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───────────────────────────────── 【609 Studio 】メール・マガジン・2006/9/26 No.271 ───────────────────────────────── 【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、 ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その 他、寄稿記事など話題満載! URL ⇒ http://www.609studio.com ───────────◆◆◆INDEX◆◆◆─────────── ◆現代時評:[公務員の天下り見直しと談合禁止論] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2006年9月22日号 ◆編集長から ───────────────────────────────── ◆現代時評:[公務員の天下り見直しと談合禁止論] ken Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは office@609studio.com へ! ───────────────────────────────── ◆◆毎日新聞 2006 . 9.19 中馬弘毅行革担当相が先週末、小泉純 一郎首相に公務員の天下り規制を見直す試案を提出した。「公務員のあ り方や意識も変わるべき時代だ」という問題意識は間違っていない。だ が、これで所管官庁と関係企業の構造的癒着という天下りの本質的な問 題が解決するとは思えない。(中略) 一連の官製談合事件は「構造的 な贈収賄」と私たちは再三指摘してきた。予定価格ぎりぎりで落札し、 不当な利益を得る企業。発注する官庁側は予定価格などを漏らすことで 企業に便宜を図り、引き換えに天下りポストを得る。割高な公共事業の 被害者は納税者だ。職業選択の自由との兼ね合いは承知して・・。 ■■公務員の天下りと、談合禁止論は、間歇活火山のごとく、適当な年 月間隔を置いて、しょっちゅう法案試論が新聞紙面を賑わしている。 どうしても見直さなければならない宿命的な政治上の命題であるらし いが、それにしても、いつも不完全で、そして国民の理解を得られそう に無い試案が、然るべき筋から出される。 われわれの知らぬところで 、切実なニーズが先行しているのかも知れない。 ■■「離職前5年間の職務と関係のある営利企業への天下りは退職後2 年間禁じる」というのが今のルールだが、試案は規制を撤廃し企業への 再就職を自由にし、その代わり、「民間に移った公務員OBによる口利 きなど出身官庁への働きかけを禁止する」というのが今回の中馬試案だ 。違反者には刑事罰も検討するという。 ■■だがしかし、現行のルールでも官僚が2年間、公益法人などで待機 し、その後天下りするという抜け道は造ってあったから、じっさいには 「離職前5年間の天下りは退職後2年間禁禁止」という現行法はざる法 だったし、2年経過して天下ったOBが官庁に便宜供与を求め、民間企 業の談合を指導していたのは、知る人ぞ知る。いわば周知の事実である。 ■■それより大事なことは、「官僚の天下り」と「公共入札への談合」 は現状では避けられぬ、という厳しい事実の認識であろう。 それに目 を瞑り、天下りや談合ばかりを云々しても問題の解決にはならない。 原因を考えず、結果ばかりに刑罰を設けようとしても、それは無理と いうものである。 ■■古い話になるが、戦後すぐ、ときの中華民国、つまり今の台湾政府 が「外貨管理法」を制定しようとして、範を日本政府による「外貨集中 制度」に求めた。 企業・国民が外貨を獲得したとき、それをすべて政 府に売渡し、大蔵省が一手に外貨を保有する、いわゆる「MOF勘定に よる外貨集中規則」というのを日本政府は採用していた。その余波はい まもわが国に残り、例えば銀行等で外貨を海外送金するときの手続きが 煩雑で、手数料はバカみたいに高い。たかが5000円か1万円を海外 送金しようとすれば、いまもなお数千円の手数料を請求される。 ■■ときの台湾(中華民国)政府の貿易担当者たちが、その日本の法律 を見たとき、さっそく反論が出た。 「いま世界に3000万人の華僑 が存在し、在台湾の殆どの中国人は、多かれ少なかれその親戚縁者であ る。とうぜん外貨を貰ったり預かったりすることは日常茶飯事だ。 そ のたびに外貨を政府に売渡せといっても無理で、違反者に罰則を加えた りすれば、台湾の全国民が犯罪者になる。外国為替の政府集中制度は、 海外に親戚などが少ない日本だからこその法律で、台湾ではとうてい実 行できぬ法律、として日本の真似をやめたという。 つまり、原因が除 去できぬかぎり、むやみな法規制は犯罪者を製造するばかりである、と いうのだった。 ■■結句、あれほど外貨の欠乏に悩んだ台湾政府も「外貨の政府集中管 理制度」だけは実行しなかった。卓見というべきだろう。 ■■わが国における一連の官製談合事件は「構造的な贈収賄」であり、 官僚の天下りもまた「構造的事実としての天下り」である。 その事実 を黙過して、談合や、天下りを厳禁したりしても、犯罪者を造るか、ざ る法にならざるを得ない。 ■■じゃ、なぜ談合が不可避的に存在し、天下りも止まないのか。理由 は、事実はともかく表向きにははっきりしている。 ■■先ず、天下りの理由はこう説明されている。 官僚の定年退官、も しくは「勇退」の年齢が早すぎ、その後の生活に困るからだと・・。 ならば、勇退もしくは定年退官の年齢を延長すればいいのであって、難 しい話ではない。 が、ことはそう簡単に運ばない。 例えば高級官僚の 「勇退」のばあいはこうなっている。誰かが次官に昇進すれば同年入省組 の同僚は、ややもすれば目の上の瘤(こぶ)的存在になり兼ねないので、 すべて、きれいさっぱりと辞めさせてしまう習慣になっていて、こんな人 が典型的に「天下り」する。 これは民間会社にはない習慣で、そんなこ とをしていては、企業は経営者不足に見舞われ、さっそく業績不良に陥る だろう。 ■■官僚の定年も民間並みの65才にし、60才で昇給停止する。もし6 5才より上になり「余人(よじん)を以って替え難き人物」であれば、報 酬を半分くらいに減額し、嘱託勤務させればいい。 この「余人を以って 代え難き人」という言葉は、役所が不要な人材を温存する場合の慣用句と して、しょっちゅう使用されるが、じつは「余人に替えた方がいい人」が 殆どである。 ■■民間会社にはパート・嘱託社員などは、バブル崩壊後に族生している。 ところが、役人には「労働基本権のない公務員の身分に配慮し、省庁は 行使に消極的に」という慣習が厳然として存在し、いわゆる公務員分限令 に守られて、パートや嘱託に変更出来ぬことが多い。それはそれで、やむ をえないと言えぬことも無い。 ■■ただ困るのは、本人のプライドと生活水準だけが高くて、役に立たな い、いわゆる「窓際族」が、役人にとくに多いという事実だ。 こうした 役人はもう、「涙を奮って馬謖を斬る」以外に方法がない。 それを実行 するのは政治家の仕事だが、その政治家が、官僚にアタマが上がらないか ら、田中真紀子さんのように、反対に、外務官僚にクビを斬られてしまっ た例すらある。 政治家よ、自分の保身ばかり気にせず、国家のため無能 官僚を馘首(かくしゅ)する勇気を持て、と言いたい。 ■■次ぎは、「談合禁止」の問題だが、これは難しい。 たしかに談合に よる官公需要の高価購入は問題だが、わが国の、いわば特性ともいえる「 コスト無視の低価格入札」には困る。1958年12月の、間組の神部社 長が新東宮御所の工事を一万円で落札したという事件は、いまなお語り伝 えられている。ボクは数十年に渉り国際取引に従事したが、日本企業の超 安値応札には悩まされ続けた。 欧米、および華僑社会などでは考えも及 ばぬ出血入札が罷り通っているのは事実だ。 原因は、戦争中の「うちて しやまむ」の特攻精神に由来するかと、思ったりもする。 ■■もしすべての官公需に「談合禁止」を強行すれば、日本の産業社会は 壊滅すると、真剣に心配する人も多い。 どうすればいいか。 ■■ボクの案は、仮称「談合調整委員会」というようなものを正式に法で 定め、その座長たるべき人を、公正無私にして、世情も弁えた立派な人を 政府が選んで任命し、そこで「公正な談合」、つまり「適正な利潤」を取 る業者を交替に選べばいい。 座長たるべき人は、とうぜん名誉職で無報 酬でいい。その代わり、隠退時に立派な勲章など差上げれば、なり手はた くさん居るだろう。 そうした座長が、「談合調整委員会」の記録を克明 にとっておけば、後日問題が出たときも資料として役所、裁判所などに提 出すればいい。 そうすると、談合のいきさつが明々白々になり、怪しげ な闇談合などは出来なくなる。 ■■妙な言い方だが、そうした「公正な談合」に近い話合いには、例がな いわけでは無い。 軍用機や、軍艦の発注には、すでに似たような発注方 法が採られていて、一口、数百億円もする武器の受発注で、川重などの大 企業がむやみやたらな受注競争をしたと聞いたことも無いし、「談合禁止 」で叱られたというニュースもない。 真剣に考えれば「公正な談合」な ど絵空事ではないのだが、はじめからそのようなことは「矛盾する」と、 業界、役所の殆どが思い込んでいて、「君子危うきに近寄らず」で、口に しないだけである。 ■■如上、ボクのいう二つのことが、具体的に実行に移されれば、今回の 、中馬試案のような、いわば中途半端な罰則付き「天下り見直し」や「談 合禁止案」などは出さなくてもいいのではないか。 世の猛省を促したい。 ───────────────────────────────── ◎片山通夫写真集「サハリン」好評発売中!!◎ 写真集「サハリン」が未知谷から発行されました。是非書店 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モスクワ政府はスパルタク競技場再建のために1億5千万ルーブルの予 算支援を既に約束したとのことである。 市民の安全性は無視され ユジノサハリンスク市では連邦政府が市民の安全な輸送のために行っ ている公共バスの安全性と企業活動への監査が10月1日まで続く。監 査初日から多くの違反が発見され、乗客の安全が脅かされていることが わかった。 脳膜炎のために授業中止 ユジノサハリンスク市をはじめ州内多くの学校が脳膜炎と腸炎ヴィル ースなど伝染病発生のために9月20日から一週間休業していることが わかった。 水産展示会 今月19−21日間、ユジノサハリンスク市の軍人会館で第10回水 産展示会が開かれた。展示場で魚製品の味をみて買う一般市民も多かっ た。 公務員アパート建設 ユジノサハリンスク市政府は教育や保健機関などの公共機関での若い 人材誘致のために、市内エデム住宅地に安月給の公務員のためのアパー ト建築をはじめた。来年完成予定の同アパートの購入の際、市から45 %の補助金を受けることができる。市政府は今後10年間市民らに安く て便利な住宅の提供を計画しており、同プログラムのために来年度予算 に7600万ルーブルを既に策定している。 クリル列島に教育保健専門家不足深刻 色丹、国後、択捉などクリル列島を視察して帰ってきた州議員たちは 同地域の教育や保健分野で勤める人材が大いに不足していると指摘して いる。専門家不足の主な原因のひとつは住宅難。保健機関で働く職員た ちの40%が住宅難を訴えている。 火災訓練 先週、ユジノサハリンスク第26一般学校の620人の生徒と教師を 対象に火災訓練が実施されたことがわかった。同学校では年に4回この ような訓練を実施してきたが、今後このような訓練を他の学校でも実施 する予定である。 お菓子博物館オープン ニゼゴロドスク州のゴロゼツ市にプリャニク(糖蜜お菓子)博物館が オープンする。19世紀から既に30種類の質の高いプリャニクを生産 してきた同市は、今まで生産してきたお菓子の模型や木製の型、お菓子 つくりに使用してきた様々器具などを展示する予定である。 ロシア人毎日100ユーロを消費 ギリシャー銀行の2005年の資料によると、昨年ロシア人は米国人 と並んで最も消費力の高い観光客であることがわかった。宿泊費として の支払いはトルコや米国人の次に一泊98ユーロの消費に留まっている が、ショッピングなどを含めた全体の観光費用は米国人と同じく12日 間で1200ユーロを払っているとのこと。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── タイで無血クーデター。政権の腐敗を正したのか、民主主義の根底 を覆したのか。判断に迷う。国王も国民も支持するクーデター。この後 は約束通り2週間で民政移管する必要がある。それが国際社会が認める 政変。間違ってもミャンマーの轍は踏むまい。 ▽安倍圧勝。さてその後に来る内閣の陣容が気になる。東京都知事の支 持がなにやら不気味・・・。 ▽その石原知事「当然控訴」と国旗国歌強制・地裁違憲判決で。 ね。なにやら不気味・・・でしょ。 ───────────────────────────────── 発行 2006年9月26日 No.271 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 e-mail office@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ─────────────────────────────── |