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───────────────────────────────── 【609 Studio 】メール・マガジン・2006/7/25 No.263 ───────────────────────────────── 【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、 ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その 他、寄稿記事など話題満載! URL ⇒ http://www.609studio.com ───────────◆◆◆INDEX◆◆◆─────────── ◆現代時評:[原発時代再来の用意を] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2006年7月21日号 訳者が海外出張中ですので、お届けできません。 本日25日に帰国予定です。日本語訳が届き次第お届けいたします。 ◆編集長から ───────────────────────────────── ◆現代時評:[原発時代再来の用意を] ken Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは office@609studio.com へ! ───────────────────────────────── ◆◆毎日新聞 2006.7.12 ダーリング英貿易産業相は11日、英国のエ ネルギー政策見直しで「原子力発電はエネルギー供給面で重要な役割を 果たす」として、従来の脱原発政策を転換し、原発の新規建設を事実上 容認する声明を発表した。英国では原発の老朽化が進み、代替エネルギ ーを新たな原発でまかなうかどうかが焦点だった。総エネルギー量で原 子力が占める割合が、現在の20%から6%に低下し、天然ガスの輸入 は避けられないとも指摘。 ◆◆ニッケイネット 2006.7.18 北陸電力は18日、志賀原子力発電所 の2号機(改良型沸騰水型、135万8千キロワット)タービン1基の 羽根2枚にひびが見つかったと発表した。損傷部位は中部電力・浜岡原 発5号機と同じで、いずれもタービンの設計・製造元は日立製作所。 ■■ボクはもともと原発の大反対論者だった。原発被曝労働者救済セン ター代表故平井憲夫氏の、「原発が事故を起こしたら怖いのは知ってい る。だったら、事故さえ起こさなければいいのか。平和利用なのかと。 そうじゃないでしょう。私のような話、働く人が被曝して死んでいった り、地域の人が苦しんでいる限り、原発は平和利用なんかではないんで す。それに、安全なことと安心だということは違うんです。原発がある 限り安心できないのですから」という話を聞かされてからのことだった。 ■■ところが最近になって英国が、従来の脱原発政策を転換し、原発の 新規建設を事実上容認する声明を発表した。 フランスはもともと原発 比率が75%と極めて高く、オルレアン郊外の大平原には原発工場が堂 々と白い水蒸気雲を吐いている。スエーデンなどは、1980年の国民 投票で原発全廃を決め、2000年までの廃止目標を掲げたが、廃止で きたのは一基だけ。今では廃止目標さえ設けていない、という状態であ る。 ■■2002年末現在、西欧全体では約1億3200万キロワットの原 子力発電設備が運転され、電力供給の約33%を賄っている。 また、 90年代に入ってエネルギー・環境面で浮上してきた地球温暖化への対 策としても、原子力発電は一酸化炭素の排出ゼロの電源として、その重 要性が再び注目されるようになってきた。 ■■欧州で脱原発を宣言して、いまのところそれが成功に近いのはドイ ツで、原発の代わりに天然ガス火力発電に大きく依存している。 が、 一酸化炭素削減の観点からは、ドイツのそれまでの主要電源である褐炭 ・石炭火力に比べれば単位当たりの一酸化炭素排出量は半分程度と少な いものの、排出ゼロの原子力には及ばず、いまのところ暗中模索の情況 にある。 ■■わが国はといえば、1966年、茨城県東海村に最初の原発が出来 て以来、その依存度を増し、2010年度までの発電量比率目標を、原 発45%、火力42%に置いた。が、国民の原発に対する不信感が深ま り、電力各社の計画でも2010年度までに運転開始を予定していた原 発は当初20基だったものが現状では13基と、7基減になってしまっ ている。 ■■がしかしだ。これでは将来の給電に心配と言うことで、わが政府は 、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」を2000 年12月の臨時国会で駆け込み成立させた。 だがその後も、原発賛成 派と反対派が鎬(しのぎ)を削って相争い、今日に至っている。いっと きは原発がなくても電力需給に問題はないという情報も流されたが、現 在ではやはり原発がない限り需給は覚束ないという計算が出ている。 ■■もちろん、いまでもボクは原発反対派だ。なぜなら、原発のいわゆ る「終末処理」がお粗末極まるから、人類の未来を考えれば、捨て場の 無いような原発をこれ以上増設してはならないのは見え透いている。 ■■だがその程度のことを知らぬ英国でも無いし、フランス・ベルギー でもない。彼らはとうぜん、そのことも考慮の上でなおかつ、原発依存 度を高めようとしているのであって、わが国やドイツだけが、特別な「 原発罪悪感」だけで、簡単に反原発を唱えていいものかどうか、考え直 して見る必要がある。 特に日本は、唯一、原爆被災経験がある国とし て、平和利用の原発までも頑なに拒否しているのは、再考の余地を無し としない。 ■■ボクが最近、原発増設を考慮のうちに入れるべきと、考えるように なったのには理由がある。もちろん一酸化炭素削減のことなどは、前々 からの話で、いまさらそれを理由にしているわけでは無い。 ■■それよりも、最近の世界の騒がしさの原因は何であろうか。第2次 大戦後、もうおそらく大規模な人類同士の殺戮戦など無いと思っていた のに、案に相違して、次々と戦争が起る。 原因は、と考えると、先ず 宗教間の争い、つまりイデオロギーの差である。 仏教の国々ではそう した戦争がひじょうに少ないのをみても、キリスト教やイスラム教には イデオロギーの差について問題がありそうだ。 そして、それに次ぐ戦 争の原因はナンだろうか。 ■■どうやら、南北あるいは東西間の貧富の差ではないかしら。 しか しその貧富の差はナニから起るか。 勤勉と怠惰の差かも知れない。 だがそれよりも大きいのは、国に天然資源を持っているかどうかでは ないか。だがそれも、金や銀、ダイアモンドを地下に蔵しているかどう かではない。 突き詰めて言えば、化石燃料を地下資源として持ってい るかどうか、もしくはその地下資源を横取りしたいかどうかの問題があ るのではないか。 ■■はやい例が尖閣列島だ。昔から日本の領有地と決まっていたのが、 最近急に日本のものか中国のものか争い始めた。 原因は、漁業権の領 海問題よりも、石油や天然ガスが出ると判ったからである。そこに石油 や天然ガスが出なければ、どうせ無人島だからたいした争いにもならな い。 ■■真偽のほどは知らぬが、米国がイラクに攻め込んだのも、イラクに 石油があるからだ、と世間は言う。 そのイラクが10年前にクエート に攻め込んだのも石油利権の問題だった。 いままた米国がイランと問 題を起そうとしているのも石油利権をめぐっての争いであるとの前評判 が盛んだ。 ■■サウジの王家が、早晩、倒されるかも知れないと噂(うわさ)され ているのも、膨大な埋蔵量の石油があるからだと言われている。 旧ソ連圏のロシアが急に発言力をつけたのも石油や天然ガスを産出し 始めたかららしい。 そしてそれを格安で売ってやるからと言って、ウ クライナや、近隣CIS諸国を味方に引き入れようと企んでいるから、 それで喧嘩や駆引きが起るから騒がしいのであるという。 ■■どうも地下化石燃料によって、われわれが住むべき穏やかな社会の 安寧秩序が、むしょうに乱されているらしい。石油などというのは魔性 の、罪作りな品物のようだ。 しかい、その地下資源は採掘すれば結局 は無くなる有限物質に過ぎない。 何時無くなるのかは判らぬが、何時 かは必ず枯渇する運命にある。日本にも戦前は少量ながら石油が採れた。 新潟県と静岡県に油田があったが、もう枯渇してしまって、いまは記 憶にも残らない。 ■■奢る平氏は久しからず、サウジも、イラクも、イランも、そしてロ シアだって、どうせそのうち石油は無くなるのだ。 ならば早くからそ の代替エネルギーを研究しておきたいものだ。 石油や天然ガスに固執 するあまり、争いに参加し、争いを起しすぎるのだ。初めから奇麗さっ ぱりと、無い物と思えば争いは減るハズである。 そのためには、現在 のエネルギー科学では原子力発電がもっとも手近かにある。 これさえ うまく使用すれば、国家間の争いは半分以上減るのが目に見えている。 ■■ただ、問題はその原発の後始末法がほとんど手付かずというところ にある。原発の廃棄物の処理方法が確立されていない、または原発の工 程における安全性が確定していない、というところだけが泣き所で、あ とあと僅かな特定原料を他所様から分けて頂くのにさしたる不都合は無 い。 敢えて言えば、至極単純な技術上の問題に過ぎない。 ■■その技術が未開発のため、旧ソ連のようにシベリアで原子力製品の 残骸を放り投げたまま、というほどでないにしても、わが国でも、その 残骸を何処へ捨てようかと目下は暗中模索中で、ドラムに詰めて土中深 く埋めようか、宇宙へ捨てに行こうか。あるいは北方四島を返還しても らい、そこへ集積しようかとの智恵しか出ないのが現状である。 ■■ボク思うのに、いまや月はおろか、金星、土星にも行こうかという 時代に、原子産業の残滓だけはどうにも仕様が無いと諦めているのは、 わが政府および原子力学者の怠慢以外の何物でも無い。 もっと本気になって「高レベル放射性廃棄物処理」の方法を研究開発 すべきだ。「地下300メートルに埋める」といったようないい加減な 方法を考えるまえに、本気で徹底的な分解廃棄法を科学技術的に開発す べきだ。 その技術さえ完成すれば、原子力発電所など、100個所で も200個所でも造り、化石エネルギー入手のいざこざなど、永遠にお さらばすればいい。 ■■だいいち困るのは、いわゆる産油国や、オイル・メジャーと称す連 中が、ほとんどすべて一筋縄でいかぬトラブル・メーカーで、わが国な どと肌合いが違う社会なのだ。 そのような人々に依存して、半永久的 に化石エネルギーの供給を求めるのは、つまりは国際紛争に永遠に付合 いさされるということで、どう考えても得策ではない。 ■■「原子力使用の後処理、その必要性は判っているが、ひじょうに難 しい技術だ」と、学者や政府は言うが、そういう場合のためのいい格言 がある。 「不可能という文字はわが辞書に無い」、ナポレオンの言葉 である。 それを最初から半分諦めているのが、現行の「核廃棄物処理 法」ではないか。 学者は意気地無しである。 ■■「決して諦めてはいないが、難しいものは難しい」と逃げ口上ばか り言いながら、それより前に、どうしたら原子力をうまく使いこなして 儲けられるか」、つまり「原子力利用」の方ばかりに血道をあげている いるのが今の原子力産業界、と見たのはボクの僻目か…。 ■■「ナニも知らぬ素人だから、そのような安易なことが言えるのだ」 と、おそらく学者や役人・政治家諸公は言うだろう。 ならば素人のボ クがただ一つアイデアを差上げたい。 早急に仮称「原子力終末処理専門大学院大学」を創立し、その方面の 基礎知識を持つ学者を1000人ばかり集め、何年掛かってもいいから その目的だけに力を結集させたらどうか。 その程度のこともしないで 、ただ「難しい」と言うだけでは、意思がないことを証明するようなも のである。 もし「原発時代の再来」があるとすれば、先ずその方が先 である、とボクは思う。 ■■そうした研究にはチェルノブイリのような事故が伴うかも知れない が、もちろん覚悟の上だ。 ボクが子供のころ、「電気というのは手に 触れたら感電死するというから恐ろしい」と、電力架線を拒否した村も 多かった。フィリピンでは、いまでも死亡原因の第1番は高血圧、第2 番目は感電死である。そうしたリスクを通過した上に人間社会の文化が 存在する。 ■■60年前、原爆を落とされた広島に、「向こう100年間、草木も 生えぬだろう」と、ウソをついたのは、他ならぬ学者たちであった。 ボクはその言葉を忘れない。「精神ひとたび到らば何事か成らざらん 」の心掛けが、いまこそ学者に必要なのだ。 ■■考えてみると、化石エネルギーの産地も、それらを牛耳る、いわゆ るオイル・メジャーたちも、なぜか問題を起す要注意社会に属する人々 ばかりで、これは不幸な現実である。彼らに化石エネルギーの供給を依 存している間はどうにもならない。 いまバレル70ドルになったと騒 ぐが、このあと、国際紛争が起るたびに、まだまだ石油や天然ガスの相 場は天井知らずに高騰し、ぼく等があくせく働いて儲けたカネもみな彼 らに吸上げられるだろう。 それが、ややこしい人達に産地と流通を握 られている石油産業の宿命と考え、なるべく早く、化石燃料の桎梏から 完全に脱するのが賢明というものである。 ───────────────────────────────── ◎片山通夫写真集「サハリン」好評発売中!!◎ 写真集「サハリン」が未知谷から発行されました。是非書店 もしくは609studioでお求めください。 四六判160頁 1,600円(税別) ISBN4-89642-138-8 C0072 未知谷 HP http://www.michitani.com/index.html または office@609studio.com ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2006年7月21日号 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 訳者が海外出張中ですので、お届けできません。 本日25日に帰国予定です。日本語訳が届き次第お届けいたします。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── ▼安倍晋三官房長官独走か?自民党総裁選。かれのHPを見ると「挑戦 する」とか、「この国を守る」とか勇ましい言葉が並んでいる。 いささか時代錯誤的。いやこれが今持てるんです。 いっぺん庶民を「無駄の多い官僚や政治家から守ってんか。 ▼レバノン情勢は手の打ちようがないのか。無いわな。ブッシュ親分の 意向を無視しては・・・。 ▼ブッシュ親分の意向よりも「人の命」やと思うけど・・・。ここでも 勝ち組と負け組。 ▼「飢え死にすれば韓国の責任」北朝鮮代表が恫喝。いや恫喝とも取れ ん。これは「北の方言でのお願い?」。まさかそんなことないわな。 韓国・釜山で11日から行われた第19回南北閣僚級会談での話。 ▼日本列島水浸し。この後は台風のシーズン。十分な警戒が必要。 首相のパフォーマンスに付き合ってられん。 ───────────────────────────────── 発行 2006年7月25日 No.263 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 e-mail office@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ─────────────────────────────── |