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タイトル:609studio No.189◆現代時評:[たかが野球、されど野球か]  2004/11/09


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                             2004/11/9 No.189
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
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◆現代時評:[たかが野球、されど野球か]         ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年11月5日号

◆寄稿 [サハリン悲歌  第二章 5]        金 里博

◆20代のぼやき:[インドへ行きます 6]      有木優一

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[たかが野球、されど野球か]        ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
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◆◆アサヒコム 2004.11.03 「とにかくうれしい。新球団ができ
るなら、どちらでもよかった。活性化につながる」と喜んだ。ただ
、地元では、真っ先に仙台本拠で名乗りをあげたライブドアを支持
する声が根強い。 「楽天は財界をバックに裏がいろいろありそう。
これでは球界は変わらない」。(中略)  浅野知事もそうした世論
を気遣い、「ライブドアの行動がなかったら、ストライキなど、な
かったであろうことはたくさんある。感謝の気持ちでいっぱいだ」
と強調。

◆◆アサヒコム 2004.11.02  NPBが発表した資料に
よると、04年12月期の楽天の経常利益見込みが145億円に対
し、ライブドアの9月期速報値は51億円。また、楽天の営業利益
が「ネット通販」42%、「金融事業」38%で二本柱になってい
るのに対し、ライブドアは「金融事業」だけで74%を占めている
ことへの懸念から、安定性の面でも楽天の方が上位と判断した。

◆◆デイリースポーツ 2004.10.15 「アダルトゲームソフトを製
作販売しているのでは」(巨人・清武代表)。堀江社長は製作はし
ていないと強調したが「そう表記しないと販売店に扱っていただけ
ない」。これには本音を吐露し、苦しい弁解を強いられた。 審査
基準の6項目には「公共財としてふさわしい企業、球団か」の項目
がある。「公共財としての役割もあるし、尋ねないといけなかった
」とは巨人・清武代表だ。

■■むかし親しくしていた人がいた。この人は電鉄を出て球団の監
督を数十年勤めたが、あるとき「野球の殿堂入り」したらしいとの
噂が出て、さては亡くなったかと思った。というのは、人が亡くな
った時、「白玉楼中の人」ということがあるからである。ところが
この人、生きていた。 「野球の殿堂入り」というのはどいうこと
ですかとご本人に聞くと、「いや、それは、『野球の殿堂』と称す
る展示場があり、そこへ自分の顔のレリーフが展示されることです
。もう百人からの野球関係者のレリーフが飾られ、だいぶ過密です
。米国ではすでに250人以上も飾られています。野球というのは
何でも少々オーバーな表現をする習性があります」とのことであっ
た。 この話を今は亡き友人から聞いて既に10年以上経つ。
 いまあらためて、「野球の殿堂」を英文で調べてみると「Hall of 
Fame」となっている。殿堂と言うほどの場所では無い。

■■11月2日に、「NBPの実行委員会は全会一致で「楽天」のプロ
野球加盟を認めた」と、ニュースは報じた。つまり最初に申し込ん
だライブドアが拒否され、2番目に名乗りを挙げた楽天が合格した
というわけである。アダルト・コンテンツに疑念があるし、毎年、
何億円、都合によっては何十億円にものぼる球団経営への補給資金
が続くかどうかも心配だ、として最初申し込んだライブドアが撥ね
られたのである。なるほど、それはそれで理屈が立っている。

■■しかし初め、近畿鉄道が「もう球団はいやだ」と音(ね)を上
げた時、野球業界はお先真っ暗だった。11球団で公式ゲームを組
まねばならないと、一時は覚悟を決めたようでもあった。そこへ現
れたのが無名の青年、ライブドアというポータルサイトのオーナー
であると名乗った。(ボクは比較的ITに親しんで居る方だが、そ
れでも「ライブドア」という会社を、それまで知らなかった。)

■■テレビに現れたライブドアの若い社長はノーネクタイ。だが、
東大卒で、まだ独身とか。 「資産は?」と聞かれて、気軽に「5
00億円」と答え、傍らの副社長という青年が「いや、正しくは5
15億円あります」と答えた。聞いた球団経営者側から「フーム」
という驚きの溜息が流れた。それだけあれば1球団の経営は当座じ
ゅうぶんで、球界に救世主が現れたのである。野次馬のボクはその
とき一瞬爽やかな風がテレビの画面を通り過ぎたと思った。 なに
しろノ−ネクタイ、無名の青年が、500億円引っさげて失意の球
団を買いに来たのである。球団側のお偉方も同様の思いであったろ
う。

■■ところが後がいけない。次ぎに名乗りを挙げたのが、規模・資
金力共にライブドアとの間に十両と三役ほどの違いがある「楽天」
という同業者だった。無名のライブドアに較べて、楽天はいくらか
知名度もあり、幸いに社長はネクタイを締めていた。 

■■とたんにNPB委員会の態度が豹変した。傲慢そうな委員会代
表がすばやく相手の青年を見下した。先ず「ノーネクタイがいけな
い」、そして「事業の内容がいい加減なのではないか」と。自分た
ちNPBが、いまや野球という事業の経営能力さえ無くしたほどの
状態のときに、それを棚にあげて高飛車に出たのである。自分たち
野球こそ、さも高尚で立派な社会事業であるかのごとく振舞い、い
まや日の出の勢いのITという新産業経営者を見下し、軽蔑した歴史
的瞬間であった。

■■いったいどこの世に、自分たちの企業経営能力を喪失して、毎
年数億、数十億円の赤字を出し、そのため、親会社から身売りに出
されるような企業集団が野球以外にどこにあろうか。(まあ、サッ
カーも同様だが。) それも、若い従業員(野球選手は、彼らの従
業員である)たちに、何千万、何億の報酬を支払い、それが企業経
営を破滅に導いている主原因というのである。 そうした、漫然と
して悠長な企業経営を踏襲し続けて、まだいけると思っているのが
、じつのところ、いまの野球界という狭い村ではないのか。 

■■無責任な観衆という固定客の人気に持て囃されるまま、さも自
分たちこそ世に有用な、あたかも社会公益団体のごとく錯覚してい
るのが野球業界である。考えてみれば、彼らは一介のスポーツ・ゲ
ーム興行者である。どこまで世間と親会社に甘えるつもりだ、とボ
クなどは言いたい。

■■それを世間も感じている証拠に、球団経営者の中からとつぜん
不祥事による辞任者が出ても誰も驚かない。たとい協約違反のカネ
を選手の卵に支払っていようと、よしんば球団代表が猥褻行為で刑
事沙汰になろうと、社会は不思議とも思わない。野球界というのは
所詮その程度の社会だと、先刻、大衆は承知している。ところが、
彼ら野球団体のボスたちは、いったん攻守ところを代えれば、偉そ
うに身構えるのが常で、折角現れて、ひとたびは救世主のごとく思
ったライブドアの青年社長を、下げ較べした上、あっさりと捨て去
って恥じていない。野球業界にとって積年の習であろうか。

■■そうして取上げられた「楽天」のこと。 念願叶って新球団の
オーナーになれるのは目出度い。 が、ボクにとってはすこぶる感
心しないのがこの「楽天」という会社名である。むかし子供のころ、
田舎の場末に同じ名の鄙びた劇場があった。 漫才・浪花節を専門
にした場末の芝居小屋だった。60年の歳月を経て、楽天という同
じ名のバーチャル・ショッピング・モールがインターネットに現れ
たとき、ボクは何となく、その安っぽい名前に、昔の隠微な芝居小
屋のイメージを合わせた。ついでに、どぎつい吉本の大阪漫才の卑
俗さもオーバラップさせてしまった。知性も誇りも感じられない「
楽天」という場末の安ネーミング。だからボクはいまだに「楽天市
場」サイトで物など買う気にはなれない。

■■しかしその楽天ショッピング・サイトの売上が、近年、予想外
に大きく伸びた。 いまの産業社会では、理由や体裁はともあれ、
売上さえ大きければ持て囃され、尊敬される。 その「楽天」が、球
団進出を望んで2番目の名乗りを挙げ、同時に社長がテレビのイン
タビュに現れた。これは「一ツ橋卒」とかで、1100億円持って
いるという。 実のところ、先のライブドアの500億円の倍もお
カネを持っているからという理由だけで、楽天は野球業界のお目が
ねに叶ったのだ。ひょっとすると「楽天」と野球のNPBとは似た
もの同士かも知れない。 いまごろのネット・ビジネスのことだか
ら、アダルト関連については「楽天」も、「ライブドア」も似たり
寄ったりだろう。

■■といってボクは楽天を軽蔑するつもりは無い。徒手空拳、新産
業に乗り出して、取りあえずは千億・百億のカネを手にし、いまや
気息奄奄の球団を買いに来た現代版シンデレラボーイである。じゅ
うぶん感心し、尊敬もする。 軽蔑したいのは、経営能力も碌にな
いのに、親企業たちの庇護の元、社会事業ぶって威張り返っている
NPBという擬似企業家たちの集団である。
 
■■IT、つまりインターネット業界は、あっという間に無名の青
年に500億円持たせ、1000億円持たせ、壊れかかった野球業
界に救いの手を差し伸べようとする。 その将来への潜在力には恐
るべきモノがある。 さらに続いてダイエイ球団を買いたいと申し
でたソフトバンクの孫社長などは、「2兆円持っている」と軽く言
いきる。こうなると、IT業界がどこまで日本経済、いや世界経済を
牛耳るのか、底が知れない。それを、今度の球界進出騒ぎではっき
りと見せ付けてくれた。 まさかそこまでITが豊かになっていよ
うとは、誰も気付いていなかっただろう。 正直なところボクなど
、驚いている。腰を抜かすばかりなのである。

■■親掛かりで、万年赤字経営を続けている野球業界とは雲泥の差
である。 が、その野球業界が、「貴方がた、おカネ持っているの
」と、相手のお金持ちたちに聞いている。 IT側としては「分際も
弁えず、失礼なことを聞くな」と言いたいところだろう。
 オカネを持っているかどうか聞くまえに、先ず「どうしたら儲か
りますか」と辞を低くして聞くべきところだ。

■■彼らIT側は、野球に進出する理由を聞かれて、「コンテンツ
情報供給業者として、そのコンテンツのソースを抑えたい」と、異
口同音に、明確に返事をしている。 なるほど、と言いたい。
 ところが球団NPBたちは、どうやらまだその「コンテンツ」の意
味がはっきり理解出来てないらしい。時代に遅れた野球界と、時代
の先端を走るライブドア、楽天、ソフトバンクとの激しい「ITデ
ィバイス」がここにもはっきりと存在する。カネ儲けする人々と、
親企業から補給金を貰って生き長らえている人々との激しい落差を
見せつけられる。

■■ところがつい先日、テレビで不思議な発言をする人を見た。榊
原という、つい先日まで米国で「日本の頭脳」と絶賛された財務省
OBである。ライブドアか楽天かという、新球団参入問題を論ずる
番組のなかのことである。
 「インドに自分が関係している大きなIT企業があり、その会社
は千人のIT技術者を擁している。そこの経営者が、いま日本にお
いて野球参入で話題になっているIT企業を評して、どうも問題だ
という。業務が多伎に渉りすぎて内容がない、危険であるとのこと
だ。
 私も、彼らがいま野球に参入しようとするのに一抹の危惧をおぼ
える」と、榊原英資氏は言う。

■■なるほどそうかもしれない。しかし今の日本のIT産業の総て
が、千人のIT技術者を自社で抱える企業形態を取るべき必然性が
、果たしてあるであろうか。 「楽天」というサイバースペース貸
し企業に、数千人のIT技術者を雇用する必要があるとは思えない
。貸家業者が建築業者を兼ねる必要はない。また、ライブドアが、
彼らが情報を伝達するコンテンツ産業に進出するためには、野球と
いうコンテンツ源を抑える必要はあっても、システム構築のための
従業員を大量に雇用しておくこともない。

■■同じIT関連産業といっても、サイバースぺ−ス貸出し業あり、
コンテンツ供給業あり、システム構築業あり、もちろんハードウエ
ア供給業もある。 それほどのことは経済の専門家榊原先生ともな
れば先刻ご存知だろう。 しかもなお、テレビ番組における榊原氏
は、彼らIT業者たちがいま野球というコンテンツに進出するのに
疑問を呈し、インドのような大IT業者の方が安全との言い方をな
さる。
 察するに先生は、その昔の大艦巨砲主義にも似た設備産業にノス
タルジーを感じていらっしゃるのではなかろうか。 かっての紡績
、かっての製鋼所のような大産業形態を、IT産業にも「安定した
企業」として望んでいらっしゃるのではなかろうか。
 もしそうとすれば、それはIT産業に関するかぎり「木に寄って
魚を求める」の類いであり、時代錯誤も甚だしい。 ITには、I
Tに即した新しい企業形態があり、楽天も、ライブドアも、ソフト
バンクも、それぞれの道に適した企業形態を、いま志向していると
、ボクは思う。

■■かって鉄鋼産業が殷賑を極めたとき、新日鉄の稲山嘉寛氏は「
鉄は国家なり」と豪語した。 それがアタマへきたサントリーの佐
治社長は「そのような言い方が通用するなら、『ウイスキーも国家
の血液』である」と反論した。 いま、製鉄業は過大設備に喘ぎ、
ウイスキーや葡萄酒はなお隆盛を極めている。

■■国民スポーツとしての野球を経営するする人々は、いま謙虚に
なって、IT業の方々から「どうすれば野球は儲かるか」について、
ヒントを学ぶべきである。 たといそれが素人のアイデアに過ぎぬ
としても、とにかくライブドアも楽天も何か変った球団経営を目指
している。損にはならない、赤字続きの既成球団たちは研究してみ
るべきである。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年11月5日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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東北亜青少年協議会代表サハリン訪問

 さる2日、韓国東北亜青少年協議会の金・ソクホ理事長と役員た
ち3人がセコリョ新聞社を尋ねたのである。同協議会は韓人3世を
対象に母国語研修プログラムの実施を検討中であり、そのための同
胞生活現況を把握するために来島したのである。彼らは第9東洋語
文学校と経済情報法律学大学と韓人社会団体などを訪問した。又、
ユジノサハリンスク市のエフ・シドレンコ市長とも面談を行い、コ
ルサコフ市をも尋ねた。

北方少数民族大会開催

 先日、第5次サハリン州北方少数民族大会が開かれたが、60人
の代表者と参加者たちは原油ガス開発事業に伴う生態学危機、次世
代の健康問題、相対的貧困問題などについて議論した。又、州議会
の北方少数民族代表(4年任期)としてオハ地域モスカリヴォ中学
校エ・コロリョワ校長を多数決で決めた他、来年3月モスクワで開
催予定の第5次全露北方少数民族大会の代表参加者9人をも選抜し
たのである。

ガスプロムネプチ総支配人、ボグダンチコフ任命

 先日、ガスプロム社理事会は子会社ガスプロムネプチ社の成立を
決めた。有限会社ガスプロムネプチの総支配人としてエス・ボグダ
ンチコフさんが任命され、本社はサンクト・ベテブルグに設けるこ
とにした。同社は原油とガス採取とその運送及び保管業務を行う予
定である。ガスプロム社は2003年1100万トンの原油とガス
を採取した。今年は1180万トンの液体炭化水素を採取する計画
である。

統一部職員サハリン訪問

 31日、韓国統一部離散家族課鄭・スンフン課長を含め4人の事
務官がサハリン韓人社会団体代表たちと会談を行った。南北離散家
族再会事業を主管している同部署はサハリン韓人同胞と北朝鮮に居
住する元サハリン韓人との関係などを調べるために来島した。

市政府主催のセミナー:韓人戦後責任と補償を巡って

 10月30日、ユジノサハリンスク市政府会議室で金・ボクゴン
市長補佐官の司会の下で「戦後責任とサハリン韓人の補償問題につ
いて」をテーマにしたセミナーが開催された。セミナーにはエス・
ポノマリョフ州議員、呉・チンハ議員、ユジノサハリンスク経済情
報法律大学法律学部の鄭・アンドレイ学部長、ユジノサハリンスク
現代人文科学アカデミー朴・マクシム教授が招待され参加した。法
律家の鄭・アンドレイは日本の戦後責任を追及し補償の義務を強調
すると共に、今後は感情的対応ではなく法律的に対応して行くべき
であると訴えた。セミナーに参加した韓人団体代表らは法律的対応
を担っていく組織作りを決め、組織作りの準備を金・ボクゴン補佐
官に一任した。

地方に喜びを与えた「のど自慢大会」

 10月30日、ポロナイスク市で韓人ロシア移住140を記念し
てサハリン韓人芸術団「青春」主催ののど自慢大会が開催された。
同大会はポロナイスク及びマカロフ、ヴォストク、スミルヌイフ韓
人会が後援した。北方地域でははじめて大会で地元韓人たちの喜び
は大変大きかった。州韓人会をはじめ離散家族会など州中央都市か
ら多くの人々が応援に駆けつけたのである。

日本側がサハリンにゴミ焼却場建設を提案

 最近、ユジノサハリンスク市長は札幌から来島したクリモト社代
表ら(団長田中トヨカズ)と会談した。大阪市に本社のあるクリモ
ト社はゴミ焼却場の建設を提案したことがわかった。数年前、ユジ
ノサハリンスク市政府は日本会社伊藤忠の提案により一日400ト
ンのゴミを焼却できる焼却場建設を検討したことがあるが資金不足
で実行できなかった。現在ユジノサハリンスク市では毎日800ト
ンのゴミが発生しており、ゴミ山は10階ビルの高さに相当してい
るため、数年前から焼却場新設の必要性に迫られてきた。新しい焼
却場建設には1億ドルが必要で、市当局は建設費の分割払いを願っ
ている。日本側は日本政府の許可を得る必要があると言っている。

あれこれ

「中国産野菜A型肝炎菌」
 中国産野菜と果物がサハリンで再び問題を起こしている。トイモ
ブスコエ区域で中国から搬入された農産物によりA型肝炎ウィルス
にかかった患者9人が発見されたのである。10月、専門家たちが
州内5つの地域で調査を行った結果、中国産農産物に同一のウィル
スが発見された。衛生防疫所は今年の夏から中国産農産物の搬入禁
止を命じているが輸入業者たちの耳には届かないのが現状である。

「通関システムディジタル化」
 サハリン税関によると11月から税関の貨物通関システムがディ
ジタル化される。原油ガス開発関連貨物の円滑な輸送のために導入
したもので、搬入時間が以前より3分の1に短縮される。

「賄賂で逮捕」
 ポロナイスク区域出身のユジノサハリンスク市民(34才)の麻
薬取引関係者がロシア連邦サハリン麻薬統制管理局職員に3万ルー
ブルの賄賂を渡そうとして捕まった。詳しいことは捜査中。

「政治犠牲者追悼祭」
 10月31日、州中央図書館で政治弾圧犠牲者追悼の日を記念し
ての記事と本などの展示会が開かれた。展示会のテーマは名誉回復
。1937〜38年間サハリン州では4千人が政治的弾圧を受けた
。「島の思い出」という本によると、同期間中アレクサンドロフス
ク−サハリンスキ区域だけでも1535人が弾圧を受けた。この数
字は1945年南部サハリンとクリル諸島解放戦の戦死者数を上回
る。

集会のお知らせ
 尊敬する同胞の皆様!サハリン韓人問題の要求を日本政府に訴え
るために、来る11月19日12時からユジノサハリンスク駐在日
本領事館前でデモを行います。多くの方のご参加をお願い致します
。(サハリン州韓人協会)
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◆寄稿 [サハリン悲歌  第二章  5]               金 里博
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老人?
確かに老人と言えよう
ユジノサハリンスク韓人老人会のメンバーたちは。

多くの老人は東西古今を問わず
未来は薄く、過去は濃い。


まほろばの国の老人たちは
元気が有り、余裕が有り
未来も濃い。

それに比べて
ユジノサハリンスクの韓人老人たちは
活気が無く、余裕も無く
未来は更に肌寒いが
その目は死んではいず
じっと凝視し続けている。

残酷で無慈悲な過去だが
いや、だからこそ
捨て去ることも
忘れることも出来ない
老男と老女たちの身の上と運命は
カムチャッカの波濤
リマン海流そのままだ。

昨日、目を閉じた朴(パク)老人は
一時は帰国を決意したものの
結局この地に朽ち果てた。
生まれた故郷は確かに有り
懐かしい村の守り神の
天下大将軍と地下女将軍の
朝鮮トーテムポールは立ってはいるだろうが
すでに肉親、縁戚、親戚が
一人も残っていない地に
子や孫を置いて帰るのには
時間の幅が太平洋よりも広すぎたのだ−

数日続く弔い
アイゴーアイゴーの叫びと
声なき挽歌。

小便すら数分で凍ってしまう冬のサハリンでの
たった一つの慰めは
大和の地では考えられない
死体との対話が
何日も続けられるということだ。

生き残っている老人たちの
胸と全血管に
過去が天然色の走馬燈のように起き映り
慟哭が煮立ち、やがて梵唄となる。

サハリン「アリラン十二峠」の
怨み、哀しみ、切なさ、悔しさは
屍と変わっても
空の如く、海の如く存在しているだ。

一体、誰が
その怨み、哀しみ、切なさ、悔しさを
解き慰霊するのだろうか?

大和のあまりな虐待と搾取と蔑視に
遂に
白痴巫女となった都(ト)老女。

数年に一度、
それも必ず仲間の老人の弔いの日に
正気に戻り
天を打ち
地を叩き
「サハリンアリラン」を一人朗詠しては
血を吐き
気絶し
再び長い白痴の旅に出でる。

老人会のメンバーの全ては
一度や二度は発狂し
そのまま白痴になれば
どれほど良かったか!と思ったものだ。

人間の悲しみは
死にたい時に死ねず
生きたい時に生きられないところにある。

サハリンの韓老人たちは
地獄の内で
死にたかったが死にきれず
人間らしく生きたかったが生かされず
故郷への熱い思い
肉親への愛を梃子にし、糧にして
今日まで生と死を生きて来たのだ
そう
生と死を同時に生きてきたのだ。

朽ち果て
彼ら韓人の白骨は
まだ語り終わっていない
「真実」が刻みこまれており
羽毛のようの覆っている
サハリンの風と春の緑は
それを証明している−

サハリン、樺太(ファテ)
サハリン、樺太(ファテ)− 
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◆20代のぼやき:「インドへ行きます 6」            有木優一 
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 約半年間考え抜いた結果、やっと作品の大まかな像が見えてきた。
なぜ、そこまで時間がかかったのか、自分なりの考察を述べていきた
い。まず、「インド人」という概念から、僕の頭の中に「カースト制
度」を呼び覚ました。ヒンドゥーの生活様式が存在し、僕の意識では
その中にはカースト制度が大きなウェートを占めていた。それから、
実感したインド社会の不条理に連鎖反応を起こし、「迫害」に関する
同情を込めた視点でインド社会を取沙汰そうとしていた。当時、その
報告をすることが、自分の伝えたいことだろう、そしてみんなに伝え
て行くべきことだろう、と確信していた。だから、全くこの「視点」
に何の疑問も抱かなかった。

 そして、その考えを基に、より詳しい現実や事実を求めて、文献を
読み漁ると、ますます「僕の視点」は曇りだしていった。

 ふと、気付くとそこには「自分」がいなかった。というよりも、自
分を見失っていたため、その書き上げた企画書には大きな柱となりう
るものが存在していなかった。それは誰でも、作れるような作品のシ
ナリオへと仕上がっていたのだ。そのとき、これは僕自身のシナリオ
ではない、と思うようになった。それが、シリーズ「インドへ行きま
す」を書き始めた頃と重なる。

 では、なぜ約半年間も時間を要したのか。その原因は、つまり、事
象を映像化することで、その事実を映し出したはずの映像が断片化さ
れ、作り物と様変わりしていることに気付いていなかったからだろう
。だから、自分らしさを前面に押し出した作品にしたい、という考え
まで到達することに約半年間も要したのだ。

 さて、「僕のシナリオ」を考えるとするか・・・。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 地震、地震でこの一週間が過ぎたようです。余震の恐ろしさが身
にしみて。改めて自然の怖さと偉大さがわかりました。夢侮るべか
らずです。まもなく新潟には雪の便り。被災地の方々の心痛さぞや
と。

◆米大統領は「力強くテロとの戦いの継続」を訴えた。呼応する小
泉首相。「更なる同盟」は、時として「盲従」

◆イラク・ファルージャで米軍が総攻撃の様相。ベトナム戦争時も
思ったことだが、いったい誰の戦争?誰の国?そして国民は?

◆パレスチナもアラファト議長の時代が過ぎようと。混迷の中東。

◆鈴木宗男前議員に有罪判決。やる当人はおろか、官僚も又選んだ
国民にも問題がある。国会議員が地元や出身母体だけを見ていては
国は良くならない。
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発行     2003年11月9日   No.189
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
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