メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.188◆現代時評:[災害脱出と自己責任]  2004/11/02


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                             2004/11/2 No.188
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
 版、その他、寄稿記事など話題満載! 
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:[災害脱出と自己責任]                      ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年10月29日号

◆寄稿 [サハリン悲歌  第二章 4]        金 里博

◆20代のぼやき:[インドへ行きます 5]      有木優一

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[災害脱出と自己責任]                   ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆毎日新聞 2004.10.26 山古志村全員避難 壊れた生活、役場
動けず (中略)先祖から引き継いできた田畑を残し、着の身着のま
までここに着いた。村の「牛の角突き」に出場する自慢の闘牛を1
頭飼っていた。「ああ、置いてきてしまった。かわいそうだが、ど
うともならんで」。そして「生まれ育った村だ。離れたい人間がい
るだろうか」と繰り返した。 県災害対策本部によると、村の6人
が25日、「牛や、養殖のコイをほうっては行けない」と救出を拒
んだという。

◆◆サンケイ新聞 2004.10.26  新潟県中越地震で、全住民約2
000人が避難対象の山古志村で、避難を拒否したのは当初確認さ
れた6人ではなく、7人だったことが26日、県災害対策本部の調
査で分かった。うち3人は説得に応じ、天候回復を待って27日に
もヘリコプターで長岡市に避難。現地で県職員や警察官が残る4人
を説得している。4人は「避難するなら自分たちでできる」と話し
ているという。

◆◆読売オンライン 2004.10.28 (民主党)岡田氏は被災者への住
宅支援対策について、「住宅の再建支援までできるようにすべきだ
」と主張した。現行の被災者生活再建支援法が支援金の使途を全半
壊した家屋の解体・撤去などに限っているためだ。これに対し、首
相は「民主党の提案も含め与党も協議している。限りはあるが、困
窮している生活者の支援のために、何ができるか検討していきたい
」と述べた。政府・与党内には個人財産である住宅の再建・購入を
公的資金で支援することに否定な見方が強い。公明党の神崎代表も
同日の記者会見で、「個人の持ち物は難しい場合がある。そこをど
うするか。智恵を出すことが必要だ」と指摘するにとどまった。 

■■ボクのいま住んでいる街は10年前の阪神大震災で災害がもっ
とも酷かった地域と言われる。公式発表では、住宅の98%が全壊
だが、ボクの目測によれば85%くらいで、その差はなぜか、いま
だに判らない。
 それにしても、今回の中越地震の方が災害も地震の継続回数も多
いように思える。加うるにこのところ、比較的近辺、但馬豊岡の水
害が想像以上に激しいらしく、泣き面にハチで、テレビ画面を見る
と胸が痛む。

■■阪神大震災では、神戸に住む身近な友人二人の家もやられた。
一人は駅前のコンクリート3階建て小料理屋、もう一人は商店街に
並ぶ木造2階建てタバコ屋であった。 どちらも市から「全壊」と認
定され、「危険」および「近所迷惑」の理由で、「いま取り壊すなら
費用は全額市役所負担」と言われたが、外見では大したことも無さ
そうだった。
 どちらも計測するとだいぶ傾いているらしい。コンクリート建て
の方は思いきり良く解体。そのあとすぐ、常連飲み客の共同奉仕に
よる廃材応急建築が新聞種になり、いっとき復興美談になった。い
っぽう、木造2階建ての友人は「解体」を拒否し、自前で頼んだ大
工に補強の木柱を入れてもらい、いまもそのまま商店街でタバコ屋
を営んでいる。「解体」を勧告されたころは、2階に寝ていて、朝
、目が覚めると、夫婦ともいつも部屋の隅にカラダが自動的に移動
しているので、おそらくそちらへ傾いているのだろうと推察したと
いう。
 解体を拒否するのに勇気が要ったらしい。

 解体したコンクリート3階建ては、今になって考えると、解体し
なくてもよかったのに、と思う。 じじつ、うちの近所で、解体を
拒否した木造の小家屋があり、いまもちゃんと残っている。それを
見ると、震災当座、市役所が解体を勧め過ぎた感じのようである。

■■今回の新潟県中越地震に関して新聞は、「県は26日、村民の
ほぼ全員が長岡市に避難した山古志村に、肉牛約1000頭と、民
家が闘牛として飼育している約40頭が取り残されている」ことを
明らかにした。 県畜産課によると、食肉の単価で試算すると高価
なものでは1頭100万円の価値があり、県は「人命救助が最優先
だが、産業として1000頭を無視できない」としている。牛は1
日約20リットルの飲み水が必要で、村では水を近くの沢からポン
プでくみ上げていたが、停電のため不可能。牛舎の敷地内にコイの
飼育に使っていた池があることが分かり、牛を放牧状態にして自由
に水を飲めるようにしたが、あくまで当面の対応」と報じている。

■■大災害があれば、住民の避難にしろ財物の移動にしろ、結局は
重大な判断を当事者自身がしなければならない。もし判断を誤れば
人命を損し、大きな財貨を失う。ところが最近の状況を見ていると
、情報力と見識を武器に、善意ではあろうが役所がそうした判断に
あまりにも大きく介入し過ぎているように感じることが多い。そし
てそれが過保護でひ弱な国民を育成し過ぎているのではないかとボ
クは危惧する。

■■さらに加えて、そうした役所依存のムードをマスコミが助長し
ているように思う。 ナニかことあると、彼らマスコミは「いった
い政府はどうしているのだ」、「天災ではなくて人災である」、あ
るいは「社会の責任である」などなど言う。 もしそれが子供相手
ならば「子供たちをこんなにしてしまったのは大人たちの責任であ
る」と、一見もっともらしい論評をする。天災の責任はすべて政府
にあり、子供の愚行はオトナが作り、普通の大人の招いた失敗は社
会に起因するとなれば、それはいわゆる「責任のたらい回し」で、
政府の責任、オトナの責任、社会の責任論が、ほんとうの責任の存
在個所を曖昧にしてしまう。

■■過般の3人のイラク人質事件では、ようやく勇を鼓して政府や
マスコミが、「政府が禁止した危険な国へ行ったのは自己責任であ
る」と言出し、それもそうかと国民もいっときは半分納得した気配
だった。ところが他所の国務長官が「イラクへ行ったNGOたちは
勇気ある人々だ」とぶち上げたから堪ったものではない。たちまち
「自己責任」論の政府やマスコミがシュンとなってしまった。

■■そして今回、一人また人質が捕まったが、わが政府やマスコミ
はどう言っていいか戸惑っているような気配に見える。どうやら「
自己責任」という言葉は禁句になっているらしく、政府にも新聞に
もその言葉は出てこない。 唯一、勇気あり気な某紙が、次ぎのよ
うに言っているだけである。
 「人質になった邦人は、制止の声を振り切ってイラク入りしてい
る。(中略)一人の認識の甘さが、復興と民主化プロセスに深刻な
影響を与えかねない。それが、イラクの現実である。 一人の認識
の甘さが、復興と民主化プロセスに深刻な影響を与えかねない。」
と。  

■■他のマスコミは、すべて今回の人質事件関してはそこまで触れ
ていない。様子を眺めているのだろう。 しかし、CNNニュース
の2004年4月27日には、「イラクで武装勢力に拘束された市
民団体メンバー何某と、ジャーナリスト何某の2人が27日、東京
・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した。拘束時の様子を改
めて振り返るとともに、政府・与党や一部メディアに根強い『自己
責任』を問う声に反論した」という記録が残っている。要するにそ
の日以来、マスコミは「自己責任」という慣用句に及び腰である、
と言ってもいい。小泉さん以下、政府は「自己責任」といわず、「
捕らわれた国民の救助に全力を尽くす」と、手の平を反したように
低姿勢である。

■■しかし、生涯を自分の才覚だけで生きて来たボクとしては、ど
ちらかというと「自己責任」という言葉が好きだ。少々苛酷なよう
だが、たとい児童少年といえども、自分が生きて行く上での総ての
責任を自身で負うのを社会習慣として甘受しない限り、立派な責任
ある社会は成立し難いと思う。 政府社会による、国民の過保護は
、甘えた脆弱な社会しか作らない。

■■その昔の映画「旅情」で、キャサリン・ヘップバーンが路上で
ポン引きする少年に「そんなことをしてはいけない」と言うと、「
オレが食うために、オレが商売をするのは勝手だ」と食って掛かる
シーンがあった。まさにその通りで、幸せな外国旅行をしているア
メリカ婦人が、逞しく生きようとする路傍の少年に、その商売につ
いてとやかく言うべき筋合いはない。

■■生きるための人間の勇気や才覚はもっと尊重されるべきで、世
間が悪い、政府がいけない、と他に依存するばかりの、いまの社会
的風潮は、ひ弱な人間を作りはしても、国の将来にとってはマイナ
スにしか作用しない。これは映画の中のイタリアでも、日本でも同
じである。
 たとい地震であろうと、水害であろうと、「お涙頂戴型」のマス
コミ情報に同情ばかりしていては、日本の将来に希望は求められな
い。行政が避難を勧める山中にあって、飼牛や養魚の世話のために
その地を離れようとしない農民が、たとい僅かでも存在するという
ニュースは、ボクにとっては災害ばかりの暗いマスコミ情報のなか
における一服の清涼剤であった。

■■と、こんなことを言うと、天邪鬼のように聞こえるが、ボクと
同じような意見を持つ人は社会にいくらか居るものである。 以下
は、ネットのBBSに載せられた投稿である。

 「自然の脅威は人知を超えるものがあり、人間はそれを素直に認
めなければならない。私たちができることは、自らの命を自らが守
ることで、そういう身近に迫った危機を察知し、少しでも身の安全
を確保するために私たち人間ができることは、その危機から逃れる
以外に方法はないように思う。そういう動物的本能を失ってしまっ
た現代人の命に対する危機感のなさが、今日のような日本の状況を
生み出していると私は思う。自分の命は自分で守る、という本来人
間として当たり前のことがすっかり忘れられてしまっている。「命
」というものに現代人が真自然の脅威は人知を超えるものがあり、
人間はそれを素直に認めなければならない。私たちができることは
、自らの命を自らが守ることで、そういう身近に迫った危機を察知
し、少しでも身の安全を確保するために私たち人間ができることは
、その危機から逃れる以外に方法はないように思う。そういう動物
的本能を失ってしまった現代人の命に対する危機感のなさが、今日
のような日本の状況を生み出していると私は思う。 自分の命は自
分で守る、という本来人間として当たり前のことがすっかり忘れら
れてしまっている。「命」というものに現代人が真剣に向き合って
いない証拠でしょう。剣に向き合っていない証拠でしょう。」

 「防災施設は極めて高価なためにそのときの設計基準にも基づく
最低限の規模で作ります。近年は設計基準を超える災害が多くなっ
たと感じられます。災害はだれにも直接の責任が行かないようにな
っていますが、今後自然環境の変化に伴うこれへの対応は、社会全
体の責任であり、行政・産学を統括する政治の責任ということでし
ょうか。予算縮小の昨今、今後増加するであろう深刻な土砂災害に
過去と同じ方法で対処するのは難しいでしょう。」

 上記は、まさに、わが意を得た投稿であった。

■■さて振出しへ戻って、10年前の大震災のときのこと。 後年
になって、「さぞあのときはたいへんだったでしょう」と、おおぜ
いの人に言われるが、じつはボク、大して困ったという記憶が無い
。 幸い当時マンション住まいだっとはいえ、壊れた家財道具類は
散乱し、寝るところも無く、電気・水道・ガス、道路など、生活の
インフラは数ヶ月にわたって切断され、余震は30日も続いた。

■■ところがボクは、震災のその晩遅く、後ろ髪を引かれて嫌がる
家人を車に載せ、道無き道を数時間かけて、災害の少ない町へ移動
し、そこで数十日間暮らした。 わが街を逃げ出すようで少々後ろ
めたかったが、老人の非力、災害地に居ては世間に迷惑かけること
は明白だったし、そうした避難地を見つけ得たことも僥倖だった。
 が、即日大災害地を離れたことは、ボクとしては「生きていく上
での知恵・才覚」の一つであった。このことは、今でも胸を張って
言える。

■■今日もTVでは、中越で10万人にのぼる人々が、余震と寒さ
に震えつつ町役場や学校の体育館で、救援物資を貰って暮らしてい
る画面を放映している。
 ボクは思う。あの中のいくらかの人々は、その地を一時離れて、
すべてのインフラが復修してから帰ってきてもいいような立場の人
も居るハズである。それに気付かず、あるいは躊躇して、成行きで
災害地に留まっている人が多いのではないか。 そうした人達に言
いたい。願わくは、ささやかな世渡りの、そして積極的な知恵を働
かせて欲しい。

■■「ささやかな世渡りの知恵」とは、大げさにいえば「人間の英
知」である。 震災・水害の地から移動するのも、イラク捕囚の難
から遁れるのも、さらにいえば、社会勉強やヒュウマニティのため
危険を侵してイラク入りするのも、すべては「世渡りの知恵」ない
しは「人間の英知」による一つの行動である。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年10月29日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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州知事、オーストラリア実業家と会談

 19日、イ・マラホサハリン州知事はオーストラリア実業家代表
でありヨーロッパ(独立国家連合をも含めて)と極東及びアフリカ
諸国通商委員会の支配人であるデ・ピニンさん及びロシア駐在オー
ストラリア大使館参事官ゲ・クルモフさんと会談を行った。会談に
はエス・ペ・ベロショルスキフ副知事、原油ガス総合体管理局のゲ
・エン・パブロワ局長、サハリン州国際対外経済地域間連絡委員会
のヴェ・ルカヴェツ委員長が同席した。デ・ピニンさんはオースト
ラリア政府と実業家たちは原油ガス開発部門への投資に関心が高く
合併会社成立問題を審議する用意があると伝えた。これに対しイ・
マラホフ州知事はオーストラリアとサハリン州は天然液化ガス販売
市場においては競争関係にあるが、両国間の新しい関係を開くには
何の障害もないと強調した上、現在サハリン州に既に13社のオー
ストラリア企業が進出していると指摘したのである。又、州知事は
先日サハリンを訪問したロシア連邦ア・ヴェ・ゴルゼエフ農村経済
相が2005年度にサハリンでロシアとオーストラリア政府実務者
会議を開催することにしたと発言したことを伝えると同時にオース
トラリアがサハリン州の林業及び観光開発に参加すればサハリン経
済に大きく貢献するであろうと歓迎の姿勢を表した。

ロシアの私生児30%

 ロシア連邦保健社会発展省によると、2003年度ロシア全国の
新生児の中で私生児が占める割合が30%に達している。1994
年私生児立は14.6%であったが2003年度には29.5%に
増加した。統計によると、ロシアでは100人の女性(15歳ー4
9歳)が132人の子供を産んでいる。出生率の低下、死亡率の増
加でロシアは深刻な人口問題を抱えている。ロシア国民1000人
の中で600人が労働能力のない子供と老人である。

電気供給制限

 サハリンエネルゴ社は先週からドリンスク市ヴォドカナル企業と
ポロナイスク住宅公社に電気供給を停止したのと伝えた。ヴォドカ
ナルの滞納料金は200万ルーブル、ポロナイスクは1300万ル
ーブルに達している。シネゴルスカヤ炭坑も1300万ルーブルの
滞納料金を支払えず電気供給を中断されている。合計4800万ル
ーブルの滞納料金のためにサハリンエネルゴ社は資金難を被ってい
るため、料金を全額払うまで電気供給を中止するほかないとのこと。

懸案:展望が見えない

 州中央都市住民たちは大分前から大型バスが激減し、不便な小型
バスが増えつつあるのを目撃している。従来の優秀な運輸企業所は
今どうなっているのか?答えは簡単である。経済改革以来、他の企
業所と同じく運輸企業所も閉鎖されたのである。当局によるとガソ
リン代の値上げ、特権所有者の無料乗車、安い料金などで修理代を
賄うことができず故障のまま車庫に放棄されているとのこと。企業
内洗車施設を指導部が勝手に誰かに売却してしまったために冬季の
洗車が悩みとなっている。私達運転技師たちは展望がないと溜息を
している。住民たちは街に大型バスが現れることが首を長くして待
っているが、その日はいつであろうか。(李・ドリガ)

アンケート調査結果
 
 既にお知らせしたように9月13日からサハリン州韓人協会はサ
ハリン韓人1世たちを対象に永住帰国と残留の意思を聞くアンケー
ト調査を実施してきた。10月1日現在、1628人が月200ド
ルの生活支援金支給がなされるのなら残留をしたいと答えた。一方
925人が住宅を提供してもらえるのなら永住帰国したいと答えた
ことがわかった。アンケートは自ら協会の事務所を尋ね答える形式
で行われるため、参加者数は少ないと言える。本社が独自に調査し
た結果は次のようである。応答者が実名を名乗るのを断ったため仮
名で掲載する。

李・グンテ(68歳、ユジノサハリンスク):サハリンに残りたい
。200ドルの支援金が支給されるのなら子供や孫を置いて帰るこ
とはない。
朴・ギチョル(60歳、ホルムスク):私は絶対永住帰国したい。
祖国に住める家があるなら子供達も往来できるし、仕事もできると
思う。
李・ズンザ(71歳、ユジノサハリンスク):主人が先に亡くなり
一人暮らしである。毎月200ドルの支援金があるなら2000ル
ーブルの年金とサハリンで生活できる。しかし、いつになったら支
援金が貰えるのか?
朴・チュンザ(62歳、ユジノサハリンスク):一時母国訪問もで
き、月200ドルの支援金があるのなら家族や親友のいるサハリン
に残りたい。安山に帰った人達に相当する補償が私達にもあるべき
であり、日本政府に強く要求する。
金・インテ(65歳、ユジノサハリンスク):いつ家を建て、いつ
支援金200ドルを貰えるのか?
金・ナムギ(64歳、ユジノサハリンスク):私は永住帰国したい
。家を用意してくれるなら他のことは言わない。

あれこれ

「衛生規則取締り強化」
 今月の25日、ユジノサハリンスク衛生防疫所で朝鮮料理の衛生
問題をめぐっての討論会が開かれたが、そこに朴・ヘリョン韓人会
長が招待を受け参加した。先月、ユジノサハリンスク市衛生防疫所
は市場で販売されている50種類の朝鮮料理の衛生検査を行ったが
、ナムル(野菜の和え物)などから数種類の細菌が発見された。そ
の対策を講じるために朴・ヘリョン会長出席の下、会議が行われた
。結果はまだ発表されていない。

「青少年スポーツ振興」
 サハリン州政府は青少年スポーツ振興のために来年度州予算に1
80万ルーブルを計上することにした。又州当局とスポーツ機関が
協力して健全たる青少年文化構築にも力を入れる方針であり、その
一環としてスポーツマンたちがサハリン国立大学学生たちと協同で
街の巡回活動も開く予定である。又、来年8月には日本スポーツ業
界も参加する第1会国際青年柔道フォーラムを開催する予定である。

「ユジノサハリンスク市非常事態」
 最近、水不足でユジノサハリンスク市の貯水池の水量が急速に減
り、水面が4mも低くなった。市当局は一日3時間のみ水を供給し
ている。当局は非常事態と認識し対策を模索中であるが、当局は政
府の過ちではなく天気のせいであると主張している。

「麻酔剤不法販売防止」
 サハリン州安全保障委員会はイ・マラホフ州知事司会の下でサハ
リン州での麻酔剤不法取引問題についての審議を行った。麻薬統制
連邦管理局によると、サハリン州で麻薬中毒者が増加している。最
近、憂慮すべき点はサハリン住民の収入が増加したことで麻薬販売
人がサハリン州を目当てにしていることである。2年前と比べて今
年の押収量は3倍に増加しており、この1年間の200件以上の犯
罪件数が発覚した。サハリン州は来年度から3年間、麻薬との闘争
特別事業案を実行することにしており、連邦政府も積極的に支持し
ている。
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◆寄稿 [サハリン悲歌  第二章  4]               金 里博
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地球の素晴らしさと
生命の強さは
一つの物語になり得る
幸不幸を論外にして−

地獄の日帝時代のサハリンにも
したたかに生きた朝鮮女がいた。
かつての名「万代寿恵」の申寿恵(シン スヘ。)
1928年7月20日生まれ
当年76歳。

生き方が上手だったのか
天性の楽天家か鈍感だったのか
誰にでも好かれる人徳を纏っていたのか
或いは
周囲の多くの日本人が天使だったのか
彼女は希有に
楽しい想い出を語る−

カメレオンだったのだ!
周囲の日本人が見破れなかったのだ
日本人教育長の外には!
朝鮮人はみんな知っていたのに−

だから
彼女、「万代寿恵」が
ごく最近になって
純粋な朝鮮人の申寿恵で有ることを知った
日本人が殆だ。

だが
楽しく語る
心の奥底、脳の深層には
語りたくない
思い出したく無い
聞かれたくない
悲しく、辛く、切なく
身を切られる思いの
過去が潜んでいる事は間違いない。

植民された日本人も辛かったろうが
有無を言わせない力で連行され
絞られ、殴られ、蔑まれた朝鮮人が
心ある植民者の
同情を得、優しさを施されたとしても
真に
和むこと
楽しむこと
また
共に
唱い、踊る事など不可能なのだ−

彼女・申寿恵が最後まで
両親の事や、
辛く、切なく、悲しい話等を吐かなかったのは
苛酷と残酷と重犯罪の存在証明と言える。

植民地統治者の犯罪と貪った快楽を
糾弾し、謝罪し、補償すること、
被統治・被抑圧・被差別者の被害・苦痛を
和らげ、癒し、二度としないと誓うこと
それらこそが
未来から託されている我れが
成し遂げなければならない課題だろう。

申寿恵の「楽しい」想い出話は
それらを共有して初めて
その真実を知ることが出来る− 
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◆20代のぼやき:「インドへ行きます 5」            有木優一 
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  インドへ行く。なぜインドなのか、再考。

 「インドへ行きます 2」で、僕はインドへ行く意義を自分なり
の「視点」で導き出したつもりだ。しかし、これで考えを止めたわ
けではない。

 「貧困や差別で苦しむ人々は、インドだけじゃなく他の国にもた
くさんいる。なぜインドなのか?」

  この問いは、僕を再び深い思慮の世界へと導いた。能書きは要
らない。ただ、なぜインドなのか。この疑問を紐解くことで、僕
が真に伝えたいことが見えてくるはずだ。「インドへ行きます2」
では、能書きを並べて「インド人の生活をありのまま映し出すこ
と」に意義を見出していた。しかし、能書き抜きでインドへ行く
欲求がどこにあるのかを考えることにした。

 正直に言えば、イギリスの登山家、ジョージ・マロニーの言葉
を拝借して、「なぜ、インドなのか?」の問いには「そこにイン
ドがあるからだ」なんて、言葉を吐き出したくなる。しかし、今
この言葉を吐き出すことは恐れ多くて口には出せない。それは、
山頂が見えないからだ。登山家は、山頂に辿り着いた時に感動が
頂点に達することを知っている。しかし、僕の場合、頂点に達す
る「山頂」が未だ曇り気味だ。その「山頂」を求めて、彷徨う。
その挙句の果てに、再び文献に手が伸びる。まさに、藁をも掴む
想いだった。
 そして、一筋の光が見えてきた。それは霞掛かったはっきりし
ない様相を呈しながら、僕の目の前に突然現れたのだった。

『「善し」も悪しもインド社会』

 決して、インパクトのある「言葉」ではないにしろ、今までの
経過を熟考しなおすと、この言葉が突然浮かんできたのだ。単純
な言葉で、なぜ今までこんな「言葉」すら浮かんでこなかったの
か、不思議でならない。これは明瞭な「言葉」でもあり、率直に
僕の考えを反映している「言葉」であるように思う。そして、こ
の霞が晴れた時、僕は「そこにインドがあるからだ」と声高に言
い放てるだろう。
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              Michio Katayama
─────────────────────────────────
 立て続けに日本を大きな不幸が襲っています。台風23号、新
潟中越地震の衝撃が収まらないうちに、イラクでは日本人の青年
が、テロ組織に拘束されて惨殺されました。お見舞いとお悔やみ
をお伝えしたいと思います。

◆秋の園遊会で「強制でないことが望ましい」と。宮内庁は「国
旗や国歌は自発的に掲げ、歌うのが望ましいありようという一般
的な常識を述べたもの」と解説に躍起!そんな解説しなければな
らないほど天皇の言葉は日本語として不可思議?宮内庁は国民を
なめている。それにしても米長さん、藪を突付いたね。

◆自衛隊が新潟の被災地で大活躍。やはり天災害地獄のわが国で
は「災害救助隊」の創設が急務。地震も活動期に入ったことだと
か。陸上自衛隊と消防庁と警察庁から予算と人を出して内閣府に
救助隊を創設しては?

◆「インターネット上で独島(ドクト、日本名・竹島)を見学し、
独島の住民にもなってみてください」。独島関連のインターネッ
トサイトとしては、唯一、行政機関が運営している慶尚北道(キ
ョンサンブクド)の「サイバー独島」が、最近、システムの改編
を完了し、サービスを開始した。 
  同サイトは、独島の紹介・歴史・自然生態・関連資料など5分
野からなっており、およそ3000ページにのぼるぼう大なコン
テンツを備えている。韓国語・英語・日本語・中国語の4カ国語
でサービスされ、音声サービスも提供される。(中央日報) 
日本語のページは
http://old.dokdo.go.kr/japanese/html/territory/japanindex.html

⇒行政が積極的な韓国!それに引きかえわが国は・・・。島根県
総務部総務課と外務省が細々と・・・。韓国の3000ページに
は及ばない!。
http://www.pref.shimane.jp/section/takesima/top.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/
─────────────────────────────────
発行     2003年11月2日   No.188
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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