609studio　No.216◆現代時評:[新宿歌舞伎町] 2005/05/31

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タイトル：609studio　No.216◆現代時評:[新宿歌舞伎町] 2005/05/31

　　　　　　◇◆◇609 Studio　メール・マガジン◇◆◇　　　　　　　　　　　　　　　2005/5/31　No.216 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る！」をコンセプトに論説委員Ｋｅｎ氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記事など話題満載！　 URL ⇒ 　http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 　　　　　　　　◆６０９ｓｔｕｄｉｏ　ＮＥＷＳ◆ 　　 ◇「ジャーナリスト・ネット」毎日更新◇ 　　　ブログ形式で複数のシャーナリストがそれぞれの分野の記事を　　　発表するプロ集団のＷｅｂ新聞。　　　　　　　　http://blog/journalist_net/ ───────────◆◆◆ＩＮＤＥＸ◆◆◆─────────── ◆現代時評:[新宿歌舞伎町] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版：都合で日本語訳が届いていません。 ◆現代語感：[戦後６０年その１９奄美大島］　　　　　ＭＫ ◆編集長から：[この１週間] ───────────────────────────────── ◆現代時評：[新宿歌舞伎町] ken　　　　　　　　　　　　　Ｋｅｎ氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは　　　　　 admin@609studio.com 　へ！ ───────────────────────────────── ◆◆小泉内閣メールマガジン　2005.5.２６　小泉首相「歌舞伎町というと、不法就労の外国人が多い、あるいは暴力団などの犯罪組織の拠点になっているのではないかという不安を感じている人が多いと思います。これではいけない、安心して楽しめる街にしなくてはならない、ということで、区役所、警察、消防、入国管理事務所が協力して安全な街づくりの対策を始め、政府と東京都もこれを支援しています。」　村田国家公安委員会委員長「皆さんは、歓楽街などで、風俗店の店員からしつこく店に誘われるなどして、嫌な思いをしたことはありませんか。　新宿歌舞伎町に代表されるように、最近の歓楽街は、性を売り物にする違法な風俗店が林立し、客引きが横行しています。また、暴力団が事務所や資金集めの場所として利用するなどして、地域の治安に悪影響を与えています。人身売買で来日した外国人女性が風俗店で不法に働かされるという問題も生じています。」 ■■さらに続けて村田国家公安委員長は言う、「政府として、違法風俗店の取締りを強化するため、定められた届出のない違法な営業や、風俗店の店員による客引きを厳しく処罰するとともに、風俗店が人身売買の温床となることを防止するため、人身売買の罪で処罰された者に風俗店の許可を与えないことなどを内容とする風営法の改正案を国会に提出したところです」と。 ■■戦後行ってみた事はないが、マスコミのニュースによれば新宿歌舞伎町はたいへんな街になっているらしい。　さる５月１９日には小泉首相も直々に様子を見に行ったという。　歌舞伎町が虞犯地域としてニュースに登場したのは２０年以上も前からのことで、いまに始まったことではない。　それがいまなおニュースバリューを持ち、放置されたままになっていることこそ不思議な話である。 ■■まあ、警視庁の方にもいくらかの言訳はあろうが、ちゃんとケリをつけるのはそう難しくないと思う。　なにしろ、場所がはっきりしているし、悪いヤツは、ヤクザ並の連中と不法外国人であることが明白なのだ。　それを取締りし切れぬのは、「取締る気がないから」と断定してもいいだろう。 ■■取締りには人権の問題とか、個人の所有権に関することがあるに違いないが、そんなことを無視するのはわが国警察の伝統的に得手とするところである。こんなときこそ遠慮会釈なく、法を曲げても徹底的に現状の街を破壊し尽くすべきだ。　ことがことだから、野党諸君もそれに激しく反対することはないだろう。 ■■それをやらないのは、「盛り場」は世界中どこも同じように無法者の巣と、行政および警察が誤解しているのではないかとボクは思う。　　それがそうでない証拠のために、ボクが見て来た最近の東欧の状況を例としてお話しよう。 ■■東欧圏はつい先年まで共産党一党支配により、人権無視の状態で強引に治安を維持してきた国々である。　いまやその独裁政権が崩壊し、市民は自由を謳歌し、いわばわが国の戦後の混沌とした情況に似ているハズだ。いわゆる「第三国人」とか「特攻隊崩れ」の、外人や「やくざ」が跋扈して、政府警察が手を焼いていると思われるときではないか。　さてそれがいま、実態ではどうなっているか…。 ■■先ずチェコのプラハ。　ご存知の通りプラハは街全体が世界文化遺産に指定されている１２０万人の大都会である。つい先年まではソ連の強制支配下にあった。　いまはもちろん全世界からの観光客が街に溢れ、中心街では５０メートル置きぐらいに両替屋が存在し、１０カ国程度の紙幣はいつも飛び交っている。　市の中心部観光エリアは圧倒的に外国人の方が多い。　が、治安はすこぶるいい。　どこを歩いても、パリやニューヨークにあるような危険ムードがぜんぜんない。　しごく平和で賑やかな国際観光都市である。　チェコ政府は「近隣のポーランドやブルガリアから、スリなどがおおぜい入り込んでいるが、凶悪犯罪は先ず無い」とＰＲしている。 ■■ところがわが歌舞伎町では暴力的雰囲気が跋扈していて、スリのような軟弱犯罪（！？）はその影すら薄い。　プラハと歌舞伎町には、街の様相に両極端の開きがある。 ■■なぜプラハに凶悪犯罪が殆ど存在しないのか。　ボクにはその理由が判らない。　ただ、考えられるのは、かつての社会主義国家の、暴力犯罪を抑える厳しい警察権力が、目立たない状態でいまなお温存されているのではないか、ということだ。　それともう一つ大事なこと、それは街の盛り場全体が、まるで西欧建築博物館のごとく、ロマネスク、ゴシック、バロックからアールヌーボまでの、美しく優雅な街並みが、暴力沙汰などとマッチしない特殊なムードを形成しているからではなかろうか。　プラハの盛り場は、「盛り場」という言葉とは異質な優雅さと上品さに溢れ、つねにドボルザークとスメタナの音楽が流れている。もちろん裏町にもゴミは落ちていず、ひじょうに清潔である。　それが犯罪のムードからは激しく掛け離れていて、暴力とは縁遠い。 ■■暴力には暴力を容認する特殊なムードが先行し、汚い街がより汚くなるという習性がある。　これはボクらが既に知っている通りである。　おそらく新宿歌舞伎町には、歌舞伎町らしい暴力ムードと、犯罪の匂いが先行して存在しているに違いない。　そしてそのムードに実際の暴力や犯罪が続いている。　そうした順序を考えずに、現実に惹起した犯罪を検挙するだけでは、暴力は収束し難い。　歌舞伎町がどうにもならない原因はその辺りにある。 ■■チェコはソ連圏に属した間も、ずっと耐えて神聖ローマ帝国以来の優雅さと上品さを保ち続けてきた。　ソ連の崩壊後も、彼らチェコ市民はいわゆる「ビロード革命」で以って平和裡に政権交代を実現し、初代大統領に劇作家のハベル氏を選出した。　「劇作家の大統領が世界中に一人くらい居てもいいのではないか」というのが、彼らのエース、ハベル元大統領の10年前の就任の弁であった。そしてそれに相応しいのが、いまのプラハの街の佇まいである。　　パリやウインにも勝る美しい街プラハには、いくら外国人観光客が溢れても、暴力犯罪が存在し得ない何かがあると考えるべきだ。 ■■もっともそのプラハで、つい先週、ボクはスリに会い、有り金全部にカード類、旅券まで、そっくりすられてしまった。　届け出た警察と大使館に、「だからスリに用心しろと言ってあるではないか」と言われ、グウの音も出なかった。　なにしろ、余りにも穏やかで美しい街中で、ついうっかりと気を許してしまったボクという一観光客の失敗であった。　「暴力は取締れるが、近隣国から出稼ぎに来る手品師のようなスリだけは、空中楼閣にも似て取締りようがない」とはチェコ警察の弁である。　パリのスリには多分に暴力的要素があるが、プラハのスリは芸術家に似ている。ハッと気付くともう盗られているといった技術が存在し、暴力はおろか、その気配さえ見せない。　「スリに会ったのは気の毒だが、暴力犯罪だけはないから、安心しろ」と言われてみると、「それもそうか」と、なんだか納得したくなるのも人情である。 ■■次ぎは旧東独の首都ドレスデン、人口は５０万人。　中心街の殆どは空襲でいったん壊滅したが、もともとはザクセン王とポーランド王を兼ねたアウグストⅣ王以来のバロック建築の宝庫で、彼らの自慢は「世界でもっとも美しいバロックの街」だそうだ。　戦後60年かけてようやく大聖堂、オペラ劇場、レジデンス宮殿など、半分程度の古典的建造物がもとの姿に復元されている。なにしろ壊れた石ブロックの一つ一つを拾い上げ、新しい復元建築に組み込んでいくという、気の遠くなるような作業を、今後まだ百年は続けるらしい。　さすが「ギネスブックもののパズル作業」と言われるだけのことはある。　ところが驚いたことに、大観光地のこの街、どこを見てもゴミ一つ、塵のかけら一つ落ちてない。　清潔きわまりないドイツ人気質か。 ■■復元された中世バロック建造物が並ぶ街中に、いまようやく世界中から観光客が押し寄せる。大広場には日本からの観光団も日に２組か３組はおとずれる。　ところがこうした大観光名所にしては珍しく「みやげ物屋」が、無いことはないが、ひじょうに少ない。　まあ大半が旧西ドイツや、スエーデン・デンマークからの観光客だから、みやげ物を買う習慣が希薄で、土産物屋としての営業が成り立たないからであろうか。　それでいて復元された中世宮殿の展示物には金銀財宝、珊瑚・象牙、宝石類、美術絵画や工芸品などが溢れかえっている。いったい戦争中にはどこに隠していたのか。 ■■ゴミは皆無、みやげ物屋も少ないというこの街には暴力もなく、プラハに存在した技術者集団としての外国者スリもここではご用がないらしい。　まさに新宿歌舞伎町とは対象的な街である。　ボクが宿泊した中央駅前の、四つ星の新築大テルには、みやげ物店はおろか、絵葉書ボールペンの売り場コーナすらなかった。 ■■ドイツ人が偉いのか、ドレスデンという旧ザクセン王国首都の見識がそうせしめたのか知らぬが、とにかく美しく清潔極まりないこの旧ソ連圏都市、そして復元された大観光都市には犯罪の存在し得るムードがひじょうに少ないのは、一旅行者であるボクにもすぐ理解できた。　美しく、整然とした観光地には犯罪も暴力も住み難い。 ■■もっとも数日間のドレスデン滞在中に、１日だけ日曜日に街のあちこちに警官の姿を多く見かけた。　聞けば、その日はサッカー試合があるとかで、サポーター集団に備えての予備出動とのこと。　なるほど、ちょうど阪神タイガースファンと同じような、派手な服装をしてビールで顔を真っ赤にした若者集団が、駅前大通りを歓声を挙げながら終日歩き回っていた。　物々しい警官やパトカーの配置から考えると、酒に酔った若者たちがときとしてハメを外す可能性があるのだろう。　だがしかし、それはタイガース優勝の嬉しさに、道頓堀川に飛び込む青年たちの心情と似たようなもので、それが歌舞伎町の暴力犯罪に結び付くことは万が一にも無いと思える。 ■■不法外人の検挙や、暴力団紛いの性産業経営者たちを一本釣りにして締め出すだけでは、新宿歌舞伎町界隈の、今日の現況を直すためには迂遠の方策である。　辺りに漂う暴力的気配を根絶する必要があり、そのためには、先ずあの付近一帯を徹底的に壊し、再開発することである、と、ボクは思う。 ■■昔、ボクが住んだころの米国マンハッタンの、イーストサイドは、足を向けるのも恐ろしい黒人暴力街だった。　それが２０年後に訪れると、いわゆる億ション、超高級マンション街に変貌していた。まさに「桑滄の変」で、あの汚辱に塗れた貧民窟がいつのまにか羨望の超高層マンション地区と化していて空いた口がふさがらなかった。　　　また、昭和３０年頃、通称「日本人町」の名に誘われて訪ねたシカゴの北クラーク街は、驚いたことにアール・カポネ暴力団の住む古い街で、ボクはそこで偶然大喧嘩を目撃した。　しかしその街も、２０年後には街全体が取払われ、跡地に四十階の市民センターが建っていた。　「銀座食堂」という名のレストランは、市民センターの１階の一隅に移転していた。　食堂オーナーだった日系の婆さんが、ひよっとして生きているかもと思い、食堂を覗いて見ると、日本語の判らぬメキシコ系の娘さんが一人留守番していて、「そのような婆さんは知らない」と答えるのみであった。 ■■米国の暗黒街は、このような過程を経て、近代的な都市に生まれ変わる。　わが暴力の街「新宿歌舞伎町」も、同様の手順を経て、今ある場所を、六本木ヒルズの向こうを張るような、徹底的で立派な近代的コミュニティに変貌させるべきだ。　もし真面目な地権者に報いるべき必要があるならば、シカゴの北クラーク街の銀座食堂と同じく、新ビルに優先入居させれば、それで済む話である。 ■■要するに、不良外人が多いとか、大歓楽地であるとかは、そこが犯罪多発地である理由にはならない。　かのニューヨーク・マンハッタンの変貌を見よ。プラハの優雅さを羨望し、ドレスデン復元の努力を称えるべきである。　政府がその気になり、市民の協力さえあれば、汚濁変じて美しい近代都市と化するのはそう難しいことではない。　美しく上品な都市からは、暴力や犯罪はおのずから逃げ出すだろう。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]　２００５年５月２７日号発行　ユジノサハリンスク市　翻訳　Kil　Sang ◇詳細/写真、記事、は関連Webへ →　http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 都合で日本語訳が届いていません。届き次第お送りします。 ───────────────────────────────── ◆ 現代語感：[戦後６０年その１９奄美大島] 　　　　　ＭＫ ───────────────────────────────── 　１９４６年２月２日　北緯３０度以南の奄美諸島が日本の行政権から　切り離され、米軍の統治下に入る　１９５２年２月４日　サンフランシスコ平和条約に基づいて、北緯２　９度以北（トカラ列島の十島村）が日本へ復帰　１９５３年１２月２５日　奄美諸島が日本へ復帰　沖縄はアメリカ軍の占領とともに日本から切り離されて米軍の統治下に置かれたが、翌４６年２月２日には北緯３０度以南の奄美諸島の行政権も日本政府から米軍へ移された。発表はわずか４日前。奄美諸島では戦時中に空襲は受けたが米軍が上陸したことはなかった。終戦から半年経って突如日本から切り離されるなんて、奄美の住民たちにとってはまさに晴天の霹靂だ。（出典） http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/japan/amami.html 　沖縄の米軍統治や本土復帰は誰しも知っている史実だが、奄美大島に関しては、あまり知られていないのではないか。また沖縄は「唯一の地上戦」が行われたところだが、幸いにして奄美大島ではそのような悲惨な出来事は無かった。しかし、奄美では「４６年３月に本土出身の『日本人』が公職から追放されて鹿児島へ強制送還され、１０月に『奄美人』による臨時北部南西諸島政庁が発足、５０年１１月には奄美群島政府に昇格し、ちょっとしたミニ国家のようになった。米軍の指令によって、本土企業の支店や営業所は接収されて公営企業となり、大島中央銀行も誕生した。群島政府知事や群島議会の選挙に先駆けて、協和党や社会民主党などの独自政党が生まれ、地下組織として結成された奄美共産党は当初『奄美人民共和国の独立』を掲げた。（出典同上）　奄美も大変な時期があった・・・。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から]　　　　　　　　　　　　　　Michio　Katayama ───────────────────────────────── 　ＪＲ西日本の大惨事から１カ月が経った。まだ病院で生死をさ迷っている方々がいるという。新聞記事で見る限り、ＪＲ西日本という会社の本質はまだ変わっていない様に思えるのは、筆者だけか。　もう見えなくなってしまっているのだろうか。世間の「常識」というものが。見えなくなっているといえば、昨今の政治家の暴言・妄言。　そのうち、靖国神社を「国立」にしそうな・・・。そして歴史を書き換えて、糾弾する外国には「内政干渉だ」と開き直る・・。　あれ！？？これっていつか来た道・・。そうして国際連盟を脱退した。満州国を査察したリットン調査団の報告を不満として・・。そのときの外相松岡洋右はリットン調査団の報告に「東洋の平和を確保するとは考えられない、平和達成の様式について、日本と他の連盟国とが別個の見解であるとの結論に達した」と。　「日本と他の連盟国とが別個の見解」と「内政干渉」と。いずれも、外国の干渉は許さないという理屈。　危ないぞ。これは・・・。頼みのアメリカも国連大使の任命にてこずっている。国連軽視。国際社会からの離脱。これじゃ北朝鮮と同じ。　 ◆２９日のテレビ各局の報道番組を見ていると、自民党の面々が対中国政策、つまり小泉首相の靖国神社参拝問題に対し「軌道修正」の必要性を訴えていた。さては財界あたりからの圧力？、はたまた次の総理への布石か。 ◆そんな中、独演は安倍晋三幹事長代理。札幌で自論の「国のために命をささげた人を慰霊に行くのは当然の責務だ。次の総理も次の次の総理もお参りしていただきたい」と。　風は変わりつつあるが彼は変わらない。いや今更変われないのか。 ──────────────────────────────── 発行　　　　　２００５年５月３１日　　　No.２１６編集・発行　　609studio 　　Michio Katayama 発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料配信まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 Macky! ID:609studio e-mail admin@609studio.com website 　　　http://www.609studio.com 投稿　　　　 http://www.609studio.com　掲示板へ購読購読解除は websiteへ　　　　　　　　　　　◇禁・無断転載◇ ─────────────────────────────────

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