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タイトル:609studio No.211◆現代時評:[小泉首相は成長した]  2005/04/26


       ◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇ 
                             2005/4/26 No.211
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
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  ◇写真展「サハリン追跡」―サハリン残留朝鮮人の記憶―

     期日:2005年3月22日〜5月20日
     場所:立命館大学国際平和ミュージアム
     同時上映:ドキュメンタリービデオ
         「アリランが流れる島」
      
       立命館大学国際平和ミュージアムURL
    http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/ 

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◆現代時評:[小泉首相は成長した]                ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2005年4月22日号

◆現代語感:[戦後60年その15 戦後は終わった]     MK
  
◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評:[小泉首相は成長した]     ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 admin@609studio.com  へ!
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◆◆毎日新聞 2005.4.22  小泉純一郎首相は22日午前、ジャカルタ
で開幕したアジア・アフリカ会議50周年記念首脳会議で演説し、「
わが国はかつて植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジ
ア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」として「痛切なる
反省と心からのおわびの気持ち」を表明した。95年の村山富市首相
談話に沿った表現だが、日本の首相が国際会議で「反省とおわび」を
表明するのは異例。

◆◆読売オンライン2005.4.18 中国の武大偉外務次官は18日午前
、一連の反日デモに絡んで、邦人記者団に対し、「問題の根本的原因
は日本の歴史問題での不正確な態度にあって、謝罪しなければならな
い理由は中国側にない」と述べ、改めて日本側の謝罪要求には応じな
いとの姿勢を示した。

◆◆アサヒコム 2005.4.19  中国で反日デモが激化した9〜18
日に、在日中国大使館など中国関連施設にペンキを吹き付けられたり
、カミソリを送りつけられたりする嫌がらせや不法行為は10都道府
県で計25件あったことが19日、警察庁のまとめでわかった。(中
略)嫌がらせなどは中国公館が14件、日中友好会館など関連施設は
11件。

◆◆産経新聞 2004.4.19 、「中国はメンツを重んじる国。(首脳
、外相レベルの交渉ではなく)水面下で手を打つべきだ」(外務省幹
部)と、厳重抗議すべきだとの意見を戒める声が少なからずあった。
(中略) だが、そうした「良識」を示す日本側の姿勢は、あまりに
脆弱であり、弱腰にすぎまいか。

■■町村外相が「謝罪しろ、弁償しろ」と談判するため、北京まで出
向いたが、謝罪も弁償もしてもらえなかった。予想通りだ。が、わが
政府としては、取りあえず顔合わせをすれば、ひょっとして何か解決
の糸口が見付かるかも知れないと思ったか、あるいは、マスコミが煽
るように、国民のなかには向こう見ずの強硬派も居るので、その人達
への体面上、少々強硬な態度をとったフリをする必要があったのかも
知れない。いずれにしろ、外相にはご苦労な旅であった。

■■しかし、中国が謝罪拒否の理由として「あなたの過去の謝罪が出
来てない」と言われたら、これはもうグウの音も出ない。「村山さん
が謝ったではないか」と返答しても、「謝り方が足らない」と言われ
たらそれまでのこと、確かに謝り方は不足だ。 「古い話だから、も
う一度あらためて謝ってくれ」と言われれば、それなりに謝る必要が
あるだろう。現にドイツなど、耳がタコになるほど謝り続けている。

■■しかし、あまり積極的に謝り過ぎると、「ならば賠償を寄越せ」
と言われる可能性がある。彼らにとって、結果的に亡命地方政権に過
ぎない蒋国民党政府が賠償を免除したというだけでは納得し難く、ナ
ントカして賠償を取るチャンスを狙っている昨今だ。 

■■その賠償要求が心配で、わが方は謝るのを渋っている情勢のとき
、いわばたかが、わが在外公館の窓ガラスが破られ、ペンキを吹きつ
けられた程度は、半日で補修出きる偶発事故として片付ける方が納ま
りがいい。また、邦人数人が怪我させられたくらいは、我が外務省と
しては、例の悪名高き「民間事不介入」でケリを付けたいほどの些事
である。 厳しく「謝罪しろ、賠償しろ」と、こちらからは言いたく
無いばあいなのだが、なにせ、世論を味方のマスコミが、「国家の威
信の問題である」と騒ぐから、毅然とした恰好を一応取らざるを得な
いだけである。 勇ましいマスコミに「対中戦略欠如、首相は優柔不
断」と挑発されても、いまは辛抱するしかない。

■■そういう意味で、「意見の異なることがあっても、日中両国が対
立を強調したり非難しあうのではなく、未来志向で協力していくこと
が大切だと思います」という、今回の小泉首相の発言は、時宜を得て
ひじょうに立派だと思う。 小泉総理も立派な大人の政治家に成長し
、「金持ち喧嘩せず」を実行し始めたようだ。 辛抱しておれば、「
待てば海路のひより」の日も訪れようというものだ。

■■じっさい、いまの中国はオリンピックの前で、トラブルは内外
ともに避けたいところ。それに、遠くは文天祥正気の歌の昔から、
近くは義和団の事件まで、些細な人民の血気が、易姓革命を呼ぶ伝
統が中国にはあり、たとい発端は排日運動だったとしても、それが
いつ政権を覆すほどの大事件に変貌するとも限らない。 どう収拾
するか中国政府自身が考えてみれば、いつまでも反日だけで済まな
いのは分かりきっている。 要は、日本と中国、両政府とも、内外
に対する自己の体面のため「謝罪しろ、反省しろ」と口先で相互に
主張しあっているだけである。 いわば両国による「八百長芝居」
と見た方がいい。

■■ただ知っておかねばならぬのは、中国人には、意外とファナテ
ィックな歴史的伝統があることだ。 彼ら中国人は、「稽侍中の血
と為り、顔常山の舌と為り、 鬼神壮烈に泣き、慷慨胡羯(こかつ)
を呑む」と、文天祥が詠った通り、昔から「正義」を看板にした反
権力革命の習性があり、コトが解決しても、なお意識が先行して止
まぬばあいがままあるのである。 だからいま、仮に小泉首相が靖
国参拝を止め、尖閣列島を放棄したとしても、彼ら中国の「革命の
志士」たちの排日運動を収めるのはなかなか難しい。 なにせ、「
排日」と「日貨不買」は、ボクが物心ついた昭和初年から今日まで
、新聞紙上を常に賑わせている中国現代史の大トピックスである。

■■彼らの「排日」は、たとい小泉首相が「靖国参拝」を止めたと
しても、そう簡単に無くならない。 目的が「排日」、さらに「反
現政府」である限り、次ぎの新たな理由が次々と創出されるだろう。
  たしかに我々は、かって中国本土を侵略した。それを恥じ、詫び
なければならない。 が、しかし、それは60年前のことだ。自発
的に詫びるは必要としても、「詫びろ、詫びろ」と、謝罪を強制す
るのは如何なものか。 なぜなら、マレーシアの前首相も言った通
り、ものには時効というものがある。

■■新しいローマ教皇が60年前にヒットラー・ユーゲント(少年
団)であったとしても、いま教皇に選出されるのに何の支障もない
。 それが「時効」であり、そして「時効」という概念を創出した
のは人間の英知である。 いつまでも過去のしがらみに煩わされな
いための文明人の知恵なのだ。

■■昭和12年に悲惨な通州事件というのがあった。無辜の在留日
本人数百人が虐殺され、われわれは悲憤慷慨した。 事件の首魁は
中国政府軍の張慶余、張硯田だった。 もしいま仮に中国政府がこ
の二人を廟に祭り、胡錦濤主席がお参りしたとすれば、ボクら日本
人は面白くない。 だが、相手に「参詣するな」とは申し入れぬだ
ろう。 それがつまりは「時効」というものである。 

■■我々は、一夜にして10万人の死者を出した「東京大空襲」の
米国に今更、謝罪しろとも言わない。700年まえに元が攻めてき
たからといって、中国に侵略されたとも言わない。 それらはとっ
くに「時効」なのだ。 60年前のことを理由に、小泉首相の靖国
参拝をやめろと言ったりするのには、それなりの、別の思惑があっ
てのコトと考えたらいい。

■■ボクが思うのに、小泉さんの「靖国参拝」という行動は、簡単
に言えばある種の土俗信仰の表現に過ぎない。 明治の歴史学者久
米邦武は「神道は祭天の古俗」と言った。 靖国神社は、異教徒に
とって土俗信仰であり、大方の日本人にとっては伝統的信仰の一表
現である。換言すれば、宗教とか信仰というものに論理は無く、た
だ自らの安心を得るためのカタルシス的行為に過ぎない。そして、
他人の宗教に寛容であるべきはとうぜんである。 

■■ボクら日本人は、近所の神社へ行き、首相は靖国神社に参拝す
るが、それに関して他人に迷惑を掛けず、実害を及ぼすこともない
。 だから他人からとやかく言われたくないし、言われることもな
い。 もし苦情を言う人が居ても、切実な領土問題や利権問題でな
いから、ほんとうのところ、相互の間につきつめた切実性はなく、
別の、なんらかのためにする口争いの範疇を出ない。心配無用と考
えた方がいい。 

■■小泉さんが、遠慮せず「靖国参拝」を継続すれば、「さすが信
念の持ち主だ」と、後で評価されるだろう。 それが、もし中止し
たりすれば「彼はバックボーンのない総理だった」と、後世の評価
に傷がつく可能性がある。 政治家の評価などは、その程度の「毅
然とした態度」なる曖昧なもので決まるばあいが多いから、彼も用
心しなければならない。

■■だからと言って、「靖国参拝」そのものに、大きな意味も蓋然
性もないのは明白だ。 しかし利用価値はある。 彼が後世に名を
残す大物政治家たらんとすれば、他のことはさておいて「靖国参拝
」だけは貫くことだ。 そしてそれは、そう難しいことではない。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2005年4月22日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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ユジノサハリンスク市新規約検討中

 さる7日、ユジノサハリンスク市政府は改正が進められている「
ロシア内地方自治機関に関する包括的原則 F第131連邦法」の実
践担当総合委員会実務チーム第13回会議を開催した。同会議で実
務チームは新規約案に対する市民や機関代表、労働団体など3万人
の意見についての検討を行った。新規約案の中で最も注目されるの
は議員と市長選挙関連事項であるが、専門家たちは市民たちの意見
などを参考に新規約案について5月まで結論を下さなければならな
い。

州政府、畜産業支援強化

 サハリン州政府は今年、危機状態にある畜産業を救うために2千
8百万ルーブルの支援予算を策定した。6百万ルーブルは飼料購入
資金として使い、残りの2千2百万ルーブルの使い方についてはま
だ議論中である。

青年建設隊北クリル記念碑修理

 勝利60周年を向かえて州青年政策管理局主導の下で青年建設奉
仕隊が北クリルの記念碑整備のために軍艦で出航する予定である。
今、州政府は国境守備隊と青年奉仕隊の移動について協議中という。

日本へ石炭輸出

 さる13日、シャフチョルスク港から4千500トンの石炭を積
んだ船ジェイン号が日本へ向かって出港した。他にレオニード・ス
ミルヌイ号が3千トンの石炭を積んでボシュニャコボ港から日本へ
出発する。サハリン州は今年合計90万トンの石炭を輸出する予定
であり、今後も石炭輸出量を増やしていく一方、サハリンでも動力
の100%を石炭で賄わせる計画である。

エストラダオーケストラ共演

同胞白・スギョン社長が組織運営しているクルトルヌイセンターの
オーケストラ団エストラダが15日、音楽の日を迎えてオクチャブ
リコンサートホールで演奏を行った。「リンゴの落ちる場もない」
というロシアの格言を思い出させるほどホールは満員であった。ク
ラシック音楽の演奏のほか、韓国の歌やロシアの歌、舞踊団の踊り
などが観衆たちに大きな感動を与えた。

樺太時代の遺跡修理整備提案

 ベ・ゴルクノフサハリン州第1副知事が14日、終戦前の文化歴
史再生会議を招集した時、現在残っている日本樺太時代の建物や記
念碑などを修理整備することを提案したことがわかった。副知事は
日本時代のものの再生に日本からの資金援助が得られると見込んで
いる。

光復60周年記念−「写真でみるサハリン韓人の生活」

 光復60周年を迎えて写真で韓人歴史を紹介するコーナーを設け
ました。皆様方が保管している昔の写真を公開してくださいません
か。新聞で紹介した後にお返しいたします。

<写真>
1963年、コルサコフ市朝鮮学校2年生たちの「花踊り」

あれこれ

「断水」
 14日、コルサコフ市民の半分(約2万人)が飲料水の供給を中
断される事態が起きた。断水の原因は断水供給機関が電気料金を払
わなかったため、停電措置を受け、供給装置が働けなくなったため
であった。

「熱供給中断」
 春が訪れたと言っても夜は零下以下に気温が下がるサハリンで、
グルノザヴォドスク市民たちは最近寒さに震えている。原因は燃料
不足。地域住宅公社が商業銀行に融資を申し込んでいるが市政府の
保証がないと融資は出来ないと銀行側は厳しい姿勢である。市政府
が当住宅公社との話し合いの場を設けたにもかかわらず公社側はそ
の場に現れなかったのである。

「カニ不法漁労取締り強化」
 今月初め、サハリン環境庁が連邦国境守備隊と国家海上監督機関
と行った共同作戦の際、作戦隊は不法でカニ釣りの網を張っている
のを6件発覚した。作戦隊は不法漁労告発書類を作成した後、まだ
生きている網の中のカニ0.5トンを海に返した。

「新しいボイラー室建築」
 サハリン非常事態委員会がシネゴルスク部落に新しいボイラー室
を建築することを決めた。1955年に建てられた建物と設備など
の老化が激しくなったためである。暖房季節が訪れる前の夏まで工
事を完成させる予定で準備を進めている。
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◆ 現代語感:[戦後60年その15 戦後は終わった]    MK
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 昭和30年代に入り、佐藤総理が「日本の戦後は終わった」と。
高度成長時代に突入し、昭和42年にはフランス、ドイツ、イギリ
スに追いつきそして追い越し、米国に次ぐ経済大国へとのし上がっ
た。その勢いは当時「世界の奇跡」と言われたドイツを遙に凌ぎ、
昭和62年には米国を追い越し、一人当たりの国民総生産量では世
界一になった。
 そう、戦後はこの時点で終わったのだ。経済力に関しては。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 もう春が過ぎて初夏の装いと思っていましたが、まだまだ寒い日
もあるようで、着る服の選択に困るこのごろですね。
 いかがお過ごしですか。

◆韓国のイ・ヘチャン総理は22日「(日本の)過去に対する反省
には真実味が必要であり、必ず実行せねばならぬ」と。
 
⇒ジャカルタで開かれたアジア・アフリカ会議で小泉首相の演説に
対して。「真実味」と「実行」。重い言葉だ。小泉首相はこの重さ
を理解しているか。国会での答弁のようには行かぬ国際関係。
 一方、中国・胡錦涛(フーチンタオ)国家主席と会談が実現。
一応の進展を見たか。それにつけても「真実味」と「実行」

◆「謝罪表明はあった。行動を見ている」とし、今後は首相の靖国
神社参拝などで、日本側の具体的な対応を望んでいるとは中国外務
省。

⇒「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」とは何というネー
ミング。独りで行くのは怖い?中国は「強烈な不満」を表明。22
日の国会議員80人の参拝に。

◆補選で自民が勝利。小泉神話か、公明党のおかげか?いずれにし
ても鼻息は荒いぞ。
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発行     2005年4月26日   No.211
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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