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タイトル:609studio No.249◆現代時評:[道州制国家か、連邦制国家か]  2006/03/14


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   【609 Studio 】メール・マガジン・2006/3/14  No.249
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◆現代時評:[道州制国家か、連邦制国家か]      ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版: 2006年3月10日号

◆編集長から

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◆現代時評:[道州制国家か、連邦制国家か]      ken
                
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
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◆◆読売オンライン 2006.3.07  政府は6日、北海道に限定して
国からの権限移譲や規制緩和などを行う「道州制特区推進法案」の骨
子案を、各省庁の副大臣による「道州制特区に関するプロジェクトチ
ーム」に提示した。 道路や河川管理について国の権限の一部を移譲
することを盛り込んだ。2007年4月施行を目指すとしている。
 骨子案は、道州制特区について「地方分権を推進し、行政運営の効
率化を図り、北海道の自立的発展に資する」ことを目的としている。
 
◆◆北海道新聞 2006.2.28 自民党北海道代議士会は二十八日午前
、党本部で会合を開き、政府・与党が今国会提出を検討する北海道道
州制特区推進法案について、公共事業の補助率かさ上げなど北海道特
例を含む財源措置などが明記されない限り法案を受け入れないことを
申し合わせた。 

◆◆沖縄タイムス 006.3.01 稲嶺知事は「道州制は、地方自治の充
実、強化を目指すもので、本県の自治にもかかわる大きな問題である
と認識している。道州制下における財政調整制度の在り方や小規模町
村の扱いなど、制度設計面で残された課題も多い」と指摘。 その上
で「県としては、今後の政府方針や国民的論議を注視しつつ、沖縄の
歴史的、地理的、文化的特性や社会的事情、県の意向を踏まえて、道
州制と本県の在り方について検討を深めていきたい」とした。

■■戦後すぐ、昭和27年のことである。 戦争中に「海軍」という小
説を朝日に連載し、「戦犯作家」のレッテルを貼られた岩田豊雄氏が、
「獅子文六」のペンネームで毎日新聞に連載したユーモア小説の題名
が「てんやわんや」であった。 
  「【てんやわんや】という言葉があった。辞書には載っているが今
ではほぼ消え去っている」という書出しの新聞小説だった、と記憶し
ている。 それ以来、「てんやわんや」という日本語が再度、陽の目
を見ることになって今日に至っている。

■■主人公の青年が社命で四国へ転勤させられ、思いがけなく「四国
独立運動」に巻き込まれる、というのがこの小説のストーリーであっ
たと記憶している。 その話にはヒントらしきものが実在した。 戦
後第一回の総選挙で、香川県から「四国独立運動」を標榜して立候補
した人が居たのだ。もしボクの記憶に誤まりがなければ「織田一道」
という青年ではなかったかしら。

■■彼、織田候補者に共鳴する若い支持者もたくさん居た。彼らは本
気で「四国独立」を夢見た。が、当然のこと、候補者は落選し、四国
独立は成らなかった。あのとき、もし「四国独立」が成っていたなら
ば、いまごろどうなっていただろうか、とボクは思う。 

■■おそらく何ということも無い一つの健全で、そして日本とすごく
似たミニ国家が日本のすぐ隣りに存在したのでは無いだろうか。たぶ
ん、日本とは兄弟国家になっていて、小さいからといって、さほど茨
の道も踏まず、不幸にもならず、まさしく健全な普通の国家、例えば
デンマークとかベルギーのような国が日本の目と鼻の先に存在してい
る、というような状態だったろうと想像する。

■■別の話を挙げよう。明治に国立第一銀行から始まって、国立第ナ
ンとかという数字で表した名の銀行が各地に創立されたことがあった
。「国立」という文字は付いていたものの、事実としての「国立」で
は無く、英語のナショナルの直訳に過ぎず、すべて普通の民間銀行で
あった。

■■香川県高松には「国立第114銀行」というのが誕生した。これ
はいまなお東証一部上場銀行として健在で、株価は新聞紙上で見られ
る。 同じ頃、その瀬戸内海を隔てた北側の播磨に、姫路に本店をお
く「国立第38銀行」が創立された。が、この銀行はとっくに消えて
いる。播州地方の人達は当時この銀行を「散髪銀行」と呼んだ。38
との語呂合せである。

■■ところが、東京の中央政府は、折りある毎に1県1銀行を勧め、
標榜し、半ば強制した。周知のように讃岐に比べると播磨は明らかに
大国であった。が、小国讃岐の114銀行は残り、大国播磨の38銀
行は消滅した。一般的に、中央政府の勧奨に従がった銀行はどこか他
行と合併し、最後まで抵抗した銀行は残った。もっとも114銀行は
、1県1行であったから他行との合併を強制されず、残ることを得た
のである。

■■姫路の第38銀行は兵庫県にあった。1県1行の方針で同県内神
戸にある岡崎銀行に合併せしめられ神戸銀行となった。戦後それが大
蔵省や日銀の指導で、東京の相互銀行と合併して「太陽神戸銀行」に
なり、近年には住友銀行と再合併して、ついに「第38銀行」はもと
より「神戸銀行」「太陽神戸銀行」の名も消え、いまは「三井住友銀
行」に吸い込まれてしまった。いまでは「第38銀行」の名を記憶す
る人は殆ど居ない。

■■合併して巨大銀行になれば生き残れるが、地方の弱小銀行のまま
では淘汰されてしまう、というのが財務省とか日銀の意向らしい。 
戦前の1県1行主義もそうであるし、近年の銀行巨大化も同じような
発想のようだ。 ならば、なぜ小国讃岐の114銀行がまだ生き延び
ていて、播磨という大国の38銀行が消え去ったのか、これは疑問で
ある。 

■■発端は讃岐1国で香川県が成立し、片や播磨は、攝津、播磨、淡
路、但馬、丹波と旧数カ国の合成で兵庫県に組入れられ、県庁が県の
東南端の神戸に置かれたということに発する。
 もし播磨一国で姫路県が出来ていて、そこに第38銀行本店があれ
ば、今の東証1部上場「114銀行」よりも大きな「38銀行」が東
証1部上場会社として、いまに残っていた可能性はじゅうぶん高い。

(もっとも第38銀行が消えたあとに、播州、姫路、播磨という似た
ような名前の三つもの巨大信用金庫が姫路を地盤として出来ているか
ら、いったい何の為の大銀行主義だったか、ということになる。)

■■と、ここまで考えると、いま再び脚光を浴びている「道州制案」
などが、いかにいい加減な発想か、ということが明らかだ。どうやら
今回の市町村合併も、次ぎの道州制案などもみな、地方役人数の削減
により行政人件費を節約しよう、とのアイデアから出発しているらし
い。 餌は「合併による起債を認める」ということらしく、地方債は
益々増えるだろう。

■■ところが道州制反対論者は、「もし道州制が実施されたら、今ま
での府県と中央政府の間に「道州」という役所がもう一つ増えて、二
階建てが三階建てになり、よけい複雑になり人件費も増加する惧れが
多分にある」という。 その可能性なきにしもあらず、である。

■■もっとも全国すべての道州制案はとうぶん無理だろうから、今回
は北海道のみを府県より昇格させ、「道州制による【道】」にしてし
まおう、という案ができ、いまやその案は国会で通りそうな雲行きに
なってきた。

■■じゃ、いままでの北海道と新しい道州制による北海道とはどう違
うかといえば、およそ「1級河川や2級国道の管理権が東京政府から
北海道に移る」だけらしい。その程度の話ならば、いまさら仰々しく
「北海道道州制特区推進法」などというほどのこともない。前々から
地方自治法でやっていてもいい筋合いのもので、遅きに失したと言っ
てもいい。

■■一事が万事、押して知るべし、その程度の「道州制」ならば、こ
れを機会に、戦後第一回総選挙のときの「四国独立運動」にも似た「
日本分国法」、もしくはドイツやスイスに似た「連邦国家制」にして
しまった方がいい、とボクなどは思う。そうでなければ、またしても
徴税権、認許可権などを中央政府に独占され、地方からの「東京参り
」が復活するだろう。そして東京圏の肥大化と、地方の過疎化や中央
依存症はいつまで経っても直らない。

■■北海道は、維新函館戦争のとき、榎本武揚、大鳥圭介などは「北
海道に新国家を建設する」という構想を持っていたと言われている。
 じじつ、英仏領事などは、榎本の幕軍を「新政府とは別の独立政権
」としていっとき認めていたとの歴史的事実もある。  

■■北海道旭川の南郊に、「史蹟上川(旭川)離宮予定地」というの
が存在する。第2代北海道長官長山武四郎が「東京」に対して、北海
道に「北京(ほっきょう)」を置き、陛下の来臨を願い、北海道を日
本の北の都にすべく画策した。宮内省も1889年(明治22年)に
この構想を打ち出した。明治天皇のお墨付きを頂戴した「上川離宮計
画」は、異例の速さで閣議決定まで進んでいた。 

■■残念ながら日清・日露の戦争に阻まれてこの計画は挫折してして
しまった。が、このときの計画はドイツ連邦か、アメリカ合衆国にも
似た「北海道分国」制であった。そのとき「東京」に対して「北京」
が北海道に誕生し、陛下の臨御が実現していたら、今頃は日本に「北
海道特別州」が存在して居たかも知れない。これがいま国会で話合わ
れている「北海道道州制特区」の濫觴と考えてもいいだろう。 

■■概していえば国家や企業の巨大化には問題が多い。中国もインド
も大き過ぎて問題が多い。米国も大き過ぎる。最近の銀行も合理化に
名を借りて巨大化し過ぎた。スーパーやメーカー、商社も巨大化して
は目が行き届かない。ダイエーやトーメンの破綻などはその適例であ
る。

■■欧州の小国などはみな結構幸せにやっているし、国家も大きいよ
り小さい方が国家経営効率としていいようだ。日本も1億2千万人と
いう人口は抱え過ぎで、数千万人程度の数カ国に分割すればもっと効
率的な国家経営ができるのではなかろうか。 戦争が好きで、軍国主
義ならばより多くの兵隊を抱えた大国が勝率は高いかも知れないが、
いまはそうした時代ではない。

■■分国や独立とか、あるいは連邦国家制などというのは、実行する
気さえあれば、そう難しいことではない。例えば近年ではチェコスロ
バキアが、チェックとスロバキアの2国に分かれた。1993年、と
きのハベル大統領は、「いやなら分かれればいい。もしまた合邦した
ければいつでも一緒になればいい」と言って、争いもなく至極平和裏
に国を二つに分けた。世に「ビロード離婚」と呼ばれる所以である。

■■もう少し古いところでは1965年にシンガポールがマレーシア
連邦から分離独立している。少々のいがみ合いはあったものの、お互
い理解の上での平和裏の別れだった。今日、両国とも先進国の仲間入
りに近いほどの状態で、お互いの間もうまくいっている。 喧嘩して
国が分かれるという戦国社会は過去の遺物で、いまや平和な話し合い
によって国も分れようかという時代になっている。

■■周知のようにドイツやスイスなどは連邦国家で、各州によって法
も異なるが、外交、軍事、通貨、郵便などだけ共通させている。とこ
ろがいま提示されているわが国の「道州制案」などは、公務員削減の
ための、市町村や府県合併のようなアイデアに過ぎぬから、いろいろ
な行政利権の憶測が渦巻き、先に進まない。「道州制」などと不明瞭
なことを言わずに、いっそ「連邦国制」とでも名付ければはっきりし
ていいのではないだろうか。

■■ボクは、少なくとも北海道や四国、九州などは地域区分が明確な
のだから、道州制などでなく、日本連邦のなかの各1国にすればいい
と考える。ところがいま、東京にある政府が、租税収入の使途を握り
たいために、市町村合併と同じ調子で「府県合併」を勧め、中央集権
を維持しようとする。だから、「道州制案」が停滞して先に進まない
のが現状である。 

■■いまの状態で、仮に全国の道州制が出来あがったとしても、中央
ばかりにカネと人材が集中する形態は解消しない。 地方には有象無
象の利権議員、無能地方官僚が集まり、ただ一途に中央政府からの補
助・交付金をせがみ、そして内部でいがみ合うむ状態は長年変わって
いない。 そうなると銀主方を気取る中央としては、渡したカネの監
督のため、二流の若年官僚を派遣することになる。 大阪府などがい
い例で、居ても居なくてもいいような中央からの官僚を派遣した方が
、地元の能無し知事を選挙するよりマシということになる。 ナンの
ことはない、昔の官選知事システムの再来である。

■■要するに、「道州制」などといって、無理やり府県を合併させて
役人のアタマ数を減らすばかりが能ではない。 現に沖縄県などは南
九州諸県との合併をいやがっているし、客観的にみても沖縄と九州の
合併には無理がある。 もっと自治権を拡大させ、道州制のもとでの
首長に1国の大統領と同じような権威と権限を持たせれば、より立派
な首長が選出される可能性がある。 古き伝統ある地方都市に、とき
たま日本国首相に据えてもじゅうぶん勤まりそうな立派な市長が出現
するのを見れば、それは理解出来るハズだ。

■■ところでいま問題になっているのは、地方府県の道州制化に際し
て、いかに多くの財源を地方に委譲するかの争いである。 徴税権だ
け中央が取上げておいて、そのカネを地方に僅かしか分配しない、と
いうのが地方自治体にとっては不満の的であり、中央に阿る根本原因
でもあることは周知の事実である。

■■しかし中央政府はそう簡単に自分たちの利権であるカネを地方へ
呉れるほどの雅量は少ない。地方は、道州制移行の分配金を強請るよ
りも、適当なところで手を打ち、なるべく早く地場産業を盛んにし、
自前の税収を高める努力をする方が、長い目で見て効率はいい。中央
を強請り、中央に依存する政策は、もうぼつぼつやめるべきだ。

■■いい例が北海道だ。先般、旭川市を視る機会があったが、一見し
て何処か西洋に似ている思った。考えてみるとデンマークの北部地域
、オルフス・ラナス地方一帯の感じで、瞬間的に「これなら、観光立
国だけでじゅうぶんやっていける」と思った。 旭川空港拡張当事者
の話によれば「雪の北海道」は、台湾、香港、シンガポール、それに
韓国からの雪見客、ウインタースポーツ客が増加しているとのことだ
。冬の北海道は、東南アジアの国々にとっては、日本人から見たハワ
イのような立場にあるらしい。なるほどあの広大な北海道の大地は、
ごく近い将来に、わが国から北欧への観光客すら横取りできる可能性
を秘めている。 

■■製造産業誘致などを考えるより先に、北海道自前の「観光共和国
」もしくは「酪農立国」を進める方が先決で、榎本武揚や永山武四郎
が百年前に夢みた通りの桃源郷たるべき可能性をじゅうぶん秘めてい
る。 見たところ、インフラなどはほぼ整備を終わり、もし「商業観
光立国」でなく、それが「自然観光立国」を目指すならば、もうこれ
以上に開発する必要は無い。これ以上に、いわゆる「観光開発」を志
向すれば、たちどころに公害問題と俗化社会に困ることになろう。

■■参考までだが、デンマークのオルフス市とラナス市は、ともに航
空機の乗り入れをいやがり、空港をお互いに譲りあってやまなかった。
 結局、両都市の中間地帯である広漠たる牧草地の真中にいまの空港
は建設され、かくして美しい観光都市環境を保持し得たのであった。
 いま、人口25万人のオルフス市には木工家具工場群と大学だけが
あり、人口6万人のラナス市は高級観光都市としてのみ生きている。
 彼らは近代産業の誘致など望まず、いまのままの静かな観光住宅都
市を永遠に続けようと努力している。 デンマークという美しい国に
は、そうした隠れた努力が秘められている。

■■もし将来、連邦国家制になれば、すべての一次徴税権を連邦内各
共和国が保有し、そのうちのなにがしかを中央政府へ管理費として納
入するという方式に、徐々に変更してゆけば、中央政府との関係は攻
守ところを変えて、すべてうまくいくだろう。 
 もっとも、取りあえず産業が無く、税収も望み難い地方共和国はど
うするか、という問題が無いわけではない。しかしその場合は、知恵
を絞ってその地方地方が独自に産業を振興すればいいのである。豊か
な家の息子が永久に金持ちであり得るわけでも無いし、家貧なるがゆ
えに発奮して大金持ちになる息子も世の中にはおおぜい居る。

■■「売り家と唐様(からよう)で書く」のが現在の大阪であるなら
ば、「家が貧しいので刻苦精励」し、成功したのが今日の中京産業地
帯であることを思えば、中央政府の援助ばかりせがむ地方自治体の体
質は、長期的な観点に立てば「百害あって一利無し」と考えるべきで
はなかろうか。

■■1972年ニクソン訪中のころ、国家予算の70%以上を米国の
援助に依存していた台湾は、一挙に米国からの援助を打ち切られ、も
はや致し方ないと覚悟を決めて自立に努力した。すると、数年ならず
して自国財政をカバーする以上の富裕国家になってしまった。奇跡の
ような話だが、財政などというのは、その気に成りさえすればそれな
りにやっていける、ということを台湾政府は実証したのであった。
 見習うべきは台湾で、彼らはいまや、一人当たり外貨保有量はダン
トツに世界第1位である。 

■■わが日本は、不毛の荒野のアフリカではない。水もインフラも、
そして教育も、いまでは世界の標準を遥かに超え、よく整備された超
先進国である。産業の少ない地方府県といえども、それなりに豊かな
生活を享受している。 ただ、いけないのは、中央政府への依存体質
だけである。 それさえ地方が心を入替えて発奮すれば問題は何も無
い。 

◆◆早急に「道州制」、あわよくば「連邦制」を実現しようではない
か。 目くされガネの、地方交付金増額などに拘っている場合ではな
い。 われわれは、壱千兆円負債の中央政府に、カネを強請るばかり
のひ弱な男であってはならない。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] : 2006年3月10日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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3・8日婦人―デー祝賀

 美しい女性の皆様!婦人デーおめでとうございます。疲れを知らず
家族のために、また子供たちの教育のために励んで来られた献身的な
貴方たちに心から尊敬の意を表します。これからもご健康でお幸せで
ありますようにお祈りいたします。

(サハリン州韓人離散家族会、サハリン州正義復権財団、サハリン州
韓人女性会、サハリン韓人芸術団、サハリン青春青少年芸術団)

2005年度サハリン州社会・経済総括

  2月28日、イ・マラホフ州知事主催で行われた州政府会議「20
05年度州社会経済総括会議と2010年までの社会経済発展企画会
議」で行われた報告によると、サハリン州の前年度比総生産高は2倍
近く増加し、606億ルーブルに達したことがわかった。石炭や原油
、ガスの採取量が増加するほか、電力、自動車用燃料、鉱物、乳製品
、肉加工物など、ほぼ全分野で生産量が増加した。特に魚と海産物の
採取量は前年度比24.7%、食品生産量は28%、魚缶詰生産量も
63.7%など大幅に増え、又、貨物運送量、商品流通量なども15
−20%が増えた。
 昨年度、住民一人当たりの平均収入は1万2137ルーブルで前年
度比12.3%の増加、極貧家庭数も20.4%減少した。経済的安
定は出生率の増加を齎したほか、転出者が3222人から2956人
に減少するなど人口安定に繋がった。また、失業者数も1.7%減少
するほど住民たちの生活が安定しつつある。今年もこのような発展は
続くと専門家は予測しており、特に燃料、林業、食品、農業部門での
生産が大幅に増加すると見込まれている。州政府はこのような発展を
基盤にした2010年までの社会経済発展計画案を設計、同会議で承
認した。

北方少数民族発展政策難航

 「2011年までのサハリン北方少数民族経済及び社会発展連邦特
別プログラム」が資金難で難航していることがわかった。現在、サハ
リン州政府が実施している同プログラムは「北方少数民族に対する国
家政策」として北方少数民族の社会経済発展と共に民族伝統文化の保
存を主な目的としている。昨年、州政府は関連した2件の特別法案と
11件の提案を州議会に提出するなど積極的な取り組みをみせている
。実際、昨年はサハリン州予算で少数民族の子供たちのために、食費
と学費の援助や野営と休憩施設の建設などの事業を行った。又、少数
民族発展のためのセミナーや文化行事などを企画し開催するなどの支
援を行ってきた。しかし、連邦から予算が下りないために当面課題の
一つである住宅建設計画はまったく進んでいない。そのため、州政府
は今までの州政府支援状況についての報告と共に連邦予算からの定期
的資金支援を促す要請書を連邦政府宛に提出した。

全国で住宅公共サービス料金引上反対デモ

 4日、ロシアの20地域で住宅公共サービス料金引上反対のデモが
行われた。デモを組織した共産党によると、デモ参加者数は3万6千
人。その多くが年金生活者であった。デモ参加者たちはサービスの質
の改善も訴え、また玄関ドアの故障や雨漏れ、断水問題など様々な問
題を取り上げていた。ユジノサハリンスク市のレーニン広場でも約5
00人が集まって抗議デモを行ったが、彼らは住宅公共サービス料金
の引下を要求した。

サハリン民族文化祝典

 4日、ユジノサハリンスク市にある州科学図書館で「サハリン民族
文化祝典」の一つとして「民族の伝統維持に貢献している女性たちに
感謝を」というタイトルの3・8婦人デー記念行事が行われた。州政
府人事と議員の他、各民族を代表する女性たち約100人が参加した
中で民族の伝統や音楽、舞踊などを紹介する公演が行われた。「サハ
リン芸術団」や「青春芸術団」が韓国の民謡を歌うほか、「エトノス
」児童芸術学校の生徒たちが韓国の伝統舞踊を披露し多くの拍手を受
けた。

青少年韓国語・日本語能力コンテスト

 今年の2月10日、ユジノサハリンスク市で「初・中・高校生たち
の韓国語・日本語能力コンテスト」が開かれた。ユジノサハリンスク
市主催で、第9東洋語文学校で行われた同コンテストは、会話能力テ
ストが加えられるなどして例年より難しかったと言われている。コン
テスト参加者たちはユジノサハリンスク市所在学校の在学生たち40
人。3月2日、結果発表と受賞式が行われたが、日本語部門1等は第
1ギムナシヤのナラ・ナスチャ、韓国語部門では第9東洋語分学校の
孫・アンナと朴・ナタシャの共同優勝。日本語部門参加者たちは学習
暦1−2年、韓国語は5−7年ほど。授賞式に参加したイ・ゼリャビ
ナ教育管理局長は学生たちの水準が想像したより高く、又韓国語を習
っている学生たちは民族の文化や伝統についての知識が深いことに驚
いたと感想を述べた。

同胞団体主催の婦人デー記念行事各地で

 サハリン州韓人会をはじめ、複数の団体が3月8日国際婦人デーを
迎えて、それぞれが地域の同胞の女性たちを招待してのお祝い行事を
行った。地域学校の講堂や韓人会付設の老人会館で100人以上の女
性たちが招待を受け、お祝いの言葉と祝賀公演を楽しんだ。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 トリノ冬季オリンピックが終わり、パラリンピック開幕。みんなで
楽しめるオリンピックにしたいが、国威をかける意識が強すぎ。これ
では選手たちの受けるプレッシャーは並みのモノではあるまい。
 マスコミの過熱気味の報道に猛省を促したい。

◇ロシアのプーチン大統領が21・22日の2日間の日程で訪中。胡
錦濤国家主席や温家宝首相ら中国の指導者と会談、資源エネルギー分
野など両国間の協力関係の強化を。わが国の対策は?

◇在日米軍再編にかかる日本側経費、総額3兆円を超すとの政府試算
が。これがわが国の対策・・・。

◇自民党の福田康夫元官房長官「消費税率引き上げ避けられず」と講
演で。自民党各氏があちこちでアナウンス。ならば、国民も負けずに
「特別会計の透明化と8割削減」とあちこちで話そう。

◇「官をたたいて一番困るのは国民だ。恩典がないと人が集まらない」
とは、自民党の久間章生総務会長。困るのはあんたでしょ。それに、
(一等地に住むという)恩典で公務員は働いているのか。
 この久間さんの感覚、戦後闇市的。
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発行     2006年3月14日   No.249
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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