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タイトル:609studio No.242◆現代時評: [2大政党制は夢だったのか?]  2006/01/24


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【609 Studio 】メール・マガジン・2006/1/24  No.242
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◆現代時評: [2大政党制は夢だったのか?]          ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2006年1月20日号

◆編集長から

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◆[2大政党制は夢だったのか?]                    ken         
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 office@609studio.com  へ!
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◆◆時事通信 2006.1.15 中国人民銀行は15日、昨年12月末時点
の外貨準備高が8189億ドルに達したと発表した。前年同期比34.
3%増で、昨年1年間で2089億ドルの大幅増となった。香港の同月
末の外貨準備高は1243億ドルで、中国と香港を合わせた額は943
2億ドルとなり、日本の同期の8468億9700万ドルを超えて実質
世界1になった。このままの勢いで中国の外貨準備高が増えれば、今年
中に単独で世界1になる可能性が高い。

◆◆読売新聞 2006.1.18 「中国脅威論」「女系天皇容認」前原発言に
党内困惑 民主党の前原代表が、党内の議論に先行する形で、中国の軍
事力をめぐる「中国脅威論」や「女系天皇容認」などの発言を繰り返し
ていることに、党内から18日、公然と批判の声が上がった。(中略) 
質問に立った簗瀬進参院議員は「代表の一言は非常に重い。議論を大切
にしたいというなら、重要な問題を先走って発言するのは控えて欲しい
」と注文を付けた。

■■最近の民主党を見ていると、自民党と殆ど変わらぬ政策が前原代表
の口から出ている。 実際問題として、革新的な政策などは、小泉首相
自らが先頭に立って進めているので、野党としての民主党が政策的な新
機軸を提案する余裕が減ってしまっている。野党にとって「お気の毒な
時勢」であると同情はするが、それでも野党は「野党」だから、ナニか
変わった政策を標榜しない限り、野党としての存在価値が無い。

■■にも関らず、先般の前原代表の発言のように、「中国脅威論」や「
女性天皇容認論」など、まだいくらか疑問点のある問題まで、与党と同
意見で明快に発言されると、「ハテ、昔から言われている英国の保守党
と労働党、米国の共和党と民主党などをモデルにした2大政党論」など
は誤解であったかと、思いたくなる。

■■もちろん、英国や米国の「理想的な2大政党相競う政治」というの
が、じつはそれほどでも無く、いわば知ったり顔の政治評論家たちが吹
聴するに過ぎないことくらいはボクでも知っている。 が、政党政治な
るものは、「先ず二つの政治潮流があり、その上での相異なる2大政党」
が存在することが良いとされている。それが初めから「同じ顔と同じ政
策を持った2大政党」などであれば、合併して一つの政党になればいい
わけである。 

■■ボクなどはそうした唯一政党時代(?)を知っている。戦争中の「
大政翼賛会」がそれで、そのときとしてはじゅうぶん有効であったし、
「2大政党論」などが果して理想的な政治手法であるかどうかなど、未
だに疑問を抱いている。

■■が、しかし、現在は「2大政党論」の時代であることは確かだ。な
らば、無理にでも異なった政論を吐き、相異なる政治潮流を主張するこ
とが、相異なる政党人としての務め、もしくは方針ではなかろうか。 
「是は是、否は否」という言葉は耳に快く、野党としてそうした主義を
採るのも一つの方法だが、国民の誰もが「必ずそうあるべきだ」と明確
に意思表示している場合にのみ限るべきで、たとい5%の国民でもが、
反対を主張しているような場合は、「是々否々」主義は思い止まるのが良
い。 八百長や同意見が、なるべく少ないのを前提としての「2大政党
制」である。

■■例を挙げよう。「世界平和を希求する」、これは全国民の願いだ。
 が、そのため「国連の指示によっては出兵してもいい」というのは、
たとい世界平和のためとはいえ、国民の一部はそれに疑問を抱き、大い
に反対もしくは躊躇している。ならば仮にそれが政治家として最善の方
法と思ったとしても、反対するのが「野党」たるものの義務に近い。 
2大政党制度のもとの「野党」とは、つまりはそういったものであるべ
きと、ボクは思っている。

■■今回の前原代表の「中国脅威論」などがその典型である。確かに中
国は軍拡を進め、それ自体は「危険」に近い。 与党が「中国脅威論」
を唱えるのは正しい、とボクは思う。 が、

  しかし同じ論を野党の党首が公言するのは、如何なものか。もっと他
に、野党として採るべき態度は考えられ無かったのだろうか。

■■それに、世界の民生物資生産国として、ごく短期間に1兆ドルもの
外貨を溜め込んだ中国が、武器の近代化のために多めのカネを支出した
としても、軍需生産と金融事業だけで世界の警察国家を請負いたがる米
国と比較したばあい、どちらが危険か解ったものではない。 「中国脅
威論は、杞憂である」と、言って見るくらいの度胸と見識を野党は持っ
て欲しい。

■■かって社会党の土井党首が北朝鮮政府を信じて、大きな誤りを犯し
、後日それがはっきりしたとき、与党政府のみならず、国民の殆ど総て
が社会党を弾劾し、野党による赦すべからざる汚点と断じた。 しかし
あの場合、後日判明したように北朝鮮政府があれほどひどいことをした
とは、誰も断定できる資料を持ち合わせていなかった。 間違いなくわ
が国民を拉致したとは、よほどの千里眼でない限り、言えなかった。確
定し、ことが明々白白になってからの「自称千里眼」は多かったが…。 

■■あの場合、気の毒なのは社会党の土井党首であり、それは偶発的災
難であったと言えなくも無い。 政党党首といえども人間である限り、
見通しの失敗もあれば、信用のし過ぎもある。 つい最近も、自民党は
ホリエモン氏を事実上の与党候補として、対亀井戦に刺客として差し向
けた。 与党幹事長が応援弁士にもなった。 そのホリエモン氏に、警
察の手が入った途端、与党は面目を潰してしまった。 北朝鮮を信じた
社会党と、ホリエモン氏を刺客として送った自民党とどこが違うのだ。
 見込み違いは、誰にでもある。 結果責任は追及すべきだが、激し過
ぎるのは人を貶めるだけである。

■■そういった考え方からすれば、いまの民主党前原代表は、内心たと
い疑念を抱いても、なお「中国脅威論」も、「女性天皇容認論」も、曖
昧な表現にとどめておくべきだった。 与党が言っていることに、先ず
は反対の意思表示をして見せるのが「野党」としての存在価値であり、
相異なる二つの政治潮流を代表するものの務めである、とボクは思う。

■■もちろん内心で、大いに「中国の脅威」を考え、先行きに危惧感を
持つのも政治家たるものの責務の一つである。 が、それを軽率に、与
党の早とちりに「是は是、否は否」の名のもとに同調するのなら、野党
として不見識も甚だしい。

■■「女性天皇容認論」などはもっと酷い。 千年の伝統を持つ、昔風
に言えば「国体の変革」にも近い事柄を、簡単に決めてしまうような軽
率な与党の行動に、なぜ野党までが早々に同調するのか。 先ずは皇室
、旧皇室関係者に考えて頂くという形式を採るのがエチケットであり、
その後で政府の意思決定をするという余裕と知性がいまの自民党には無
い。 そうした無作法と野卑な与党に、急いで同調する野党代表などは
、次ぎの選挙を待たず、すぐさま平議員、平党員に降格すべきであると
、ボクは思う。

■■いまのような日本であれば、片やヒトラー並の与党内閣、片や与党
と同じ政策を採ろうとする野党といった危険極まりない2大政党国家に
成り下がっている。 それならむしろ、ドイツやオランダのような小人
数政党多数国家に方向転換する方が、より適切である。

■■そしてそのためには、先ず手始めとして、旧右派社会党系と、新進
エース政治家たちの卵としての民主陣営との、二つに分かれることが、
いまの民主党として採るべき道であろう。 もちろん自民党も、数個の
政党に分解する必要がある。 そのためには、いま小泉ワンマンが採用
している大臣任命に際して派閥からの人事要求を拒否する態度は、是非
とも踏襲して欲しい。

■■要するに、2大政党制はいっときの夢であったと国民が自覚するこ
とから出発すべきである。 英米の旧式2大政党システムに、要らざる
羨望を持つべき時代ではなくなっていることを知らねばならない。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2006年1月20日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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公共料金の現金支援問題についての議論

  16日、運輸や公共サービスにおける特別待遇の形態を現金支援へ変
える問題をめぐって議論するサハリン州政府関係者や関連業者たちの会
議が行われた。サハリン州最大のバス会社が乗車割引制度の導入に反対
していることもあって、交通費や公共料金の支援を現金支給の形に変え
ようとしてもロシア連邦では法律的根拠がないのが現状。サハリン州で
は州知事命令で関連規則を作る方針である。

出版の日を記念して

 1月13日は出版の日。サハリン州政府はこの日を記念して新聞社や
放送局の代表者を招待して簡単な記念パーティーを開いた。ここでエス
・シェレデキン第1副知事が「言論の役割は情報を伝えるだけではなく
世論を作っていくものでもある。だから第4の政権と言われる」と述べ
た後、民族間の融和と州の社会経済の発展における言論の役割を強調し
た。

昨年、外国人労働者1万人以上

 サハリン州住民就業管理局によると、石油ガス開発事業のために最近
外国人労働者が増加しているが、昨年サハリン州外国人労働者数(合法
的)は1万433人(CIS地域出身者1、653人を含めて)。その
中の7、717人は建築労働者、1千人は鉱物採掘労働者であるが、国
別にはトルコが4,200人として最も多く、北朝鮮1,200人、ウ
クライナ674人、中国571人、フィリピン559人、米国534人
の順である。

第4次韓人団体代表者会議がカザフスタンで

 19日〜24日までカザフスタンのアルマトィで開かれる韓国赤十字
社主催の第4次韓人団体代表者会議に招待され、朴・ヘリョンサハリン
州韓人会長、全・サンジュ老人会長、李・スジン離散家族会長が出国し
た。今回も永住帰国や賠償、一時母国訪問事業について話し合われると
のこと。

新任の空港主任代理記者会見

 ユジノサハリン空港の主任代理として赴任したエス・ゴエフさんは1
7日州内言論機関との記者会見で、滑走路の清掃機と除雪機の購入と滑
走路拡張を検討中であると伝えた。

韓国語科学性たちの円卓討論

 昨年12月28日、サハリン国立大学で韓国語を専攻している15人
の学生(3年生)が集まって、「青少年と社会」というテーマで話し合
う場が設けられた。この討論会は韓国語で議論する能力を高めるための
授業でもあったが、参加者たちは流暢な韓国語で青少年の自己責任と社
会や親たちの無関心、才能ある青少年のための無償教育実施の必要性な
どについて話しあった。討論会を見守っていた金・スンイ教授や金・ユ
ンス韓国教育院長は学生たちの語学能力を褒めながら今後もこのような
討論会を続けたいと結果に満足している様子であった。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 二週連続でお休みをいただきました。その間に、札幌で開催されてい
た私の写真展も無事終了しました。1000名を超える入場者を迎えた
とのことです。ありがとうございました。

◇今年に入って小泉政権は打撃を受けつづけている。夏の総選挙で推薦
し、大物国会議員を動員して応援したライブドアに捜査の手が。また国
会の施政方針演説で「米国産牛肉の輸入に関して万全を期した」という
意味の演説をした直後に成田空港で脊柱(せきちゅう)(背骨)の混入
が発覚。官房長官とヒューザーとの関係が取りざた。

◇泣きっ面に蜂の体の自民党。来週からの国会論戦が見もの。

◇与党・公明党も内閣府が社会の格差拡大論を否定する見解を公表した
ことにクレーム。実体のない内閣府の報告を批判。
 沈む船から逃げるネズミ?
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発行     2006年1月24日   No.242
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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