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タイトル:609studio No.292◆現代時評:[日本版 国家安全保障会議]  2007/03/27


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【609 Studio 】メール・マガジン 2007/3/27  No.292
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【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト
に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、
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他、寄稿記事など話題満載! 

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◆現代時評:[日本版 国家安全保障会議]     ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2007年3月23日号

◆ウェブサイトTOPIX

◆編集長から

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◆現代時評:[日本版 国家安全保障会議]     ken

   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
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◆◆サンケイWEB 2007.3.16 政府は16日、日本版「国
家安全保障会議」(NSC)創設に関する安全保障会議設置法改正案の
骨格をまとめた。首相官邸に重要情報を集約できる体制を構築するため
、NSCが内閣情報調査室や外務省、防衛省などの既存の情報組織に情
報を請求する権利を明記した。今月30日にも閣議決定し、今国会に提
出する。政府関係者が明らかにした。(中略)現行の安全保障会議は首
相と8閣僚を参加メンバーとしているが、NSCは首相、官房長官、外
相、防衛相に限定。外交・安保の重要事項に関する基本方針や複数省庁
にかかわる重要な外交・安保政策などを審議するとしている。

◆◆安倍内閣メールマガジン第22号 2007.3.22(首相は)
第二次世界大戦を戦ったイギリスのチャーチル首相の回顧録を引きつつ
、「思索し、決断する幹部であってほしい」と餞(はなむけ)の言葉を
贈りました。「諸君が将来直面するであろう危機に臨んでは、右と左を
足して二で割るような結論が、状況に真に適合したものとはならない。
情勢を的確に分析し、自らの信ずるところに従って的確に決断せよ」と
。(中略)「勇とは義(ただ)しき事をなすことなり」 新渡戸稲造の
「武士道」にある言葉です。防衛大学校の卒業生に私の挨拶の結びとし
て贈ったこの言葉は、国の舵取りをつかさどるものとして、私自身の教
訓と考えています。(晋)

■■先年物故したボクの友人は、戦後一貫して検察畑を歩んだ。 定年
間際になって、慰労のため閑職部門に配属されたが、余りにも暇で、「
いちど職場へ遊びに来い」と誘われた。 行ってみるとその部屋だけは
特別厳重な二重ドアになっていて、だだっ広い部屋に、ただ一人で司馬
遼の小説を読んでいた。 地検の公安担当室だった。

■■ そこで彼が言う、「日本の公安は、たいして用も無いのに三つの
似たような役所が並立している。 先ず一つは法務省管轄の「公安調査
庁」、次が「地検の公安部門」、そして最後が各警察の「公安部」だ。
 警察の公安部というのは、どうやら戦前の「特高」の流れを継ぐとこ
ろのようで、主として左翼関係を見張っているらしく、右翼関係は暴力
班の担当らしい・・・」。

■■ 彼はさらに続ける、「そうした三つの公安部門の間には殆ど顔見
知りも無く、もちろん情報交換など皆無である。 いまの日本では国家
社会の転覆を企てそうな人物、団体など考えられず、この三つの「公安
」は即日全廃しても国家として支障が無いように思える。もし必要とす
れば警察の公安部だけだが、これも「刑事部」でじゅうぶん代替できる
。 だからボクは毎日することが無く小説三昧、すぐ近くにあるという
公安調査庁の地方出先機関が何を調査しているかなど、知る由も無い。
 すべて国家予算の無駄使いといったところか」。(もっともこの話の
すぐ後で、例のオウム事件が発覚したが、これは警察の刑事課の摘発ら
しかった。) 

■■ ところがごく最近、わが国の「国家安全保障部門」が縦割りで、
横の相互情報交換が不足するので、あらためて、米国のCIAを真似た
「国家安全保障会議」を創ろうということになったらしい。 それでボ
クは思い出した。 かって友人が言った「三つの公安に相互連絡など皆
無」という話のことである。 なるほど、そういうことであったのか、
と。 彼の言う「公安」とは、もしそれが国際的に渉れば「国家安全保
障」と同義なのである。

■■ ところがここで、ボクには気になることがある。 政府は「ばら
ばらの情報を統一し、集約する必要があるから」として、新たに「国家
全保障会議」、通称「NSC(National Security Council)」を創
るというのだが、その眼目は「情報の収集」だけのようだ。ならば、む
しろNSCより米国のCIAの方に似ているともいえる。

■■ いずれにしろ、「情報の収集」は手段であり、その目的は「国家
としてどう危機に対処するか」であるはずだ。 が、この本来の目的の
方は、いささかお座なりになっているように見える。 少なくとも「国
家安全保障会議」法案に関するマスコミ・ニュースには、「目的」に関
する記事はいっさい出てこず、終始「情報入手の一元化」だけが独り歩
きしている。

■■ もともとモデルの米国NCAは、米国内外の政策と軍事戦略を調
整・統合するため、大統領に直接助言する組織として1947年、国家
安全保障法により設立され、大統領、副大統領、国防長官、国務長官が
参加し、CIA長官と統合参謀本部長が顧問として参加することになっ
ていた。 が、現在のNCAとCIA両者は、参加メンバーの身分保障
制度の差を除けば、職務に殆ど変わりが無い。 むしろCIAは、本来
の情報収集よりもその先の具体的な「政府としての国際的安全保障行為
」に主力を注ぎ、往々にして行過ぎて失敗することは周知の事実である
。 ときとして、大統領の権限をすら犯しかねないCIAなのだ。

■■ ところが今回のわが国の「国家安全保障会議」案は、情報収集の
一元化を目指したもので、その集まった情報を元に、「いかにして国家
の安全保障を実行するか」については、そこまでの心構えが首相以下の
安全保障会議メンバーには出来ていないと見たのは、ボクの僻目であろ
うか。

■■ 好意的に見れば無理もない。日本は過去60年、ただの一度の国
際的危機にも遭遇せず、ひたすら対米依存、あるいは米国の示唆に頼っ
てきたのだから、一朝ことあればどうしていいか判断できない、という
のはわが安倍首相だけではない。 現に、大国に成るべく、国連安保常
任理事会への立候補運動をしたが、もしその席を得たならば、率先して
国際紛争地に兵を派遣せねばならぬという意識など皆無に近かった。

■■ 「国家安全保障」とは、つまりは他国と一戦を交えるのも外交手
段の一つであると自覚し、それを実行に移すのも職務である。 間違っ
ても、情報収集そのものが究極の目的であってはならない。 まさに安
倍さんがいま、メール・マガジンで述べているごとく、「直面する危機
に臨んで、右と左を足して二で割るような結論が、状況に真に適合した
ものとはならない。情勢を的確に分析し、自らの信ずるところに従って
的確に決断せよ」が、そのまま「国家全保障会議」の目的なのだ。

■■ 具体的に現状で言えば、安倍首相、塩崎官房長官、久間防衛大臣
、麻生外相の4人の会議メンバー予定者に、果たしてそれだけの覚悟が
あって「国家安全保障会議」を法制化しようとする責任意識があるや無
しや。 まことに覚束ない話である。 おそらく国家安全保障も、「起
こってから対策を考える」という、わが国特有の悠長な政治意識から出
発しているのではなかろうか。

■■ その点、腹は立つが北朝鮮の金将軍は偉い。 彼は、日々毎日の
意思決定が、すなわち朝鮮人民共和国という1国の命運を左右すること
をじゅうぶん承知した上で行動している。あれほど揉め続けたマカオの
2500万ドルをついに米国から取り戻したに見える、いわば北朝鮮の
ささやかな対米勝利も、そしてそれがまだ自分の懐(ふところ)へ完全
に戻っていないからとして駄々を捏ねているのも、そうした彼らなりの
「国家安全保障」への気迫があってのことである。見習うべきかも知れ
ない。 

■■ 四海波静かに過去60年を過ごせた日本。 その国の首相は、「
美しい日本」の創成には適役であるかも知れない。 が、「国家安全保
障」への適役とは考えるにはほど遠い。 なぜなら、最近のわが政治家
たちの殆どは、たといメール・マガジンで「勇とは義(ただ)しき事を
なすことなり」と言い得ても、国家の命運を預かるリーダーとしてはあ
まりにもひ弱に見え過ぎる。 この辺りを、われわれ国民は考えておく
必要がある。

■■ 文官優先を貫く米国でも、かってはアイゼンハウアー元帥が制服
を脱いで大統領に就任した例がある。 もしわが国が本気で外国と争う
つもりのときは、少々瑕瑾があろうと、鈴木宗男、佐藤優氏といった異
色の凄腕人材を国家安全保障会議のメンバーに加えてもいいのではなか
ろうか。 国家安全保障は必ずしも軍事戦略だけではない。
 より重要なのは手練手管とプロバガンダによる外交戦略である。米国
における南京事件の誇大宣伝などは、中国の外交がいかに強力であるか
を示して余りがある。

■■ 昔ぐうぜん、ボクがボストンの中国系実業家宅で行き合わせた中
華民国の国民党議員などは、その渡米目的を、在ワシントンの中華系留
学生をカネで駆集め、ホワイトハウス前でデモ行進を指揮する目的で国
民党政府から特派されたと説明し、それは中国の伝統的政治手法である
、と言っていた。 

■■ ところが、わが日本ではつい先日、「政府は、わが国は米国の核
の傘の元に居るが、じっさい米国はどのような方法でそれを実行してく
れるか、いま米政府に質問しているところである」と、ニュースが報じ
ていた。 これで類推するに、情報戦力に於いても、日本と中国の間で
すら格段の差があるのではなかろうか。 日本版「国家安全保障会議」
の制定に当たり、こうした実態をよく考えておく必要があろう。   
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◆ウェブサイトTOPIX           609studio
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◇世界のどこかでNo.93「鞆の浦」:片山通夫
http://journalist-net.com/home/07/03/23/095802.php#more
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2007年3月23日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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サハリン州国際不動産展覧会参加

 ロシア経済発展通商省のゲルマン・グレプ相の進めで、サハリン州は
先週カンヌイで開かれた国際不動産展覧会に参加し、今日サハリンで推
進及び構想中の建築プロジェクトを紹介した。ゲルマン・グレプ相は直
接サハリンブースを見学しながらイ・マラホフ州知事から説明を受けた。
州知事はアニワ海観光事業、ユジノサハリンスク国際空港再建、大陸と
のトンネル建設プロジェクトなどについて説明しながら「技術問題はも
う既にクリアできた。残された問題は投資誘致のみ」と自身感をみせた
。州知事によると、アニワには60ヘクタールの敷地に総額3500万
ドルの観光地を開発を、また、40〜70億ドルの大陸間のトンネル建
設を構想中である。他にも多数の観光事業を進めているとのこと。ゲル
マン・グレプ相は「サハリンをモスクワやサンクト・ペテルブルグをリ
ードできる島にしてほしい」と州知事を激励した。

3月21を哀悼の日に制定

 ロシア政府は最近起きた一連の悲劇的事故の犠牲者を哀悼するために
3月21日を哀悼の日にすることにした。3月19日にはクズバス市の
ユリヤノブスカヤ炭鉱で起きた事故で3月20日現在、106人が死亡
し、3月17日のサーマラ市の飛行機事故では6が死亡、20人が負傷
。そして3月20日にはクラスノダールの養老院の火事で63人が死亡
した。3月17〜20日までの数日間で多くの犠牲者が出たため、犠牲
者を哀悼する意味で21日を哀悼の日に決めた。

サハリン南部で地震

 3月20日、サハリン南部地域で震度3−4度の地震があった。ダル
ニェエとトロイツコエ村では3度、ユジノサハリンスク市でも3−4度
の地震があった。幸い、犠牲者や建物の破壊はなかった。

言論が注目するサハリン州知事

 国内言論機関の調査によると、サハリン州知事が極東地域ではヤクチ
ヤのヴェ・ストイロフ知事の次に、連邦レベルでは24番目に多く言論に
取り上げられたことがわかった。

2007年はロシア語の年

 先日、サハリン州政府は2007年ロシア語の年を迎えての記念事業
案を具体化した。エル・シュビナ副知事が組織委員会の会長に任命され
るほか、文化、教育、出版、言論管理局指導者、教師、図書館長なども
委員会のメンバーとして一緒に活動することになった。ロシア語やロシ
ア文学関連のコンクールは勿論、北海道でロシア語を習っている大学生
とのコンクールや円卓会議、書籍展覧会も開く予定である。

ガガーリン公園再建設計図完成

 先日、ユジノサハリンスク市背系建設管理局とサハリングラズダン設
計事務所が1年間かけて完成したガガーリン公園再建案が市長に提出さ
れた。設計案は公園全体の再整備を図るもので、子供から大人まで地域
住民皆が休み、遊べる現代的ものになっている。

副知事州立結核予防病院訪問

 先日、エル・シュビナ副知事が州立結核予防病院を訪問した。当病院
には受容人員を遥かに超える270人の患者が不憫な生活を強いられて
おり、その大多数が重患者である。現場を視察した副知事は重患者のた
めの特別治療所の必要性を痛感し、当局に対策を命じた。過去5年間、
州政府は修理代として1400万ルーブルを支援してきたにもかかわら
ず、資金不足で修理が完成しないため予定していた1800万ルーブル
のほか100万ルーブルの追加予算支援を決めており、結核との闘いの
ために2006−2010年まで3300万ルーブルの予算を策定して
いる。

幼稚園不足深刻

 州教育管理局の統計資料によると、来年9月には2309人が幼稚園
に入るべきだが、幼稚園不足で約900人の子供が入園できないことが
わかった。ユジノサハリンスク市長は来年9月まで100%の子供が入
園できるように対策を講じるように関係機関に命じた。まず、来年まで
3棟を新設するほか、ペレストロイカ直後他機関の手に渡った元幼稚園
を自治体所有に取り戻す方針である。

ミニ祝典「若者たちの成功」

 さる18日、サハリン韓人文化センターで、当センターとサハリン国
立大学経済東洋学部主催で「若者たちの成功」というミニ祝典が開かれ
た。一般学校や大学で韓国語を学んでいる若者たちが韓国語で歌を歌っ
たり、劇を演じるなど自ら作ったプログラムを大いに楽しんだ。

永住帰国問題で拡大会議

 今月22日、ロストブーナードヌで韓国赤十字社主催によるサハリン
同胞団体代表者会議が開かれた。各国、各地に散らばっている元サハリ
ン韓人の代表らも含めて、永住帰国や一時母国訪問事業などについて話
し合うためである。

広告:「夏の時間へ移る」

 今月25日から夏の時間に移ります。25日午前2時に時計の針を1
時間前にするのを忘れないように・・・。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 大きな地震が北陸・石川県能登を中心にありました。セコリョ新聞を
見てみますと、ユジノサハリンスクでも、だいぶ前ですがあったようで
す。今、太平洋の西の各地で地震が頻発しているようで、なにやら不気
味な「地球の怒り」を感じます。地震のみならず、対策は万全にすべき
ですね。各々方ご油断召されるな。冗談ではありません。
 被災にあわれた地域の皆さんにお見舞い申し上げます。 

◇「安倍晋三のダブル・トーク(ごまかし)」とは、アメリカの有力紙
ワシントンポストの24日付社説。
⇒拉致問題には熱心で従軍慰安婦問題には目をつぶっていると批判。日
本国内での支持率低下を拉致問題を利用していると皮肉り、「第2次大
戦中に数万人の女性を拉致し、強姦(ごうかん)し、性の奴隷としたこ
とへの日本の責任を軽くしようとしているのは、奇妙で不快だ」と。
 とどめは「河野談話を後退させることは民主主義大国の指導者として
不名誉なことだ」と!

 わが国のマスコミは書けないのかね。
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発行     2007年3月27日   No.292
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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