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タイトル:609studio No.215◆現代時評:[安保常任理事国入り]  2005/05/24


      ◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇ 
                             2005/5/24 No.215
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◆現代時評:[安保常任理事国入り]              ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2005年5月20日号

◆現代語感:[戦後60年その18 吉田 茂 2]     MK
  
◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評:[安保常任理事国入り]             ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 admin@609studio.com  へ!
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◆◆毎日インタラクティブ 2004.8.18 河野洋平衆院議長は、パウエ
ル米国務長官らが日本の国連安保理常任理事国入りには憲法9条改正
が重要な要素になると発言していることについて「日本のバックボー
ンになってきた主張を変えるとどうなるか、よく考える必要がある。
安保理常任理事国入りをやめる選択もある」と述べ、憲法を改正して
までの常任理事国入りに慎重な姿勢を示した…。 

■■ボクはこの現代時評を書くにあたって、いままで、なるべく政府
側にも、世論の大勢にもつかない、いわば第三の意見を書くよう心掛
けてきた。 しかしいま問題になっている「国連安保理事会入り」の
問題については、そうはいかない。 やや、世論おおかたの側に組す
るようだが、絶対に自民党の大勢が傾きかけている「第9条を変えて
安保理事会入り」という論に組するわけにはいかない。
 なぜならボクは、どんなことあろうと「非戦」派で、それにはいか
なる議論も不用である。 つまり、中曽根大勲位をはじめとする自民
党過半数議員のように、「改憲、そして国連の名による戦争参加」に
は、絶対反対であるからだ。

■■まず先にチョットした経験を申上げておこう。それはボクの息子
がまだ学生の頃のこと。 諄諄と説いて聞かせても、生意気盛りの息
子は口答えして、ボクに向かって喧嘩するような口調である。
 とうぜん、こちらもつい大声を上げる。 すると傍らの家内が「親
子喧嘩はやめて」という。どこにでもよくある風景だ。
 「いくら言って聞かせても聞かぬから、文句を言っているのだ。意
見をしているのであって、親子喧嘩ではない。親子喧嘩などと人聞き
の悪いことを言うな」と、こんどは家内に向かって文句をいっていて
、そこでふと気付いた。 

 要するに、親子が怒鳴り合うのが「親子喧嘩」であって、そのばあ
い、「親が正しいか、息子が正しいか」などの内容明細は不用である。
親は親が正しいと思い、息子は息子なりに理屈があればこそ、怒鳴り
あっているのであって、そこに絶対権を持ったジャッジもいないし、
隣家の人にいきさつを説明しても「親子喧嘩」という事実は変らない。

■■国と国の間でも同じだ。 アラブにはアラブの大義があり、米国
には米国の理想があり、それで揉める。ついには戦争にもなる。
 宗教的な争いなどはもっと酷い。 キリスト教には正義の十字軍が
あり、イスラムにはジハードとかいうのがあるらしい。 相手の主張
はともあれ、自分たちには自分たちの正義の旗印があるというのだ。

 欧米だけではない、戦前のわが日本にも「正義のいくさ行くところ
誰か阻まんその歩武を」という軍歌があった。 「正義」ほどいい加
減なものは無い。概念だけがあって、論理はそれに合わせてつくられ
る。

■■いまの国連も同じである。国連には国連の主張があり、国連の名
を借りた主張や正義がその辺りにうようよしている。国連に主義主張
があるかぎり、それを強制的に実行するための戦争手段として国連軍
という武力を保持する。このパターンは未来永劫に変らない。
 だからこそ、「国連安保常任理事国になりたいのなら、第9条を改
正して戦争に参加できる用意をしてきて下さい」と、パウエルさんは
言う。この人の言い分は正しい、まさにその通りである。

■■安保受任理事国になるのは、戦争の当事者になることであって、
ボクのような「非戦論者」にはその資格は無い。 かっての印度のガ
ンジーがそうであった。 いまの米国におけるクエーカーや、「物見
の塔」も非戦派であって、彼らは兵役を拒否している。

 念のため言えば、アメリカや英国においては、クエーカー教徒の場
合は、「良心的兵役拒否(Conscientious Objection)」といって「
徴兵に応じなくてもよい(その代わりに、きつい社会奉仕活動をする)
」という権利が法律で認められている。ドイツも良心的兵役拒否を認
めており、代替として社会奉仕活動に従事する義務がある。そうした
ドイツの青年が日本へやってきて、ボクの近所の福祉施設でも働いて
いる。実のところ、ドイツではそうした良心的兵役拒否者の数が既に
十数万人にも達していて、それに依存してドイツの福祉介護施設は成
り立っているという処まで進んでいる。

■■戦前の日本は、もちろん良心的徴兵拒否など認められなかった。
今は志願兵制度だが、もしほんとうに自衛隊を海外派兵し、戦死者の
数人も出れば、たちまち軍人志願は減るだろう。 とうぜんのこと徴
兵制度に切り替えねばならぬ。 しかしその前に、良心的徴兵忌避者
の問題をどう扱うか。国としての確定した態度をきめておかぬ限り、
先へ進めないという高いハードルがある。それを議論することが、「
国連常任理事国入り」を云々する以前に必要である。

■■韓国ではつい先日、宗教上の理由で兵役法違反の罪に問われた男
性被告が最高裁で有罪となった。つまり、韓国は良心的兵役拒否を認
めない国家であることが確定した。 「兵役の義務が履行されず国家
の安全が保障されなければ、人間の尊厳と価値も保障されない。良心
の自由が国防の義務に優越する価値とはいえない」というのがその理
由である。北朝鮮という現実の脅威を背景に徴兵制を敷く韓国として
、個人の基本権より国防・兵役義務など社会秩序の維持が優先される
との考えを明白に示したものであり、いつ敵が自国内に攻め込んで来
るか判らない状況下では、やむを得ぬと言えなくもない。

■■日本はそこまで切羽詰って居ない。むしろ、いい恰好して国連常
任理事国になり、世界に向かって「日本が持つ世界平和論」を大いに
海外まで鼓吹したい、というだけの話である。

 その日本的理想論も結構だ、決して悪くは無い。しかしそれなら、
それを実行するための武力が要り、国際平和軍にも参加する義務がと
うぜんある。第9条を改正して「武力による威嚇又は武力の行使を、
国際紛争を解決する手段として使用する」のがとうぜんの筋道である。
 つまり、「自分たちが考える正義」を遂行するために武力行使も厭
わない、という話である。 
 
 がしかしボクは、ガンジーのごとく、クエーカーのごとく、いかな
る場合にも武力や戦力という暴力を用いたくないのだ。

■■と、なると、例えば隣りの某国がとつぜんテボドンを撃ち込んで
きたとき、どうするか。 それは、わが国内へ敵軍が攻めこんで来な
い限り、ミサイルであろうと原子爆弾であろうと、打たれっぱなし、
落されっぱなしで辛抱するのだ。右の頬を打たれたら、左の頬も打た
れることを覚悟して、それでも辛抱するのだ。 それが「非戦」であ
って、「それは危険だから、いまのうちに敵を攻めよう」という考え
を捨てねばならない。 分は悪いが辛抱するのだ。
 いわば、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という古い諺を信じて、
叩かれっぱなしになる心掛けが前提として必要である。ボクはそれで
いいと思い、覚悟している。 それが肚のなかで決まっていないかぎ
り、クエーカーのごとき非戦論は成り立たない。

■■我々はすでに一度その経験をしている。無条件降服して、もうど
うなってもいいと思ったことがある。臥薪嘗胆と覚悟を決めたのが、
案に相違して、瞬く間に情勢が変り、うまくいって今日の日本がある。
 「非戦」とは、つまりそういう僥倖を信じることである。卑怯で無
責任なようだが致し方ない。

■■その僥倖が信じられず、戦争で以って身を守りたい国や人々が居
る。いまの北朝鮮がそうであり、イラクのシーア派とか、サドル師派
もその適例で、外から眺めていると、その無謀さがよくわかる。
 いっけん投げやりな態度、不真面目な行為に見えるが、戦争を忌避
し、僥倖を待つ方がより安全である場合が、世の中には不思議に多い。

■■だからボクは、国連安保常任理事国などにならなくてもいいから
、第9条を厳守して、戦争という危険地域に入らないでおこう、とい
うのである。
 それを、いろいろ理屈を付けて、「安全地域に於ける民生事業だか
ら自衛隊を送る」などと言って、軍隊を戦地に送り出したりするから
、いつ迫撃砲弾が撃ち込まれるだろうか、と心配するのである。

 知らぬ間に戦争に参加させられていて、いつわが自衛隊員が戦死す
るかも判らない、という冷厳な事実を忘れるべきでない。

「小泉さん、いい加減に目を覚ませ」。 あるいは「ブッシュさんの
顔を立てるのももうこのくらいにして置け」と、声を大きくして言い
たい。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2005年5月20日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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州知事マカロフ訪問

イワン・マラホフ サハリン州知事がさる13日、マカロフ地域を訪
問中に地域社会経済会議に出席した。州知事は未成年社会福祉センタ
ーの修理が予定通り行われていることをうれしく思い、区域指導者や
センターの先生方の努力に感謝すると述べた後、修理作業の完成のた
めに、200万ルーブルを支援すると約束した他、建設費用67万ル
ーブルのホッケー競技場を当市にプレゼントすると約束した。

サハリン税関創立80周年

 1925年5月16日、アレクサンドロフスクに税関が設けられた
。当時、税関職員は15人、その中の6人はルイフノフスクとオハ区
域で勤務していた。当時もここで外国の会社たちが石炭と石油を採取
していた。ここで取れた石炭と石油の殆どは日本へ送られた。他に水
産物の輸出も行われた。80年が過ぎた今、税関職員は500人以上
、2台のヘリと3台の船舶を所有しており、税関は近代化されつつあ
る。

露米太平洋パートナー設立10周年

 サハリン州政府ゲーカルロフ州政府管理指導者が12日、露米太平
洋パートナー設立10周年記念準備進行担当組織委員会会議を招集し
た。当記念行事はユジノサハリンスク市で9月12ー14日間に行わ
れる予定である。露米太平洋パートナー会には極東13地域、米国西
部沿岸5つの自治州の代表が加入している。

法案修正

 先週招集されたサハリン州議会経済政策及び予算委員会で、200
4年−2015年間、古くて危険な住宅居住者の移住支援予算が当初
より10分の1へ削減されることが検討されたことがわかった。検討
中の法案が通ると新しい住宅に移住できる人数が10分の1に減るこ
とになる。

住宅公社職員たち賃金支払要求

 エンーノヴィコサハリン州副知事と政府財政局長が数年間の未払賃
金の支払いを要求しているドリンスク住宅公社職員たちと面談をおこ
なった。副知事によると、州知事の指示で実態調査チームが組織され
、6月1日まで調査結果を州予算編成の際に参考にすることになって
いる。未払賃金総額は2,100万ルーブルに達しているとのことで
ある。

あれこれ

「タンスに250−500億ドルの現金保管」
 国際通貨基金(IMF)ロシア銀行担当者の評価によると、ロシア国
民たちは家に250−500億ドルの現金を保管しており、海外で保
管中の資金は1千500億―2千億に達している。

「アザラシ見学」
 ホルムスク区域の学生たちは先週ネベリスク港防波堤に留まってい
るアザラシを見学しに行った。アザラシたちは毎年ここで夏を過ごし
ているが、学生たちが近くに行ってアザラシの行動を観察したりアザ
ラシの生態についての講義を聴いた後、アザラシをテーマとしてゲー
ムをした。サハリン州青年問題委員会傘下の環境団体が当プログラム
を組織している。

「麻薬中毒者潜り場発見」
 サハリン州警察によると、ユジノサハリンスク市郊外の空家に麻薬
中毒者が集まっている。彼らはそこで麻薬の製造もやっているようで
、6日彼らを発見した警察は麻薬の材料と製造器具などを押収した。
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◆ 現代語感:[戦後60年その18  吉田 茂 2]      MK
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 最近、「憲法改正」問題が盛んだ。その快晴論者の一部に「アメリ
カから押し付けられた憲法」を自主制定憲法にという論がある。

 あまり知られていないかもしれないが、現在の憲法が制定されたい
きさつに吉田 茂氏の理想が込められていたという。


 東久邇宮内閣は退陣、幣原喜重郎内閣発足で幣原は吉田を伴ってマ
ッカーサーに会い、ここで日本の民主化に関する五カ条の要求を渡さ
れた。そこには女性に参政権を認めること、労働組合の結成を奨励す
ること、基本的人権の保障をすること、などがうたわれていた。吉田
にはそれは予想の範囲だったが、保守的な幣原にはショックだった。
 幣原は憲法改正の必要性を感じ、その素案をまとめますが、マッカ
ーサーに見せると即座に拒否された。この結果マッカーサー自身が憲
法素案を書く羽目になりますが、そこにうたわれた精神はマッカーサ
ーと吉田が共に理想と考えることだった。
出典:
http://www.ffortune.net/social/people/nihon-today/yoshida-shigeru.htm
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 カザフスタンで民主化要求デモ。タス通信によると、ジャーナリス
トたち2000人が集まったという。ものをいうジャーナリスト。
日本のジャーナリストは?「不偏不党」が身上。
 
◆「日本核」カードで中国に圧力ー米上院共和党政策委員会
アメリカのポチはは、核開発を望んでいるのか。迷惑な話だ。こんな
圧力のかけ方。

◆23日午後に予定されていた小泉純一郎首相と中国の呉儀副首相の
会談が中止となった。

◆「なぜ体張って反対せぬ」野中氏、同席の麻生氏を批判
そういえば、「体を張って・・」政治をする政治家がいなくなった。
前日に「解散困るので防波堤に」と当選したての山崎卓前首相補佐官。
 この殺し文句が効く政治家たち。・・・まさか。
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発行     2005年5月24日   No.215
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
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