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───────────────────────────────── 【609 Studio 】メール・マガジン・2006/2/7 No.244 ───────────────────────────────── 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報 として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェス ト版、その他、寄稿記事など話題満載! 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防衛施設庁発注工事の官製談合事件で、ゼ ネコン各社が米海兵隊岩国基地の滑走路移設工事などで受注調整して いた疑いのあることが2日、関係者の話で分かった。入札の際の落札 率が95%を超えるものがほとんどで、各社は極めて高額で受注して いる。 ■■毎度のことながら、談合入札は無くならない。と同時に、それを 取り仕切っているのが必ずしも受益企業とは限らず、発注側、つまり 公共団体側の高官と組んでいる場合が殆どであり、それを「官製談合 」と称している。 ■■それが頻繁だと、「談合入札」にはやむを得ぬ別の原因があると 考えるのがとうぜんで、それは、政府および大企業幹部の間で「致し 方無い暗黙の了解」にしている、と考えていいだろう。さて、その根 本原因を一庶民であるボクが考えてみた。 ■■といって、考えるほど難しい原因ではない。「言わず語らずとも 解っている話」であり、ただ、それをどう処置するかについて、政府 も、そして民間側も考えあぐみ、「荏苒(じんぜん)日を過ごしてい る」に過ぎない。 「不作為の怠慢」と言ってもいいだろう。 ■■先ず第一の原因。昔からよくある話で、土建屋業界には、とんで もない安値応札が多く、正当な競争入札だけに頼っていたら恒常的に 仕事にあり付けない、という不幸な事実がある。 私見では、この傾 向は全世界的に見て、日本および韓国が著しい。 つまりそれほど、 この両国は商売における出血競争が激しいのだ。 もっとも、その過 当競争ゆえにこそ両国は、近年急激に世界の産業社会で頭角を顕わし たとも謂えるから、いわば「諸刃のやいば」かも知れない。 ■■「商道徳」という言葉がある。 もしそれが、ほんとうに自由意 思の入札制度の元で、「採算が合う値で応札」するだけという意味な らば、土建業界などは、「商道徳」で生きていくことは不可能な社会 、それが日本である。 因縁、情実、闇談合で、わが国の建設業界な どはようやく秩序が保たれていて、考えようによればそれが英米法に おける衡平(equity)とか「秩序」の業界的実践である。日本語で言えば 「商道徳」であり、わが国古来からの「順風美風」ですらあると言え なくもない。 「談合厳禁」などは、むしろ近年導入された異端の俗 ではないか。 ■■それを米国風の「フェアで自由な入札制度」を本気で信じて実行 しようとするから、年中、談合による刑事犯なるものを惹起するので ある。 じつのところ、そうした「完全に自由な入札制度」などは、 当の米国ですら存在するかどうか疑問である。 ■■ボクのかっての米国における取引先で、その業界の大ボス兼土地 の名士が捕まって豚箱に入れられたと聞き、理由を聞くと、「商品の 米軍納入に際して業界ぐるみの談合で、毎年の納入落札者を決めてい たのがバレたから」とのことだった。 で、もうその例年の談合をや めるのかというと、「いや、もう少し目立たぬようにやって欲しい、 と政府から示唆された」とのことで、だからいまなおその習慣は続い ているハズである。 例の「ロッキード事件」などは、米政府の恣意 で、そうした談合や賄賂の一端を日本政府に開陳して見せただけのこ とである。 ■■「もう少し穏やかな談合」、これが米政府および業界の叡智とい うものではないか、とボクは思う。 その方法を考え出し得ず、発覚 するたびに適当に犠牲者を出し、当座を誤魔化して居るばかり、とい うのが日本の実情であろう。 ■■額賀防衛長官の防衛施設庁を廃して防衛庁に統合する案などはそ の典型的で姑息なやり方である。「防衛施設庁は、天下りや官製談合 でけしからぬ。わが防衛庁が直接タッチすれば公正に入札を実行でき る」とでも言うのだろうか。ならば反問する、「防衛庁の武器購入契 約などに、絶対に談合は無いのか」と。世間で噂されているように、 防衛庁の大口兵器、つまり軍艦、航空機などの調達価格は、メーカー 製造原価の少なくとも数倍、10倍を越すこすことも珍しくないらし い。これについては、ボクもいくらか卑近なニュースソースを持って いるが、アンタッチャブルの世界につき遠慮しておく。 ■■談合厳禁の思想は、ちょうどかっての米国の禁酒法みたいなもの 、とボクは思っている。 米国の「禁酒法」は大正9年に制定され、 わずか14年で廃止されてしまった。あまりに理想主義的な禁酒法が 、ギャングによる不法な密輸による利益を生み出し、闇の世界を太ら せる結果を生むばかりだった。史上最悪の悪法と呼ばれた禁酒法に対 し、当時の民衆は法を破り酒場で憩い集った。いかに理想的とはいえ 、無理な法規制は、実質的に機能し得ないことの象徴として、いまな お語り継がれている。 シカゴの北クラーク街は旧日本人街、じつは そのころのアールカポネの巣窟である。つい30年ほど前までは、ま だ怪しげな酒場が集まっていて、禁酒法時代の遺址的な地区であった。 ■■その禁酒法と同じく理想に走り、非現実的な法が、今日の日本に おける「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」であるこ とは、間違いない。米国の禁酒法撤廃に倣って、「効果の無い禁酒法 」、つまりわが国の効果の無い現行「入札談合等関与行為の排除及び 防止に燗する法律」は、即刻廃止すべきものとボクは思う。 でなけ れば、刑事被告ばかり続出させ、「百年河清を待つ」だけだ。 ■■その代わりに、どいうった便法を考えるかは、そっと米国に聞く か、お隣の専門家、中国や台湾の柔軟な政治家たちに聞けばいい。 彼らはもっと実務的で、刑事裁判などは最後の、よくよくの場合で ない限り好まない。堂々と話合えば、無理からぬと解かる談合事情が 、なまじ内内の闇の間で相談するから刑事事件になることが多いのだ 。 もっとオープンに、堂々と談合し合うことが必要なのだ。 ■■いま問題になっている米政府からの「年次改革要望書」などがそ の模範例になる。日本のマスコミなどが日米両政府間の密約書扱いし ていたのが、先方政府によれば「内緒話ではなく、ちゃんと米駐日大 使館のHPで発表していて、その方がより明快ではないか」と言われ 、こちらはグーの音も出なかった「年次改革要望書」なるものを思い 起こせばいい。 ■■わが国の「談合」や「カルテル」なども厳禁にしないで、堂々と 公共の面前で、その必要性や経緯を述べあえばいいのだ。「民亊調停 法」、「農事調停法」、「商事調停法」があるのだから、「談合調停 法」もあっていいのではないかと、ボクなどは思う。 ■■もう一つの問題点、それは官僚の「天下り」と「談合関与」の間 柄である。業界は「天下り」を受け入れるに当たって、いつも「見識視 野の広い官僚関係者を自分の企業に雇えば、事業の発展に大いに寄与 する」と言訳する。 じつは官僚などに天下りされたら、邪魔な窓際 族をよけいに造るだけと解っているが、それでも「天下り」を受け入 れる方が得な場合が多いのである。 それは、元の関係役所とのパイ プ役、もしくは談合担当役として必要なのだ。 ■■警察官の古手を引き取れば、ヤクザが来たときに役立つとして、 ホテルやガードマン会社が重宝がるのはその適例である。 このごろ 保険金不払いで問題になっている保険会社の多くも、警察官のOBを 抱えていて、ナに用か知らぬが遊ばせている。 これなど、古手警察 官の再就職場所として、まことに適材適所である。 ■■ところが、キャリア組高級官僚の定年後の再就職先は、じつのと ころ多くない。理屈は言うが頭(ず)が高く、実務能力は皆無に近い 。 取りあえず、もと居た官庁から契約を取ってきてもらう以外には 大した価値が無い。それでいて給料は驚くほど高い。 小口注文を取 るだけでは採算が合わぬし、いきおい大口受注係りとして働いてもら う。 ならば、談合入札係に最適、ということになるだろう。 ■■それを心得た役所と、関係業者がグルになり、最近は官僚を定年 前に、「引き抜き」の形式で雇用するのが流行っている。そのばあい には、「官僚定年の早さ」が免罪符になる。 「役人にも定年後の、 第二の就職先が要る」とは、彼らの言訳である。 近年は、定年後、 「2年づつ2回」の再就職先斡旋が役所の、最低限の「暗黙の義務」 になっている。 つまり高級官僚は、「退職金」を少なくとも三度貰 うのが慣例化している。 ■■思うに、役人も民間会社と同じく、55才くらいで昇給を停止すれ ばよい。60才以後は給料を半額くらいにし、65〜70才くらいま で嘱託再雇用すれば、なにがしかの仕事はしてくれるだろう。官僚の 定年延長なくして「天下り禁止」は酷というものだ。天下りして「談 合入札」係に再就職させるより、「定年延長」した方が、結句、政府 ・官庁としては費用節約になる。 この程度の知恵を政府は早急に実 行に移す必要がある。 そのための法案が提出されても反対する国民 は居ないだろう。 それをやらないというのは、つまりは「定年延長 」より、「天下り」の方が儲けがいいからであると、ボクは解釈して いる。 ■■現状では、違法を遁れる安全な「談合」や「カルテル」係として は「天下り官僚」がもっとも適役になっている。 換言すれば「天下 り官僚」の働き場所は「談合係り」しかない。 両者は、車の両輪の ごとく、または予・補角のような相互補完関係にある。そうした相互 依存状態に目を瞑り、談合事件発生の都度、関係者を罰するばかりが 能ではない。 川下を裁くよりも、縁って来たる川上、つまり淵源を 尋ねて、先に是正しておくべきではないか。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] : 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 訳者が2月末まで海外出張中です。後日改めてお届けします。 なお韓国語は以下のページで読むとが出来ます。 http://www.609studio.com/kil_sang.html ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── また寒波!雪が日本海側を襲う。お見舞い申し上げます。 ライブドアもBSEもヒューザーも。昨今は防衛施設庁に東横ホテル。 いやはやにぎやかなことで・・・。 毎日新聞が先日「揺れる日米中」と題した記事を掲載。靖国問題が 中韓だけじゃなく「同盟国」アメリカでも静かに問題化。日本の独善 は「アジアにおけるアメリカの国益」をも揺るがす。これくらいわか らない小泉自民党でもあるまいが。 今週11日は「建国記念日」。靖国神社の遊就館の意味を再確認し たい。小泉首相はその遊就館を設置している靖国神社に参拝。 国とは何か。民族とは?じっくりと考え直したいこの時期。 ◇昨6日から札幌では雪祭り。いまや国際的になった。 ◇陸別「銀河の森」正式発足 鉄路廃止後の地域振興会社 列車運行 を目指すと北海道新聞。ふるさと銀河鉄道(第三セクター)の廃止後 に動体保存を目指す動き。「がんばれ北海道」。 ◇沖縄新報が選んだ「2005年県内10大ニュース」のトップに、 「普天間移転先をキャンプシュワブに」が選ばれた。同年の全国10 大ニュースは「小泉自民党総選挙で圧勝」がトップ。 ◇「正当な選挙でハマス圧勝」に日米は不快感。わが国民も我慢して いるのです。増税、右傾化なんでもありの圧勝自民党に。 ◇ベネズエラも合法的に大統領を選んだ。反米だが。ラムズフェルド 米国防長官は「チャベス(大統領)は合法的に選ばれたが、ヒトラー だって合法的に選挙で選ばれた」と。 ◇「北朝鮮が核12個保有」と米議員。あんたとこはいくつ? ──────────────────────────────── 発行 2006年2月7日 No.244 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 e-mail office@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www.609studio.com 掲示板へ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ─────────────────────────────── |