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◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇ 2005/5/10 No.213 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る！」をコンセプ トに論説委員Ｋｅｎ氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト 版、その他、寄稿記事など話題満載！ URL ⇒ http://www.609studio.com ───────────────────────────────── ◆６０９ｓｔｕｄｉｏ ＮＥＷＳ◆ ◇「ジャーナリスト・ネット」発足・創刊準備号、毎日更新◇ ブログ形式で複数のシャーナリストがそれぞれの分野の記事を 発表するプロ集団のＷｅｂ新聞。 http://blog.livedoor.jp/journalist_net/ ◇写真展「サハリン追跡」―サハリン残留朝鮮人の記憶― 期日：２００５年３月２２日〜５月２０日 場所：立命館大学国際平和ミュージアム 同時上映：ドキュメンタリービデオ 「アリランが流れる島」 立命館大学国際平和ミュージアムＵＲＬ http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/ ───────────◆◆◆ＩＮＤＥＸ◆◆◆─────────── ◆現代時評:[不幸な生真面目さ−JR脱線事故を教訓として] ken ◆セコリョ新聞ダイジェスト版：２００５年５月６日号 ◆現代語感：[戦後６０年その１６ 日本国憲法］ ＭＫ ◆編集長から：[この１週間] ───────────────────────────────── ◆現代時評：[不幸な生真面目さ−JR脱線事故を教訓として] ken Ｋｅｎ氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは admin@609studio.com へ！ ───────────────────────────────── ◆◆読売オンライン2005.5.02 ＪＲ福知山線の脱線事故の発生から １週間を迎えた２日、兵庫県尼崎市の事故現場では、ＪＲ西日本の社 員ら約２００人が事故発生と同時刻の午前９時１８分、犠牲者に黙と うをささげた。 ◆◆毎日インタラクティブ 2005.5.02 関係者によると、改正前に 行われた一部労働組合との団体交渉で、直線の制限速度を２０キロア ップし、宝塚−伊丹間を３０秒短縮する分、中山寺駅に新たに停車す ることを会社側が説明。組合側は「遅れを出さずに運転することは無 理。慣れるまで定時運行は無理だ」などと主張し、試運転させるよう 求めたが、会社側は「ダイヤの設定上問題ない」と認めなかった。 ◆◆アサヒコム 2005.5.02 ＪＲ脱線事故での「９０秒の遅れ」 に海外の鉄道関係者が関心を寄せている。欧米では、この程度の遅れ は「時間通り」と見られている。感覚の違いには国民性や文化の差も ありそうだ。 事故を起こした快速電車は、オーバーランで伊丹駅出 発が約１分３０秒遅れ、制限速度時速７０キロのカーブに１００キロ 以上で入ったことが判明している。 米紙ニューヨーク・タイムズは 「原因には時間への強迫観念？」との記事を１面に載せ、「世界中ど こでも、９０秒遅れはおそらく定刻通りとみなされるだろう」と指摘 した。 ■■さらに続けてニューヨーク・タイムズは言う、「ニューヨーク市 交通局が列車の遅れと認めるのは「最終駅到着が５分遅れた」ときだ。 原因不明の遅れがあれば運転士から事情を聴く。「スケジュールを本 来のものに戻すためで、処罰が目的ではない。でも、速度制限違反は 罰する」と。 たしかにそうで、ボクの海外経験から言えば、列車の 遅れなどアメリカでは普通。だからといってそれで市民生活に支障を 来したということなど聞いたことも無い。 ■■昔、ボクがニューヨークのマンハッタンへ帰るため、ニューヨー ク州のアムステルダム駅から汽車に乗ったときなど、午前９時発の列 車が待てど暮らせど来ず、結局出発は午後3時になってしまった。とう ぜんニューヨーク中央駅着は夜中の零時半。まるまる１２時間の遅延 だ。 それでも誰一人苦情を言わなかった。 出迎えの男の話では、 その程度の遅れは普通で、出迎え人も初めから覚悟して待っていると のこと。 ■■イタリア・ミラノ空港から、ピサへ空路で移動したときも、朝９ 時発のアリタリア航空が遅れ、午後３時まで待たされてしまった。 しかし、その長い空港待合の間、遅れる通告はモニタ−画面であっ たきりで、遅延予定時刻を聞いても「分からぬ」の一点張り、説明も 皆無だった。 もちろん、遅延理由などは判らなかった。レンタカー で３時間ほどの距離に、結局、ピサ空港へ到着したのは夕暮れ近くで あった。 相客たちはすべて大人しく待つのみ。ボクがその間数回も 「まだか」と訊ねに行っても、「なぜそんなに急ぐのか」と言った感 じで、相手にされない。 ■■こうした海外における交通機関の時刻の不確かさは、誰もがすで に経験していることであり、いまさらここで持ち出すまでもない。 とくに、イタリア航空や、米国のナイアガラ鉄道などは、名うての 遅延常習者だから、わがJRの緻密ダイアなどと比べものにならない。 が、それにしても、「分・秒を争う」のが普通のJRの運行スケジュ ールに、「よくまあ、日本人は馴らされてしまったものよ」との思い が、我ながらしてならない。 ■■「ただいまこの列車は４分遅れで運行しています。列車が遅れた ことを深くお詫び申上げます」といったふうな車内アナウンスを聞く たびに、「なぜそんな僅かな遅れを報告し、それに【深くお詫び申上 げます】などと、よくも、白々しい心にないお詫び言葉を連発するも のだ」と、思うのはボクのみでは無かろう。 ■■こうした発着時刻の超厳密さは、いったいいつ頃からわが国鉄・ JRに定着したのだろう。明治初年に、英国の鉄道から運行方式一式と 共に導入したのだろうか。 そう思って、英国の鉄道駅を仔細に眺め ると、わが旧国鉄のローカル駅との驚くほどの類似性を見つけて、ハ ッとすることがある。出札窓口だけでなく、すぐ隣りの小荷物扱いス ペースや、そこにある台秤の佇まいまでがそっくりだ。 が、それにしては、いまの英国における鉄道時刻のルーズさはどう だ。まったく信じ難いほどである。 ■■つい２，３年前、英国の友人宅を訪問し、ご馳走になって、夜の １０時過ぎ、サザンプトン駅まで送ってもらったが、予定の汽車が遅 れて現われない。「もう結構、待って一人で乗るから、帰ってくれ」 と言うと、友人は「ここは日本の汽車と違う。遅延だけでなく、予告 無しに列車がキャンセルされることもある。乗るのを見届けないと、 こんな深夜は危ない」と言う。 ■■思うに、分・秒をあらそうわがＪＲの緻密で正確なダイアは、米 国の新聞が言う通り、「日本固有の文化」かも知れない。 さてその 文化が、良き文化であるかどうかだ。 ナニも問題さえ無ければ、完 璧で緻密なダイアは良いことであるに違いない。 だが、今回の福知 山線のような大事故を、たとい百年にいちど惹起したとしても、これ は問題だ。 ■■日本が、今日のように世界に冠たる産業国家になった基礎技術に 「信頼性工学」と、それに続く「ヴァリュー・エンジニアリング（V・ E）」がある。V・Eは価値工学と訳され、「最低の総コストで、必要 な機能を達成するために、組織的に、製品、またはサービスの機能の 研究を行う方法」と定義されている。 わが国産業、特に自動車産業 などは、このV・Eに秀でていて、品質の割に値が安い。 換言すれば 、ドイツ車や米国車と比べてわが国の自動車はおしなべて少々「ひ弱 」に造られているが、値段が安いから辛抱し、そして国際的な価格競 争に勝っているのである。 ものごとというのは、究極・絶対を求め ると、異常な努力や、それに伴うコスト高を必要とする。 それ避け るための平衡感覚がすなわちV・Eである。 ■■ちょうどそれと同じことで、所要時間を異常なまでに縮めようと するJRの努力は、結果として高いコスト、すなわち人命を損すること になる。 「時はカネなり」という格言はあるが、人命はカネで買え ぬまで高価である。 そんな高価な代価を払って、１分１秒を争うほど運行スピード速く する必要は無い。 日本の技術者ならば、１分刻みの超精緻な運行ダ イアがV・Eから考えて、得かどうかはすぐ判るはずである。 それが、米国の新聞が嘲笑うように、なぜ９０秒の速度を速めるの に血ナマコになるのか。 ■■原因は、時刻、時間ということに超精緻さを求める異常な執念が 、無意識に習慣化しているところにある。 「正確無比なダイア」と いう、旧国鉄の国際的評価に誇りを見出し、それに酔うことで、人命 軽視という重大なデメリットを見忘れていた、と言われても致し方な い。 ■■中国の古典に「苦節、固くすれば凶なり」という言葉がある。 「あまりにものごとを厳守し過ぎると、災害を招く」という意味だ が、最近のJRの、分秒刻みのダイア厳守は、まさにそれに当て嵌まる 。 少しゆっくりすればいいのであり、それによって経済効率が少々 下がっても、国が滅ぶわけでもない。 昔からすべてが気楽で、いい 加減なイタリアという国がそのいい見本である。いまにも国が崩壊す るように言われながら、G7などの会合でいつも顔を出しているところ から見ると、立派な一流国を守り続けているのだ。 ■■それに比べて日本はどうか。 端的に言えば、われわれ日本人の 弱みは、すべてについて完璧を求める「不幸な生真面目さ」にあると いえる。真面目もいいが、真面目なことが自分自身を不幸にし、さら には周辺諸国の人々に無用の緊張を強いる。 ■■いま、わが小泉首相が懸命に運動している「国連安保常任理事国 」入りに反対している国が存在するのも、われわれの「不幸な生真面 目さ」から発生する「日本への惧れ」による部分が多いことを忘れて はならない。世界一などと言われ、自らも半ばそう思っている日本の 生活が、なぜか常にあくせくし、安心して生活できないというのも、 その辺に原因がある。 ■■幸い、最近、わが国でも、静岡県掛川市を嚆矢とする「スローラ イフ運動」というのがある。 「ナンでもゆっくりやろう」という運 動である。 JRは先ず率先して「スローライフ運動に乗り出して欲し い。 「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」というスローガンも あるではないか。 ■■「交通災害を防ぐ」といった切実な目的でなくてもＪＲが率先し て「スローライフ運動」を推進してくれるならば、われわれ日本人の 生活は急に余裕あるものになること請合いである。 そのために電車 に乗る時間が少々長くなっても、国民がそう文句を言うはずはない。 「レール・スター」などと名付け、目的地に少々速く到着する新幹 線などは、国民の「苛立ち癖」を助長するだけの悪システムと考える べきである。 ■■大災害の死者に黙祷を捧げるのもいいし、遺族への謝罪行脚も悪 いとは言わない。 しかしそれらは精神主義にかまけ、そして「不幸 な生真面目さ」の延長に過ぎるような気がする。 少々「生真面目さ 」を減らして、すべてに余裕のある運営を心掛けるならば、それも一 つのV・Eで、結果的に「より安全な交通システム」を保つことになる 、とボクは信じる。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] ２００５年５月６日号 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 戦勝記念行事準備着々 戦勝６０周年記念日前夜、サハリン州知事の呼びかけで戦勝６０周 年記念準備進行組織委員会の拡大会議が開催された。州文化管理局の ヴェ・ベドジュソフ局長によると、記念行事準備は順調に行われてお り、記念行事は午前１１時、ユジノサハリンスク市のスラワ広場での 顕花からはじまり、テレビとラジオは記念行事を生中継する他、一週 間戦争老兵や戦争英雄たちに関する番組を放映する予定である。そし て、戦勝記念祝賀宴は６日、チェーホフセンターで開かれる予定であ る。 １０月ユジノサハリンスク市長と市議員選挙 ４月２７日に開催されたユジノサハリンスク市議員会議で、市の現 行規則により今年の１０月に市長と市議員選挙を行うことを決めたこ とがわかった。 戦勝記念連休 ロシア連邦政府は１４日の休日を１０日に繰り上げ、戦勝記念連休 を７日〜１０日までの４連休にすることを決めた。 あれこれ 「大規模のショッピングモール建設」 ４月中旬、ショッピングセンター経営者エス・モクロボロドフさんが 州知事に大規模のショッピングモール建設計画について説明を行った ことがわかった。モスクワとサハリン設計機関が作った設計図による と、ショッピングモールはユジノサハリンスク市内の「都市の中の都 市」というテーマで一日を中でゆっくり楽しく過ごせる施設の設計に なっている。具体的には、総面積５万２千平方メートルの３階建ての もの。衣類や食品、家具、家電製品、建材、スポーツ用品店をはじめ に美容室とゲームセンター、自家製ビールを販売するビアガーデン、 そして５００台の駐車場、貸会議室と託児施設、８００平方メートル の室内公園までも備えた近代的総合ショッピングモールにするという 。建設期間は２年。説明を聞いた州知事は誰でも利用できるように商 品もサービスも廉価にすべきであると意見を述べたと伝えられた。 「車が川に転落」 ４月２７日、アニワ区域ノヴォトロイツコエ村近くの川に某氏の自 家用車が転落して落ちた。警察は転落の理由はまだ確認できていない 。しかし、車の中から若い二人の男性死体が発見された。 「農村インテリがデモ」 ４月２８日、コルサコフ区域農村インテリグルプ医師と教師がユジ ノサハリンスク市政府に、５月１２日州議会の前で集会を開くと知ら せてきたことがわかった。商品やサービス料金の値上げの激しい今、 物価上昇に見合った給料支給が集会の目的である。 「新しい追悼碑」 ４月２４日、ユジノサハリンスク市内のヴォスクレセンスキ正教会 構内で新しい追悼碑の除幕式が行われた。同記念日はサハリン居住ア ルメニア人たちの呼びかけで作られたものである。今から９０年前の １９１５年、トルコ軍がカフカスで大敗したのはアルメニア人の裏切 りであるとの理由で同年４月２４日に数時間の間に数十万のアルメニ ア人を集団虐殺する大惨事が起きた。この惨事の犠牲者の慰霊碑がサ ハリンの地で立てられたのである。 ───────────────────────────────── ◆ 現代語感：[戦後６０年その１７ 日本国憲法] ＭＫ ───────────────────────────────── 終戦直後の日本政府の動きが現行憲法の制定に大きく影響したとい える。 終戦直後に発足した東久邇宮稔彦内閣は、連合国最高司令官総司令 部（GHQ/SCAP）への対応に追われ、憲法を見直す意図も余裕もなかっ た。そして、いわゆる「自由の指令」が出されたことを重要なきっか けとして、組閣から２か月足らずで総辞職を余儀なくされ、幣原喜重 郎内閣に交替した。 この終戦直後の短い期間、政府においては法制局と外務省が、いち 早く憲法問題に気づき、その検討を始めていた。法制局では、入江俊 郎第一部長のグループが非公式に憲法を見直すための事務的な検討を 行った。外務省条約局は、日本みずからの意思で民主主義体制を整備 する必要があるとの判断から、独自の検討を進めた。しかしこれらの 動きは、内閣の消極的な姿勢のもとで具体的な成果には結びつかなか った。（国立国会図書館より ↓↓ ） http://www.ndl.go.jp/constitution/gaisetsu/01gaisetsu.html 憲法を巡る動きが盛んだ。ひとつには憲法より現実が先行してしま うことにある。自衛隊の存在やそのイラク派兵などがそれだ。 今ひとつは、右傾化しつつあるわが国の政治家（特に５０周年の迎え る自民党）たちの集団の動き。現実に合わなくした政治家がそれを理 由にするマッチ・ポンプ式改憲論が幅を利かせている。また「アメリ カから押し付けられた憲法」論。上の国会図書館の解説を今一度。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── ジャーナリスト・ネットが始動し始めました。１１日には設立総会 が大阪のレストランで開かれます。私もその一員です。 今後の成長を楽しみにしてください。 http://blog.livedoor.jp/journalist_net/ ◆対独戦勝記念の行事が欧州各地で開催。未曾有の死者を出したロシ アでも。そのモスクワで行われる対独戦勝６０周年記念式典出席の中 韓首脳の会談で「日本は正しい歴史認識を」と両国首脳。 ◆ホワイトハウスは北朝鮮の核実験を「挑発」と規定、「抑止力」と いう用語で軍事的対応の可能性までも示唆した。（韓国・中央日報） まさかと思う米の「抑止力」行使。アフガンやイラクで実証済み？ だったら怖い。 ◆まだ続くＪＲ西日本の事故当日の宴会・ゴルフ報道。尽きぬニュー スが悪いのか、それとも・・・。 ◆８日に大阪で歌手、李栄宝さんのコンサート。在日韓国人の心を歌 い上げて好評を博した。 ──────────────────────────────── 発行 ２００５年５月１０日 No.２１３ 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 Macky! ID:609studio e-mail admin@609studio.com website http://www.609studio.com 投稿 http://www.609studio.com 掲示板へ 購読 購読解除は websiteへ ◇禁・無断転載◇ ───────────────────────────────── |