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タイトル:609studio No.255◆現代時評:[時代は急変し、靖国も竹島・尖閣も争うに足らぬ]  2006/05/16


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【609 Studio 】メール・マガジン・2006/5/16  No.255
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【609 Studio】 メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプト
に論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、
ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その
他、寄稿記事など話題満載! 

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◆現代時評:[時代は急変し、靖国も竹島・尖閣も争うに足らぬ]   ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2006年5月12日号

◆編集長から

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◆現代時評:[時代は急変し、靖国も竹島・尖閣も争うに足らぬ]   ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 office@609studio.com  へ!
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◆◆サンケイWEB 2005.5.09 小泉純一郎首相は9日夜、経済同友
会が「今後の日中関係への提言」として、首相の靖国神社参拝の自粛や
不戦の誓いを行う追悼碑の建立を求めたことについて「ひとつの意見で
しょう。靖国は外交カードにはならない。財界の人から商売のことを考
えて『参拝してくれるな』という声もたくさんあったが、『それと政治
は別だ』とはっきりお断りしている」と述べ、強い不快感を示した。

◆◆共同通信 2005.5.10 国連のアナン事務総長は10日、14日か
らのアジア歴訪を前に共同通信などアジアの主要メディア8社と会見し
、冷却化した日中韓3カ国の現状について「あなた方は隣人を選ぶこと
はできない」と述べ、歴史認識をめぐる対立を克服するよう促した。

◆◆サンケイWEB 2005.5.05 東南アジア諸国連合と日中韓の財務
相会議が四日、インドのハイデラバードで開かれ、東アジア通貨の価値
を比較できる共通為替指標「地域通貨単位」の創設について検討するこ
とで合意した。同財務相会議が通貨単位の検討で一致したのは初めて。
 アジア開発銀行が提唱する「アジア通貨単位(ACU)」とも重なる
構想。

■■信頼すべき外電は、先月21日に欧州中央銀行社長、米連準理議長お
よび中国中銀頭取が秘密会議において、いまの(米国の)貿易不均衡と
、不動産バブルの終焉による個人消費衰退が、米国との主貿易関係国の
間でひじょうに大きな打撃を与えるであろうと発言し、唱和したことを
報じている。 

■■前々からの噂の種ではあるが、まさかまだ先のことと我々も多寡を
括っていたのだが、こうまであからさまに発表されると、「とうとうや
ってきた来たか」の感が深い。 

■■そうした場合、米政府が希望する米ドル切下げ幅は25%程度らし
い。 が、じつのところ、25%程度ではとても間に合いそうに無い。
 なにしろいまや、飛行機と武器以外にナニも自分で製造できない米国
産業社会が、輸入と海外派兵で持てるカネを使い果たしてしまったのだ
から。 さらに、そうした切実な事実を、米政府は自国民にはっきりと
言わない。 言えば、それだけで米経済にガラが来るのを恐れている。

■■そして、いま輸出ブームで沸立ち、外貨保有が8000億ドルを越
え、世界中の資源の買集めに狂奔している中国も、そして世界一金持ち
を誇る日本も、じつはいままで米国への輸出で稼ぎ、それで生計を立て
ていただけなのだ。

■■この話はガセネタニュースでも何でもない。 秘密会議での発表と
はいうものの、IMFで筒抜けに世界に公表しており、発表者は米連邦
準備委員会理事長  Bernanke 氏、聞いて「さあ困った、どうしょう」
と言ったのが中国中央銀行頭取Xiaochuan  氏なのだから、米・中両国
も公認の上での発表なのである。

■■つまり、開き直って「どうなりとしてくれ」と開き直ったのが米国
で、「困った、どうしょう」と、日本やEC諸国に、なりふり構わず相
談を持ちかけたのが中国である。

■■いまハイデラバードで開催中のADB年次総会でもこの問題が急遽
取上げられ、李中国財務次官は「さあ、困った」の一語のみ。アダムス
米国務次官補は「とにかく、早急な米ドルの下落だけは避けてくれ」と
言うだけのていたらくである。

■■結果どうするか。日・中・韓国などADB中枢は、欧州のECUを
真似ていままで温めてきたACU(アジア通貨)構想を取りあえず引っ
込め、The 13-nation group said it would sponsor a research
 project, titled ``Toward greater financial stability in 
the Asian region: Exploring steps to create regional 
monetary units.''、つまり「(アジア)地域通貨単位とでもいうべ
きもの」を非公式に発足させよう、というに止まった。 

■■もしいま、ACU(アジア通貨)という正式通貨の発行を決めたり
すると、米ドルの急暴落が起こるので、お互い暗黙了解の上、表向きナ
ニもしないという形式をとっておき、10−20年ほどかけて徐々に米
ドルを地方通貨化させよう、ということらしい。

■■そしてその間に中国やインドの内需拡大を図り、いま米国向けに輸
出している日本や中国製品などの市場をそちらへ振替えようという目論
見なのだが、それが果してうまく成功できるかどうか、誰も目算がある
わけではない。 (日本市場が過剰生産で悩んでいるのは、いまや米国
も百も承知で、だからかってのように「日本の内需拡大」などとは言わ
ない。)いまやまさに、経済としては「天下の一大事」なのだ。

■■そうした米国・中国・日本・韓国周辺の経済舞台が急変したいま、
尖閣列島や、竹島(独島)の領有権がどうのこうのという問題は、早く
言えば消し飛んでしまうべき些事に過ぎない。 石油利権や、竹島漁業
専管区域の争い、靖国問題などで喧嘩ができるのも、米国あっての経済
繁栄の余裕で、日・中・韓が争って居れたのに過ぎなかったのだ。

■■それを、「怪しからん、すわ戦争か」と、いまだに大問題として日
・中・韓が年来のいがみ合いを継続しているのは、こうした米国経済が
どうにもならぬ崖っ淵にあるのを、各国政府が自国民に隠しているから
である。心ある各国政府要人たちのハラの底では、「それどころではな
い」と慌てているはずである。

■■中・韓両国政府は、いわゆる統治能力(ガバナビリティ)が未成熟
だから、国家的暴動を恐れ、日本という仮装敵国を無理にでも作り上げ
ておく必要がある。その点、日本はせいぜいが自民党が民主党に替わる
かどうか程度の変化にすぎないから、軽挙盲動せず、目先の大問題、つ
まり米国の非顧客化、および米ドルの信認下落に対処する方法を、対中
・韓係争よりも先に最重要項目として考究すべきである。 そのために
は東アジアの連邦化すら視野にに入れなければならぬ時代が来ている。

■■そうなると、「靖国」や「竹島・尖閣」問題なども、いままでのよ
うな東アジア内の内輪争いとして楽しんでいるわけにはいかない。それ
ら懸案の東アジア問題は、「大事の前の小事」に過ぎないと、発想を変
える必要が大有りなのだ。

■■たとえば「EU」が出来たいま、ドイツとフランスがかって血を流
して何度も領有権争いしたライン西岸「アルザス」のストラスブールも
、いまや統一ヨーロッパの象徴的存在になってしまった。 

■■文天祥「正気歌」で忠臣の鑑(かがみ)とされた「厳将軍」も「顔
常山」も、蜀国に頭を刎ねられ、洛陽の安氏には舌を抜かれている。と
ころがそれは所詮、いまの中国にすれば、国の内に於ける争いの犠牲者
に過ぎなかった。 わが「靖国戦犯」も百年後には似たようなストーリ
ーの犠牲者と化するであろう。

■■「靖国」、「竹島」、「尖閣列島」などで東アジアが無用の争いを
続けるなど、もういい加減にしておかなければならない。 グローバリ
ズムは米国による新自由主義経済の問題だけでなく、好むと好まざるに
関らず、東アジアの国境なども、早晩、消えることを覚悟し、その心の
用意が先に必要なのだ。米国や米ドルに依存した経済により、我々が生
き、そして内輪喧嘩している幸せな時代が無くなるのは想像以上に近い
。 日・中・韓どころか、「ASEAN+3」の合同新通貨論すら論じ
られる時代が来ているのである。

■■ところがつい先日も、経済同友会が小泉政府に対して「靖国参拝」
を中止せよとの提言をしたという。だが、考えるまでもない、この9月
で小泉総理は退任する。彼が「靖国」に参拝しようとしようまいと、中
国や韓国の首領たちにとっては本当のところどうでもいいことであり、
中・韓の政権維持のためのゼスチュアに我々が関与する必要など毛頭無
い。

■■日本の政治家や実業界も、中・韓のデモンストレーションにいちい
ち反応する必要など皆無なのだ。 ただ無視、だんまりを決め込むのが
いちばんいい。 返答する暇などあれば、それより米国のユニラテラリ
ズム崩壊のあとをどうするか、東アジアの国々で相談を始める方が緊急
の大事である。「靖国、竹島、尖閣」などは、既述の通り日・中・韓両
国にとってはいまや対米貿易後をどうするかの「大事の前の小事」に過
ぎない。

■■それを大の大人であるべき経済同友会の実業家連中が、とやかくい
まごろ、小泉内閣に進言するなどおこがましくもあれば、時代錯誤でも
あり、見識の無さも甚だしい。

■■だいたい、経団連とか同友会などが創設された頃は戦後の混沌期で
、政府の役人・政治家連中も暗中模索の時代であった。 だから「我こ
そは」と自負する実業家連中がいわゆる「政策提言団体」たるべく、あ
のような経済団体を創った。そしてケインズ華やかなりしときのことだ
から、それなりに政府の政策作り、つまり予算配分にも影響を与えたの
であった。 

■■しかしいまは違う。小さな政府志向時代であり、予算配分権の地方
委譲時代である。 財界と称する過去の遺物が「政策提言団体」として
存在する必要など皆無なのだ。 

■■例を挙げよう。「大阪工業会」なる団体がいわゆる「政策提言団体
」として存在したことがあった。 しかし何時の間にか静かに消え去り
、関西財界から退場してしまった。 が、大阪や関西の産業界に何の不
便も影響も与えず、惜しがりもされなかった。 いわば憐れな役者たち
の舞台からの退場であった。

■■ボクは、「日本経済連」とか「経済同友会」といった自称「経済団
体」が無くなることを期待する。 存在して、経費不足を補うために「
サラ金」や「お笑い興行師」を入会させるよりも、消えてくれるの方が
、世の庶民達に要らざる期待を与えず、ずっと社会のためになると思っ
ている。 まして、不必要、不見識な政府に対する提言など、もっての
他である。

■■もし自分たちの肩書き欲しさにそういった「経済団体」を温存した
ければ、少なくとも、年利20%の暴利をとる高利貸しなどを参加させ
てはいけない。高利を借りる連中というのは、親兄弟、親類縁者にも見
離された無頼の徒である。 端的に言えば彼らは虞犯青年なのだ。 い
くら維持経費に困ろうと、犯罪を助長するような企業を「経営者団体」
に加入させるなど、不見識も甚だしい。 「武士は食わねど高楊枝」と
いう諺(ことわざ)もあるではないか。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2006年5月12日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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戦勝61周年記念―スラヴァ広場は群衆で満員状態

 さる9日、ユジノサハリンスク市スラヴァ広場では戦勝61周年を記
念する群衆で満員状態であった。記念式は戦死兵たちへの黙祷と献花か
ら始まり、芸術公演へと続いた。当日、サハリン州各地でこのような戦
勝記念行事が行われた。

戦争老兵慰問コンサート

 さる8日、クルトルヌイ・センター(代表白・スギョン)のエストラ
ダオーケストラがチェーホフセンターで戦争老兵慰問コンサートを開い
た。室内は勲章とメダルでいっぱいの晴れ着姿の老人たちで満員であっ
た。クラシック音楽の演奏と流行歌が歌われたが、戦争時代の流行歌「
白鶴」が歌われる時は老人たちの目に涙が流れた。州老兵委員会のヴェ
・ア・ピラトフ会長は素晴らしい公演を企画してくれた白代表に感謝状
と花束を渡した。

メガパレス・ホテルオープン

 さる6日(土)午後4時、ユジノサハリンスク市内公園の近くに位置す
るホテル・メガパレスのオープン式が行われた。サハリン事業家安・チ
ョンス社長と韓国のコリコ社の申・チョンチョル社長が共同投資・運営
する同ホテルは2年間の工事期間を経て船舶型の10建て、極東では最
新設備を備えた最高級ホテル。式典にはサハリン州知事とユジノサハリ
ンスク市長のほか、州の政経関係者、マスコミ関係者など州の有力者が
みなの姿が見えた。安・チョンス社長は州と市政府、工事に参加した企
業や銀行などの感謝の言葉を述べた後、市の発展のために最善を尽くす
との決心を伝えた。又、ホテル建設を積極的に支持してきた州知事はサ
ハリン州の国際観光地域化への寄与と韓国資本の継続的投資を期待する
とのメッセージを伝えた。

プーチン大統領教書発表

 今週の10日、クレムリン大理石講堂でプーチン大統領の第7回目の
教書発表が行われた。教書の内容は家庭と母性問題をはじめ、国内経済
と国家の保安対外政策問題についての連邦政府の取り組みについてのも
のであった。教書発表の場には国会議員、連邦会議と政府関係者、最高
裁判所の裁判長、検事長、中央選挙委員会長、自治体長などが招待され
た。(インタネット資料より)

お爺さん、お婆さん、元気で長生きしてください。

 先週土曜日、ユジノサハリンスク市韓人会婦人部が主催する敬老の披
露宴に、65歳―90歳までの老人30人余が参加して、民族料理と音
楽、舞踊を楽しみながら一日を過ごした。母の日を記念しての同行事に
、韓人社会団体代表者らも多くに参加するほか、サハリン芸術団の歌手
たちも駆けつけて慰安公演を行った。参加した老人たちからは「老人亭
(憩いの場)に来るのが一番の楽しみ。ここで何があると聞かれると家
にじっとして居られない。市韓人会が老人達のためにいいことを沢山し
ている」との喜びの声が聞こえた。

韓国琴演奏団来島

 今週8日から韓国の琴演奏団がサハリンに滞在しながら公演と講習を
行う。海外同胞を対象に民族伝統文化を紹介する事業を行っている韓国
のBプラス社(代表鄭・ソンフン)が韓国文化芸術委員会とシュクミョ
ン女子大の後援でサハリン同胞たちに韓国の伝統楽器琴を紹介する演奏
会を行う。演奏はシュクミョン大学で琴を習っている学生や先生たち。
彼らは公演の合い間にエトノス芸術学校生徒たちに講習も行う。演奏公
演の日程は以下のようである。13日(土)午後2時ユジノサハリンス
ク市チェーホフセンター、14日(日)午後4時コルサコフ市オケアン
文化会館。入場無料。

エトノス卒業記念公演

 先週の6日(土)ユジノサハリンスク市ロジナ会館でエトノス芸術学
校韓民族クラスの卒業記念公演が行われた。観覧席には生徒たちの家族
や親戚、友人、民族芸術に関心のある人などでいっぱいとなった。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 また南京へ出かけます。又次週は休刊です。
このところ、サハリンで、韓国で、そして最近は中国・南京で「証言
」を聞く機会が続いている。
 

◇米紙ニューヨーク・タイムズとCBSテレビが10日発表した共同
世論調査結果によると、ブッシュ大統領の支持率は31%で就任以来
最低。不支持率は63%。生活必需品であるガソリン価格高騰への対
応や、米軍のイラク駐留長期化などが支持率低下を招いたという。
 「一喜一憂しない」と大統領は言ったかいわなかったのかは知らな
いが、支持率低下は内心応えている?

◇稲嶺恵一沖縄県知事と額賀福志郎防衛庁長官が11日、基本確認書
で合意した。苦渋の決断、それとも引かれたレールを走っただけ?

◇米・メリーランド州で小説「アンクル・トムの小屋」のモデルとな
ったジョサイア・ヘンソン(1789―1883)が実際に奴隷時代
を過ごした小屋が、史跡として保存される。

 こんなアメリカ、あんなアメリカ。
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発行     2006年5月16日   No.255
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
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