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タイトル:609studio No.262◆現代時評:[爽快! ジダン選手の頭突き1発]  2006/07/18


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【609 Studio 】メール・マガジン・2006/7/18  No.262
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に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、
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◆現代時評:[爽快! ジダン選手の頭突き1発]     ken 

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2006年7月14日号

◆編集長から

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◆現代時評:[爽快! ジダン選手の頭突き1発]     ken 
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 office@609studio.com  へ!
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◆◆読売オンライン 2006.7.12 サッカーのワードカップドイツ大会
決勝で、退場となったフランスの主将ジダンが12日午後8時から、フ
ランスの有料テレビ「カナル・プリュス」に生出演し、イタリアのDF
マテラッツィに頭突きした経緯などについて話すことが12日、分かっ
た。AFP通信が伝えた。 これまで、テロリストとののしられた、母
親を侮辱された、などが理由と推測されていた…・。

◆◆アサヒコム 2006.7.13 ジダン選手がイタリア選手に頭突きして
退場になった「事件」が、仏社会で波紋を広げている。同選手が暴力行
為に訴えた理由については真相が明らかにされないまま、人種差別的な
挑発が原因だとして同情する見方も出た。その半面、「ジダン選手にあ
こがれる子供に示しがつかない」との戸惑いも。

◆◆サンケイWEB 2006.7.13 国際サッカー連盟のブラッター会長は
、ジダンからW杯最優秀選手賞をはく奪する可能性を示唆している。マ
テラッツィ選手は「賛成できない。ジダンは賞に値するプレーをした」
と話した。

■■ジダン選手が頭突きを一発食らわし、相手イタリアのマテラッツ
ィ選手が仰向けに倒れたとき、それを見た(もちろんTV画面だが)ボ
クは一瞬、爽快な感じをおぼえた。 激しいサッカーというスポーツ
の、最後近くの見せ場のことでもあり、しかもああした頭突きで人を
倒したのなど、生涯で始めて見たシーンだったからだろう。突然そし
て爽快無比だった。

■■アアも簡単に人が仰向けに倒れるものか、そしてあのような手口
(てくち)で瞬間的に人を倒せるとは、まさに驚きである。 もちろ
ん、マテラッツイ選手が虚を突かれ、不意を襲われたからには違いな
いが。

■■ならば、人と人とはあのような手口で瞬時に雌雄を決すればいい
。 そうすれば、見にくい口争いや、殴り合いなどは不要である。人
間の喧嘩はあああるべきで、間違っても公衆の面前で怒鳴り合うべき
ものではない。

■■と思ったあと、フト気付いて、なるほどサッカーという新しく出
現したスポーツが、かくも熱狂的に全世界に受け入れられる原因はそ
こにあったのか、とボクはそのいざぎ良さに感嘆した。 もし他のス
ポーツならば、そうは簡単にいくまい。 おそらく殴り合いや、あの
前後に取っ組み合いの口論が長々と続く筈である。 

■■それが怒鳴り合いもナニも無い。 ただ、あっという瞬間の出来
事で、審判がレッド・カードを差出したのを見て、ああ、あれはルー
ル違反なのだな、とボクは覚った。 もちろん、ボクがサッカーに無
知で、ルールもナニも知らなかったから、無邪気にそう思い、そして
爽快に感じたからだけのことであり、殆どの観衆諸君にとっては「怪
しからぬ」行動と、すぐ理解したのかも知れない。

■■しかし、俄か覚えのサッカー・ルールによれば、どうやら相手を
挑発し、それによってペナルティ・キックを奪うという、いささかト
リッキーながら、勝敗の意外性を楽しむ場面もサッカー試合には多い
ようだ。 じじつ、勝敗が決まらず0対0で推移しているとき、この
方法で勝利を得ることによって、ゲームに多様性・意外性を加えると
いう面白みがある。 それがフェイク、つまり偽計であることを見ぬ
く瞬間的なジャッジの能力も、ゲームの面白みにアクセントを加えて
いるらしい。

■■スポーツというものは、本来、フェアプレーが原則である。その
なかにあって、偽計行為を咎めることなく、それをゲームの楽しみの
一つに加えているのも、サッカーの魅力の一つであるらしい。

■■フランス・スポーツの国民的ヒーロー、ジダン選手が、イタリア
選手に対して頭突きした理由を涙ながらに語った、とニュースは報じ
る。 移民に対する人種差別が原因だとか、母や姉に対する激しい侮
辱の言葉が、ジダン選手の暴発の理由だとかマスコミは伝える。 子
供達のサッカー・ファンも多い。純心な子供たちにああした違法(?
)行為を見せるというのは心無い仕業であった、という批判もある。

■■だが本当だろうか。 こうした考えの上で、ジダン選手が計画的
に頭突きを加えたのだろうか、ボクはいささかの疑問を持っている。
 もし、そういう神妙、かつ計画的なな考え方を、ジダン選手が普段
からしているのなら、過去の試合で何度もレッド・カードをもらった
という彼の過去は、いったい何なんだろう。

■■むしろ彼は、少々並外れた瞬間的闘争本能を持ち、しかもそれが
赦され得るというサッカーなる集団的格闘技(?)をうまく利用して
いるのではなかろうか。 換言すれば、それが「激しく争い、すぐ忘
れる」というサッカーの面白みではなかろうか。

■■東アジアや中近東に見る「激しく、そして永遠に怨みを忘れない
<遺恨千年>の風土」の国々とは完全に異質な、いわば「さっぱりと
した闘争」こそ、サッカーがこんなに流行する原因ではないか、と、
ボクは考えたい。

■■そこには、「人種差別」や「移民」といった最近流行りのウエッ
トな考え方など受け付けない「芯の強い人間」が普遍化し、存在する
社会がこの世にある、という嬉しい事実を認めるべきではないか。

■■物事をウエットに考えれば限りが無い。最近のように、「差別用
語」を次々と立案し規制するのは、果して人類に幸せをもたらしてい
るのであろか。 ボクはそのことにふだんから疑問を抱いている。 

■■人間というのは「差別」で泣くだけがいいことではない。 不幸
というリリシズムは、甘美かも知れないが、次なる不幸を生む危険を
孕んでいる。 人は生来の差別を持って生まれている。 が、幸せに
生まれたものが最後まで優越するということは少ない、というのも事
実だ。

■■先般、小泉首相も力説していた。生来の不幸を恨むより、それを
刎ね返す努力をより優先すべきだ。 もちろん、どうにもならない不
幸を背負って生まれた人も居る。 がしかし、それを刎ね返したヘレ
ン・ケラー女史も居ることも記憶に留める必要がある。

■■「差別」にもいろいろある。 例えば台湾だ。 台湾には先にや
ってきた多数派の福建人と、あとから来た少数派の客家族が居る。
 その差別は厳然と存在し、じじつ通婚も少ない。だが不思議なこと
に、その「差別」に上下関係が無い。 
 いちおう、福建が優先することになっているらしいが、医者・薬屋
・学者などは圧倒的に客家族が多い。孫文しかり、リ・カンユー(李
光耀)然り、トウ小平、李鵬も客家だ。よく調べてみると、福建と客
家の間で結婚している人も言われるよりは多い。「同位的差別」社会
であるとボクは思っている。

■■ジダン選手がアルゼリア移民の息子だから、差別されたと、さも
尤もらしそうにニュースは報じる。だがアルジェは、その昔のカルタ
ゴの末裔で、名誉あるハンニバル将軍の子孫だ。マテラッツイ選手の
イタリア人選手団が、ジダン選手を本気で差別したとは思えない。 

■■聞くところによれば、マテラッツイが吐いた言葉というのは、都
合によれば兄弟喧嘩のときにでも吐く母や姉を辱める「慣用悪たれ語
」とのことだ。おそらく、戦後来たGI連中の「サナザビッチ」てい
どの常套語だろう。ならばゴルファーなどと違って、サッカー選手間
のことだ、咎めるほどのことはない。

■■米国在住の日本人は、イタリア人を貶して「イタ公」と呼ぶ。だ
がこの「イタ公」も、厳密に言うと差別語というより、親しさを込め
た慣用語に近い。そのイタ公が、ハンニバルの末裔を本気で貶す理由
はない。むしろ「貶された」と思う方の心が間違いの元ではなかろう
か。「なぜ一発頭突きを食らわせたか」と、マスコミが咎めたら、と
っさの返事に窮したジダンが「そうした暴言を吐かれたから」と返事
し、あと、引っ込みがつかなくなった、というのが真相ではないか、
とボクは思う。要するにジダン選手は、少々手の速いスポーツ青年で
はなかろうか。

■■米国では「WASP」、つまり白人で、アングロサクソンで、プ
ロテスタントでなければ上に立てないとは、かのドラッカー先生の説
であった。ところがその直後にケネディというアイルランド人、つま
りカトリックが大統領になった。最近ではカラードであるパウエルも
国務長官に就任した。ジダン選手がアルジェ移民の子供であり、それ
でイタ公(失礼!)に差別発言されたというのは、誤報、もしくはジ
ダン選手の言訳け言葉であるに過ぎない、とボクは思いたい。

■■日本の野球もいまや国際的だ。台湾出身の王監督も居れば、金田
という名プレーヤーも居た。最近の日本の野球は韓国勢で維持してい
るようなものだし、相撲に至っては横綱、大関陣営は大半、モンゴル
・ロシアが占めていて、かって力道山が苛められたという時代では、
さらさら無い。

■■「差別」は、されたと思う側に「被害妄想」意識がある限りいつ
までもジメジメとして後に残る。この辺りを考えなければならない。
 「ジダン選手の頭突き」問題を、マスコミがいいニュースとばかり
深追いすれば、済んだ話がいつまでも遺恨としてサッカー界、および
フランス・イタリア両国間に残るばかりだ。気を付けねばならない。
 一発やられた方のマテラッツィ選手は既に、「ジダンは賞に値する
プレーをした」と話しているという。 それでいいのだ。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2006年7月14日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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チェーホフセンター取り壊される

 さる7日、ユジノサハリンスク市政府会議室で市中心部再建設計案
を検討するために、地方政権と各界社会代表が集まった。サハリン州
政府とユジノサハリンスク市は最近の世界的傾向に従って近代的高層
ビルが立ち並ぶ都心建設を決め、その設計案をハバロフスクにある設
計機関に依頼した。同設計機関は現サヒンセンター前の広場に、16
00台の地下駐車場とショッピングセンター、宿泊施設、事務所など
の複合総合ビル2棟とドムタゴブリ周辺に2棟の現代的ビルの建設を
提案すると共に、サヒンセンターとドムタゴブリを直線で結ぶ並木道
路の建設とその道路沿いに緑に囲まれたアパートの建設をも提案して
いる。 
 又、チェーホフセンターを取り壊し、そこに現代的劇場の建設案を
提案している。同設計プランに既に135億ルーブルの外資投資が決
まっている。ア・ロブキンユジノサハリンスク市長は同設計案を州政
府と市関連管理局が支持してくれることを頼んだ。

プーチン大統領のインタネット対話
        スタートは北朝鮮のミサイル発射問題

 7月6日の午後5時から1時間45分も続いたBBCチャンネルを
通じてのプーチン大統領とインタネット対話で視聴者からの最初の質
問は北朝鮮のミサイル発射についてであった。プーチン大統領は「法
的問題はないといっても正常とは言えない。しかし、ロシアに向けて
の発射とは考えにくいし、又ロシアと北朝鮮の軍事力は比較にならな
いほどロシアが優位にある」と国民を安心させた。ヤンデクスサイト
に載った視聴者たちの質問は15万にも上った。その質問内容はBB
Cサイトで紹介されている。

韓国の大学生ら、社会奉仕のために來島

 韓国の慶北大学の学生奉仕団体が指導教授の引率の下で10日にサ
ハリンへ到着した。奉仕団は15日間滞在し、コルサコフとユジノサ
ハリンスク市で農業体験と学校の補修と再建事業を手伝うことになる。

ユジノサハリンスク市暖房季節準備30%

 先週の暖房季節準備参謀部会議に出席したア・ロブキンユジノサハ
リンスク市長は、現在、市の暖房季節準備は目標の30%しか達成で
きていないと指摘した。予定としては、9月1日まで市内全体の給水
装置の大修理、4kmに及ぶ熱供給パイプラインの取替えをしなけれ
ばいけない。又、ノボアレクサンドルスクとシネゴルスク地域のボイ
ラーとアパートの屋根修理も予定されている。屋根の修理だけで1億
ルーブルの予算が必要である。市長は修理作業を予定通り済ませるよ
うに強く求めると共に、その進行状態を厳しくチェックすると念を押
した。

故金・ソンファン医師の記念碑建立
 先週の金曜日(7日)、今年1月16日に亡くなった元サハリン州
立病院外科医師金・ソンファンさんの業績を称える記念碑の序幕式が
開催された。ハバロフスク医科大学卒業後、生涯を通じてサハリン州
立病院に勤めながら多くの生命を救い、後学養成にも大きく貢献した
同氏を偲ぶために同僚と弟子たちが中心となって病院の外科棟の前に
記念碑を立てた。同氏は生前サハリン韓人医師会の会長や韓人会運営
委員を歴任するなど同胞社会にも高い関心を持って積極的に携わった
。家族を含め州政府や病院関係者、同胞たちなど多くの人々が除幕式
に参加した。

回想記:「ペレストロイカ(ゴルバチョフ時代)」

 ゴルバチョフがソ連の指導者となった時の国内情勢はどうだっただ
ろう。多少の差はあったにせよ、レーニン以来、基本的には中工業優
先路線を取っていた。宇宙や軍事、中工業産業が優先され、食料や消
費物資、サービス分野の発展はそれの犠牲となっていた。お金があっ
ても物が買えない消費物資の絶対的不足状態が続いていた。又、農民
たちは土地に対する所有権もなく、頻繁に行われる土地再分割により
土地に対する愛着はまったく持てなかった。

 米国を追い越すのは無理だった。ゴルバチョフは改革しかないと判
断した。そして無血の革命がおきた。彼の改革には世界が驚き又感動
した。しかし、ゴルバチョフが思った改革とは今日のものではなかっ
た。彼はソ連邦を維持しながら段階的に改革を進めようとしたのであ
った。

 ゴルバチョフ時代にサハリン同胞の運命は180度変わった。40
年ぶりに祖国を取り戻したのが最も意味深いことだった。そのスター
トを切ったのは88年のソウルオリンピック。当時、ソ連は参加しな
いと考えていた。83年の大韓航空機撃墜事件で両国の関係が冷え込
んでいたし、韓国とは国交もなく、又北朝鮮がソ連の参加を反対して
いたからである。ところがゴルバチョフは参加すると決定した。当時
、私はソ連選手たちの通訳としてソウルに行った。われわれが想像し
たのとは違って韓国民は暖かくソ連選手団を迎えてくれ、応援もして
くれた。

 1990年6月4日、歴史上はじめて斎州島で両国の大統領が会談
を行った。二人は国交樹立と経済交易の本格化を約束し、ゴルバチョ
フ大統領は韓国のUN加入を支持するとも約束した。それから4カ月
後、モスクワに韓国大使館が、ウラジオストクには韓国総領事館が置
かれた。
 ペレストロイカのお陰で1988年から我々の祖国訪問が自由にな
った。1986年までソ連では、家族との再会、墓参りなど個人的な
理由で出国することはできなかった。ゴルバチョフは反人道主義的ソ
連法を再検討し、ソ連出入国管理規則に上のような目的のための出国
を認める規定を追加した。この法律に基づいてわれわれは祖国との交
流を合法的に行うことができた。ゴルバチョフ大統領にもう一度深く
感謝の気持ちを伝えたい。(セコリョ新聞社名誉社長成・ジョンモ)
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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▼「イスラエル軍、レバノン全土で空爆 攻撃、全土に拡大」と報道。
北朝鮮のミサイル発射問題に国連がかまけている間に。こちらも大問
題。ブッシュさん、なんとかしなはれ!

▼額賀防衛庁長官が陸自の後送業務隊を視察した。クウェートで。
「安全なところ」で視察して、「先制攻撃発言」はないでしょ。いっ
ぺんあんたが行きなはれ!サマワへ。

▼「疎ましくなったので、橋から落とした」と秋田事件の容疑者。
そんなことするアンタが「疎ましい」。

▼片山さつき議員パーティー「出席動員!」メール。経済産業省駆け
巡る。ご本人は「メールは知らなかった。出席の強制ではない」とコ
メント。
あんたの名前で出たら、あんたの責任。「知らん」では済まんのが、
「世の中や!」。ほんまにもう、何時までチャイルドやってんねん。
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発行     2006年7月18日   No.262
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム        ID:MM3E1B97842E020
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website    http://www.609studio.com
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