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タイトル:609studio No.179 ◆現代時評:[安保常任理事国入り]  2004/08/24


◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇
                              2004/8/24 No.179
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
 版、その他、寄稿記事など話題満載! 
           URL ⇒   http://www.609studio.com
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           ◇◇◇from 609studio◇◇◇

 ◇今週から、金 里博氏の詩「サハリン悲歌」を掲載いたします。
  氏は京都在住・在日ハングル詩人。在日韓国文人協会(韓文協
  )会長。

     「サハリン悲歌」掲載のため、当分の間「現代語感」は休載し
   ます。  

 ◇沖縄国際大学 理事長・学長 渡久地朝明氏抗議文 

    「本学への米軍ヘリコプター墜落事故に強く抗議する」
                       平成16年8月15日
              沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件対策本部
             本部長(理事長・学長) 渡久地朝明 

       夏休み中の小泉首相、とくとごらんあれ!

              http://www.okiu.ac.jp/info4.html
         
───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:[安保常任理事国入り]                     ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年8月20日号

◆寄稿 [サハリン悲歌 プロローグ]         金 里博

◆寄稿サンチャゴレポート15:[日本道花盛り]   塩田悦三郎
                         
◆20代のぼやき:[眠れる獅子]          有木優一

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[安保常任理事国入り]                     ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆毎日インタラクテイブ  2004・8・18 河野洋平衆院議長
は、パウエル米国務長官らが日本の国連安保理常任理事国入りには憲
法9条改正が重要な要素になると発言していることについて「日本の
バックボーンになってきた主張を変えるとどうなるか、よく考える必
要がある。安保理常任理事国入りをやめる選択もある」と述べ、憲法
を改正してまでの常任理事国入りに慎重な姿勢を示した…。 

■■ボクはこの現代時評を書くにあたって、いままで、なるべく政府
側にも、世論の大勢にもつかない、いわば第三の意見を書くよう心掛
けてきた。 しかしいま問題になっている「国連安保理事会入り」の
問題については、そうはいかない。 やや、世論おおかたの側に組す
るようだが、絶対に自民党の大勢が傾きかけている「第9条を変えて
安保理事会入り」という論に組するわけにはいかない。
 なぜならボクは、どんなことあろうと「非戦」派で、それにはいか
なる議論も不用である。 つまり、中曽根大勲位をはじめとする自民
党過半数議員のように、「改憲、そして国連の名による戦争参加」に
は、絶対反対であるからだ。

■■まず先にチョットした経験を申上げておこう。それはボクの息子
がまだ学生の頃のこと。 諄諄と説いて聞かせても、生意気盛りの息
子は口答えして、ボクに向かって喧嘩するような口調である。
 とうぜん、こちらもつい大声を上げる。 すると傍らの家内が「親
子喧嘩はやめて」という。どこにでもよくある風景だ。
 「いくら言って聞かせても聞かぬから、文句を言っているのだ。意
見をしているのであって、親子喧嘩ではない。親子喧嘩などと人聞き
の悪いことを言うな」と、こんどは家内に向かって文句をいっていて
、そこでふと気付いた。 
 要するに、親子が怒鳴り合うのが「親子喧嘩」であって、そのばあ
い、「親が正しいか、息子が正しいか」などの内容明細は不用である。
親は親が正しいと思い、息子は息子なりに理屈があればこそ、怒鳴り
あっているのであって、そこに絶対権を持ったジャッジもいないし、
隣家の人にいきさつを説明しても「親子喧嘩」という事実は変らない。

■■国と国の間でも同じだ。 アラブにはアラブの大義があり、米国
 には米国の理想があり、それで揉める。ついには戦争にもなる。
宗教的な争いなどはもっと酷い。 キリスト教には正義の十字軍があ
り、イスラムにはジハードとかいうのがあるらしい。 相手の主張は
ともあれ、自分たちには自分たちの正義の旗印があるというのだ。 
 欧米だけではない、戦前のわが日本にも「正義のいくさ行くところ
 誰か阻まんその歩武を」という軍歌があった。「正義」ほどいい加
減なものは無い。概念だけがあって、論理はそれに合わせてつくられ
る。

■■いまの国連も同じである。国連には国連の主張があり、国連の名
を借りた主張や正義がその辺りにうようよしている。国連に主義主張
があるかぎり、それを強制的に実行するための戦争手段として国連軍
という武力を保持する。このパターンは未来永劫に変らない。
 だからこそ、「国連安保常任理事国になりたいのなら、第9条を改
正して戦争に参加できる用意をしてきて下さい」と、パウエルさんは
言う。この人の言い分は正しい、まさにその通りである。

■■安保常任理事国になるのは、戦争の当事者になることであって、
ボクのような「非戦論者」にはその資格は無い。 かっての印度のガ
ンジーがそうであった。 いまの米国におけるクエーカーや、「物見
の塔」も非戦派であって、彼らは兵役を拒否している。

 念のため言えば、アメリカや英国においては、クエーカー教徒の場
合は、 「良心的兵役拒否(Conscientious Objection)」といって「徴
兵に応じなくてもよい(その代わりに、きつい社会奉仕活動をする)」
という権利が法律で認められている。ドイツも良心的兵役拒否を認め
ており、代替として社会奉仕活動に従事する義務がある。そうしたド
イツの青年が日本へやってきて、ボクの近所の福祉施設でも働いてい
る。実のところ、ドイツではそうした良心的兵役拒否者の数が既に十
数万人にも達していて、それに依存してドイツの福祉介護施設は成り
立っているという処まで進んでいる。

■■戦前の日本は、もちろん良心的徴兵拒否など認められなかった。
今は志願兵制度だが、もしほんとうに自衛隊を海外派兵し、戦死者の
数人も出れば、たちまち軍人志願は減るだろう。 とうぜんのこと徴
兵制度に切り替えねばならぬ。 しかしその前に、良心的徴兵忌避者
の問題をどう扱うか。 国としての確定した態度をきめておかぬ限り
、先へ進めないという高いハードルがある。それを議論することが、
「国連常任理事国入り」を云々する以前に必要である。

■■韓国ではつい先日、宗教上の理由で兵役法違反の罪に問われた男
性被告が最高裁で有罪となった。つまり、韓国は良心的兵役拒否を認
めない国家であることが確定した。 「兵役の義務が履行されず国家
の安全が保障されなければ、人間の尊厳と価値も保障されない。良心
の自由が国防の義務に優越する価値とはいえない」というのがその理
由である。北朝鮮という現実の脅威を背景に徴兵制を敷く韓国として
、個人の基本権より国防・兵役義務など社会秩序の維持が優先される
との考えを明白に示したものであり、いつ敵が自国内に攻め込んで来
るか判らない状況下では、やむを得ぬと言えなくもない。

■■日本はそこまで切羽詰って居ない。むしろ、いい恰好して国連常
任理事国になり、世界に向かって「日本が持つ世界平和論」を大いに
海外まで鼓吹したい、というだけの話である。
 その日本的理想論も結構だ、決して悪くは無い。 しかしそれなら、
それを実行するための武力が要り、国際平和軍にも参加する義務がと
うぜんある。第9条を改正して「武力による威嚇又は武力の行使を、
国際紛争を解決する手段として使用する」のがとうぜんの筋道である
。 つまり、「自分たちが考える正義」を遂行するために武力行使も
厭わない、という話である。がしかしボクは、ガンジーのごとく、ク
エーカーのごとく、いかなる場合にも武力や戦力という暴力を用いた
くないのだ。

■■と、なると、例えば隣りの某国がとつぜんテボドンを撃ち込んで
きたとき、どうするか。 それは、わが国内へ敵軍が攻めこんで来な
い限り、ミサイルであろうと原子爆弾であろうと、打たれっぱなし、
落されっぱなしで辛抱するのだ。右の頬を打たれたら、左の頬も打た
れることを覚悟して、それでも辛抱するのだ。 それが「非戦」であ
って、「それは危険だから、いまのうちに敵を攻めよう」という考え
を捨てねばならない。 分は悪いが辛抱するのだ。
 いわば、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という古い諺を信じて、
叩かれっぱなしになる心掛けが前提として必要である。ボクはそれで
いいと思い、覚悟している。それが肚のなかで決まっていないかぎり
、クエーカーのごとき非戦論は成り立たない。

■■我々はすでに一度その経験をしている。無条件降服して、もうど
うなってもいいと思ったことがある。臥薪嘗胆と覚悟を決めたのが、
案に相違して、瞬く間に情勢が変り、うまくいって今日の日本がある
。「非戦」とは、つまりそういう僥倖を信じることである。卑怯で無
責任なようだが致し方ない。

■■その僥倖が信じられず、戦争で以って身を守りたい国や人々が居
る。いまの北朝鮮がそうであり、イラクのシーア派とか、サドル師派
もその適例で、外から眺めていると、その無謀さがよくわかる。
 いっけん投げやりな態度、不真面目な行為に見えるが、戦争を忌避
し、僥倖を待つ方がより安全である場合が、世の中には不思議に多い。

■■だからボクは、国連安保常任理事国などにならなくてもいいから
、第9条を厳守して、戦争という危険地域に入らないでおこう、とい
うのである。
 それを、いろいろ理屈を付けて、「安全地域に於ける民生事業だか
ら自衛隊を送る」などと言って、軍隊を戦地に送り出したりするから
、いつ迫撃砲弾が撃ち込まれるだろうか、と心配するのである。

 知らぬ間に戦争に参加させられていて、いつわが自衛隊員が戦死す
るかも判らない、という冷厳な事実を忘れるべきでない。
「小泉さん、いい加減に目を覚ませ」。 あるいは「ブッシュさんの
顔を立てるのももうこのくらいにして置け」と、声を大きくして言い
たい。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年8月20日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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へり墜落事故から1年

 昨年、イゴリ・パブロヴィツ・パルフトジノフ知事とその同僚たち
が乗っているヘリがカムチャッカで行方不明になったという急報を聞
いた時、サハリン州には悪い予感に包まれていました。その時からも
はや1年が過ぎました。多くの家庭が父、夫、息子を亡くし、親友を
失いました。今もその辛い気持ちが胸を刺さすようです。8月のカム
チャッカ事故はサハリン州民のみならず全ロシアに大きな打撃を与え
ました。亡くなった方々があまりにも貴重な人材であったからであり
ます。
 私達は彼らの死を悲しみ、彼らを偲びます。しかし、死よりも強い
のが思い出です。我々は亡くなった方たちがサハリン島民の発展や福
祉のために全力を尽くした、その偉業を引き継ぎ、一層豊かで繁栄し
た島作りに勤めなければ行けません。それこそが彼らに対する生き残
った我々ができることであります。  
 サハリン州民は今までの逆境によく耐えてきました。これからも一
層一致団結して、彼らが始めた事業を継続させ、より発展させていき
ましょう。         (イ・ペ・マラホフサハリン州知事) 

魚の適正価格

 最近、サハリン住民は州政府と知事宛に、魚の豊富な島で如何に高
い値段で住民が魚を買って食べているかについて不満を表しながら、
価格調整を要請する文書を送ったのである。そのため、州工業商業委
員会議が開催され、住民たちが納得できる適正な価格を策定するとの
方針を決めた。サハリンで魚の小売値段は産地に比べ700%も飛び
上っているとのこと。

移住140周年記念行事−展示会、公演、民族文化紹介等

 13日、チェーホフセンターにおいてサハリン州韓人会主催で韓人
移住140周年と光復59周年を記念する多彩な行事が開かれた。行
事の開幕式はロシア画家同盟会員の朱・ミョンスさんの油画展示会オ
ープニングも兼ねて行われた。州と市政府代表などサハリン州を代表
する多くの招待客を迎える入り口には次のような横断幕が掛かってい
た。「二度と故郷の地を踏めず異国で亡くなった両親に、この展示会
を捧げます」。朱さんは数百人の観覧客の前で展覧会を応援してくれ
た方々にお礼を伝えた後、<父と私>、<慶州で見た碑>など家族と
民族、サハリン韓人たちの悲しい歴史をテーマとした作品の説明に追
われていた。展覧会場の隣のホールでは7時から9時まで、安山民族
芸術団とサハリン芸術団の公演が行われた。又、チェーホフセンター
の一室では韓人婦人会が用意した韓国料理試食コナーが設けられ、5
00人ほどの大勢の人が手作りの韓国料理を楽しんだ。

北朝鮮の国際児童キャンプに参加して

 エトノス芸術学校の生徒たちは8月1日〜10日間、北朝鮮ソンド
ウォンで開催された国際児童キャンプに参加した。キャンプの目的は
「平和と児童たちの親善と団結」。世界各国から集まった児童達がス
ポーツなど各種行事を通じて交流を深めながら、一日数回も、<平和
!><親善!><相互協力!><戦争のない地球を!><地球の未来
は我々の手にある>などの合言葉を叫びながら手に手を組んで明るい
未来を創造する時間を過ごした。同キャンプへの参加を応援してくだ
さったドゼリ社の李・クリュル社長を始め皆様に心からお礼を申し上
げます。         (エトノス芸術学校教師李・チョンザ)

韓人同胞州議員選挙に出馬

 さる16日に開かれたサハリン朝鮮・韓民族ビジネスコングレス運
営委員会議で出た話によると、グロブス社‘ユガイ・オレグ・ウラジ
ミロヴィツ社長と呉・チンハさんが今年10月10日のサハリン州議
院選挙に出馬したという。

ロシア名誉建築家称号授与

 サハリン・グラズダン・プロジェクト設計研究所で30年間勤務し
ている金・サンナムさん(56才)が、ロシア建築の日を迎えロシア
連邦工業動力相から「ロシア名誉建築家」称号を授与したことがわか
った。

新刊紹介― 「寂しい雲の夢」

 2001年、「夢にまでみた故郷(露語)」を出版してサハリン文
化界を驚かせた梁・セルゲイ・ジュンホエヴィツ(1949年生)が
小説「寂しい雲の夢」を発刊したことがわかった。韓国とロシアで生
活している現代人の生活模様を描いたもので、精神的放浪を続けてい
る名前のない主人公を通じて著者の哲学的かつ叙情的内面世界がよく
覗える作品である。出版社はサハリン州のクニスノエ・イズダチェス
チトヴォ。出版にはグロブス社のユガイ・オレグ・ウラジミロヴィツ
社長の支援が大きかった。

ロシア初の韓国語TV放送

 8月15日、サハリンテレラジオ公社韓国語ラジオ放送部が、ロシ
アでははじめての韓国語TV放送を開始した。サハリン放送チャンネ
ルを通じて流された初の放送が成功したことを伝えると共に、製作者
の皆さんに心からお祝い申し上げます。
                     セコリョ新聞編集部
あれこれ

 「新しい養魚場建築」
 漁業と魚加工業を営むサハリンのシサピコ社がドリンスク区域アイ
川に大規模の養魚場の建設を始めた。同養魚場では年間2400万匹
のマスと鮭の稚魚を育て海に送る予定である。工場起工式に参加した
イワン・マラホフサハリン州知事は、今後、州内に同規模の養魚場を
14カ所を建築する計画を立てていると記者達に発表した。現在、サ
ハリンでは25カ所の養魚場があり、そこから年間6億匹の稚魚を海
に放している。

「乾草飼料準備急ぐ」
 アニワ区域農村では冬に備えて乾草飼料作りに余念がない。ユジノ
サハリンスク国営農業企業では飼料準備はもう目標の2倍の成果を達
している。農企業指導部はガソリン値段の値上がりを考慮して必要な
量だけを貯蓄するように指示を出している。

「住宅管理費滞納額6万ルーブル」
 アニワ区域政府は地方住宅公社指導部との協力下、管理費を払わな
い住民たちに強硬に対応することにした。即ち訴訟を提起すると決め
たのである。事態を先読みした13人は判決の前に滞納金を払ったが
、払いたくとも払えない人達もいる。数年間の管理費滞納額が6万ル
ーブルに達している人もいるからである。このような人達は退去の他
に選択の道がないとのことである。
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◆寄稿 [サハリン悲歌]                      金 里博
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 プロローグ

ひょっとして
人間は
絶対零度の世界でも
生きられるかも知れない。
サハリンの同胞を見ていると−

北極の風も
零下数十度の凍土の風も
所詮、風に過ぎない。

どんなに凍てついていても
どんなに鋭く刃が立っていても
命さえ覚めていれば、
情さえ燃やし続けていれば
肉や骨を抉っていきはしない。

抉っていくのは
常温の、春の、秋の心を「豊に」持った
人間だ。

下に恐ろしいのは
極寒の地でもなく
鋭い刃を持った風でもなく
人間だ 人間だ!−

サハリン。
今も累々と名無き白骨が地中に眠り
極圏の風の合間に木霊する
叫びと呻き−

海流は下り、上り
魚類は往き、復えり
老いを知らない人々が罪を負ったかのように
白髪が増え 皺が増え体力が衰えていく。

サハリン。
チェーホフが心に遊び
間宮林蔵が探し歩いた
島の話、時の話ではない。

今こそ
語り 聞こうではないか?
サハリン… 
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◆寄稿:サンチャゴレポート15「日本道花盛り」  塩田悦三郎                         
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 サンチャゴ、いやチリでは「日本道」が盛んだ。「日本道」とは
、「空手道・柔道・合気道・剣道・居合道・杖道」などの武道全般
、ならびに「茶道・書道・華道」などの伝統芸術も含む総称。どの
くらい盛んかといえば、こちらが日本人だとわかると若者の4人に
1人くらいは「空手」・「柔道」・「合気道」という言葉を使って
話しかけてくる。なかには、「空手」の構えをみせるものもいる。
「ラ・セレモニア・デル・テ(お茶会)」に出たことのある若者、
「最後の侍」を10回見たという豪の者、盆栽をチリ人の先生から学
んでいる若者等々。

 チリでの武道人口を調べてみた。総人口3万人弱。内、空手1万
5千人、柔道6千人、合気道1千人、剣道3百人、あとは居合道そ
の他である。入門してもすぐやめる人もいるし、一人で複数の武道
をやっている人もいる。おおよその傾向値として捉えていただきた
い。武道の中で「剣道人口」が少ないのは、用具にお金がかかるか
ららしい。

 この人気は、テレビの「アニメ」の影響が多分にある。ケーブル
テレビで、一日中アニメや映画を上映しているチャンネルがある。
その8割近くが日本の番組。となると、「空手」や「忍者」の出番
。小さな子が空手の構えをして遊んでいるのを何度も見た。日本道
とはいえないだろうが、「すし」という言葉はチリでは定着してい
る。ただし、日本料理は「高い」ので他の料理と同じ頻度で楽しむ
わけには行かない。つい最近、チリ人の招待を受けた。「さしみが
食べたいですか」と尋ねられて思わず苦笑。

 日本文化の普及は望ましい。このままいけば、日本とチリとは将
来にわたって争いが起きることはなさそうだ。ただチリ人がどこま
で日本文化を理解しているのかは疑問。例えば、合気道。東洋の神
秘性を求めること自体、悪くはない。でもそれだけでは困る。合気
道は、相手の心理的・肉体的弱点を攻め、さらに力学を応用して相
手を倒したり、抑えたりするのが基本。かなり合理的だ。もちろん
厳しい稽古は不可欠。念じるだけで相手が倒れ、神を信ずれば達人
になれると思っている人がいやしないかと心配だ。

 こちらでは漢字がたいへん人気がある。刺青やTシャツに漢字が
よく使われている。漢字といっても中国の簡体字が多く使われてい
る。あるとき、生徒が日本の新聞を手に入れたと言って私に見せて
くれた。それは中国の新聞であった。多くのチリ人にとって、中国
・日本・韓国は同じように見えるらしい。現在では、国籍にあまり
拘る必要はない。しかし、それぞれの国の文化を正しく理解するこ
とは必要だ。

 これからチリへ来られる日本の皆様。日本道のどれかひとつで結
構ですから、知識を携えて来て下さい。それだけでチリ人との友好
関係が醸成され、楽しみは倍増することを請負います。漢字が印刷
されたハンカチとかTシャツをプレゼントすればもっともっと親し
くなれるでしょう。
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◆20代のぼやき:「眠れる獅子」                 有木優一 
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 山口市を舞台にした都市再生のドキュメンタリーが、先日テレビ
東京系列で放映されていた。近隣の自治体に大型ショッピングセン
ターが誘致して以来、山口市の商店街は人通りも少なく、シャッタ
ーの下りた店ばかりが並ぶようになった。そこで、行政は地域活性
化対策を再三練り上げてきたが、なかなか功を奏さなかった。とこ
ろが、行政がどんなに手を加えても、うまく行かなかった地域活性
化が、「たった一軒の店」が駅前の通りに出店したことで街が蘇り
、若者が行き交う街が出来上がったそうだ。そのドキュメンタリー
の中で、「たった一軒の店」を出店した当人は、「若者が買い物で
きる店がないから、それを自分で作ろうと思った。」というような
証言していた。

 8月14日、僕は再び広島にいた。僕は、父方のお墓参りと親戚
の初盆に行くために、この地に来ていた。我が家の墓を参る前に、
親戚の初盆であると言うことで、再び車に乗り込んだ。中国山脈の
間を縫うように走る国道を行く途中、「近畿大学」と書かれた看板
が僕の目に飛び込んできた。近畿大学が広島にキャンパスと構えて
いた。近年、この東広島市には多くの大学等の教育機関が来ている
らしい。広島大学もその中の一つだ。この大学の移動に伴い、この
地域では若者が増加傾向にある。「街を歩いていて、20代の若者
を目にすると町が蘇った気がする。」と、長年そこに住み続けてき
た僕の親戚はそう漏らした。

 過疎化が進行する地域において、大学の誘致により、その地域が
活性化することは喜ばしいことではある反面、この急激な箱物作り
の都市化による影響で都市の画一化が進み、似たような都市が増加
している事態に僕は一抹の不安を感じずにはいられない。それは、
大学の誘致で地域活性化の成功を収めた都市と同じ手法で行政が地
域活性化を連鎖的に図ることは、その場しのぎの都市化であるよう
に思えるからだ。近年問題とされている少子化の影響で大学が学部
を削減し、その土地から撤退した際、どうするのだろうか。

 「行政」が街を作るのではなく、「人」が街を作る。行政は、大
学誘致に専念するよりも、むしろ住民が自発的に行動できるように
住民への危機感を煽り、「眠れる獅子」を目覚めさせる方が、「地
域活性化」には効果的なのかもしれない。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 アテネでは日本勢ががんばっています。まさにメダルラッシュ!で
す。沖縄の大学に落ちた米軍のヘリ、なんだかきな臭いにおいが。琉
球新報から抜粋します。 

◆米軍ヘリ沖国大墜落事故で、米軍は19日午後2時までに、同大構
内での機体回収を終え、13日の事故発生から6日ぶりに墜落現場封
鎖を解除した。その後、県警が初めて墜落現場を検証。県も立ち入り
、放射能を含めた環境調査を行った。(琉球新報)

◆鈍い小泉首相。その姿勢は国民のほうを向いていない。「夏休み」
を理由に沖縄県知事との面会を断る。事態は非常事態なのに。

◆沖国大総合文化学部のクレイグ・ジェイコブソン教授(49)は、
米軍が事故直後、放射能測定機と思われる機材で作業中の場面を見て
おり、さらに英語で「放射能」を示す「radioactivity」を口にしてい
るところを聞いたという。(琉球新報)

◆「普天間」の即時閉鎖要求 米軍ヘリ墜落抗議集会(琉球新報)

 以上詳しくは⇒  http://www.ryukyushimpo.co.jp/

◇オキナワの問題は全国の問題なのに、大手の新聞の動きが鈍い。
オピニオン・リーダー足り得ないのではないか。東京の真ん中で同じ
ような事故が起これば・・・。ああ、思っただけでも寒気がする。
ところで小泉さん、夏休みはいつまで?
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発行     2003年8月24日   No.179
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
                Macky!                    ID:609studio
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