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タイトル:609studio No.194◆現代時評:[沈黙の金か、饒舌の銀か−李登輝氏来日]  2004/12/28


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                             2004/12/28 No.194
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
 版、その他、寄稿記事など話題満載! 
           URL ⇒   http://www.609studio.com
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          ◆609studioから◆

 本年最後のメール・マガジンになりました。ご愛読に感謝いたしま
 す。来年もKen氏をはじめ、Kil Sang氏ともども、編集
 制作にまい進いたしますので、ご愛読ください。
  またご意見・お叱りなどどしどしお寄せください。
  よいお年をお迎えください。 

  ◇サハリンの韓国語放送の2004年8月15日放送プログラム
  をUPしました。放送開始番組です。

  http://www.609studio.com/html/broadcasting/onair.html  

 ◇ユジノサハリンスクでの展覧会会場スナップ写真は以下に掲載
  しました。
       http://www.609studio.com/html/news-2

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◆現代時評:[沈黙の金か、饒舌の銀か−李登輝氏来日]   ken

◆セコリョ新聞ダイジェスト版: 2004年12月24日号

◆寄稿 [サハリン悲歌  第三章 5]        金 里博

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[沈黙の金か、饒舌の銀か−李登輝氏来日]   ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆アサヒコム 2004.12.22 台湾の李登輝前総統に日本政府が査証
を発給したことについて、中国の武大偉外務次官は22日、阿南惟茂
・駐中国大使を外務省に呼び、中国側の「強い不満と抗議」を伝える
とともに、「滞在中に政治的活動を許さないよう強く求める」と申し
入れた。武次官は李氏に発給したビザの取り消しは求めなかったとい
う。

◆◆毎日新聞 2004.12.20 細田博之官房長官は20日の記者会見で
、台湾の李登輝前総統の来日について「空港に出迎えたり、旅館に押
しかけたり、汽車に同乗して取材をしたりしないでほしい」と異例の
報道自粛要請を行った。(中略)「プライベートな旅行だから、そうい
うふうに(取材)されることはご迷惑がかかるだろう」とも述べ、「
私的旅行」と主張する李氏側に対しても取材に応じないよう暗にくぎ
を刺した。

■■実際に引退したか、まだ政界活動をするのか知らないが、とにか
く、政界から引退して私人になった形式の李登輝前総統が観光のため
日本を訪れる。 日本政府はビザ発給を決めたが、とうぜんのこと中
国政府が文句を言ってきた。 典型的な内政干渉だが、彼の国にとっ
ては内政干渉は日常のことである。 勝手な国であるのは、いまに始
まらない。

■■ただし今回は、こちらがビザの取消しなどする筈も無いと分かっ
ているので、「日本政府は、経済貿易関係など各分野の発展を継続さ
せるため、歴史や台湾など敏感な問題について大局に立って妥当に処
理することを求める」と述べ、苦情に止めたようである。
 わが政府は、先日の中国原潜の領海侵犯問題について、中国側がは
っきりと謝ってこないのチャンスにして、機敏に立場交換した、とボ
クは見ている。これは上出来だった。

■■と、そこまではいい。 が、そのあと内閣官房長官が「来日した
李登輝氏に、マスコミはあまり付き纏うな」と釘をさしたのが良かっ
たかどうか。 それは正月までに分かるだろう。
 細田長官としてはごく低姿勢に「お願いする」といった程度だが、
さっそくマスコミが「よき獲物」とばかりに毒づいた。「報道の自由
は民主主義の根幹で、それに反するようなことを政府は言うべきでな
い」と。

■■そうした「言わずもがな」の政府への反論は、流石に一流マスコ
ミの口からは出なかったが、二流テレビのニュース・キャスターが、
視聴者受けすべくすぐさま噛み付いたのである。 この辺りで、一流
ニュース・キャスターと二流キャスターの差が出た、とボクはみる。

■■たしかに「言論・報道の自由」は民主主義の根幹である。何を言
おうと、何を報道しようと、それは自由だ。 だが、世の中には言っ
ていいことと、悪いこととあるのは、いまさら言うまでもない。 低
俗芸人のいわゆる「下ネタ」などは、言って悪い方の典型で、だから
ボクは吉本の低俗番組を見ない。 拙宅の家内などがいまだにテレビ
を峻拒しているのはそのトバッチリである。

■■先般来の、ヨン様に群がる中年女性のランチキ騒ぎニュースなど
は、まあ見ていて面白い。他愛もないことと解っていながら興じてい
る暇な中年女性たちの遊びは、それはそれでニュースとして面白く、
大いにやれと嗾けてもいい。

■■ところが相手が李登輝元総統ともなれば、話はだいぶ違う。だま
ってほっておくと、不用意で頑是無いマスコミたちが、ヨン様以上に
付き纏い、報道合戦を繰り広げる可能性はひじょうに大きい。 まし
てその李登輝氏が、つごうによれば「日本人はもっとしっかりせい」
と我々日本人に日本精神を説く可能性も大きい。 日本人以上に日本
人と噂される李元総統が、「独立か従属か」の瀬戸際にある台湾とい
う「国」からやってきて、それに日本のマスコミが群がれば、お隣り
の中国にとって想像以上に深刻なのは見え透いている。

■■いまの台湾は、オリンピック開催前という好機を利用して、むり
やり中国の桎梏から脱すべきか、それとも忍従を続けるかの、重大な
意思決定を迫られている瀬戸際である。 与党民新党も野党国民党も
、方法論としてどちらがよいか意見がちがっているだけで、中国従属
を願っている台湾人など居ないに等しいのだ。

■■そうした折もおり、いかに慎重な李登輝氏でも、旅先の途中の日
本で、「好機至れり」か、それとも「つい旅の気安さ」で、中国政府
の気に触るようなことを言う可能性はじゅうぶんある。彼が言わなく
ても、そこは噂を先取りすのが商売のマスコミだ。いわゆる李登輝氏
の内証の話などを作り上げる可能性も多い。
 そしてそれで日中関係がこじれる可能性は大いにある。 「滞日中
の李氏にはなるべく近付かず、観光旅行をそっと静かに見守っておい
て欲しい」というわが政府の意向はじゅうぶん納得できる。

■■日本の民主主義も大事だが、隣国中国政府にとって13億の国民統
治はもっと大事である。 それは中国という国にとってのみならず、
全世界の当面の安寧秩序にとってもひじょうに大きな影響を与えかね
ない。 そして、いまのところわが政府は、往年の頭山満や宮崎滔天
のように他国の独立運動を後押しする気はもうとう無い。
 13億の国民を抱えた中国政府に代わって、それだけの大衆をうま
く統御出きる国や政府など、地球上どこにも無い。

■■であればこそ、米国も中国に遠慮し、国連も対中国には音無しの
構えなのである。 まして核爆弾はおろか、軍備すら放棄している日
本が中国に歯向かえるはずも無い。 台湾を「わが領土」という中国
政府の主張など、世界中、どこも信じていない。にもかかわらず、表
向き「台湾は中国の一つ」に同意しているのは、みなそうした中国怖
さからのゼスチュアであり、渦中の栗は誰も拾いたくないのだ。

■■それを無責任なわがマスコミや、浅はかな一部国民が、李登輝氏
来日に合わせて、中国と台湾を争わせるような言質を得ようと企てる
ならば、日本の国益にとっても、世界の平和にとっても百害あって一
理あることではない。いかに言論の自由が大事であろうと、社会に不
測の波風を立てることはない。 「マスコミよ辛抱してくれ」と、細
田官房長官が国民に懇願するのも無理は無い。

■■昔からのことわざに「沈黙は金、雄弁は銀」というのがある。ひ
ょっとすると「言論の自由」、つまり民主主義は「金」であるかもし
れない。 が、それを敢えて「銀」に落としめても、「沈黙の金」を
なるべく守って欲しい、とわが政府は国民に要求しているのである。

■■マスコミによる自由な報道を、民主主義における「金」と断定出き
るにしても、当座、それを「銀」に格落ちさせて、「沈黙の金」を優
先して欲しいと、わが為政者たちは国民に望んで居るのだ。
 換言すれば、報道の自由を犠牲にして、当面の世界平和を優先させ
るべき、という話なのである。 それに、近頃の無定見な三流マスコ
ミの報道などは、「銀の雄弁」などといえる代物ではさらさら無い。

■■米国発グローバリズムの真髄「民主主義」が、仮に最良にもので
あるにしても、それを性急に実現しようとすれば、人類にとっての要
らざる大損害を蒙ることが大きい。そのいい例が米国のイラク侵攻で
あり、いま進行中の、米国による北朝鮮金王朝の打倒計画である。性
急過ぎる民主主義志向はリスクが大き過ぎる。来日する李登輝元総統
の周囲で騒ぎ立てるのも、結果的にそれと同じことになる、と、わが
日本政府は考えている。ボクもそれと同じ考えである。
 温和な民主主義を求めるためには、いくばくかの「言論の不自由」
もやむを得ない。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2004年12月24日号
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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州知事と記者達との面談

 22日午前11時30分サハリン州政府会議室で、イ・マラホフ 
サハリン州知事が主催したマスコミ関係者たちとの懇談会が開かれた
。知事は住民たちの平均賃金が1万2500ルーブルに達したことや
8年間の努力の末、制定に至ったロシア連邦漁労法に満足する様子を
見せた。又、来年1月から鉄道運賃が引下げされると伝えると共に電
気料金とパン価格の引下げ或いは現状維持が検討されていると明らか
にした。

州知事、サハリン韓人団体への協力を約束

  さる9日、サハリン州知事とサハリン韓人界代表との懇談が行なわ
れた。サハリン州国際対外経済及び地域間連絡委員会のヴェ・ヴェ・
ルカヴェツ委員長も同席した。州知事は2005年上半期にはプーチ
ン大統領の訪日は難しいと伝えながら、プーチン大統領訪日の際、サ
ハリン韓人問題について触れてほしい要請書は予定通り作成して送る
ように指示し、その準備を朴・ヘリョン韓人会長とルカヴェツ委員長
に委託した。又、州政府はサハリン韓人問題解決に協力すると約束し
た。

韓人社会の一致団結を要請

  来年転任が決まっているチェ・ゼグン現ウラジオストク駐在韓国総
領事がサハリンを訪問して送別晩餐会を開いた。韓人会をはじめサハ
リン韓人社会団体代表たちとユガイ・オレク州議員などが招待され参
加した席で、チェ領事は「韓人社会を日本とロシア、韓国が見ている
。皆が一致団結して声を出す必要がある」と諸団体間の協力を訴えた。

サハリン州離散家族会創立15周年―15年間1万5千人母国訪問

 さる17日ユジノサハリンスク市ガガーリンホテルの会議室でサハ
リン州離散家族会創立15周年を祝う集いが行なわれた。サハリン州
韓人会の朴・ヘリョン会長を韓人社会団体関係者とユガイ・オレクサ
ハリン州議員、支援者など50人余りが出席した。李・スジン離散家
族会長は「1989年6月22日当会が創立された。当時はまだソ連
共産党の勢力が強く韓人社会団体を組織するというのは大変勇気の要
ることであった」と創立の経緯を説明した後、15年間の成果(永住
帰国者1、522人、一時母国訪問者15、000)を報告した後、
運営や財政難について述べた。金・ユンスサハリン韓国教育院長は離
散家族会の努力と協力に対する感謝の気持ちと未だに永住帰国を待っ
ている1世たち皆が永住帰国できるように一層協力してほしいとの韓
赤李・クァンジン事務総長から送られた祝いのメッセージを代読した。

サハリン州韓人老人会の総会

 さる18日、サハリン韓人会事務所で州韓人老人会の定期総会が開
かれ、1年間の事業と運営についての報告と評価がなされた。全・サ
ンジュ会長は永住帰国と戦後補償問題解決のために行ってきた諸々の
事業についての報告を終えた後、韓国政府の高い関心と協力を訴えた
。会議は来年の推進事業となる以下の決定書を採択してから閉会され
た。

<決定書>
1)過去1年間の運営委員会の事業を肯定的に評価する。
2)永住帰国、補償問題の解決のために、諸韓人社会団体との協力の
下で、韓国及び日本政府に決定的回答を貰えるように努力する。
3)2005年米国ワシントンで開催されるサハリン問題をテーマと
する国際シンポジウムの準備に万全を期する。
4)日本の法廷で郵便貯金、国債保険問題をめぐっての訴訟を起すた
めに全力を尽くす。
5)生活難に苦しむ1世老人たちと身体障害者への支援金確保努力を
継続させる。
6)サハリン韓人強制連行史発刊に努力する。

サハリン極東地域サハリン韓人同胞の特性と提案

 2003年に行なわれた調査結果によると、極東地域に居住する我
が同胞の中でウゴレゴルスクからの移住者が約8割を占め、ハバロフ
スク州だけでも170人以上である。70才以上の高齢者の中では9
割以上を占めている。ウゴレゴルスクから他地域に移住したのち、そ
こからハバロフスクへ再び移住したものを含めるとその数字は遥かに
高くなるであろう。ウゴレゴルスク区域は南サハリンでは特別な地域
と言える。一つ、当地域は炭坑の最も多く集中した地域であった。石
炭の質もよく特に熱量の高い石炭埋蔵量が大きかったため、韓国から
多くの我が同胞が強制連行された。当時南サハリンでは有名な地域で
あった。しかし、採炭量の増加に伴い埋蔵量の減少が続き、1944
年に入ってから労働者が余り、それが問題化した。このような理由が
あって唯一当地域から日本内地即ち九州方面へ再び徴用されることが
起きたのである。当時筆者は兄3人を名好市炭坑から九州の福岡へ見
送った記憶がある。夫や父を無くし苦労に苦労を重ねながら生きた多
くの残留家族がいた。又、戦後家族を捜してサハリンへ帰ってきては
行方不明になった方も少なくない。今極東地域に住んでいる方の中に
このような人達も少なくない。
 終戦後の1950―55年間、ウゴレゴルスクの炭坑が閉鎖され仕
事がなくて苦労した炭坑夫が多かった。彼らは都市から遠く離れた山
の中に入って家庭用の鋸で木を切ったり、日本時代の王子製紙工場や
建設現場で単純労働で食べていく過酷な人生を歩まざるを得なかった
。1953―65年に山林資源の減少で王子製紙工場が廃業となり、
山仕事も工場の仕事もなくなって失業者へと転落する運命となった。
大陸からロシア人が移住してくるに連れて野菜供給不足問題が深刻化
した。そのため、野菜栽培用の土地開拓と野菜農場作り運動が始まり
、以前炭坑で働いていた同胞たちは国家農業組合で野菜栽培をするよ
うになった。当時、野菜栽培で大きな成果を上げたことでウゴレゴル
スクの韓人同胞が有名になった。しかし、1970年以後、長期間に
よる暴雨で農場や住宅が大きな被害を受ける事件があった。それを契
機にウゴレゴルスク区域のソホズで指導的立場にいた李・チュンウン
所長はウラジオストクへ、李・テホ所長はハバロフスクへ移住したの
である。(続く)  極東地域離散家族会顧問 全・ハクムン博士


「韓国鉄道会社がサハリン原油会社売入」

 アリパーエコグループが近々ペトロサフ社売買契約を結ぶことにな
るとサハリン州知事がモスクワで伝えた。ペトロサフ社はスミルヌイ
フ区域のオクルズノエ油田で原油を採取しており、サハリン−6の地
質探査をも行っている。サハリン−6はサハリンプロジェクトの中で
最も規模の大きい原油ガスブロックであり、予想している貯蔵量は1
0億トン。他にも当社は州内唯一の原油ガス工場を所有している。さ
る10月、韓国鉄道会社KNRとアリパーエコ社が売買について協議
しているとの州政府の発表があったが、先月の11月15日に予定し
ていた売買契約締結が少し遅れているとのこと。

あれこれ

「無断住宅賃貸取締る」

 住宅賃貸による収入に対し税金を払わない人々に刑事上の責任を問
うロシア連邦決定が下ろされた。即ち企業家として登録をしていない
者が住宅を賃貸して収入を得ることは犯罪ではないが、それによって
得られた収入に対し税金を払わないのは犯罪となるとのことである。
発覚された場合、10〜30万ルーブルの罰金もしくは3年の懲役を
受けることになる。又、脱税に協力した会計士も処罰を受けるように
なるとのことである。

「診断センター清算に反対」

 先月の11月16日、ユジノサハリンスク市長の決定と設立者たち
の合意により、よい設備と優秀な人材を備えたユジノサハリンスク市
医療診断センターの清算作業が始まった。クリル列島も含め州内全域
から年間500万人が訪れる当センターを住民の意見も聞かず処分す
るのは納税者である市民を全く無視する措置であり、職員を共に当セ
ンターを州政府に譲渡するようにエジナヤロシア党が市当局に強く求
めている。

「北方民族協会に圧力」

 セリョヌイ生態学党サハリン支部によると、前日原油採取プロジェ
クト実行反対の無期限デモを行うと公式発表したサハリン北方少数民
族協会が圧力を受けている。この事態と関連して9日記者会見を開き
、ロシア自由民主党サハリン支部とセリョヌイ生態学党サハリン支部
、サハリン北方少数民族協会が共同で事態に関する資料と書面をモス
クワに送ったと報告した。

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◆寄稿 [サハリン悲歌  第三章  5]               金 里博
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日本統治下の植民地時代
朝鮮人が
こよなく心を寄せ
遥の故郷、祖国を思いながら
聞き、歌った演歌に「他郷暮らし」がある。

重く腸を捩らせる
その唄を
聞く度に
歌うたびに
内地という他郷、異国での朝鮮人は
涙を流し、
張り裂ける胸を押さえながら
故郷の
父母を思い
妻子を思い
恋人を思い
友を思った−

植民地にさえ強要されなければ、
日本統治さえ避けたなら、
日本と日本人が
歴史に類を探し得ない苛酷な
武断統治や同化政策や
蔑視や差別さえしなければ
朝鮮人は
額に美しい汗し
熱い涙を出しこそすれ
虐待と加重労働の汗を流さず
血の涙を流さず
他郷暮らしをせず
無窮花や躑躅咲く故郷で
四季麗しい祖国で
素朴な百姓や職人や役者になり
また
深い考えや広い知識を持っていた者は
名をなした学者や科学者や研究者となって
朝鮮は勿論のこと
広く
中国や日本や米国や欧州に名を轟かせ
友好親善、共存共栄、共生創造、正当分配の
先頭に立ち
怨みを吐かず、補償を求めず、糾弾せず、暴露せず
しっかりと手を繋ぎ
日本の真の友人になっていた。(まだ成就していない…)

サハリンの一世朝鮮人たちが
六十年を暮らしながらも
「十年暮らせば 故郷になるものを…」を受け入れず
ひたすら
故郷を思い
故郷に帰りたいと思っているのは
単純に
今の生活が苦しいから
年をとったからという理由からではない。

彼らは
動物の「帰巣」本能してではなく
人間の本源的叫びとして、
人間たらんとして、
他の民族
他の人種としてではなく
五千年の歴史と文化と風俗習慣を
「遺伝子」とし所有している韓国人として
故郷に帰りたいと言っているに過ぎない。

それらを
否定し
無視し
甚だしくは
罵倒し
「身勝手だ!」
「分を知れ!」
「辛いのはお前だけではない!」
と曰う者がいるが
何たる厚顔無知!
何たる冷酷無人!
何たる人匪人!

鞭打った者
膏血を搾り取った者
奪い尽くし、焼き尽くし、殺し尽くした者が
はっきり判っている今でも
日本は認めも謝罪も補償もしない。

それらは
恐らく
「韓日協定」の未公開部分、秘密部分に
明確にされているからこそ
日本は
「すでに協定で解決済み!」を繰り返し
韓国も
国際「条約」の名の下に
公開しようとしないでいる。

時よ
お前は何故に
過去へも
未来へも
そんなに早く遠ざかるのか?
サハリン在住の老人たちには
在日朝鮮人・韓国人には
もっとゆっくり、
ゆっくり進むことは出来ないのか?
日本の為か?
「協定」の為か?

日本よ
何故の外面か?
何故の強弁か?

それとも
彼ら一世たちが全部死んでしまえば
過去が全て消えるとでも思っているのか?

そうではない!
彼ら一世が死に絶え
その子孫が絶えても
汝の犯した犯罪は
宇宙のように存在し
太陽のように燃え続ける。

だからこそ
その罪を償わない限り
消える事も形を変える事は無いのだ。

それとも
宇宙を破壊し
太陽を壊滅させ
海を干あげるつもりか?

おお
日本よ
日本よ−

今日も
サハリンの大地に
宗谷海峡に
玄界灘に
朝鮮海峡に
「他郷暮らし」は
通奏低音のように
響いている− 

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◆[編集長から]              Michio Katayama
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  本年最後のメールマガジンとなりました。今年はいろいろありまし
た。モスクワでの写真展やユジノサハリンスクでの写真展はもちろん
サハリンの韓国語放送もTV放送を開始しました。
 国内では台風や地震の災害、イラクでの人質事件、あげればキリが
ありません。皆様の周りではいかがでしたか?来年はより良い年にな
ることを祈っております。

◆米強硬保守派ホロウィッツ氏が23日、ワシントンのハドソン研究
所で「平壌(ピョンヤン)にはクリスマスがない:金正日政権は持続
するのか」というテーマで講演を行った。氏は「金正日政権維持の対
価がますます膨らみ、中国が(北朝鮮の)一将軍を選んで政権を奪取
させ、これによって中国軍20万人を北朝鮮に送るというシナリオを
検討中」と主張した。(韓国・中央日報)

+ホロウィッツ氏とは=金正日政権の崩壊を促すネオコン(新保守主
義者)の中でも超強硬派とされる人物。北朝鮮人権法案の草案を作成
し、この法に基づいて新設される北朝鮮人権特使の候補になっている。 

⇒偶然のなせる業か、先週土曜日に、萩原 遼氏と会った。氏は「金
正日隠された戦争」を上梓したばかり。中国の影響を力説。
 ますます眼が離せない朝鮮半島情勢。

◆北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が失敗し、北朝鮮が核を保有す
るようになれば、韓国と日本の核武装も許すべきだとの見方が出てい
る。ワシントンの進歩的シンクタンク「ケイト研究所」のカーペンタ
ー副所長とベンドー先任研究員は、今月初旬に出版した冊子「韓国の
難題:苦境に処した米国の南北(韓国・北朝鮮)政策」で、こうした
見方を示した。 

⇒危うい核のバランスを説くアメリカ。しかし「核クラブ」はこれを
許さないだろうし、わが国もそれは望まないだろう。一部の勢力を除
いては。ただますます日米同盟が強固になり、抜き差しならぬ戦争の
危険は迫る!アメリカの代理戦争。米本土は安全で朝鮮半島やわが国
は戦場と化す危険。中国もこれは許さないだろう。
─────────────────────────────────
発行     2003年12月28日   No.194
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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