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タイトル:609studio No.232◆現代時評:[サダム裁判と、靖国戦犯とナポレオン]  2005/10/25


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【609 Studio 】メール・マガジン・2005/10/25   No.232
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◆現代時評:[サダム裁判と、靖国戦犯とナポレオン]     ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2005年10月21日号
  
◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評:[サダム裁判と、靖国戦犯とナポレオン]     ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 w_m@609studio.com  へ!
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◆◆中日新聞 2005.10.20 】「あなたはだれだ」−。19日にバグ
ダッドで開かれたイラクのフセイン元大統領の初公判。かつての独裁
者は逆に、裁判長に聞き返し、対決姿勢を強調した。早期決着を目指
す移行政府や米国と、態勢立て直しを狙う弁護側。政治の意向が色濃
くにじむ「世紀の裁判」。今後も審理日程をめぐる攻防が続く。(中
略) 再三の要請にも氏名さえ明かさず、手ぶりを交えて法廷の「違
法性」を訴えた。フセイン被告が法廷を「違法」と断じたように、弁
護側の戦略は「占領下の法廷に、裁く権利はない」と立証すること・
・・。

◆◆読売新聞2005.10.21 アナン国連事務総長は19日の記者会見で
、イラク元大統領サダム・フセインに対する初公判がバグダッドの特
別法廷で開かれたことについて、「法廷での手続きや作業は国際基準
に合致しなければならない」と述べ、国際的に認められる水準での公
正さや中立性が求められるとの考えを示した。

■■ボクには「サダム裁判」と「靖国戦犯」が、どうしてもオーバー
ラップして映る。 違法性がよく似ている、じつによく似ている。
 ボクが戦中派のせいかも知れない。

■■ボクの軍隊時代、といっても、それは半年に満たない短期間のこ
とだが、じつはそのときの小隊長殿は韓国出身の若き見習士官だった
。 京城(ソウル)高商出身の、いわゆる学徒出陣組で、ボクにはよく
してくれた。 終戦、復員となり「どうぞお元気に・・」と挨拶して
、別々の車両に載り別れたきりで、今どうしていらっしゃるか、いっ
さい解らない。

■■その戦争のときの、わが偉い人達はいま「戦犯」と呼ばれ、靖国
神社とやらに祀られていて、それを「首相が戦犯を祀った神社へ参詣
するのは怪しからぬ」と、中国、韓国が文句を言っている。 中国の
ことはさておいて、韓国とは、あのときのボクらの古岡小隊長殿の国
のことなのだ。 こうした、些細で身近な自分自身の経験と、サダム
氏と東条さんのことを考えると、どうも不思議な感情に襲われる。

■■どちらも、アメリカに依り捕まえられ、そして裁判に掛けられて
いる。 もちろん、サダム氏の今回の裁判は、アメリカではなく、イ
ラク民衆(?)による裁判ということになっている。が、そのサダム
氏を捕まえたのがアメリカで、日本のいわゆる「極東軍事裁判」に対
して、イラクでは「米国が創ったイラク新政府による『特別法廷』」
である。

■■その罪名は、極東軍事裁判は「戦争犯罪」、サダム氏の方は「戦
争犯罪」と「大量虐殺」ということらしい。が、「戦争犯罪」という
のは曖昧模糊として、いわばとりとめのない抽象的罪名だ。 「大量
虐殺」の罪名では、A級戦犯とは別に、山下大将や、マニラの本間中
将をはじめとし、多数のいわゆるB・C級戦犯がやられているが、そ
れとても、もっとも大量虐殺ということになれば広島・長崎で数十万
市民を1瞬にして殺した米国でなければならない。 イラクで、米軍
の誤爆、誤射でどれだけの市民が亡くなったか。

■■それと訴追のもう一つの理由、サダム氏が国庫の大金を横領した
と言う嫌疑について。 これは大いにあり得る話だ。 が、わが国で
も「目白御殿」をいまなお所有する元首相の娘代議士とか、たかが新
聞記者上がりの政治家の息子が国会議長になり、その公開資産が30
0億円を越すなど、かっての「井戸塀議員」の話など、おくびにも聞
かない。 東西、似たり寄ったりの政治的世界である。 サダム氏、
チャウセスク氏、アラビアの王様など、みな同罪だ。

■■今回のイラク戦争でも、無辜の市民を誤爆やナニやらで、何万人
か死なせた米軍そのものを先ず「大量虐殺」の裁判に掛けなければ、
イラク新政府としては、体面が立たないハズである。 だいいち、米
国によるイラク侵攻の大義名分「イラクの核兵器保有」が誤解と解っ
た今日、サダム氏が「私は今もイラク大統領である」と初法廷で言っ
たのは、じゅうぶん理が通っている。

■■もっとも、世界は戦後の数十年、米国に一方ならぬお世話になっ
ている。 米国に足を向けて寝られぬ国が殆どだ。経済産業において
、科学技術において、文化において。 わが日本であろうと、はたま
たサダム氏の恐怖政治を終焉させてもらったイラクのシーア派政府で
あろうと、米国への恩義にかけて、いま唐突に「米国政府を戦犯裁判
に掛けよ」とは言えない。 せいぜいが、米軍によるホテル誤爆で何
人か死者を出したスペインが、どこやらの裁判所へ勝ち目のない訴訟
を起した程度で終わりにせざるを得ない。 

■■たといま、外貨保有で世界一になって鼻高々の中国でも、その外
貨たるや、米国が輪転機でドルを印刷してくれるお蔭であることを思
えば、本気で米国を非難するほどの元気は無い。 この辺りは、人間
の「世渡りの知恵」、つまり各国の「叡智」の範疇に属する。 近隣
国が半ば内部事情のため「靖国参拝反対」を声高に宣伝しても、だま
って九段坂を登り、バラ銭を賽銭箱に入れた小泉首相の行為も、おな
じく彼の「日本国首相としての叡智」であろう。 そうした「国」も
しくは「為政者」の叡智を、ボクは評価する。

■■なにしろボクら日本人の殆どはいわゆる「靖国の戦犯」だけが、
あの前の戦争の張本人であるとは夢にも思っていない。 いわばボク
ら草莽の、庶民達もみんな一緒になって、日本を世界の戦勝国にする
ことに努めたのであった。 が、いまのボクらがもう一度他国を攻め
るつもりなど、かいもく無い。あんな苦しい戦争はもう懲り凝りで、
もし他国が攻めてきたら、フランスやオランダのように、すぐさま白
旗を掲げるのが上策、と内心では知り過ぎている。

■■フセイン大統領の戦犯裁判。 これは「死刑」の判決がでる可能
性が大きいと、ニュースは報じる。 これは問題だ。
 もし「死刑」になると、イラクはますます混乱する。これをナンと
か阻止する方法がないものか。ボクはそれが心配だ。

■■で、考えたが、方法が無いことも無い。歴史に学べばいい。

■■いまシンガポールで由緒あるホテルにラッフルズ・ホテルがある
。その名の由来となったベンガル副総督ラッフル卿が、臨時書記から
身を興してベンガル副総督にまで昇進し、功成り遂げて船で英国へ帰
る途中、セントヘレナ島へ立寄り、ナポレオンに会った記録がある。
 ナポレオンは数百人の従者を従がえ、傲然としてなお「ヨーロッパ
の王」を称していたいたという。島で鉱山開発まで手がけていた。周
知のように、ナポレオンはエルベ島とセントヘレナ島と、二度流され
、セントヘレナで亡くなった。死因としては、毒殺、肝硬変、クロー
ン病などが挙げられている。

■■今年はナポレオン戴冠200周年とかで、日本のあちこちでその
記念展覧会が催され、フランス大使館後援となっている。だいぶ前、
ナポレオンが最後に負けたウオーターロ(ベルギー)を見物に行った
ときの記憶では、そこの土産物屋で売っているのは殆どがナポレオン
に関する品ばかりで、勝った側、ウエリントン将軍関係の品は僅かだ
った。 負けたりとはいえ、ナポレオンはいまなおフランス人の誇り
であり、ヨーロッパのアイドルなのだ。 だからと言って、フランス
が再びヨーロッパ大陸を蹂躙する可能性はおろか、ECを離脱する気
配すら皆無である。

■■もしあのとき、ナポレオンが絞首刑になっていたら、いまの東条
さんと同じで、暦史上の国民的英雄になり難い。もやもやとした擬似
犯罪者として、数百年の後まで、近隣諸国、ならびに国内で禍根を残
すことになろう。 ボクは「極東軍事裁判」なるものの最大の失敗は
、いわゆる「A級戦犯」を死刑にしたことにあったと思う。 そのナ
かには、無罪と死刑票がたった1票違いだった広田弘毅元首相のよう
な不運な人も含まれている。 比べるに、ナポレオンを「追放」にと
どめた1800年代初頭のヨーロッパには良識があった。

■■で、ボクは「極東軍事裁判」を経験した日本として、世界に向っ
て、サダム氏をセントヘレナか、インド洋のどこか小島に流す運動を
開始すべきだと思う。 「ノーモア広島・長崎」と類似の、不幸な経
験者国発の運動である。 「サダム氏有罪」そのものは、彼自身が運
が悪かったと諦めればいい。米国も、そして彼の政治的反対派である
イラクの新政府とやらも、まさか今更、彼を無罪、大統領復帰という
わけにはいかぬだろうから、「死、一等を減じる」わけだ。 

■■しかし、どこか辺鄙の島へ流し、そこで彼の人生を終わらせるの
は可能な話である。 「ナポレオンも最初、エルバ島へ流し、そこか
ら脱出されてしまったではないか」という人もあろう。 が、その危
険性はそれなりに防禦方法を講じればいいことであって、フセイン氏
を絞首刑にする話とは別問題だ。

◆◆いま、「フセイン氏助命、遠島処分」の国際世論を起すには、か
っての「極東軍事裁判」を目の当たりに見、いま「靖国参拝」で困惑
している日本が、世界でもっとも適切な国であると思う。 読者諸氏
はどう思われるであろうか。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] :2005年10月21日号 
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事は関連Webへ → http://www.609studio.com
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サハリン及びクリル発展への政府予算支援確定

 2週間にわたるモスクワ出張から帰ってきた州知事が到着の当日、
空港で記者会見を開き、連邦会議で「サハリン及びクリル社会発展へ
の新たな支援」が決まったことを伝えた。これから2カ月内に具体的
プログラムを立て来年初にモスクワに提出し大統領の承認を受ける予
定であると付け加えた。

北方少数民族学生に奨学金

 14日サハリン国立総合大学付属博物館で北方少数民族の大学生9
人に奨学金証書が渡された。奨学金はサハリンエネルギー社が出した
。州政府北方少数民族担当部のエン・ライグン部長は授与式で「将来
、故郷に戻り地域社会の発展に貢献してほしい」と励ましの言葉を述
べた。

元市長副知事へ就任

 ピョウトル・シドレンコ元ユジノサハリンスク市長が副州知事のポ
ストに抜擢された。仕事は11月1日から公式に始まるとのことであ
る。

極東への政府予算倍増

ロシア連邦政府経済発展相が閣僚会議で発表したことによると、20
06年極東発展予算が2倍増加し、175億ルーブルに達する。また
、クリルの社会発展への投資は6倍増加することがわかった。予算は
港の整備などの下部構造整備に使われる予定である。

3・4分期最低生計費

 サハリン州政府による3・4分期における住民たちの最低生計費は
次のようである。住民一人当たりの最低生計費は5,084ルーブル
、労働能力のある者5,436、年金生活者3,895、子供4,7
41ルーブル。

労使関係調整中

 只今、エル・シュビナ副知事が指導している社会労働関係調整担当
委員会が「2005−2008年における州政府・職業同盟・雇用主
間協定案」の検討を進めていることがわかった。協定案は住民たちの
生活水準向上を目的にしているが、11月10日まで案が完成される
見込みである。

住宅建設費引下案検討

 モスクワの住宅価格と変わらないほど値上げしている住宅価格の安
定化させるために州政府は経済委員会の中に新たに「住宅建築実務班
」を作って建築費用を引下げられる方策を模索することにした。建築
費用の高騰は資材を輸入に依存しているためとされる。

有名在日作家100万円寄付

 戦後10歳の時にご両親と一緒に日本へ渡ったサハリン出身の有名
な在日作家、李・ヒソンさんが光復60周年を記念しサハリンを訪れ
た際、サハリン韓人協会の発展のために使ってほしいと100万円を
寄付した。同会は文化センター完成後、必要な整備などを揃えるのに
同支援金を使うことにした。

移転のお知らせ

 セコリョ新聞社が元セコリョ新聞社印刷室へ移転します。多くの方
々からのご支援で修理を終え10月21日に新しい事務所へ移転しま
す。新しい住所はチェホフー通り37番地です。

あれこれ

「石油ガス採取標超過達成」
 9月のロスネプチサハリン社の発表によると、今年の石油ガス採取
量が目標の102%の超過達成し、石油は約16万トン、ガスは1億
430万立方メートルを採取したことがわかった。

「新しい変電所建設」
 サハリン州政府とサハリンエネルギー社、スタルストロイ社が1億
ルーブルを投資してスムルヌイフのオノル村に変電所を建設したこと
で数年間1日数時間しか電気供給を受けられなかった村に24時間電
気供給が実現され村人たちは大喜びである。

「子供たちの環境保護展覧会」
 ポロナイスク市の環境保護団体の主催で、最近ポロナイスク郷土博
物館で子供たちのための環境保護展覧会が開かれた。動物の保護とい
うテーマでの展覧会には子供たちがヒマワリの種を利用して作った鳥
など約120点の作品が展示された。

「出版展覧会」
 19日、ウラジオストクで「第9回極東出版物展覧会」が開かれた
。書籍愛好家たちは3日間、約260の出版物に触れることができた
。サハリンの文化や歴史、サハリンを代表する作家の本など約10数
類の出版物が出された。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 23日日曜日、播州赤穂へ行きました。秋祭たけなわ。
地域の祭りにはそれなりの情緒が。祇園祭や天神祭りを見ていると、
地域の祭りには郷愁が漂ってきます。屋台が数軒。ひょいと寅さんが
ひょいと出てきそう・・・でした。

◇ライブドア、TBSに防衛協力申し入れ。ハゲタカ駆逐にハイエナ・
・・。
◇「銃犯罪が多発しているブラジルで、銃と弾薬の売買を原則的に禁
止することの是非を問う国民投票」があった。(毎日新聞)
 圧倒的多数で反対!理由がふるっている。「犯罪者を喜ばすだけ」
 自衛のための銃を奪われては・・・。

◇鳥インフルエンザ、ハリケーン、地震、テロ、独裁、戦争、飢餓、
・・・・。まだまだあるぞ。21世紀の名物。
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発行     2005年10月25日   No.232
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
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