メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.239◆現代時評: [ホロコーストの真偽]  2005/12/20


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【609 Studio 】メール・マガジン・2005/12/20  No.239
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【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報
として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェス
ト版、その他、寄稿記事など話題満載! 
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◆現代時評: [ホロコーストの真偽]             ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:訳者出張のため休載します。
◆編集長から:[この1週間]

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◆[ホロコーストの真偽]                  ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 office@609studio.com  へ!
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◆◆アサヒコム 2005.12.15 イランのアフマディネジャド大統領は
14日、南東部シスタンバルチスタン州の州都ザヘダンで演説し、「
ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)は作り話だ」と述べた。国営テレビ
が実況中継した。同大統領の一連の反イスラエル発言はエスカレート
しており、イスラエルや欧州各国から激しい怒りの声が起こっている。

◆◆読売オンライン 2005.12.15 ブッシュ米大統領は14日、ワシ
ントン市内でイラク戦争のこれまでの経緯を総括する演説を行い、「
(イラクの大量破壊兵器疑惑に関する)情報の多くが結果として誤っ
ていたのは事実」と述べ、「大統領として戦争に踏み切った責任を負
う」と表明した。 中央情報局(CIA)などによる情報収集の失敗
と、それに基づいて開戦したことへの自らの責任について、これまで
より明確な形で言及したものだ。

◆◆小泉メールマガジン第215号 2005.12.15 経済発展のレベル、
文化、民族、宗教、言語、政治体制など、東アジアほど多様性のある
地域はありません。この地域の国々が、将来の共同体形成を念頭に、
豊かで安定した東アジアをともに作り上げていくことで16カ国の首
脳が合意できたことは、すばらしいことだと思います。

■■1994年にはドイツで「ホロコースト否定」が刑法130条第
3項で禁じられており、同じ年にイスラエルで、外国に対して「ホロ
コースト否定論者」の身柄引渡しを要求できる「ホロコースト否定禁
止法」が制定された。ボクらのように地球の裏に住む者にとって、悪
名高き「ホロコースト」が実際に存在したのかどうかなど知り様がな
い。

■■100万人までもがガス室に送られたとか、その被害者たる人間
の油質で石鹸が製造されたとか聞くと、「まさかいくらナンでもそん
な酷い事が」と、思うのが人情だろうが、その反面、「人間、切羽詰
ったら何をしだすか判らない」のもまた人という動物の悲しきサガか
も知れない。

■■ボクなど、詮索癖も執拗さも無いので、どちらが正しいかなど深
く考えもしないが、それによって不倶戴天の仇にされたドイツなどで
は、とうぜん「そんな無茶なことなどあり得るハズがない」と考える
純心派もたくさん居るだろう。

■■それでよけいに紛糾することの危険性から、すばやく「ホロコー
スト否定禁止法」とやらを制定したドイツ政府をボクは評価する。 
あくまで真実を糾明するのがいいことかどうか、哲学者でもないボク
にとって考えの外である。 例の南京大虐殺事件なども同じで、30
万人も殺せるはずが無いと、誰かが言えば、「いや殺した」と中国政
府は主張し、そのための博物館(展示室?)まであるという。 さす
れば日本も、ドイツに学び「南京虐殺否定禁止法」を制定して、わが
政治家連中の口を封じておくに限る。

■■知人の中国人某氏が「シナ事変(日中戦争)の盧溝橋事件は、日
本軍からでは無く、じつは共産軍からの発砲であった」と、後日、蒋
介石氏に言いに行ったところ「いまとなれば歴史の訂正などよけい迷
惑する。まことらしきウソも困るが、『ウソらしきまこと』もまた国
民にとって益しないから、黙っていて欲しい」と蒋氏は言ったとい
う。 さすが蒋介石氏だ、「偉い」とボクは思う。

■■「正しい歴史認識」の名のもとに、いま日本政府は中韓両国政府
によって苛められていて、「いや、あれは誤解だ」とでも言おうもの
なら、わが政治家たちは下手をすると失脚するから、口を噤まざるを
得ない。マスコミは面白そうに囃したてて、「いま日中、日韓間は、
戦後最悪の外交関係にある」と連日、書きたてている。

■■ところがわが小泉首相は、彼のメールマガジンの中で「東アジア
の各国は、近年いままでになく緊密な関係になり、交流は拡大してい
ます。この10年で、日本と中国の貿易額は4倍、日本と韓国の貿易
額は2倍、日本とアセアン各国との貿易額は1.5倍に増加。関税撤
廃などの経済連携協定を結ぶ動きも広がっています」と書いている。
 日本国首相が堂々と国民に向ってPRしているのだから、この話は
、まんざらウソではあるまい。ならば、中国や韓国との関係がマスコ
ミの言う「戦後最悪」もマユツバ物である。 公式外交が表面上だけ
険悪で、(民間)外交は最良状態なのだろう。

■■もっとも、わが小泉首相のことだから、まさか根も葉もない楽観
論を言っているのではない、とボクら日本人だけが思っているフシも
無いでは無い。これが米国大統領の話なら、いくらお人よしのボクで
もチョッと首を捻るようなことがある。例の「イラクに核兵器が存在
したか」などがいい例である。 

■■ブッシュ氏は、「無い」と判ってからでも約1年、「有る、有っ
た」と言い続けてきて昨12月14日に、初めて『旧フセイン政権の
大量破壊兵器(WMD)の機密情報が間違っていたことを認めた上で
、なお「旧フセイン政権を打倒したのは正しい決断だった』と語り、
なおかつイラク戦争を改めて正当化した。 

■■もっともこの話は余りにもことが重大過ぎ、ブッシュ氏が言い渋
ったのも「無理は無い」と同情できなくも無い。 戦端開始前に彼自
身が実地に調べたわけでも無いし、部下の役人どもが誤報を流したの
だから、彼、ブッシュ氏としては、いわゆる「結果責任」があるだけ
だ。同調したわが小泉首相も同罪であろう。それが、ブッシュ氏も辞
職せず、わが小泉首相に至っては「国民の支持率50%以上」だそう
だから、小泉首相を選んだボクら日本国民も同罪かも知れない。

■■しかし、そうした過ちは誰にでもあり、そのたびに政治家の首を
すげ替えていては、現今のように複雑な社会情勢では国が持たない。
 「間違い」と判りつつ、そのまま押し通す方が国家経営として有利
であることは意外と多いものだ。ホロコストであろうと、南京事件で
あろうと、はたまた盧溝橋事件の下手人であろうと、言われる通りの
現状で、押し通した方が国家、もしくは世界平和のためには有効であ
ると達観し、しらをきり通したり、濡れ衣を甘んじて受ける必要は、
まま有ると解すべきだ。 

■■「真実を知る」ことのみは必ずしも重要ではない。「真理は万人
によって求められることを自ら欲し…」とは、岩波文庫発刊の辞とし
て有名だが、それは昭和2年の、三木清の筆に依る。 以後80年近
くの間に社会情勢は大きく変化した。 「欧州の情勢は複雑怪奇」と
捨セリフを残して平沼内閣が総辞職したのは1939年のことであっ
た。 たかが同盟国ドイツがソ連と不可侵条約を締結したくらいで内
閣を投げ出していては、いまの世の中、たまった物ではない。 「真
実を知る」に執念を燃やし過ぎたり、簡単なことに腹を立てたりして
は、現在のような複雑な社会で周囲に迷惑を掛けるだけと知るべきだ。

■■米国がイラク大量破壊兵器の存在を見誤ったり、ホロコーストや
南京大虐殺の情報などは、あと千年も経てばすべて歴史の中に埋没し
てしまうのだから、「人間いろいろな間違いはある、いまのところは
そうした見解に従がおう」という穏やかな心掛けこそ、現在生きてい
る我々に求められる「雅量」ではなかろうか。

■■堀田善衛といふ近年物故した作家が居た。いささか左翼張りで、
文章は拙劣だったが不思議と説得力を持っていた。 彼が何かの本に
書いていた名文句がある。詳しくは記憶してないが確かこういう文章
であった、「それがどうしても理解出来ないものであれば、それはそ
れなりの存在理由があるのであろうとし、傍において時間を掛けて眺
めることにしてきた。すると眺めているうちにたいていのものは溶け
て無くなって終っていた」。 ボクは、これを名文句であるとし、こ
こ20年来、座右の銘にしている。 ドイツの「ホロコースト否定禁
止令」も、こうした類にすればいいのではなかろうか。

■■ホロコーストも南京事件も、そして日本人の戦時中の韓国人蔑視
も、「火の無いところに煙は立たない」。 なにがしかの事実が有っ
たに違いない。 ただボクも凡人、敢えて弁明すれば、ものごとは大
きいほど面白く、そしてアピール価値が増す。ややもすれば話や数字
は大きくなる。 おそらく、実態は中間(ちゅうかん)くらいにあっ
たのでは無いかと憶測している。 

■■孔子の書に論語と並んで「中庸」がある。 確か冒頭は、「未ダ
発セザル、コレヲ中トイイ、発シテミナ節ニ当タル。コレヲ和トイウ
。中和致シテ天地位シ万物育ス焉(えん)」だったと思うが詳しくは
忘れた。 現代人は「中庸」とは、足して二で割る妥協論と捉えがち
だが、孔子の言う「中庸」は少し違う。両方の良い所を取る折衷論に
近いが、もうちょっと奥行きがある。「Aか、そうでなければBか?
」と云った「相剋排他」の考えではダメで、両方の力を合わせて新た
な道を築こう』というのが真義らしい。専門儒者たちは「相生和合・
統一止揚」と解説している。 

■■だからボクは、「事実は中間くらいにある」と内心で想像してい
るが、実務外交としては、取りあえずどちらかが譲る形式を採ればい
いと思っている。それが孔子の説くところの「中庸」、つまり「まこ
と」の実践ではなかろうか。

■■激しく自己主張する人の多くは、どうしても厳しい詰問口調にな
り、人によっては「悪口雑言」にまで至る。 すると、本来自分に同
調してくれるべき人までが気分を悪くし、敵方に回る可能性すらある
。 議会に参考人を招請して事情を聞くような場合、元気な代議士の
言葉がつい粗暴になり、不愉快を憶えたTVの視聴者も多いだろう。 
 かっての左翼系の議員にこの手合いが多かった。要らざる敵を作る
のは良くない。

■■ITブログの「コメント」で反論している人々の多くが、聞くに
耐えぬ悪口雑言を並べ立てているのをよく見るが、これも同様で、投
稿者のほぼすべてがハンドルネームと称する仮名だから、なおさら罵
詈讒謗のエスカレートになる。 諄諄と説けば「なるほど」と思える
投稿者の説までが粗暴な人の雑言に見えたりするのは、多くはそうし
た理由による。激し過ぎる自己主張の、ある種の弱みと言うべきか。

■■もっとも、相手の誤解は誤解として、いま正しておかねば後世ま
で歴史の汚点として残る、と主張する人も多く、その可能性を100
%否定するボクでもない。 だけど仮に、中国政府の「南京大虐殺」
展示館を例にとれば、それをむきになっていま否定しても、日中間に
「歴史の共有」が成立しなければ、軋轢が収まる可能性は少ない。か
えって争いが更なる争いを生むばかりだ。

■■だけど、いまもし北九州辺りに「蒙古襲来記念館」といったもの
を開館したとしても、それを見た人が、「だから中国は侵略者だ」と
腹を立てたりすると、「あの人、ちょっとイカレているのではないか
」と思われるのがオチだ。それが「歴史」というもの実態である。

■■参考までに言えば、一山一寧和尚に託して鎌倉幕府に呈された蒙
古の「大蒙古国皇帝、書を日本国王に奉る。朕惟うに、古より小国の
君は境土相接すれば、尚講信修睦に務む云々」の国書は現存していて
、必ずしも単純侵略ではなく、幾ばくかの朝貢を促す理由は述べられ
ている。 

■■第2次大戦後、ほぼ完全侵略行為と断定された日中戦争ことシナ
事変でも、当時のわが政府が流行らせた軍歌は、「天に代わりて不義
を打つ…」いう歌い出しであった。 しかし中華民国政府のどこが「
不義」であったか、たしか小学校で教えられたハズだが、ボクには記
憶の片鱗すら無い。

■■ということは、ホロコーストのナチスにも幾ばくかの「正義」の
論理があり、ヒットラーの「マイン・カンプ(わが闘争)」あたりに
説明されていたかも知れない。 ましていま「ホロコースト」の存否
など、我々他人がとやかく批評する必要は無い。後世の歴史家が考証
し、それで以って真否は兎も角、学位論文のネタにすればよいことで
ある。

◆◆それよりも我々のとるべきは、ことの「当否」を争わず、出来る
限り平和な社会を共有するよう心掛けることである。そしてそのため
には、少々理不尽と思えても、「多くを相手に譲る」心掛けこそ必要
であろう。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :休載させていただきます。
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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 訳者海外出張のため休載させていただきます。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 寒い!寒波が日本列島にやってきました。ご自愛ください。
先週号のセコリョ新聞日本語版は訳者が出張中でお休みさせていただ
きます。次週にまとめてお届けいたします。

◇ブッシュ米大統領が入れ九戦争開始理由を修正。小泉首相は?
そりゃできんわな。何しろ、肝心のところは、教えてもらってない。

◇民主党の前原代表も迷走。中国で要人たちに総すかん。
これじゃ「小型小泉」。あてにできないアジア外交の修復。
現代の雨森芳洲はいないのか。

◇麻生外相。「人道的観点から、過去に起因する諸問題に真摯(しん
し)に対応と。外務省筋は第2次大戦で強制徴用されたサハリンから帰
国できない韓国人同胞に対する帰国支援や韓国人被爆者に対する支援な
どは法的解決とは違い、格別の配慮により行われるという意と。
 それじゃ「おめぐみ」かいな。そりゃないぜよ。

◇一方、中国雲南省・麗江では映画俳優高倉健氏が「1万人から大歓迎
」と。現地で撮影された「単騎、千里を走る」の試写会で。
 小泉首相の言う「民間で出来ることは民間で」を地で行く。そういえ
ば昨今の韓流ブームもそうか。
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発行     2005年12月20日   No.239
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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