは優劣を分けるのが難しいほど優秀だった。最優勝者は初・中・高 校生部門では両親への感謝の気持ちを詠ったユジノサハリンスク市第9 号学校のホン・ヨンスンさんが、大学生部門では母国語学習の必要性を 訴えたサハリン国立大学韓国語科4年生の李・チンシルさん。大会の司 会を務めた男女学生2人も来客から大人気。2人ともサハリン国立大学 の留学生で1人は韓国から、1人は中国吉林省から来た朝鮮族学生だっ た。審査委員を務めたウリマル放送の金・チュンジャ局長は「これから も大会を続けられるようにご支援をお願いしたい」と皆が努力しましょ うと呼びかけた。 サハリン韓人文化センター日曜教室紹介: 「歌、踊り、遊び、言葉を通じて民族文化を理解」 4月1日からサハリン韓人文化センターで開かれている幼児の日曜民 族教室。4歳から8歳までの9人の子供たちが韓国の歌や踊り、遊びな どを通じて母国語や民族文化に触れている。子供たちを連れてきた保護 者たちも午前10時―午後1時までの授業の間に他の伝統文化教室に参 加した。韓国から派遣された二人の先生の以外に芸術大学に通っている 同胞の姉さんから絵の指導を受けるなど楽しく勉強をしている子供たち の様子がとても感動的。来る6月3日、当センターで彼らの発表会があ る。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── 今日29日から函館経由でサハリンへ向かいます。日本とサハリン間 の交通は、稚内からの航路、函館と札幌からの航空路(計週3便)があ ります。 稚内からの航路は日本船籍のフェリーで5時間半の旅で、戦前、稚泊 (ちはく)航路と呼ばれた稚内⇔コルサコフ(大泊)間。一方、航空路 は函館、札幌ともサハリン航空(SAT)というロシアの航空会社の便 です。函館からは1時間あまり、札幌からは1時間足らずの時間で、サ ハリンの州都ユジノサハリンスクへ行けるのです。 日本に一番近いヨーロッパの国がロシア、そしてサハリンなのです。 これから気候も良くなってきます。(まだ寒い!最高気温が6℃前後) 鮭の溯上も見もの。 それでは行ってきます。 ───────────────────────────────── 発行 2007年5月29日 No.301 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 e-mail office@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ───────────────────────────────── |