609studio　No.221◆現代時評:[ニワトリにせめて生きている間だけでも幸せを] 2005/07/05

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タイトル：609studio　No.221◆現代時評:[ニワトリにせめて生きている間だけでも幸せを] 2005/07/05

◇◆◇609 Studio　メール・マガジン◇◆◇　　　　　　　　　　　　　　　2005/7/5　No.221 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る！」をコンセプトに論説委員Ｋｅｎ氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記事など話題満載！　 URL ⇒ 　http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 　　　　　　　　◆６０９ｓｔｕｄｉｏ　ＮＥＷＳ◆ ◇７月１２日号・１９日号は休刊します◇ 　　暑中お見舞い申し上げます。７月１２日・１９日号は都合により　　休刊いたします。セコリョ新聞は、後日まとめてお届けします。　　ご了承ください。 ◇「アリランの流れる島」上映のお願い◇ 　　　戦後６０年たった今もサハリン残留朝鮮人の苦悩は続く・・・。　　　６０９Ｓｔｕｄｉｏでは、ＤＶＤ「アリランの流れる島」の　　　上映会をしていただける方を募っています。サハリンの朝鮮　　　人の証言に耳を傾けてください。　　　　　　⇒　　http://www.609studio.com/html/news-3.html　　　　　　　　　　お問い合わせ　　　　　　w_m@609studio.com 　　　　　　　　　　　　　 ◇「ジャーナリスト・ネット」毎日更新◇ 　　　ブログ形式で複数のシャーナリストがそれぞれの分野の記事を　　　発表するプロ集団のＷｅｂ新聞。　　　　　　　　http://blog/journalist_net/ ───────────◆◆◆ＩＮＤＥＸ◆◆◆─────────── ◆現代時評:[ニワトリにせめて生きている間だけでも幸せを] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版：２００５年７月１日号 ◆編集長から：[この１週間] ───────────────────────────────── ◆現代時評：[ニワトリにせめて生きている間だけでも幸せを] ken　　　　　　　　　Ｋｅｎ氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは　　　　　 w_m@609studio.com 　へ！ ───────────────────────────────── ◆◆SANKEIWEB　2005.6.29　茨城県水海道市の養鶏場から国内初のＨ５Ｎ２型の鳥インフルエンザウイルスが検出された問題で、同県は２９日、養鶏場の鶏約２万５０００羽すべての処分を終えた。　この日は農業団体からの応援も受け、これまでの２倍以上の約１８０人が作業に当たった。引き続き、鶏ふんの処理や施設の消毒などを行う。 ◆◆毎日インタラクティブ　2005・6・30 農林水産省の家きん疾病小委員会は２９日、周辺５カ所の養鶏場の鶏計約９万４０００羽をすべて殺処分するよう提言した。同省は、これらの鶏を疑似患畜として殺処分の措置をとる。周辺の卵の移動禁止区域内にある養鶏場１７カ所のうち、当該の５カ所の鶏からは、ウイルス感染歴を示す抗体が出ている。ウイルス自体は検出されていないが、小委員会は「養鶏場にまだウイルスが存在する可能性は否定できない」と判断し、全会一致で処分を提言した。 ■■またしても鳥インフルエンザが発生した。　そのたびに野鳥が病原菌を運んでくるなど、幾つかの原因がとり沙汰されているが、確固とした原因は未だに不明のままである。　養鶏業者としては、神頼みか天災の類で、せめて業界で共済金を積みたてるしか方法がないと諦めているらしい。 ■■ところがこの「野鳥元凶説」に次いで重要視されている原因に、大規模工場式養鶏があり、欧州などではその方をより重要視している。　つまり、現在採用されているバタリー・ケージ方式による過密養鶏こそ元凶だというのである。　が、これを言出すと、いまの養鶏業の採算ベースが成り立たなくなるので、日本などでは「見て見ぬふり」をしている、というのが現況である。 ■■バタリー・ケージ（battery cage）というのは、ニワトリの１羽１羽を分離し、およそＡ４版くらいの大きさの金網に入れ、それを多数横に連結して鶏舎とし、それにより１カ所で数千羽ないし数万羽を飼うという仕掛けである。このケージに入れられた鶏はスペースが極端に狭く、羽ばたくことも後ろ向くことも出来ず、年平均３１０個ていどの卵をひたすら生み続け、そして生めなくなると同時に廃鶏として処分されてしまう運命にある。 ■■いくら人間により食用目的で生まれてきたニワトリであるにしろ、あまりにも残酷なのは、誰もが認めるところである。　感受性を備えた生き物として畜産動物を捉え直し、最後は人の食料として命を奪われる運命にしても、せめて生きている間だけは無用な苦痛を与えず、少しでも生甲斐のある生を全うさせる畜産のあり方を考えること、それが人間の良心というものである。　それが近年の西欧における養鶏業の基本概念として定着してきた。が、日本では政治的マイナー派である自然食品系の人々を除いて、そこまでの理解が行き届いていないのが現況である。 ■■家畜管理のあり方が社会的な問題として問われるとき、こうした食用家畜の、もっとも激しく、そしてもっとも残酷な現場が養鶏農場の大量稠密飼いであることに異論の余地はない。　にもかかわらず、その様式を「工場型畜産」と美化して呼び、ますます大型化に勉め、飼育効率の合理化をさらに競い合う。その結果、鶏卵価格の軟調とともに、養鶏農業の恒常的採算難という悪循環にすら陥っているのである。「愚」というべきであろう。　 ■■子供のとき、自家消費のためのタマゴを得るため、自宅で数羽のニワトリをいつも飼っていた。鶏肉が必要なときがあっても、決して自宅の鶏は殺さなかった。　自宅の鶏には情が移っていたからである。そうした場合は他家の鶏と交換してもらい、それを締めるのが普通であった。たとい僅かな期間でも自家飼育した鶏には人情が移り、殺すに忍びなかったのである。少なくとも戦前においては、?惕惻隠（じゅってきそくいん）の情は、鶏と飼い主の間にも存在した。人間のこころというものである。 ■■ひと昔まえ、ボクはフィリピンの田舎に住んでいた。　そこではニワトリと、猫と、犬がすべて放し飼いで、人間と共に共棲していた。　そこには暗黙の棲み別けがあり、先ずニワトリは日がな一日ひよこと共に庭の草を啄ばんでいた。猫は両隣３軒ほどがテリトリーで隣家からも餌を貰っていた。そして犬は村のうち数百メートルくらいが遊び場所だった。　ニワトリは、夜は家の外の樹上で寝る習慣があった。その枝の高さはおよそ屋根の高さと同じだ。ニワトリも鳥の内、樹の枝に留まって眠るのが快適であったようだ。　ボクらはこのニワトリが生んだタマゴを失敬して、わが食料にしていた。　が、タマゴを抱きたいという鶏の母性本能に悪いと思い、いつも少し残しておくよう務めた。すると新しいヒヨコがいつの間にか誕生し、親鶏の後にくっ付いて庭の青草を啄ばんでいた。　南国では家畜も老け易く、ましてニワトリの一生は片時の間である。が、その片時の生涯を、彼らは彼らなりに、日々楽しく暮らしていた。　放し飼いの鶏の生活、それは調和した楽園そのものであった。 ■■顧みて再び言う。ボクらが目にする巨大養鶏場のニワトリはどうだろう。　生まれてこのかた啄ばむべき緑の野を見ることもなく、ケージに入れられる。羽ばたく場所も振り向くスペースも与えられず、陽の当たる昼はおろか、休むべき夜も与えられず、ただタマゴを生むことのみ強請される。それでいて生んだ卵を抱く楽しみは与えられない。生むことを止めたら最後、廃鶏にされ、生物としての生涯を終わる。人間によってこのような生活しか与えられない鶏が果して健康であろうか。 ■■いや、そうではない。間違いなく病気の鶏だろう。　たとい健康な鶏でも、あの生活環境に置かれたらとうぜん病気になる。その人間が仕向けた病んだニワトリが日々産みつづけるタマゴを我々人間が食べるという、今日の冷厳な事実。　人間の健康にいいとは考えられない。鶏を、ただ利益のみを目的としてタマゴ製造機械のごとく扱い、恬として恥じない人間という悪魔。　 ■■それが、いったん鳥インフルエンザが発生するや、数万羽を一度に穴に埋めるといった行為などは、人間の打算と残虐以外の何物でもない。人間ではなくて、人間の形を借りた鬼、夜叉であるに違いない、とボクは思う。あまりにもむごい話なのだから。　 ■■「ケージ飼いによる不自然で不適切な飼育環境は日々膨大な数のニワトリたちに対して大変なストレスと苦痛を与えている。このような現代の畜産のあり方に対する反省として、採卵鶏のバタリーケージの基準の見直しを！」と、ＥＵは９９年６月の理事会で大議論をした。鶏が本来有している動物行動学的、生理学的な機能を十分発揮できる環境づくりという観点から検討が行われたのである。 ■■結果、鶏が生来有する行動（羽ばたき等）を回復するためバタリーケージの面積を拡大することや、巣に産卵するという鶏の本来の欲求を満たすため産卵用の巣を設置すること等を定めた新たな飼養方法が提案され、採択され、そして実施されている。最後まで抵抗したのはフランスの農民たちだったが、ＥＵの「正論」がこれを押し切った。　しかもＥＵは、「あまりにも非人道的」として、２０１２年までにこのバタリーケージの全面的使用禁止まで決定してしまった。 ■■統計によれば、現在、採卵鶏は世界に４７億羽いる。その３／４はバタリーケージと称する連続式個別かごに閉じこめられている。　日本の養鶏羽数は１億５０００万羽。うち９８％はバタリーケージ飼養のままだ。とうぜん、鶏は羽ばたくこともできず、骨も育たない。　そうしたいわば病気の鶏が産んだタマゴを我々日本人は日常に食べている。メリットは何か。ただ一つ、値が安いことだけである。　 ■■昭和２７年に公式統計が採られ始めたときの鶏卵の年平均価格は２１７円だった。それがこの２０００年６月３０日に至って、なお２１５円であると統計が示す。戦後６０年、鶏卵価格は据え置かれたままで、その恩恵によってボクらはいま安いタマゴを食べている。　それはそれで結構なことだ。 ■■ところが待て暫し。　いまのスーパーにおけるタマゴの小売値１個１０円前後というのは社会の物価体系からみて余りにも安過ぎはしないか。いくら安いのがいいと言っても、仮にもいのちある鶏を、あまりにもむごい状態で、病人同様にして生かせ、それで取上げたタマゴを、何もそんなにまで安く供給してもらう必要はないのでは無いか。　いまの日本人の平均生活レベルで、タマゴ１個１０円という価格は、「馬鹿げて安い」のである。　それとも、病気の鶏が産んだタマゴだからこそ、そのように安い、と言うべきか。 ■■高くてもいい、健全な鶏が産んだ健康なタマゴをボクらは食べるべきだ。　じじつスーパーでは最近になって１個５０円から６０円くらいの「ひら飼いタマゴ」がたくさん並び始めた。それはいわゆる「自然食品」系の小型養鶏業者の産物である。大型養鶏農家よりも、監督官庁よりも、消費者庶民が一歩はやく目覚めはじめた兆候である。　　賢明な消費者が「何かこれはおかしいぞ」と、１０円タマゴの価格体系になにか胡散臭いものを本能的に感じ始めたのだ。わが日本国政府の消費者行政への不信が突き付けられた、というべきか。　 ■■動物と自然界を単なる利益のために搾取されるべき商品としか見なさないような姿勢の結果が、工場式養鶏とタマゴの異常低価格であった。　畜産に於けるこの姿勢が、動物虐待・大規模な環境破壊・資源の枯渇そして動物と人間の健康への危機をもたらして来たのである。われわれは、そして特に養鶏業に関与する行政官庁はいまこそ考えを改めなければならない。 ■■農水省や厚労省は、鳥インフルエンザで養鶏農家に嘴を差し挟む前に、先ずＥＵに見習ってバテリー・ケージの全廃を行政指導すべきである。さらに進んで、大地の上で飼う、いわゆる「ひら飼い」タマゴを日本における鶏卵の主品目にするよう指導すべきである。「市場原理に任す」と称して、１０円タマゴの存在を容認してはならない。　現に５０円前後の小売価格が設定されているのはみなこの「ひら飼い」だから、消費者が、「健康で普通のタマゴの小売値は５０円」という感覚を持つように行政指導すれば、不健康な「ケージ飼い」は無くなり、「コストの問題でケージ飼いは避けられぬ」といった誤解を解くのに手間暇は要らない。 ■■健全なタマゴを人間の食卓に提供しようというだけでなく、生き物としての鶏に、たとえその短い一生であろうと、せめて生きている間だけでも幸せに飼ってやろうという、人間の情緒もまたひじょうに大事なことである。そうした人間としての基本的な情緒感覚が麻痺したところに、最近頻発する少年犯罪などの温床があると考えられはしないだろうか。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]　２００５年７月１日号発行　ユジノサハリンスク市　翻訳　Kil　Sang ◇詳細/写真、記事、は関連Webへ →　http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 州知事州内順訪　６月２２日、イ・マラホフサハリン州知事がアレクサンドロフスク・サハリンスキー区域を訪問した。地域行政部の５カ月間区域社会経済発展検討会にも出席した。当地域工業生産量は全州の１％に過ぎず州政府からの支援がなくしては社会経済発展は期待できないと州政府は判断している。知事は特に支援を必要としている第１一般学校、区域中央都市―デゥエ村間道路状態、貯水池、共同銭湯などを見て回った後、学校修理支援金７千万ルーブルの割当とアレクサンドロフスク・サハリンスキー⇔デゥエ村間道路修理資金援助を決めた。道路工事は今年秋に着工し来年完成予定である。デゥエ村には２００人の住民が住んでいる。区域政府は彼らを他の村に移住させようとしたが、住民たちが移住を拒否したため、村の道路整備をすることになった。　２３日、州知事はトイモフスコエ区域を訪問した。市長の勧めでバスで区域状況をみてまわった知事は暖房対策などに成功的に対応している区域指導者たちを励ました。韓・露青少年交流　同胞とロシア青少年３８人が東北亜青少年協議会の招待を受け、７月４日から２週間韓国クミ大学で韓国語研修や名所見学を行うことになった。６月２８日、出国前にサハリン韓国教育院でオリエンテーションが行われた。韓国言論財団の招待を受け　セコリョ新聞社新入社員朴・オルガさんとウリマルテレラジオのカメラ・マン鄭・セルゲイさんが韓国言論財団の招待を受け、３カ月間の母国語研修に参加するために６月２８日出国した。州知事、東西大学代表団に会う　６月２８日午前、イ・マラホフ州知事が韓国釜山の東西大学張・ジェクク国際協力委員長らに会った。東西大学代表団は留学生選抜のためにサハリンを訪れたが、この際サハリン州と釜山市との親善協会設立を提案するために州知事に会ったのである。第１２民主平統諮問会議開催　７月１日、モスクワで韓国民主平和統一海外諮問委員たちの会議が開催される。当会のサハリン地域委員たち５人（全・サンジュサハリン州老人会長、ユ・オレグと呉・チンハ議員、安・チュンデ　セコリョ新聞社長、金・チュンジャ　ウリマルテレラジオ放送局長）が会議に参加するために３０日モスクワへ向かった。朴・ヘリョン韓人会長は現在サハリンで行われている日本強占期被害実態調査のために不参加となった。あれこれ「ロ・中国境に経済特区建設」　イタル・タスは、中国の新華社通信がハルビンで開催された第１６回商業展示会でロシアと中国との国境地域に経済特区建設計画が発表されたと伝えたことを報道した。ヘイヘ市デゥンセン副市長によると、アムール川両沿岸に経済特区が建設される。経済協力はまず、ウラゴヴェシェンスク市とヘイヘ市を流れているアムール川に橋を建設することから始まる。橋の建設は今年中に始まる。「夜間だけ飲料水供給」　ゴルノザヴォドスク市民たちは、地域住宅公社が電気料金を払えなかったために、４月から昼間、水道供給を停止されていることがわかった。暖房季節には暖房が入らないために苦労している上に水道まで自由に使えないため住民たちの不満は高まっている。　払うべき電気代は１２０万ルーブルに達しているが払う能力がないため、住民たちの不便はしばらく続く見込み。「出生率増加傾向」　昨年同期に比べ州内出生率が増加傾向をみせている。今年に入って１，１１７人の新生児が生まれたが昨年に比べると２５人増加したものである。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から]　　　　　　　　　　　　　　Michio　Katayama ───────────────────────────────── 　来週と再来週はこのメールマガジンを休刊させていただきます。先週後半から梅雨に入ったような天気が続いています。やっと水不足から開放？と思いますが、四国あたりではまだまだのようです。水の大切さが感じられるこのごろです。 ◆ロシアと中国が異常接近。エネルギーを売りたい国と買いたい国、武器を売りたい国と買いたい国。そしていささか民主化に遅れている国同士がなにやら・・・。モスクワでの中ロ首脳会談。　おまけに日本の国連常任理事国入りにも難癖。 ◆いつも思うのだけど、朝日新聞や毎日新聞の電子版。社会面が一番上で政治や国際面がスポーツ面や芸能面の下に。あれって何かわけがあるのだろうか。一番読まれる記事が社会面やスポーツ面なのか。 ──────────────────────────────── 発行　　　　　２００５年７月５日　　　No.２２１編集・発行　　609studio 　　Michio Katayama 発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料配信まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 Macky! ID:609studio e-mail w_m@609studio.com website 　　　http://www.609studio.com 投稿　　　　 http://www.609studio.com　掲示板へ購読購読解除は websiteへ　　　　　　　　　　　◇禁・無断転載◇ ───────────────────────────────

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