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───────────────────────────────── 【609 Studio 】メール・マガジン・2006/2/14 No.245 ───────────────────────────────── 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報 として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェス ト版、その他、寄稿記事など話題満載! 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個人崇拝に基づく独裁政治で知られる中央 アジア・トルクメニスタンのニヤゾフ大統領がこのほど、高齢者らの 年金を全額停止、あるいは大幅減額する過酷な法令を布告した。(中 略) 露ニュースサイト「NEWSru.com」によると、新法令で 、これまで月額10〜90ドルの年金を支給されていた年金生活者計 33万6000人のうち、10万人以上が全額支給停止、20万人以 上が大幅減額の憂き目にあう。身体障害を持つ人々への年金も廃止さ れる。 ◆◆サンケイWEB 2006.2.08 小泉純一郎首相は8日午前の衆院予算 委員会で、外国人労働者の受け入れについて「一定の規模(以上)に 外国人労働者が増えると必ず衝突が起きる」と懸念を表明した上で、 「安易にどんどん受け入れることで労働力不足を補うのは慎重に考え る必要がある」との認識を示した。 ■■内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)という長い名の大 臣が登場した。ご存知、猪口邦子氏である。なぜこのような新しい大 臣が出現したか。 答えは簡単、日本の少子化が止らないので、なん とか人口を増やす方法を考えたい、というのが目的だろう。 ■■ところがボクはずばり言いいたい。 国の人口が減って、どこが いけないのか。 狭い国土に超過密な人口が1億2000万人も居る、 減ったらいい。 だいたい明治以前は3000万人、終戦前は9千万人。 それが、たかが戦後60年で1億2000万人というのは、人口の急 増も酷過ぎる。 この辺りで減ればと、ボクはつねずね思っている。 人口が減れば空気も澄んでくるだろうし、交通渋滞も少しは減るだ ろう。 もちろん化石燃料の消費も減るし、ゴミの発生も減る。 ■■察するにわが政府は、「人口減が国力の減退に直結している」と いった「大国主義」のノスタルジーに幻惑されているのではないか。 いわば、大艦巨砲主義か帝国主義をいまなお信じているかの如くに 見える。 ■■政府官僚筋は、「労働者、つまり納税者が減って、老人の年金受 給者が増えるから、国庫がパンクする」と言い、あまりアタマの良く ない政治家連中が「それもそうか」と従がっている。 ■■ところが、税金というのは頭割りで徴集するので無く、いちおう 収入に比例して取るのだから、収入が増えれば税収も増える。 近年 の、わが国産業の生産性の急速な伸びは、国民の収入が増えているこ とを意味するから、その国民所得の増収分を税源にすれば、労働人口 の減少があってもいいワケである。 ■■考えれば解ることだが、近年の物価下降(あえてデフレとは呼ば ない)は、現在の人口に比して物資の生産量が多過ぎるからの現象で ある。 すべてこれ、生産性の向上によるのだから、労働人口の減少 は、そうした時代に適合してちょうどいい。 手であくせく働いてモ ノを作り、なお需要不足だった時代は去った。 効率良く生産し、英 国のように65才の定年を待たずに、60才前が来れば職業からの引退を 考えればいいのだ。 あとは楽しく趣味や娯楽に生きればよい。 ■■日本の生産性が高いと、よく言われるが、それは自動車や鉄鋼な ど一部の製造業が強いからそう思われているだけで、日本全体で見れ ば、そうでもないそうだ。アメリカの生産性を100%とすると、サ ービス業は91%、金融は79%、建設は76%、農林水産業に至っ ては24%、全産業の平均では80%を切るそうだ。 逆に言えば、 アメリカ並みに追いつくだけで、日本の生産性はまだまだ向上する余 地がある。 ■■が、それが、60−65才の定年過ぎてもまだ働かぬと不安だと いう世相は、そうした日本の社会システム自体に問題があるのに、「 少子化」という現象に罪を被せているのは方向違いだ。ボクなど、世 間体にいえばよく働いた方だが、それでも働くよりは、遊ぶ方がよっ ぽど楽しい。余ほどの変わり者でない限り「働くのが好き」という人 は居ないだろう。 だが、将来が心配だから、定年後も働きたい人が 多いのである。 ■■「少子化」などと、さも天変地変の如く恐れるが、だからといっ てたくさん子供を造っても、昔と違って「親を扶養しない子供」や「 税金・保険料を納めたくないために、ニートやフリーターになりたが る子供」ばかり増やしてもしようがない。 巷間聞くところでは、ラ イブドア株を買って損をした青少年の株バクチ打ちが20万人も居た というではないか。そんな連中は、とうぜん親の扶養などしないだろ うし、その親達を公的保険で扶養するなどは、本末転倒である。 ■■といって、国家予算80兆円のうち社会保障費が20億円、財政 赤字が30兆円というのも困ったものだ。 先ず社会保障費20兆円 を削る必要がある。ボクらのように高齢になると、暇さえあれば病院 通いをする。医療費の殆どを自分の懐から支出しなくてもいいからの 病院通いである。 医者・病院も、なるべく高い医療費で儲けたいか ら、喜んで老人患者を迎え、なるべく高い医療を実施する。それさえ 厳しく取締れば、私見ではいまの医療費のほぼ半分くらいは、そう難 しくなく節約出来るだろう。 ■■トルクメニスタンほどの大鉈を振わなくても、老人の社会保障費 を少々減らすのも、ときとしてやむを得ない。 団塊の世代が一挙に 年金生活者に早変わりするから困るというが、彼らこそ、幸せで良き 時代に生まれ育ち、たっぷり退職金を受取る連中だから、とうぶんは 少ない年金で辛抱してもらうよう説得すればよい。 ■■早い話が、この冬、何度も医者からインフルエンザの予防注射を 勧められたが、ボクは断った。たまにそれで風邪を引いたとしても、 半月もあれば治るのだから、いらざる予防注射など真っ平である。 無料の定期検診というのも、ボクは受けたことがない。高級外車に 乗っている女性の大半は医者のワイフたちだが、それを思うと医者通 いなどは遠慮しておきたい。 ■■敢えて言う、日本は老人を優遇し過ぎている。金満家の老人が、 無料に近い医療を受けている例も多い。 かっては日本医師会という 圧力団体に政治家が屈していたが、いまはその弊害もだいぶ和らいだ ハズだ。 政府が過度に老人の面倒を見る前に、先ず子供たちが親を 扶養する社会習慣を復活させるべきである。 「家族制度の崩壊」な どと、政府はさもとうぜんのことのように言っているが、子が親を扶 養するのは義務である。 古い言葉でいえば、「反哺(はんぽ)の孝 を尽くす」は人倫の道である。それを30兆円の毎年赤字政府に委ね、 自分たちは遊び呆けてばかりいる悪習慣を止めさせるキャンペーンを、 政府が先ず始めるこそ国家たるものの道徳教育ではないか。 ■■「少子化担当大臣」について。 だいたい、人口を増やすとか減 らすとかいうのを政府が工作しても、歴史的に見て成功した例はあま り聞かない。 せいぜいが米国や豪州のように移民の受入れだけだろ う。がそれも、移民による犯罪著増などのデメリットを生むから考え 物である。 そうした難問を、世間の風に当たったこともないような キャリア組の猪口大臣などに担当させても成功は覚束ない。 ■■子供を生む、生まないなどは、個々の事情や考えなどが大きく影 響し、親兄弟といえども嘴を挟む余地が少なく、すこぶる難しい問題 なのだ。 端的に言えば「神が判断する領分」で、それは地球上の人 間が、男女ほぼ同数で生まれるという神秘を考えても解りそうなもの だ。 貧乏人の子沢山、先進国の少子化などは、天の配剤ではなかろ うか、とボクは思う。 ■■日本の人口は2004年をピークに減少し始めた。2004年の 1億27百万人から2050年には92百万人と30%近く減少する という予測だそうである。50年かかってなお9000万人の人口を 保持出来るというのだから上出来で、人口の減少速度は適切と言うべ きだろう。それを政府が無理やり食止め得たとしても、50年後に1 億人を切るか切らないかで、大勢に影響はない。あえて要らざる人口 増加を図るべきでない。日本の本州と同じくらいの面積で、人口たっ た400万人のニュージランドが、小泉首相が羨むほどの文明生活を 享受している例もある。 ■■年金醵金者が減って困るというが、この程度の速度で人口が減る のなら、物価の下がり具合に応じて年金も微減させ、金持ち老人への 年金を少々ケチり、異様な高額医療に歯止めさえかければ、ナンとか 遣り繰りできるだろう。輸出さえ好調ならば外貨も稼げ、あまり心配 する必要はない。 ■■第二次大戦中、「生めよ増やせよ」の運動があった。 「国家の価値は人口の多い少ないにある」と、ときの政府はPRし た。 それは「1銭5厘の葉書で兵は使い捨て出来るが、軍馬はもっ と高くつく」と言われた人命軽視時代の象徴でもあった。 だが今は 違う。「人一人の命は地球よりも重い」と、ダッカにおけるJALハ イジャック事件のときの福田総理は言った。 少々オーバーな表現だが、現在はそうした時代である。少なく生ん で立派に育てるのがよい。 ■■戦前の社会学教科書に、有名な「マルサスの人口論」というのが あった。「農業生産が進み、食糧供給が増えると同じペースで人口は 増える」という論で、当時、なるほどそうかと思った。食えれば食え るだけ人口が増えるというのである。いまの、中国やインドの人口増 はまさにその通りで、彼らにとっては目出度いことかも知れない。 ■■がしかし、いまその分だけ先進諸国の人口が減り、差引き地球と してはうまく作動している。フランスや日本で人口が減るのも、むべ なるかなである。あちこちで戦争をやり、世界制覇を志向する米国な どは、戦争中の日本のように「生めよ増やせよ」運動をするか、世界 中から移民を集めて人口増を図る必要があるかも知れないが…。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] : 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 訳者が2月末まで海外出張中です。後日改めてお届けします。 なお韓国語は以下のページで読むとが出来ます。 http://www.609studio.com/kil_sang.html ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── この連休(11・12日)に仕事で渥美半島へ。菜の花畑に春を見 つけました。北海道やサハリンでは真冬、ニューヨークでも大雪。 でも春はもうそこに来ています。 ◇米・副大統領が猟銃誤射。日本では「過失傷害」だがアメリカでは ?副大統領だったら許される? ◇ホリエモン、起訴へ。さあ、紙くずとなるか、ライブドア株。甘い 誘いに乗らぬこと。 ◇トリノ冬季オリンピック開幕。冬季五輪では初めての南北朝鮮合同 チームが統一旗を掲げての入場。 ◇「すべての人が平和に暮らすことを想像してみて」。一瞬の静寂、 ひときわ大きな拍手と歓声がスタジアムを包んだ。オノ・ヨーコさん のトリノ五輪開会式でのメッセージ。 ◇スポーツの祭典は政治にまみれ、商業主義にまみれているとの批判 の中、オノ・ヨーコさんは静かにしかし力強く語った。 「平和を広げよう」、「ひとりひとりが変える力を持っている」と。 ──────────────────────────────── 発行 2006年2月14日 No.245 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 e-mail office@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www.609studio.com 掲示板へ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ─────────────────────────────── |