609studio　No.184 ◆現代時評:[小泉首相の涙と、国連安保常任入り] 2004/09/28

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タイトル：609studio　No.184 ◆現代時評:[小泉首相の涙と、国連安保常任入り] 2004/09/28

◇◆◇609 Studio　メール・マガジン◇◆◇ 　　　　　　　　　　　　　　　2004/9/28　No.184 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る！」をコンセプトに論説委員Ｋｅｎ氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記事など話題満載！　 URL ⇒ 　http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　◇◇◇お知らせ◇◇◇ 　 ◆休刊のお知らせ◆ 　次週１０月５日号は勝手ですが都合により休刊させていただきます。　　　　　　　ＨＰの更新も同様です。ご了承ください。　　　　　　　　　　　◆写真展のお知らせ◆ 　１０月１日からモスクワで写真展を開催することとなりました。詳細は　http://www.609studio.com/html/news.html 　　　　　　◆中古カメラ売ります！!◆ Coffee shop シオンでは　カメラを売り始めました。なかなか味の　あるアナログなカメラです。一度覗いてみてください。　　　 http://www.609studio.com/shion/camera.html ───────────◆◆◆ＩＮＤＥＸ◆◆◆─────────── ◆現代時評:[小泉首相の涙と、国連安保常任入り] 　　 ken ◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版：２００４年９月２４日号 ◆寄稿　[サハリン悲歌　　第一章　５]　　　　　　　　金　里博 ◆寄稿サンチャゴレポート２０：[砂漠はお花畑]　　　塩田悦三郎　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ◆２０代のぼやき：[インドへ行きます①]　　　　　　　有木優一 ◆編集長から：[この１週間] ───────────────────────────────── ◆現代時評：[小泉首相の涙と、国連安保常任入り] ken 　　　Ｋｅｎ氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは　　　　　　info@609studio.com 　へ！ ───────────────────────────────── ◆◆毎日新聞　2004.9.17　小泉首相：記者に涙流した心境聞かれ、また涙－－ブラジル訪問　小泉純一郎首相が１６日、同行記者団との質疑の際、日系ブラジル人との会合で涙を流した心境を聞かれ、再び絶句し涙をこぼす場面があった。　涙の原因となった日系移民入植地の農場視察について首相は「土下座しながら涙を流して喜んでくれた」と振り返り、「あの中には一度も日本に帰ったことがない人もたくさんいたと思う」と声を詰まらせた。 ◆◆アサヒコム　2004.9.22 （小泉首相は）日本の常任理事国入りについて「平和は武力のみを通じて達成できない、というのが我々の信念だ。平和に向けたグローバルな貢献は、平和と繁栄に向けて尽力する国際社会において、名誉ある地位を占めたいと考える日本国民が、大切にしている根源的な信念に基づくものだ」と説明。さらに日本の安保理での役割は「国際の平和と安全の維持において一層不可欠だ」と強調し、「今こそ安保理を改革する歴史的決断を行う時だ」と述べた。日本、ドイツなど第２次世界大戦敗戦国を対象にした国連憲章の旧敵国条項については改めて削除を要求・・。 ■■小泉首相が出張先のブラジルで泣いた。　それも、続けて二度泣いたというからご念が入っている。　この人、泣くのが好きで、前々から大衆の面前でよく泣くらしく、それが女性支持者に大受けするらしい。　仮にも１国の首相ともあろう人が、公衆の面前で涙を流すというのは、少なくとも先進国家群の間では稀有なことである。むしろ奇異とも言うべきで、ボクはその先例を知らない。 ■■首相以外ならば、その先例がある。わが国の外務大臣だった田中真紀子さんが、秘書給与疑惑とやらで、内外の議員諸君に苛めぬかれて泣いたのはそう古い話ではない。彼女流の表現でいえば「スカートの裾を踏まれて」転んで泣いたのであった。　たしかそのときボクは、この６０９スタディオで「女性の涙は武器」とか称して、むしろ微笑ましいと評した。 ■■女性はまあいい。男たるもの、人の面前で涙を流すべきで無い。「顔で笑って心で泣くのが男」である。　それを女々しく泣くとは何事か。　泣いている間は心が平静で無く、正確な判断力を失っているか、あるいは自制心を失っている瞬時であって、片時も平衡感覚を失ってはならない首相たる者として致命的欠陥である、というのがボクの考え方である。　古臭いと言われるかも知れないが、その考え方は今日といえども変らない。 ■■「泣く」とはどういうことか。　それを医学的でなく、一人の社会学者として綿密に考証した論文がある。昭和１６年に柳田國男が発表した「涕泣史談（ていきゅうしだん）」で、彼の講演筆記録だ。　　数十頁、精巧を極め、さすが柳田だ、と当時好評サクサクだったが、近年は、彼の全集にすら漏れている。　その論文における彼の言い分は次ぎの通りである。 ■■日本語のナクという言葉に、「涕（てい）」だの「泣」だのを宛てたのは失敗であった。「涕」は元来眼または鼻からでる液体であり、「泣」もまた声無くしてその涕（なみだ）を出すことであり、泣き声そのものとは関係がない。声を立ててナク場合は「哭」の字を宛てるがよい。人が泣くのは、言葉を知らず、感情をストレートに表現したいとき、手っ取り早く泣くという手段を利用する。　酒飲みの「泣き上戸」がその適例で、飲んで口が思うように動かなくなったとき、泣いて意思を表現するのだそうだ。 ■■そう言われてみると思い当たる。わが小泉首相はよく「ボキャ貧」と酷評される。どんな言葉を使っていいか分からないことが多いらしく、ぶっきらぼうに短い言葉を発して「ボキャ貧」ぶりを発揮する。そうした場合、時として手っ取り早く泣くという行動に出るのだろう。　泣けば、「彼は純情だ」と有権者庶民、とくに女性諸君がそう思い、好感をもつらしい。ブラジル移民の間でも、かれはまれにみる好評を得たという。 ■■しかしこうした好意ある評価は、日本（および韓国？）辺りの情緒的国家に限定されていて、どちらかといえば、論理を好み冷静を美徳とする西欧国家群、とくに英国辺りの慣習に馴染まない。　もし英国やフランスの首相が泣いたりすれば、即刻、地位失格だろう。「泣く暇があれば、それをどう処置すべきか、冷静に考えてくれ」と国民の間から非難が出るハズである。　「涙さえ流せば、赦される」といったふうな日本は、考えてみると幸せな国かもしれない。 ■■涙をうまく利用した例がある。「現在の大難を思いつづくるにも涙。未来の成仏を思うて喜ぶにも涙せきあえず。鳥と虫とは鳴けども、なみだ落ちず。日蓮は泣かねども、涙ひまなし」と、涙を連発した日蓮は、こうしたわが国民の心情をうまく利用し、それでいまなお大きな人気を博している。 ■■お隣りの韓国でも泣くのは楽しいと見えて、売れっ子作家李御寧は、泣くことを肯定した「恨（はん）の文化論」という著作で、流行作家から一躍、文部大臣の地位をせしめた。情緒に酔い、涙に明け暮れるのをよしとするのは北東アジアの特色かもしれない。涙というのは、いわば速乾性で、そのあとけろりとして勇ましい話をするのに適している。換言すれば冷静を好まぬ社会の風習とも謂えよう。　 ■■小泉首相は、ブラジルで涙を流したあとすぐニューヨークへ飛び、「国連常任理事国入り」志願のPR演説をした。　「国連分担金をたくさん払っているし、平和は武力のみを通じて達成できない。平和に向けたグローバルな貢献をしている日本を、国連の常任経営役員にしてくれてもいいではないか」、というのが「国連常任理事国」入り志願の理由だ。　 ■■大口株主、大口拠出者が自己の発言権増大を望むのはとうぜんであり、それを拒むのは、いわば会社創業時代の人々が古い既得権益を主張するようなもので、理不尽なことは言うまでもない。創業５社、つまり英・米・ロ・仏・中国がいつまでも常任理事国として、絶対拒否権を持ち続けるわけにもいくまい。時代の趨勢として、日本などが「国連常任理事国」になるのは、そう遠い先の話ではない。憲法９条だとか、過去の歴史認識だとかいった、いまわが国の常任理事国入りの前に横たわっているハードルなどは、所詮、理屈のための理屈であり、そのうち消えてしまうであろう。急ぐことは無い。 ■■しかし問題は他にある。　「国連常任理事国」が、国連という会社の経営者の一員になるということだけならば、何も問題は無い。ところがじつはそれだけではないのだ。中国外交部の孔泉報道官が、さっそく去る９月２２日の記者会見で言っている、「常任理事国は会社の取締役ではない」と。「国連常任理事国」というのは省略された呼称である。じつは「安全保障」というたいへん重要な文字が省略されている。世界の安全保障の責任を担う、つまり戦争をするかしないか、軍隊を派遣するかしないかの決定をするのが「国連安全保障常任理事国」である。 ■■そうした場で、「武力を持たない日本は出兵しないが、ほかの国はどうぞ出兵して下さい」という程度で済むのか、と、わが安倍幹事長は早速言っている。その通りだ。　片や、「憲法改正してもしなくても、常任理事国として十分やっていけ、常任理事国立候補と改憲は直接関係ない」と、小泉首相は説明している。それもその通りである。　 ■■「ブッシュ大統領とは、何度も会っていますが、今回は、日本とアメリカの安全保障の問題や経済問題、そして世界の平和と発展、国連改革などの面で、日米両国が今後どういう協力をしていくかなどの話をしました」と小泉氏は今回報告している。それに対して、「そうなると、あなたは今後ますますブッシュ氏のミラーサイトに徹して、つまるところ、新しい日本票と米国票と併せて、米国票が二枚になってしまうだけと違うか」と誰かに言われたら、ぐうの音も出なくなるのが、いまの小泉さんの立場ではなかろうか。 ■■ここは一つ作戦を変えてみたらどうだ。　泣くのがお得意の小泉さんのことだ。忠臣蔵の早野勘平を真似て、「小心者（旧敵国）の悲しさは、ひとに倍する働きを見せねば数に入れられない」と、国連の舞台で、日本の悲運を泣いて見せる、という方法はどうだろうか。　ふだんややもすると金持ち顔をし、大国顔をしているから、中国政府や韓国などは、「過去の歴史を思い起こせ」と、歴史認識を迫るのだ。無力な小国ぶって低姿勢に泣いて見せたら「まあ日本もよく頑張っているのに気の毒だ。国連常任理事国入りを認めてやろう」と言う国も現れるかも知れない。　ブラジルの日系移民相手に泣くのもいいが、ついでのこと、国連の桧舞台で泣いてみせる方が、国の外交政策としては、だいぶ効果が高いと思う。　お涙頂戴で目出度く常任理事会入りが果せたならば、「戦争する、しない」の票決の場では、小国のこと、白票を投じるだけで許してもらえるのではないか。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]　２００４年９月２４日号　　発行　ユジノサハリンスク市　翻訳　Kil　Sang ◇詳細/写真、記事、は関連Webへ →　http://www.609studio.com ───────────────────────────────── モスクワ日本大使館前で集会　モスクワ・サハリン韓人協会が今月３日、モスクワ日本大使館まで１世の永住帰国と諸問題の速やかな解決を要求する集会を開いたことがわかった。集会にはモスクワやサンクトペテルブルグ、トヴェリ、ロストブ、クラスノダールから参加者達が駆けつけた。モスクワ・サハリン韓人協会の朴・ノヨン会長は「第２次世界大戦が終わってもう６０年の歳月が流れたにもかかわらずサハリン韓人に及んだ悲劇は今も続いている。このような問題は歳月が流れたからと言って消されることはない。日本は最後まで物資的精神的責任を負うべきである」と強調した後、今後ロシアのみならず韓国、日本を含め世界各国で問題解決のための行動を続ける方針であると集団行動の継続を明らかにした。集会の後、各地域代表達は日本大使館のマサト・カガミ参事官と会談をし、１世たちの永住帰国と補償問題、サハリン韓人のためのファンド創設を要求しながら集会の決議文を渡したのである。決議文・第２次世界大戦当時、韓国からサハリンへ強制移住させた人々を戦後祖国へ帰還させる義務があったにもかかわらず、同義務を果たさなかった日本政府はサハリンに残った韓人たちに物的精神的被害について補償しろ。・韓国での定住を希望する１世たちのために日本政府は住むところを賃貸又は建築しろ。・サハリンでの残留を希望する１世たちにはロシア国内で住居を提供し、生活を保障しろ。・サハリン韓人のためにファンドを調整しろ。但し、基金の相当たる部分を日本時代賃金や預金を貰えなかった人々のために使用しろ。・二重徴用や軍事動員の被害者たちの問題を速やかに解決しろ。高木健一弁護士の意見　日本の統一新聞に今年８月１５日号にサハリン韓人問題をめぐっての裁判提訴過程と同裁判初期から傍聴客として参加していた在日同胞、金・ヒス社長と高木健一とのインタビュー記事が掲載されたが、高木健一弁護士の意見を読者に紹介することが州老人会の義務であると判断し、粗筋を翻訳し伝える。 ―サハリン裁判に消極的であった日本政府がどうして態度を変えたのか。 ―まず、議員懇談会の力が大きかった。議員懇談会は選挙に影響を与えない人権救済というアプローチをして日本の責任を認識させることに成功した。又、日本の世論と韓国民の関心が高まったのも影響した。そして、旧ソ連の出入国規制緩和とも関係がある。特にロシアのペレストロイカが大きい役割を果たしたと言える。 ―サハリン韓人問題をめぐって今までの成果と言えるものが何か。又、今後の課題は何か。 ―まず里帰りして家族と再会できたことである。日本政府は韓日赤十字社共同支援事業体を発足させ、毎年１億円を国家予算から傑出してサハリン韓人の里帰り事業を行ってきた。その結果、延べ１万５千人が里帰りした。また、余生を祖国で送りたいと願う１世たちのために韓国に養老院と専用アパートを建設して帰国させたことと残留者のために文化センターを建設することになっている。今後の課題と言えば、残っている永住帰国希望者を永住帰国させることと二重徴用被害者問題、郵便貯金払戻問題などがある。　　又、来年北海道稚内市内の公園にサハリン韓人追悼碑を立てる予定であるが、同碑はロシア、日本、韓国など３カ国の協力下で推進される事業で大変意味深いできことと言える。　サハリン問題は日本の戦後責任論議から始まり、戦後補償問題の先例となった。０から１００を獲得した戦後補償の方法であった点で意義が大きい。サハリン問題は普遍的な人道的アプローチで戦後処理の模範となったと考えられる。私の提案　：読者の皆さん！高木健一弁護士の応えに対してセコリョ新聞紙上を通じて議論しませんか。私個人の意見としてはサハリン問題はやっと始まったばかりであると思います。文化センターが建設されても我々の経済には何の影響も及びません。又、文化センターの運営には相当の資金が必要とされます。私達は我々の運命と次の世代の問題について深刻に考えるべきであります。　　　　　　　　　　　　　　　　　州老人協会　鄭・テシク顧問日本がヴィルタ研究本格的に「頭骨持ち出し」の経由を明らかにするために　多くの読者は昨年９月１９日号に掲載されたヴィルタ族頭骨返還・埋蔵式に関する記事を覚えていることでしょう。それから１年が過ぎた今年の８月末、昨年遺骨を運んだ北海道大学の菊池俊彦教授が、ヴィルタ協会副事務局長と北海道文学博物館青柳文吉科学研究員と一緒に慰霊碑参拝と頭骨持ち出しの経緯を明らかにするための調査の一環としてサハリンを訪問した。彼らは２週間の滞在期間中、州古文書図書館と郷土博物館で日本時代の文献や写真などの記録を調べた。しかし、関連資料は発見できず、モスクワやトムスク、イルクツク等他の地域までに調査領域を広げることを決めた。又、彼らは「オタス」の著者エン・ヴィスネブスキに会うと共に、数十年前日本学者たちとロシア学者たちが共同で発掘したソロビヨブカ地域を見学したのである。彼らは又、ポロナイスク市にあるヴィルタ慰霊碑に参拝した後、北方少数民族の高齢者たちと面談会を設けた。そこでヴィノクロフ家についての話が出た。面談会に出席したお爺さんとお婆さんたちは昔、皆がヴィノクロフ家の使用人であったからである。　ヴィノクロフとは如何なる人物であろうか。彼はヤクート人である。１８８４年ヤクチヤのある村で生まれ神学校を卒業した後、炭坑労働者として働き出し、何時か金鉱を捜し歩く人となった。彼らは金持ちとなった。しかし、賭博が好きだったため、全財産を失ってしまった。その後、金持ちの娘であるアナスタシヤと結婚でき、貧困から救われた。アスタナシヤの持参金を元に資産を増やしていくことになる。元々情熱的で挑戦的であった彼は義父の下で働くことに満足できず、１９０７年ロシア通商工業省が募集していたサハリン地下鉱物研究探査隊に参加してサハリンに来ることになった。サハリンの原油が大きい利益を齎すことを認識した彼はいろいろなことを試してみたが結局成功できず諦めてしまった。　その後、北部地域ロブイノエ部落に根を下ろし毎日一生懸命働いた。ヴィノクロフは遊牧生活を続けながら土着民たちに小麦粉や砂糖、布、タバコ、銃丸などに与える代わりに各種毛皮を安く手に入れ高く売るなどの商売をしていた。又、中国や満州から来る商売人に鹿の角を売ったり、原木を会社に運搬手段として自分の鹿を使わせるなどして財産を増やした。１９２６年、ヴィノクロフがオタス島に移住してきた。当時彼は３００頭の鹿をはじめ多くの家畜を所有している金持ちとなっていた。　ちょうどその時、樺太総督はオタス島に北方民族の居住地を作り小学校を建て、表向きでは北方民族に配慮しているように見せかけた。ヴィルタ族は大部分ユルタ（テント）に住み、ニブフ人は日本式木造住宅に住んだ。こうやってオタス島は観光地となる。日本人を含め多くの外国人が北方少数民族の暮らしを見にオタス島を尋ねるようになったのである。又、オタス島にはヴィノクロフのような大金持ちがいるというのも宣伝に使われた。　日本の研究者たちは現地民たちの案内を受けオスタ島を見に行った。原住民強制居住地或いは観光地としての過去の姿はなくゴミ捨て場化していたオタス島であった。案内人たちは彼らの家と学校の位置をひとつひとつ説明してくれた。そして、日本政府のバックアップを受けながら原住民を働かせていたオタス島第一の大金持ちであったヴィノクロフの自宅の跡地を案内しながら、「私も母もヴィノクロフ家で家政婦をしていた。いつも地位の高い日本人のお客様が多く、夜明けから深夜まで働かなければいけなかった」と回想した。　日本の研究者たちは当時のことを覚えている高齢者が生存しているうちに多くのことを教えてもらいたいので又サハリンを訪問したとの言葉を残して帰国したのである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ベ・ヨンスク記者）我々の権利　－エジナヤロシア党サハリン支部の綱領　サハリン州はロシア極東から離すことのできない地域である。国境に隣接している我が島には資源が豊富である。州内には専門家や才能ある失業家、若者、インテリなどが多い。我々の家業は原油、ガス、石油、木材、海産物をサハリン及びクリルの住民の生活向上と祖国の経済復興と繁栄のために活用すべきである。私達は気候の不順な島に住んでおり、中央から遠く離れている。北極或いは準北極地域住民の特権を保護しない国家のために多くの人々が島から出ることができずに暮らしている。我々地方商品及びサービス質は市場経済では競争力が落ち、貧富の差は益々広まっている。保健や教育、住宅部門における国家支援も低く、個人財産の安全性もない状態である。　我が党の課題はプーチン大統領と共に国内改革に励み、ロシアを強くし豊かな国にすることである。我が党は２００３年１２月７日国会議員選挙の際、高い支持率を得ることができた。ロシアが過去２０年間、初めての安全かつ経済的に成果のある４年であったことを知って貰えたからである。政権とビジネス、社会が一致団結してこそサハリン州、ロシアが発展繁栄できる。私達はサハリン及びクリル住民と同じく自分とロシアを信じている。一致団結が我々の力となれる。　　　　　　　　　　　　　　　（エジナヤロシア党サハリン支部）極東及びサバイカリエ協会会議　来る９月２４日、ユジノサハリンスクで極東及びサバイカリエ経済地域間協会ロシア連邦社会政策に関する８次委員会会議が開催される。会議参加者達は児童の社会保護、若者たちの社会的支持、極東及びサバイカリエの社会政策概念についての問題などを審議討議することにした。会議は地域執行委員会代表たちの報告を受けてから地方機関たちの具体的事業経験を分析討議する予定である。ロスネプチーサハリンモルネプチェガス社、採集量超過達成　ロスネプチーサハリンモルネプチェガス社は過去８カ月間１２０万３２８５トンの原油を採取した。計画より６万１千トン上回る量である。このようないい成果はオドブト砂採集場で特別な工程技術を導入したからである。　８カ月間、同社は１２１万２５６４トンを消費者に供給し、これは昨年の指標より１１３％も成長した量である。又、同期間中、ガス採取量は昨年に比べ１３８％の１０億１７９０万ｍ３であった。そして、上半期純利益は１億６千万ルーブル以上である。この額は予定していた賃金引上と集団労働契約を履行できる金額である。実際、同社はダギモロスフ名称採集場に新しい厚生施設を建設した他、カタングリ採取場には食堂をオープンした。あれこれ「爆発事件」　ユジノサハリンスク市中央市場の構内で、さる７日の夜明け４時、ガス容器が爆発する火事が発生した。食堂から火が出て同店は全焼。幸い人命被害はなかった。「人材不足」　９月初旬、エル・シュビナサハリン副知事がアニワ視察に出かけた。視察の際、副知事は地方芸術学校を訪ね同校の悩みについて教師達と話し合った。調べた所、学校には若い教師不足現象が深刻であることがわかった。若者が大学を卒業した後、アニワに帰ってこようとしないのが、理由は住宅が提供されないからである。副知事によると、サハリン州政府は若い教師たちのために住宅建設資金予算を策定したと伝えた。 ───────────────────────────────── ◆寄稿　[サハリン悲歌　　第一章　５] 　　　金　里博 ───────────────────────────────── 自作　「サハリンアリラン」（１）アリランアラリヨ故郷よ、諫めるな出て行くのは私の意思ではない。見えない手錠を掛けられ銃剣で追い立てられたからだ。アリランアラリヨアリラン（２）アリランアラリヨ父母よ、泣かないで出て行くのは私の意思ではない。腹黒朝鮮走狗（いぬ）のきき鼻足は鉛千キロ血豆だれけ。アリランアラリヨアリラン（３）アリランアラリヨ敵（かたき）敵だよこの身の上知ってくれとは言わないよ。いつかは解る我らの涙地獄のサハリンサハリン。アリランアラリヨアリラン（４）アリランアラリヨ故郷故郷よ忘れないで忘れないで忘れないどうして忘れられよう。その日いつ来る新妻よ兄弟よ。アリランアラリヨアリラン（５）アリランアラリヨ裏山よ松よ変わらずいるか背丈は伸びたか早五年嗚呼、抱きたい抱きたい。その日いつ来る。アリランアラリヨアリラン（６）アリランアラリヨ故郷よ故郷よ老いたこの身を誰が知る一度は詣でたい父母の墓よああ、帰りたい帰りたい孫はロ語の民血の涙アリランアラリヨアリラン ───────────────────────────────── ◆寄稿：サンチャゴレポート２０「砂漠はお花畑」　　塩田悦三郎　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ───────────────────────────────── 　まさか１年に２度もチリ北部の砂漠地帯に行けるなんて！　サンチャゴの友人たちが,異口同音に「砂漠の花」(Desierto Flori do)を見ることを促すのです。「１０年に1度のチャンス」と言って、行かなければ大損かの如く言うのです。９月１８日のチリの独立記念日を挟んでの３連休を利用して、再び「アタカマ砂漠」に飛びました。今回はそのご報告です。　「アタカマ砂漠」は、本レポート１８で報告した「月の谷」を含んで南北１０００ｋｍに連なる大砂漠。今回の「砂漠の花見」ツアーは、その最南端のラセレナを起点にパン・アメリアカン・ハイウエイを北上すること２００キロメートルのドライブ旅行でした。　「砂漠の花」がなぜ人気あるかというと、１０年に１度とか５年に１度しか咲かないからです。冒頭に１０年に１度と書いたのは誇大表現ではありません。かつてはそうだったのです。６ー８月に例年以上に雨が降れば、９月から１０月にかけて「砂漠の花見」ができるのです。この数年間は、その周期が短くなりつつあるようです。この２０年間で５回の「砂漠の花見」ができたとのことですので、周期は、「４年に１回」というのが妥当かもしれません。　「お花畑」そのものは日本アルプスや八ヶ岳のそれとは比較になりませんが、茶色一色の砂漠が、とつぜん、緑の葉と赤・黄・白・青色の花に覆われるのですからサンチャゴの友人たちが勧めるのは当然です。さらに、今見ているこの「お花畑」が去年の同じ時期には茶色一色だったのを見ておけば、感激も一入だったに違いありません。　読者のみなさんは既にご存知かもしれませんが、砂漠の花が一斉に咲く理由は極めて簡単。乾燥しきって半ば死んでいた植物の種子や小枝が、久しぶりに水分を得て生き返ったも同然になるのです。彼らはこのチャンスを逃すと２度と生き返れないと必死になって、短い間に花を咲かせ、蜜を昆虫に与え、種子を小鳥に啄ばませたりして種の保存を図っているのです。砂漠の花の命が２・３週間と短いのはそのせいです。　このように考えると、私が「砂漠の花見」ツアーに急きょ参加したことが正当化されてまいります。遠く日本からこの「砂漠の花見」ツアーに参加しているグループと同じホテルに宿泊しました。なんと贅沢なツアーでしょう。サンチャゴに住んでいる私がようやくやって来たのに。しかも、彼女ら（男性もいましたが少数でした）は、北から南への「砂漠の花」の“追っかけ”をやっているのです。チリ人が「日本人は金持ちだ」と思う理由の一端を知らされました。　野暮なことをいうのは止めます。美しいものは美しいと素直に感じ入りましょう。確かに「これが砂漠か？」と思えてなりませんでした。私は、ガイドに何度も尋ねました。「本当に去年は何もなかったのか」と。彼は答えました。「ありませんでした。わずかに潅木があっても、それらはすべて茶色でした」と。　むかし、「砂漠は生きている」という映画がありました。これは若干「やらせ」もあったようですが、砂漠で様々な生物が苦労して生きている様子が映し出されていました。今、それを目の当たりにしているのです。やっぱり無理してきて良かった。　この次に、この「砂漠の花見」ができるはいつになるのでしょうか。皆さんがチリにお出でになった時、この「砂漠の花見」ができるといいですね。 ───────────────────────────────── ◆２０代のぼやき：「インドへ行きます①」　有木優一　 ───────────────────────────────── 　　現在、僕はインドでドキュメンタリー映画を作るために、奔走している。１１月下旬から約３カ月間をインドで過ごし、そこでのありのままのインドを映し出そうとしている。そして、今、シナリオを作るのにいろんな人の意見を耳にしている次第だ。　先日、ある人にこの映画のシナリオを読んでもらった。その人は、そのシナリオを読んで、こう言った。「大上段に構えて、インド社会を映し出そうとすることはやめろ。説明的過ぎる。このシナリオは捨てろ。」　僕は、この台詞を初め理解が出来なかった。どこが、大上段に構えたシナリオなんだ、という具合に自問自答を繰り返していた。本を読んでの知識、人から聞いた話を練って考えた、いわば、僕の集大成のシナリオだった。なぜ、そこまで言われるのか、一行に解せないでいた。しかし、「大上段」「説明的」この二語については、どうしても引っかかって、頭から離れないでいた。　数日経ってから、インドへ３カ月間行く意味を考えていると、「説明的「と言われた意味が見えてきた。確かに説明的にインド社会を切り裂くドキュメンタリーを作ることは、インドへ３カ月間も行かなくても出来る。インドへは１週間も行けば十分だ。そして、インド専門の人類学の先生にインタビューをする映像を切り貼りしていけば、それだけで説得力のあるものになるだろう。すると、映画に自我が前面に出てきてしまう。そして、自我が前面に出て、自分の伝えたいことを表現することは、「大上段」に構えてインドを表現することになる。そして、これは強烈な自分のエゴが入ってくる。そのことに気付いた僕は、今まで、僕が「ドキュメンタリー映画」を作ろうとしていたのではなく、インドの専門家でもない僕が、一端に偏った研究発表でもおっぱじめようとしていたことに深く反省したのだった。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から]　　　　　　　　　　　　　　Michio　Katayama ───────────────────────────────── 　最近飲む機会が多くなりました。安い酒場で気の置けない友人と。この上「秋が本格化してくれば」と、肝臓の辺りをたそがれ時に撫ぜながら、イソイソと出かける毎日です。いい季節になってきました。 ◆「ＮＺ軍がイラク撤退」、「イラク選挙、限定的な実施も　米国防長官が見通し」、「パキスタンのムシャラフ大統領、常任理事国増加に反対」、「小泉首相、常任理事国入り目指す決意表明」「「法の支配」の重要性強調　国連総会でアナン氏」、「アルジャジーラ支局の閉鎖措置を延長」、「キルクークで自爆テロ、１７人死亡」,ＥＴＣ・・ＥＴＣ　めまぐるしい世界。 ◆そんなときにわが国のタカ派の連中を喜ばせる？動きが。「北朝鮮がミサイル発射の兆候」と。先制攻撃論が又・・・。 ◆わがプロ野球界、ファンの後押しで、球界改革に・・。あのエネルギーが「オキナワ」や「ヒロシマ」に向かわないのが不思議。 ◆小泉内閣が新装開店！ドーナルコトヤラ・・・。 ◆モスクワで写真展！　http://www.609studio.com/photoEx/layout.html ───────────────────────────────── 発行　　　　　２００３年９月２８日　　　No.１８４編集・発行　　609studio 　　Michio Katayama 発行　　　　　毎週火曜日　　購読料無料配信まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 Macky! 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