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タイトル:609studio No.220◆現代時評:[圧政の前線基地]  2005/06/28


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                             2005/6/28 No.220

【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:[圧政の前線基地]                            ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:6月24日号

◆◆現代語感:[戦後60年その22 ]      MK
  
◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評:[圧政の前線基地]                           ken        
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 w_m@609studio.com  へ!
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◆◆読売オンライン2005.6.21 米国務省のドブリアンスキー次官は2
0日、ワシントンで行われた講演で、「圧政の前線基地」には「北朝
鮮、ミャンマー、ジンバブエ、キューバが含まれる」と発言した。 
 韓国の聯合ニュースが同日、北朝鮮の国連代表部高官の発言として、
米国が今後1か月間、北朝鮮に「圧政の前線基地」という表現を使わ
なければ、7月中にも6か国協議に復帰できるとの見方を示したと報
じた直後だった。

◆◆産経WEB 2005.6.24 7月の主要国首脳会議に向けて、主要8カ
国(G8)の外相会合が23日、ロンドン市内のランカスターハウス
で開かれ、(中略) 町村信孝外相は北朝鮮の6カ国協議への早期復
帰や核廃絶、ミサイル、拉致問題の解決へのG8各国の協力を求めた。
 
◆◆日経NET 2005.6.17 欧州議会のグリン・フォード議員(英国)
は16日、日本経済新聞に対し、欧州議会が7月から北朝鮮と定期協議を
始めると語った。平壌に12人程度の代表団を送り、北朝鮮の核開発・
人権問題、欧州連合(EU)と北朝鮮の経済関係などについて「北朝
鮮首脳と定期的に協議していく」という。EUと北朝鮮は近年、貿易
など経済関係を強化しており、欧州議会の定期協議開始もこの一環と
みられる。

■■「先日、米国のブッシュがミスター・キムと呼んでくれたらしい。
それならこちらも相手をブッシュ閣下と呼ぼうか」と言ったという冗
談めいたエピソードが、韓国の鄭南北統一省長官と金総書記の間で交
わされたという。 些細なことのようだが、じつはこれは近来まれな
好ニュースで、またひじょうに大事なことであるとボクは思っている。 

■■話題の出所は朝鮮日報の6月17日付けだ。鄭長官は金総書記に
「韓米首脳会談でブッシュ大統領が金総書記を“ミスター”と称し、
雰囲気が好転した」とし、「最高指導者が互いに認めることが重要だ
」と先に述べた。鄭長官は続いて、金総書記に「ブッシュ大統領に対
する評価を述べてほしい」と要請した。 これに対し、金総書記は「
ブッシュ大統領“閣下”と言いましょうか」と言った。金総書記は「
私の考えを公開的に明かしてもいい」とし、ブッシュ大統領に対する
自分の意見が伝えられることを希望した、というのである。

■■ではブッシュ氏と金総書記は、これまでお互い、相手をどう呼ん
でいたのであろう。 まさかと思うが、それまで相手を「ブッシュの
野郎」とか、「金正日めが」とか呼び捨てにしていた可能性があるよ
うな気がする。一国の首領同士が、お互いに尊敬のかけらもなく、そ
のように憎しみあった状態で、テーブルについて話し合いを進めよう
として、うまくいくハズなどない、と、ボクなど不思議に思うが、じ
つはどうやらそんな状態だったらしい。

■■哲学者詩人として有名なチェコのハベル元大統領がフランスのフ
ィガロ紙の質問に答えて、「自己のアイデンティティの探求は、まず
他者の承認を意味すること」と指摘し、「寛容」と「相互の尊敬」を
訴えた、という話が数年まえにあった。同時に、これまでかなり傲慢
な形で自己の文化を輸出してきたヨーロッパに対して、「差異を尊重
すること」と、「征服するのではなく、インスピレーションを与える
べきである」と、ハベル氏は強調したのであった。

■■このハベル元大統領の態度に比して、ブッシュ氏および金総書記
のいままで採ってきた野卑な表現には雲泥の開きがあったと言うべき
だろう。 ハベル氏が、いわゆる「ビロード革命」と「ビロード離婚
」を為し遂げ、国際平和賞を受賞したのと、最近の米国と北朝鮮の争
いを思うとき、その根本にある彼らのこうした態度の差を考えざるを
得ない。単純なように見えても、国内、国際を問わず、すべて交渉事
の基礎条件として、先ず相手との相互尊敬が必要であることは、ほと
んどの人が知っていることである。
 それをも弁えずに、「6カ国協議」であろうと、「対米二カ国協議
」であろうと、そのような交渉がうまくいく道理はない。 ヤクザの
喧嘩とは、コトが違うのである。

■■ボクら日本人はいま、北朝鮮による「拉致問題」でアタマに血が
上っているときだ。北朝鮮の金総書記という人は怪しからんと思いつ
めているときだから、金総書記が仮に「ブッシュの野郎が」と悪態を
ついても、金氏はまあそういう人であろうと思う。 が、片や米国の
ブッシュ氏は、いわば世界における自由主義陣営の盟主であり、尊敬
すべき人物であると思いたい。その人物が、誰でもが弁えているハズ
の、交渉相手を尊敬するという常識すら知らなかったというのは、い
ささか腑に落ちない話である。 

■■そしてそう考えて、米国の最近の態度を思うとき、あまりにも尊
敬出来ない言動が多いのに今更ながら気がつく。
 北朝鮮が、「今後1か月間、北朝鮮相手に「圧政の前線基地」とい
う表現を使わなければ、7月中にも6か国協議に復帰できる」と言っ
たその直後に、米国務省ドブリアンスキー次官が、「圧政の前線基地
には北朝鮮が含まれる」と発言したという話など、その典型である。
ときもとき、ナニもそこまで言わなくてもいいではないか。そのよう
な状態では横丁の八ッあん、熊さんの喧嘩と変わりがない。 米国の
無作法さには愛想が尽きる、と言いたい。

■■その米国の最初にして、しかも究極の無作法な問題は、言わずと
知れた米国の主張する自己本位の「核廃棄」と「核抑止力」の言い分で
ある。 周知のように、いま世界中ですでに核を持っている国が表向
き7カ国ある。 米、仏、英、中、ロ、印、パで、これに非公認のイス
ラエルを加えると8ヶ国になる。それに真偽はまだ不明ながら北朝鮮
を加えると9ヶ国になる。 核保有が8ヶ国も9ヶ国もということに
なると、早く言えば地球上では既に公知公用に近い。いまさら米国が
北朝鮮にだけ「核廃棄」を強要する論理的根拠はぜんぜん無い、と考
えていい。 

■■「北朝鮮だけは、テロ組織に輸出する懸念があるから」と、米国
は言っているようだが、ボクらが考えると、その懸念は、過去の実績
から考えてロシアやパキスタンの方が大きい。 だいいち、アフガニ
スタンやイラクでいまテロと名指される人々が使用している武器のほ
とんどが米・ロ2国製であることは周知の事実である。それに今なぜ
北朝鮮のみが槍玉に挙げられるのか…。

■■自分達が、「核廃棄」しなくて他国に「廃棄」を迫る論理的根拠は
限りなくゼロに近い。しかし日本は唯一に原爆の被爆国であり、核を
持たぬ国だ。その日本が「核廃絶」を世界に求めるのはとうぜんであ
る。ならば日本は、全世界に向って平等に「核廃絶」を迫るべきであ
り、「他の先発7カ国が持っているのは既得権益だが、それ以後の国
、例えば北朝鮮が持つのは怪しからぬ」などという米国の片棒を担ぐ
のは不公平も甚だしい、といわねばならぬ。

■■その北朝鮮も、核を持つ目的はいわゆる「核抑止力」を行使する
ためと公言していて、それは理に適っている。 核を持っている国々
は例外無く「核抑止力」のためといっている。 それはそうだ、いま
どきどこの国が喜んで、そして積極的に「核」を造ろうとしているで
あろうか。
 それを北朝鮮だけに、「おまえだけは、核抑止力を持つな」と言う
のは不公平も甚だしい。北朝鮮も、いったん核兵器を使用したならば
、その時点で自分の国が滅亡することぐらいは知っている。 それで
なおかつ、核を造ろうというのなら、それを阻止する権利は誰にも無
い。敢えて不平等に、特定の国だけに核を持つなと強要するのは酷と
いうものである。 そうした理不尽をいうより先に、日本は先ず米国
を含む全世界いっせいに「核根絶」を求めるのが筋というものだ。 

■■ひと昔前は、核は米ソのみが持っていて、そのときはそれで「核
を持っている国が少なく、「核の少数国保有」ということで理屈が成
り立ったかも知れぬが、次々となし崩しにあちこちが持ちだしたのな
ら、それなりに核保有についての世界情勢が変化したことを認識し、
かたくなことばかり言うのがいいかどううか考えて見る必要がある。
 それを日本が世界で特に「非核」を連呼するのは、「非核アレルギ
ー病の日本」というものであると、いまや全世界が知ってしまった。 

■■ましてその「非核」を隣国北朝鮮にだけに強請しようという日本
は大いに理不尽である。 それが米国の代弁であることは事実だが、
もう少し突き詰めれば、われわれは例の北朝鮮による「拉致問題」へ
の怨みを「非核」で以って、しっぺ返ししようとしているのではなか
ろうか、無意識的ではあっても・・。

■■わが日本政府は、すでに米軍による横須賀への核持ち込みを内密
で容認している。それでいて国内における「非核」勢力、もしくは世
論を恐れて、その事実を敢えて言出せないでいる。 さらに言えば、
わが自衛隊は「核容認」である。その証拠に、自衛隊は核弾頭発射訓
練のたびに米国内へ出向いている、という噂を聞いている。 我々は
いまやそうした事実を直視すべきであろう。

■■おそらくいま、6カ国のうち本気で「核武装」を否定している国
は日本だけであろう。北朝鮮の核武装については、韓国は、「将来南
北両国の統一が成れば自分たちの核についての既得利権になる」、と
思っているふしがあるし、自分自身「核」を持つ中国、ロシアは既に
内心で容認しているに違いない。ならば、「6カ国協議」で北朝鮮に
核を放棄することを求めているのは、米国と、その代弁者である日本
だけと考えて間違いなかろう。

■■米国は、「核を放棄しさえすれば、後は自分達が護ってあげるか
ら」と、米国による世界警察を主張しているが、じつのところ、何処
の国もそれを米国に頼んだ覚えが無い。 北朝鮮が「圧政国家」であ
ることは事実だろうが、それを米国、もしくは「世界警察」にとやか
く言われる筋合いは無いのである。 あのように寒くて資源の少ない
北朝鮮という国が、よしんば米国の属領にしてもらったとしても、米
国が今までに植民地経営で成功した例など、ハワイ以外にない。米国
、頼むに足らずだ。 反対に、米国による植民地経営の不成功例とし
ては、フィリピンがある。フィリピンは、米国流の自由と放縦を骨の
髄まで教え込まれ、そのため、いまなおアジアの三流国として不況に
喘いでいる。 

■■「北朝鮮は圧政の前線基地」とは、ライス国務長官の口癖だ。も
しそうした貧困な国を米国の仮想理想主義で、自由国家にしてしまえ
ば、より貧困に喘ぐ国になってしまう可能性がひじょうに高いことを
知らねばならぬ。 中国や北朝鮮のような国を、性急に西欧並の自由
国家にしようとするのは、「無責任な他人の勧め」かも知れないので
ある。天安門の弾圧や、北朝鮮の圧政は、ときと場合によっては必要
かも知れないという謙虚な見方が望ましく、それをかってチェコのハ
ビブ元大統領は、「差異を尊重すること」、「征服するのではなく、
インスピレーションを与えること」と表現したのであった。

■■「核」の独占化を狙って北朝鮮に「核抑止力」の放棄を求める米
国が、それだけでは世界の世論を納得させ難いから、代わるべき大義
名分を求めたのが「北朝鮮圧政前線基地」論であると考えられぬこと
もない。
 そして、「拉致問題」解決を強要する日本が、その米国式「核廃棄
」論と相乗りしようとしているのが、いま問題の6カ国会議であり、
それを察知した北朝鮮が渋りに渋っているのが現状ではなかろうか。
 しかもそれは日本の一人芝居であり、他の国々は本気かどうか疑わ
しいのである。 その証拠に、欧州会議(EC)は別途既に北朝鮮と
外交関係を持っていて、「会議に出て来い」などと喧嘩腰で強要して
はいない。

■■自分の思う通りにならない国だからとて、相手の国の元首に敬語
もつけない米国という国は、それなりの勝手な国であると解してもい
い。そしてそのような国に「圧政の前線基地」と呼ばれているからと
いって、さも総てが怪しからぬ国であるかのように、我々が北朝鮮を
貶めるのは軽率である。 

■■我々が北朝鮮に文句を言うべきところはタダ一つ、「拉致問題」
であり、これについては声高に非難しても、し尽くすことはない。
 が、それを「非核化」の要求と1セットにするのは国際世論を喚起
する上で得策とはいい難いのではなかろうか。

■■更にいえば、原爆の被害を受けた唯一の国として「非核化」を声
高に主張するのは、日本人の情と大義名分においてとうぜんだろう。
 がしかし、その昔、若き日の高坂正尭氏が「軍縮運動がいまや軍拡
の一手段になってしまった」と嘆いたと同様に、現状ではわが日本国
民の純心な悲願であった「核廃絶」運動が転じて、核保有国のニュー
エントリーに対する防禦手段と化してしまっている。この情況を我々
はどう考えればいいのだろうか。 

■■すでに終戦後60年を経たいま、なお「核廃絶」に固執するのが
果して国の得策であるかどうか、その辺りも再考してみる必要があり
そうだ。 国の最高政治レベルや、自衛隊では既に、「非核」が空念
仏になってしまっているかも知れないいま、庶民国民レベルだけで声
高に「核廃絶」を主張し続けるのは、残念ながらある種の羊頭狗肉か
も知れない。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2005年6月24日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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州知事韓国総領事と会談

 ウラジオストク駐在韓国総領事館の全・テワン総領事が日帝時代強
制動員被害調査団の団長としてサハリンを訪問した。19〜23日ま
で滞在予定の全総領事は、22日サリン州知事を訪ね、2週間にわた
っての調査事業への協力を要請した。州知事は戦後サハリン韓人たち
がサハリン及びクリルの社会経済的発展に大きく貢献したと指摘した
のち、調査団の活動にも関心を示しながら全面的に協力すると述べた
。当日、総領事はサハリン州議会立法委員会及び対外連絡担当委員会
のエス・ポノマリョフ委員長と「ロシアクリルのために」という政治
団体の指導者を含めた州議員たちと、韓国の独島とロシアのクリル島
に対する日本の主張などについて意見を交わした。

サハリン韓人被害実態調査スタート

 20日、韓国のサハリン強制動員被害及び実態調査団が來島した。
調査団の臨時事務所として使うことになったユジノサハリンスク経済
法律情報大学(学長カン・ヨンボク)会議室で翌日午前9時に団長の
総領事と副団長の鄭・ヘギョン日帝強占下強制動員被害真相究明委員
会調査1課長が調査の目的を説明した後、協力を要請した。朴・ヘリ
ョン韓人会長は政府レベルでの韓人実態調査は初めてのことで大変期
待していると述べた後、調査日程上、今回、ウゴレゴルスクとシャフ
チョウルスク、トマリ区域への出張調査は行われなく、8月中に2次
調査団がハバロフスクを訪問する際、これらの地域を回ると参加者に
知らせた。被害申告のために事務所を訪ねる人々は行列を成しており
初日だけで130人が被害申告を済ませた。

ボイラ室爆発

 ユジノサハリンスク牛乳工場で21日ボイラ室が爆発し、5人が負
傷し1人は入院中である。原因はベンジンの入った缶の爆発と予測さ
れているが詳しいことは今捜査中である。

初めて夏季にお湯供給

 サハリンエネルギー社と住宅機関との話し合いで、ユジノサハリン
スク市で初めて一部の集合住宅に夏季にもお湯を供給することになっ
た。実験的に市内中心にある88棟のアパートにお湯を供給している。

永住帰国者里帰り

 20日、韓国慶尚北道に位置するテチャン養老院(院長辛・ウォル
シク)へ永住帰国したサハリン1世33人と道セマウル夫人会員25
人が里帰りをした。翌日、市内レストランでセマウル婦人会主催、道
庁後援の「サハリン同胞慰安パーティー」が開催され、里帰りした1
世やサハリン残留1世たちをはじめ韓人団体代表らが招待され出席し
た。そこで、ユン・ソンウォンさん(78歳)は「ユジノサハリンス
ク市に住む息子に会いに来た。養老院での暮らしもいい。自分の祖国
だからね。ただ、一人で祖国で暮らすというのは寂しい。しかし、5
0年間暮らしたサハリンも故郷だ。サハリンも大きく変わった」と韓
国での暮らしとサハリンへ帰ってきた感想を述べた。ドリンスクから
永住帰国した韓・ボクスンさん(86歳)は「韓国での暮らしはいい
。しかし、子供たちに会いたい。」と寂しげに語った。
 本行事主催側のセマウル婦女会長韓・ヘリョンさん(道議員)は「
半世紀ぶり祖国へ帰ったが子供たちと生き別れの永住帰国であったた
めに子供たちと離れ離れになっている1世たちに子供たちの再会のチ
ャンスを与えたかった。そして、光復60周年を向かえ、今まで苦し
んだ同胞の皆さんに少しでも慰安になればと思って当行事を開いた」
と挨拶した。また、テチャン養老院の辛院長は「1世たちの里帰りを
全面的に支援して下さった道知事と議員の皆様方に深く感謝しますと
共に、これからも最善を尽くして1世たちをケアしていきます」と新
たな決心を述べた。また、被害調査団長としてサハリンを訪問してい
た全・テワンウラジオストク駐在韓国総領事は「同胞の皆さんが祖国
の言葉と文化を忘れることなく守っていることに関心し感謝している
」と挨拶した後、道レベルで里帰りを実現させたのは初めてのことで
今後他自治体にもこのような積極的支援活動が広がっていてほしいと
期待を寄せた。セマウル婦女会は残留高齢者のために多くのお土産を
用意したほか、サハリン芸術団がパーティーに参加し民謡などを歌い
老人たち楽しい思い出を作らせた。老人たちは18日に韓国へ帰る予
定。

あれこれ

「サハリン生態系関連本出版」
 最近、ウラジオストク市のダリナウカ出版社が「サハリン島の植物
動物界」という本を出版した。ロシア科学アカデミー極東支部による
と、この本は国際プロジェクト調査団が島の70%に達する地域を探
査して得た資料で作られたものであり、今後極東地域全体でこのよう
な本が続々発行される予定である。クリル島の本はもう既に出ている。

「缶工場設立55周年」
 ホルムスクの空缶工場が設立55周年を迎えた。ここはサハリンで
は唯一のものであり、ロシアで最も規模の大きい缶工場のひとつであ
る。最近生産力が増加し年間3億5千万トンの空缶を生産している。
設備も近代化し世界的にも高く評価される工場である。

「アムル州で口蹄疫対策至急」
 最近、極東アムル州は口蹄疫が広がらないよう至急に対策を講じて
いる。極東地方非常事態担当センター資料によると、アムル州スヴィ
ボドネンスク区域ブセ村で牛をすべて殺し処分するとの決定を下ろし
た。モスクワから出迎えた専門家たちは中国から入ってきた「アジア
ー1」という菌に家畜たちが感染したと説明している。

「水道水を飲まないように」
 ロシア消費及び衛生監視管理局のベ・ボキチコ副局長がモスクワで
開催された「2005−飲料水」フォーラムで、ロシアの水道水の2
0%は飲めないほど衛生状態が悪く特に極東とウラル連邦地域がもっ
とも悪いと発表した。現在ロシアの水道網の30%に浄水装置がなく
、60%の水道管を交替する必要があると指摘した。
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◆ 現代語感:[戦後60年その21 佐藤栄作]     MK
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 那覇空港で「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、日本にとって戦後
は終わっていない」と声明した。復帰闘争が盛り上がった1965年
、現職の総理大臣では伊藤博文(1887年)、東条英機(1943
年)以来、戦後初めて佐藤栄作首相が沖縄へ行った時のこと。

 そして1972年5月15日午前零時に沖縄の祖国復帰が達成した。
悲願であった沖縄返還を成し遂げ、その余勢を駆って行われた総選挙
は、田中角栄幹事長の采配の下、自民党が地滑り的大勝を博した。

 佐藤は、人気がなかった。本人は「栄ちゃんとよばれたい」と望ん
でいたが、革新都知事の美濃部亮吉は「ストップ・ザ・佐藤」を訴え
、「サンデー毎日」の人気調査では「辞職すべきだ」が68.5パー
セントに達した。そのうち圧倒的に多いのが「辞職勧告型」で、「早
く辞職を、新しい政治を」「たよりない、辞職すべきだ」などの感想
。ついで「嫌悪型」。嫌悪型になるとほとんど残酷なほどで、「陰険
ですね」「やり方がきたない」「昔からイヤなヤツだと思っていた」
等々(千田恒「佐藤内閣回想」)。

 ともあれ退陣したが、「テレビカメラはどこかね。今日は、新聞記
者の諸君とは話をしないことになっている。ぼくは国民に直接話した
い。新聞になると、文字になると、ちがうからね。僕は残念ながら、
偏向的な新聞は大嫌いなんだ」と言い放ち、執務室に帰ってしまった
。再開されると、すぐに記者側から抗議が出た。すると佐藤は、平手
でテーブルを叩いて、「それなら、出ていってもらいましょう」
 記者団は激昂して総退場。がらんどうになった会見室で、佐藤はぽ
つりぽつりとテレビに向かって語りかけるという孤独な退陣表明も記
憶に残る。

 「戦後60年」のシリーズは今回を持って終了します。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 6月23日、沖縄は「慰霊の日」を迎えました。あまたの命を無駄
になくした人々の無念を思い起こします。戦争を美化できる神経がわ
かりません。

◆戦後は終わっていなかった。沖縄60年目の夏。平和の礎のあちこ
ちでは涙で平和を誓う人々の姿が・・・。

◆ある「おばあ(78才)」は「戦後は終わらないほうが良い」とつ
ぶやいた。平和の礎で。戦後が終わると「次の戦争は始まる」からだ
と。
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発行     2005年6月28日   No.220
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
                Macky!                    ID:609studio
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