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タイトル:609studio No.196◆現代時評:[巨大津波と、その対策]  2005/01/11


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                             2005/1/11 No.196
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
 版、その他、寄稿記事など話題満載! 
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          ◆609studioから◆

 ◇サハリン悲歌(金 里博 作)は以下のページに全編を掲載いた
  しました。どうぞごゆっくりお読みください。

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  ◇ウェブログ「サハリンからの手紙」を新設しました。編集部に
  届いたサハリンからの手紙を読むことができます。
  サハリンの今が透けて見えます。
  
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  ◇サハリンの韓国語放送の2004年8月15日放送プログラム
  をUPしました。放送開始番組です。

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◆現代時評:[巨大津波と、その対策]           ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版: 2005年1月7日号

◆現代語感:[戦後60年その1 憲法論議]       MK

◆寄稿 [サハリン悲歌]             金 里博

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[巨大津波と、その対策]         ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆アサヒコム 2005.1.04 インド洋津波で4000人余りの死者
が出ているスリランカ・ガールの旧市街地で、17世紀にオランダ
が造った高さ約5メートルの城壁が津波を食い止め、住民約千人の
命を救っていた。世界遺産にも登録されている砦(とりで)の街。
 その城壁が、この国にはほとんどない防波堤の役割を果たした。 
 旧市街地は約0.3平方キロ。海岸部から続く5メートル前後の
石造りの城壁に囲まれている。 

◆◆読売新聞 2005.1.03 (わが政府は)タイ政府への提言とし
て、「津波対策は、何か一つ行えば十分というわけではない」と強
調し、〈1〉津波警報システムの早期構築〈2〉災害の予防や軽減
のための教育〈3〉沿岸部を守る「防潮林」の整備〈4〉鉄筋コン
クリートを使った住宅の促進――などを挙げた。 

◆◆小泉メール・マガジン170号 インド洋地域における津波早期警
戒メカニズムを速やかに構築するために、日本の持っている知見と
科学技術を活用し、関係国や関係機関との協力を進めます。

■■昔から怖いものに「地震、雷、火事、親父」があった。明治の
文士斎藤緑雨の随筆「みだれ箱」によれば、ほんとうに怖い順番は
この逆さまで、「親父」がいちばん怖く、若いころのボクなども「
たしかにそうだ」と思っていた。 ところが近年、親父の権威など
どこかに消えてしまい、親父が怖い腕白坊主など、どこにも居なく
なってしまった。 

■■次ぎに緑雨が挙げた怖い二番目の「火事」も、最近のように不
燃構造家屋が増え、拙宅のような老人家庭でIH(電磁誘導クッキン
グ・ヒーター)が流行れば、「住宅火事」の可能性も減ってしまっ
た。 街の消防署も、火事より救命救急車の出動が殆どになったら
しい。

■■次ぎの「雷(かみなり)」は、これもゴルフ場などの避雷線設
備が普及したいま、日常庶民の生活では、特に怖いものと言えなく
なった。 おまけに、なぜかこの頃の都会地では入道雲も雷(かみ
なり)も減り、おまけに冷房の普及で、雷さまに臍(へそ)をとら
れるような昼寝姿など見なくなってしまった。

■■怖いもの三つがほぼ消えたあと、後に残ったのは地震だけであ
る。 残った、というより、地震の怖さはいまなお日々増幅され続
ける。最近の新潟中越地震だけでなく、年末には近世紀にも稀(ま
れ)というスマトラ沖の「巨大震災」すら起こった。
 特にスマトラの場合、「震災」というよりも、それに付随する「
津波」が凄かった。 15万人が亡くなったというが、この数字はま
だまだ増えるだろう。 「地震」と「津波」はつねに1セットで、
その災害については、どちらがどう区別するわけにもいかない。

■■が、ボクの見るところ、「地震」と「津波」には判然として大
きな違いがある。
 地震は、いったん来たら、地中、つまり人間生活の根底の、目に
見えないところからやってくるのだから防ぎようがない。せいぜい
前もって家を頑丈に建てておくだけだ。  が、津波の方は、来る
方向が決まってい、来る場所も特定できる。 つまり、とうぜんの
こと海から来て、山からは来ない。(もっとも山津波というのもあ
るにはある。) だから海岸側だけに予防策を講じておけばいい。 

■■海からのみならば、困難ではあろうが、人間・人知の介入し得
る余地がいくらかあろうというものだ。 こうした防衛面における
「地震」と「津波」の性格(?)差は、じつはだいぶ大きい。
 ところが、この差に案外無頓着なせいか、地震と津波という2種
類の天災に、ただ同じく速く予知し、速く逃げるという防護法ばか
りを重要視している、と見るのはボクの僻めであろうか。 いくら
速く逃げたにしても、地震は数秒、津波も南米沖津波のときの速さ
は新幹線の七倍の速さだったというから、まあどうにもならないに
近い。

■■ボクが住む阪神地区では、十年前の大震災のとき、その予報な
ど皆無だった。 いわば、寝耳に水の阪神大震災で、逃げるヒマな
どあるハズもなかった。 気がついたとき、家はすでに倒れていた。
 ところが「東海沖大震災」の予報は、ボクの知るかぎり四十年ほ
ど前からあって、いつあっても不思議ではないと言われ続けている
。それが実現(?)しないので、最近、地震学者間では「東海地震
説」といった風な、ちょっと遠慮気味の表現に変化してきている。

■■この「東海地震説」でいちばん困るのは、もちろん静岡県であ
る。 いまにも起こるように言われ出してから既に数十年。もしこ
れで用意ができていなければ「人災」と言われても、弁明のしよう
が無い。 だからさすがに、震災予防策、つまり「津波対策の進捗
状況」については、静岡県は日本各県中ダントツだ。
 それによれば静岡県の津波対策は、ほぼ80%完成していて、全
日本の模範県らしい。 他府県の進捗状況が平均20%と較べて、
まぁ誇りうる状態らしい。 がしかし、それでももまだ20%程度
は不備と言う。過去40年、いつやってきても不思議でないと言わ
れ続ける東海沖の「津波」に、過去20数年、懸命にその対策事業
を続けて、それでなお20%が不備、というのは、その対策事業が
困難なのか、それとも熱心でないのか、原因は二つに一つだろう。
そしてボクは、その二つの原因のうちの、「不熱心」という方では
ないかと思っている。勝間田川の水門完成が平成20年の予定など
というから、静岡県としては、まあそれまで東海大震災は無いつも
りらしい。 あるいは、その程度の悠長さであろう。

■■ボクら日本人は、過去の苦痛をすぐ忘れる習性がある。「咽喉
(のど)もと過ぎれば暑さ忘れる」である。 地震に対する恐怖心
も少なく、対策も疎かになり勝ちだし、責任官庁を責めることも少
ない。 が、先ず怪しからんのは世の「地震学者」たちである。
 彼らは、もっともらしい地震についての学説を述べ立てるが、当
たったことは殆ど無い。
 あれだけ当たらなければ、ふつうの企業なら社員は馘首(くび)
、会社は倒産ものだろう。 地震学者の殆どは公立大学で高給を食
む連中だが、彼らの学説の殆どは、既に起こった地震についての「
いい訳」に過ぎない。 まして「津波」についてはその副次的学問
の域を出ない。 だから「地震学者」は居るが、「津波学者」とい
うのは居ない。

■■にも関らず、何時の間にか、日本の津波予測や津波防護は、世
界超一流と言われ、あたかもそれが立派な学問体系をなしているが
ごとく思われている。 それが嵩じて、今回のスマトラ島巨大地震
では、まるで被災地域国のすべてが日本の地震学、津波対策技術の
恩恵に浴していなかったから、災害を大きくした、というような論
調になっている。 小泉首相をはじめ、日本の官民がこぞって兄貴
面(ずら)し、指導者顔して、彼ら南方の人々に、今後の震災・津
波に備えるべく指導すると明言している。少々思いあがりではなか
ろうか。 

■■じつのところわが日本で、津波対策でもっとも進んでいると言
われている静岡県にしても、駿河湾漁港の河口水門および閘門につ
いての技術は未完成であり、 つい先年の大震災で懲りた兵庫県・
神戸市などは、盛りたくさんの震災10周年記念行事の殆どが、笛
太鼓で高価なお祭ばかりで、将来の震災対策、津波防御など、はた
して考えているのかと思いたくなるのが実情である。
 まこと日本人は災害を忘れやすく、それでどうして地震・津波対
策をアジアの国々に説けるのか、とボクなどは言いたい。

■■おそらく地震・津波について、いままでの日本人でもっとも権
威があり、実務的であったのは、ただ一人。関東大震災を予告し、
1933年(昭和8年)の三陸大津波に当たって、「最善の津波対
策は高所移転しかない」と村もろともの高所移転を勧め、それを成
功せしめた東大の今村明恒博士だけではなかったろか。 しかしそ
の今村博士にしても「津波対策には高所移転しかない」といい、今
日までそれに対する有効な代案はない、というのが実態である。い
まの地震学者たち、およびその学説に安易な期待を抱いてはならな
い。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2005年1月7日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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新年祝賀

あけましておめでとうございます。昨年のご厚意ありがとう御座い
ます。希望に満ちた多幸の一年になるますようにお祈り致します。
                    サハリン州韓人協会・老人会・離散家族会
             
新年挨拶

 サハリン韓人同胞の皆様!新年おめでとうございます。又、二重
徴用被害者家族らにセコリョ新聞半年分の購読料を支払って下さっ
た朴・チュザ社の白・スギョン社長に感謝の言葉を申し上げます。
                                ウグレゴルスク韓人会
州知事からの祝辞

 サハリンとクリル住民の皆様!ロシアが新しい年を迎えようとし
ています。我が島の住民たちがシャンパンのグラスを持ち上げなが
ら除夜の鐘の音を聞くのもあと少しです。来年はどのような一年で
ありましょう。それを予測するためには昨年を振り返ることから始
まります。皆様の家庭生活の安定と発展が州経済の変化であり、政
府の能力の判断の基準となります。昨年は年金生活者と障害者たち
の社会保障の拡大措置案を採択しました。今年はその措置を実践で
きるように努力し、子供達の教育に支援を増す計画です。
 最も大事なことは確信性です。それが生活の安定に繋がるのです。
昨年末、サハリン州住民の平均賃金は1万2千ルーブルに達しまし
た。極東で最も収入の高い地域となったのです。新年には公務員の
賃金を20%増加させる目標と立てています。住宅問題は常にあり
ます。特に若い世代の住宅安定に力を入れます。今年には一層住民
の生活水準が高くなり、安定することを願いながら、皆様方のご家
庭に幸せと健康と成功をお祈り致します。

あれこれ

「16才の泥棒」

 先週末、トマリ郵便局に一人の青年が現れた。お母さんが郵便局
で働いていると言ったので事務所に入れた。しかし、社員が昼食を
食べるために出ていた際、バックから財布を盗んで逃げた。社員の
通報で犯人は警察に捕まって拘束中である。

「偽造紙幣発見」

  昨年年末、ウラジオストクでサハリン州クラスナヤトイミ村に住
む28才の住民が100米ドルの偽造紙幣で買物しようとして拘束
された。ロシア連邦内務省州都管理局によると、2004年極東で
1821件の偽造紙幣関係犯罪があった。2003年度に比べ事件
数は増加した。ハバロフスクでも814件の偽札犯罪が発見された。

「麻薬押収」

 昨年末、ユジノサハリンスク空港警察はネベリスク市に住む女性
(1959年生)から約200kgの麻薬を押収した。麻薬の入手過
程などについて今調べ中であり、その女性はその場で拘束された。

「24世帯が新築アパートに移住」

 オハ市に奥地に住む24世帯の住民が新築された新しいアパート
に入居したことがわかった。サハリン州政府とロスネプチ原油会社
、エンカ・ロスネプチ・サハリンモルネプチェガス社は2004〜
2009年までオヤとノグリキ区域の奥地住民たちが移り住む数棟
のアパート建設契約を結んでおり、この間初めての移住が始まった
。アパート建築費用はロスネプチ社が70%、ロシア連邦政府が3
0%、地方政府が20%を出すことになっている。今度完成した2
4世帯のアパート建築にはロスネプチ社が1600万ルーブル、州
政府が連邦政府を通じて1000万ルーブルを出したのである。

「衛生取締り強化」

 年末年始を迎え住民は食品と衣類などの購入で忙しい。しかし、
商業規則は勿論のこと、衛生規則まで違反している商店が多いため
、衛生防疫所は衛生状態検査を強化させている。

「ノグリキ部落成立70周年」

 今年、ノグリキ部落は誕生70周年を迎える。この都市を記念す
る行事の準備が既に始まった。区域文化部主任によると記念アルバ
ム準備はほぼ完了しており、部落の歴史をテーマとした文学コンク
ールなど多様な行事が予定されているという。
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ご挨拶

 尊敬するサハリン・クリルの住民と読者の皆様!ロシア・韓国の
後援者の皆様!インターネット・セコリョ新聞の愛読者の皆様!明
けましておめでとう御座います。

 昨年1年間のご愛読とご声援に心から感謝致します。今年もロシ
ア唯一の韓国語新聞の維持発展できるように変わらぬ関心と支援を
お願い致します。
                  セコリョ新聞社 社員一同
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◆ 現代語感:[戦後60年その1 憲法論議]       MK
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 1945年8月に戦争が終わった。いやわが国はドイツやイタリ
アとともに「敗戦」に至った。だから負けたのだ。しかし最近のわ
が国は「負けた」ことを忘れようとしている。もう何年も前から。
 小泉首相が内閣を組織した頃からだと思う。その最たる現象が首
相の靖国神社参拝。国内外の反対を押し切っての彼の行動はひとえ
に「戦後への回帰」を目指しているとしか思えないのは筆者だけか。
 ドイツのシュレーダー首相が、ヒットラーの墓地を参拝したら世
界はそのような反応を起こすだろうか。おりしも自民党結党50年
だという。憲法改正だとの大合唱。

詳細は
  http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2004_seisaku/kenpou/

 そこで「現在は、国際テロリズムや北朝鮮の拉致事件などがあり
『憲法9条を世界にPRすれば平和になる』というような状況では
ないのです。国及び国民の安全が確保できるような憲法9条の改正
をする必要があるのです」と説く。冷戦時代にはなかった考え方だ。

 戦後60年。わが国の憲法・前文にこうある。「日本国民は、国
家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成するこ
とを誓ふ。」と。冷戦時代にも遵守してきた憲法を60年経ったか
らと言って変える必要はない。
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◆寄稿 [サハリン悲歌]                      金 里博
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        以下のページに掲載しています。
    http://www.609studio.com/html/sakhalinelegy.htm
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 ものすごい地震と津波でした。スマトラ沖地震。様々な情報が新
聞等に掲載されていますが、中でもむしょうに腹が立つのが、「被
災児を狙った人身売買の可能性」です。「容易に犯罪要素が入り込
む余地がある。性産業や『子供奴隷』として売られるのを防がなけ
ればならない」・・・いつの世も何処でも弱者が狙われるのです。
 総力を挙げて阻止せねばならない事態です。

⇒「インドへ行きます」を書いていた有木優一君が今インドのチェ
ンナイで取材中です。彼からの報告では、チェンナイも同じように
漁師が船や家を流されて困窮のきわみのようです。ビデオカメラを
まわしているので、ルポルタージュをご紹介できると思います。

⇒国連人道問題調整事務所(OCHA)は被災9カ国の死者総数を
約15万9300人と発表したが、インドネシアの行方不明者が大
幅に増加の可能性。同国保健省は9日、7万7000人が行方不明
になっていることを明らかにした。OCHAの集計では1万人。
 アナン国連事務総長は「犠牲者の正確な数を知ることはできない
だろう」と懸念。

◆悲惨といえば北朝鮮でも。韓国・中央日報は「曲がった線路の上
に飢えて倒れたコッチェビ少年・少女が登場する。また、あちこち
で火をたき、たばこを吸う10歳前後の少年も見られる。凍傷で指
を失った足を出したまま、平壌(ピョンヤン)焼酎の瓶を持って広
場をはう子供の姿もあった」と。入手したビデオからの記事と写真。

http://japanese.joins.com/html/2005/0107/20050107170156500.html

◆NHK会長の辞任人事は新聞人事?NHKは報ぜず。まだ公式で
ないのか?
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発行     2005年1月11日   No.196
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
                Macky!                    ID:609studio
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