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タイトル:609studio No.203◆現代時評:[ライブドアとフジテレビ]  2005/03/01


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                             2005/3/1 No.203
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
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◆現代時評:[ライブドアとフジテレビ]         ken 

◆セコリョ新聞ダイジェスト版:2005年2月25日号

◆現代語感:[戦後60年その8 板門店]        MK
  
◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[ライブドアとフジテレビ]        ken 
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
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◆◆アサヒコム 2005.2.24  ライブドアは新株予約権の発行差し止
めを求める仮処分を申請する方針で、争奪戦が長期化することなどを
嫌気した売り注文が、ライブドアとフジ双方の株に入っている。ライ
ブドアは買収費用調達のために発行された転換社債型新株予約権付き
社債が24日から株式に転換できるようになるため、1株当たりの価
値が下がるとの見方から、下落率はフジより高くなっているようだ。

◆◆中日新聞 2005.2.24 ニッポン放送株急落 ライブドア、午後に
も仮処分申請  フジテレビジョンとライブドアの経営権争いで揺れ
るニッポン放送の株価は、24日午前の東京株式市場で、前日比51
0円安の6290円と急落して取引を終えた。 前日にフジテレビを
割当先とする大量の新株予約権を発行すると発表したことが嫌気され
た…・・。

■■じつはこの問題、ボクは無視したい。なぜならボクは昔、いわゆ
る「鹿内学校」の門下生だった。どうしても私情が絡むし、最近のフ
ジ・サンケイグループのあり方に疑問を抱いているからでもある。

■■参考までに説明しておこう。その昔、終戦間も無い昭和20年代
のことである。財界、ひいては保守政権が左翼マスコミに集中包囲さ
れ、四面楚歌の状態だった。 そこで、保守系ご用のマスコミ新聞を
創設する案が出された。 ところが同じ頃、前田久吉氏オーナーの大
阪系新聞「サンケイ」が東京進出の失敗で倒産寸前になった。それを
買い取り、保守系ご用新聞に仕立て上げることになったが、さて経営
者が居ない。 結局、「義を見てセざるは勇無きなり」で、財界荒法
師の異名を持つ水野成夫、国策パルプ社長が引き受けることになった。 

■■水野氏は人も知る戦前の、共産党学生運動の闘士である。彼がサ
ンケイ新聞を引き受けるにあたって一つの条件を出した。 それは、
財界から実務担当の番頭を出すことであり、鹿内信孝氏に白刃の矢が
当たった。鹿内氏は北海道の写真館の息子、38才で日経連の専務理事
を務めた若手敏腕家で、サンケイ新聞を実質経営するにはまことに適
役であった。 水野・鹿内のバッテリーでサンケイ新聞は、「財界ご
用新聞」として再出発した。

■■まず鹿内氏が取り組んだのは「記者全員の営業社員化」であった
。 記者には、広告注文を取る義務が課せられた。広告の取れぬ記者
は容赦なく首を切られた。それまでインテリ特権者気取りだった記者
連中は恐れおののいた。 それは非情ともいわれるほどで、記者にと
ってサンケイは地獄になった。つまり、鹿内の秋霜烈日の経営手法が
瀕死のサンケイをして起死回生せしめたのである。 こうなると、い
ささか遊侠温情気味の水野御大も、鹿内氏に一目置かざるを得なくな
り、そして「サンケイ新聞」は鹿内氏のワンマン経営に転ずることと
なる。

■■いっぽう文化放送は、昭和26年の民間ラジオ放送発足に際して開
局免許割当がひじょうに少なかった。 戦前海外からの実績を持つ聖
パウロ教会が特別割当で開局し、それをのちに日経連の植村甲午郎が
引き継ぎ、続いて財界ご用新聞のサンケイに引き渡されたのが「文化
放送」、つまり現在の「ニッポン放送」が産経グループに組み込まれ
たいきさつである。 日経連の植村が「文化放送」を「サンケイ」に引き
渡したのは、両者とも日経連のご用マスコミたるべき、との認識から
である。 ところが、じつはその頃すでに「サンケイ」は鹿内のワン
マン経営下にあった。 植村日経連がそのことを認識していたかどう
かは、今となれば不明である。 それから数年を経ずしてテレビとい
う新メディアが世に出た。 しかしテレビ・チャネルの割当が少なく
、サンケイにとっては高根の花であった。 ところが「文化放送」と
「日経連」という二つの金看板を旗印に、「ニッポン放送」系テレビ
として「フジテレビ」は運良く開局し得たのであった。もしこうした
金看板がなければ、その時点ではサンケイにテレビ免許は下りなかっ
たのである。

■■その後のテレビブームで「フジテレビ」は急速に利益を上げ、親
会社の「ニッポン放送・サンケイ新聞」を凌ぐ企業となった。 が、
発足順序により、フジテレビは「ニッポン放送」の子会社という形式
になったまま、今日に至った。 こうして小さなニッポン放送が大き
なフジテレビを持ったままという状態が、今回のライブドアによる株
買占め事件の原因になったのである。

■■自分が資本を投ずることもなく、何時の間にか日経連系サンケイ
・ニッポン放送グループの超ワンマン・オーナーになった鹿内氏であ
るが、彼が健在な間はそれでよかった。 亡くなったあとは息子の鹿
内春雄が継いだが、これも急逝。 あとは娘婿の鹿内宏明が代表に就
任したが、横暴を理由に、社内クーデターで追い出されてしまった。

■■「コクド」という小さな持ち株会社が「西武鉄道」の親会社とな
る、という堤一家の前時代的な企業支配方法が「堤の西武」を崩壊さ
せた。 と同様に、「フジ・サンケイ」グループもまた、「ニッポン放
送」という、不用意にも故鹿内ワンマンが残したアキレス腱により、
いま崩壊の危機に瀕している。 豪腕明敏、かつ開明的であった鹿内
信孝氏も、急速に変化する資本社会を見抜けず、同族的経営を温存し
たまま此の世を去った。今回のライブドア・ニッポン放送事件の原因
は、他ならぬ鹿内信孝氏が残していったもの、と言えよう。

■■今にして思えば、財界ご用マスコミとして出発した「フジサンケ
イ・グループ」は、鹿内信孝氏の死後、すぐ再び日経連の管理下に戻
されるべきであったのだ。 それが鹿内家の私企業のまま残されたと
いうのは不幸なことであった。 その経営権が、いまのニッポン放送
会長日枝氏ら、旧労働組合系の人々により強奪されたのも、時代の趨
勢と言えぬことはない。 が、しかし、二流マスコミ企業の従業員に
過ぎぬサラリーマン経営者たちには、故鹿内氏ほどの敏腕も無ければ
先見性も無い。 酷評すれば、テレビ放送という、ここ20年栄えた高
収益企業の蓄積に安住するだけの、普通の経営者に過ぎない。IT産
業・ネット事業で時代変化の最先端を行くライブドア経営陣により、
安逸の脇腹を一蹴されるのも、とうぜんであった。

■■一蹴されたらどうするか。故鹿内氏であればどうしたであろうか
。 おそらく一蹴されたら、それをきっかけとして相手を、先ず自ら
の手の内に取り込み、彼らの手法を自家薬籠中に取り込んだであろう
。 取り込んだ後をどうするかは、相手の器量を見極めた上でゆっく
り考える。社長職を譲るか、あるいは追い出すか、どちらでもいい。
 そうした芸当がいまの「フジサンケイ・グループ」の経営者では出
来ない。いまにも取り殺されるかと、恐れおののくのみで、為すスベ
を知らない。

■■仮にTOBが成功して、ニッポン放送株の50%確保が出来たと
しても、ホリエモン氏とは力量が違う。いつかまた次ぎのパンチを食
らうだろう。 さらには村上ファンドの村上世彰氏がどう出るか、と
いうこともある。「前門のトラ、後門の狼」の感じがしないではない。

■■ところでいったい、日経連はこの事件をどう思っているのであろ
うか。 本来「フジサンケイ」も「ニッポン放送」も、日経連が目的
意識を持って創った会社で、彼ら「保守」を代弁する「ご用マスコミ
」であったはずで、その路線はいまなお踏襲されているかに見える。
 それを日経連の奥田会長などは、あたかも他人事のごとく「マスコ
ミ株の海外流出を怖れる」と、批評家顔するのみである。
 
■■ボクとしては、軽率にホリエモン氏を応援するわけにもいかず、
だからと言って無能なニッポン放送経営陣を支持するわけにもいかな
い。 むしろ、「日経連よしっかりしろ」と言いたい。
 この事件以来、急に喧しくなった「マスコミ株の海外流出を許すな
」といった国家的キャンペーンのときこそ、「ニッポン放送」のよう
な「ご用マスコミ」が必要であることを日経連は、身をもって想起す
べきである。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2005年2月25日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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州政府会議―水質改善に注力

  先週、サハリン州知事主管の政府会議で水質改善問題が第1の懸案
として取り上げられたことがわかった。水質改善に関する連邦レベル
での政策が欠落しているため、連邦政府からの資金援助は得られず、
全ての資金を州予算で賄っているが、ユジノサハリンスク市をはじめ
アニワ、コルサコフ、ノグリキなど一部の地域では水道パイプや給水
装置の修理整備が完了し、今後はマカロフとブイコフ、ワルシェフ地
域に関心が注がれる予定である。

原油ガスプロジェクトは露日経済協力の窓口

 サハリン州政府プレスセンターによると、今年の3月に予定されて
いるプーチン大統領の訪日を契機に、日本のNHK放送は露日経済関
係についてのドキュメンタリー番組の制作を企画しており、そのため
にサハリン州知事にインタビューを行った。現在、日本は政治のみな
らずロシア電力輸出問題やサハリン原油ガス開発に対して関心が高い
。NHKとのインタビューでイワン・マラホフサハリン州知事は「サ
ハリンと日本の経済交流強化を強調しながら、サハリン原油ガスプロ
ジェクトが両国協力の窓口である」と述べたのである。

医療関係者会議―無料治療維持と医療職員増員必要

 18日、ユジノサハリンスク市内にある病院で開かれた、医師や公
務員など医療関係指導者たちの会議によると、ユジノサハリンスク市
医療職員の平均月給は7,297ルーブルに達しており、予算不足で
有料サービスを行っている診療所も少なくないことがわかった。また
、医療設備状況は徐々に改善されつつも、医師や看護婦不足は今も問
題として指摘された。関係者は今後住民らに対する無料治療の維持と
医療職員増員が優先されるべきとのことに意見の一致をみたのである。

サハリン州人口減少−州統計委員会資料より

・2005年1月1日現在、サハリン州人口は53万2千300人。
過去1年間で5千700人が減少した。人口減少の原因は流出人口が
出生率の1.3倍に達しているからである。過去1年間、サハリン州
から他地域へ移住した人たちは3千222人。

・昨年は6千128人が生まれ(前年比の3.8%増加)、8千65
4人(前年比の2.4%減少)が死亡した。

・サハリン州内の二つの大学、即ちサハリン国立総合大学とロシア国
立商業経済総合大学ユジノサハリンスク分校の在学生は11.333
人。今年の新入生は2.682人、卒業生は1.764人。

・私立のユジノサハリンスク経済法律情報大学と三育大学の在学生は
2.524人。その中の1.723人は通信科に在学中。

・昨年の犯罪件数は13.264件。前年同期に比べ3.1%減少し
た。また、4.671人の犯人のうち、61.3%が失業者であり2
1.6%が未成年、12.9%が大学生、10.3%が女性である。


社会世論―軍服務について

 2月23日はロシアの祖国守護者の日。この日を向かえ女性たちの
声を拾ってみた。

・張・セボク(46歳、会計員):私の息子が今軍服務中。息子の無
事を祈り、元気な姿で帰ってくる日が待ち遠しい。

・李・チュンファ(62歳、年金生活者):息子と婿が10年前に軍
に行ってきました。その二人は「男は必ず軍に行くべきだ」と言って
います。しかし、ロシア政府は軍隊の現状に、より眼を向けるべきで
す。今、軍服務者たちの給料が如何に低いか。こんな安月給ではロシ
ア軍の士気と威信はあがるはずない。軍事力は国力です。

・朴・アントニナ(53歳、図書館職員):息子が入隊してから3カ
月間は眠ることもできなかった。無事に訓練を受け、今安心できる部
隊に行っているため安心はしているが。今年の5月に除隊します。そ
の日が早く訪れることを願っている。

・朴・ヴァリャ(21歳、大学生):恋人が今軍服務中ですが幸いユ
ジノサハリンスクにいます。健康で無事であることを願っている。早
く除隊してほしい。

・梁・キスン(70歳、年金生活者):政府は軍をより大事にすべき
である。時折、脱走兵のニュースを聞きます。いい両親の元から子供
が逃げることはありません。そのようにいい上司なら部隊から逃げな
いでしょう。昔のように誇りの持てるロシア軍であってほしい。

あれこれ

「経済成長率低下」
 極東地域大統領全権代表カ・プリコフスキさんが11日に行った記
者会見によると、サハリン州の経済成長率と生産量が低下している。
2004年度総生産量は3.2%で前年同期の50%水準に止まって
いるのがわかった。サハリン州経済発展の鈍化現象は自治体の収入が
少なく連邦からの予算支援額が期待に副わないからとプリコフスキさ
んは指摘した。同氏は‘連邦政府は極東地域の経済発展により関心を
向けるべきであり、当地域に対する外国投資者の誘致により積極的に
乗り込むべきであると述べた。

「暖房料金支払う能力ない」
 先週、100人のノヴォアレクサンドロフスク住民たちが地域のあ
る学校で非公式的な集いを開催した。医師や教師など給料の安い住民
たちが集まって暖房料金問題を論議するためである。月4千ルーブル
に達する暖房料金。支払う能力のない住民たちはこのような事情を説
明するために、ユジノサハリンスク市政府関係者との公式面談を行う
ことにした。
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◆ 現代語感:[戦後60年その8 板門店]       MK
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 板門店は、朝鮮戦争停戦協定の締結後、国連軍側と北朝鮮側との共
同警備区域として定められた前後左右の距離わずか800mの地域。
 今の日本では韓国映画「JSA」で有名だが、冷戦時代から東西政
治に翻弄されていた。
 ちなみにJSAは共同警備区域(Joint Security Area)の略。
今日現在、休戦ラインと呼ばれるところはここだけ。
 冷戦時代の名残でもある。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 過去5年にわたって取材してきたサハリン残留朝鮮人のビデオの編
集でこのところ眼の疲れがひどいようです。今日までほうっておいた
罰かもしれません。素材テープを一本見るたびに、撮影した当時が思い
出され、時間がかかること。もうひと分張りです。

◆「独島は韓国の領土」英政府地図が発見
  第2次世界大戦後、連合国と敗戦国の日本が1951年9月に調印
したサンフランシスコ平和条約を準備する過程で、英国政府が独島(
ドクト、日本名・竹島)を韓国の領土と認めた地図が27日、公開さ
れた。(韓国・中央日報 )
http://japanese.joins.com/html/2005/0227/20050227170827200.html

 一方、島根県が「竹島は日本の領土です」と、コマーシャル。
    http://www.pref.shimane.jp/section/takesima/top.html
県条例も制定の動き。歴史的に見てどちらが正しいかよりも、双方の
言い分が、両国の交流に支障が。ヨン様って熱を上げている場合と違
う。ただ「外務省が動いてくれないなら・・」とこんな動きを地方が
しだしたという見方もできよう。
 そうだとすると、島根県は地方分権の「華となる」か。

◆「北海道にBSE感染牛、国内15頭目」と、26日のニュース。
折から、米国産牛肉の輸入再開が押し切られようとしている。
 関係者は「感染牛が出たからといって、輸入交渉に影響はない。年
に2・3頭の感染牛が出るのは織り込み済み」と。

 冗談じゃない。食べるのは国民だ。安全はまさか「自己責任」じゃ
ないでしょうね。小泉さん。

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発行     2005年3月1日   No.203
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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