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タイトル:609studio No.295◆現代時評:[魚食文化の日本]  2007/04/17


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【609 Studio 】メール・マガジン 2007/4/17  No.295
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【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト
に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、
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◆現代時評:[魚食文化の日本]               ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2007年4月13日号

◆ウェブサイトTOPIX

◆編集長から

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◆現代時評:[魚食文化の日本]                ken

   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
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◆◆ 読売新聞 2007.4.11 農林水産省の2007年度版「水
産白書」の骨子案が10日、明らかになった。  世界的な魚介類の消費
拡大などで転機を迎える日本の水産情勢を分析した特集「魚食文化を守る
ために」を盛り込んだのが特徴だ。   世界的に魚介類の需要が拡大して
、日本が魚の輸入で外国勢に「買い負け」していると分析した。国民1人
当たりの消費量は2003年までの30年間で米国が1・4倍、欧州連合
(EU)が1・3倍、中国は5倍に達した。一方で、日本では若い世代の
「魚嫌い」で消費量の減少が進んで、世界的な水産資源の争奪戦の中で日
本の存在感が低下していると警鐘を鳴らしている。

◆◆ 日本海事広報協会 2002年のFAOのデータによれば、世界の
漁業生産量は約1億4,600万トンを超え、このうち日本は584万ト
ン程度の漁獲高(捕獲・採集と養殖を含む)で、中国、ペルーに次いで世
界第3位となっています。また、日本列島は南北に長く、亜寒帯、温帯、
亜熱帯の3つの気候条件にまたがり、海流も寒流と暖流が流れ込むため、
寒い海に生息する魚と、温かい海に生息する魚の両方が漁獲の対象になり
ます。そのため魚類だけでおよそ500種類が市場に出回り、諸外国に比
べて水産物の利用度が極めて高くなっています。 

■■ 地理学者とか民族学者とか称する人々は、殆ど例外なく世界の人種
を「肉食人種」と「菜食人種」の二つに別けていて、周知の通りわれわれ
日本人は「菜食人種」に分類され、殆どの白色人種は「肉食人種」に入っ
ているようだ。 「肉食人種は戦闘的で菜食人種は温和」などと書いてあ
る書物はよく見かけるが、真偽のほどを論理的に説明しているのに出くわ
したことが無いから謬説かも知れない。

■■ ならば「白人」はすべてみな肉を主食としていると、ボクなど若い
頃は思い込んでいた。 ところが戦後、いろいろな歴史書を見ると、たと
えばその昔のロシア人やゲルマン人などは貧乏で、「肉」が口に入るチャ
ンスは少なく、ほとんどがキャベツなど野菜の切れ端をビートか何かで味
付けしたスープに硬いパンを浸して夕食にしていたとある。 じじつ、ブ
リューゲルの絵などで、夕食のお祈りをしている食卓にあるのは、それら
しき赤いスープの鉢とか、さもなければ煮たジャガイモ類が並んでいて、
牛肉のステーキが食卓にある絵を見る場合は少ない。 

■■ 貧乏な大衆に牛肉のかけらなどが口に入るチャンスはめったになか
った、と歴史書に説明されているのに、なぜ彼ら白人を肉食民族などと定
義付けたのか、この辺りはボクとして今なお理解に苦しむところである。

■■ もちろん少々本流から離れた白人種であるアラブなど遊牧民系統の
人たちは、いわば商売柄、羊肉などを常食とし、それにバターやチーズに
牛乳、馬乳など酪農品を主食としているようだから、遊牧民系統だけなら
「白人は肉食人種」と、断定できるだろう。 

■■ 先年、英国をホームステイで旅したときも、数週間の滞在中にビフ
テキの類を食べさせてくれた家庭はどこもなく、「何が食べたいか」と先
方から聞いてくれた家で「せっかく英国へ来たのだから、一度は英国のビ
ーフ・ステーキを食べて見たい」と望むと、「うちでは普段あまり食べな
いが、では久しぶりにステーキでもご馳走しようか」と言ってくれたてい
どであった。 ならば、いまどきは英国でもビーフ・ステーキなど、あま
りポピュラーな食べ物でも無いようだ。 

■■ じゃ、血の滴るようなビーフ・ステーキといった典型的な「肉食」
社会とは、この地球上でいったいどこか。 ボクの見解では、それは米国
、ブラジル、アルゼンチンなどの、やや特殊な大規模牧畜社会だけではな
いだろうか。 それに続く酪農国、例えばデンマーク辺りでは、なるほど
酪農製品は大量に消費しているが、肉類としてはハンバーグ・ステーキや
ハム・ベーコンなどが一般的で、「焼肉」の範疇に入るようなのはあまり
好まぬようだ。 ドイツ名物のジャーマン・ステーキにしても、すき焼き
の翌朝の残り物みたいで、キャベツ野菜と肉の焚き合わせといった感じで
、極め付きの「肉食民族」といった格好ではない。 「焼肉」が好きなの
は、むしろお隣の韓国辺りではないかと思うことさえある。

■■ 学者が「肉食人種」というとき、その英語はどうやら
「Carnivorous Tribe」らしい。カーニバルを「謝肉祭」と訳するところ
から、カーニバロウスが肉食人種であるとは、辞書を見るまでもなく理解
できる。そしてその反対が「菜食人種」で、これは「Herbivorous Tribe」
ということらしい。「ハーブ」が植物だから、この「ハービバロウス」も
その連想で「菜食」であると、おぼろげながら理解できる。 菜食専門レ
ストランは、日本に少なくヨーロッパに多いが、いちばんの客層はインド
・パキスタン系のように見受けられる。 インド系の人々には菜食主義者
が多い。

■■米や麦などの穀物類は植物のうちだから、「菜食」民族のボクらがご
飯を主食とするのは理屈に合っているが、一般的に「肉食」と断定されて
いる大方の白人たちも、主食が「パン」であるからには、「半分は菜食、
つまりハーフ・ハービバロウス (Half-Herbivorous )」と言うべきだ
。 

■■ ところがここで、世の中は「菜食」と「肉食」の二つだけかと考え
ると、そうでないことにすぐ気付く。 この二つ、つまり野菜と肉は通常
、副食の扱いで、他にもっと大事なのが「主食」だ。 日本人の主食は「
ご飯」、そして西洋人の主食は「パン」と、われわれは明治以来理解して
来たが、最近は社会習慣が変わり、日本人のご飯も西洋人のパンもいまや
少量しか摂取せず、代わりに「肉や野菜の副食」が主食の位置を占めるよ
うになったのは周知の通りだ。 だが、日本人にはたとい三合の米を炊い
て二日以上持て余す時代が来ていても、それが概念上の主食であることに
は変りがない。 つまり、われわれ日本人の場合は主食・副食併せてハー
ビバロウス、つまり菜食人種であるという事実だけは残っている。

■■ だがしかし、お隣の中国へ行けばどうか。 最近我々が中国・東南
アジア旅行で教わったのは、中国料理ではご飯(白飯?)は少量で、どう
やら肉や魚などの「副食」の方が分量に於いて圧倒的に主食の位置を占め
ているらしいことだ。 だから「中国料理」と言えばすぐ「海鮮料理」と
か「酢豚」の類が想起される。 同じように、西洋料理に添えられるパン
の類もいまや「添え物」、つまりサイド・ディシュに過ぎず、決して主食
では無い。 

■■ さらに厳密に言えば日本料理も、いわゆる「大衆食堂」は別として
、「料理・旅館」に於ける「日本料理」のメインはご飯でなく、「酒の肴
」としての魚とか肉料理が殆どで、食事の最後に至ってようやく雀の涙ほ
どのご飯が出るのを通例とするから、こうした少量のご飯を「主食」と呼
ぶにはいささか無理がある。 つまり現在の日本では、たとい家庭料理で
も、昔の「副食」が「主食」の位置を占めてきていることは誰もが感じて
いる通りである。 いま流行の「すし」にしても、上に乗っている魚の方
が、下のご飯よりも大きい。 端的に言えば「お惣菜、おかず、酒の肴」
の類が主食に昇格し、むかし「主食」だった「ご飯・パン」が「副食」の
地位以下に落とされているのが、日本をはじめ多くの飽食社会における近
年の食事の特徴でもある。

■■ 「酒の肴」と、「ご飯のおかず」との関係を、明確に使い分けして
いるのがフィリピンの「プルタン」と「ウムラ」である。 タガログ語で
はご飯のための副食のことを「ウムラ」と称し、お酒の肴のことを「プル
タン」とはっきり別けて呼称する。 「プルタン」は必ずしも魚や肉であ
るべき必要は無い。 たとい野菜の煮物でも、「お酒の肴」たるべく造ら
れた料理は「プルタン」で、同じものがご飯の副食目的で調製された場合
は「ウムラ」なのだ。 こうした用途別に呼称がはっきり変るのは、その
社会に「ご飯」が明確に「主食」の位置を占めている歴史的事実が現存す
るからであろう。 もしそうでなければ、日本やお隣の中国のように、む
かし「副食」と思っていたものがいつの間にか「主食」に転位してしまい
、「主食」と「副食」との区分けが無くなっても誰も不思議とは思わない。

■■ 以上、少しく主食・副食の講釈を述べたが、それは今日の話題の本
論ではない。 本論は、じつはこの人間世界の食物を、「肉食」と「菜食
」の二つだけにした民族学者の分類が、ボクには気に入らぬと言いたいの
である。 民族学の専門家らは、もう一つ大事な食物を忘れていた、それ
が「魚食」という大きな分野だ。 英語なら「フィッシバロウス
(Fiscvorous)」とでも名付けるべきだろうか。 

■■ 原因は、西欧の民族学者や地理学者の出自におそらく魚食の習慣が
少なかったからである、とボクは思う。 鰊(にしん)のカナッペを好む
北欧人や、烏賊タコの類まで食べるイベリアーノはもとより、南太平洋の
マレーシア、ポリネシア系とか、日本人、中国人などはもちろんとして、
地球上には、ひょっとすると肉食人よりも魚食人の方が多いかも知れない
のである。 「魚食人種」の存在を忘れるとは、西欧で発祥した社会学の
弱みでもあろうか。 

■■ 「魚食人種」のもっとも端的な例はエスキモーだろう。 彼らエス
キモーは、もちろんラッコやオットセイを食べることもあるが、大半は生
活近辺で漁獲し易い鮭・マスを食べて生命を繋いでいる。 じじつ、鮭・
マスという魚類の味はひじょうにニュートラルで、主食としても適切であ
る。 

■■ もちろん、ポリネシア人などはタロ芋・ヤム芋やキャッサバなどの
澱粉類も食べているが、量的に見て主栄養源は魚類と考える方が正しい。
その魚類はいまなお太古と同様に自由採集方式(Hunt and Gathering)
が殆どであり、栽培漁業などというのは全世界の漁獲量のほんの一部に過
ぎない。 「菜食」の穀類・葉根菜類や、「肉食」の獣畜類の人類への供
給源がほぼ総て「農牧」とまとめて称される人工栽培に依存しているのと
比べて大きく異なっているところである。 

■■ こうした栽培農業や囲い込み牧畜業というのは、総てにおいてひじ
ょうに不効率である。 とくに、地球生物会議「肉食による環境破壊」と
いう報告によれば、「10エーカー(約4万500平方メートル)の耕作
地に豆を栽培すれば60人、大麦なら24人、とうもろこしなら10人の
人間を養うことができるが、同じ面積の土地で牛を飼育すると2人しか養
えない。 国民すべてが菜食になれば人口5600万人のイギリスの国土
は2億5000万の人間を養うことができるという。 アメリカやヨーロ
ッパの肉食者が消費する穀物は、その90パーセ ントが間接的摂取(彼
らが消費する家畜に与えられている)であり、ひとり当たり年間2千ポン
ドの穀類を消費していることになる」と説明している。

■■ それが魚類となると、実際のところいまなお海洋における自然収奪
漁法が殆どだから、栽培農業などよりはより収穫効率がいい。 しかしそ
の収奪漁業にも問題がないわけではない。 乱獲による魚類資源の減少が
著しく、このままでいけば早晩、海に魚が居なくなってしまうと警鐘を鳴
らす人も多い。 とくにこうした心配性の人たちの間では「日本が魚を獲
り過ぎるからいけない」という論が盛んである。 しかし、世界の水産統
計における日本の漁獲は、全世界漁獲量の5%に留まっていて、日本漁業
に起因する漁獲減少は噂されるほど多くは無い。

■■ むしろ日本は自然収奪漁獲だけでなく、「栽培漁業」の比率が他国
に比べて多く、世界の漁獲高に大いに貢献していると称すべきである。だ
がこの「栽培漁業」にも問題が無いわけではない。いわゆる「栽培漁業」
は、香川県引田の網野氏によるハマチ養殖法が開発されてからせいぜい7
0年の歴史しかなく、その養殖技術たるやまだ幼稚園の段階なのだ。 い
まなお抗生剤漬けの養殖漁業が大手を振って罷り通っているし、飼料残滓
による富栄養化が海洋汚染に拍車を掛けている。

■■ にも拘わらず、栽培漁業用魚種の多様化だけが極端に進み、高級魚
としての鯛(たい)や黒マグロのみならず、いまでは大衆雑魚の代表格だ
った鯖(さば)に至るまでが養殖されるようになった。

■■ こうした栽培漁業は、世界的な「牛肉離れ」現象と、「魚食健康説
」のもとにおいて、地球の将来の「食糧不足」にとって幸運を齎すことに
なる。 が、そうあるためには、栽培漁業の一層の安全化が技術として要
求される。 このままで、養殖魚の需要過多だけを容認すれば、いずれは
海洋汚染と、人間の健康被害が目立つ結果に終わるだろう。

■■ 最近、環境汚染問題が深刻化し、そのため、いっときは全廃される
かと思われた原子力発電に再び陽の目が当てられかけた。 がそれも、プ
ルトニウム廃棄物の完全処理技術が開発されぬ限り、先へは走れない。 
同様に栽培漁業も、海洋汚染と養殖魚の感染症防止技術が進まぬ限り、こ
れ以上の栽培漁業の量的拡大には問題がある。 栽培漁業先進国日本の技
術開発への期待が高い所以である。
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◆ウェブサイトTOPIX           609studio
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◇平和憲法で「のほほん」と。
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◇世界のどこかでNo.96「春爛漫」
http://journalist-net.com/home/07/04/13/061707.php
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2007年4月13日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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クリルで会議

 先日、エス・イワノフ首相が率いるクリル列島訪問団が現地を訪ねた。
訪問団は新築の水産工場や建設中の埠頭など社会経済発展プログラム関連
事業の現場を見て回った後、現地で会議を開いた。会議でイワノフ首相は
、「我々は2007−2015年クリル列島発展計画に事業に住民一人当
たり100万ルーブルの予算を割当てている。人口1万9千人の島にこれ
ほどの予算を割当てるのは稀のことでロシアでは唯一。最近、賃金や出生
率の上昇など投資に対するよい結果が見られるようになったが、まだ下部
運輸手段の発展や青少年のスポーツ施設の不足、老化した住宅の改築など
が課題として残されている」と指摘しながら政府関連機関に既に協力をお
願いしていると伝えた。我々が注目すべきことは、イワノフ首相が前回当
地を訪ねた後、島の住民らは念願の4つの連邦テレビチャンネルの視聴が
できるようになったこと。イ・マラホフ州知事は会議でクリル列島に20
か所の養魚場を建設する予定であると明らかにした。

全国で老人デモ

 今週の火曜日ロシア全国で「老人らに人間らしい生活を」というキャッ
チフレーズでデモが行われた。サハリンでも州職盟委員会主催で125人
の年金生活者が集まって州庁舎前でデモを行った。彼らの要求は労働年金
額を従来の給料の40%まで引上げること、最低生活費を上回る最低年金
支給、それに又さらに北極及び準北極手当ての支給。5月1日に第2の全
国規模のデモが予定されており、その後も要求が受け入れられない場合、
さらにデモを続けるとのこと。

レンガ工場建設検討中

 先週末、サハリン州にレンガ工場建設を検討中の中国企業がヴェ・スパ
コブスキサハリン州副知事を訪ねた。当企業は3年前ハバロフスクにレン
ガ工場を建設している。サハリン州は住宅の新築や建築費用の削減、建材
生産の現地化を課題としているため、中国企業の進出を歓迎している。副
知事はトイモブスク地域が良質のレンガ作りに適しているとアドバイスし
た。

クリル島に救急車3台

 さる10日、コルサコフ港から2台の救急車を積んだ船がクリル島を向
かって出港した。昨年大統領補佐官がクリル島を訪問した以来大統領基金
で救急車を購入し現地に送るようになったのだ。近々サハリン州政府も1
台の救急車を色丹島へ送る予定である。

大学生孤児院訪問

 サハリン国立大学の学生らが今年も沢山のお土産を持ってトロイツコエ
孤児院を訪ねた。音楽や演劇クラブで活動している学生らが中心となって
昨年から孤児院でコンサートを開いたり、子供たちを直接楽器に触れさせ
たりして子供たちの音楽や演劇への関心や才能発見のためにも努めている
。大学生たちから集めた1万1千ルーブルでプレゼントも用意して訪ねた
彼らは来年も来ると約束して子供たちとお別れした。

極貧家庭支援策

 ユジノサハリンスク市議会は極貧家庭の支援のために今年、1千万ルー
ブルの市予算を割当てることにした。市民の中で低所得者は1万4千人ほ
ど。予算は医療費や電話回線設置、極貧家庭の子供たちの夏休暇のために
使われる予定。

タリン観光客5位のロシア

 タリンへのロシア観光客が急増している。今年のお正月休みを利用して
の観光客は1万7500人にも及び、前年度比33%の増加ぶりだった。
タリン観光局の大々的宣伝もあって今年のお正月にはタリンのホテル客の
半分がロシア人だったとのこと。今、ロシア人はタリンの外国観光客5位。

電気料金滞納者は国家機関

 サハリンエネルギー社の多額の料金滞納者は国務省や法律省、内務省な
ど政府傘下機関であることがわかった。彼らの今年上半期の電気料金滞納
額は3千万ルーブル。サハリンエネルギー社は料金を支払わないと電力供
給を制限する方針だ。

子供の展覧会

 先週の6日、州立美術館でサハリン州成立60周年を記念しての児童芸
術展覧会が開催された。サハリンを含め極東地域から寄せられた174点
の作品が展示された。

インタビュー:孤児らの一般家庭生活経験必要

 昨年、サハリン州議会は孤児院の子供らの保護養育に力を入れるため孤
児養育法を制定した。トロイツコエ孤児院で孤児の家庭生活適応政策を担
当している心理学者のチェ・スベトラナ・アレクサンドロフナさんに当制
度につて聞いた。

―孤児の家庭生活適応訓練をために制定された孤児養育法とはどんなもの
ですか。
―当孤児院が中心となって州政府と社会団体、企業の協力の下で孤児院の
子供らの一般家庭での生活を経験させるプロジェクトを実施するというの
が骨子です。昨年から州は休日などを利用して孤児院の子供たちを一般家
庭に預けて家庭生活や社会生活を経験できる機会を与えています。即ち、
孤児院では経験できない家庭での料理や買物などの経験を通じて孤児院を
出て自立した時に備えさせようとするのが目的です。2001年の検事局
の資料によりますと、孤児院出身の若者の4割が犯罪者に、4割はアルコ
ール中毒者や覚せい剤中中毒者に、又1割が自殺し、普通の生活を営める
者はたった1割に過ぎませんでした。このような事態の深刻さが当制度を
生み出したのです。

―保護者らはどうようにして選びますか。
―我々は様々な機関や企業を訪ね歩き、又マスコミを通じ保護養育希望者
を探します。保護養育者には州政府から一定の支援金が支給されますので
経済的負担は全くありません。以前は希望者が少なかったのですが、支援
金の規模が大きくなった最近はこちらが保護養育者を選別し、研修を受け
させるほど状況が好転しました。

―トロイツコエ孤児院は設備のいい所と聞いておりますが。
―そうです。多くの支援者があって建物も綺麗ですし、設備もいいのです
。しかし、ここでは制限が多いです。わがままというか自由な行動は取れ
ません。今7歳から17歳までの100人の子供たちが一緒に暮らしてい
るのですが、同じ時間に寝て起きる毎日です。「王様の鳥かご」と言える
でしょう。だから、一般家庭での親子関係や日常生活などを経験が必要で
す。紙面を通じて孤児らの健全な社会人としての成長のための協力をお願
いしたいのです。

広告:「親戚を探します」

 韓国に住むジュ・チャンホァ(1942.5.18生)さんが次のよう
な人々を探しています。彼らの生死や消息を知っている方はサハリン離散
家族会(電話424087番)へご連絡をお願いします。

父:ジュ・チンウ(推定80代)、母:朴・エブン(父より1歳年下)、
伯父:ジュ・チンスル(父より4歳年上)、父の姉:ジュ・ヨンヒ(父よ
り3歳年上)、父の妹:ジュ・ヨンオク(韓国ウルチン居住推定)。

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◆[編集長から]              Michio Katayama
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  13日に国会で何があったのかご存知の方も多いことだろう。
憲法を変えるための国民投票法が衆議院を通過した。
 与党の単独採決を受けてである。安部政権は5月3日の憲法記念日を
目指して参議院で可決成立させる腹のようだ。いったい何がわが国で起
こっているのか、じっくりと検証す必要を感じる。

▲冷戦時代、米ソの対立はキューバ危機に代表されるように「直接両国
が戦争する」危険があった。ただロケーションがカリブ海というわが国
から見れば地球の裏側というとてつもなく遠い地域での危機だった。現
在のように情報もインターネットやテレビの画面で見ることもできない
ある意味幸せな時代だった。

▲いやそれ以前にわが国の戦後の復興がまだ十分でない時代、隣の朝鮮
半島で4年にも及ぶ戦争が起こった。冷戦時代の具体的な米ソの対立が
戦争になった例である。このときわが国は現行の憲法で国の規範を保っ
ていた。アメリカの後押しで「警察予備隊」という現在の自衛隊の前身
が創設された時である。「警察予備隊』。なんという慎ましい名称だろ
う。

▲その警察予備隊は程なくして「保安隊」と名前を変え、その後「自衛
隊」という「違憲状態の軍隊』を持ったわけである。その自衛隊の所属
は防衛庁と言ったことはつい先日までのことだった。それが現在防衛省
となり「戦争のできる普通の国」を目指して、憲法改訂を目論む「極右
政権』が誕生した。

▲前述したように、わが国は朝鮮半島有事の折も、ベトナム戦争当時も
現行の憲法の制限の下に「平和ボケ」と揶揄されながら60余年を過ご
してきた。平和ボケにも魅力はある。少なくとも人を傷つけない。

▲つまり、現行の憲法を遵守して、こんな憲法があるからと戦争に加担
しないことを世界に示そう。
 「何?国際社会の一員としてどんな国際貢献ができるかって?」簡単
なこと。まず、第二次大戦時に日本が行った行為を洗いざらい調べて補
償なりをすることがまず第一。
 つまりあの戦争の総括を自らの手でする。その後、ODAや技術輸出
で「地球温暖化や省エネルギー」の技術、つまり環境、エコロジー関連
の設備・技術を輸出する。
 戦争加担系の企業は衰退する危険があるが、まったく別の業種や企業
が伸びるから、わが国の全体の経済力は衰退しまい。

 いかがでしょう。こんなプランは。

http://www.actiblog.com/coffeebreak/33396
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発行     2007年4月17日   No.295
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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