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タイトル:609studio No.182◆現代時評:[台風の国日本]  2004/09/14


◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇
                              2004/9/14 No.182
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
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◆現代時評:[台風の国日本]                           ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年9月10日号

◆寄稿 [サハリン悲歌  第一章 3]        金 里博

◆寄稿 サンチャゴレポート18:[月の谷へ行く]    塩田悦三郎
                         
◆20代のぼやき:[夢工場3]            有木優一

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[台風の国日本]                        ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆読売オンライン 2004.9.8  西日本を中心に激しい風雨を
もたらした台風18号は7日、九州に上陸後、日本海を北東に進んだ。
 強風で船の座礁が相次ぎ、死者・行方不明者は32人に。交通機関も
大きく乱れた。7日午前10時ごろ、山口県下松市笠戸島沖に停泊して
いたインドネシア船籍の貨物船「トリ・アルディアント」(6315ト
ン)は、「座礁しそうだ」と無線発信したまま、連絡が取れなくなった
。乗組員22人は全員インドネシア人・・・。

◆◆アサヒコム 2004.9.08 米フロリダ州を直撃したハリケ
ーン「フランシス」で、同州ケープカナベラルにある米航空宇宙局(N
ASA)のケネディ宇宙センターは壁パネルが飛ばされるなどの深刻な
被害が出た。6日、NASAが発表した。同センターはスペースシャト
ルの打ち上げと帰還を担う重要拠点で、来春の飛行再開に影響を及ぼす
恐れがある。 
 フランシスは5日、同センターから160キロほど南に上陸した。最
盛期の最大風速60メートルからは衰えていたものの、センターの周辺
を30〜40メートルの強風が襲ったとみられる。

■■周知の通り日本は台風が多い。 フィリピンから、台湾、沖縄、日
本本土にかけては、いわゆる「台風の通路」で、昔は「台風銀座」とも
言われた。とりわけ今年は台風の当たり年で、9月第1週の台風18号
までにすでに7件の台風がわが本土をヒットした。1950年以来最も
多いヒット数である。過去10年の記録を見ると、1993年度が6回
で、もっとも多い。2000年度は0回、そしてそのあと毎年2.3回
だけであった。それに較べると今年はたしかに多い。あまりにも多く、
災害に付いてはもう麻痺しかかっている。

■■昔、1684年の貞享暦以来、台風は二百十日と決まっていた。立
春の日から数えて二百十日か、遅くとも二百二十日の間であった。
 小学唱歌の「二百十日もことなく過ぎて、村の祭の太鼓が響く」の通
りである。オフチンニコフというロシア人作家の「桜の枝」という日本論
エッセーでは、「日本では台風が来る日も210日と決められている」と
日本人の几帳面さを褒め称えて(?)いる。がしかし、今年はそれより
だいぶ早く、5月に第1回目がヒットした。野菜の旬も、少女の初潮も
、台風も、最近はすべて早めということか。

■■4半世紀まえ、当時ボクが関係していた台湾の代表的企業が本社ビ
ルを建築した。 見ると巨大なビルの窓がすべて二重窓になっている。
 聞けば「台湾は台風の多いところなので、大丈夫なように、英国人建
築家に頼んで、始めからすべて二重サッシにしてもらった」とのこと、
見るから頑丈そうであった。 ところがボクは、日本で二重窓の建築物
を見たことが無い。友人の建築家にこの話をすると、「このごろはガラ
スの質も堅牢になっているし、建築基準も厳重に定められているので二
重窓でなくても大丈夫だ」と言う。その言い方から推察するに、日本の
建築家たちの台風に対する準備意識はひじょうに薄いようで、何百年来
の天災についての諦め意識が先行しているらしかった。

■■台風についての「諦め」が顕著なもう一つの国はフィリピンだ。
 ボクが住んでいて、「なぜフィリッピンは貧乏か」と考えたことがあ
る。どことなく、フィリピンが貧乏に見える最大の原因は、街や村の家
屋の、ガラス部分はもちろん、屋根や建具などのほぼ総てが壊れている
、その風景にあるように思えた。 なぜあんなに壊れているのか。ガラ
ス建具屋に聞いて判った。すべてにあまりにも脆弱な素材が使用されて
い、いくら新調しても、台風が来れば一たまりも無いのだ。もちろんお
カネがないせいで粗悪品なのは判るが、それ以前に、彼らフィリピン人
のほとんどが、「台風で壊れる」という事実を、さも当然のことのよう
に、いわば運命的に甘受しているのであり、それを建材屋が何とも思わ
ず平然としてボクに説明してくれたのは驚きであった。
 そして、そういった感覚は、われわれ日本人にもほぼ共通しているの
ではないか、と、ボクは思う。

■■先年、英国に滞在しているときに気付いたことがある。 それは、
英国というところは天災、つまり地震や台風が皆無に近いという事実で
ある。だから、彼らにとって日本とは、泥船の上に建てられた怖ろしく
危うい国とのイメージが強い。「なぜあのように危ない処に住むのか」
と訊ねられ、ボクは何度か返事に窮した。
 そのボクが同じことを思うときがある。瀬戸内や外海の海岸の町を歩
いていると、海にすれすれの高さの、「陸地の端にくっ付いて建ってい
る」としか言いようのない住宅を見るときだ。「なぜ、選りによってあ
のような危険なところに住んでいるのか」と思う。それが珍しいことで
はなく、日本の海岸の町というのはほぼ総てがそうなのだ。「もっと安
全な高台に住めば良さそうなものを」と、ボクは思う。

■■失礼ながら三宅島や神津島がその適例だ。年中、地震があり、台風
があり、おまけに噴火すらある。 なぜ好き好んで、ああした危険な島
に住むのか。もちろん仕事のためか、農業や漁業に好都合だからだろう
し、いままで住んで来たいきさつもあろうから、そう簡単に他へ移転す
るわけにもいかぬだろう。が、いつか、何かの機会に、もっと安全なと
ころに住み変えられぬものか、と、他人事ながら気になる。  おそら
く、英国人が持つ日本人への住居の感覚も似たようなものであろう。
 チチカカ湖の葦舟の上で一生を暮らしているインディオのような危う
さを、彼ら英国人はわれわれ日本人に感じているらしい。

  「台風」の英語はtyphoonタイフーンである。出所は、台湾方面から
吹いてくる暴風を称して「颱風(台風)」と言ったという中国語説も、
またギリシャ語起源説、アラビア語起源説などもあるが、これほど国際
的にポピュラーな言葉としては、言葉の語源が定かでないのも珍しい。

 いまのところ国際的な取り決めで、日付変更線(東経180度)より
西の太平洋、南シナ海で生まれた熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風
速が17.2m/s以上のものをtyphoon=台風と呼び、東経180度
以東ではhurricane(ハリケーン)と呼んでいる。語源は南米インディ
オの「風の神」に由来する。別にインド洋で発生したものはサイクロン
と呼ばれ、サイクル(旋回)を意味するギリシャ語に由来するらしい。
また、オーストラリア周辺のものはwilly-willy(ウィリィウィリィ)
と呼んでいるが、これは「どうしようもない困ったやつ」の意味からき
ているという。 

■■ヨーロッパには台風やハリケーンに該当する荒々しい季節風は無く
、したがって呼称も決められていない。それにしては英国やフランスの
建築物が石造で堅牢なのは、台風銀座の日本、台湾、フィリピンなどの
ひ弱な建築と較べていちじるしく不釣合いである。
 中国語の「メイファーズ(没法子=仕方がない)」に代表される、東
洋の諦めの言葉は、こういった台風や地震による天災への伝統的対処法
であろうが、それにしては、もう少し積極的な防御法が考えられてもよ
いのではなかろうか。
 今回の台風18号による被害が、厳島神社や姫路城の損壊のみならず
、死者・行方不明が既に45名を越えたにしては、国民全体の受け止め
方がすこぶる冷静で、天災に従順な国民性を表明しているような気がす
るのはボクの誤解であろうか。

■■米国にも台風、つまりハリケーンが多い。
 ちょうど1カ月前にフロリダ州に上陸したハリケーン「チャーリー」
は激しい竜巻を伴い、ために米政府は非常事態を宣言した。大統領は『
資源を投入して被害者に支援を行う』と、連邦支援法の発令を発表した
。あの辺りはブッシュ氏の有力地盤であるし、大統領選を目前に控えた大
事なときだから、ブッシュ大統領兄弟は特に念を入れて被災者救助に努
めるだろう。
 同じころ、わが小泉首相が北陸の水害地を視察して、「政府は前向き
に支援する」とインタビューに答えた。大災害を前にして「前向きに」
災害救助に努力する、と言うのもいささか不自然な用語法である。そう
した緊急のばあいに「前向き」も「後ろ向き」もないだろうが、とにか
く小泉さんも、ブッシュさん同様に災害復旧に努力して欲しい。

■■フロリダでは、「安全ガラスは重さ4キログラムの材木が秒速15
メートルで飛来して衝突しても耐えられること」という規制がある。フ
ロリダの建築物に多く使用されているガラスブロックは、それに十分に
耐えられる。しかもガラスブロック建材は、それ自体の強固さと重量に
加え、鉄筋入り施工による防犯性が大きく評価されている。フロリダ各
地にガラスブロックの平屋建てハウスが多いのは、ハリケーンへの防御
性もさることながら、それが防犯性に優れているから、ということもあ
るらしい。

■■しかし考えてみると、いまや火星に移住することすら話題になって
いる21世紀に住むわれわれ人類にとって、台風制御技術はあまりにも
遅れ過ぎている。制御はおろか、台風の進路予想すら決めかねている状
態だ。毎年このシーズンに限定され、しかも発生場所すらほぼ特定され
ている熱帯性低気圧のことだ。台風の卵を潰していくという、防災技術
をもっと積極的に開発すべきではなかろうか。 
 例えば、どうせいまなお大量に作られつつある核爆発物。その廃棄の
場として、台風発生の元となる熱帯性低気圧の目を破砕するということ
は出来ないものか。宇宙などへ出て行く前に、地球における気象現象の
制御に、政府および科学者はもっと積極的になって欲しい。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年9月10日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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サハリン韓人会、テロ反対表明

 北オセチヤ・ベスランの校内で罪のない1千人以上の生徒と子供を対
象にしたテロリストたちの野蛮的かつ非人道的殺人事件について、サハ
リン韓人社会は大変ショックをうけると同時にテロ行為を断固かつ徹底
的に批判する姿勢を明らかにする。テロにより子供や身内を亡くした遺
家族に心から弔意を示すと共に負傷を負っている方々の回復を祈ります。
(サハリン州韓人会・老人会・離散家族会・ユジノサハリンスク市韓人会)

ロシア農業相サハリン訪問

 さる9月6日カムチャッカからア・グルジェイフロシア連邦農業相が
サハリンを訪問した。水産業も担当している農業相は養鶏工場とソホー
ズを視察する他、農村と水産業部門指導者たちと会談を行った。農業相
の訪問に連邦通信漁労担当記者とカ・プリコフスキ極東大統領代表も同
行した。

ワフルシェフ部落の冬準備はほぼ完了

 先週イワン・マラホフ州知事が冬準備状況を視察するためにワフルシ
ェフ区域を訪問した。州知事は同地域の暖房準備はほぼ完了しているが
、住宅公社職員たちの給料の長期間滞納が問題であると指摘した。州知
事は地方検事局と裁判所の協力の下で住民たちと企業所から滞納暖房料
金を取立て、給料を払うよう指示した。レルモントフスキ炭坑を尋ねた
州知事は「同地域で最も規模の大きい企業である同炭坑には1500万
トンの石炭が貯蔵されており、養鶏場と現在建設中の天然資源加工工場
などを発展させられる潜在力のある地域である」と激励の言葉を述べな
がら、地域体育室修理作業を完成させるために10万ルーブルを支援す
ると約束した。

テロ犠牲者追悼集会

 サハリンでもロシア全域と同様にさる6〜7日の二日間をテロ哀悼期
間と決めた。7日にはユジノサハリンスク市にあるサヒンセンター広場
で北オセチヤテロ犠牲者追悼集会が開催された。集会には学生と大学生
を含め1千人の住民が参加し、人質劇を非難しながら被害者に弔意を示
した。参加者達は団結してテロと闘争するとの決議を堅くするほか、ベ
スランの被害者のための募金運動の展開を提案した。

スミルヌイフソ連英雄記念碑除幕

 8月27日、サハリン解放戦で戦死したレオニド・スミルヌイフソ連
英雄の記念碑除幕式が行われた。式にはイ・マラホフ州知事やスミルヌ
イフとトイモフスコエ区域の戦争老兵たち、住民たちが参加した。州知
事は祝辞を通じて「偉大なる祖国戦争勝利60周年を迎えようとしてい
る。祖国独立のために闘争した戦争老兵の方々に尊敬の念を込めて、彼
の名前の付いている同地域で記念日を建てる」と述べた。

日本へ昆布輸出

 8月31日、ロシア極東地域と北海道経済協力会が日本輸出用の昆布
採集加工露日合作企業設立問題について話しあったことがわかった。サ
ハリン州からの昆布輸出は日本側が提案したと伝えられている。専門家
によると日本の年間昆布需要量は3万トン。しかし、日本で生産出来る
量は2万トンである。サハリンは生昆布なら年間10万トン(乾草昆布
1万トン)の産能力があるとのこと。

燃料代引上

 最近、ユジノサハリンスク市内ではディーゼル燃料が1リットル当り
14.5ルーブルで販売されている。資源の最も豊かな地域で最も高い
値段で燃料が売られているのである。ガソリンスタンド経営者によると
、原油採集工たちが燃料代を引上げているとのこと。サハリンではこの
4カ月間燃料代が3回も値上げした。5月には1リトル当り11ルーブ
ルであった。

ユジノサハリンスク市韓人会運営委員会会議
               −光復60周年の準備を論議

 さる2日に開かれたユジノサハリンスク市韓人会の運営委員会会議で
、参加者たちは7月の遠足、8月の光復記念行事などの報告会が行われ
た。会議に参加した朴・ヘリョン韓人会長は来年が光復60周年である
と前置きしながら一層盛大な記念事業を今から準備すべきであると述べ
た。そして、参加者達全員がそれに賛同したのである。

安山のお母さん舞踊団の特別講演

 先週の土曜日午後5時、ユジノサハリンスク市にあるチェーホフセン
ターで南部サハリン及びクリル列島解放59周年を記念して韓国安山市
に住むお母さんたちのアマチュア民族舞踊団の公演が行われた。国家の
安泰と国民の平和を願う宮廷の様子をテーマとした花冠舞(1950年
金・ペクボン創作)をはじめ、綺麗な衣裳と一緒に多様な民族舞踊を紹
介した。同舞踊団の団長明・チョンザさんは「団体は民族芸術を愛する
人々の集まりであるが、サハリンの同胞たちと民族文化の価値を共感し
たい為来島した」と挨拶をした。9月中旬頃、ユジノサハリンスク市で
大規模の韓国芸術団公演が予定されている。

読者からの手紙―二重徴用真相究明の探訪

 8月7〜12日間、二重徴用被害者遺族会の鄭・テシク顧問外関係者
3人は長沢茂さんの協力の下で九州の二重徴用関連地を尋ね歩いた。在
日同胞のむくげ党国際交流広場のべ・レソン理事長、強制連行について
考える会のべ・トンロク委員、日本人の柴・タケトさん、村田・ハサさ
ん、大野・セツコさんなど多くの団体指導者たちの協力を得て、二重徴
用者たちの働いていた炭坑の町を訪ねた。三井、明治ケイセン、フルカ
ワ炭坑などで貴重な資料に出会う機会も得た。我々は上記都市の行政指
導部とも面談を行い、記念碑の建立を提案すると、皆が賛同し、大野セ
ツコさんが敷地の選定を担当すると約束した。今回の来日で各界の日本
人と同胞たちと知り合ったのも大きな成果と言える。大阪の片山通夫さ
んと多民族共生教育センター事務局のパン・ソンニョさんが同行取材し
、東京では長沢さんを通じて多くの方たちと交流ができた。又、地方の
新聞社、テレビ・ラジオ局、NHK九州支部などのマスコミが我々の訪問
に同行しながら訪問の目的と日本の現状を伝えようとした。二重徴用さ
れた炭坑夫たちの寮の跡地で追悼祭を行う時は日本の学生たちがアリラ
ンと故郷の春を韓国語と日本語で歌ってくれた。今回の日本訪問を通じ
て、我々は植民地時代が決して過去のことではないことを改めて確認し
、戦争被害者達の声が尊重されている現状を知った。保険局職員は2・
3カ月後には二重徴用された炭坑夫の名簿が明らかにできる調査を行う
と約束した。このような探訪事業は来年も続ける予定であり、遺家族皆
の要望が叶うまで我々の真相究明と闘争努力を続ける。  
 紙面を通じて今回の我々の探訪に協力して下さった多くの方々に深く
お礼を申し上げます。(鄭・テシク)

あれこれ

「麻薬押収」
 サハリン州ロシア連邦保安局と麻薬流通統制・押収管理局はホルムス
ク港で共同作戦を行い大量の麻薬を押収した。

「3人死亡」
 クリルのイトロプ島で火災が起きて3人が死亡した。丸太小屋の風呂
から火が出て魚加工工1人と船舶海員2人が亡くなったが原因はタバコ
の消し忘れである。

「滞納料金の取立てしか方法がない」
 アニワガス社はガス消費者たちの料金滞納のため、暖房季節を迎える
準備は勿論、社員の給料を3カ月も払えない深刻な状態に陥っている。
代表的な例として、コムナルニクとガラント住宅公社の滞納額は合計5
00万ルーブルに達している。アニワガスは先日、公衆銭湯へガス供給
を中止する強硬な装置を取った。エ・ペトロフ市長は滞納料金を取立て
る他には解決策がないと述べている。

「携帯電話を盗む」
 先週末の夕方、ユジノサハリンスク市警察がユジノサハリンスク市駅
前の広場を巡察中に3人の男が男児から携帯電話を取って逃げようとし
ている場面を目撃した。男たちは悪戯をしただけであると陳述している
が、現在調べを受けている。

「新しい市場オープンしたが・・・」
 ネベリスク市は先日、衛生的で便利な新しい市場を建設しオープンし
た。殆どの商人は新しい市場に移ったが、一部の人は以前の場所を離れ
ようとしないため問題となっている。警察は朝から旧市場を巡察しなが
ら移転を拒否する商人たちと戦っている。
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◆寄稿 [サハリン悲歌  第一章 3]                金 里博
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故郷に帰らず
北海道に上陸した朝鮮人の中に
「砧を打つ女」を書き芥川賞を得た
小説家・李恢成とその家族がいた。

今 彼の両親はすでに身罷り、
早稲田の露文科を卒業した後
熱い統一祖国への思いと
朝鮮民族の血が踊り
在日同胞への悲哀を解き明かそうと
彼は民族組織に服務したが
彼の口と耳と頭は
朝鮮語を操るには
すでに固くなりすぎていた。

大泊と稚内の距離よりも
自分と祖国との距離がずっと大きく
日本語とロシア語の距離よりも
日本語と朝鮮語との距離がはるかに大きかった。

何故か?
おお、サハリンよ語れ!
日本統治下の朝鮮人として
蔑視され、蹂躙され、奴隷にされ、
新しいソ連人民政権下の朝鮮人としても
差別され、蹂躙された
長く、語り始めれば終わりのない
悲哀と望郷と闘いの歴史を語れ−

小説家・李恢成。
小田実が
「ラジカルな日本語」と言って憚らなかった
彼の日本語は
熱く澄んだ民族と祖国への思いとは裏腹に
サハリンの色と臭い
教育を受けていない土着の朝鮮人の色と臭いが
入り交じり 日本語としては
中間色や季語の無い異様な言語だ。

彼が
言われ無き咎に苛まれ
ついに その仲間と職場から離れた十数年後
彼は「故郷」サハリンを訪ねている。
両親の国でも、故郷でもない「故郷」に
立った時 彼の心は涙し騒いだに違いない。

対馬海流 リマン海流 オホーツク海
大泊 豊原 落合 本斗 真岡 内幌…

人は
歴史の中に住み、創り
共に生きながら
その歴史に翻弄される悲哀を味わう。

小説家・李恢成は
まだ、その悲哀の渦中にある− 
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◆寄稿:サンチャゴレポート18「月の谷へ行く」
                                               塩田悦三郎                         
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 チリは本当に南北に長い国だ。おおよそ4千4百キロメートルある。
これは北海道の北端から沖縄本島までの距離の約2倍にすぎない。しか
し、その風景・気候・動植物の多様性において日本はその比ではない。
北は砂漠で、南は氷河だ。今回は、チリ北部の「アタカマ砂漠」を紹介
させていただく。
 
 「アタカマ砂漠」は、アンデス山脈と並行して南北に長い。サンチャ
ゴを飛び立ったと思う間もなく、飛行機は砂漠の上を飛んでいる。約2
時間半で「アタカマ砂漠」の玄関口のカラマに到着する。ここから東南
に車で約1時間半走ると、砂漠のオアシス「サン・ペドロ・デ・アタカ
マ」に着く。この地の原住民は、アタカメーニョ族と言って同じチリで
もサンチャゴの住民とは顔形はもちろん皮膚の色も異なる。小柄で有色。

 「サン・ペドロ・デ・アタカマ」という地名は長いので、単に「サン
ペドロ」と呼ばれる事が多い。「サンペドロ」は、「アタカマ砂漠」観
光のメッカでここを起点とするツアーが沢山ある。「遺跡めぐり」、「
月の谷」、「アタカマ塩湖」、「先住民村」、「標高4、400メート
ルの間欠泉群」、はたまた「隣国ボリビアの塩湖」ツアーまである。マ
ウンテンバイク・トレッキング・乗馬‥‥数えれば限がない。

 「月の谷(Valle de la Luna)」を紹介しよう。谷間から遠くに雪山
が見えなければまさに月の表面はかくあるべしと思わせる光景だ。波の
ような岩々・彫刻したようにそそり立つ岩・断崖絶壁・広大な砂丘等す
べて自然のなせる業だ。コバルトブルーの空と薄茶色の岩塩との絶妙の
コントラスト。写真をどうぞとガイドに言われなくても撮影したくなる
。一歩足を踏み入れると靴の中が砂だらけになる細かい砂、そそり立つ
岩は何層にもなって歴史を感じさせる。岩塩の洞窟に入る。真っ暗だ。
ガイドと自分の用意した懐中電灯とでどうにか洞窟から這い出る。

 原住民のアタカメーニョ族は、15世紀後半インカ帝国の侵入を受け
て衰退した。しかし、彼等の当時の生活を思わせる遺跡は「サンペドロ
」近在にたくさんある。アタカメーニョ族の歴史を知るには、「サンペ
ドロ」にある考古学博物館を訪れるのが最適だ。ここには、一人の日本
青年が日本での経験を買われて膨大な資料整備の仕事に従事している。
現地人の家にホームステイしていてみんなから愛されている。歩いてい
てもしょっちゅう知人と出会い、挨拶を交わしている。日本人がこんな
いなかで博物館の仕事をしているなんて予想していなかった。彼を誇り
に思う。
 
 「月の谷」といい、「遺跡めぐり」といい、もっともっと事前学習を
して行くべきだった。「月の谷」の場合は地質学を、「遺跡めぐり」の
場合は南米の歴史を。そうすれば今回の旅の良さは2倍にも3倍にもな
ったはずだ。

 「サンペドロ」から海寄りの「アントファガスタ」は、昔ボリビア領
であった。ボリビアがチリとの戦争で負けたのでチリ領となった。その
結果、ボリビアは海なし国となった。しかし、ボリビアには今でも海軍
がある。いつの日か奪い返して海あり国になろうとしているのだろうか。
─────────────────────────────────
◆20代のぼやき:「夢工場3」   有木優一 
─────────────────────────────────
 ギィィィ。シュィィィン。プシュ。ガガガガ・・・。音のアンサンブ
ル。

「こちら夢工場。本日のご注文はいかがなさいましょう。」

「ご注文」どころじゃない。ついに人員削減の時期がやってきたのだ。
9月に入ってから、一気に作業員の半数が減った。生産台数も徐々に減
少傾向にある。僕も移動を余儀なくされて、8月後半からは別の生産ラ
インで単純作業を繰り返している。そこの生産ラインは9月17日付け
で止まってしまう。この先、一本化した生産ラインは当分の間、派遣社
員のみで賄われる事になるらしい。

 某大学教授が、次のようなことを述べていた。
「派遣会社は最悪だ。人間を物のようにしか扱わない。」

 この言葉は少し語弊がある。派遣会社は、人間を「物」のようにしか
扱わないではなく、人間を「商品」としてしまう、の方が正しいと思う
。そして、派遣会社にて商品化された人間を物の様に扱うのは、工場だ
った。それは、派遣社員に依存しているが、工場はあくまで派遣会社の
社員(商品)である認識があるからだろう。この4カ月間、工場の正社
員は「商品」を選りすぐっていた。必要なときに大量に「購入」し、要
らなくなったら年に一度の粗大ゴミで「捨てる」。「ビス一本無駄にし
ない」とコスト削減を声高に叫んでいる工場内で、不必要となった「商
品」を抱えているはずがない。その「ゴミ」を商品化した会社が受け取
り、再利用、もしくは廃棄処分する。しかし、このシステムを頭ごなし
に否定することもできない。この工場と派遣会社の横柄なシステムの中
、生活している人もいる。つまり、奇しくも両者のニーズが一致したた
め派生したシステムなのだ。

 今回の人員削減で別の作業所に移動を知らされた中年の男性は不安そ
うな面持ちでこんな言葉を漏らした。
「これから、どうなることやら…。」
 この「夢」や「希望」を微塵も感じさせない台詞は、依存するべき場
所を履き違えているような印象を受けるが、確かにずっと工場にいて、
そこで働いていれば、雇い主が誰なのか錯覚してしまう。しかし、あく
まで給与明細にある通り雇い主は「派遣会社」。

「こちら夢工場。本日のご注文はいかがなさいましょう。」

 工場と派遣会社との実態が明るみになるにつれ、「夢」すら抱かせな
い現実が待ち構えていた。
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              Michio Katayama
─────────────────────────────────
 もう3年前の話ですね、9・11。先日華氏911を見ました。韓
国では「期待はずれ」という評判のようですが、わが国ではどうでし
ょうか。見られた方がいらっしゃいましたら感想をお寄せください。
 筆者は「あれが限界かな」という感想でした。他人の撮ったフィル
ムをつなぎ合わせてというのには、いささか無理があるようです。

◆ロシア・北オセチヤ共和国ベスランの学校テロに続いて、ジャカル
タでも。強いアメリカとロシアがテロを世界中に撒き散らせた?
 「力」で「力」を制した過去はない?

◆イラク、アフガン、パレスチナ。ロシアにインドネシア・・・。
ロイター電によると「プーチン大統領の首に賞金」とあった。
 ブラックユーモアにしては金額が大きい。2000万ドル!!

◆北朝鮮が自国の企業の宣伝活動をWebで始めた。魅力的な商品が
あるのかないのか、バイヤーの購買心をそそるのか。オーストリアに
ある機関がはじめた。
     http://www.dprkorea-trade.com/index.html

◆金正日総書記は飛行機嫌いか?モスクワへ行くのも列車だった。
「飛行機で現地に向かい、1日2日滞在して飛行機で帰国するのはど
の国の元首もみんなやっている」とし「俺は列車に乗っていろんな都
市を見ながらモスクワに行くのであって、この計画は絶対に撤回しな
い」とは本人の弁。「金正日熱風」(平壌勤労団体出版社刊)
 深ーい訳があったのだ。

◆その北朝鮮で大爆発事故!詳細は不明だが巨大なきのこ雲。
軍事施設らしいが、当局は未だ未発表。事故は9日のこと。この秘密
主義が怖い。
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発行     2003年9月14日   No.182
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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