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───────────────────────────────── 【609 Studio 】メール・マガジン・2006/9/25 No.268 ───────────────────────────────── 【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、 ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その 他、寄稿記事など話題満載! URL ⇒ http://www.609studio.com ───────────◆◆◆INDEX◆◆◆─────────── ◆現代時評:[路面電車の復活に向けて] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2006年9月1日号 先週お届けできなかった 2006年8月25日号は http://www.609studio.com/html/sekoryo/japanese/060825.htm ◆編集長から ───────────────────────────────── ◆現代時評:[路面電車の復活に向けて] ken Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは office@609studio.com へ! ───────────────────────────────── ◆◆アサヒコム 2006・8・31 川崎重工業が架線がなくても走行でき る電池駆動式の路面電車の走行試験に成功した。同社兵庫工場で30日、 報道陣に公開した。独自開発したニッケル水素電池「ギガセル」を搭載 した車両が、途中で充電せずに10キロ以上も走れることが実証された 。実用化されれば世界初という。 社内からも「不可能」と言われなが ら、昨年7月、見切り発車で開発スタート。「走りながら考えたのが良 かった」と開発担当者。07年中の第1号車完成を目指す。 ■■海外を歩いていて最近目立つのは路面電車のリバイバルである。 日本は戦前戦後を通じて、比較的路面電車が発達した国であった。 それが都市道路の狭隘に加えて、急激なモータリゼーションの普及でま ず血祭りに上げられたのが路面電車の廃止、もしくは「地下鉄化」であ った。 そして現在では日本における本格的な網目方式の路面電車は、 ほぼ皆無に近い。 ■■例外は、それが街のシンボルともなっている広島の路面電車である 。 広島電鉄では、全日本から使われなくなった古い路面電車の車体を 買い取り、あるいは姉妹都市ドイツ・ハノーバーからの寄贈電車などの 外国製も含めて、大半の電車が元使用されていたそのままの外観とペン キ色で、見た目も愉しく走っている。ゆっくりとしたレトロ調と言おう か。 見ているだけでも、ほのぼのとした気分が味わえる。 動く交通 博物館と称される所以である。 それに続くのが長崎の電車、たしか1 00円均一料金ではなかったかしら。 ■■広島も均一150円だった筈で、他都市の地下鉄の初乗り料金20 0円以上に比較すると、安価でお手軽な感じがして、「市民の足」にな っている。 全国的に、なぜ地下鉄が高料金で、路面電車が低料金か、 ぼくはその理由を知らない。 が、ちょっと考えただけでも奈落の底を 走る地下鉄建設コストは、路面のそれよりもだいぶ高くつくだろうし、 高料金の設定が必要なのは想像に難くない。 「狭隘な土地柄ゆえ」と いえば理由だけは簡単に付く。 ■■なぜ日本の旧路面電車が、かくも急激に、かくも徹底的に姿を消し てしまったのか、ボクらにはその事情が思い出せない。おそらく「新し がりや」で、「右え倣え」の日本人の特性で、どこかの都市が「路面電 車よりも地下鉄」と言出せばあとはみなそれに追従したのだろう。安倍 晋三が勝ちそうだといえば、安倍晋三に草木も靡くごとく、ごく短期間 に路面電車がわれわれの視界から忽然と姿を消したのは、たしか197 0年代のことで無かったか。 ■■そしてボクがいま期待しているのは、日本における路面電車のリバ イバルである。5年前、小泉首相の誕生のごとく、一気呵成にあれよあ れよと、もしわが日本にも路面電車がたくさん復活したらいいな、とボ クのような高齢者は期待している。 ■■なぜボクがそんなに路面電車の復活を願っているかというと、まず 代わりに出現した「地下鉄」が「大仕掛けで、地上からプラットフォー ムまでの距離が遠過ぎる」ということだ。 旧市電のようにすぐ目の前 で乗ったり降りたりするわけにいかず、さらに地下に潜る階段というも のはボクら高齢者にとってひじょうに歩き難い。 もちろん最近は、地 上との間にエレベータなどを備えているが、たいていフォームのごく端 近に、言い訳めいて設置してあるだけだ。 ほんとうに乗客の便宜を図 るつもりなら、オーストリア・ヴィエナの地下鉄のように、青空天井の 大通りでエレベータに乗れば、「フォームの真中に直行」というように してほしいものだ。 ■■市バスは地下鉄より先に路面電車の代替として出現したが、これは まさに神出鬼没、数台続けて来るかと思えば、待てど暮らせどやって来 ず、目の前に現れるまでは信用できない。 架線とかレールで自分の立 っている位置に繋がっていないところが何となく心許ない、といった、 たぶんに心理的要因があるのかも知れない。要するに「頼りにならぬ乗 物」がバスである。とくに、雨の日、真冬の寒い日のバス待ちなどは、 バスそのものが街に出現して以来、なぜか改善されずに、腹の立つまま に今日に至っている。 ■■それに日本のバス・電車など、ほぼすべて共通に意地悪なのは、乗 降口が特に狭く作ってあることだ。 いわば江戸時代の関所の名残りか も知れない。 一人ずつ人相を見て、乗車賃支払済みを確認してから乗 せる、という用心のためだろうか。 その点、たとえばヨーロッパの停 車場の大半は、いまやそうした「改札口」など無いところが多い。タク シーを降りたらそこがプラットフォームだった、というシステムに換っ ている。 日本だけ、「無賃乗車が特別多い」ということだろうか。 ならば、われわれ日本人の道徳が未だに後進国並みということかも知 れない。 もしそうで無いとすれば、バス・電車の乗降口をいまの4倍 程度に広げ勝手に乗り降りさせることだ。 ついでに駅の「改札口」も 無しにして欲しい。 交通混雑の主要原因は狭隘な「乗降口」にある。 ■■もう一つ言えば、最近の先進諸国の車両の床(ゆか)は、いわゆる 「低床式」に換っている。日本も換りつつあるが、その変化の速度が外 国に比べて遅い。 つい先日もホノルルの市バスに乗って気付いたのだ が、大きな障害者用電動椅子に乗った女性が、一人で乗り、一人で車内 で向きを変えるのに堂々としていて、誰も手伝わなくてもじゅうぶんな 車内スペースと乗降口の幅になっていた。 見ていて面白かった。 ■■とうぜん低床式で、それでまだ段差があるときは、バス片側の空気 タイヤ圧を臨時に減らし車高を低くする仕掛けになっていた。どうやら そうした身障者の乗降が終わると、自動的に空気を再注入して車高を元 に戻すらしい。 それと比べると、日本の公共乗物の老人・身障者対策 はひどく劣っていると思えた。 ■■つぎにわが国で路面電車が復活するときは、こうした新式車両を導 入して欲しい。 ナに、難しいことではない。お隣の、半分日本領みた いなハワイですでに実用化している車両システムなのだ。 ■■先般、ドイツ・ドレスデンの市電で見かけたのだが、大型犬連れの 老人が乗っている。 気がつくと、犬を乗せてもいい電車には、その標 識が車両外側についていて、念のため見ていると、約半分近くの市電に その標識がある。 乗降口はもちろん幅広く、同時に三人くらいが勝手 に乗り降りでき、車内検札は、1週間の滞在中に1度あっただけ。中年 女性が途中で検札のため乗ってき、それが終わるとまた途中で下車して いく。 なるほど、ドイツでも無賃乗車は存在するらしく、日本だけで は無いようだ。 入口や出口でその都度、運転手が「切符改め」するわ けではないのが日本と違うところなのだ。 途中で検札か、乗降口で「 切符改め」か、どちらが効率がいいのか知らぬが、少なくとも乗降口で 混雑しないだけ、彼の国のシステムの方がいいように思えた。 ■■参考までに資料を見ると、現在日本において運行中の路面電車は次 の通りになっている。 札幌市電,函館市電,東急世田谷線,江ノ電,豊橋鉄道,富山地方鉄 道,万葉線,福井鉄道,京阪電鉄,京福電鉄,阪堺線(通称ちんちん電 車),岡山電鉄,広島電鉄,伊予鉄道,土佐電鉄,長崎電鉄,熊本市電 ,鹿児島市電。 政令指定都市広島の、路面電車への先見性に敬意を表 さなければならない。 ■■20世紀の都市交通は自動車が中心で、それによる自動車産業が工 業技術および経済発展の大きな牽引力になった。 しかし自動車の大衆 化による負の部分、つまり環境や交通の効率などに問題や限界が見えは じめた。 あらためて公共交通を見直す必要が生じたのである。 高齢 者や障碍者にも優しい公共交通として、低床車両のLRTや路面電車の 果たす役割が大きくなりつつある。 特に都市中心部への自動車の乗り 入れを限定し、サーヴィス車両のみ時間を限って進入を認め、一般には LRT(軽量軌道交通=Light Rail Transit)や路面電車主体の公共 交通にする、いわゆるトランジット・モール方式が少しずつ増加しつつ ある。 うまくいくと、いま問題化している都心スラムやシャッター商 店街の解消にも貢献できると、大いに期待されている。 ボクも心待ち している。 ───────────────────────────────── ◎片山通夫写真集「サハリン」好評発売中!!◎ 写真集「サハリン」が未知谷から発行されました。是非書店 もしくは609studioでお求めください。 四六判160頁 1,600円(税別) ISBN4-89642-138-8 C0072 未知谷 HP http://www.michitani.com/index.html または office@609studio.com ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2006年9月1日号 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 無ビザの里帰り提案 今年6月22日州議会はユガイ・オレグ州議員の提案により永住帰国 した韓人1世たちが里帰りの時、無ビザで入国できるようにロシア政府 に要請することを決め、その後、連邦内閣首相あてにその決定書を送っ たことがあった。最近、それに対する公式回答が届いた。アジア担当管 理局のア・クリク局長代理は、「ロシア現行法によりロシア国境を越え るためには必ずビザが必要である。無ビザでのサハリン訪問はロシアと 韓国政府レベルでの合意がなければいけない。ところが、7月6日両国 の領事が文化、科学、教育、スポーツ行事参加者達に限って便利を図る ことに合意し、韓国政府の最終決定を待っている状態である。もし韓国 政府がこれに同意するならこの枠組の中で1世たちのビザ問題を解決で きる可能性はある」と回答してきた。 第13回サハリン犠牲死亡同胞追悼祭 8月21−24日、韓国海外犠牲同胞追悼事業会 李・ヨンテク会長 (77才)を団長に追悼祭派遣団がサハリンを訪ねた。1992年10 月、同追悼事業会の支援で建てられた慰霊塔がユジノサハリンスク韓人 文化センター入り口に建ってあるが、その慰霊塔の前で第13回追悼祭 を行いために派遣団が来島した。24日、派遣団の他韓人社会団体代表 ら、1世たちを含めての多く同胞たちが見守るなかで追悼祭が行われた 。追悼辞のなかで事業会の李会長は日本人や日本政府の蛮行を糾弾しな がら、このような歴史を次の世代に伝えるために学生たちの慰霊塔見学 などを定期的に行うなどの活動の必要性を訴えた。 永住帰国者養老院と療養院責任者来島 8月末、仁川サハリン同胞福祉会館の金・ジュザ館長とデチャン養老 院の申・ウォルシク院長、安山市立療養院の全・チョンヒ院長がサハリ ンを訪ねた。彼らは各施設の現況報告を行う他、今後の運営について韓 人団体代表者らと話し合った。アパート入居を希望する人が多いため、 現在、3つの施設には60人の空きがあり、特に昨年オープンした安山 市立療養院の場合入居希望者がいないと閉鎖される恐れがあるなど運営 に問題が生じているとのこと。 南部サハリン及びクリル解放61周年 来る3日は軍国主義日本から南部サハリンとクリル列島が解放され、 第2次世界大戦が終わりを告げた日である。この日、ユジノサハリンス ク市栄誉広場でこの日を祝う行事が行われる。サハリン州スポーツ委員 会はこの日多様なスポーツ競技を行う予定である。 ロシア鉄道の社長、サハリンを訪問 イ・マラホフ サハリン州知事が先週の火曜日、ロシア鉄道社ノヴェ ・ヤクニン社長と会って、サハリン州鉄道と運輸サービス問題について 話し合った。特にサハリン州が提案したイリインスクーウゴレゴルスク 間鉄道敷設問題について意見を交わした。サハリン州は150−200 万トンの採掘能力のあるソンチェブスキ炭田の石炭を運ぶためにイリリ ンスクとウゴレゴルスク間143Kmの鉄道敷設を計画しており、専門 家達に依頼して既に具体的案も立てている状態。ヴェ・ヤクニン社長は 積極的に協力すると表明した。 9月30日「サハリン韓人の日」に決定 先月26日、州農業管理局会議室で過去1年間のサハリン韓人会の活 動及び会計報告定期会議が行われた。議題の一つであった「サハリン韓 人の日件」は9月30日に決まった。しかし、会議では朴ヘリョン現会 長に対する賛成・反対派間の論争が激しく、反対派の運営委員たちを除 名する投票に至るなど険しい雰囲気であった。論争はしばらく続きそう だ。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── 民族の坩堝ともいえるマレーシアへ行っていました。 8月31日が独立記念日。49年目の夏でした。うまく多民族が「混合」 して、それぞれの文化を尊重しながら生活している様を勉強させてもらっ た感があります。 マレーシアの記事はゆっくり掲載してゆく予定ですので、ご期待くださ い。 ───────────────────────────────── 発行 2006年9月5日 No.268 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 e-mail office@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ─────────────────────────────── |