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タイトル:609studio No.297◆現代時評:[選挙が済んで日が暮れて−ここにもITディバイドが]  2007/05/01


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【609 Studio 】メール・マガジン 2007/5/1  No.297
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【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト
に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、
ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その
他、寄稿記事など話題満載! 

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◆現代時評:[選挙が済んで日が暮れて−ここにもITディバイドが]  ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2007年4月27日号

◆ウェブサイトTOPIX

◆編集長から

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◆現代時評:[選挙が済んで日が暮れて−ここにもITディバイドが]  ken

   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 office@609studio.com  へ!
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◆◆ WEBマーケティング 2007.4.22 インフルエンサー(今
回の調査では特定の政治活動を3つ以上経験した回答者)では、Blog 閲
覧後に何らかの政治的行動を起こしたことのある回答者の割合は日本では
29%となり、一般回答者より11ポイント高い結果となっている。 こ
ちらも海外では韓国(41%、22ポイント増)、イギリス(48%、2
0ポイント増)、米国(49%、21ポイント増)と、日本と比較して非
常に高い。

◆◆ 神奈川県綾瀬市ウェブ・サイト 選挙公報は、投票日の2日前まで
に新聞折り込みで配布します。折り込む新聞は朝日、神奈川、産経、東京
、日本経済、毎日、読売の7紙の朝刊です。7紙以外の新聞を購読してい
る世帯や新聞未購読の場合は事前に、市選挙管理委員会へ申し出てくださ
い。直接か郵送で届けます。  また、各地区センターなど市内の公共施
設にも用意しますので、利用してください。

■■ 第16回統一地方選挙は終わった。 雪の朝の雀のように賑わしか
った候補者名の連呼が終り、街も数日振りに静謐を取り戻した。 ボクが
応援していた立候補者の得票数は最下位に近く、見るも無残な負けっぷり
でご本人もいささか驚いていた。 いくら何でももう少しは得票があると
皮算用していたらしい。

■■ この候補者、かって英国の大学で文明史論や技術史を専攻し、卒業
証書も貰っている。 英国流に候補者自身の政策や主張を述べるべくイン
ターネットによるウェブ・サイトに力を注ぎ、ただ喧しいだけの宣伝カー
はなるべく遠慮して・・・という良識派だった。 「仮にもわが街は日本
有数の高級住宅地、いわゆる知識人も他よりは多い筈。義理人情で票を請
うより、論理的で、より実際的な政策案を示して有権者に訴えた方がいい
」と実践してみたが、それが総て裏目に出たらしい。 彼自慢のビオトー
プ公園池や、樹木保護の都市計画を訴えただけでは、所詮「票」にならな
かった。

■■ だいたいボクは最初から、インターネットのウエブ・ページなどを
見て投票しようというような殊勝な人がそんなに多く居ると思っていなか
った。 とくに、「文明の在りかた」などに興味を持つ人々がインターネ
ットを日々楽しんでいるとも思えない。 残念ながら今のインターネット
は、音楽か旅行計画、或いはヤフオクにうつつを抜かす程度の人たちの溜
まり場である。 それを過大評価して地方政治の世界に誘い込もうとした
のが無理だった。

■■ と、偉そうなことをいうボク自身も少々間違っていた。 議員候補
者諸君の政治的識見を一覧するには「選挙公報」がいちばんと思い、その
「公報」が届くのを待っていた。 ところがそれが来ない。 まあ選挙日
までには着くと思い、辛抱して待っていたがついに届かず終いであった。
 さては最近の選挙には選挙公報を制度上無くしたのかとも思った。 し
かし、選挙公報が無い限り、ボクら末端の有権者が候補者の識見や抱負を
知る機会は無いではないか。 どうもおかしいが、今回に関する限り、ボ
クには応援する候補者が居るのだからまあいい、と考え投票を済ませた。

■■ そして選挙は終わり、日が暮れてから近所へ買い物に行くと、その
店先に「選挙公報」が捨ててある。 やはり選挙公報は発行されていたの
だ。 だがそれが、我が家には配布されてない。 一応、税金も遅滞なく
払っているし、なぜボクに選挙公報が届かぬのか。 これでは不平等では
ないか。 ならば明日、市役所へ文句を言いに行こうと腹を決めた。 普
段あまり文句を言わぬ方だが、こと市民の選挙権に関する不平等だから、
少なくとも市役所へ捻じ込む程度はしておくべきだ。 

■■ と、そこまで考えて、さて、なぜ拙宅だけに公報が届かぬのか。 
いったい選挙公報の配達手段はどうなっているのだろうか。 と、そこま
で考えが至ってから、ネットで「選挙公報 配布方法」を検索して見た。
 そして判った、どうやら「選挙公報」は新聞の折込広告並みに新聞屋が
配布してくることになっているらしい。 そして我が家では、いわゆる新
聞なるものをもう十数年、購読していない。 道理で、前回の選挙のとき
の公報も入って無かったことを思い出した。 これは迂闊だった。 新聞
を購読しなければ、選挙公報は受け取れぬという仕掛けになっているとは
想像外だった。

■■ これは不平等である。 公職選挙法第170条の1では、「選挙公
報は、都道府県の選挙管理委員会の定めるところにより、市町村の選挙管
理委員会会が、当該選挙に用うべき選挙人名簿に登録されたものの属する
各世帯に対して選挙の期日前2日までに、配布するものとする」と、なっ
ているではないか。

■■ それが、商業新聞と抱き合わせで選挙公報が配達されるという仕掛
けでは、ボクのように新聞を購読していない者にとっては不都合極まりな
い。 しかも最近のように、インターネットでほぼ総てのニュースが見ら
れる時代になれば、新聞を購読しない人口もだいぶある筈である。

■■ しかし、全国各自治体の公式ウェブ・サイトに「選挙公報は、投票
日の2日前までに新聞折り込みで配布します。 折り込む新聞は朝日、産
経、日本経済、毎日新聞などの朝刊です」などと、さも尤もらしく、堂々
と記載しているではないか。 おそらく各自治体が徒党を組み、「みんな
で渡れば恐くない」式に公報配布手段を『新聞屋に依る』と決めたのであ
ろう。 怪しからぬ話である。

■■ ならばこちらも意地だ、行政訴訟でも起こして見るか。 と、アタ
マに血が回り、一晩寝て、あくる朝になり、ふと気が変わった。 行政訴
訟などというのは、その勝訴率が一割に満たないというではないか。 ど
うせ行政側はそれなりの訴訟防御手段を考え、さあというときの用意をし
ているに違いない。 日本における行政上の紛争は年間およそ20万件、
そのうち実際の行政訴訟件数は2千件。そして訴訟の勝訴率は10%前後
と聞いている。 負け戦はすべきでない、と諦めた、という次第。

■■ 参考までに言えば、公職選挙法第170条の2に、「市町村の選挙
管理委員会は、前項の各世帯に選挙公報を配布することが困難であると認
められる特別の事情があるときは、あらかじめ、都道府県の選挙管理委員
会に届け出て、選挙公報につき、同項の規定により配布すべき日までに新
聞折込みその他これに準ずる方法による配布を行うことによつて、同項の
規定による配布に代えることができる。この場合においては、当該市町村
の選挙管理委員会は、市役所、町村役場その他適当な場所に選挙公報を備
え置く等当該方法による選挙公報の配布を補完する措置を講ずることによ
り、選挙人が選挙公報を容易に人手することができるよう努めなければな
らない」と明記されていて、「そんなに選挙公報が見たければ、役所へ来
れば置いてある」と言われかねない。
 
■■ また今までのところ、「選挙公報の配布を新聞屋の折込広告と同列
の扱にして怪しからぬ」と言って訴訟を起こしたという話を、ネット・ニ
ュースで見たことも無い。 ということは、全国殆どの有権者はいまなお
新聞を購読しており、それをウェブ・サイト購読に切り替えているのはほ
んの僅かな人口であるらしい。 つまりボクのように新聞を購読しないの
は、今までのところ余ほどの変わり者、ということになりそうだ。 世の
中は、言われるほどのネット世界では無い。

■■ 最近、「ITディバイド」という言葉が流行っている。 パソコンが
操作できるか出来ないかで社会生活にだいぶ格差がつく、という意味らし
い。 ならばいま、世に先駆けて新聞購読をやめてウエブ・ネットのニュ
ース購読に切換えたため、選挙公報が届かぬというのも、また一種のITデ
ィバイドではないか、と思えてきた。 厳密にいえば逆ITディバイドであ
る。 「あの老人、ITなど弄くりまわって新しがるから、選挙公報をもら
い損ねた」と、蔭口など叩かれかねない。 だから市役所へ捻じ込んだり
しないで、次回から気を付けて、選挙公報は、役所へ貰いに行くよう心が
けたい。

■■ 街頭に於ける名前連呼を憚り、ウェブ・サイトで票集めしようとす
るのも時期尚早ならば、新聞購読を中止してネットだけにニュース・ソー
スを求めるのも、わが国では時期尚早らしい。 道理で、ブログ閲覧後に
政治行動を起こす人の割合は、韓国41%、イギリス48%、米国49%
に対して、日本では29%という統計もあるようだ、その統計の真偽のほ
どは別として。 日本という国は意外と保守的である。
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 今週はお休みです。
 こちらをどうぞ。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2007年4月27日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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米価暴騰

 我が同胞らに米は最も重要な問題。最近、サハリンの米市場は大混乱
。昨年12月、外国産米に殺虫剤や殺菌剤が入っているとのことで米収
入が禁止となった。その直後、米の値段は1キロ当たり50ルーブルま
で急騰、一週間で160トンの米が売られた。今は1キロ当たり60−
90ルーブルで売られている状況。さる19日のサハリン州商工委員会
の特別記者会見によると、サハリン州での年間米消費量は4千トンで毎
月300トンが必要が、現在の在庫量は50トンに過ぎない。国立農業
監視局は価格の安定に力を入れてはいるものの、絶対的な量の不足と展
望が明らかではないため、市場では値段が急騰している。サハリンでは
中国とスペイン、ロシア(クラストダール、沿海州、バルナウル)産の
米が販売されているが、同胞らは主に中国の米を食べている。中国産米
の正式な輸入について調べているいるが、いつ頃入ってくるはわからな
い。現在、サハリン卸屋さんらは4月末頃にクラスノダールから150
トン、バルナウル(アルタイ)からも130トンの米を買い入れる予定
であるが、消費者値段は1キロ当たり50−55ルーブルと予測され、
相変わらず高値が続きそうである。23日には州政府の呼びかけで米販
売者会議が開かれるなど政府も深刻に考えている。又、21日に開かれ
たサハリン韓人会運営委員会会議でも米問題が重点となり、ロシア国会
に事態の改善を訴える請願書を送ることを決めたのである。

エリツイン大統領死亡

 4月23日、ロシア初代大統領ボリス・ニコラエヴィチ・エリツイン
元大統領が死亡した。政府は葬式の25日を「哀悼の日」とし、一切の
娯楽番組の放送をも禁じ、故人を偲ぶ
ことにした。イ・マラホフ州知事は遺族に哀悼の念を込めてのメッセー
ジを送った。エリツイン大統領は19991年6月12日、ロシア連邦
初の大統領になり、ロシアの最も苦しい時代に政治を任され、又、今芽
生えはじめた民主主義の定着に苦しんだ。99年12月31日、彼は大
統領を辞退し、国民に自分の過ちを謝罪し、許しを求めたのであった。
葬儀には国内は勿論、海外からも多くの人が参加し、故人の冥福を祈っ
た。

知事に勲章

 イ・マラホフサハリン州知事が、2004年制定されて以来毎年国や
社会に大きく貢献した人々に与える「国民資産賞」を受賞することにな
った。国と社会の経済安定と発展に大きく寄与したことが高く評価され
最高賞の「強国賞」を受けるようになったが、授賞式は29日クレムリ
ンで行われる予定。

火災防止

 地方自治体責任者も集まった中で行われた23日の州政府会議で、
「山火事対策」について話し合われたことがわかった。会議を主催した
エス・シェレデキン第1副知事は「火事が起きたらどの地域の火事かを
問わずまず皆が消火に挑むべき」と勤務姿勢の改善を強く訴えた。

老兵委員会創立20周年

 20日、サハリン州老兵委員会創立20周年を祝う行事がサハリン国
立大学講堂で行われた。行事の前に参加者らは「スラブ(栄誉)広場」
を訪ね、聖火に顕花した。行事に出席したイ・マラホフ州知事は老兵た
ちの勝利や州経済発展、青少年教育への貢献を高く評価していると挨拶
した。

1・4分期輸入減少

 税関発表によると、今年1・4分期サハリン州対外貿易流通額は去年
同期比13%減少の3億3千万ドル。輸出は58%増加した反面、輸入
が3分の1に減り1億5千万ドルしかなかったことが原因である。主な
貿易相手国は日本、韓国、米国、英国、イタリア、シンガポール。主な
輸出品は原油(61%)、木材、海産物、故鉄などで、輸入品は食品、
衣類、自動車などである。同期間の輸送量は31万6千トンでその中の
8割を石油ガス開発事業関連会社が運んだ。

読者からの手紙:「永住帰国の時期について」

 今年の6−7月頃に65歳以上の人々を集団永住帰国させると聞きま
した。しかし、サハリンの気候を考えるとこの時期の永住帰国は問題が
あると思います。6−7月の韓国の気候はとても暑く、長くこのサハリ
ンで暮らした年寄りたちが急な気候変化にうまく適応できるかどうか心
配です。若くもなく又血圧の高い方が多いため、比較的温暖な春や秋の
季節に永住帰国するのがいいと思うので、韓国側との再交渉を願います。
               ユジノサハリンスク市に住む安・ミザ

州韓人卓球大会

 22日、サハリン韓人文化センターで州韓人卓球大会が開かれ、各地
から45人が参加した。競技は個人戦と団体戦からなり、団体戦では今
年も昨年と同じくユジノサハリンスク市チームが優勝し、男女個人戦で
はドリンスク代表の鄭・ドミトリ、ネベリスク出身のユン・エレナさん
が優勝した。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 憲法記念日が近い。最近、安部首相は「任期中の憲法改正」を口にしだ
した。参議院選の争点にするのだという。
 国民の総意がそうであろうという自信があるのか、それとも・・・。

 ここは一番、よく考える必要があるのではないか。ちょうど連休。
花に浮かれるのもよいが、身のほどの憲法を持っていた私たちにとって
重要な問題だ。
 
 筆者の持論だが「国際貢献」は環境問題、地球温暖化対策で出来る。
自衛隊の海外派遣や集団自衛権を振りかざさなくても・・・。

 今こそ永世中立国研究をはじめるときではないか。
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発行     2007年5月1日   No.297
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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